花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

ファンタズム・アドベンチャーの魔法話4(ネクロマンシーと召喚術)

今回はダークサイド方面

 

NOVA「魔法もいろいろあるけど、プレイヤーキャラで闇系魔法を習得するケースは少なめだと思われ」

ヒノキ「まあ、悪役キャンペーンとかGMが推奨しない限りは、基本的に闇系は倒すべき敵サイドのルールじゃからのう。もちろん、アンデッド使いとか、悪魔使い、あるいは悪魔そのものをプレイできるゲームもあるにはあるが」

NOVA「ところが、PAはネクロマンシー系統の習得率が異常に高いゲームになっています。というのも、第10系統の『生命と死』が最も扱いやすい回復魔法ヒーリングを含む以上、パーティーの回復役として割と欠かせない立ち位置だから」

シロ「他の系統で、回復魔法はないのですか?」

NOVA「あるにはある。11番めの『悪魔の呼び出し』にはデモニック・ヒーリングが、13番めの『象徴』にはヒーリング・ワードが、14番めの『秘薬』にはヘルスがあるが、それぞれ魔力消費も10以上あったり、所要時間が大きくて戦闘中には使いにくかったりして、扱いにくいんだな。安定した回復役を望むなら、『生命と死』一択ということになる。まあ、実際には死に関する呪文は少なめで、大部分は生命に関するものなんだが」

シロ「今のソード・ワールドのコンジャラーみたいなものですかね。旧ソード・ワールドのソーサラー魔法から分派して、派手な攻撃魔法主体のソーサラーと、地味な支援魔法主体のコンジャラーになったけど、後者も便利な魔法が揃っていて、魔術師なのに治癒役になれるとか、ゴーレムやアンデッド作りの魔法があって奥が深いとか、ラクシアの神様は穢れを忌み嫌うので、死からの復活はプリーストではなくて、コンジャラーの領域とか」

NOVA「アンデッド使いが、治癒役にもなれるという意味では、確かに関連づけられるかもな。とにかく、今回は闇方面に関わりを持った呪文系統を紹介していく、と」

 

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ファンタズム・アドベンチャーの魔法話3(精霊魔法)

魔法使いの成長ルール

 

NOVA「前置きでは、PAのルール面を確認していく流れだが、基本的にこのゲームは経験度を消費することで、スキルのランクを上げていく形だな。ランク0のスキルを1にするのに1点、1から2にするのに5点というのがPAで、以後は成功値によってランクを上げるための経験度が変わってくる。他に特性値や予備体力を上げたり、感覚や信仰度を上げたりできるが、今回は魔法関連の話をメインに見ていこう」

ヒノキ「要するに、自分の上げたい能力を自由に上げれるのじゃな。成長の自由度が高い、と」

NOVA「だけど、魔力を上げるルールがPAには明記されていないんですね。APAだと、経験度3点で魔力を1点増やせるようになりましたが」

シロ「魔力を増やせないPAは、欠陥ルールですかね」

NOVA「増やすためには、知性の特性値を細々と増やして、特性値の10分の1が個人値になるから、経験度を大量に消費すれば増やせないことはないと思うんだが、それよりも呪文ごとのコスト(魔力消費)を下げる方に経験度を費やすルールになっているんだな、PAの方は」

ヒノキ「呪文そのものに経験度を注ぐことができる仕様か」

NOVA「ええ。PAの魔法使いは、習得した呪文を個別にカスタマイズできます。魔法関連の成長ルールは以下の通りですね」

 

