花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

日野木アリナのスターロード・キャラ完成

キャラ作りの続き

 

リモートNOVA『さて、スターロードのキャラ作りオンリー記事の続きです』

ヒノキ「前回は、わらわの学者キャラの特徴までを決めた。今回は完成まで漕ぎ着けようと思う」

NOVA『ところで前回、マイナス特徴をレベル100にしたら云々と言ってましたが……』

ヒノキ「あくまで極端な例えじゃ。そんなことをしたら、バランス崩壊するのは分かっておる」

NOVA『補足しておきますと、特徴の最大レベルは6まで、とルールに明記されておりました。マイナスの方も6までですね』

ヒノキ「すると、パーティー4人がマイナス特徴を6レベルまで選んでも、最大で24レベル。3レベルで壊力デッキのカードが1枚増えるというルールじゃから、最大8枚増えて、初期壊力は21枚か」

NOVA『ルールを補足すると、GMが悪役の所業として壊力カードを使用した際に、それらは命力カードとして、プレイヤーの手に渡ります。つまり、悪が暴れるほど、正義側が強化されるというシステムでした』

ヒノキ「敵の悪事を知ったヒーローが怒りを燃やすような動機づけじゃな」

NOVA『トーキョーN◎VA以降、トランプを利用したTRPGシステムが作られるようにもなり、折りしも90年代半ば以降は日本も爆発的なトレカブームで、カードデッキ(デック)という用語が浸透し、本作でも普通に使われている、と。ルール用語では、壊力デックですが、デッキという表記の方が一般的なので、本記事ではデッキと記述するようにします』

ヒノキ「改めて用法をネットでチェックすると、伝統的なトランプ用語ではデックと呼ばれ、トレカのゲームではデッキが主流らしい」

NOVA『英語のdeckをどうしてデッキと読むようになったか、と昔から気にしてはいたのですが、実はオランダ語のdekがデッキと発音して、先にそちらの読み方が日本で浸透したためみたいです。元々は「屋根などの覆い」という意味合いで、船の甲板(船上では床ではあるが、階下の船室にとっては屋根になる)を指すわけですが、そこから派生して、トランプの「裏返された山札」を指し、さらに派生して「一組のカードの集まり、プレイヤーが構築したゲーム用のカードセット」を意味するようになった、と』

ヒノキ「英語にこだわるならデックというのが正解だが、外来語としては先にオランダ語のデッキが浸透したから、別にデッキが間違いではないということじゃな」

NOVA『ケーキやステーキが、原語の正しい発音のケイクやステイクから変わったのとは少し違うわけですな。まあ、スティック(棒)がステッキ(杖)に変わるほどの和製英語の発音変化はなかなか面白いですが』

ヒノキ「日本語としては、スティックとステッキはもはや違うイメージじゃろう。魔法少女の杖は、何ちゃらステッキであって、それを何ちゃらスティックとは言わんのではないか」

NOVA『杖を表す用語が、D&Dではワンド、ロッド、スタッフの3種類あって、それぞれサイズの違いで区分けするのですが、訳語にいろいろ困っている感じでしたね。スタッフは長杖って感じで、歩行杖としても、両手持ちの武器としても扱えますが、ワンドとロッドの違いが今だにこんがらがる時がある』

ヒノキ「ワンドが30センチ以内で短刀サイズ、ロッドが30〜80センチほどで普通の剣みたいな長さとイメージすればよかろう」

NOVA『教師が黒板を指す指示棒みたいなのがワンドで、普通にカバンに入りそうですな。ロッドは折り畳み傘を伸ばすと、再現できそうです。他に杖だと、ケイン(歩行杖)とかセプター(王笏)とかありますが、さておき』

ヒノキ「スターロードに話を戻さねばの」

NOVA『ところで、スターロードの用語でもう一つ。我々は冒険者のチームを表す用語で、しばしばパーティーと言っていますが、スターロードでは「スコード」という言葉も使われますね。なかなか浸透しない言葉ですが』

ヒノキ「10人未満の小チームで、分隊と訳すんじゃったか」

NOVA『英語表記がsquadで、アメリカではスカッドと読み、スコード読みはイギリス英語なんですな。俺は今、調べるまでスコードとスカッドが同じだとは気付きませんでした。squadをずっとスカッドと読んでいて、小隊という意味だと認識してはいたんですが』

