久々の長女と父と愉快な仲間たちのOPコント
NOVA「今朝は、プリキュアも、ライダーも、戦隊もないニチアサだ」
翔花「突然、何よ。ええと、11月4日なのよね」
NOVA「ああ、それと昨日は11月3日。俺的にはただの文化の日だったんだが、実はゴジラの日、TRPGの日、マンガの日という、もっとブログ的に宣揚しないといけない日だったんだな。後から知って、ちょっとだけガーンとなってる。ドゴラの日を宣揚した俺が、ゴジラの日を宣揚し損なうなんて、俺のゴジラ愛はドゴラ以下なのかよって」
ケイP『だけど、マスターって今年はゴジラよりも、ドゴラやガメラのことを考える方が多かったんじゃないですか?』
NOVA「それは否定しないけど、ゴジラはこれからいろいろ考えないといけないと思っている。セイリュウの設定的にもな」
ゲンブ「うむ。セイリュウは怪獣王の眷属ってことだからな。コンパーニュでも、ヒノキ三獣士のリーダー格だったが、かつてのファイナルウォーズで裏切って、先代ビャッコのキングシーサーを殺害してから行方不明という話になっている」
シロ「ボクはセイリュウを決して許さない」
NOVA「その辺の決着をどうまとめるかが屋久島編の見どころだと作者的には明言しておく。それとモスラがポイントだ」
ゲンブ「ところで、新星どのに質問がある」
NOVA「何だい、ゲンさん」
ゲンブ「ガメラの日は宣揚しないのか?」
NOVA「ああ、ガメラの日ね。昭和ガメラの初公開は1965年11月27日だ。27日ってことは、翔花の月々の誕生日と同時に祝えるな。ちなみに、平成ガメラの方は第1作が、1995年3月11日公開。その年は阪神・淡路大震災で悪い意味でのメモリアルイヤーだが、何の因果か日付けの方も後の東日本の震災とかぶっちまってる。忘れられないのは間違いないが、素直におめでとうと言いづらい日なのも確かだな」
ゲンブ「うむ、しかも平成2作目では、レギオンとの戦いで仙台市を消失させてしまったからな。3作目は渋谷。今年のハロウィンは、渋谷に百鬼夜行が集まって、街中が大騒ぎになったと聞く」
NOVA「ああいうバカ騒ぎで街に迷惑かけているってニュースを見ると、あそこにガメラやギャオスが飛んできて、大惨事って映像を見たくなるんだが、それって、グリッドマンのアカネちゃんの心理だよな」
シロ「渋谷といえばハチ公。巨大ハチ公が暴れて、ハロウィンに集まったコスプレ魍魎を退治するという話はどうだろうか」
NOVA「インディーズ映画としては悪くないかもしれないけど、グリッドマンで、アカネちゃんに怪獣作って潰してもらいたいものを考えるスレ、なんてのもいいかもしれない。何しろ、彼女は今、怪獣好きのオタクの希望の星というか羨望のアイドルと化しつつあるからな、ダークな方向で。うわ〜、やり過ぎアカネちゃん怖いよ、と言いながら、嬉々として彼女の言動を楽しむ風潮が確実にある」
翔花「NOVAちゃんは、アカネちゃんのファンなの?」
NOVA「いや、俺は六花ちゃんのファンだよ。だけど、六花ちゃんもアカネちゃんとの対比で輝く感じだからな。振る舞い的にはアカネの方が躁キャラで、テンション高く、そのハイテンションでダークな事を無邪気にしちゃうんだな。まあ、嫌なことがあったら怪獣作って破壊して発散しているわけだし、ある意味、サイコパスとも言われているけど、それに対して、六花ちゃんは真面目で悩みがちな鬱キャラな言動が目立つ。俺的には、アカネちゃんが壊れた非日常で、六花ちゃんが日常を守ろうともがき悩むキャラ。その意味で六花ちゃんの方に感情移入しやすいけど、アカネちゃんのダークなクリエイティブ気質をもっと建設的に発揮できたらなあ、と思ったりもする。怪獣好きの女の子は決して嫌いじゃないし」
シロ「ところで、キングシーサーの日というのはないのか?」
NOVA「メカゴジラの日と同じになるが、1974年3月21日だな。大体、春分の日になるかな。それとは別に4月3日が語呂合わせ的に、シーサーの日と扱われていたりもする」
シロ「4月3日か。来年春まで祝ってもらえないんだな」