  • 魔法使いになるためには経験度20点が必要(PA)。
  • APAだと、弟子になるのに4点×氏族修正が必要。氏族修正は、神秘と宗教が1、軍事が3、他が2となっている。
  • APAだと、弟子から魔法使いになるのに、魔性の種族だと12点+氏族修正、魔性でなければ20点+氏族修正。これによって、魔性の種族であるエルフの神秘氏族キャラが弟子になるには4点、さらに魔法使いになるには13点が必要になって、合計17点の経験度を消費する。魔性でない人間の犯罪氏族だと、弟子になるのに4×2=8点、魔法使いなら22点で、合計30点の経験度が必要。なお、キャラ作成時に与えられる経験度は、40点+α(4点もしくは8点)。PAより、APAの方が、やはりルールが細かい。
  • 新たな魔法の系統を覚えるのに、経験度が10点必要(APAだと、そこに領域ランクによる修正値が加算される)。
  • 自分の習得した系統の呪文を新しく覚えるには、PAだとお金を支払うだけでいい。APAだと、お金に加えて経験度も消費する必要があるうえ、習得判定を行わないといけない。習得成功値のベースは神秘氏族が55%、宗教氏族が50%、政治氏族が45%、犯罪および交易氏族が40%、軍事氏族が35%。これに氏族の階層や地位ランクによるボーナスが加わって……うん、APAはずいぶん複雑になったな。
  • 魔法の呪文は、経験度を費やすことで、判定の成功値やダメージ修正、射程距離、抵抗難易度を上昇させられる。
  • また、魔法の呪文は、経験度を費やすことで、単体攻撃の目標を1体ずつ増やすことができる。つまり、味方へのバフや、敵へのデバフ、および攻撃を呪文ごとに複数化できたりもする……が、呪文を使い勝手の良くなるよう、カスタマイズするのも経験度を大量に消費するなあ、と。
  • そんなわけで、魔法使いを極めようと思えば、他のスキルに経験度を注ぎ込む余裕がなくなるから、スキルを重視するか、魔法を重視するかはプレイヤー次第ということになる、と。

 

ヒノキ「呪文ごとに経験度を費やして、カスタマイズできるのは面白くはあるが、複雑じゃのう」

NOVA「だから、88年の時点では、日本で最も基本ルールが精密なゲームの一つと言えますね。これに匹敵するとしたら、『指輪物語RPG(MERP)』か『ルーンクエスト』ぐらいだと思います。まあ、APAの90年になると、MERPの上級ルール的な『ロールマスター』とか、『アドバンストD&D』とか、『ウォーハンマー』とか、もっとデータの多いゲームはどんどん出て来ますし、『シャドウラン』にせよ、『GURPS』にせよ、難易度の高い重量級RPGがいっぱい出て、俺も感覚がいろいろ麻痺していたのは否めない、と思う」

シロ「だけど、最も売れたのは『ソード・ワールド』なんですよね」

NOVA「まあ、文庫RPGという入手しやすさと、ロードスと同じ世界観で手堅いシステム、リプレイや小説でファンタジーの雰囲気を伝えて、入門的な手軽さと同時に、初心者にとっての奥深さを両立させた傑作だろう」

ヒノキ「当時の入門RPGじゃと、D&Dの赤箱ベーシックから、T&Tになるか?」

NOVA「ファイティング・ファンタジーも入門には違いありませんが、AFFに至る前に5年かかったのは、遅すぎましたね。85年と90年というのは、日本のTRPGにとって大きな拡大進化を遂げた時期ですから」

シロ「86年のドラクエから、一気にRPGというゲームジャンルが時代を席巻しましたからねえ」

NOVA「85〜90年は、日本のTRPGが根付くとともに、海外のゲーム情報がいろいろ入って来たりもして、広がるとともに深化していった時期。そうなると、初心者向きとしてT&T→ソード・ワールドという流れがあって、一方、原点のD&Dはシステムとしての古さ、不自由さがマニア心には飽きられやすい一方、ではマニア向きに発展したAD&Dとなると、明らかに初心者を切り捨てる形になった。これだと、最初からマニア向きと評されたMERPやルーンクエストの方が緻密で良いゲームという評価で固定ファンも付く」

ヒノキ「そして、D&Dの牙城をソード・ワールドが突き崩す形になったのじゃな」

 

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ファンタズム・アドベンチャーの魔法話2(イリュージョン他)

魔力について

 

NOVA「今回はPAの魔法話の第2回だが、この作品での魔法は、魔力を消費して魔法をかけるMPシステムだな。その魔力の決め方だが、作品によって微妙に異なる。具体的には、以下の通りだ」

 

  • PA:知性の種族値×2+知性の個人値
  • APA(魔法使い):知性の種族値+知性の個人値×2
  • APA(弟子):知性の種族値+知性の個人値

 

ヒノキ「APAは、弟子の概念ができたことと、種族値よりも個人値に重点を置くようになったのじゃな」

NOVA「たとえば、エルフは知性の種族値が10で、ヒューマンは5です。これで、どちらも個人値が8だったとして、MPはこうなりますね」

 

  • PA:エルフの魔力28、人間の魔力18
  • APA魔法使い:エルフの魔力26、人間の魔力21
  • APA弟子:エルフの魔力18、人間の魔力13

 

