花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク3(2版)

ゼロ年代の復活ウォーハンマー

 

ヒノキ「前回は、我がコンパーニュの三獣士の先鋒であるセイリュウ・ジュニアと、花粉症ガール2号のアッキーこと粉杉晶華が、ウォーハンマー初版で対決し、『酔っ払いアル中エルフ』という色物キャラを生み出したアッキーが勝ちを収めた」

NOVA「アル中になるという5%の確率で、まさかキレイに02を出すとは、素晴らしいダイス芸だ。ふつうは、そんなに上手くは出せないぞ」

晶華「私は、普通じゃない時空魔術師の娘だし。きっと、これも確率を操作する『混沌の渦』の影響ね」

NOVA「『混沌の渦』だろうが何だろうが、楽しませてくれるなら何でもいい。では、次に翔花とシロ君の番だ。準備はいいか?」

翔花「う〜ん、アキちゃんほど上手くはできないと思うんだけど……」

シロ「大丈夫だ、翔花。困ったときは、ボクがサポートするから」

翔花「うん、そうね。シロちゃんがいっしょなら百人力よ」

シロ「翔花がそう言ってくれると、ボクも心がハピネス満開だ❤️」

 

NOVA「(小声で)ヒノキ姐さん、どう思いますか?」

ヒノキ「まあ、これも若さじゃろう」

NOVA「俺、ラブコメって苦手なんですよね」

ヒノキ「しかし、趣味愛を語るのは好きじゃろう」

NOVA「とにかく、翔花とシロ君はガイア様から認められた巫女と皇子のパートナーって話なんですが、2人の関係性ってあっさり引っ付けてよろしいものですかね?」

ヒノキ「それは当人同士で決めれば良かろう。保護者が口を挟むものではない」

NOVA「いや、保護者だからこそ、口を挟むべきものでは?」

ヒノキ「まあ、今はなかよしの関係で微笑ましく見ておればいい。互いにいたわり合う心で成長できればよかろう。これが恋愛脳がこじれて駆け引き云々と手管を弄するようになれば、不純にもなろうが、ガイア様に認められた巫女なれば、そうそう過ちを犯すこともあるまい。粉っちゃんは純粋じゃ。シロは……揺れ惑う時もあろうがの」

NOVA「シロ君が? どういう風に?」

ヒノキ「今は、そういう話をしている場合じゃない。それよりウォーハンマーじゃろ?」

NOVA「実のところ、俺、ウォーハンマーの第2版って、そんなに愛着がなかったんですね」

ヒノキ「今さら何を言う?」

NOVA「これってルールブックが出たのが2006年の年末なんですが、俺、その時期、事故で足の骨を骨折して入院していたんです。だから、いつ買ったんだろうかって疑問に思ったんですが、たぶん、歩けるようになって久々にゲームショップに行ったら、そこで見つけて、懐かしい気分に駆られて衝動的に買った……のはいいものの、当時は務めていた塾を辞めて、その後、夏に自分の教室を立ち上げるに至った時期だから、収入が不安定で先行きが見えず、その後のサプリメントまで追いかける余裕はなかった。まあ、D&D4版と同じような形ですな」

ヒノキ「それが何故、今になって?」

NOVA「D&D5版が出てから、4版をもう一度勉強し直したのと同じで、ウォーハンマー4版が出てから改めて2版を勉強し直した形なんです。で、2版が初版を整理し直した作品として理解。まあ、初版から削られた部分とか、膨らませた部分とか、4版で復活した要素とか、版上げによる諸々の変化を確認した次第です。2版は、サプリがいろいろ出たのですが、当時のサポート雑誌『GAME JAPAN』を俺が読んでいなかったし、連載リプレイも単行本になってなかったので、TRPGは文庫リプレイメインで追っかけていた当時の自分にとって、ウォーハンマーの動向が見えていなかったわけです」

ヒノキ「なるほどな。しかし、ルールブックさえあれば、キャラ作りには支障あるまい。過去の経緯よりも、今を楽しめるなら、ルールブックだけでも買った自分を誇らしく思うんじゃな」

NOVA「プレイする当てもないのに、何だかルールを買いたくなるコレクター気質ですからな。それでも、ブログ記事にできるなら、無駄な買い物だったと思わずに済むわけで」

ヒノキ「後は、この記事が無駄な記事と思わなければ良いな」

NOVA「そうならないよう、翔花とシロ君が楽しいキャラ作りをするよう、見守りましょう」

 

