花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク3(2版)

ゼロ年代の復活ウォーハンマー

 

ヒノキ「前回は、我がコンパーニュの三獣士の先鋒であるセイリュウ・ジュニアと、花粉症ガール2号のアッキーこと粉杉晶華が、ウォーハンマー初版で対決し、『酔っ払いアル中エルフ』という色物キャラを生み出したアッキーが勝ちを収めた」

NOVA「アル中になるという5%の確率で、まさかキレイに02を出すとは、素晴らしいダイス芸だ。ふつうは、そんなに上手くは出せないぞ」

晶華「私は、普通じゃない時空魔術師の娘だし。きっと、これも確率を操作する『混沌の渦』の影響ね」

NOVA「『混沌の渦』だろうが何だろうが、楽しませてくれるなら何でもいい。では、次に翔花とシロ君の番だ。準備はいいか?」

翔花「う〜ん、アキちゃんほど上手くはできないと思うんだけど……」

シロ「大丈夫だ、翔花。困ったときは、ボクがサポートするから」

翔花「うん、そうね。シロちゃんがいっしょなら百人力よ」

シロ「翔花がそう言ってくれると、ボクも心がハピネス満開だ❤️」

 

NOVA「(小声で)ヒノキ姐さん、どう思いますか?」

ヒノキ「まあ、これも若さじゃろう」

NOVA「俺、ラブコメって苦手なんですよね」

ヒノキ「しかし、趣味愛を語るのは好きじゃろう」

NOVA「とにかく、翔花とシロ君はガイア様から認められた巫女と皇子のパートナーって話なんですが、2人の関係性ってあっさり引っ付けてよろしいものですかね?」

ヒノキ「それは当人同士で決めれば良かろう。保護者が口を挟むものではない」

NOVA「いや、保護者だからこそ、口を挟むべきものでは?」

ヒノキ「まあ、今はなかよしの関係で微笑ましく見ておればいい。互いにいたわり合う心で成長できればよかろう。これが恋愛脳がこじれて駆け引き云々と手管を弄するようになれば、不純にもなろうが、ガイア様に認められた巫女なれば、そうそう過ちを犯すこともあるまい。粉っちゃんは純粋じゃ。シロは……揺れ惑う時もあろうがの」

NOVA「シロ君が? どういう風に?」

ヒノキ「今は、そういう話をしている場合じゃない。それよりウォーハンマーじゃろ?」

NOVA「実のところ、俺、ウォーハンマーの第2版って、そんなに愛着がなかったんですね」

ヒノキ「今さら何を言う?」

NOVA「これってルールブックが出たのが2006年の年末なんですが、俺、その時期、事故で足の骨を骨折して入院していたんです。だから、いつ買ったんだろうかって疑問に思ったんですが、たぶん、歩けるようになって久々にゲームショップに行ったら、そこで見つけて、懐かしい気分に駆られて衝動的に買った……のはいいものの、当時は務めていた塾を辞めて、その後、夏に自分の教室を立ち上げるに至った時期だから、収入が不安定で先行きが見えず、その後のサプリメントまで追いかける余裕はなかった。まあ、D&D4版と同じような形ですな」

ヒノキ「それが何故、今になって?」

NOVA「D&D5版が出てから、4版をもう一度勉強し直したのと同じで、ウォーハンマー4版が出てから改めて2版を勉強し直した形なんです。で、2版が初版を整理し直した作品として理解。まあ、初版から削られた部分とか、膨らませた部分とか、4版で復活した要素とか、版上げによる諸々の変化を確認した次第です。2版は、サプリがいろいろ出たのですが、当時のサポート雑誌『GAME JAPAN』を俺が読んでいなかったし、連載リプレイも単行本になってなかったので、TRPGは文庫リプレイメインで追っかけていた当時の自分にとって、ウォーハンマーの動向が見えていなかったわけです」

ヒノキ「なるほどな。しかし、ルールブックさえあれば、キャラ作りには支障あるまい。過去の経緯よりも、今を楽しめるなら、ルールブックだけでも買った自分を誇らしく思うんじゃな」

NOVA「プレイする当てもないのに、何だかルールを買いたくなるコレクター気質ですからな。それでも、ブログ記事にできるなら、無駄な買い物だったと思わずに済むわけで」

ヒノキ「後は、この記事が無駄な記事と思わなければ良いな」

NOVA「そうならないよう、翔花とシロ君が楽しいキャラ作りをするよう、見守りましょう」

 

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ウォーハンマー・キャラメイク2(初版その2)

90年代のウォーハンマー周辺の思い出

 

