花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク4(2版その2)

2版のキャラの背景

 

翔花「前回、わたしとシロちゃんは、ウォーハンマー2版でなかよくキャラ作りを始めました」

シロ「翔花は、まさかのドワーフになって、ボクは人間になったんだけど、年齢はまだ決めていないんだな」

翔花「2版は初版とちがって、年齢がキャラの技能数には関係しないので、決める必要がなかったんだけど」

シロ「一応、背景データをいろいろ決める表が用意されていて、身長、体重、髪の色、瞳の色、容貌の特徴、兄弟姉妹の数、星座、年齢、出身地、名前なんかをランダムに決められるようになってるんだな」

翔花「ドワーフの名前表をとりあえず振ってみます。(コロコロ)13は女性がアストリド、男性がディムザドって言うんだけど……」

シロ「アスト……リド? どこかで聞いたような響きだな」

翔花「何だかウルトロピカルっぽい名前なので、そのまま使うのは避けて、二つを混ぜてディアトリドにしました」

シロ「ディアトリドか。微妙にハイエルフっぽい名前になったな。いい感じだ」

翔花「ドワーフの女の子ディアトリド。略称はディアね。生まれ故郷は(コロコロ)最果て山脈のカラザ=カラクだって。どこなのか、さっぱり分からないんだけど」

シロ「2版ルールブックの地図によれば、最果て山脈はエンパイアの東の田舎だな。エンパイアはヨーロッパ中世の神聖ローマ帝国がモデルで、現在で言うところのドイツ周辺地域。そして、その北東にあるのがキスレヴって国なんだけど、そこがキエフ(現在のウクライナ首都キーウ)を首都にした当時のキエフ公国、後のモスクワ大公国がモデルなんだ」

翔花「それって、今のロシアってこと?」

シロ「ロシアとウクライナが敵国になるまでは、キスレヴは単純にロシアがモデルって言えば良かったんだ。そこの住人がコサッル族という蛮族戦士の集団だし(モデルは中世の同地の武装階級コサック)、コサッル族の土地を占拠した東方部族の貴族がツァーリを名乗ってキスレヴの支配者に収まったし、完全に中世のロシア史をなぞっているな」

翔花「それと、わたしのドワーフに何の関係が?」

シロ「最果て山脈はエンパイアの東からキスレヴに達するんだ。そして、そのさらに東は文明から外れた混沌勢力の支配下にあるそうで、要するにキスレヴと最果て山脈は文明と非文明の境界線を築き、混沌との戦いの最前線に位置づけられている地域の一つってことになる」

翔花「つまり、ディアトリドの出身地は戦場近くってことなのね」

シロ「現実のヨーロッパだと、最果て山脈はヨーロッパとアジアの境界線のウラル山脈になぞらえられるかも」

翔花「ディアトリドは、ロシア風味のドワーフってことね。あ、年齢は(コロコロ)55歳。人間換算だと23歳みたいだけど、(コロコロ)豚/牛飼育場で生まれたみたい。家畜農家のある集落かな」

シロ「どんどん決まっていくな」

翔花「髪の色は黒で、瞳の色は薄灰色。身長は4フィート3インチって、どれくらい?」

シロ「約1メートル28センチってところかな。現代日本の8歳児の平均身長っぽい」

翔花「ドワーフだから仕方ないわね。体重は……秘密。星座は……56を振ると、愛と魅力の踊り子座だって」

シロ「ナイスだ、翔花」

翔花「ホント、いい目を出したと思う。オールドワールドには、踊り子座なんてあるんだね。わたしたちの世界だと、乙女座みたいなものかな。わたし自身は牡羊座だけど」

シロ「ボクも3月21日生まれだから、同じ星座だな」

翔花「あれ、そうだったの? だったら、おめでとうを言わないといけなかったのに、ちっとも知らなかったや。今度から覚えておくね」

シロ「ありがとう。だったら、ボクの人間も決めるか。あ、性別は男だからな、念のため」

翔花「シロちゃんは、女だけどね」

シロ「体は女だけど、心は……って感じだな。それはとにかく……(サイコロを次々と振って)身長は5フィート11インチで約178センチ。髪の色はとうもろこし色で、瞳は淡褐色。年齢は29歳で、アラサーの大人だな。出身はノルドランドの繁栄した街。ノルドランドはエンパイアの北西部だな。北の鉤爪湾に面している。名前はグスタフになった。星座は……踵炎のヤギ座、拒まれた愛を象徴する……ってガーン(涙目)」