NOVA「これで、PAは魔法使いになるのに、種族値が2倍換算なので、種族値5点差が魔力では10点差になってしまいます。APAだと、個人値重視な分、種族格差が極端でなくなったのと、弟子という選択肢ができたので、専業でない魔法使いがずいぶん作りやすくなったと思いますね」

シロ「本職が盗賊で、魔法は探索のサポートに使う形ですね」

NOVA「魔法使いを選ぶと、最初に持てるスキルの数が制限されるが、APAの場合は経歴でスキルを習得することもできるし、ちょっとした小技程度の魔法をかじる選択肢がずいぶん増えた。だから、パーティーが4人いた場合、PAだと魔法使いが1人いるぐらい(最初から2系統選べるブラウニーなら、攻撃と回復の両方を任せられる)が良いバランスだと思うが、APAだと魔法使い1人、弟子2人(1人は盗賊、もう1人は回復役)、純戦士の構成も行いやすい。そもそも、10系統以上の魔法があるのに、魔法使いになるハードルが大きすぎたので、【攻撃と防御】か回復用のヒーリングが習得できる【生命と死】の2系統に選択肢が限定されるような気がする」

ヒノキ「冒険をするのに、回復役は必須じゃからのう」

NOVA「ファンタジーRPGで、回復呪文を使える神官系クラスは必須でしょう。まあ、〈治癒〉スキルで少しぐらい(3日に1回、1d3ポイント)回復できますが、このスキルって亜種を除く種族ごとにサブスキルを習得しないといけない仕様なので、〈治癒(エルフ)〉だと、エルフ以外の種族は癒せません」

シロ「それって、種族の多いPAだとあまり役に立たない?」

NOVA「まあ、使えても回復量が少なすぎるので、魔法による回復ができない冒険者チームは難儀でしょうな」

ヒノキ「回復手段が限定的なので、パーティーにある職種が絶対に欠かせないことは、ファンタジーRPGあるあるじゃのう」

NOVA「ソード・ワールドでは、プリースト必須だったわけですが、2.0になってポーションが入手しやすくなって、薬草やポーションの回復力を高めるレンジャー技能、そしてコンジャラーやマギテックなど(プリーストほどではないけど)回復術を使える職種が増えたことで、プリーストのいないパーティーも活用可能になりました」

ヒノキ「D&Dでは、どうじゃ?」

NOVA「これは4版が大きな革命をもたらしましたね。1時間の小休憩という概念ができて、そのタイミングで回復用のヒットダイスを全てのキャラが消費することで、回復魔法に頼らずとも自力でHPを回復できるようになりました」

シロ「回復魔法が必要なくなった、と?」

NOVA「いや、戦闘中のHP回復はその方法で行えないので、そういう時に回復呪文や、ファイターの〈底力〉のような特殊能力に頼ることになる。3版の時には、回復ポーションが格安で手に入ったので、冒険前にポーションをいっぱい買って、ダンジョン探索の継戦能力を高めるという手段をとったが、4版以降は自前の回復能力をルール化したり、バードの特殊能力〈休息の歌〉で小休憩での回復量を増やすといったオプションも取れるようになった」

ヒノキ「21世紀のRPGは、回復手段一つをとっても、いろいろと進化しておるのじゃな」

NOVA「逆に、PAは旧世紀のゲームだったので、回復が魔法に頼りきりな時代だったんですね、ただし、魔力の方は割と回復しやすいゲームになってます」

ヒノキ「MPの方が回復しやすい、と?」

NOVA「多くのRPGでは、魔法って1日ごとの使用回数やMPが決まっていて、夜に眠ると朝起きて回復ってケースが圧倒的に多いと思います。非常時のためにMP回復用のアイテムが用意されたゲームもありますが、基本は1日単位のリソースになってる。

「PAの場合は、MPの回復の仕方が領域によって定められて、夜明けとともに回復の星界や、神への祈り(4時間)によって回復する神々の領域もありますが(睡眠時間を削って祈ってるんでしょうな。瞑想とかも4時間連続だと苦行だ。朝に1時間、夜に2時間、あとは昼休憩の際に1時間とか小分けにしてるとか)、多くは数分で1点ずつ回復する自然回復だったりします。最も効率いいのは、5分に1点で、1時間だと12点回復できる。10分に1点なのが最長で、それでも1時間に6点回復するわけですから、仮にダンジョン探索で3時間かかると考えるなら、その魔法使いは18点から36点の魔力を余分に使えるわけです」