ヒノキ「正確には、小隊は分隊がいくつか集まってできたもので、人数は10〜50人程度らしい」

NOVA『小隊のイメージは、MSなどの機動メカが3〜4機ぐらいって感じですが、実際の軍隊用語だと、小隊のイメージは学校の1クラス程度で、それを班分けしたのが分隊になりますか』

ヒノキ「小隊は『士官が指揮する最小の単位』で、学校で言えば、担任教師が士官に相当すると言えようか。分隊だと、士官が仕切るのではなくて、現場の叩き上げの軍曹なんかがまとめる形」

NOVA『機動メカの場合は、アニメだとパイロット単位で考えがちですが、MS1機を運用するのに、交代要員や整備要員を考え合わせると、リアルでは5人ぐらいは必要かもしれませんね。それが3〜4機だと10人以上は明らかなので、バックアップ要員も含めて小隊ということなら納得です』

ヒノキ「リアルだと、戦車1台を動かすのに3〜4名は必要と言われていて、陸上兵器を3〜4台運用しようと思えば、整備要員は別としても、やはり10人以上となるじゃろうな。まあ、陸海空のどの組織に視点を当てるかで、小隊の運用イメージも変わって来るのやも知れん」

NOVA『ロボットアニメをベースに考えると、複数パイロットは大型の合体メカ(いわゆるスーパーロボット)の特徴で、普通は1機体1搭乗員と考えがちですが、それは空軍イメージで、陸軍や海軍だと1つの兵器に複数が乗り込むのは当たり前、と』

ヒノキ「現在のリアル航空兵器だと、各種兵装やレーダーなどはコンピューターで自動制御が進んだから、単座型でも問題なく運用可能。それ以前だと、戦闘機も複座の役割分担が必要になっていて、パイロット1人で何でもこなせたのは20世紀前半まで。第2次大戦後に機体に搭載されるレーダー機器が発展すると、操縦以外の索敵要員が必要になり、機体性能をフルに発揮するには複座機が主軸と考えられた時期があって(20世紀後半)、その後は、コンピューターの発展で、また単座型が主流になって来たのが平成以降、と見られる」

NOVA『近代兵器の知識と、近未来SF知識が割と混同しがちなので、俺みたいなミリタリー素人は時々、整理しないといけませんな。つまり、ガンダムみたいなMSもある程度はコンピューターが制御してくれるから、パイロット一人で問題ない。だけど、当時(80年前後)の時代背景で、より現状に則してリアルなのは、ドライバーと砲手が2人で操縦するガンタンクの方だった、と』

ヒノキ「やはり、ミリタリー兵器のリアルさをフィクションで再現するなら、パイロットをアシストするサポートAIが必要となり、スターウォーズのR2ユニットがXウイングの操縦を助け、80年代はレイズナーのレイや、90年代はガンダムでもハロなどがサポートするとリアルさを感じたりもする」

 

NOVA『って、ずいぶん前置きが長くなりましたな』

ヒノキ「いつものことじゃから、わらわはもう慣れた。では、改めて本番に移るのじゃ」

 

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今さらスターロードの続き

ルールブックを改めて読んでると

 

リモートNOVA『前回で、90年代のレトロTRPGスペオペヒーローズと続編のスターロードの話を終えようと思ってたのですが……』

ヒノキ「何だか話を続けたくなったのじゃな。良かろう。面白い話なら歓迎じゃ」

NOVA『面白い話じゃなければ?』

ヒノキ「記事そのものをボツにする。出直して来い」

NOVA『俺にとっては面白いけど、他の人にとってはつまらないというケースもありますが?』

ヒノキ「そんなのは話題次第じゃろう? わらわはTRPG好きの女の子じゃから、話題がTRPGである限りは歓迎するぞ。ただし、愚痴とか不満とか悪口を吐き捨てるような、ネガティブ感情は論外じゃ。趣味ジャンルにおいて、おおよそ関係者への悪口暴言を聞いて、鬱憤ばらしをするような場は荒れる元じゃのう」

NOVA『まあ、関係者のスキャンダルとか、訃報に際しての皮肉とか、ネガティブな予想とかは、趣味話を楽しみたい人間の神経を逆撫でする可能性がありますな。応援している球団が負けたときに、監督や選手をボケカス呼ばわりするような野球ファンは見ていて、はあとため息つきたくなります。周りが聞いてて不愉快になる』