翔花「失恋しちゃったの?」

シロ「ボク……じゃなくてグスタフは……星座占いなんて……信じない」

翔花「別にルールブックの背景表は、絶対的なルールじゃないから。プレイヤーが自由に設定してもいいんだし、名前なんてそれこそオールドワールドの代表的な名前を載せてるだけってルールに書いてある」

シロ「とっさにNPCの名前を考えるときには便利だな。でも、自分でファンタジーっぽい名前を考えたければ、参考にはなるってことで」

翔花「グスタフかあ。調べると、こんなのが出てきたけど」

シロ「モビルスーツかよ。歴史人物だと、三十年戦争で活躍したスウェーデングスタフ・アドルフが有名で、グスタフって言葉にはスウェーデン語で『神の助け』って意味があるらしい」

翔花「日本人名だと、『神野太助』さんってところね」

シロ「わざわざ日本人名にする必要があるか?」

翔花「まあまあ、ちょっとした小ネタにマジツッコミしないで。それより、ディアトリドとグスタフのコンビがどんな職業につくか、ここからがデータ作りの本番よ」

シロ「いよいよ、キャリア決めだな」

 

波乱万丈(?)なキャリア決め

 

翔花「初版のウォーハンマーは、戦士のウォリアー、野外の人レンジャー、都市民や裏世界の住人ローグ、魔法キャラや学者系知識人のアカデミックの4職から使用するキャリア表を選ぶようになっていたけど、2版は各種族ごとに使う表は1つだけになってます」

シロ「それって、戦士を目指してるのに、戦い向きじゃないキャリアになってしまうこともあるのか」

翔花「一応、ダイスでランダムに出てきたキャリアが気に入らなければ、もう一度、ダイスを振って、2つのキャリアから好きな方を選ぶ形で救済策を用意してくれているけど、何が出るかは振ってからのお楽しみってところね」

シロ「じゃあ、ドキドキしながら、ドワーフ娘のキャリアを見守るか」

翔花「ここが運命の分かれ道。(コロコロ)ドワーフの63はルーン伝令!」

シロ「何だ、それは?」

翔花「最果て山脈の地下道を、ドワーフルーン文字で記された手紙を持って運ぶ連絡係みたいね。ドワーフ専用のキャリアで、エンパイア領内でも地下通路を利用した秘密の手紙運び屋として時々、仕事を頼まれるそうよ」

シロ「運び屋か。まるでブンブンジャーだな」

翔花「違う。幸せを運ぶシロクマ改めシロウサギ宅配便の桃井タロウ様を見習うの。手紙だけじゃなくて、いろいろな荷物をお届けするドワーフ運送業ってところね」

シロ「ドワーフの割に力はなくても、すばしっこいキャラだったもんな。運び屋稼業は向いているかもしれないぞ」

翔花「ルーン伝令の技能や異能は以下のとおり」

 

・技能:〈察知〉〈水泳〉〈打撃回避〉〈符丁術(偵察兵)〉〈方角案内〉〈野外生存術〉

・異能:《強靭》または《剛力》、《駿足》または《第六感》、《逃走!》《早つがえ》《方向感知》

 

翔花「戦士よりは、レンジャーの方向性ね」

シロ「これで確定かな」

翔花「念のため、もう一回ダイスを振って、何が出るか確かめてみるわ。66は……船乗り。酔っ払いのアル中は勘弁願いたいから、却下ね。そういうのはアキちゃんに任せた」

シロ「2版でも船乗りは酒飲みキャラなのか」

翔花「〈大酒飲み〉か〈察知〉を選べるようになってるけど、似たようなキャラが続くのって面白くないものね。だったら、ドワーフならではの独自性の高いルーン伝令で行くわ。ちょうど最果て山脈の出身だしね。運び屋なら、田舎から都会まで出て来ても不思議じゃないし」

シロ「初期キャリアが決まれば、ほぼキャラは完成だな」

翔花「所持品はキャリアごとに自動的に決まるので、キャラクターシートに記録するだけ。一応、またはの二者択一技能や異能を決めるけど、《強靭》と《剛力》だと前者を選ぶわ」

