続編の企画進行中
ヒノキ「新兄さんのところで、マッスル太郎続編のためのキャラクタービルドが行われておるようじゃ」
ゲンブ「ほう。新たな仲間か。シロとリトルが、それぞれどういうキャラで参加するのか楽しみでござる」
ヒノキ「まあ、ランダムダイスで背景設定なども構築されたのじゃが、陽性キャラのマッスル太郎に対してダーク寄りというか、シリアス調なキャラになっているらしい。大まかな傾向じゃと、リトルが熱血漢な魔神ハンター、シロがクールで闇を抱えた二重人格少女になってしまったそうな」
ゲンブ「ちょっ、魔神ハンターって天敵になりそうではござらんか」
ヒノキ「ただし、レベル7のマッスル太郎に比べて、2人は初期レベルからスタートするので、天敵と言うよりは『敵意を向けてくる若造』って感じで考えて欲しい。例えるなら、キラ・ヤマトに敵意を向けるシン・アスカと言ったところか」
ゲンブ「おお、するとマッスル太郎は前作主人公という立ち位置でござるな。続編のタイトルは『マッスル太郎デスティニー』と言ったところか」
ヒノキ「シリーズタイトルは未定じゃがの。一応、主人公キャラは、リトルの演じるデルニール・イーストンという方向で考えておる」
ゲンブ「デルニールって、マッスル太郎とは方向性の異なるネーミングではござらんか。もっと、こう方向性をそろえてもいいものを」
ヒノキ「例えば、どんな感じじゃ」
ゲンブ「ワンダー法師とか、シャイニー太夫とか、横文字プラス昔話風味で統一するとか?」
ヒノキ「お主は、ソード・ワールドの世界観を何だと思っておるのじゃ? 例外的なのは、マッスル太郎だけにしておけ」
ゲンブ「ところで、ここに来て一つ、重大なミスに気付いたでござる」
ヒノキ「何じゃ?」
ゲンブ「マッスル太郎は5レベル以降、戦闘特技《マルチアクション》を習得し、練技といっしょに【エンチャント・ウエポン】などの補助魔法を扱うようになったでござるが、本来なら魔法の行使判定をしないといけなかったわけで。ルールによれば、『補助動作で使う魔法(ターゲットサイトなど)は行使判定を必要としないが、主動作で使う魔法はピンゾロで不発にならないかをチェックするために行使判定を要する』となっておる。しかし、完全に練技と同じ感覚で判定なしに使っていた次第」
ヒノキ「なるほど。敵に放つ魔法は、抵抗を打ち破るために達成値を求めるダイスを振るが、自分にかける魔法は達成値を求める必要があまりない。とは言え、一応、発動判定は必要だったということじゃな。36回に1回は失敗する可能性があった、と」
ゲンブ「まあ、めったに失敗しないとは言え、もしかすると……ということも有り得たでござる」
ヒノキ「過ぎたことは、もうよい。今までは運よくピンゾロが出なかったと解釈しよう。だが、今後は一応、発動判定もしっかり行うんじゃな。今作の残りと、それから次回作ではのう」
ゲンブ「続編は、いつからの予定でござるか?」
ヒノキ「ゼロワンが終わって、次のライダーが始まった後としておくか。9月からか10月からかは定かではないが。そして今作は、次週に終わる予定。今話のあとは、もう1話か2話で完結するじゃろう」
脱出に向けて
太郎(ゲンブ)「前回は、牢獄からエルラーン卿を救出したでござる」
ヒノキ「無事にサンドリーヌ館に連れて帰り、また鮮血城に預けていたハイネ嬢も迎えて、これから脱出を敢行しようという流れじゃな。エルラーン卿が蛮族ラミアのサンドリーヌに不信の目を向けていたのが和解するドラマとか、クリスとハイネの兄妹再会劇とか、ハイネのメイド活動記録とか、いろいろ描きたいシーンもあるが、GMの一人芝居を延々と続けても仕方ないので割愛じゃ。詳細は読者の想像にお任せする」