晶華「1991年に彗星のごとく登場して、出版元の社会思想社さんが92年から93年に経営不振から、ゲームブックRPGのサポートから撤退したために、ファンから惜しまれながら展開終了したウォーハンマー初版です」

NOVA「まあ、AFF『タイタンふたたび』のGM山本弘さんから受け継いだ友野詳さんが、続いてウォーハンマーGMを務めて人気を獲得した実績もあって、氏の代表作GURPSリプレイから始まった『ルナル・サーガ』の立ち上げにもつながる土台となったわけで」

ヒノキ「社会思想社が展開したT&Tは、その後、角川がハイパーT&Tとして商品展開を続けたが、ウォーハンマーまでは引き継がず、次に復活するのは世紀明けの話になるからのう」

NOVA「当時の友野さんの速筆ぶりはファンの間で非常に有名で、月刊・友野詳とも呼ばれるぐらい次から次へと作品を発表して行った。91年から92年は『ウォーハンマー』と『ルナル』を同時並行でリプレイ展開していた時期もあり、さらに山本さんと2人で『妖魔夜行』を立ち上げたり、SNEの柱の一つに登り詰める勢いがあったんだな」

ヒノキ「今は何をしておるのじゃ?」

NOVA「マーダーミステリーとか、雑誌編集とか、諸々ですな」

GMウォーロック VOL.13

NOVA「あと、今月の13号には間に合いませんでしたが、7月発売予定の14号で、山本弘さんの追悼特集をやるそうです。山本さんのSNE時代の作品の懐古記事とか、その功績を讃える号になる予定だそうで」

ヒノキ「社会思想社の旧ウォーロック誌を盛り立てた、お一人じゃからのう」

NOVA「ロードスの初代ディードリット(D&D連載版)のプレイヤーでもありますね。まあ、連載時のセッションは4回(1回のセッションを2話に分けて記事にしたので記事数は8回だけど)だけで、以降のディードリットのプレイヤー(ロードスRPG版)は別の女性が担当したわけで。山本さんは『自分は数回ディードリットをプレイしただけだ』とおっしゃって、自分とディードのキャラ人気を立て分けていたけど、その数回の印象がイラストの魅力と、ゲームのルールに詳しいクレバーなプレイぶりと相まって、昔からのファンの印象を惹きつけていたわけで」

晶華「そうかあ。ソード・ワールドだけでなく、ロードスにも山本弘さんは関わっていたのね」

NOVA「何だ、お前、知らなかったのか。で、SNE時代に一番、山本さんと仲が良かった後輩社員が友野さんだったと思うので、安田社長もそうだけど、山本さんの逝去の報に一番ショックを受けていたのが友野さんじゃないかなあ、と思う。作品で言うなら、山本さんの直弟子みたいな形で引き継いだり、共同で企画を組み上げたこともある人だからな。14号の山本追悼特集の企画を立てたのも友野さんの意見が大きいだろうし、雑誌が季刊だから3ヶ月後にはなるだろうけど、その間にいろいろと懐かしい作品の話をまとめ上げるんだろうなあ、と思う。一冊丸ごと山本弘特集になっても不思議ではないほどの作品数は残されているけど、まあ、マーダーミステリーも大事だし、全部ではなくても、それなりに多いだろうな、と」

NOVA「現在連載中のこっちのコミックの作者さんも、山本さんのコミックの影響を受けたって語っていたわけだし」

ヒノキ「後はこれじゃな」

NOVA「『ラプラスの魔』は安田社長が立てたゲーム企画を、山本さんにノベライズを任せて、プロ作家デビュー作に至った作品。この時の創作経緯をこの本の中で(現在、読み直してる最中)山本さんは結構、詳細に(デビューのチャンスを与えてくれた社長への感謝とともに)語っておられる」

NOVA「安田社長はSF翻訳家からSF要素の濃いゲーム紹介者の経緯を辿り、一方で山本さんの方はSF作家を目指していたのが、70年代に同人デビューしたものの、その後でスランプに陥って書けなくなっていた頃に、水野良さんらと結成・参加していたゲームサークル・シンタックスエラー(SNEの前身)の縁で、ゲーム紹介の道から商業デビューを果たし、10年経った頃合いにSNEを退社して、改めてSF作家として独立していった形だな。その辺の経緯の自伝小説的な描写も、この本に載っていて、感じ入ったりも」

NOVA「で、山本さん絡みで、SNEネタと言えば、これもあるな」

NOVA「ゴーストハンター第3弾は、作者が違うけど、最初に山本さんが膨らませたキャラクターの続編ストーリーを、原案者の安田社長と後進ゲームデザイナーの秋口さんが書いたもの。で、この『アルケリンガ』というタイトルが、大阪で去年開店したSNEのゲームカフェ/ショップとなっている。間接的に、山本さんの作品との関わりがある店なわけだ」