NOVA「って、祝ってもらうこと前提かよ?」
シロ「祝ってくれないのか?(涙目)」
NOVA「お、おい、君まで(涙目)を使うのかよ。その時期だと、俺も涙目になっていること確実だよ(涙目)」
翔花「みんなで流行らせよう、涙目の輪って感じだね」
NOVA「そんなのハッピーじゃないからイヤだ。その涙目で、世界が救えるか!」
タイムジャッカー戦後の状況整理
NOVA「ふう、世界の壁を越えると、何だか時空の乱れで、時差ボケが大変だぜ。確か、今は10月27日の深夜だと思っていたけど、いつの間にか一週間ぐらい経って、今はハロウィンを過ぎて11月4日。バトル編での時間管理は厳密にしない方が良さそうだな」
ゲンブ「新星どの、よく来てくれた。だが、こうしてはおられん。すぐにコンパーニュの塔へ戻らなければ、アリナ様が危ない」
NOVA「落ち着けよ、ゲンさん。南郷さん、いやヒノキさんなら大丈夫だ。タイムジャッカーのダイアナジャックに、翔花を支援できないよう足止めを食らっていたみたいだが、先程、向こうが撤退した。相手を取り逃がしたことにヒノキさんは悔しがっているようだがな」
ゲンブ「どうして、そう断定できるのでござるか」
NOVA「作者だからな、というメタな理由はなしにして、〈白き栄光の杖〉を手にした俺は、時空導師の称号を得たからな。杖が俺に見者、すなわち予見の力を与えてくれているらしい。本来、世界の外から見通せるメタ情報の一部を、現場にいながら知ることができるという設定だ」
ゲンブ「実に理解に苦しむ話だが、アリナ様が無事ということなら安心したでござる」
NOVA「ああ。ゲンさんには、うちの娘とアシモンがずいぶんと世話になった。改めて礼を言わせてもらう」
ゲンブ「こちらこそ、先日は素晴らしいTシャツを贈ってくれてありがとう」
NOVA「どういたしまして。あのクワトロM製のTシャツは、あれから宇宙人の間でかなりブレイクして、今だと品薄状態だとも聞く。あの世界がそろそろ滅亡の危機だってんで、もしかすると幻のアイテムになりかねん、ともっぱらの噂だ」
ゲンブ「……世界が滅亡の危機って、そんな悠長に構えていて大丈夫なのか?」
NOVA「時空魔術師なんてやってると、こういうことは割としょっちゅうだからな。あの世界には、セブンさんやゼロさんも向かったから大丈夫だと安心しているし、彼らが陰でアシストしながら、ルーキーヒーローのルーブの兄弟と、妹と、黒い友達と、まあ、あの世界のウルトラ家族が協力して、世界の危機を乗り越えてくれるさ、多分。ハッピーは世界を救うことを、俺も信じているぜ」
翔花「それでNOVAちゃん、助けてくれて感謝しているけど、私に隠し事をしていない? 今回のタイムジャッカーのこととか、2号ちゃんのこととか……」
NOVA「ああ、隠し事ならいっぱいしているぞ。というか、別に隠しているつもりはないが、こちらも気持ちや状況の整理ができていないことは話せないし、個人情報とか、誰かの心の悩みとか、物語の今後の展開とか、何でもかんでもベラベラ喋るわけにもいかんだろう。ある程度、それを話していい時機というのがあってだな。翔花2号、いや改名して晶華、水晶の晶に中華の華のことは、ようやく解決の目処がついたんでな。ここで明かしておこう」
翔花「ええと、晶華って書いて、ショーカって読むのね。ええと晶はアキラとも読むから、晶ちゃんはアキちゃんでもいいのかな」
NOVA「その辺は2人でまた会ったときにでも決めてくれ。とにかく、今は晶華も元気にやっている。まあ、以前のままとは言わないが、過酷な試練を乗り越えて、その分、成長したって感じだな。お前もしっかり修行で成果を出さないと、お姉ちゃんとして顔向けできなくなるぞ」
翔花「うん、タイムジャッカーの人たちに酷い目に合わされたって聞いたから心配したんだけど、元気にやっているならそれでいいよ。バットクイーンとか、そういう話も気になるけど、その辺はNOVAちゃんがしっかり守ってくれるんでしょ?」