太郎「その間に太郎の方も、道具屋のアイテラを鮮血城の図書館に案内したり、ウルスラとサカロス神殿跡で飲み交わしたり、街を出る前の心残りを解決しておくでござるよ」
ヒノキ「すると、ザバーラが気を遣って、とあるアイテムを貸してくれる」
太郎「何でござるか?」
ザバーラ『妖精郷フェアリーガーデン所収の〈妖精のメガネ〉だよ。これを掛ければ、妖精の見えないルーンフォークでも、妖精とコミュニケーションできる逸品さ。別れの酒宴には必要だろう』
太郎「おお、これはかたじけない。最終回間際だからか、大判振る舞いでござるな」
ヒノキ「なお、基本取引価格は2万ガメルじゃからの。この場で一時的に貸すだけなので、キャラクター用紙には記入しないように」
太郎「ともあれ、これで心置きなく、ドライアドたちも交えて飲み交わすでござる。ええと、生命抵抗15で飲み比べするのでござったな。今だと、基準値11なので難なく成功するでござるよ。達成値18」
ヒノキ「では、どこまで飲めたか、失敗するまでの回数を数えるかの」
太郎「了解した。18、19、17、17、18、18、19、21、14……ということで、10回めで飲みつぶれたでござる」
ヒノキ「『ほう、大した飲みっぷりじゃないか』と酒宴に参加していたヤムールさんも讃えてくれる」
太郎「おお、ヤムール殿でござるか。この機会に、例の名誉蛮族の腕輪の危険性についても語っておくとしよう」
ヤムール『ああ、それならアリアドネのところから情報が回って来たな』
太郎「へえ、アリアドネが教えてきたでござるか」
ヤムール『うむ。先日の話だが、「仮面レンジャーの紹介だ」と言って、マリリンという娘が訪ねて来てな。何でも、エドガーの妹分ってらしいじゃないか。それ以来、うちで雇うことになった。まあ、〈月夜蜂〉との連絡係もしながら、情報収集に精を出している感じだな』
太郎「マリリンか。できれば、堅気の世界に戻って来てくれるといいのでござるが」
ヤムール『だったら、お前がここに残って面倒を見たらいいんじゃないか?』
太郎「面倒を見る? どうして私が?」
ヤムール『そりゃあ、あの娘がお前のことを話しているときの様子から察するに、お前に惚れ込んでいるんじゃないか、と思ってな』
太郎「ドワーフに人間の恋心の何が分かるでござるか。ましてや、私は人間ではない魔……魔動機械もどきのルーンフォークでござる。恋心とは無縁なわけで」
ヤムール『機械が人に恋するかは知らねえが、人が機械に惚れることは十分あり得る話だぜ。ましてや、お前みたいなルーンフォークは人族だ。気持ちを通じ合わせるぐらいはできるんじゃないか』
太郎「ヤムール殿、少し酔いが回ったのではござらんか? とにかく、マリリンのことはよろしく頼むでござるよ。ともすれば、闇に誘惑されかねない娘であるがゆえに」
ヤムール『やれやれ。朴念仁に惚れる女の気持ちは分からんが、危険な仕事にハマり込み過ぎないよう、エドガーを通じて気遣いぐらいはしておくさ。だが、そのうち、お前も帰ってくるんだろう?』
太郎「ああ、外の世界を見てきた後でな。アイル・ビー・バックでござるよ」
果たし状
ヒノキ「……というわけで、ウルスラおよびヤムールとの酒宴イベントはこれで終わりじゃ」
太郎「満足した表情で、天幕に戻るでござる。マリリンの件もヤムールが何とか面倒をみてくれそうだし」