翔花「人の縁って、いろいろとつながっているのね」

NOVA「俺個人は、80年代から90年代のゲームファンとしての縁だと思うけど、21世紀に入ってネットでの掲示板関係で、いろいろ学ばせてもらった経緯もある。まあ、そこでこっちも若気の至りで、失礼を働いたこともあったわけだが(それでNOVAが山本さんを恨んでいると一時期、変な誤解をした人物も現れたわけだが)、距離を置いたのは執筆活動の邪魔になりたくないためであり、それ以降、山本さんはSF作家として大成されたのだから、こちらとしては(陰ながら応援してたファンの立場で)ニッコリってもんだよ」

ヒノキ「しかし、2018年以降は故人も大変だったようじゃな」

NOVA「いろいろと噂は聞いて心配はしていたんだけど、ブログで書く話題ではないと思った。心配を煽るような記事とか、そもそも心配してますと言うだけでも、気持ちがモヤモヤするだけだし、まあ、こちらとしてはゲームブックとか、過去の思い出で楽しませてくれてありがとうってファンの気持ちを残しておきたいと思った次第だな。SFエンタメ作家の氏に対しては、『作品を楽しませてもらっています』ってのが一番のファン仕草だと思うし、ちょうどFFコレクション復活とかで懐古の時流もあったからな」

 

晶華「で、ウォーハンマーのキャラ作りの話のはずなのに、ずいぶんと違う話に展開したようだけど?」

NOVA「おっと、90年代を思い出すと、ついあれこれつながってしまって……俺の話はここまでだ。邪魔して悪かったな。さあ、キャラ作りを続けてくれ」

 

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ウォーハンマー・キャラメイク(初版)

花粉症ガール来臨

 

POPOPON!

 

翔花「こんにちは〜」

晶華「ここに来るのもお久しぶりね」

NOVA「そんなわけで、娘2人と遊びに来た」

ヒノキ「どういうわけじゃ?」

NOVA「この記事を読めば、分かります」

ヒノキ「リモートではなく、直接遊びに来るなら、先にこっちの都合を確認するのが礼儀じゃろうが!?」

NOVA「いや、まあ、思い立ったが吉日と言うじゃないですか」

ヒノキ「九州は今、地震で大変じゃ」

NOVA「え? そうなんですか?」

ヒノキ「まあ、震源は宮崎じゃから、阿蘇は微震程度じゃがのう。宮崎は震度5弱と聞いておる」

NOVA「先日(4月3日)に台湾沖で揺れたニュースが出てましたが、今度は九州とは」

翔花「やっぱり原因は『混沌の渦』のようね」

NOVA「何でだよ?」

晶華「気づいていないの? 魔法使いが魔法を使うために因果律を操作しようとして《混沌の渦》に接触を重ねると、現実がだんだん不安定になる……ってことがルールブックの169ページに書いてあるわ。これ以上、『混沌の渦』に触れることは危険よ」

NOVA「つまり、時空魔術師にして言霊魔術師の俺が『混沌の渦』のゲームの話をしたら、現実が不安定になって、台湾沖や九州で地震が起こったって言うのか?」

ヒノキ「何と! 諸悪の根源は新兄さんだと言うのか?」

NOVA「言いません。ヒノキ姐さんまで、娘の妄言を真に受けないでください!」

ヒノキ「しかし、お前さんは未来の妄魔時王の疑いが残っておるからのう」

NOVA「その設定、まだ残っていたんですか? とにかく、『混沌の渦』の話をしたら危険なんだったら、もうそのネタは終わりです。今回は『ウォーハンマー』のキャラ作りなんですから」

晶華「そうそう。しっかり勉強して来たんだから、NOVAちゃんのアシスタントガール1号として、先鋒を務めさせてもらうわ。私の相手は誰?」

ジュニア「リウですぅ」

晶華「ああ。最近、リトル君からジュニア君に改名したそうね。翔花2号から太陽サンサンの晶華に改名した、改名先輩の私がウォーハンマー初版でお相手してあげるわ」

ジュニア「アッキーさん、よろしくお願いしますぅ」

シロ「すると、ボクの相手は……」

翔花「よろしくね、シロちゃん」

シロ「喜んで。そうかあ、久々のブログ交流ネタということですね」

NOVA「去年の今ごろはアルシャードだったが、今年は何だかこういうネタになってしまったってことだ」

ゲンブ「なるほど。去年は、我ら三獣士はクロスオーバー企画では蚊帳の外であったが、今年は我らにスポットを当ててのキャラ作り。相変わらず、見事な策でござるな」

NOVA「いや、別に意図したわけじゃないが、春先の花粉脳から勝手にPONと湧いて出たネタだ。まあ、俺もウォーハンマー4版でキャラ作りをするのは、今回が初めてなんだ。よろしくな、ゲンさん」

