花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク10(4版その4)

勇気が俺を呼んでいる

 

NOVA「それなりに長かったウォーハンマー・キャラメイク大会だったが、今回で終わらせなければいけなくなった」

晶華「ねえねえ、NOVAちゃん」

NOVA「何だ?」

晶華「これ、私たち年少組で作った嘆願書。せっかく作ったキャラクターで冒険の旅に出たいなって」

NOVA「晶華。お前は自分が何を言ってるのか分かっているのか? そんなこと有り得ないだろう?」

晶華「有り得ないって?」

NOVA「お前のカリーナと、リウ君のジンは初版。翔花のディアと、シロ君のグスタフは2版。ゲンさんのエリオンと、俺の今回完成予定のオッサムは4版。ゲームシステムが違うのに、いっしょに混ぜて遊べるわけがないだろう」

晶華「同じウォーハンマーなんだから、何とかなるって。%ダイスを振って、能力以下の出目を出せばいいんだから、細かいルールの違いはあっても、本質は変わりないでしょう? 無印ソード・ワールドと、2.0以降は世界まで違っているから無理なのは分かる。でも、ウォーハンマーは版が変わっても、同じオールドワールドのエンパイアが舞台である以上は、混ぜて遊ぶのも支障ない。私たちはソード・ワールド2.5のシステムで、2.0のシナリオをやって、いろいろ混ぜて遊んでいるんだから、できないことはないはず。違う?」

NOVA「説得力があるようで、ないな。お前の言い分は、クラシックD&Dと、AD&D2版と、D&D3版と、4版と、5版が同じD20を振るシステムだから、混ぜて遊べると言っているに等しい。D&Dに詳しい人間なら、そんなの無理と言うはずだ」

晶華「やりもしないで諦めるなんて、勇気が足りないと思わない?」

NOVA「そう、その勇気なんだ。勇気が俺を呼んでいるから、早く帰らないといけないんだ。昨日、スパロボDDにブレイバーンが時空転移でやって来たんだからな」

NOVA「大体、ドンブラ映画とゴジラのために、今週中にケリをつけないといけないのは最初からの予定どおりじゃないか。キャラメイクの後でオールドワールドへの冒険に出たら、いろいろな物を犠牲にしなければいけない。スケジュールを乱すような無理は言わないでくれ」

晶華「ううっ、NOVAちゃんの意地悪。クスン(涙目)」

NOVA「意地悪って言われてもなあ。ヒノキ姐さん、何とか言ってやって下さい」

ヒノキ「どうして、わらわに振る? ここはこう言ってやればいいではないか。『今は無理でも、時間を作って何とかする』と」

NOVA「そんな空約束は、迂闊にできませんよ。こっちがやりたいことならともかく、キャラ作りだけで終わる予定のお遊びに、それ以上の余分な時間を費やすほど酔狂な自分は……下手にいるだけに厄介だな。ウォーハンマーの初版と2版と4版を混ぜる遊びは、公式が絶対に推奨しないだろうし、たぶん他にやった人は誰もいない前代未聞、前後不覚のネタだ』って。まともなウォーハンマーファンなら誰もやらない、混沌に取り憑かれて狂気を発症したような企画案だって。そうすると、それを実践してみたらオンリーワンに輝けるのではないか、と悪魔の囁きが聞こえるのです」

ヒノキ「それは妄魔時王の誘惑じゃな。あるいは、ゴブスレ世界の覚知神。オンリーワンは間違いないかもしれぬが、輝くことはなかろうて。せいぜい、バカだなと軽くあしらわれて終わる程度かと」

NOVA「いやあ、TRPG業界ではバカって名誉称号の一つなんですよ。少なくとも、俺の師の一人である友野さんはそう語って(騙って)おりました」

バカバカRPGをかたる (Role&Roll Books)

ヒノキ「師の一人……って何人ぐらい師がいるんじゃ?」

NOVA「『我以外みな我が師』って言ったのは誰かなあ? 確か、作家の吉川英治氏が『宮本武蔵』に言わせた言葉だと記憶しますが、とにかく自分より優れた何かを持つ者からいろいろ学んで己を磨く糧にする心構えですな。まあ、向こうがこちらを弟子と思っていることはないと思いますが、友野さんもいろいろな人にいろいろと語って(騙って)おりますので、俺が数多い師の一人として崇め立ててもいいでしょう。さもないと、俺もここまでウォーハンマー好きにはなっていなかったかもしれませんし」