ヒノキ「うむ。彼女をあのまま放置しておくと、アリアドネの毒牙に掛かって吸血鬼と化してしまう可能性があったのじゃろうが、プレイヤーとしてそういう流れは望むまい?」
太郎「確かに、そうなると分かってしまえば、後味はよろしくないでござるな」
ヒノキ「シナリオでは、マリリンのその後は特に描かれておらんが、マッスル太郎の物語としてある程度、関わってしまった以上は、単にフェードアウトしてしまうのも芸がないと思うての。6部の終わりでたまたま偶然、ランダムイベントで遭遇してしまったわけじゃし、後日譚としては、バッドエンドを回避した可能性ぐらいは示しておきたかったのじゃよ」
太郎「続編では、登場するのでござるか?」
ヒノキ「ミストグレイヴでは、翠将とシェラシース、それにアリアドネと思しきキャラ(「月の娘」名義)は登場するが、舞台が霧の街の地下世界なので、背景設定での関連を除けば、ほぼ独立した物語となっておる。が、プレイの進め方としては、地下から地上に出ることもできるので、ミストグレイヴを攻略しながら、ミストキャッスルの未達成なクエストに手を付けることも可能。まあ、どのようにプレイするかは、実際に攻略しながら考えるとしよう。今はまず、目前のストーリーを片付けるのじゃ」
太郎「街を出る前に、あとは風の旅団の面々と会っておきたいでござるな」
ヒノキ「それは次回に回そう。先に、ザバーラのところに手紙が届いておる」
太郎「誰からでござるか?」
ヒノキ「ヒューリカから、マッスル太郎に宛てたファンレターっぽい果たし状じゃ」
太郎「は? ファンレターっぽい……ってどういうことでござるか?」
ヒノキ「うむ、お笑い芸人マッスル太郎の大ファンであるヒューリカは、第2部での初登場以来、太郎の動向を折に触れ、探っておったのじゃ。自分がいかに、マッスル太郎の追っかけを続け、その活動に注目していたかを熱い筆致でつづっておる」
太郎「それは……ストーカーではござらんか」
ヒノキ「手紙を先に読んでいたザバーラ曰く、『ほう、これはこれは、貴重な研究資料だねえ。ここまで事細かに太郎の動向を記録し続けるとは』と感心しておる。なお、ザバーラはザバーラで、使い魔を通じて、太郎の動向を見張らせていたのじゃが」
太郎「今にして分かる数々のストーキングの事実。ええと、ヒューリカにはどこまで秘密を知られているでござるか?」
ヒノキ「仮面レンジャーとマッスル太郎が同一人物であることは知られておるのう。ただ、魔神云々という点は、手紙に書かれておらん。主に、ザバーラとマッスル太郎がレジスタンスと手を組んで、翠将に謀反を企んでいるであろうという推察に基づいて、『この秘密を翠将に知られたくなければ、おとなしく自分の慰み者になれ』という要求を突きつけて来おる」
太郎「は? 慰み者? どういうことでござるか?」
ヒノキ「自分専用のお笑い芸人として、自分を楽しませろ。さもなくば、芸術作品として石像コレクションに加われ」
太郎「つまり、ヒューリカの奴隷になれという感じでござるな。下卑た意味ではなく」
ヒノキ「少なくとも、ヒューリカの手紙には、直接の男色めいた響きはなさそうに読めるが、それでも自分の芸術的感性において、マッスル太郎を独占したい想いが抑えきれずに、ほとばしっているようじゃのう」
太郎「お断りでござる。マッスル太郎はみんなのお笑い芸人であって、個人が独り占めするものではござらん。ファンならファンらしく、節度を守った付き合い方を心得よ」
ヒノキ「さらに、ヒューリカは『マッスル太郎が最近、サンドリーヌ館に出入りするようになったこと』『ハイネやエルラーン卿を匿っていること』『近々、街を出る予定であること』までを突き止め、それは絶対に許せないと書き記しておる」