ヒノキ「すると、PAの魔法使いは自前の魔力点以上に、継戦能力が高い?」

NOVA「戦闘中に魔法を連発するなら、自前の魔力点の大小が重要でしょうが、ダンジョン探索中の移動時間なら、魔力消費の軽い探索補助呪文を連発しても問題ない。だから、飛び道具のスキルで戦闘中は支援射撃に徹して、魔法は移動中の探索用と割りきるとか、魔法を使って何をするかを柔軟に考えられるゲームなのは間違いない。とにかく、PAの魔力リソースは、時間ごとの回復をきちんと考えるなら、初手から魔法の使用回数が多いゲームだと思います、80年代のゲームにしては」

ヒノキ「魔法が得意なエルフじゃと、最初から20点以上の魔力点を持っているという点でも、PAの魔法使いは他のファンタジーRPGと比べても、魔法を使いやすいゲームと言えような」

 

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ファンタズム・アドベンチャーの魔法話1(エンチャントやソーサリー)

今回から魔法の話

 

NOVA「さて、娘たちの誕生日と、『主人公はキミだ』の感想を終えて、PAに帰ってきたわけだが、種族の移動力の話は割愛して、いよいよ本命の魔法ルールだ」

ヒノキ「このゲームも、複雑な魔法ルールなんじゃな」

NOVA「大雑把にいえば、魔法の領域と、魔法の系統を決めるわけですが、領域はどのような魔力源を持って、どのように魔法を使うかというもの。それに対して、系統はどのような呪文を使うか、というものですね」

ヒノキ「領域はたとえば神々の力か、それとも古代の力ある言葉か、などじゃな」

NOVA「これが9種類あって、術者は2つを選択します。この組み合わせによって、術者の魔力(MP)の量や回復速度、魔法をかける際の所要時間や成功率、そして制約なんかが決まります。単純計算で9×8÷2=36種類の魔法のかけ方がある、と」

シロ「領域は、どんなのがあるんですか?」

NOVA「では、そこから解説しよう。この領域で魔法使いのスタイルを選択していくことが、PAの個性的な魔法ルールと思う」

 

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花粉症ガール8歳の誕生日

思いがけない誕生日パーティー

 

翔花「と言うことで、急遽のお招きありがとうね、ヒノキちゃん」

晶華「今回は、私たちがスペシャルゲストってことで、ハッピーバースデイってことね」

ジュニア「久々のコンパーニュで、羽を伸ばしますぅ。羽はないけどぉ」

ヒノキ「羽はわらわの専売特許じゃ。ということで、ようこそ、花粉症ガールズおよびジュニア」

シロ「ケーキの準備はバッチリできている」

翔花「わ〜い♪」

ゲンブ「うむ。みんな集まって、賑やかなのは良きことでござる」

 

ケイP『ん? 通信が入っているッピ』

リバT『ああ、イチローお兄さま。無事につながったようですね』

ヒノキ「おお、リバTか。もしかして、ウルトロピカルからの通信か?」

ダイアンナ『日野木アリナ、久しいな』

ヒノキ「むっ、ダイアンナか。昨年は、こちらが記事数を勝たせてもらったが、今年もうちが勝たせてもらうぞ」

ダイアンナ『こっちは現在15記事だが?』

ヒノキ「たったの4記事差に過ぎん。ファンタズム・アドベンチャーの話をしていれば、すぐに追いつく」

晶華「何なに? 記事数の話? うちの空想タイムは23記事だし。ソーサリーの攻略記事が順調なうちは、安泰ってところね」

ダイアンナ『アッキー様。FFコレクション6の情報が入ってくれば、こっちが優勢になるはず。今年は、去年のようには負けませぬ』

ヒノキ「で、わざわざ挑戦状を叩きつけるために、通信してきたのか?」

ダイアンナ『……いや、そうじゃなくて……。アッキー様、初代さま、この度はお誕生日おめでとうございます。それだけが言いたかった』

翔花「うん、ありがとう。ところで、あなたの誕生日はいつになるのかしら?」

ダイアンナ『あたしの誕生日……さあ、覚えていない。ダイアナ・ジャックとしては祝ってもらった覚えもないし、バット・クイーンであれば、アッキー様と同じことになるが』

晶華「そんな過去の話は置いておいて、アナちゃんがダイアンナとして転生した日を誕生日にしたらいいんじゃない? 確か、この記事よ」

翔花「10月24日かあ。さそり座ってことね。よし、今年の10月はダイアンナさんの誕生日も忘れずに、祝いましょう。何しろ、花粉症ガール4号だしね」

ヒノキ「わらわの誕生日(12月26日)は、クリスマスといっしょに祝われるからのう」

翔花「とにかく、花粉症ガール同士、仲良くしましょう。どっちの記事数が多いとかで競い合っていても不毛じゃない? その時その時の記事が楽しく盛り上がれば、それでいいと思うし」