翔花とシロの共同作業

 

翔花「シロちゃんといっしょにキャラ作りをするのって、ずいぶん久しぶりだね」

シロ「ああ、あれは忘れもしない、翔花と初めて会ったばかりの頃だった」

 

(モヤモヤ回想シーン)

翔花「何だかずいぶん懐かしい話だけど、シロちゃんがやけにツンツンしていたんだね」

シロ「あの頃はコンパーニュ以外の世界をあまり知らず、父さんを殺した仇への復讐心でいっぱいだったからな。でも、翔花がボクの心を温めてくれたんだ」

翔花「わたしも、ヒノキちゃんやシロちゃんからいろいろと教えてもらいました。字だって普通に書けるようになったし、掛け算も割り算もできる。今は小数とか分数に苦戦中だけど」

シロ「それはボクが教えたんじゃないと思うけど。まあ、いいか。とにかく、ウォーハンマーだったな。翔花といっしょのキャラ作り♪ こんな日が来るなんて夢みたいだ」

翔花「ルールブックは全部で300ページ弱。キャラ作りに必要なのは15ページから、キャリアとか技能とかが書いている100ページまで。ただ、キャリアや技能なんかはキャラを作りながら、自分に関係したところだけ読めばいいから、とにかく必要な部分だけ読めってNOVAちゃんが言ってた」

シロ「必要なところか。とりあえず、15ページを開けると、最初は種族から決めるんだったな。エルフ、ドワーフ、人間、ハーフリングって順に載ってるが、好きなのを選んでいいのか?」

翔花「リウ君、あ、今はジュン君だっけ? が人間で、アキちゃんがエルフだから、残ったドワーフかハーフリングがいいんじゃない? シロちゃんはどっちがいい?」

シロ「忍者に近いのはハーフリングだから……って、それだと翔花がドワーフになるのか。それは何だかイヤだから、アッキーが決めたランダム種族表を使えばいいんじゃないか? 確か、こんな感じだったか」

 

・1〜3:人間

・4:エルフ

・5:ドワーフ

・6:ハーフリング

 

翔花「じゃあ、わたしから振るね。(コロコロ)5、ドワーフ

シロ「何でだよ!? 翔花のイメージが……」

翔花「わたしは別にドワーフでもいいんだけどな。ドワーフの可愛い女の子ってふつうでしょ?」

シロ「ソード・ワールドラクシアだったら、女ドワーフはロリ少女だけど、オールドワールドのドワーフってモヒカンヒャッハーな外見だろ?」

ホビージャパン ウォーハンマーRPG ルールブック TRPG

翔花「それはトロールスレイヤーとか、上級職の巨人殺しだって、NOVAちゃんが言ってた。全てのドワーフさんがモヒカンってわけじゃないって」

シロ「でも、ドワーフの女性ってどうなんだ?」

翔花「わたしは戦士を目指す。だからドワーフでも問題ない。それがダイスの決めた運命なら受け入れる」

シロ「仕方ない。オールドワールドのドワーフ女性に髭が生えていないことを願おう」

 

 4版の豪華なルールブックには、女ドワーフの刀鍛治のカラーイラストが載ってます。マッチョに鍛えられた姐御風だけど、髭は生えてません。まあ、頬髭ぐらいなら生えていてもいいのかな、とNOVAは考える。

 

シロ「とにかく、ボクは(コロコロ)2だから人間になった」

 

整理された能力値

 

翔花「初版の能力値(プロフィール)は14種類だったけど、2版は主要プロフィールと、副次プロフィールに分けられて、それぞれ8種類だって」

シロ「16種類に増えているんだな。(ルールを見て)ああ、%判定で使うのが主要プロフィールか。8つの主要プロフィールだけを、種族ごとの基本値に2D10を足して決めるんだな。副次プロフィールは、固定値1回の攻撃回数とか、種族ごとの固定値になった移動力とか、HPみたいな耐久力とか、運命点とか、主要プロフィールから導き出される筋力ボーナスと頑健力ボーナスとか、最初は0の魔力点と狂気点か。ダイスを振る必要のあるのは、耐久力と運命点だけ。確かに整理されていると思う」

        人間  エル ドワ ハー

武器技術度   20   20  30  10

射撃技術度   20   30     20  30

筋力      20   20  20  10

頑健力        20   20  30  10

敏捷力     20   30  10  30

知力      20   20  20  20

意志力     20   20  20  20

協調力     20   20  10  30

 