ゲンブ「うむ、我もマッスル太郎以来のキャラ作りでござる。世紀末に少し齧ったウォーハンマーが令和の時代にどう進化したのか、楽しみにするとしよう」

 

ヒノキ「で、わらわは何をしたらいい?」

NOVA「対戦は、ジュニア君VS晶華、シロ君VS翔花、ゲンさんVS俺の3本勝負。それぞれの版で、キャラ作りを競い合い、より面白いキャラが生まれた方の勝ちとします。で、ヒノキ姐さんは解説および審判役として、どっちのキャラが面白いか俺と相談のうえで、裁定をお願いします」

ヒノキ「どっちのキャラが強いかではなく、面白いかで競うんじゃな。しかし、面白さってものは主観によるじゃろう?」

NOVA「俺とヒノキ姐さんの意見が割れたときは、当の対戦相手以外も票に組み入れるってことで。こっちが3人で、コンパーニュが4人だから足して奇数。例えば、初戦で俺とヒノキ姐さんの意見がぶつかったときは、翔花、シロ君、ゲンさんの3人の票で決定するってことで」

ヒノキ「そうなると、コンパーニュの方が人数が多いから、有利になるじゃろう」

NOVA「まあ、それでもいいですよ。ここのホストはヒノキ姐さんだから、ホスト有利で構いません」

ヒノキ「しかし、なるべく公正な裁定が望まれているってことじゃな。良かろう、その勝負、受けて立とう」

NOVA「では、話がまとまったことで、俺は出番が来るまで、ヒノキ姐さんといっしょに解説役に回ることにします」

 

 こうして、春のウォーハンマー・キャラメイク対決が始まった。

 

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ウォーハンマーの錬金術師と魔法の話

「混沌の渦」から脱却して

 

リモートNOVA『さて、春期の仕事が明けて、時間が取れるようになった年度明けですが、まさか今さら「混沌の渦」で新発見のアハ体験ができるとは思わず。とりあえず、今の「混沌の渦」には、錬金術のルールもサプリメントで実装されているし、乞食コンパニオンでもしかするとストームブリンガーを抜いてナンバー1乞食ゲーの栄誉に輝いたのかもしれないし、ファンタジーRPGサプリも用意されているという理解でいいですね』

ヒノキ「いや、〈ナンバー1乞食ゲー〉というのが栄誉かどうかはともかく、それについて異論はあるぞ」

NOVA『ほう。「混沌の渦」を越える乞食ゲーというのが、どこにあると言うのかな?』

ヒノキ「そりゃあ、物乞い王(ベガー・キング)になれるウォーハンマー4版だって、侮れんじゃろう。やはり、ナンバー1を名乗るからには、乞食の世界で出世するコースが約束されていなければ、ただの底辺ではないかのう?」

NOVA『ああ、言われてみれば、一理あるかも。おまけに「ウォーハンマー」は今の日本でもホビージャパンから邦訳展開が続いて、現役バリバリのシステムであるのに対して、「混沌の渦」はたぶん邦訳されないだろうなあ。同じアリオンゲームズだから、AFF2版のついでにSNEが邦訳する……とも思えないし、それをするぐらいならAFFの宇宙SFサプリ「Steller Adventures」の方を邦訳出版して欲しいのが本音だったり』

ヒノキ「ともあれ、乞食や混沌やAFF2版の話ではなく、今回はウォーハンマー錬金術を語る話じゃろう? せっかく、わらわが本筋に水を向けてやったのに、宇宙SFに寄り道脱線、迷い込んでどうするつもりじゃ?」

NOVA『ああ、そうですね。錬金術がテーマでした。乞食じゃなくて、金に目を向けないと。ただ、今もファンタズム・アドベンチャーとか、ロールマスターについて語りたい自分がいるわけですが、先の課題にして、まずは順番に行きましょう。今回はウォーハンマー、と』

 

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「混沌の渦」のシステム話

背景話に続いて、システム話

 

リモートNOVA『さて、「混沌の渦」のキャラクター作りについて説明します』

ヒノキ「よし、サイコロを用意するぞ」

NOVA『能力値を決めるのに、サイコロは使いません。とりあえず、能力値は以下の9種類』

ヒノキ「多すぎるじゃろう? D&DやT&T、ベーシックRPGなど6種類ぐらいに収まっているものを」

NOVA『まあ、「混沌の渦」は全て能力値判定だけで、処理できるようなシステムですからね。スキルとかHP、MPなんかの副能力を使わないのです。結果的に扱う数値の総数は少ないわけで』