ヒノキ「むっ、それもそうじゃな。わらわとしてはTRPGの話で楽しく盛り上がれば、それでいい」

ダイアンナ『あたしとしては……愛を感じられれば、それでいいか』

 

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ファンタズム・アドベンチャーの話3(経歴と種族のよもやま話)

PAカテゴリー

 

NOVA「今回から、『ファンタズム・アドベンチャー』のカテゴリーを立ててみた」

ヒノキ「そこまで記事書きにハマりおったか」

NOVA「いやあ、最初は『この作品の魔法ルールって面白いよね』と軽く紹介するだけのつもりだったんだけど、種族や世界観の方に思いがけないハマり方をした次第。それにしても、この作品、ものすごく奥が深いRPGで、ただの色物にしておくにはもったいないぐらい本格派の匂いが濃厚です。当時は『究極のRPG』的な売り文句を掲げていましたが、確かにシステムとしては、当時流行の最先端をこれでもか、とぶち込みながら、値段がさほど高くないムックスタイルというのもあって、非常にコスパの良いRPGと言えました。

「惜しむらくは、PAを売るための根幹ストーリー(小説やリプレイ)が、公式に出なかったことだけど、考えてみれば、リプレイ商法ってSNEが始めて、ロードスからソード・ワールドでブレイクしたんだよね。時期的には、89年以降に商業リプレイ物語が成立。それまでは、雑誌掲載のゲーム紹介記事*1が点在しているぐらいで(PAも『ゲームグラフィックス』誌にショートリプレイはある)、少なくともPAが展開していた時期には、リプレイを単行本で売るという商品スタイルはSNEの専売特許だったわけだ。PAにそれを求めても、当時の時代背景ではどうしようもなかった、と」

ヒノキ「TRPGの書籍リプレイ文化は、90年代から2015年ぐらいまでコンスタントに展開されてきたが、今は商業リプレイが売れないのと、動画リプレイもしくは同人リプレイ、あるいはネット上のファン創作リプレイが主流となっておる。まあ、PAはリプレイ文化が花開く前のTRPGだったということで、当時の公式もそれをメインに展開しようとは思わなかったのじゃろうな」

NOVA「今、ネットで探したら、こういうリプレイを見つけた。割とまとも」

ヒノキ「お前さんも書かんか? 今のコンパーニュじゃと、フェルゼンティ(ネコ人)と、タートルマン(亀人)と、ガーゴイルが参加できるぞ」

NOVA「フェルゼンティはシロ君で、タートルマンはゲンさんだとして、どうしてガーゴイル? ヒノキ姐さんだったら、ホークマンとかじゃないのですか?」

ヒノキ「う〜む、ホークマンは鳥人なので、お気に入り種族なのじゃが、いかんせん頭がよろしくないからのう。魔法が得意そうな翼持ちじゃと、ガーゴイルかピクシーってところじゃろう」

NOVA「なるほど。ガーゴイルの女の子って路線は新しいかもしれませんが」

NOVA「ただ、今みたいにシステムや世界観談義をするのと、リプレイを書くのとでは、前者の方が楽なので、リプレイを書くつもりはありませんよ。とりわけ、PAはシステムが複雑な部類ですからね。負担が大きいと思う」

ヒノキ「それは残念じゃ」

NOVA「ただ、公式シナリオ解析記事ぐらいは書けるかな、と思っていたり」

 