シロ「初版と2版の違いは以下のとおりだな」

 

・武器技術度で、エルフが30→20に減少。

・射撃技術度で、エルフが20→30に増加。ドワーフが10→20に増加。

・筋力が1ケタ表記から他と同じ2ケタ表記になり、それに応じて数値も全面的に見直される(1→20、0→10)。従来の筋力(1ケタ表記)は筋力ボーナスという呼称で、副次プロフィールに。

・強靭力が頑健力に訳語変更。1ケタ表記から他と同じ2ケタ表記になり、それに応じて数値も全面的に見直される(2→30、1→20、0→10)。従来の強靭力(1ケタ表記)は頑健力ボーナスという呼称で、副次プロフィールに。

・反応度が消失。素早く反応する判定は敏捷力に、何かに気づく判定は知力に統合される。

・器用度が敏捷力に訳語変更。

・統率度が消失。社交関係の判定は協調度、改め協調力に統合される。

・知力度から度が消える訳語変更が為され、種族共通の20になった。エルフだけ頭が良いということがなくなった。

・冷静度と抵抗度は意志力に統合され、種族共通の20になった。とりわけエルフの優位がなくなった。

 

シロ「初版のエルフ偏重が下方修正されて、接近戦で強かったのが、射撃重視に変わった。おそらく、その間に公開された映画『ロード・オブ・ザ・リング』(2001〜03)の影響で、エルフのレゴラスの超絶射撃描写のインパクトが大きかったんだろうね。まあ、続編(前日譚)の『ホビット』の2作め以降(2013〜14)のレゴラスは、原作小説のエルフ像同様、射撃に負けず劣らず接近戦でもすごい描写がされたけど」

翔花「じゃあ、4版ではまたエルフの武器技術度が30に上がったかもしれないのね」

シロ「その辺の検証は、後で新星さまに任せるか」

 

NOVA「いや、今、答えておこう。4版のエルフはまた武器技術度が30になって、接近射撃の両方できる万能キャラになった。他に知力や意志力がまた30になったり、初版の40みたいな極端なことはないけど、2版よりも強くなったと言えよう」

翔花「ふ〜ん。だったら、もう一つ質問。近年のエルフといえば、フリーレンさんとゴブスレの妖精弓手さんが旬だったけど、酔っぱらいエルフってゴブスレさんのエルフが元祖じゃない?」

NOVA「元祖かどうかは知らないけど、妖精弓手はアル中とまではいかないだろう? アル中エルフってのは、俺の知る限り前例がない。ワイン好きエルフは、ホビットのエルフ王のイメージが強いが」

翔花「ついでに質問。アル中はアルコール中毒の略だけど、RPG(アールピージー)中毒って意味でも使えない? 衝動的にRPGのルールブックを買いたくなっちゃうとか、買わずに済まそうと思えば、意志力判定が必要とか?」

NOVA「ゲッ、すると俺はアル中ならぬR中だったのか〜(悩みながら退場)」

 

翔花「これで邪魔者は消えた」

シロ「って、新星さまは邪魔なのか?」

翔花「だって、ゲームブックに夢中で、妖精郷のGMをしてくれないもん。お願い、シロちゃん。また、去年の年末みたいに妖精郷のGMをしに来てよ。シロちゃんだけが頼りなんだから」

シロ「う〜ん、そう頼まれると断りきれないんだけど、今はウォーハンマーのキャラ作りの時間だ。妖精郷の件は、後で新星さまやアリナ様と相談してみる」

翔花「じゃあ、約束したからね。では、改めてサイコロを振って、主要プロフィールを決めて行くわ」

 

 コロコロを繰り返して、

翔花のドワーフキャラ(主要プロフィール)

 

武器技術度:35

射撃技術度:32

筋力   :23

頑健力  :35

敏捷力  :21

知力   :34

意志力  :32

協調力  :26

 

翔花「ふえ〜ん、出目が低くて、いまいちパッとしない能力になっちゃった(涙目)。ドワーフと言えば、武器技術度と頑健力が30あって長所なのに、どちらも2D10の出目が5なんてひどいわ」