太郎「そこまで知られているとは」
ヒノキ「翠将の街に対する謀反行為もさることながら、自分を置いてマッスル太郎が街を出ることが最も許せないらしい。嘆きの広場にマッスル太郎一人で来い。そこで決着を着けるべし。さもなくば、サンドリーヌの悪行を洗いざらい街の上層部に報告するぞ、と脅迫しておる次第じゃ」
太郎「念のため、確認しておくでござる。ザバーラ様、こういう輩はいかがいたしましょうか?」
ザバーラ『面倒な奴だねえ。サクッと殺っちまった方が後腐れなくていいだろうさ。今の君なら、倒せない相手じゃないはず』
太郎「ならば、ザバーラ様の許可も頂いたことだし、宿敵ヒューリカとの決戦に参るとするか」
決戦! マッスル太郎VSヒューリカ
ヒノキ「未明に天幕を出発すると、 朝に翡翠の塔、昼に露天市場を経由して、嘆きの広場への到着は夕刻となる」
太郎「落日の決闘って感じで、良いタイミングでござるなあ」
ヒノキ「そして、いつか来た石像だらけの広場ではヒューリカが腕組みして待っておった」
ヒューリカ『よう、マッスル太郎。お前との付き合いもそこそこ長かったが、ここらで決着を付けようか。それとも、このオレに降伏して、奴隷になる気はあるか?』
太郎「どうして、奴隷の身から名誉蛮族の地位を勝ち得て、これから自由な夢に向かって旅立つ予定の私が、今さら奴隷生活に戻れようか。蛮族のギャグはちっとも笑えんでござる」
ヒューリカ『そう言うと思ったぜ。だったら、この場で石になってもらうか、あるいは、我がマシンの性能テストに付き合ってもらうかだ』
太郎「マシンだと?」
ヒューリカ『そう。古代遺跡から発掘したスーパー兵器、その名もクインドゥームだ』
太郎「ちょっと待った。クインドゥームと言えば、4部位を誇る魔動兵器ではござらんか。ここはヒューリカとの一騎討ちだったはず」
ヒノキ「いや、これもシナリオ通りじゃよ。ここで遭遇する魔物は『ヒューリカと魔法生物』となっておる。そして、レベル7相当の魔法生物をランダムに決めたら、クインドゥームが出た次第」
太郎「とりあえず、〈狩人の目〉を装着して魔物知識判定を試みる。(コロコロ)どちらも17でござる」
ヒノキ「ヒューリカはレベル8、剣のかけら入りでHP89。クインドゥームはレベル7、かけらなしで胴体HP50が2つと、砲塔HP30が2つ。さらに、クインドゥームは前衛で、ヒューリカは後衛で、先にクインドゥームを落とさない限り、ヒューリカには接近戦を挑めないようになっておる。おまけにクインドゥームにはコア部位がないので、4部位を全部落とさなければ、倒したことにはならない」
太郎「つまり、《ファストアクション》で速攻4回攻撃で、ヒューリカに大ダメージを与えて終わらせるって作戦が通用しないでござるな」
ヒノキ「ヒヒヒ。これが今キャンペーンの事実上の大ボス戦になる。弱点を知られて、命中回避にマイナス2のペナルティーのあるヒューリカでは、役不足というものじゃろう」
太郎「しかし、よもやクインドゥームとは」
ヒューリカ『怖気付いたか、マッスル太郎。お前のことはいろいろ調べたんだ。このオレを倒すために、いっぱい鍛えたってこともな。だがしかし、鍛えて強くなった相手を、より強大な力で叩き潰して、絶望を与える。それこそが至福の喜びってものよ。せいぜい、のたうち回るがいい』
太郎「くっ、自分自身の力でなく、機械に頼ってるくせに。その傲り高ぶった態度を粉砕してくれるでござる。まずは先制判定。(コロコロ)低い、13」