ヒノキ「そういうのを、ネガティブ感情の吐き捨てという。知り合いの野球ファンへの愚痴は、TRPGとは関係ないじゃろう? ここは野球のブログじゃない」

NOVA『おっと失礼。ネガティブなのはダメ、と言ったら、それがネガティブだったということですか。ダークサイドパワーは恐ろしいですな。ええと、こういう効果は……〈精神汚染〉となるのかな? 〈悪意の侵蝕〉とか、そういう名前の特徴が作れそうだ』

ヒノキ「人間、常にポジティブを維持するのは難しいゆえに、ポロリとネガティブ感情が漏れ出ることは誰にでもあるが、それしか話題がないというのも芸がないからのう。で、面白いネタを持って来たのじゃろう?」

NOVA『ええ、前回のダークサイド・テンプレで[幼き魔王]の項目をじっくり読んでみたんですよ。すると、〈四天王〉というダークパワーがありまして、〈四天王〉レベル3だから、側近の部下が3人いると書いてあった』

ヒノキ「四天王なのに、3人しかいないというのはツッコミどころじゃのう」

NOVA『そこはルールブックでもツッコミがありました。能力名は〈四天王〉だけど、実質は三連星とでも名乗るべきでしょう(笑)、と』

ヒノキ「わらわのところも三獣士で、わらわを入れて四天王みたいなものじゃがな」

NOVA『で、その三連星のデータなんですが、魔王の配下は全員超能力者なので、テンプレートから[薄幸のESP][天使少年][全てを見通す男]を用意しておきましょう、と書かれてある』

ヒノキ「なるほど。敵の部下のデータも、テンプレートで表されるのじゃな」

NOVA『しかし、俺の手持ちのテンプレには、コモンの9番[全てを見通す男]は収録されていますが、他の2つはレアキャラなのか、見当たらない。誰か[薄幸のESP]と[天使少年]のデータをコピーさせてくれ〜みたいなことを、25年前なら言っていたんだろうなあ』

ヒノキ「ふむ。そうやって、ランダムテンプレートへの購買欲を掻き立てる手法じゃな」

NOVA『で、今さらですが、このゲームのランダムテンプレは一体、何種類あったのか? 細かいデータはともかく、全ランダムテンプレを名前だけでもリスト化したサイトはないかなあ、と探してみたわけですよ。トレカなら、普通にあるでしょう。全カードリストって。それを見て、あと何を持ってないから、頑張って入手しようと思えるリスト』

ヒノキ「ソシャゲでもあるのう。ガシャで入手できなくとも、公式サイトでは全部のデータが一覧できる。コレクション意欲を掻き立てるには、カタログリストがあって欲しい」

NOVA『エルジェネシスでも、スターロードでも、そういうカタログを作ったサイトがどこかにないかなあ、と思って探したんですよ、今さら』

ヒノキ「あったのか?」

NOVA『ないですね。そもそも、ランダムテンプレをコンプリートした人が日本にいるのか? また、コンプリートした人がいても、そうだと分かるものなのか? もしかすると当時の「ゲーマーズ・フィールド」誌に、そういうランダムテンプレ・カタログが掲載されたりしていたのか? と、いろいろな思いが渦巻いているのが今です』

ヒノキ「つまり、今さらランダム・テンプレートのトリコになっているわけじゃな」

NOVA『今なら、エルジェネシスとスターロードの「パーフェクト・テンプレート・ガイド」を出してくれるなら、5000円ぐらい払ってもいい、と考える俺がいる』

ヒノキ「他にそういう客需要が見込めるとは思えんがのう」

NOVA『ともあれ、ランダムテンプレートの話題をしている記事がないか、とネットの海を検索航海していると、たった一記事だけXポストが見つかりまして、[突撃警官]なる両津勘吉モチーフを紹介していました。もっと、こう自分の買ったルールブックでは、こんなランダムテンプレートが入ってた、という話題でネットで盛り上がれたら、受けたのかもしれませんが、1998年の段階では時期尚早だったのでしょうな』

 

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スペオペヒーローズと続編の話2

ネット公開されたルール

 