 

  1. 攻撃力:30
  2. 防御力:30
  3. 知識:30
  4. 意志力:30
  5. 体力:30
  6. 説得力:30
  7. 知覚力:30
  8. 速さ:30
  9. 敏捷性(器用度含む):30

 

ヒノキ「全部30じゃと、個性がないではないか?」

NOVA『これに、50ポイントを割り振ります。ただし、1つの能力に割り振れる数字は、最大20まで』

ヒノキ「すると、戦士タイプのキャラを作りたいときは、〈攻撃力〉に20、〈防御力〉と〈体力〉に15を割り振って、50と45が2つにして、後は全部30でも問題ないのじゃな」

NOVA『〈速さ〉にも割り振っておかないと、攻撃の順番が遅いということになりかねませんが、まあ、その辺は自由です』

ヒノキ「何かの能力を下げて、その分を欲しい能力を上げたりできんのか? 戦うキャラを作るのに、〈知識〉や〈説得力〉なぞいらんじゃろう?」

NOVA『一応、上級ルールを使えば、職業ごとに決まっている能力値を増減できます。このゲームの戦士に相当する傭兵なら、D6を振って〈攻撃力〉〈防御力〉〈体力〉〈速さ〉をそれぞれ増やせますが、逆に〈知識〉(2回)と〈意志力〉〈説得力〉を減らさないといけません』

ヒノキ「〈意志力〉の弱い戦士はイヤじゃのう」

NOVA『だったら、最初に〈意志力〉に6点割り振っておくといいでしょうね』

ヒノキ「う〜む、〈意志力〉6で、〈攻撃力〉は増えるのが分かっておるなら15でいいか。〈防御力〉も10にしておいて、〈体力〉は15。これで44じゃから、残り4点を〈速さ〉〈敏捷性〉に2点ずつ割り振るか。で、職業による修正を振って、以下のとおりじゃ」

ヒノキの傭兵キャラ

  1. 攻撃力:46(30+15+1)
  2. 防御力:44(30+10+4)
  3. 知識:25(30−5)
  4. 意志力:34(30+6−2)
  5. 体力:46(30+15+1)
  6. 説得力:29(30−1)
  7. 知覚力:30
  8. 速さ:37(30+2+5)
  9. 敏捷性:32(30+2)

ヒノキ「能力値に自由に振り分ける基本システムに、上級ルールでランダム要素を反映できるのは、数字が多少バラけて楽しいのう。やはり、昔ながらのゲーマーじゃと、能力値決めはダイスを振らないと、味気なさを覚えるわけで」

NOVA『その辺はゲーマーごとの感覚の差もありますな。自分のイメージがダイスを振ることでランダムに崩されるのを嫌う人もいますし、そういう人は上級ルールを使わなければいい。全員が全員、使用を強制されるものでもないでしょうし、ダイスでの能力決めが好きな人だけ使うってのがいいかな、と』

ヒノキ「まあ、ダイス運が悪くて、加点のときに低い出目ばかりで、減点のときに高い出目ばかりが偏ると泣きたくなるが、基本が30%ならD6の偏りぐらい、ちょっとした誤差の範囲内じゃな」

NOVA『おまけに、冒険中に使った能力は、経験ロールで休憩中に上昇する可能性がありますからね。ベーシックRPGだと、技能の成長はセッション終了後に1回ずつしかできないので成長は比較的緩やかですが、「混沌の渦」は何回も成長のチャンスが与えられるので、レフリー次第ですが、割と成長しやすいゲームです』

ヒノキ「このゲームのGMはレフリーというのじゃな」

NOVA『ええ。その辺は「トラベラー」と同じですね』

ヒノキ「ともあれ、能力値の決定は基本の30に、50点を振り分ける。そして、上級ルールを使用した場合は、職業ごとに定められた能力をD6の修正値だけ増減させるのじゃな。修正される能力表を見れば、その職業に必要な能力値も分かるし、振り分けの参考にもなろう。シンプルかつ奥の深いシステムっぽいのう」

 

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米英日のRPG草創期の話(混沌の渦前後)

D&DとRPG黎明期の話

 

リモートNOVA『D&D50周年だが、最近はFFゲームブックをやりながら、イギリスのゲーム事情について考えることが増えた。とりわけ、FFコレクション3の付録冊子の「リビングストンとゲームズワークショップ」でイギリスRPG界の黎明期についての解像度が上がったのが大きい』