ヒノキ「こっちは14じゃ」
太郎「こいつはマズい。仕方ないので〈疾風の腕輪〉を割って、+2ブースト。これで回避は1下がるが、それよりも大事なのは【カウンターマジック】を先にかけること。無事に発動して、精神抵抗12になった。続いて、マッスルベアーで追加ダメージ+2(合計15)、ガゼルフットで回避基準値13、キャッツアイで命中基準値12に〈狩人の目〉効果でさらに+1して13。MP11点消費で残り10点。このまま、クインドゥームの胴体に4回蹴りつけるでござるよ」
ヒノキ「こちらの回避は15じゃ」
太郎「当てるのは容易でござるな。まずは2発命中させて、ダメージは19点と22点」
ヒノキ「防護点は6なので、29点くらった。残りHPは21点じゃ」
太郎「続いて、もう2発。23点が2回」
ヒノキ「胴体Aが落ちて、機銃が片方使えなくなった。では、こちらの反撃じゃ。まず、ヒューリカが補助動作で石化の視線を使う。精神抵抗の目標値は16じゃ」
太郎「ダイス目4以上で抵抗可。よし、7が出たのでセーフ」
ヒノキ「続いて、ヒューリカは魔法を使う。とは言え、【ファイヤーボール】ではドゥームを巻き込むし、威力30の【ブラスト】は接近戦でしか使えん。すると、レベル3単体魔法の【リープスラッシュ】ということになりそうじゃな。【ブラントウエポン】でマッスル太郎の攻撃力を下げたり、【ディスペルマジック】で魔法効果を解除したり、【ナップ】で眠らせたり、【パラライズ】で命中回避を下げるという手もあるのじゃが、ヒューリカの性格上、そういう搦め手よりは、もっと力をアピールできる呪文を好むはずじゃからの」
太郎「聞くからに恐ろしい策を持っているでござるな」
ヒノキ「まあ、搦め手を使わずに力押しで行く。【リープスラッシュ】でMP7点使用。残りMPは46点。精神抵抗17に抵抗せよ」
太郎「15と言って失敗」
ヒノキ「ほう、ならば14点ダメージじゃ」
太郎「残りHP33」
ヒノキ「続いて、ドゥーム胴体の機銃が火を噴く。命中は18」
太郎「回避19」
ヒノキ「さらに砲塔から2本の光条が発射される。命中15が2回」
太郎「どちらも避けた。ふう」
ヒノキ「これで、1ラウンド目は終了じゃ」
誤射ゴシャした戦い
太郎「2ラウンド目でござるな。まずはポーションインジェクターでHPを回復するでござる。12点回復で、残りダメージは2点のみ。次に、エンチャントで攻撃力を高めるでござるよ。無事に発動して、基本ダメージは1点増えて16。残りMPは8点。練技が9ラウンドまで保つのが幸いでござるな。そして、ドゥームの胴体を蹴る。どちらも命中してダメージは22点と23点」
ヒノキ「33点ダメージで、残りHPは17じゃ」
太郎「順調に進んで、ドゥームを落とすのは5ラウンド目。それまで、ヒューリカの石化と魔法攻撃を凌ぐことができれば……」
ヒノキ「では、石化」
太郎「抵抗した」
ヒノキ「では、【リープスラッシュ】じゃな」
太郎「ところで、つかぬことを聞くが、ヒューリカは戦闘特技《ターゲッティング》を持っているのでござるか?」
ヒノキ「むっ、そう言えば。(バジリスクのデータを読み直して)ええと、《マルチアクション》その他の戦闘特技を持つが、残念ながら《ターゲッティング》は持っておらんようじゃ」
太郎「すると、乱戦状態での魔法使用は、誤射する危険もあるでござるな」
ヒノキ「確かにそうじゃな。ええと、では、D6で1ならマッスル太郎、2なら胴体、3なら砲塔A、4なら砲塔Bに魔法が当たったと判定するかの。(コロコロ)6は振り直して、4」