NOVA『前回、手持ちのルールブックで、アーキタイプの話をあれこれしていたスペオペヒーローズですが、作者公認でルールがネットで公開されているのですな』

ヒノキ「D&Dなどで無料公開されているルールはあるが、スペオペヒーローズにもそういうのがあったのじゃな」

NOVA『古いゲームですけど、数値データ以外の「11章 よくあるストーリー」「12章 悪役」「14章 悪の組織と幹部」「17章 クサい台詞」などは、汎用ストーリーのネタやロールプレイの指針として、違うゲームストーリーでも使い回せると思うんですよ。物語テンプレートとして、ね』

ヒノキ「前回、触れなかったアーキタイプもあるのう」

NOVA『オプションルールには、超能力者やロボット、バイオ細胞のアンドロイドもありますし、クァールや猿をプレイすることも可能。ただし、地球人以外の異星人や異星生物をプレイするデータはありません。宇宙人とのコンタクトは、活劇メインのスペオペの対象外ということで。そういうのは、スペオペヒーローズの続編のスターロードで触れられていますので、ここからはスターロードのルールを見て行くようにします』

 

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スペオペヒーローズと続編の話

SFRPGの話

 

NOVA『今回は俺が最も好きだったSFRPGの話をします』

ヒノキ「1992年の作品か。トーキョーN◎VAの1年前じゃのう」

NOVA『サプリメントはこれですね』

NOVA『日本で最初期のTRPGは84年に翻訳された「トラベラー」で、その後、91年に発展版の「メガトラベラー」が出ていたのですが、この作品には重大な欠点がありました』

ヒノキ「何じゃ?」

NOVA『派手な銃撃戦をすると、キャラがすぐ死ぬ。トラベラーはリアルSFの方向性なので、世界設定が大人向きで渋い。つまり、派手な活劇には向かないシステムだったんですね』

ヒノキ「新兄さんは派手好みだと?」

NOVA『まあ、80年代のゲームは、現代の視点からは死にやすいというのも事実。とりわけ、ホビージャパンは硬派なボックスタイプの豪華なシステムが売りで、トラベラー以降は86年にクトゥルフ、87年に指輪物語のMERP、88年にはルーンクエストストームブリンガー、そして88年にロボファンタジーのワースブレイド、90年にメタルヘッドを次々と発売。でも、システムとして最も派手な活劇を楽しめるのは、ヒーローポイント初実装のジェームズ・ボンド007(1986)だったんじゃないかなあ』

ヒノキ「ヒーローポイントを使えば、死んでも死ななかったことにできる、ということじゃな」

NOVA『日本で、そのシステムを初実装したのは、ツクダのWARPS(1987)で、元はルパン3世の「カリオストロの城」や、ガンダムの「逆襲のシャア」などアニメを再現するためのルールでした。88年までは海外からTRPGという文化を輸入し、平成に入る頃にはそこから国産RPGに移る流れができますね』

ヒノキ「しかし、国産初のRPGは83年にツクダが出した『ローズ・トゥ・ロード』じゃろう?」

NOVA『まあ、そうですけど、その段階ではファンタジー世界ユルセルームを受け入れる層がまだ一般化されてなかったと思いますね。剣と魔法のファンタジーがメジャー化したのは、ゲームブックとかドラクエのブームがあった85〜86年頃だと思います。コンピューターゲームとか、ハヤカワのファンタジー小説でいち早く海外の情報に接した先駆者が、80年代の初頭からD&DなどのRPGに注目していたのでしょうが』

ヒノキ「で、ゲーム業界がRPGブームに湧き返るのがドラクエ以降の80年代後半なんじゃな」

NOVA『で、TRPGだと、ファンタジーのD&D、SFのトラベラー、ホラーのクトゥルフという御三家があって、そこにどういうジャンルで参入するかが問われたわけですが、D&Dが古いゲームということもあって、システムとしては、より詳細なキャラ表現を可能にしたスキル制の方が発展進化した作品という意見から、MERPやストームブリンガールーンクエストホビージャパンがプッシュしつつ、もっと手軽にRPGを楽しみたいという層向けのT&Tやソード・ワールドといった文庫RPGの流れが出て来たのが87〜89年、と』