シロ「女の子なのに力が強いよりは、打たれ強い方がいいもんな」

翔花「そういう男女の特性の違いじゃなくて、どっちが得かの話なの。ディアトリドの頑健力は35で、筋力は23。《強靭》は頑健力+5の異能なので、40になる。頑健力ボーナスは十の位の4になるので、こっちの方が増えるのよ。《剛力》で筋力が23から28になってもボーナスは増えないしね」

シロ「きっと、ルーン伝令として走り込んでいるうちに、タフになったんだな」

翔花「そうね。そして《駿足》と《第六感》では、《駿足》を選んで移動力+1するわ。《第六感》はシロちゃんのグスタフが持っているので、かぶってもつまらないしね。そして、最初の成長で移動力をさらに+1して、移動力の合計が5になった。足の速さが4のグスタフを越えて、エルフ並みよ」

シロ「エルフ並みの速さで駆け抜けるドワーフの走り屋か。個性的なキャラになったな」

翔花「ドワーフの典型的なイメージとは異なる感じなので、自分では思いつかない発想がダイスで生まれるのは楽しいわね」

シロ「後は、キャラシートに写して完成だな」

 

寄り道プレイヤーの背景事情とか

 

翔花「細かい個性とか決めて、キャラを深める要素もあるけど、その辺はもういいよね。家族構成とか、親友と仇敵とか、自慢のお宝とか、忠義を尽くす対象とか、好きなものと嫌いなものとか、ロールプレイでは大切だけど、そこまで実プレイするわけでもないし」

シロ「翔花個人なら、明確だけどな」

翔花「うん。家族はNOVAちゃん(父親)とアキちゃん(双子の妹)。親友はシロちゃんやヒノキちゃんたちかな。仇敵はよく分からないや。スペースGとかヤプールがこっちのブログ時空に復活したら戦うけど。あ、ニチアサを脅かす高校野球や秋の駅伝は仇敵かも」

シロ「でも、殺したいほど憎んでいるって話じゃないだろう? 日常生活でそういう怨念を抱えていると、生きていくのが大変だ。軽い嫌悪感なら普通かもしれないけど、憎悪レベルまで達しちゃうとな」

翔花「ドワーフさんは、ゴブリンを憎んでいるのよね。やっぱり、ゴブスレさんみたいに家族を殺されたり、故郷を破壊されたりすると、そうなっても不思議じゃないんだろうね。わたしだって、NOVAちゃんやアキちゃんや、大切なお友達が殺されたり傷つけられたりしたら、許せないって思うもの」

シロ「その意味では、セイリュウ師匠を父さんの仇だと思って憎悪を抱いていたのは、ボクの方か。今では師匠の真意も分かって、復讐心も解消されたけど。それも翔花のおかげだ」

翔花「わたしはスペースGを倒しただけだよ。で、大切なのはそういう思い出や体験もそうだし、あとドンブラが大事で、忠誠を誓うのは桃井タロウ様かな。NOVAちゃんにも契約精霊として、忠義は感じているけど、そういうのはいいってNOVAちゃんは言ってるし、契約相手というよりは父親と娘でいてくれって言われたから、それらしく振る舞うようにしているけど」

シロ「だったら、もし新星さまが翔花に絶対服従の命令をしたら……」

翔花「もちろん、わたしは逆らえずに、従うしかないわね。NOVAちゃんが自分を愛するように命令したら、わたしはNOVAちゃんの奴隷として愛と忠義を尽くすと思うけど、そういう強制力を働かせるのってNOVAちゃんは嫌っているもんね。精霊少女にも心ってものがあるだろうし、意思のない奴隷やロボットみたいに扱うのって、つまらないだろうって言ってくれた。だから、わたしとアキちゃんはわたしたちの意思でNOVAちゃんを邪険にすることもあるわけで」

シロ「だけど、あまり邪険にし過ぎると、新星さまだって傷つくこともあるんじゃないかな。ボクだって、翔花に邪険にされたら泣くぞ」

翔花「そうかな? う〜ん、そうかもしれない。だけど、好きだからこそ、相手をイジめたくなる気持ちって、最近分かってきた気がするの。相手が涙目でシクシク言ってるのって、可愛く見えない?」