NOVA「もちろんだ。タイムジャッカー絡みは、こっちが何とかするから、お前は自分の屋久島での物語をしっかり励むんだ。お前の物語の主役はお前なんだからな。自分が自分らしく主役として立派に振舞わなければ、自分の人生はいい物語として結実しない、と俺は信じている。それはリアルだろうと、空想だろうと同じことで、自分の物語は自分自身で創り、歩み、受け止め、描き切っていく。だから、お前も自分の納得できるように頑張れな」
翔花「うん、分かった。NOVAちゃんとは、その気になれば、いつでも時空通信機で話ができるし、ブルーアイズ・ダミーだって持っているんだもんね。すぐに使うことを思いつかなかったけど」
NOVA「自分の力で、ギリギリまで頑張って、踏ん張った後で、奇跡に頼ろうとしたんだろう? それでいいじゃないか。俺から自立しようと頑張っているのは伝わったし、俺も妹の晶華と新世界創造を頑張っているんだし。お前でできることはお前でやれ。ケイPもいるし、それに、いい友達もできたみたいだからな」
翔花「あっ、そうだ。紹介しないと。この子、シロちゃん。小さく見えるけれど、本当は16才で、私よりも経験豊富でクールな忍者さんなんだよ」
NOVA「ああ、初めまして。ええと、Byplay Acolyteを略して、ビャッコさんだったかな。先代ビャッコのVariant Coderさんの娘さんだとか」
シロ「父を知っているのですか?」
NOVA「直接の顔見知りではないけど、活躍の噂は何度か。そもそも、あの御仁は忍びなんだから、有名ということは必ずしも有能ということにはならないだろう。人知れず使命を果たして、裏社会で密かに語り伝えられる知名度であってこそ、優れた忍びといえる。忍びとして大切なのは、名ではなく実を残すことだと考えるけどな。その意味で、先代は君という後継者を残したんだから、後は君の活躍次第じゃないか」
シロ「ボクは……父に到底及ばぬ未熟者です。先程の戦いでも、何もできなかった」
NOVA「だから、翔花といっしょに屋久島に修行しに行くんだろう? 娘の修行には、君の存在が欠かせない。俺はそう見ているんだけどな。そこで君は試練を経て己の資質を開花させるだろうし、その後、琉球の島に渡って、父親の持つシーサーの力、王の力を継承することになるかもしれない」
シロ「王の力?」
NOVA「ああ、沖縄県の万座毛という場所に、キングシーサーの魂の欠片が眠っているらしい。そこに眠る王の力を継承しないと、君はキングシーサーの眷属とは言えない。単に、キングシーサーの眷属の娘というだけで、真の力を受け継いでいないのが今の君なんだ」
シロ「では、そこに行けば、ボクは強くなれるんですね」
NOVA「今の君では無理だ。王の力を継承するにも、それ以前に君の資質を示さないといけない。おいそれと継承できるような単純なものなら、とっくに誰かが力を奪っているだろう。キングの娘のリトルとはいえ、資質なき者、試練を経ていない者では、継承者としては認められないわけだ」
シロ「それは、つまり、ボクに今後の進むべき道を示しているということですか? ええと、やはり、あなたは前にボクを導いてくれた時空仙人さま?」
NOVA「時空仙人? いや、そういう名乗りをした覚えはないが」
シロ「しかし、ソード・ワールド模擬戦の時に、ボクの心に呼びかけた声は、確かに時空仙人と名乗って……」
NOVA「ええと、確認してみる。時空検索開始、9月15日分の記事か。なるほど、確かに、『クリスタルの世界から来た、白を愛する時空仙人』を名乗る謎の声が喋っているな。しかし、俺は時空魔術師や時空導師は名乗っていても、時空仙人は名乗ったことがないし、おまけに、わざわざ娘の翔花と対戦しているビャッコさんの味方になっているはずがない。その時空仙人と名乗る輩は、俺とは別人だよ」
シロ「あなたが時空仙人ではなかったのですか。では、あの声は一体……」
NOVA「さあな。まあ、今はそれほど気にしない方がいいんじゃないか。それでも君の人生に関わってくる相手なら、また声が届くかもしれないし、案外、屋久島辺りに仙人がいるのかもしれない」
シロ「あなたは仙人ではないけど、導きの言葉は頂けるんですね」