ヒノキ「D&Dは老舗じゃったが、もっと精密なホビージャパンや、もっと手軽な文庫スタイルのRPGに客を奪われていったのじゃな」

NOVA『D&Dは中世西洋ファンタジーのガイド本ととらえ、そこから日本らしいファンタジーへのアレンジとして、ロードスやドラクエスレイヤーズなど軽妙な騎士や勇者、魔法戦士の冒険譚(目的は世界の平和を脅かす黒騎士や魔女、魔王や魔族、邪神などを退治する)の伝統が構築され、平成にはそういう和製ファンタジーアニメが拡大再生産されるようになっていた。一方で、ロードスはもう一つの革命を成し遂げます』

ヒノキ「RPGを基にした小説か?」

NOVA『ライトノベルもありますが、ゲームシステムとして「ロードス島戦記コンパニオン」という書籍スタイルでルールを出版したことですね』

NOVA『89年にこういう形で、角川がルールを出したことで、ホビージャパンもボックスではない書籍スタイルの手軽なRPGシステムを出そうって流れになります。そして91年に発売されたのがパワープレイ』

ヒノキ「なるほど。その延長線上にスペオペヒーローズがあるということじゃな」

NOVA『なお、ロードス以前に大型書籍スタイルのRPGといえば、88年に大日本絵画から出たファンタズム・アドベンチャーがあるわけですが、ここからSFだと90年のマルチバースというマイナーな異次元に迷い込んで、帰って来れなくなりそうなので、今回はパスさせてもらいます』

 

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90年代のFEARゲームの話

トーキョーN◎VAの後の話

 

リモートNOVA『ゴブリンスレイヤーの話に寄り道しましたが、改めてFEARゲームの話を続けます』

F.E.A.R. ゲーマーズ・フィールド28th Season Vol.6

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ヒノキ「おお、アリアンロッドの新作サプリが出たんじゃな」

NOVA『夏に紹介したときには、著者欄からきくたけさんの名前が消えて、久保田悠羅さん名義で宣伝されていたのですが、じっさいに発売されると、きくたけ名義が復活してますね』

ヒノキ「ふむ。つまり、きくたけ氏がまだアリアンロッドに関わり続けることを表明した形じゃな」

NOVA『前のサプリのパーフェクト・ワールド・ガイドが2020年でしたから、4年ぶりの新作サプリですね。今度のは、いわゆる神さま本ですが、数ある神々の中にかつてのプレイヤーキャラであるピアニィやベネット、フェルシアなんかが英雄神として設定されているのが面白いと思います』

ヒノキ「おお、プレイヤーキャラが昇格して神になるとは、まさにファンタジーじゃのう」

NOVA『まだ、じっくりチェックできていない新作サプリの話はさておき、現在、TRPG界隈で一番旬なのは、D&D2024のPHB(英語版)発売だと思うのですよ』

ヒノキ「お前さんはどうするのじゃ?」

NOVA『ネットで噂だけ聞きながら、日本語版発売まで待ちます。さすがに何もかも追いかけるほどの金も時間もありませんので』

ヒノキ「では、旬の話題ではなく、今回も懐古話で記事を書こうということじゃな」

NOVA『とりあえず、今回は90年代のFEAR作品について、概要をざっとまとめたいと思います。とは言え、俺は90年代のFEAR作品は、あまり追っかけてなかったのですが』

ヒノキ「まあ、新兄さんの追っかけ第一は、SNEじゃったからのう」

NOVA『FEARに注目が当たるのは、1996年に自社の専門雑誌「ゲーマーズ・フィールド」を立ち上げて、TRPG冬の時代においてサポートが中断された多くのTRPGブランドをバックアップしたことが大きいですね。SNEが富士見書房や角川系列の書籍スタイルを中心に業界トップの地位を占めていたのに対し、FEARはTRPG冬の時代に際して、関東のゲームデザイナーの中心になって、世紀末からゼロ年代TRPG業界を支える柱になったのが大きい』

ヒノキ「SNEが、モンコレなどのTCGに軸足を移し、ゼロ年代は方向性がTRPGからアナログゲーム全般に(欧製ボードゲーム含めて)広げる姿勢を示していたのに対し、FEARさんはTRPGの灯火を愚直に守り続けて、システム面での改革にも大きく貢献しておったからのう」

NOVA『大体、FEARゲーというブランドが確立したのは、ゼロ年代前半だと思います。具体的には、アルシャードからSRS(スタンダードRPGシステム)という動きを生み出して行った辺り』