ヒノキ「イギリスはアメリカと同じ英語文化圏じゃから、日本と違って言葉の壁はほぼないはず。アメリカで流行したものが、イギリスに入って来るのにそう時間は掛からんじゃろう?」

NOVA『俺も長年そう思って来ました。しかし、70年代から80年代の文化が海を渡る物理障壁は、言葉の問題以外に大きいことが分かったわけですな。今のインターネットで情報が短時間で海を越えて伝わる時代と違って、昭和の文化伝達のタイムラグはそれなりに長かったわけです。たとえアメリカとイギリスの近い間柄であっても』

ヒノキ「で、それと錬金術の話にどうつながるんじゃ?」

NOVA『今回は錬金術テーマじゃなくて、RPGの歴史の話です。まず、ヒノキ姐さんは世界で初めてRPGという言葉を用いたゲームが何か知っていますか?』

ヒノキ「そんなの常識じゃろう? 世界初のRPG、D&Dに決まっておる」

NOVA『実はT&Tということが最近の研究で明らかになったようです』

ヒノキ「何と。D&DよりもT&Tの方が先にRPGという言葉を使ったじゃと?」

NOVA『ついでに、DM(ダンジョンマスター)という用語を、もっと一般的なGMゲームマスター)という用語に置き換えた元祖もT&Tですね。以下はアメリカの70年代の主だったRPG史年表です』

 

・1974:オリジナルD&D(TSR社)誕生

・1975:T&T(フライングバッファロー社)誕生

・1977:トラベラー(GDW社)誕生

    アドバンストD&Dへの展開スタート

    (コアルールは77〜79年に順次発表)

・1978:ルーンクエスト(ケイオシアム社)誕生

 

NOVA『世界にRPGがD&Dしか存在しなかったなら、RPGというジャンル名は必要ないわけです。D&Dに続く世界第2のD&D亜流ゲームであったT&T(トンネルズ&トロールズ)がサポート雑誌上で「D&Dに似た、進行役のマスターと、各自のキャラクターをプレイして冒険するプレイヤー複数の新しい形式のゲームに、RPGロールプレイングゲーム)というジャンル名を新規に当てはめて、その後、他の会社も追随して定着した」らしいです』

ヒノキ「ああ、第1作の『秘密戦隊ゴレンジャー』しか存在しなかったら戦隊シリーズというジャンル名が成立しないのと同じか」

NOVA『戦隊シリーズという呼称については、ジャッカーとバトルフィーバーは戦隊というワードを使っていなくて、現在でいう4作めの「電子戦隊デンジマン」から続く5作めの「太陽戦隊サンバルカン」、6作めの「大戦隊ゴーグルV」にかけてシリーズ呼称が定着していく流れがありますね。その過程にも紆余曲折あったわけですし、他社の「恐竜戦隊コセイドン」や「円盤大戦争バンキッド」、同じ東映だけど原作者が異なる「忍者キャプター」なんかは別シリーズながら、とりわけキャプターが混同されて扱われる時代もあったわけです』

ヒノキ「2作め以降、雨後の筍のように似たような亜流作品が作られて行って、初めてジャンル名が成立するということじゃな」

NOVA『面白いのはT&Tの成立背景ですね。一時期はD&Dのパクリゲーと呼ばれることもありましたが、作者のケン・St・アンドレは、元のD&Dの噂だけ聞いて、実物を持っていなかった(まだD&Dが少数生産で、市場に商品が出回っていなくて入手できなかった)ので、噂を元に自分でD&Dの要素を組み入れた自己流ゲームを作った。だから、アイデアの流用ではあっても、コピーではなくて、システム的にも斬新な要素がいくつもあって、いろいろとD&D以上に先進的とも言えたわけです』

ヒノキ「20面体などの多面体ダイスをいろいろ使うD&Dに比べて、6面体ダイスだけでプレイできるとっつき易さがT&Tの個性じゃのう」

NOVA『D&Dは武器の性能の違いを振るダイスの種類で表していましたが(短刀は4面、メイスは6面、長剣は8面)、T&Tは6面ダイスの数で表すなど、システムの違いを比較するのが楽しいです。まあ、今は展開が止まっていますが』

ヒノキ「出版元のフライングバッファロー社の社長(リック・ルーミス)が亡くなって、版権管理がややこしくなっておるらしいのう。メインデザイナーのケンも今はT&Tを扱えず、代わりにスピンオフ的に切り分けられたサプリメント『モンスター!モンスター!』で新規展開を試みているらしい」

NOVA『そっちはFT書房さんが翻訳出版権を確保して、この夏から新展開するみたいですね。これまではSNEとFT書房が協力してT&T8版(およびT&Tマガジンから発展継承されたウォーロックマガジン)をプッシュして来ましたが、雑誌がGMウォーロックになってから両社のつながりも薄れてきたみたいですし』

ヒノキ「で、新兄さんは去年からFT書房の追っかけも始めるようになった、と」

NOVA『ここからですな』

 

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改めて、錬金術の話

錬金術って何?