太郎「砲塔Bに当たったでござるな。ドゥームを楯にして、魔法を防いだでござる」
ヒノキ「なら、ドゥームは抵抗判定に成功して、砲塔部分に8点のダメージを受ける」
太郎「よし、誤射があるなら、魔法でダメージを受ける可能性を減らせたでござるな」
ヒノキ「『おのれ、マッスル太郎。オレのマシンを盾にするとは味なマネを』と歯噛みするヒューリカ。仕方ない、では胴体の機銃を避けよ」
太郎「18と言って、同値回避」
ヒノキ「続いて、砲塔2門」
太郎「2発とも回避した。当たらなければ、どうってことはない」
ヒューリカ乱入
太郎「3ラウンド目でござる。MPは回復用にとっておくとして、胴体を落とすとしよう。命中率的には、こいつの機銃が一番怖いでござるからな。2発とも命中して、ダメージは18点と22点」
ヒノキ「これで胴体は大破じゃな。しかも、このラウンド、砲門は装填中で攻撃して来ない。さて、ヒューリカは胴体が破壊されたのを見て、激怒して乱戦エリアに踏み込んで来た」
太郎「え? 時間を掛けて、遠くから魔法でちまちま攻撃してくるのではござらんのか?」
ヒノキ「その方が賢明かと思うておったのじゃが、《ターゲッティング》がないので誤射の危険が看過できないなら、前に出るしかなかろう。とりあえず、石化の視線をくらえ」
太郎「精神抵抗は成功したでござるよ」
ヒノキ「ならば、ヒューリカパンチをくらえ。命中判定はわらわが振る。15じゃ」
太郎「ほう。この私に殴りかかるとは、お前もうかつな男よ。《カウンター》キックを喰らわせるでござるよ。命中18」
ヒューリカ『何だと? こんな返し技があるとは!』
太郎「カウンターキックは今回が初披露でござるからな。ダメージは25点」
ヒノキ「防護点9を減らして、16点ダメージ。残りHPは73点。ヒューリカにダメージを与えると、毒の血液が飛び散って攻撃者もダメージを受ける仕様じゃが、被害を受けるのは自身の手番の終わりじゃから、次ラウンドということになるのう」
太郎「では、4ラウンド目。こちらの間合いに飛び込んで来たなら、喜んでヒューリカに攻撃するでござるよ。命中は17と20」
ヒノキ「回避も、わらわが振るのじゃ。基準値7で、16と14。ダメじゃ、命中してダメージじゃ。はい、或人でないと〜」
太郎「今のは、ダメじゃとダメージを掛けたギャグでござるな。とにかく、ダメージは23点と22点でござる」
ヒノキ「くらったのは27点で、残りHP46点。さあ、飛び散った毒の分のカウンターダメージを受けるがいい」
太郎「これって、攻撃回数ごとにダメージを受けるのでござろうか? それとも、まとめて一回のみで済む?」
ヒノキ「まとめて良いものとする。生命抵抗18に失敗すれば、2Dの魔法ダメージ。成功すれば、ダメージ消滅ということで」
太郎「生命抵抗は11だから、7以上で助かる。うん、10を出して成功。お前の毒など、疫病に比べれば大したことはない」
ヒノキ「ならば、くらえ、石化視線」
太郎「抵抗したでござる」
ヒノキ「続いて、マルチアクションからの魔法【ブラスト】に抵抗するがいい」
太郎「17なので、同値で抵抗」
ヒノキ「ダメージは19点の半分で、10点じゃ」
太郎「残りHPは35」
ヒノキ「続いて、ヒューリカパンチは11」
太郎「それは厳しいでござるな。出目11なら、達成値はいくつでござるか?」
ヒノキ「いや、達成値が11なのじゃよ。出目が3だったゆえに」
太郎「だったら、カウンター21。ダメージは23点」
ヒノキ「残りHPは32点じゃ。では、砲塔から二本のビームが放たれる」