シロ「ドワーフが向いていなかったんじゃないか? 射撃技術度とか、敏捷力とか、知力とか、そっちのダイス目は期待値以上を出しているんだから」

翔花「種族の弱点で高い目を出したって、結局、人間と大差ないじゃない。筋力なんて、出目3っていう最低値の一歩手前なんだから」

シロ「う〜ん、だったら、2版の特別ルール『シャリアの慈悲』を使ったらどうだ?」

翔花「シャリア様って、確か癒しの神様よね。わたしのボロボロのダイス目を癒してくれる?」

シロ「ええと、自分の能力一つを種族の平均値(出目11)に置き換えていいルールなんだって」

翔花「すると、武器技術度か筋力を選ぶといいのかな」

シロ「だったら、命中率を確保するために、武器技術度を勧めるな。攻撃が当たらなければ意味がない」

翔花「そうね。シロちゃんの言うとおりにするわ。これで、わたしのドワーフちゃんの武器技術度は35から41に上がった」

シロ(力よりも技の方が、翔花っぽいもんな。でも良かった。ドワーフだけどマッチョじゃなくて、敏捷とか、知力とかが高いなんてミスマッチが翔花らしさかも。本当は、協調力が16で最高の出目なんだけど、ドワーフは協調力が10で元が低いからなあ。でも、翔花のイメージは大きく崩れなかったってことで)

翔花「シロちゃん、何をニヤニヤしてるの?」

シロ「い、いや別に、ニヤニヤなんてしていない。ニャーニャーしてるんだ(=^ェ^=)」

翔花「そっかあ、ネコだもんね」

シロ「ああ、猫屋敷家の主従が早く、ぷりきゅあに変身しないかなあって楽しみにしてるところだ」

翔花「それもいいけど、シロちゃんも早くサイコロ振ってよ。次に進みたいんだから」

シロ「(何とかゴマかせた感じだな)分かったよ」

 

 また、コロコロを繰り返した。

シロの人間キャラ(主要プロフィール)

 

武器技術度:33

射撃技術度:29

筋力   :39

頑健力  :29→シャリアの慈悲で31に置き換え

敏捷力  :30

知力   :37

意志力  :31

協調力  :34

翔花「平均して、出目が良すぎでしょ。最低が9なんて」

シロ「おかげで、『シャリアの慈悲』の置き換え効果があまり美味しくないな。2点増えただけだし」

 

翔花「じゃあ、次は副次プロフィールね。ほとんどは自動的に決まるので、ダイスを振るのは耐久力と運命点だけ」

翔花のドワーフキャラ(副次プロフィール)

 

攻撃回数:1回

耐久力:11

筋力ボーナス:+2

頑健力ボーナス:+3

移動力:3

魔力点:0

狂気点:0

運命点:3

 

翔花「やっちゃった。ドワーフは耐久力が11〜14になるんだけど、最低値を出しちゃったし」

シロ「だけど、運命点は1〜3で最高値の3を出したじゃないか。やっぱり、打たれ強いのは翔花っぽくないけど、運命に愛されているのは翔花らしいと思う」

翔花「そうかな」

シロ「そうだよ。じゃあ、次はボクが決めるから」

シロの人間キャラ(副次プロフィール)

 

攻撃回数:1回

耐久力:13

筋力ボーナス:+3

頑健力ボーナス:+3

移動力:4

魔力点:0

狂気点:0

運命点:3

翔花「やっぱりズルい。人間なのに、ドワーフ以上の耐久力と筋力ボーナスなんて(ジトッ)」

シロ「(翔花のジト目が可愛い😍。それが見られただけで、いっしょにキャラ作りして良かった😸)あっ、これは全て翔花を守りたいって想いの発露で……そう、誰かを守りたいって気持ちがダイス目に力を与えてくれたんです」

翔花「だったら、わたしもシロちゃんのキャラを守りたいって願ったら、ダイス運が良くなるかな」

シロ「つまり、さっきまでは守りたいって思ってなかったんだね」

翔花「自分のキャラが強くなることしか考えてなかった」

シロ「それじゃあ、ダメだな」

翔花「え、ダメなの?」

シロ「何のための力か、それを見失って、ひたすら強さだけを求めるのではいけないと思うよ。誰かを守るため、または誰かを笑顔にするため、自分じゃない誰かのために力が欲しいと願ってこそ、ヒーローの奇跡だって起こせる。ボクは去年のプリキュアからそう習ったんだ」