シロ「そういうのって、小悪魔って言うんだぞ。気持ちは分からなくもないけど」

翔花「まあ、いいわ。人間心理は複雑ってことね。そして好きなものは、ドンブラその他、TRPGとか面白いファンタジックな物語ね。嫌いなものはハッピーじゃないことかな。わたしたちのハッピーを脅かす邪悪や迷惑に付きまとうストーカーみたいなのは嫌い。大切なのは適度な距離感と、楽しい物語ってことで」

シロ「そういう設定を、ドワーフ娘のディアトリドでも決めたら、キャラが完成だな」

翔花「う〜ん、先に設定としてあれこれ考えておくのも大事だけど、すぐに決められないこともあるし、設定したけど物語で使わない要素とか、設定に縛られてキャラの動きが操り人形みたいになってしまうこともあるのよね。結局、設定なんて実際のゲームや物語で活かされてこそ躍動感のある生きたドラマだって思うし、決められないことは必要に応じて、物語の流れの中で決めたらいいと思うなあ」

シロ「設定から物語が生まれることもあるし、物語の中で設定が変化したり、膨らんだりすることもあるからな。逆に、何の設定の変化も生じない物語はつまらないし、設定が何の理由もなくコロコロ変わったり、ご都合主義的に唐突に生えてくるような物語は感情移入できないし」

翔花「リアルタイムのゲームだったら、よくあることだけどね。小説だったら……出版されているものは、最初に書いているうちに唐突に生えてきた設定は、第二稿とか第三稿とか改稿を重ねているうちに、先に伏線として事前に撒いておく場面を書き加えるとか、作者にとっては後付けでも推敲段階で巧みに仕込んでおいて、読者が読む物語の完成度を高めることをしているし」

シロ「2巻、3巻と巻数を重ねると、当初の描写と矛盾する場面が出て来たりして、そこを作家本人以外の第一読者である編集さんがツッコミ入れたりしながら、辻褄合わせをすることもあるけど、細部の矛盾ではなく、キャラの根本的な設定要素や行動動機が粗だらけだと、感情移入が削がれるな」

翔花「週刊マンガだと時間もないし、連載分は毎週のサプライズ展開のインパクトが重視されるから、唐突に生えてきた設定も勢いと画力さえあればOKだけど、それが単行本になったりして、まとめて読んだら粗だらけとか、その荒削りだけど斬新なアイデアとストーリーの勢いの部分が作者の持ち味として、完成度は別として時流を生み出すこともある」

シロ「矛盾があって、ツッコミ要素が多いから駄作認定していたのに、時流には乗れて多くの読者に支持されるようになった作品を、何で? 読者の目が曇ってるの? と世間の風潮を嘆いた作家さんもいたけど、一般受けするものって、それほど小難しいことを考えなくても、ノリと勢いでスッと入ってくるエモさをアピールできれば勝ち、なところがあって、こればかりは創作視点の違いに過ぎないのかな、と思った」

翔花「世の中には、小難しい理屈を好む人もいれば、何でもいいから悪いのをやっつけてスッとできればいいんだろう? ってハチャメチャ豪快暴太郎なのを好む人もいて、それでも難しい理屈派は理屈がおかしければ批判するけど、エンタメにどこまでの理屈が必要かは一つだけの正解ってないのかなって」

シロ「まあ、それこそが多様性ってものだと思うけど、現実に物書きで生計を立てている人に、『あなたのやり方も間違っていないと思うけど、違う作風の細かい粗に目くじら立てても仕方ない。そういう作風でウケている人もいるってだけの話なんだし、それで読者まで敵に回しても、あなたが得をすることはなくて嫌われるだけ』って(たぶん)正論を言っても、それでその人の理屈っぽい作風を否定しているように受け取られるのも損だし、相手を困惑させて好きな作風がブレるのも勿体ないって考えたり」

翔花「わたしはドンブラ好きで、脚本家の井上敏樹さんの作風を楽しめているけど、世の中には敏樹さんの作風が合わない人もいるって知ってるし、NOVAちゃんはジェットマンや555や響鬼後半の作風変化をカンフル剤的に歓迎した人だから、その斬新さや勢いを評価しているわけだし、それを批判して『マンホールの蓋にそんなに防御力があってたまるか! 釈由美子さんの腕力でマンホールの蓋がフリスピーみたいに投げられるわけがなかろう。ジオウは科学的に間違ってるから駄作認定。それを踏襲したブンブンジャーもつまらん』とか言い出す人がいたら、野暮な人だなあって思うもん」