ヒノキ「まあ、日本でウォーハンマーの話題を出すには、友野リプレイも重要なガイドブックであることは間違いないか」

NOVA「で、そんな友野さんも、もしウォーハンマー初版と2版と4版を混ぜるのはどうか? と尋ねられたら、バカだなあ(笑)とおっしゃるはず。つまりは、褒め言葉です」

ヒノキ「おい(苦笑)」

NOVA「だから、ヒノキ姐さん、GMをお願いします」

ヒノキ「おいおい。どうして、わらわがそんなバカな企画に乗らないといけないのじゃ?」

NOVA「だって、俺はこれからキャラを完成させますからね。この中で、キャラを作っていないのはヒノキ姐さんのみ。だったら、ヒノキ姐さんがGMをしてくれると、6人のキャラを無駄なく使うことができるというもの。道理ですな」

ヒノキ「そんな、無理矢理な道理があってたまるか!」

NOVA「では、俺はハーフリングのオッサムを完成させますので。ブレイバーンが俺を呼んでいる」

ヒノキ「人の話をちゃんと聞けえ。身勝手に、面倒な役割を押し付けるなあ」

 

ハーフリングの技能と異能

 

ゲンブ「アリナ様にGM役を押しつけて大丈夫でござるか」

NOVA「どうせ書くのは俺だから(結果的に俺の負担が増えるだけだから)、問題ない。一応、俺がヒノキ姐さんの立場なら断るネタだが、ヒノキ姐さんがどう対応するかは、ヒノキ姐さん次第だと思う。きちんとキャラ立ちした登場人物の行動は作者でさえ抑えられないのは、うちの娘たちを見ていたら分かるだろう?」

ゲンブ「う〜む、新星どのはこのブログの作者でもあるが、我らの行動は我らの意思で自発的に動いているでござるからな」

NOVA「そう。俺はヒノキ姐さんやゲンさんたちの役回りや立ち位置、話し口調なんかは設定しているが、後の言動は意図的に操作していない。自分(NOVA)以外は、割とプロットなしに好き勝手に喋らせている創作手法でブログを書いているから、ほぼアドリブ雑談で記事にしているわけだ」

ゲンブ「もちろん、記事書きの前にテーマは考えているのでござろう?」

NOVA「大まかには、こういうネタで書こうとは思っているし、こういうネタなら誰と誰で会話させると面白くなりそう、という役回り程度はイメージしているけど、書いているうちにキャラの思わぬ発言(たぶん俺の中の無意識な想いに影響されたもの)が飛び出して、書きたい方向から逸れることは日常茶飯事だ(俺にとっては、それも面白いと感じる)」

ゲンブ「だから、妄想リプレイなんてやり取りが成立するのでござるな」

NOVA「この場合、問題になるのは、『GMはシナリオの内容を知っている』『プレイヤーは知らない』という知識の差をどう料理するかだな。その場合、『プレイヤーはこの情報を知らないはずだから、こういう風に行動することは思いつかないはず。だけど、シナリオ展開上、そういう行動をとって欲しいときは、GMがヒントを出したりして誘導する』って感じで、ストーリーを操作することはしている。というか、実際のゲームでもGMは普通にそうしているから、違和感はあまりないと思う」

ゲンブ「プレイヤーの知識と、GMの知識の差をしっかり脳内で区別しているから、できる手法でござるな。そういう立て分けが脳内でできないなら、一人で何役もキャラを書き分けることは難しいはず」

NOVA「それはゲームのリプレイに限らず、小説を書いている人間でもそうだろうさ。キャラに見えているものや、その心理状態なんかをある程度、区別して脳内シミュレートできないと、会話が不自然になるし、作者の操り人形として優等生的に物語を進めるコマにしかならない。ましてや、キャラの葛藤をどういうきっかけで立ち直らせるかが(ドラマで重要な部分)、キャラの心理の見えていない素人作家の場合は、ご都合主義かステロタイプになりがちで、自分が知っている物語の二番煎じなセリフを弄り回すしかできないわけだ」

ゲンブ「複数のキャラがいても、頭の中身が同じで、見えているものも同じ、それぞれの立場での意見表明と、意見が対立した際の議論にどう折り合いを付けるかのスタイルもそれぞれ違うのに、うまく書き分けられない作家が、なろう系では見受けられるでござる」