 

リモートNOVA『さて、仮面ライダーガッチャードで錬金術というキーワードが出て、普通の魔法使い(仮面ライダーウィザードとか、マジレンジャーとか)と何が違うのか、と考えてみたわけですが』

ヒノキ「わらわには一つの答えがある」

NOVA『へえ、何ですか?』

ヒノキ「魔法使いには呪文というのがあるじゃろう? マジレンジャーだと変身呪文の『マージ・マジ・マジーロ』を代表とする様々な呪文があって、ウィザードでも指輪と連動したベルトが『シャバドゥビタッチヘンシーン♪』と呪文を唱えてくれる」

NOVA『ああ、確かに。マハリク・マハリタ・ヤンパラヤンヤンヤン♪とか、シャランラーとか、マハール・ターマラ・フーランパとか、ピピルマ・ピピルマ・プリリンパとか、パラリル・パラリル・ドリミンパとか、パンプル・ピンプル・パムポップンとか、キュアップ・ラパパとか、魔法と言えば呪文というイメージがありますな』

ヒノキ「ガッチャードには、呪文がない。違うか?」

NOVA『一応、ベルトが「ガッチャンコ〜!」と言って、使用するケミーカードの名前を呼んでくれるんですけど、あまり呪文って感じじゃないですね。あれが呪文なら、仮面ライダーWの「サイクロン! ジョーカー!」って読み上げも呪文になる。変身アイテムの名前や、変身後のフォームの名前の読み上げや、必殺技の叫び音声は呪文ではないとしましょう』

ヒノキ「うむ。それが呪文なら、『ルァイダーーッ変身!』とか『マジーンゴー! パイルダーオーン!』とか『チェーンジ・ゲッター1、スイッチオン!』とかも呪文認定しなければいけないからのう」

NOVA『つまり、魔法の呪文とは、明確に意味の分かる言葉ではなくて、何となく不思議な響きのある音声ってことですね。グランゾートだって、「ドーマ・キサ・ラムーン」と唱えて召喚や魔法技を使ってたし、魔法といえば呪文、錬金術は別に呪文にこだわらないということで問題ないかも』

ヒノキ「どうじゃ、完璧じゃろう」

NOVA『完璧と言われると、例外を探したくなるんですけど。「超合体魔術ロボ ギンガイザー」はあまり魔法の呪文を使ってなかったですけど、あの辺は手品のマジックと超能力とオカルトとを混ぜ放題で、いわゆるファンタジー的な魔法使いのイメージが成立していない時代の産物ですからね』

ヒノキ「魔法といえば、呪文の詠唱が必要で、だからこそ静寂の呪文で音を封じられたり、猿ぐつわを付けられて発声できなかったりすると、魔法が使えない。しかし、錬金術は音声に頼らないので、適切な道具と、それを操作する体の自由があれば、風邪を引いて喉がガラガラで声がまともに出せなくても発動には支障がない、と」

NOVA『それでD&Dでは、魔法の呪文に必要な構成要素として、「音声」「動作」「物質」の3つの条件が設定されているんですな。音声は呪文。動作は様々な身振り手振りですが、最低でも片手の動きが制限されていなければいい』

ヒノキ「つまり、両手に何かを持っていると、動作要素の必要な呪文は使えないということじゃな」

NOVA『武器と盾を装備した魔法戦士は、一時的に武器か盾を落とすか収納するかを考えないといけない。まあ、両手持ちの杖だと、一時的に片手で保持すればいいのでしょうけど』

ヒノキ「呪文の中には、音声や動作を必要としないものもある?」

NOVA『音声を必要としない呪文は、非常に稀なんですけど、ウィザードやウォーロック、バードが使えるレベル1幻術呪文《イリューソリィ・スクリプト》がありますね。「幻の文」と訳されるんですけど、紙に暗号のメッセージを書いて、術者自身と指定された者だけが読めるメモを記す呪文です。秘密の日記やパスワードを記録しておくのに重宝しますね。もちろん、紙に記述する動作と、紙以外に鉛を含んだ特製インクが必要なんですけど』