太郎「命中15じゃ大したことない。どちらも容易く避けたでござるよ」
決着のとき
太郎「では、 5ラウンド目でござる。一応、《マルチアクション》を宣言しておいて、ヒューリカを2回蹴るでござる。命中は20と19」
ヒノキ「ヒューリカの回避は15と16じゃ。避けられん」
太郎「ダメージは20点が2発」
ヒノキ「ならば、22点くらって、残りHPは10点か。次には終わりそうじゃの。では、毒判定じゃ」
太郎「抵抗20。毒など効かん」
ヒューリカ『オレの毒がどうして貴様には通用せんのだ!?』
太郎「そんなの私が知るか! あえて言うなら、強靭な肉体と幸運の賜物と言ったところか」
ヒューリカ『なら、くらえ、石化視線』
太郎「抵抗16で同値成功でござる。ところで、アリナ様、どさくさ紛れに順番を飛ばされたでござるが、太郎は《マルチアクション》分の魔法がまだ終わってなかったでござるよ」
ヒノキ「おお、なら今、使うがいい」
太郎「では、【アースヒール】でHPを7点回復したでござる。残りHP42点で、MPは5点」
ヒノキ「では、回復した直後で悪いが、《マルチアクション》の上で、【ブラスト】をくらってもらおうか。ダメージは14点」
太郎「抵抗は成功で、7点のみ。結局、回復した分が削られたのみ」
ヒノキ「さて、ここで殴ってしまうと、カウンターされるのは分かっておるのじゃが、最後に1発当たりが出ることを信じて、ヒューリカは渾身の一撃を浴びせようとする。命中判定はダメじゃ、13」
太郎「ならば、ヒューリカに背中を向けたかと思うと、強烈な回し蹴りを浴びせる。命中は19。カウンターが命中して、ダメージは、おお、クリティカル、34点ダメージが炸裂!」
ヒノキ「本当に、最後の一撃で大ダメージを与えるのが好きな奴じゃのう」
太郎「自分でも驚きでござるよ。ここでクリティカルが出ると美味しいな、と思ったら、ダイス目が11になってくれた。やはり、マッスル太郎は天の道を行く男でござるな」
ヒノキ「今だけは、それを認めてやってもいい」
太郎「ヒューリカを倒したから、これで戦闘は終わったでござるな」
ヒノキ「いや、まだじゃ。クインドゥームの2本の砲塔が動いておるからのう。命中15を2回避けるがいい」
太郎「回避基準値13だから、ピンゾロじゃないと当たらないというのに。8と7で避けた」
その後、2門の砲塔を落とすのに、3ラウンドを費やした。ダメージダイスで2回ピンゾロが出たからである。まあ、回避でピンゾロを出さない辺りがマッスル太郎の運と言えよう。
ということで、この戦闘において、魔物退治の360経験点と、ピンゾロ分100点、剣のかけら8個、そしてバジリスクの血(200G)、石化の瞳(1200G)、鉄(20G)、未知の魔動部品(2400G)を獲得したマッスル太郎であった。
出来損ないの最期
ヒノキ「では、ゲーム的な処理を終えたものの、物語的なシーンも演出しておくとするかの」
太郎「カウンターキックで爆死したヒューリカ……で終わりではないのか?」
ヒノキ「いや、さすがに爆死はなかろう。ヒューリカは瀕死の重傷で倒れ伏しておるが、クインドゥームを撃退したマッスル太郎が近づいて来ると、力ない笑みを浮かべてみせる」
太郎「まだ、生きていたとは……」
ヒューリカ『だが、もう長くはないようだ。まさか、クインドゥームまで倒してしまうとはな。オレの目は自分で思ったよりも節穴だったらしい。マッスル太郎というザコが、ここまでの成長を遂げるなんて、思いもしなかったぜ。完敗だ』