翔花「……そうね。確かにその通りだった。わたし、自分のことしか考えてなくて、みんなの笑顔って目的を忘れていたよ。それを思い出させてくれて、ありがとう、シロちゃん♪ もう少しで、わたし、取り返しのつかない過ちを犯すところだった。力に溺れて、ダークスカイみたいになるところだった」

シロ「いや、それほど大袈裟なものじゃないと思うけど。ボクは翔花といっしょにキャラ作りができるのが楽しいと思うし、翔花もいっしょに楽しんでくれたらいいなあ。ただ、ダイス目で一喜一憂されて、恨まれてしまうのは勘弁。キャラ作りはゲーム、遊びなんだから、もっと楽しまないと」

 

ヒノキ「どう思う、新兄さん?」

NOVA「う〜ん、どうしてTRPGのキャラ作りで、こんな茶番のドラマを演じられるのか、俺には不思議でなりません(苦笑)」

ヒノキ「これも若さなんじゃろうて」

NOVA「何でも若さで納得するのって、安易すぎやしませんか?」

ヒノキ「しかし、お前さんだって、若さを期待して、ニチアサを毎週見ているんじゃろう? だったら、目の前の若さを肯定せずにどうする? 達観して、上から目線で見下ろすだけでは味わえぬ美酒がここにあるとは思わんか?」

NOVA「娘2人に邪魔呼ばわりされましたからね、俺……」

ヒノキ「何じゃ、気にしておったのか」

NOVA「これって反抗期なんですかね」

ヒノキ「まあ、人間同士の距離感の問題は難しい。それは人と精霊の間だって変わりない。程々の距離感というのが精霊使いの心得でもある。炎の精霊に近づきすぎると火傷する。火傷を避けようと思えば、結界を張って炎が触れられないようにするか、自らを炎と同化するまで一体化するか、どちらにせよ一長一短じゃ。精霊との一体化は精霊使いの目指すべきところじゃが、それは他の種類の精霊を拒むことにもつながり、別の可能性をもつぶすことになる。その中で共依存の一体化を目指すか、あるいは広く複数の精霊との関係をバランスよく維持するか、限られた時間で人は選択しなければならん」

NOVA「何だか話が広がってやしませんか?」

ヒノキ「お前さんは知識や理論系の魔術師じゃから、精霊のような共感系の魔術の扱いに慣れておらん。考えるな、感じろ、と理屈では分かっていても、自然な感性であるがままに感じる段階までには至っておらぬ。それゆえに、大切な存在との間に不協和音や亀裂が生じても、気付かなかったりするのじゃろう?」

NOVA「俺が鈍感ってことですか?」

ヒノキ「自分の興味には敏感な癖に、他人のことには鈍感なのはよくあることじゃ。しかし、人は全てを気にして生きて行けぬものじゃからして、せめて周囲の明らかな変化の兆候には迅速に対応して行かんとな」

NOVA「年をとって、感性の衰えもあって、昔は気付けたことが気付きにくくなっていることもあるのでしょうな」

ヒノキ「それゆえに、気付いた周囲の助言を大切にしなければ自己の判断力を過信しすぎて、破滅することもあろう。身内の信を失って、絶望のあまり妄魔時王の闇に飲み込まれぬようにな」

 

種族の技能と異能

 

翔花「次は、キャリアを決める前に、種族でもらえる初期技能と異能を決めるんだけど」

シロ「初版の133個もあった技能が、2版では技能と異能に分かれたんだな」

翔花「うん。技能は細かいサブ技能を除けば47種類。訓練によって身に付けて、熟達することが可能な技だって」

シロ「例えば、ボクの料理技能だな。ウォーハンマーでは、〈職能(料理人)〉に分類されるらしい」

翔花「〈職能〉は、日常職業的な技ってことね。趣味ではなくて、仕事として収入が得られる系の。もちろん、世の中にはいろいろなお仕事があるから、それぞれがサブ技能になるわけで」

シロ「別にボクは料理人として収入を稼いでいるわけじゃないけど、コンパーニュの主にデザート系料理係(パティシエ)としてプロレベルの技を持つ(って設定だ)からな」

翔花「うん、シロちゃんの作るケーキは美味しいし」

シロ「弱点はネコ舌だから、熱い料理の味見がしにくいことだけど、アリナ様直伝のホット料理も作るぐらいならできる。ただ、自分で味が確かめられないから、細かい味付けにハンデがあるんだな。まあ、うちは個人の好きに醤油やソース、ケチャップやマヨネーズ、マスタードとか七味、胡椒などテキトーにかけて食べてるけど。ドレッシングとかなら、自分で作ることもできるし」