ヒノキ「物質要素のルールは、クラシックD&Dにはなかったのう」

NOVA『AD&Dで実装されていて、小説の「ドラゴンランス」では魔法使いのレイストリンが《スリープ》の呪文を発動する際に、「少量の細かい砂」をサラサラと流していました。他に「バラの花びら」「コオロギ1匹」で代用できますな』

ヒノキ「物質要素は、それが必要な各呪文ごとに設定されているのじゃな」

NOVA『ええ、D&Dの呪文リストは、このマテコンのルールが圧巻だと思ってます』

ヒノキ「マテコン?」

NOVA『マテリアル・コンポーネントの略。それを訳したのが物質要素ですけど、この呪文に必要なマテコンが不足しているので、どこかで入手しないと……ってシーンが演出できます。《ファイアーボール》が撃ちたいけど、「コウモリの糞化石と硫黄」を混ぜた材料を用意しておかないといけないとか……』

ヒノキ「面倒すぎるじゃろう、それは?」

NOVA『AD&Dではあくまで選択ルールだったんですけどね。ただ、呪文を使うのに必要なアイテムを前もって準備するってのは、魔法使いが冒険に出る目的として面白いですね。まあ、そういうマテコンを売ってる魔法屋って店を設定したり、制限があるからこそ広がるファンタジー世界の感覚というのもあります。ただ、そういうのを煩わしいと感じるゲーマーのために、基本ルールとして「物質要素の代わりに、魔法使いは呪文構成要素ポーチまたは呪文発動の焦点具で代用できる」というのがあります』

ヒノキ「呪文構成要素ポーチ? 呪文発動の焦点具?」

NOVA『まるで、D&D素人のような反応ですな』

ヒノキ「もちろん知っておる。知っておるのじゃが、この記事を読むD&D初心の読者さんの代わりに問いかけておるのじゃ」

NOVA『そんな初心者さんがこの記事を読んでいるかは知りませんが、魔法使いの初歩として語ってあげましょう。呪文構成要素ポーチとは、分かりやすく言うなら、ドラえもんの4次元ポケットみたいに「呪文に必要な素材が全部入ってる便利袋」です。金貨25枚で買えて、重さはたったの2ポンド(約900g)』

ヒノキ「すると、その2ポンドの中に、《スリープ》用の砂とか、《ファイアーボール》用のコウモリの糞化石とか、いろいろ入っているのじゃな」

NOVA『ええ。どういう仕組みかよく分からないですけど、ポーチの内部はいくつもの小さな仕切りに分かれていて、呪文発動に必要な材料がきちんと区分け整理されていて、いつでも取り出せる形で収納されているそうです。もしかすると、そのポーチの製造方法こそが最大の魔法かもしれません』

ヒノキ「しかし、呪文の物質要素以外のアイテムを収納することはできない、と」

NOVA『その辺は、ゲームのための単機能型便利アイテムってことですね。何でも取り出すことはできるけど、冒険中に入手したアイテムを何でも入れることはできない、と。なお、マテコンの中には「鉛入り特製インク(金貨10枚)」と必要経費が記されている物もあるのですけど、それは別途お金を払って入手しないといけません。ポーチに入っているのは、必要経費のかからない(設定されていない)物だけです』

 

ヒノキ「発動焦点具は普通に分かるぞ。ソード・ワールドでもあったからのう。魔法使いは呪文を使うのに杖や指輪が必要で、聖職者は聖印が必要ということじゃろう」

NOVA『ええ、そうです。魔法使いは杖の他にオーブ(宝珠)、クリスタル(結晶)などを焦点具として同調しておけば、物質要素がなくても呪文が使えます。この辺は術者やDMの演出次第ですが、例えば杖で《スリープ》を使うと、杖の中から砂の幻が浮かび上がったりして、物質要素の成分を魔法的に再現してくれるのではないでしょうか。

『まあ、普通の魔法使いは結局、焦点具を携帯していますので、物質要素について考えるのは、昔ながらのこだわり派か、それともDMが物語の流れで魔法使いから杖を取り上げて、「杖を取り戻すまでは、物質要素なしの呪文しか使えないとか、途中で砂を集めたりして物質要素を補充すればOKとか、そういうシナリオを用意されたとき」ぐらいかな』

ヒノキ「で、魔法使いの呪文の話ばかりで、ちっとも錬金術の話に入らんのじゃが?」

NOVA『いやあ、このマテコンの話こそが、錬金術っぽい要素じゃないですか。チチンプイプイ的に呪文を唱えて、不思議な力が生じるのではなく、もっと物質的な素材を調合したり、変成したりすることが錬金術の基本だと思います。つまり、マテコンを掘り下げることが、D&Dにおける錬金術師の入り口だという主張です』

 

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