太郎「私も驚いている。クインドゥームを見た瞬間は、もうダメだと思ったが、最後まで足掻いてみようと思ったら、実力以上の力が発揮できた。天は自ら助くる者を助く、と聞いたことはあるが、最後まであきらめず、勝てる手を模索する。その中で、勝利を手繰り寄せることができたのだろう」
ヒューリカ『死ぬ前に一つ教えてくれないか、マッスル太郎。蛮族のギャグは笑えん、と言ったな。お前のお笑いと、オレの笑いの違いは何なのだ? お前のお笑い芸にある輝きとは一体?』
太郎「その質問に対しては、さすがに『そんなの知るか!』とは言えないでござるなあ。一つだけ言えるのは、私のお笑い芸はみんなを笑顔にすることを目指す。それに対して、蛮族の笑いは自分が笑顔になることだけを目指す。みんなの笑顔のために戦うからこそ、みんなの想いを受け止めて力に変えることができる。自分だけが強く笑顔でいればいい、と言うのでは、拠って立つところが違う。ヒューリカ、お前は何のために戦ってきた?」
ヒューリカ『へへッ。みんなのためになんて、考えたこともなかったよ。ただ強くあれ、力さえあれば何もかも好きにできる。そう信じて、ここまで来たが、力を失って「出来損ない」と蔑まれるようになって、それでも自分にできること、自分の力を証明したくて、足掻いて来たのさ』
太郎「ヒューリカ、お前の力は自分以外の誰かを助けるために使えば良かったんだ。そうすれば、助けられた誰かはお前に感謝こそすれ、『出来損ない』と見下すことはしなかったでござろう」
ヒューリカ『……そうか。誰かの感謝か。だったら、マッスル太郎、お前はオレに感謝しろ。お前やサンドリーヌの企ては、誰にも知らせていないんだからな。安心して旅立つがいい。そして、たまにはオレのことを思い出してくれよな。お前のお笑いを評価した一番のファンなんだからよ。そして……こいつを持って行け』
ヒノキ「そう言って、ヒューリカは自らの残った右目をえぐり取った」
太郎「何をするでござるか?」
ヒューリカ『勝者への贈り物さ。「バジリスクの瞳」を持って行け。もう、オレはお前のことを見守ることができないが、せめて瞳だけでも、お守り代わりに持って行ってくれないか。このヒューリカの最期の頼みって奴だ。お前の一層の成長を、イグニスの剣の眠る世界で見守ってやるぜ。ぐふっ』
ヒノキ「こうして、マッスル太郎は『ヒューリカの瞳』を手に入れたのじゃ」
太郎「とは言え、こんな物を手に入れても仕方あるまい。ザバーラに売り払うとするか」
ヒノキ「いやいや、持っていれば、何かの役に立つかも知れんのじゃ」
太郎「そうは言ってもなあ。何だか呪われてしまいそうでござるからなあ」
ヒノキ「では、一つだけヒントじゃ。高価な戦利品は、換金せずにアイテムのままで持っていると、続編のミストグレイヴで必ず役に立つ。まあ、『ヒューリカの瞳』に関しては、持っていれば、ゲーム中で役立つマジックアイテムとしてオリジナルデータを作成してもいいとさえ思っている。出来損ないヒューリカは死んだが、彼の遺品がマッスル太郎の物語で重要な役割を果たせば、わらわとしては喜ばしい限りじゃ」
太郎「なるほど。アリナ様はずいぶんとヒューリカのことが、お気に入りだったのでござるな」
ヒノキ「そうとも。お前さんが貪欲卿ズ・グリを気に入ったようにのう」
太郎「では、ヒューリカとの決着はこれでついたと言うことで」
ヒノキ「ヒューリカ撃退で、★2つを進呈じゃ。さらにアリアドネのところに報告すれば、★3つと9000ガメルを追加報酬とする。諸々の精算は次回にまとめるとしよう」
(当記事 完)