ヒノキ「FEARの最盛期は、『ナイトウィザード』がアニメ化された2007年の辺りだと思うがのう」

NOVA『歴史を7年周期で見て行くと、1993〜2000年が誕生期、2000〜2007年が発展期、2007〜2014年が絶頂期、2014〜21年が不調期(停滞しつつも業務整理中)、2021以降が新規巻き直し期になるのかなあ、と個人的に考えております』

ヒノキ「SNEはどうなるのじゃ?」

NOVA『87年スタートですから、同じ7年周期で考えるなら、87〜94年が誕生からの発展期、95〜02年がTRPGバブル崩壊期、03〜10年が再生期、10〜17年が第2次発展期、18〜24年が旧作懐古&新展開期だと思います。まあ、あくまでTRPG視点で、モンコレやボードゲーム、マーダーミステリーなどの別ジャンルでは違った見方もできるでしょうが』

ヒノキ「SNEの今は、旧作懐古と新展開の両方ということか?」

NOVA『旧作懐古は主に、ゲームブックのFFシリーズ関連ですね。あと、ソード・ワールドの版上げが大きいし、小説とともにロードスも復活させようとした。一方、新展開はパグマイアとかゴブスレとかになりますか。まあ、新展開のエネルギーは結局、マーダーミステリーに注がれているのが現状ですが、TRPGよりは謎解きストーリーゲーム全般に広げているのがここ数年の流れですね。コロナで停滞していた時期も数年ありましたが』

ヒノキ「ソード・ワールドの新作サプリはどう思う?」

NOVA『ボックスは買ってません。今、気にしてるのは、こちらになりますね』

ヒノキ「夏は蛮族キャンペーンで、秋は奈落キャンペーンが予定されておるのう」

NOVA『蛮族本は、2.0時代の進化系ですが、リプレイが1冊だと物足りないですね。やはり、2.0時代と違って、人的リソースが足りていないのだと思います。ともあれ、俺の10月の再注目は、これになりますが』

ヒノキ「おお、それが噂の追悼本か」

NOVA『懐古本ですし、ゲームブックも収録されているので、うちの記事ネタとしてはもってこいの書籍ですな。以上、前置き終了』

 

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ゴブスレ・イヤーワン(4巻まで)の感想

過去編外伝の総括

 

リモートNOVA『前回は、新刊の購入報告みたいな感じでしたが、あれから読了したので、感想会ですな』

ヒノキ「ふむ。ほぼ2年ぶりの新刊だったので、思うことしきりじゃのう」

NOVA『さて、ゴブスレ本編は、ゴブスレさんと弟子の女神官ちゃんのダブル主人公の趣きが強いですな』

ヒノキ「常識人であり、神に愛された天賦の才を秘め、出自にも王族との絡みで秘密を抱えてそうで、しかも成長する主人公が女神官じゃのう」

NOVA『彼女の出自については、まだ思わせぶりな伏線がいろいろと撒かれているだけで、確定情報ではないわけですが、その謎が明確化すると本編が大きく展開するのは間違いありません。現在、最新巻の16巻でも、王妹の代役を違和感なく務める女神官ちゃんの威厳ある活躍が描かれ、双子説を補強してましたし』

ヒノキ「その謎をどこまで引っ張るかはさておき、最初は未熟だったキャラが試練を経て成長するドラマは、長期シリーズとして読み応えがあるのう」

NOVA『外伝のイヤーワンや、外伝2のダイカタナといった過去編シリーズで、本編の強キャラの未熟時代や過去の歴史的事件が紡がれていくのも俺好みと言えますし、それと本編のリンク具合も味わい深いな、と思えます』

ヒノキ「で、イヤーワンは未熟な少年ゴブスレが5年をかけて、本編1巻の銀等級冒険者に成長して行くかを描いた物語じゃな」

NOVA『ええ。本編の女神官とゴブスレさんは対比的に描かれているわけですが、心が壊れた非常識人であり、天才ではなく努力と経験の積み上げであることを強調しており、出自も王族とは無縁の農家の出であり、本編では(ゴブリン退治限定だけど)ベテラン扱いされるというゴブスレさんがいかに誕生し、熟達するかの過程を丁寧に描いています。今回は、そういう観点でシリーズを振り返ってみようか、と』

 

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久々のゴブスレ新刊

外伝イヤーワンの4巻キター

 