シロ「ツッコミ粗探しって、理論派を自認してるマニアやオタクの芸とか娯楽として90年代の謎本ブーム以降、エンタメ批評本という形でウケて、同人誌から商業出版として一般化が浸透して、ネットやTV番組にもノリが継承された時代背景があるんだけど、そのツッコミ粗探しに対して、後年、作品制作から10年、20年経って(あるいはもっと前)の製作裏事情を制作者サイドから懐古話として語られる機会(メイキング本やインタビュー本)が2010年代以降増えて、あのハチャメチャ物語の成立した世相とか現場の思惑とか、そういう本の方がただの表層的な粗探しよりも奥が深く思えるわけだよな。もちろん、しっかり計算立てたハチャメチャさもあれば、単に作り手が何も考えていないハチャメチャさもあって、一見ハチャメチャに見えても内実はピンキリあるんだなあ、とか」

翔花「批判するにも、尺度の違いってのがあって、ただ尺度が違うからあなたの批判は間違っているって指摘するのも野暮な気がするってNOVAちゃんが言ってた。理数系と違って、文系は一本の正解の理論や筋道だけでできているのではなくて、多様に散らばったケイオスな文化の産物をジャンルごとの棚に整理分類しながら、その別ジャンル間での影響の与え方(異文化交流に通じる)や時流の変遷(歴史に通じる)を研究しがちな学問で、どれだけ多くの視点で文化や背景世相の流れを分析できるかが一つの研究手法なんだって」

シロ「ある視点では、こういう考え方が常識だけど、視点や尺度を変えれば、また違ったものが見えて、そういうセンス・オブ・ワンダーがSFマインドの文系要素だと考えられるな」

翔花「もちろん、視点をコロコロ変えすぎると、まとまりのある物語にはならないから(読者側の理解や感情移入も断たれるし)、視点を2つか3つ程度に分かりやすく定めて、主人公側と敵対側と第3勢力(中立だったり、陣営移動する裏切り者だったり、距離を置いた観察者や傍観者だったり)と分別しながら、勧善懲悪の分かりやすさか、陣営それぞれの正義を描くかは作品もしくはネット議論(今はレスバって言うらしいけど)の世界次第だけど、不用意に誤射したり、錯乱して味方を傷つけたり、不必要に戦火を広げたりするような話がゼロ年代には流行ったそうね」

シロ「今でもXポスト(旧Twitter)でしょっちゅうじゃないか?」

翔花「人は争いをやめられないってことね。愚かにも」

シロ「って、翔花?」

翔花「何?」

シロ「お前、『人を愚かって見下すキャラ』じゃなかったはずだろう? 闇堕ちしかかってるぞ」

翔花「え? キャラがブレちゃった? ダークスカイの呪いふたたび?」

シロ「寄り道が過ぎたようだな。話をキャラ作りに戻そう」

 

翔花のディアトリド完成

 

●届け屋ディアトリド(プレイヤー粉杉翔花)

種族:ドワーフ(女、55歳。人間年齢だと23歳)

キャリア:ルーン伝令

次のキャリア:遺跡荒らし、古参兵、盾砕き、偵察兵、ネズミ捕り

 

武器技術度:41(+10)  攻撃回数:1回

射撃技術度:32       耐久力:11(+2)

筋力   :23(+5)  筋力ボーナス:2

頑健力  :40(+5)  頑健力ボーナス:4

敏捷力  :21(+10)  移動力:4+1=5

知力   :34(+5)  魔力点:0

意志力  :32(+5)  狂気点:0

協調力  :26       運命点:3

 

・技能:〈言語(カザリッド語)〉〈言語(ライクシュピール)〉〈常識(ドワーフ)〉〈職能(石工)〉〈察知〉〈水泳〉〈打撃回避〉〈符丁術(偵察兵)〉〈方角案内〉〈野外生存術〉

 

・異能:《怨恨》《肝っ玉》《壮健》《ドワーフの技》《魔法耐性》《夜目》《強靭》《駿足》《逃走!》《早つがえ》《方向感知》

 