NOVA「で、なろう系は一人称小説が多く、議論を描く場合は、主人公と敵役の二項対立になりやすい。そして主人公が現代の標準日本的な常識人(想定読者層のオタク要素が多少は混じっても可)で、相手が愚かか、非道徳的な論破されやすい主張しかしないと、読者の目から見て、あっさり主人公が勝てる。

「まあ、それだと物語としてつまらないので、敵役は権力とか暴力を武器にして、簡単には議論の場に臨まないような仕掛けを用意する。それを、より強い権力や暴力で粉砕すると、昔ながらの勧善懲悪構造になるので、それでは小説としてつまらない(30分ものの特撮ヒーロー物やアニメなら時間もないので、それぐらい分かりやすいのが無難なんだが)」

ゲンブ「権力や暴力で自分の身を守る敵役に対して、いきなり相手の土俵に乗らずに、陰謀や計略をもってして相手の得意な技を封じてしまうのが、小説や連続ドラマのよくある構図でござるな」

NOVA「主人公が勝てるフィールド(あるいは状況)に持ち込むために、どういう過程を辿るかが物語づくりのコツというもので、そのプロットをしっかり立てるのが作家の頭の良さの示し方だな。蘊蓄はただの調味料で物語の根幹ではない(その蘊蓄の中に、事件の攻略のヒントが紛れ込んでいると上手いと思うが)。

「一方、コミックや映像作品は、物語のプロットが多少稚拙でも、ヴィジュアル含む演技や演出で立派にカバーできるので、勢いに乗せれば多少バカなストーリーでも成立するんだけど(ストーリーは単純な怪物退治でも、怪物の造形や能力演出が怖いので、怯える主人公が勇気を奮い起こして逆転勝利するだけの話でも十分感情移入できるとか、その作品に合わせた趣向はあって研究し甲斐がある)、同じ内容を文章化すると、下手なノベライズでは駄作にしかならない」

ゲンブ「演出で盛り上げるタイプのストーリーをそのまま文章化しても、元の作品を知ってて脳内補完できる人間ならともかく、初見の読者には感情移入できない、と」

NOVA「映像演出並みの筆力で文章表現できて、優れた描写を読ませるタイプの作家なら別だけど、ほとんどのラノベはそうじゃないからな。あるいは、ノベライズの場合は、元の映像作品やコミックのキャラの内面心理をどこまで掘り下げたり、元映像では分からない背景の経緯をどう補うかにも作家性が現れるが、その掘り下げ方が秀逸な場合、原作アニメよりも面白いノベライズが誕生するし、解釈違いで本編映像と違和感が発生することもある。

「まあ、独自設定が強すぎて、もはや別物って作品もあり得るわけで、これはノベライズに限らず、原作ものをドラマやアニメにしても生じる問題だな。脚本家が原作のどの要素を取捨選択するか、原作を読み込みながら、その面白さを再現するために四苦八苦した演出を示し得るか(まあ、演出は脚本家ではなく監督や絵コンテの領域だが、脚本家が指定するケースも)、あるいは原作からキャラの名前や設定だけ借りて、その主義主張なんかは似て非なる単純化されたものに改変されて、原作のエッセンスが十分咀嚼されていないと批判されるかはいろいろだな」

ゲンブ「複数のクリエイターが関わる作品の場合、互いの主張を尊重できる関係が構築できれば良し、そこでコミュニケーションに不和が生じると、あれこれ問題が生じるものでござるな」

NOVA「複数の人間が関わると、現場の会議などで決定するまでの紛糾があったり、意見が噛み合わずに真っ直ぐ話が進まなかったり、小説媒体で描くにはダラダラつまらないシーンが多いからな。そういう『何も決まらない平行線的な会議』はラノベなんかでは無能の象徴として扱われがちだが、それこそ世界のリアルでもあるし、そこに主人公が会議に乗り込んで、状況打開の方策を示すと輝くシーンにもなる。具体的には、ゴブスレや指輪物語などの御前会議に該当シーンがある」

ゲンブ「その例に集まった諸侯は決して無能ってわけではないが、それぞれの立場で容易に動けない状況もあり、また主人公の決意というのが賢明な人間にはバカに思える命懸けの起死回生策でござるからな」

NOVA「だからこそ、身分は低く侮られがちな辺境の冒険者ホビットが英雄に上り詰める名シーンなわけだよ。名もない素朴な者が世界を救う的なストーリーは大いなる感動を生む。で、俺が何でこういう話をしているか、と言うと……何でだろう?」