リモートNOVA『ヒノキ姐さん、ゴブスレです』

ヒノキ「開口一番、それかよ?」

NOVA『いやあ、新刊を待ち望んでいたのに、いざ発売されるときに気付かなかったのは盲点でした。発売ギリギリにたまたま知って、ゲットしたばかりの買い立てホヤホヤです。まだ、後書きしか読んでません』

ヒノキ「新兄さんは、先に後書きを読む派なんじゃな」

NOVA『ええ、後書きには作者の近況とか、シリーズ継続への意欲とか、ヤル気が読み取れますからね』

ヒノキ「最近はブレバスばかりで、ゴブスレ新刊がちっとも出ない、と不満だらけじゃったからのう。新兄さんは」

NOVA『いやあ、ブレバスは2022年の年末にスタートして、この2年間で4巻まで出るほど順調に展開しているんですよ。一方で、ゴブスレの方は本編の16巻が22年の7月に、外伝イヤーワンの3巻が同年末に出て以来、まったく音沙汰なしでしたから。もう、作者のゴブスレへの熱気が完全にブレバスの方に奪われてしまっているんじゃないか、と心配してました』

ヒノキ「これが、本編16巻とイヤーワン3巻の感想じゃな」

NOVA『感想というか、イヤーワンの方はただの購入報告ですね。どちらかと言うと、ブレバスやウィザードリィの話と、年末総括が中心でした』

ヒノキ「去年は、アニメの2期の話題が盛り上がっておったのう」

NOVA『それなんですよ。普通、アニメが盛り上がるとなれば、それに合わせる形で小説の新刊も出ると期待するじゃないですか。しかし、待てども待てども出なくて、出たのはゲームとか、CDドラマ付きの旧巻復刻版と、コミックのみ。作者はそれらで忙しいから、ゴブスレ小説の方はお休みか? 残念、と思っていたんですね』

ヒノキ「しかし、今回ようやく出た。望みがかなって良かったではないか」

NOVA『まあ、それはそうなんですけど、実は作者の方も「ようやく出たか(ホッ)」という心情が、後書きで分かりました』

ヒノキ「どういうことじゃ?」

NOVA『何でも、このイヤーワン4巻の原稿を作者が出版社に送ったのは、アニメやゲームの仕事で忙しくなる前だったそうなんです。つまり、遅くても、去年の夏までには書き上がっていたと推測されます』

ヒノキ「それが何故、今頃になって出版なんじゃ?」

NOVA『出版社のマーケティング事情とか、出版スケジュールの問題とかで、遅れに遅れたようです。後書きを読む限りは、作者がサボったとか、やる気がないと言ったことはなさそうで安心しました。何しろ、今年はTRPG版の作者の方が亡くなって、このリプレイの続きが読めなくなったりもしましたからね』

ヒノキ「TRPG展開が実質的に終わったようなものじゃからのう。小説の方も展開が続かないとなれば、追っかけてるファンとして不安がるのも無理はない」

NOVA『まあ、イヤーワンのコミックは、最新刊が3月に出ていて、どうやら今回の小説4巻の内容は先行して描かれていたらしいんですな。俺、コミックは追っかけてないので、今、初めて気づきました』

ヒノキ「すると、作者が先に仕上げた小説原稿を元に、コミック版を先に製作・出版しておいて、それから小説の方を後から出すというマーケティング戦術か」

NOVA『メディアミックス作品だと、個々の媒体の販売計画とか複雑な意図があるのでしょうな。ともあれ、これで作者が小説原稿を遅らせている疑惑とか、他の作品で忙しくて、ゴブスレが放置されている疑惑が消えました。悪いのは作者ではなく、出版社のスケジュールの方だということで、せめて1年に1冊ずつは出さないと、作品コンテンツが終わったのでは? と読者に心配させる懸念があるかと』

ヒノキ「ところで、これは?」

NOVA『もう、打ち切り説が堂々と出ちゃってますし、作者の方もXポストで執筆アピールするでもなく、このまま自然消滅しそうな気配ですね。続きが出たら、もちろん喜んで買いますけど、それは思いがけない喜びって奴で、出ることをずっと待ち続けるつもりもないかな。過去の思い出に留めておきます』

ヒノキ「せめて、TRPG展開が続けばいいのじゃがな」

NOVA『だから、それも作者さんが(涙目)』

ヒノキ「まあ、その件は来月発売の雑誌で追悼するとしよう」

(当記事 完)