NOVA「時空導師を名乗るからは、それぐらいして見せないとな。もっとも、俺の言葉は半分が妄言だから、100%の信を置かれても困る。最後に考え、決断するのは君だ。他人の意見は話半分程度に聞いておくといい。判断を下す材料としてな。まあ、大抵の人間は人の話を半分も聞こうとしないわけだが」
シロ「それでも、あなたがボクにこれを贈ってくれたのは本当でしょ?」
NOVA「持ってるのかよ」
シロ「もちろんです。お守りとして肌身離さず」
NOVA「すると、覚醒したらこうなるのかな」
NOVA「他にも関連アイテムを並べると、こうなる」
翔花「NOVAちゃんは忍者好きだもんね」
NOVA「というか、忍者が嫌いな日本人に会ったことないんだけど。少なくとも俺の知る限り、フィクションの話をしていて忍者アンチな意見を聞いたことがない。まあ、『汚い、さすがは忍者』ってやり口の非情さ、勝つために手段を選ばないダーティーぶりをネタにされることはあっても、それはそれで忍者っぽい褒め言葉の一環だし。忍者っていうだけで、何をやっても許されるというか、そんな感じ」
ケイP『確かに、武器で攻撃しても、魔法みたいな術を使っても、トラップを仕掛けたり解除したりしても、丹薬を使った治癒能力を持っていても、忍者だったら納得できますな』
翔花「だったら、私もこれからは忍者花粉症ガールを目指すよ。花忍キャプター3みたいに」
NOVA「いや、別に目指さなくても、普通に植物の精霊らしいことをやっていれば、そのまま忍者っぽいアクションになるんだけどな」
翔花「つまり、花粉症ガールは生まれつきの忍者ってこと?」
NOVA「そんなわけがあるか。お前は心に刃を乗せていない甘ちゃんだから、忍者とは言わない。ビャッコさんから、もっと危機に際した時の緊張感なんかを学べよ」
シロ「いいえ、新星さま。ボクの方が、翔花からいろいろ学ばせてもらってます。最初は未熟者と侮っていましたが、この翔花の資質はアリナ様も認めたとおり、他人の心を開く勇者の光。ボクの鬱屈した心も開放していただきました」
NOVA「翔花、お前がビャッコさんから学ぶべきことが少なくとも一つある」
翔花「何?」
NOVA「目上の人に対する礼儀だよ。お前、敬語くらい使えるようになれ。ゲンさんにも、ヒノキさんにも、みんな同じ友達感覚で接しているだろう。一体、何様のつもりだよ」
翔花「え? じゃあ、シロさんって呼んだ方がいいのかな?」
シロ「いや、ボクだったら、今までどおりシロちゃんでいい。ボクだって、翔花やゲンブのことは呼び捨てだし、仲間のことはそれでいいだろう。もちろん、アリナ様は仲間である以上に主君だから様づけだし、新星さまも師匠みたいに感じていますから。このボクに対して、ビャッコさんなんて呼び方はされなくても、シロと呼び捨ててくれれば」
NOVA「白は俺の枕詞みたいなものだからな。紛らわしいので、シーちゃんと言うのはどうだろう。シーサーのシーちゃん」
シロ「それでいいです。つきましては弟子入りをお願いしたいんですけど」
NOVA「断る」
シロ「え、どうしてですか?」
NOVA「シーちゃんが学ぶべきは時空魔術ではなくて、屋久島の自然の中にあるからな。彼の地に眠る大地の声に耳を傾ければ、君の目指す道が見つかるだろう。俺の道は虚空にあって、君の進むべきは確かな大地にある。自然の道は、俺には教えられんからな。シーちゃんは書物の研鑽で納得する娘でもあるまい」
屋久島の呼び声
NOVA「さて、ここで重要な話がある。翔花とシーちゃんは、これから屋久島に転移呪文で送り届ける。ゲンさんの引率はここまででいいだろう」
ゲンブ「しかし、今の九州南部の不安定さでは、転移呪文は危険なのでは?」
NOVA「ああ、屋久島周辺には結界が張られていて、外部からの侵入者を防ぐようになっている。許可された者しか侵入困難だ」
ゲンブ「それなら、どうするつもりでござるか」
NOVA「この俺が、許可された者なんだよ」
ゲンブ「何と。それはまことか?」
NOVA「半分はな。厳密に言うと、この5月に屋久島からのメッセージが俺に届いたんだ。『二人の幼子(ツイン・インファント)を屋久島に送るように by モスラ』って」