ゲンブ「話の方向を考えていなかったでござるか!?」

NOVA「考えていた。考えていたさ。しかし、夢中になって話しているうちに、自分の脳内プロットをうっかり忘れてしまった。それこそリアルだ」

ゲンブ「複数の人間が話すと、脈絡を見失うこともリアル。それでは物語として、あまりにダラダラし過ぎるので、推敲時に削り落としながら必要な要素だけに切り詰める。しかし、切り詰めすぎると、物事があまりに理路整然と進み過ぎるので(論文や解説文だとそういう手際良さが求められる)、多少の紆余曲折を交えながら、葛藤と決断に至るまで適度にバランスよく、テンポよく進める。おおよそ、こんな形の話をしたかったのではござらぬか?」

NOVA「おお、ゲンさん、上手くまとめてくれた。リアルの冗長さと、物語としての歯切れの良さ、その両方のバランスをどの辺に置くかが大事って話だ。冗長性がなさ過ぎると、機械みたいに作られた人物と物語になる一方で、意味のない冗長さが過ぎると、話が進まない。

「まあ、冗長だけど蘊蓄が面白いタイプの作家もいるし(京極夏彦とか西尾維新とかそのタイプ。映像化されると、その冗長な部分はたいてい削られる)、冗長なだけでつまらない作家はたいてい売れない。でも、冗長だと思っていたら、実は伏線だったので、後から再読して伏線探しをしたくなる作家もミステリーにはちらほらと。まあ、冗長な描写がストーリーや作品世界の雰囲気を構築するケースも多いので(スティーブン・キングはそう)、冗長さこそが作家の個性を示すと見なすことも可能」

ゲンブ「冗長とは、本筋から外れた遊びの部分で、無駄を省きすぎて、すっきりキレイにまとまっているから面白い……ということもないのでござるな」

NOVA「冗長な部分が何一つないと、味気ないんだな。ストーリー展開上は冗長なシーンが、魅力的なキャラ立てになっていたり、雰囲気作りとか伏線とかに絡められたり、作者のユーモアで雰囲気を和ませたりできるといい。だけど、下手な作者の冗長さだと、そういう場面で登場人物のキャラがブレたり、雰囲気を壊しすぎたり、何の関係もない寄り道脱線だったり、余計なギャグがつまらなかったりして、ストーリー展開的にも逆効果なわけで、そういう遊びの部分を体現したのがハーフリングだな」

ゲンブ「ようやく、ハーフリングに話が届いたでござるな」

NOVA「ここまでの文章を駄文として、切り詰めようと悩んでいる自分がいるが、ここからスピードアップ、テンポアップを図ればいいと割り切ろう。で、4版ハーフリングの技能はこれだ」

 

●ハーフリングの技能:〈大酒飲み〉〈隠密(任意の場所)〉〈回避〉〈知覚〉〈直観〉〈賭博〉〈値切り〉〈話術〉〈言語(ムート語)〉〈職能(料理人)〉〈知識(ライクランド)〉〈手先の早業〉

 

NOVA「さあ、この12個から+5%技能3つと、+3%技能3つを選ばないといけないんだが、マンガ家に求められるのと、ハーフリングに求められるものを考慮に入れて、こうなった」

 

・+5%技能:〈回避〉〈話術〉〈隠密(都市)〉

・+3%技能:〈手先の早業〉〈知覚〉〈直観〉

 

NOVA「とりあえず、ハーフリングなら隠密調査を任される局面が多いだろうと思うし、情報の盗み聞きは物語のネタ集めでも有効。次に異能だが……」

 

●ハーフリングの異能:《鋭敏感覚(味覚)》《小柄》《耐性(混沌)》《夜目》、ランダム異能2つ

 

・《鋭敏感覚(味覚)》:ハーフリングはグルメであり、食べ物の味にはうるさい。だから、オールドワールドでは料理人として雇われている者も多くいるとか。《鋭敏感覚》は〈知覚〉のテストに際して使用し、その成功率をほぼ100%にする。食べ物に仕込まれた毒が無味無臭でない限り違和感を覚えるし、相手の汗を舌で舐めて、相手が嘘をついていることに気づく……はさすがに拡大解釈し過ぎか(苦笑)。とりあえず、食材が何か、調味料が何かを一口で分かるぐらいはグルメということで。