*1:最初は『タクテクス』掲載のトラベラー(1984)、次に『シミュレーター』掲載のローズ・トゥ・ロードのコミックリプレイ『七つの祭壇』(1985)が有名。その後、『オフィシャルD&Dマガジン』連載の『ガゼッタワールドへのいざない』(1988)や、『マイコンBASICマガジン』のワープスリプレイ(1988)が自分の記憶にある。むしろ、ロードスやソード・ワールド以外は、リプレイが単行本として雑誌とは別途発売されることが珍しく、その後も『RPGマガジン』『ゲーマーズフィールド』『ロール&ロール』誌などに掲載された(単行本化されていない今では幻の)リプレイは数知れず。菊池たけしさんの『セブンフォートレス』以前のSLGマガジンシリーズとか、友野さんの『コクーンワールド』の原型となったRPGマガジン掲載のソード・ワールドリプレイとか。そもそも、ロードスだってD&Dを使った初期2シリーズは雑誌連載のみの幻だ。

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ファンタズム・アドベンチャーの話2(世界観と氏族)

80年代では非常に斬新だったシステム

 

NOVA「さて、前回から始めた懐かしRPG、ファンタズム・アドベンチャー(PA)の話ですが、88年に登場した国産RPG*1では最も緻密で尖ったシステムながら、プレイアビリティーは決して低くないのがポイントかと思います」

 

 トロイさんに関する参考ページはこちら

ヒノキ「80年代においては、非常に斬新なゲームということじゃが、現在の視点で見ると、どうなのじゃ?」

NOVA「まあ、古いゲームなのは間違いないですけど、システムとしては今なお斬新で、語り甲斐のあるゲームだと思ってます。88年の時点では、非常に野心的で、このゲームよりも先鋭的な作品はなかったのでは? と思ってます。まあ、この時期は、TRPGシステムがどんどん進化していった時期で、PAの場合は進化の袋小路にはまった実験作の趣きも強かったのですが、古さを感じるのは、ゲームシステムよりも、むしろシナリオの方ですね」

ヒノキ「と言うと?」

NOVA「出版されたPAのシナリオって、典型的なダンジョン物と、秘境探検もので、ハック&スラッシュしかないんですね。90年代以降に定番となった、都市での陰謀劇とか、市井での事件解決とか、あるいは壮大な戦記ものとかは手が届かず。スキル制のゲームシステムはそれらを取り込める可能性を十分に秘めておりながら、物語を牽引する根幹ストーリーが発表されずに、独自の世界観が宙に浮いた感じがあります」

ヒノキ「サポート不足ということか?」

NOVA「25の島を探検するキャンペーンシナリオ『霧雨の島』は、海洋探検アドベンチャーとして非常に豪華な作品ですね。D&D青箱の『恐怖の島』の要素を膨らませた感じで、一つ一つの島を自由な順番で渡りながら、ミニイベントを解決して回るのは、ゲームとして面白いと思います。冒険というのが秘境探検、そこで遭遇する悪党退治を行いながら、お宝探しに邁進するスタイルとしては傑作シナリオと考えます」

ヒノキ「何が問題じゃ?」

NOVA「90年以降の日本のTRPGの定番って、『事件が発生したのを解決するストーリー』か『組織に所属するチームが上層部から与えられたミッションを果たすストーリー』が分かりやすくて、その後、『別の組織に所属しているキャラが共通の目的を持ったり、時に対立しながらも、適度な物語の落としどころを探りながら、相互の目的を果たすドラマ志向、ロールプレイ指向』の作品が増えたと思います(とりわけFEAR系)。

「ダンジョンアドベンチャーが古いと言われたのが、90年代からゼロ年代で、そこから逆にシステマチックなダンジョン構築、ストーリー性を付与したダンジョンを主題にした『セブン・フォートレスAdvanced』『ナイトウィザード』とかの原点回帰型システムなどへの模索もありつつ、バトル、探索、情報収集、事件解決といった要素をどう組み合わせるかで、多様性を目指した流れですね」

ヒノキ「旧世紀はシステム面の模索、新世紀はストーリー面の模索といったところか」

NOVA「そう単純な切り分け方だと、いろいろツッコミどころだとは思うのですが、PAはTRPGのストーリー面でのサポートが日本で解析されて行き届く以前のゲームなので、原初の探検とバトルを楽しむゲーム。そして、キャラクターの構築ヴァリエーションが非常に豊かな何でもあり系ゲームだった、と。まあ、魅力的な世界観ではあるけれど、全貌が明かされる前に展開終了したので、未完の大作感が強い作品ですね」

ヒノキ「根幹ストーリーがない分、自由度が高いゲームではあるのう」

 

*1:デザイナーは日本留学に来てたアメリカ人のトロイ・クリステンセン氏ですが、海外製ではない。原型は82年に同人的に自費出版してたようですが。

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