・所持品:一般的な服(シャツ、ズボン、すりきれたブーツ、ほつれたマントなど)、ナイフ、毛布を入れた背負い袋、木製の大型ジョッキ、木製の食器一式、片手用武器(ハンマー)、金貨11枚、クロスボウ(ボルト10本、ダメージ値4)、レザー・ジャーキン(胴体防御点1)、癒しのドラフト(飲み薬、耐久力4点回復)、幸運のお守り(1回のテストの振り直しか、攻撃を無効化)

 

翔花「最初に想定していた戦士とは違うキャラになったけど、手紙や手荷物をお届けする足の速いドワーフ娘は、お気に入りのキャラになったわ」

シロ「戦うのも大事だけど、《逃走!》って異能が個性だよな」

翔花「『戦いたいのはやまやまだが、大事な荷物を届けるためには、お前なんかの相手をしている暇はない。そういうわけで、さよなら♪』って言って、戦略的撤退を辞さないのね。《逃走!》の異能を使うと、危険から逃れる際の移動力がさらに+1されて6。通常のドワーフの倍の速度で逃げることができるのよ。D10ラウンドだけなんだけどね」

シロ「おまけに《壮健》で、重装鎧を着けていても、移動力は下がらないもんな」

翔花「重装鎧なんて、金貨70枚以上もするから着れないわよ。フルプレートアーマーは防御点5だけど、金貨400枚。戦場に突撃するわけじゃないんだから、そんなにゴツゴツした鎧なんて着たいとも思わない。届け屋はスピード重視ってことで」

シロ「スピード特化のドワーフって、個性的もいいところだ。だけど、それがいい」

翔花「ルールどおりに作ったらできたんだから、さすがはウォーハンマーってところね。泳げるし、敵の攻撃を避けたりもするし、たぶん敵は驚くわね。『何でドワーフがこんなに素早く動けるんだ!?』って」

シロ「ところで、技能の〈方角案内〉と異能の《方向感知》って何が違うんだ?」

翔花「〈方角案内〉は知力テストに成功すれば、道に迷うことなく正しい道や海路を進むことができる技能。《方向感知》はそのテストに+10%のボーナスを与えるので、ディアトリドは44%の確率で道に迷うことなく、進み続けることができる」

シロ「44%か。微妙な数値だな」

翔花「整備された街道や普通の状態なら、そもそも迷うことさえないわ。ダンジョンの中とか、暗い森の中とか、普通は道に迷って当たり前の環境でも、正しい道を選びとれる確率がそれだけあるってことよ。まあ、知力をもっと伸ばせば、さらに成功率を高められると思うけど」

シロ「道に迷っても〈野外生存術〉があるなら生き延びられそうだし、迷った状態からのリカバリーもできそうだな」

翔花「〈察知〉で正しい道の手がかりを見つけられるかもしれないし、どこかの偵察兵さんが残した符号を読み解くことだってできる。うん、方向音痴で道に迷うことはない。……わたしと違って」

シロ「そう言えば、翔花はいろいろ迷い込んで、すぐに行方不明になりがちだったな」

翔花「昔の話よ。今は遠出することなく、安定した日常生活を過ごしているんだから。冒険はゲームの中だけで十分」

シロ「今年はメカゴジラ50周年だから、翔花伝の琉球編を開始しようって予定だったんだけど、どうも実現しそうにないかもな」

翔花「琉球で何かと戦うよりも、架空のファンタジー世界で届け屋仕事をしている方が楽しそうだしね」

シロ「最後に、異能の《早つがえ》なんだが……」

翔花「クロスボウは装填に時間がかかるので、2ラウンドに1回しか撃てないのよ。だけど、《早つがえ》があれば、毎ラウンド連続して射撃ができる。それでも射撃技術度は高くないから、飛び道具は最後の手段ね。一応、狩りで獲物を捕まえないといけないとかだったら、多少下手でも頑張って撃って当てることを目指すけど」

シロ「戦士として戦うには、攻撃回数も増やした方がいいけど、届け屋のルーン伝令には無理だ、と」

翔花「転職して、偵察兵にでもなったら戦闘能力も高められるんだけどね。そっちは上級キャリアだから、最初から就くことはできないの。それに移動力を増やせるキャリアは、本当に珍しいから(基本ルールだとルーン伝令のみ)、まずは移動力を高めて、後のことは後で考えるってことで」

(当記事 完。シロ君のグスタフのキャリア決めはまた次回)