・《小柄》:ハーフリングはプレイヤーキャラ唯一のSサイズ(他はMサイズ)。《小柄》な体格だと、より大きな敵に対して命中+10%のボーナスが与えられるが、サイズ差が大きいとダメージを余分に受けたり、対抗筋力テストが不利になったり、戦闘時のデメリットが大きい。ハーフリングで近接戦闘に巻き込まれるのは、サイズ差修正のために他のゲーム(2版までのウォーハンマー含む)よりも危険である。

・《耐性(混沌)》:1セッションにつき最初の1回の特定脅威に対する抵抗テストを自動的に成功できる。ハーフリングは混沌による汚染や病気に1回は必ず耐えられる。

・《夜目》:ドワーフやエルフは暗視ができるゲームが多いが、ハーフリングやホビット、グラスランナーなどの小人系はゲームによって差異がある。ウォーハンマーのハーフリングは、暗視能力を持つので盗賊系のキャリアをプレイするのにも便利である。すばしっこい小人族は盗賊系の職業に有利とされているが、D&Dやソード・ワールドで夜間ないし暗いダンジョンでの単独隠密行動させると、夜目の利かないハンデが意外と大きかったりする。暗視能力を付与する魔法やアイテムがあればいいのだけど。それに対して、ウォーハンマーのハーフリングは夜や暗がりでも安心。

 

NOVA「さて、それらの種族異能に加えて、ランダム異能が大切だな。このランダム異能決定で、63〜65を出せたら大喜びするんだが」

ゲンブ「《読み書き》でござるか」

NOVA「そう。ここで《読み書き》を習得できれば、マンガ家になるのに他のキャリアを寄り道する必要がない。まさに、ここで将来が変わると言っても過言ではない。63〜65が出れば、このキャラはマンガ家になるために生まれて来たと断言しよう。(コロコロ)03」

ゲンブ「《鋭敏感覚(任意)》でござるな」

NOVA「情報収集役として悪くはない。決して悪くはないんだが。まあ、《鋭敏感覚(視覚)》にしよう。これで目に見える何ものであっても、見逃すことはほぼない。探偵マンガの主人公クラスの観察力の鋭さを発揮できる。さあ、チャンスはもう1回。(コロコロ)94。ダメだ」

ゲンブ「《強靭》。【頑健力】の初期値に永続的な5%ボーナスでござる」

NOVA「31→36かあ。これはこれで悪くはないんだが、キタコレって感じの絶妙さではない。仕方ないな。《読み書き》は地道にどこかで習得しないとなあ。教えてくれる先生と知り合いにならないかなあ。俺がGMだったら、教師のノヴァンというNPCを用意して、『格安で《読み書き》を伝授してやろう。その代わり、君のマンガ芸術の新作を進呈してくれ。君が売れたら、それが私への恩返しになる。頑張りたまえ』というナイスガイを演じたいんだがなあ。ヒノキ姐さん、登場させてくれませんかねえ」

 

ヒノキ「まだ、わらわがGMを引き受けたとは言っておらん。万が一、読者からコメントの一つでもつけば、バカ企画にも見込みはあるとノッてやってもいいが」

 

NOVA「聞いたか、読者。ヒノキ姐さんにウォーハンマーGMを頼めば、うちの娘の晶華たちが喜ぶ。花粉症ガールのファンなら、アピールできるチャンスだ。まあ、そんな奇矯なファンが、かつてのアストみたいに今もいるのかは謎だがな」

 

見習い芸術家の技能と異能、そしてキャラ完成

 

NOVA「そう言えば、能力値5点を成長させられるんだな。もしも【頑健力】を成長させられるなら、4ポイントを注ぎ込んで、ボーナスが4に向上できて、耐久値も2点上がって、ラッキーと言えるんだが」

ゲンブ「そうやって後から能力値を上げるのはズルいでござろう。キャラ作成では、『能力値決定→技能や異能の決定』の順なのだから、ランダム異能で【頑健力】が上がったから、能力値も【頑健力】を後から上げるというのは厳密には反則ということになる」

NOVA「うっかり忘れていただけだから、意図的なズルではないと主張するが、そもそも見習い芸術家じゃ【頑健力】を上げられないんだから、そのチート技は使えない。上げられるのは、【筋力】【機転】【器用】の3つだけだから、【機転】に1点で39→40、【器用】に4点で44→48といったところか。【筋力】は20だし、ハーフリングの場合は上昇させても耐久値には影響しないからなあ。上げる意味をあまり感じない」

