昨年のレンジャー話を受けて
リモートNOVA『ヒノキ姐さん、おめでとうございます』
ヒノキ「おお、新兄さん、おめでとう。先日、アッキーに空想タイムの主の座を譲ったそうではないか」
NOVA『ええ。しかし、メガネンジャーの司令の座までは譲ってませんよ』
ヒノキ「そのまま新兄さんが消える訳ではないということじゃな。それを聞いて安心した。で、今日は何用じゃ?」
NOVA『ええ。D&D話ですけど、昨年末にレンジャー話を終えたので、次の話題を考えようと思いまして』
ヒノキ「確か、こちらの記事でこれまでの経緯を語っておるのう」
ヒノキ「レンジャーとバーバリアンを語ったから、これで一切語っていないのは、ソーサラーだけということにならんか?」
NOVA『いえ、実は新5版や旧5版のサプリメントのサブクラスで語っているのが、ファイター、ローグ、アーティフィサーだけで、パラディンやモンク、バード、ウォーロック、ドルイドは語ったと言っても、PHBの範囲だけ。そこでこれらの中途半端なものを先に、簡単に処理しておこうと思いました』
ヒノキ「どれだけ時間が掛かりそうじゃ?」
NOVA『一職一記事を想定していますが、俺一人では手に余りますので、コンパーニュの面々の手を借りたい。俺とヒノキ姐さん、そして三獣士の5人で一職ずつ片付ければ、何とかなるはず』
ヒノキ「うむ、5記事じゃな。それでウルトロピカルに勝てるなら、望むところじゃ。で、誰が何を担当する?」
NOVA『ゲンさんがモンク、シロ君がバード、ジュニア君がパラディン、ヒノキ姐さんがドルイド、俺がウォーロックでいかがでしょうか?』
ヒノキ「ふむ。ゲンブはマッスルG太郎でグラップラー経験者じゃからモンク。シロは魔法の使える盗賊でバード、ジュニアはプリースト魔法の使える戦士でパラディンという考えじゃな」
NOVA『さすがは、ヒノキ姐さん。的確な読みです』
ヒノキ「わらわとお主の仲じゃからな。それぐらい読めずして、どうする? お前さんの気まぐれな行動を読むのは難儀じゃが、理性的な判断をしているなら読むのは容易い」
NOVA『で、今回は言い出しっぺの俺がウォーロックを語ります』
ヒノキ「今月末の雑誌の表紙絵はまだのようじゃのう」
NOVA『画像が出たら、また知らせます。で、D&D伝統の魔法ルールですと、いわゆる魔法使い系と僧侶(神官)系に分かれて、前者を秘術系(アーケイン)、後者を信仰系(ディヴァイン)、そして新5版でPHBに採用された超能力系(サイオニクス)の3体系に大きく分けられます』
ヒノキ「超能力はオプションルールであったため、基本は秘術と信仰の2体系と考えると良いな」
NOVA『で、秘術系の魔法使いは「呪文書(グリモア)」を研究して魔法を習得する知性派キャラが当然だったのですが、3版から「いや、魔法使いの皆がみな、頭でっかちに勉強しなくてもいいんじゃない? バカでも魔法を使えるっしょ」と考える派閥ができたわけですよ』
ヒノキ「おバカな魔法使いか。知識はあっても判断力(知恵)がないとか、その類か?」
NOVA『いえ、書痴じゃない魔法使いがD&D以外では普通なのが世紀末から21世紀の風潮なんですよ。例えば、「スレイヤーズ!」のリナ・インバースが呪文書を読んで、コツコツ勉強している光景が思い浮かびますか?』
ヒノキ「わらわは知ったうえで、思い浮かばんと言えるが、例が古すぎて多くの読者には『知らないから思い浮かばん』と言う者も多かろう。もっと若い子にも分かる例は挙げられんか?」
NOVA『ならば、魔法少女の例として、プリキュアを挙げておきましょう。プリキュアの中には確かに知性派キャラもいますが、プリキュアの力は勉強で習得したものではない。基本的に、妖精との契約で会得したものです』
ヒノキ「プリキュアの力は、秘術系というよりも、信仰系ではなかろうか?」
NOVA『まあ、妖精が神に匹敵するシリーズもありますけどね。しかし、神さまにしてはアレな妖精もいるし、妖精は信仰を失って弱体化した神という学説もありますが、プリキュアの多くはD&Dのルール的に当てはめるなら、ドルイドかウォーロックに該当すると考えられるのですよ』
ヒノキ「ああ。ウォーロックは外部の存在との契約によって魔法を使うクラスじゃったな。その外部の存在が神で、信仰を旨とするのがクレリックなどのプリースト。悪魔とか妖精とか神とは別種の存在と契約して、秘術魔法を使うのがウォーロックという分け方か」
NOVA『とにかく、勉強しなくても偉大な力を持つ何かと契約して、魔法を使えるようになったのがウォーロック。多くの魔法少女はウィザードではなく、ウォーロックと解釈するのが今のD&Dですね』
ヒノキ「それなら、バカでも魔法使いになれるわけじゃな」
NOVA『ええ。ウォーロックに大切なのは【知力】ではなく【魅力】です。契約相手との交渉能力や寵愛を受けるのが大事ということですね』
ヒノキ「まあ、魔法少女にとって大事なのも、頭の良さよりも可愛さじゃからのう。【魅力】の欠ける魔法少女なぞ、存在価値すら疑われよう」
NOVA『それはさておき、戦う魔法少女の走りとも言われるセーラームーンは、実はウォーロックでもない』
ヒノキ「そうなのか? てっきり黒ネコのルナと契約して変身できるようになった、と思うておったが」
NOVA『それはきっかけです。元々は「星の加護を受けた古の戦士の生まれ変わり」という設定です。プリキュアとは少し違っていて、普通の女の子が自分の意思で契約して変身というわけではないのですね。より運命に選ばれた特別な存在なのがセーラー戦士なので、プリキュアは誰でもなれると公式で言われていますが、セーラー戦士には誰でもなれるわけではありません。キュアノヴァは理論上あり得ますが、セーラーノヴァは俺が古の戦士の生まれ変わりでない以上はあり得ません』
ヒノキ「で、セーラー戦士はウォーロックではない。ならば何じゃ?」
NOVA『D&Dのルール的には、天性の魔力を宿した魔法使いがソーサラーに分類されます。そちらも【魅力】で呪文を使いますので、セーラー戦士がソーサラーであっても何の問題もない』
ヒノキ「まとめると、こうなるわけじゃな」
- ウィザード:呪文書で魔法を研究した知性派の魔法使い。D&Dの伝統的な魔法使いと言えば、これ。メイジ、マジックユーザーとも言われる。
- ソーサラー:「竜の血脈」「荒ぶる魔法」など先天的に強い魔力を宿した、天性の魔法使い。魔力の操作のためには、知力ではなく魅力が必要である。D&D3版のPHBで初登場。D&D4版ではPHB2で追加採用されて、5版で基本クラスに復帰。
- ウォーロック:「外部の偉大な存在」との契約によって、秘術を扱えるようになった魔法使い。魔力の操作のためには、知力ではなく魅力が必要である。D&D3版のサプリメント『秘術大全』で基本クラスとして初登場。その後、D&D4版のPHBでコアクラスに昇格し、5版でも引き続き基本クラスとなる。
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