翔花「ええ、そんなの初耳だよ」
NOVA「みどりの日の話だよ。どうして、その日、俺がお前とケイPを屋久島に向けて、転送したと思う? それはモスラからのメッセージを受け取ったからなんだ。結果はうまく行かなかったけどな」
ケイP『どうしてでございますか?』
NOVA「俺は二人の幼子を、翔花とケイPのことだと解釈したんだ。当時、俺の周りに幼子といえば、お前たちしかいなかったからな。結果的に、お前たちは屋久島の結界に弾かれ、阿蘇のふもとに飛ばされたので、慌ててコンパーニュの塔に連絡をとって、回収してもらった。それから、モスラの求める二人の幼子とは誰なのか、謎解きが始まった。いろいろな可能性を考えてみたな。翔花の経験不足が問題かとも思い、ヒノキさんに鍛えてもらったり、モスラに関するヒノキさんの意見を聞いたり。そして得た結論は、幼子の一人は翔花で問題ないだろうけど、もう一人のケイPは該当しないのではないかってことだな。幼子の片割れはもう一人いるのではないか、と」
翔花「それって、もしかして妹の2号ちゃんのことじゃない? ほら、モスラさんって、双子の小美人が付き物じゃない。私と2号ちゃんでそういう役を担ったとか?」
NOVA「ああ、俺もそう考えて、今度は2号をコンパーニュに送って、ヒノキさんの意見を聞こうとしたんだ。すると運命のいたずらなのか、想定外のトラブルが生じて、2号は未来に飛ばされ、しかも帰ってきたときは成長して幼子じゃなくなった。つまり、2号は資格を得られなかったんだ。今後、あいつがモスラに関わるとしたら、バトルモスラすなわちバトラの方じゃないか、と思う」
シロ「すると、モスラの選んだ、もう一人の幼子とは一体?」
NOVA「それに対するヒノキさんの見解は、シーちゃん、君かもしれない、ということだ」
シロ「え、ボクですか?」
NOVA「そう。君はByplay Acolyteの称号を持つよね」
シロ「ええ、未熟な側仕えの巫女見習い程度の身ですが」
NOVA「Byplayとは、すなわち一人ではなく、共にplayする相方が必要だということだ」
シロ「ええ、そう考え、今までずっとアリナ様にお仕えしてきました。主君に仕えることこそ、我が忍びの道と決めた上で」
NOVA「そうだね。主君に仕える近侍の道、主役を支える脇役の道、それもByplayの道なんだけど、ヒノキさんは主君であって相棒とは言えない。ヒノキさんは、君の相棒になり得る相手として、うちの翔花を選んだんだ。そして、Acolyteだ。神霊に仕える侍祭とも巫女見習いとも解釈されるが、君は巫女としての修行をこれまでしてきたことは?」
シロ「ありません。それはあくまで称号であって、巫女に仕える忍びであることを旨として来ましたから」
NOVA「なるほど。これまでByplay Acolyteはヒノキさんの従者であることを示していたけど、ここで違う解釈を示し得るな。すなわち、モスラに導かれ、また導く二人の幼子の片割れ、と。Acolyteが巫女であるならば、何らかの神霊の言葉を伝える役目もあるわけで、それがモスラの司る大自然の声ではないだろうか」
シロ「そんなの買いかぶりすぎです。ボクにはモスラの声なんて聞こえませんよ」
NOVA「それを言うなら、翔花だって同じだろう」
翔花「うん、アストロモンスの声は聞こえた気がするけど、モスラの声は……どうだろう。よく覚えてないや。私は植物の声は時々聞こえるけれど、動物の声は専門じゃないの」
シロ「動物の声なら……分かります」
NOVA「つまり、翔花と君は二人合わせて、自然の声を完全に知ることができるんだ。モスラの元に到着するには、君たち二人の協力が必要だ、と俺は考える」
シロ「ボクが翔花と?」
NOVA「あくまで仮説だけどね。実証は今からする。この仮説が当たりなら、君と翔花は屋久島の結界を通してもらえるだろう」
ゲンブ「外れなら?」
NOVA「結界に阻まれ、海に落ちるかもな。その時は、ケイP、お前がマシンモードになって、二人を拾い上げるんだ。すぐに俺とゲンさんで救出に行く」