ゲンブ「キャリア技能は、8種類全てに5ポイントずつ割り振るとして、キャリア異能はどれか一つでござったな」

 

●見習い芸術家の異能:《芸術家肌》《抜け目なさ》《強固な背筋》《粘り強さ》

 

NOVA「いろいろ説明を読んだんだが、やはり《芸術家肌》がベストと思う。いつでもスケッチ用のメモ帳と羽根ペンを持ち歩いていて、見たものを手早く正確に描き写す才能だ。これで《読み書き》ができたら、詳細な日誌をつけることもできるらしいが、今はまだ無理。ところで一つ疑問なんだが……」

ゲンブ「何でござるか?」

NOVA「オールドワールドの識字率が、中世ヨーロッパ並みに非常に低いのは分かる。しかし、都市に生きる人間が全くの文盲だとは考えにくいんだよな。例えば、店の看板とかに書いてる屋号とか、字が読めない人間には全く意味がないだろう? 看板がある以上は、街の住人は多少の字は読めるんじゃないか?」

ゲンブ「そこのところは西洋古代・中世史の学士である新星どのの方が詳しいのではないか?」

NOVA「歴史の史料ってものは、読み書きできる人間の記述に基づくものだから、読み書きできない人間が街で記述された文字をどう見ていたかの手がかりは推測でしかないんだよな。とりあえず、俺がイスラム圏の都市に行った場合、アラビア文字が読めないので、英語で書いてある看板でもなければ苦労しそうだというのは想像できる」

ゲンブ「自分が住んでいる街なら、字が読める知人に酒場の名前なんかは教えてもらうから、土地勘さえあれば何となく文字として読めなくても知ってるのではなかろうか? 字ではなく、看板に描いてある絵で酒場ということぐらいは分かるとか、字ではなく絵文字や記号で表記される道標とかもあるでござろう」

NOVA「で、《読み書き》の問題からつながるんだが、もしも仮に今回のウォーハンマー・キャラメイクで作った6人でパーティーを結成した場合、会話はできるが読み書きの技能もしくは異能を持ったキャラが一人もいないんだわ。言語に細かいゲームでも、普通はパーティーに魔法使いや神官など知識人がいるだろうから、文字情報は彼らが読んでくれるので文盲キャラが単独で孤立した場面じゃなければ問題ない。しかし、この6人で旅に出た場合、冒険中に出会う文字情報は何の意味も為さないからGMも手掛かりを与えるのが苦労するだろうなあ、と思う次第だ」

ゲンブ「《読み書き》の取得は、マンガ家のみに限らず、パーティーがまともに機能するためには必須課題でござったか」

NOVA「ええと、野暮らしの罠師と、外国語会話はできるけど字は読めないエルフのアル中船乗りと、届け屋稼業と言いながら脚が速いだけのドワーフと、北国の蛮人狂戦士と、鍛治師の息子の兵士と、芸術家気取りのハーフリング。さあ、このパーティーでどんな冒険をしたらいいのか、すごく悩むと思う。とりあえず、公式シナリオの冒険を順調にこなすには〈負傷治療〉〈開錠〉〈読み書き〉は誰かができるようにしようって高山さんが旧ウォーロックの記事で書いてあったのを今ごろ思い出した」

ゲンブ「……それらは誰も習得していないでござるな」

NOVA「まあ、そういう冒険で頻繁に使うと思しき技能を、早急に習得できるようにキャラ育成するのが当面の成長方針となるんだろうが、実プレイを想定するなら、要相談って奴だ。場合によると、芸術家はキャリアクラスの枠を越えて、医者見習いに転職する方が〈治療〉技能と《読み書き》の異能を習得できて一石二鳥かもしれないとか、いろいろ想定してはいる」

ゲンブ「マンガ家で医者見習いというと……」

NOVA「オッサムとしては、元ネタ的にそれでもいいかなとも思ったり」

ゲンブ「(ルールブックを確認しながら)それなら、我も同じキャリア・クラスで兵士から戦闘司祭に転職すると、〈治療〉技能と《読み書き》の異能を手早く習得できるみたいでござるが」

NOVA「おお、その手もあったか。すると、後は〈開錠〉だけか。技能を習得するまでは、鍵の閉まった扉は武器で強引に破壊するとして……」

ゲンブ「蛮族でござるか」

NOVA「低レベルのTRPGでは、盗賊が鍵を開けられないときによくやった手だ。スマートなやり方とは言えないが、おおよそ剣で解決できないことは何もないはず。死を恐れなければ」

ゲンブ「そういうのは昭和のゲームスタイルでござる(笑)。80年代真っ盛りのTRPGでござろう」

NOVA「開かない扉は、体当たりで開ける。技術点判定に成功すればノーダメージで扉は開く。失敗すれば、ダメージを1、2点受けて、扉が開く。開いたところに落とし穴が仕掛けられていれば、勢いづいて落ちてしまい、さらにダメージといったところか」

ゲンブ「ゲームブックあるあるでござろう」

NOVA「とにかく、〈開錠〉技能を習得できるキャリアは……盗賊か、墓荒らし系統の遺跡荒らしか、いかさま師系統の詐欺師か。廷臣関係の密偵が〈開錠〉を覚えないのが意外だが、犯罪者以外に何かないのか?」

ゲンブ「まあ、普通は鍵で閉ざされた扉を無理やり開けるのは犯罪なわけで……」

NOVA「いや、錠前職人とかはできるだろう。〈職能(鍵職人)〉なら〈開錠〉の代わりに使えたりしないか?」

ゲンブ「いろいろ考えるでござるな」

NOVA「おお、あった。犯罪者じゃない〈開錠〉技能の持ち主が。その名も捜査官! これなら《読み書き》だって覚えられる。目指すは名探偵コナンの道か?」

ゲンブ「一つよろしいか?」

NOVA「どうぞ」

ゲンブ「新星どののハーフリングは、〈手先の早業〉を習得しているのでござるな」

NOVA「ああ、スリとか手品とかができるな」

ゲンブ「情報収集で鍵がどこにあるかを調べて、持ち主からこっそりスリ取るというのはいかがでござるか? 閉まっている扉があるなら、鍵もどこかで入手できるはず。〈開錠〉技能で無理に開けずとも、普通に鍵を入手して開くという手もあるのでは?」

NOVA「失念していた。そうか、普通に鍵をゲットすれば、技能がなくても閉まった扉を開けられるんだったな。当たり前すぎて、かえって盲点だったぜ。答えが分かれば、何のことはない。手持ちの技能で解決できる問題だったんだ」

ゲンブ「欲しい技能を求めて、それを習得できるキャリアをあちこち見繕う。これもウォーハンマーの醍醐味と言えようか」

NOVA「実のところ、ウォーハンマー4版は、技能を教えてくれる教師を見つけて、授業料と経験点を倍だけ支払えば、キャリア外の技能も習得できるんだけどな。あと、一つ裏技を考えた」

ゲンブ「何でござるか?」

NOVA「異能《芸術家肌》で、もう一つ〈芸術(任意)〉をキャリア技能として習得できるようになるんだ。そこで〈芸術(鍵細工)〉を習得できるようにする。一度見た鍵とか錠前に合った鍵をスケッチして、それを器用にこしらえて合鍵を作る芸術だ。必殺で、かんざし職人が手先の器用さを応用して合鍵を作った話があって、まあ悪人に用済みとして殺されて、同業者の秀に仕事料を渡すんだが、かんざし職人が合鍵を作れるなら、芸術家肌の手先の器用なハーフリングが趣味で合鍵を作るってのも行けるはず。俺のハーフリングは、鍵型のアクセサリーをこっそり作って集めているってことで」

ゲンブ「思いきり裏技でござるな。それを認めるかどうかは、GM次第でござろう」

NOVA「まあ、GMがシナリオで開けて欲しい鍵があるなら、認めてくれるはずさ。俺なら成功率にペナルティーを入れて、〈開錠〉の代理技能に使えるようにするけどな。ダメ元でアイデアぐらいは出してみるのが、TRPGの醍醐味だろう。独り善がりじゃなくて、面白いアイデアで話が盛り上がるなら、採用される可能性も高いと思う」

 

ゲンブ「ともあれ、そろそろキャラを完成させてはどうであろう?」

NOVA「ああ、決めるべきところは決まったので、後はキャラシートにあれこれ書き込むだけだ」

●マンガ家志望のオッサム・ティーツ(プレイヤーShiny NOVA)

種族:ハーフリング(男、30歳、経験点50)

キャリア:廷臣クラスの芸術家(見習い、白銀1)

 