ゲンブ「分かったでござる。ラビットタンク、いつでも動けるように準備しておく」
NOVA「さあ、そうと決まれば、早速、転移呪文を掛けるぞ。至急、旅の荷物を準備してくれ」
翔花「うん、いわゆる冒険者セットの入った背負い袋だね。すぐにラビットタンクから取ってくる」
転移
NOVA「準備はいいな」
翔花「うん、バッチリだよ。屋久島で何が待っているか楽しみだな♪」
ケイP『翔花ママは相変わらず、単純で能天気ですな。転移が失敗したら、海にポシャンかもしれないのですよ』
翔花「大丈夫。その時は、ヒノキちゃんの用意した水着があるから、海の水でも溶けたりしないって。コンパーニュの全ての修行はこの時のためにあるんだから」
ケイP『温泉に入るのが修行なんて、花粉症ガールは気楽なものですよ、全く。転移が失敗すれば、私が拾い上げることになっているのですから、責任重大です』
シロ「ケイP、新星どのはお前のマスターではないのか。だったら、いついかなる時も信用すべきであろう。あそこまで説明されて、転移が失敗するなど有り得ん。新星どの、ボクは自分の資質を見極めてくれたあなたとアリナ様の眼力を信じます。必ず、屋久島でモスラと対面し、交流と覚醒の儀、成し遂げてみせます」
NOVA「ああ、シーちゃんは真面目だなあ。翔花のこと、よろしく頼むよ。自然の中でのサバイバルなど、君の忍びとしてのスキルが頼りなんだから」
翔花「そうそう。私、お外でのサバイバルなんて初めてだし、シロちゃんがいないと何もできないの。だから、全部シロちゃんに任せた。よろしくね」
NOVA「お前も人任せにしないと、自分でも学べ。できないこと、やりたくないことは全部、人に押し付けようとするなよ。自分に何ができるか考えて、しっかり連携をとって行動するんだ。いいな。助けられたら、その借りは必ず返し、互いに力を合わせるんだぞ」
翔花「うん、私も2号ちゃん、いいえ、晶華ちゃんに負けずに成長するから。また元気に会おうって伝えておいてね」
NOVA「分かった。じゃあ、今から飛ばすぞ。『マピロ・マハ……ラ・マハラ・ディロモスラ』って、何だ? 違う呪文が交じった?」
PON!
POPON!
小さな閃光3つと共に消失す。
ゲンブ「消えたでござる」
NOVA「ああ、確かに手応えはあった。間違いない」
ゲンブ「おお、新星どの。南の方を見てくだされ。何やら光の柱が立ち上っているようだが」
NOVA「屋久島を包む結界が開かれ、翔花たちを無事に受け入れたようだな」
ゲンブ「まことに? お、光が消えた」
NOVA「再び結界が張られたようだ。これで、外からの干渉は容易に行えなくなった。俺たち大人にできることはここまでだ。後は、向こうで子供たちの頑張りに期待するしかない」
ゲンブ「名残惜しいが、粉杉どのとケイP、それにシロなら必ず使命を成し遂げると信じよう。我はコンパーニュヘ戻ることにする。一緒にどうかな」
NOVA「いや、俺も自分の塔に帰るわ。そっちでも娘が待っているんでな。片付けないといけない用事もあるし、幻の状態じゃ、温泉も楽しめそうにない。ラビットタンクに乗ってくれ。そうすれば、帰還呪文のバシルーラでコンパーニュまで送ってやる。その方が早いだろう?」
ゲンブ「かたじけない。アリナ様のことも心配だ。新星どのの言葉を疑うわけではないが、それでも無事な姿をこの目で確かめないとな」
NOVA「ああ、こっちの状況報告もお願いする。ヒノキさんも心配しているだろうしな。『タイムジャッカーの襲撃は切り抜けた。翔花とビャッコは無事に屋久島へ受け入れられた』って伝えてくれ」
ゲンブ「分かった。伝説の時空魔術師の活躍とともに、語り伝えるでござる」
NOVA「まあ、程々にな。この物語の主役は、俺じゃなくて翔花なんだから」
こうして、ゲンブはコンパーニュへ帰還し、NOVAは新世界の晶華の待つ〈夜明けの尖塔〉に戻った。
一方で、翔花とシロ、ケイPの屋久島での試練はこれからが本番となる。果たして、彼女たちの行く手に立ちはだかるものは? 全員無事に、モスラの元へと到達できるのか?
(今話完)