武器技術度:20

射撃技術度:35

筋力   :20

頑健力  :36

機転   :39+1=40

敏捷力  :29

器用度  :44+4=48

知力   :36

意志力  :43

協調力  :43

 

耐久値  :10

運命点  :3

執念点  :2

動機   :マンガのネタ集め

移動力  :3

 

技能

・〈回避〉5+敏捷力29=34%

・〈話術〉5+協調力43=48%

〈隠密(都市)〉10+敏捷力29=39%

・〈手先の早業〉3+器用度48=51%

〈知覚〉8+機転40=48%

・〈直観〉3+機転40=43%

〈大酒飲み〉5+頑健力36=41%

〈芸術(マンガ)〉5+器用度48=53%

 (注:《読み書き》を習得するまでは絵のみ)

〈芸術(模造鍵)〉0+器用度48=48%

 (注:異能《芸術家肌》で習得した趣味技能。技能〈開錠〉の代用になるかはGMの判断次第)

〈世間話〉5+協調力43=48%

〈肉体抵抗〉5+頑健力36=41%

〈冷静さ〉5+意志力43=48%

〈値踏み〉5+知力36=41%

 

異能:《鋭敏感覚(視覚、味覚)》《小柄》《耐性(混沌)》《夜目》《強靭》《芸術家肌》

 

所持品:「精緻」な衣服、ダガー、ポーチ(ピンセット入り)、耳かき、櫛、羽根ペン、銀貨10枚

 

NOVA「そんなわけで、キャラクターが完成だ。ところで、ヒノキ姐さん、ゲンさんとのキャラメイク対決はどちらの勝ちなんだ?」

 

ヒノキ「それはお前さん……と言いたいが、一つ困ったことになってのう」

NOVA「え? ヒノキ姐さんが困るほどの事態? それは聞き捨てなりません。何がどう困っていると?」

晶華「NOVAちゃん、およびコンパーニュの年長者に次ぐ。我々、《年少ウォーハンマー同盟》はせっかく作ったキャラクターの活躍を要求するものなり。この願いが聞き入れられなければ、4人揃って家出することをここに宣言する」

NOVA「家出ってどこに家出するんだ?」

晶華「それを言っちゃうと、家出にならないでしょ」

NOVA「どうせ、屋久島のウルトロピカルぐらいしか行くところはないんだろう?」

晶華「うっ……」

NOVA「それに、今から家出すると、ドンブラの映画に行けないぞ」

翔花「それは大変。わたしは《年少ウォーハンマー同盟》から離脱を宣言します。ウォーハンマーよりもドンブラの方が大事」

晶華「あ、お姉ちゃん、この裏切り者!」

シロ「翔花が抜けるなら、当然ボクもだな。元々、家出する気なんてなかったし」

晶華「そんな〜(涙目)。ええと、ジュン君、あなたまで私を見捨てるの?」

ジュニア「それじゃあ、アッキーさんが可哀想だしぃ、見捨てたりはしませんけどぉ、交渉するならもう少し冷静になりましょうよぉ。今すぐウォーハンマーなんてできませんしぃ、要望だけは伝えたんだからぁ、機が熟すのを待てば、時空魔術師さまやアリナ様だって検討してくれるかもしれません。急いては事を仕損じるですぅ」

晶華「そ、そうね。要望は伝えた。我ら《年少ウォーハンマー同盟》はその役割を果たし終えたので、今は解散する。しかし、時が来たれば、再び結成してストライキを敢行することをここに宣言する」

NOVA「分かった、分かった。とにかく、これ以上、コンパーニュの皆さんにご迷惑をかけるようなことをするな。キャラメイクのイベントは終わったので、これで帰るぞ。ブレイバーンが俺たちを待っている」

 

POPOPON!

 

ヒノキ「やれやれ。騒がしい連中が去りおったか」

シロ「これで、静かな日が戻って来ましたね」

ジュニア「だけど、楽しかったですぅ」

ゲンブ「うむ、しばしの休息。しかし、アリナ様、その手に持っているものは一体?」

さまよえる魂―ウォーハンマーRPGシナリオ (現代教養文庫 1405)

ヒノキ「ああ、昔のシナリオで使えるものが何かないかと思ってのう。しかし、実プレイをするなら、システムをどれか一つに統一するのが最適解じゃろうて。全ての版を混ぜてプレイするなど、まさに『混沌の渦』じゃ」

シロ「それこそ、時空魔術みたいなものですね」

(当記事 完)