翔花「作れるけど、自分で味見ができないってのは料理人として厳しいわよね」

シロ「趣味で作るとか、自分だけの食べ物でいいなら、好きに作ればいいんだけど、人様からお金を取れるようなレベルにしようと思えば、無責任な腕じゃ職人として通用しない」

翔花「あとは身内さえ喜んでくれたら、それでいいというレベルもあるけど、商品にするなら相応の目利き、鑑識能力がないとダメってことね」

シロ「イス作り職人が、座ったらガタガタ揺れるイスとかを作ると恥ずかしいし、もしも釘とかが飛び出していたら、身内にだって座らせたくない」

翔花「座ったら、座板がバキっと割れて、尻餅ついてしまうイスなんて、まず自分で座って確認して欲しいものね」

シロ「物理的な見た目で分かるものづくりなら簡単に不良品をチェックできるんだけどな。さすがに『このイスは、この座板の薄さがいいんだよ。座る際にバキッと壊れてしまわないかドキドキしてヒヤヒヤするのが醍醐味だ』なんてマニアはいないと思う」

翔花「『釘が出ていて、ケガしちゃったよ。だが、それがいいなんて人も珍しいと思う。もちろん、罠を仕掛けたくて、座ったらクギが飛び出すように細工したイスなら別だけど」

シロ「利用した者を傷つける製品を、わざと作る職人か。それはイヤだな。まあ、製造物責任法に訴えられても仕方ないけど、単に職人が下手なのか、それともトラップ職人としては高度な技なのか、判断に迷う」

翔花「創作や料理なんかは心に訴えるところが、物理的な機能優先の物とは違って、評価が変わってくると思う。世の中には辛すぎる料理を美味しく食べる人もいるし、辛すぎるバッドエンドで涙を流す作品を愛する人もいる。もちろん、合わない人には全然合わないんだけど、感性に訴えかける系の商品は世間一般には劇薬に映っても、上手い下手を越えて一部の愛好家が評価してくれるケースもあったりするわけで」

シロ「技術的に下手でも感性が合う作品なら、楽しんで読めることもあるけど、どんなに上手でも好みの感性が合わなければ、楽しみ方が分からない。味わう方にも相応の知識や感性が必要だったりもするのが、ハートに訴えかけるタイプの商品もしくは作品だな」

翔花「作家の示す感性と、自分の感性が通じれば素敵な出会いだし、作風ってそういうものだと思う。でも、流行ものに飛びつくフットワークの軽さとか器用にマネできる一定以上の技術とか、オリジナリティはないけどコピーする能力(盗作とは違う)が高くて、しかも量産できるだけのスピードを備えた人が重宝されることもある」

シロ「モノマネ芸人にも通じるものがあるな。そのコピー能力の高さが売りということもあるけど、第一人者とか時代を変革することはできないか」

翔花「何かを創造する人も必要だけど、追随してジャンルを賑わせる軽さ、時流に上手く乗れる才能も業界には必要なのよ。もちろん、それを続ける情熱や根気強さが大事なのは言うまでもないけどね」

シロ「職人にとっては、開拓する力や独創性も大事だけど、コツコツ飽きずに続ける愛着や執着も大事ってことだな。そして、技能だったら、続けて行く経験点で成長させられる」

 

翔花「でも、異能は違う。たぶん、〈花粉分解〉による回避はわたしか双子のアキちゃんにしかできない異能よね」

シロ「そんなのもウォーハンマーにはあるのか?」

翔花「ないわよ。ウォーハンマー第2版のルールブックには、83個の異能があるけど、〈花粉分解〉みたいな技はなかったわ」

シロ「〈花粉分解〉は魔法か何かじゃないのか?」

翔花「さあ。別に呪文を唱えたりしているわけじゃないけど、たぶん種族〈杉花粉の精霊少女〉に与えられた特殊能力ね。メデューサの石化能力とか、スライムの擬態同化能力に近い何かじゃないかしら」

シロ「忍者の影分身とは違うのか?」

翔花「そっちはたぶん、ウォーハンマー的には異能に分類されると思う。もっとも、ウォーハンマーの世界には忍者ってキャリアはないけど」

シロ「オールドワールド(中世ヨーロッパを模した世界)やエンパイアにいないだけだろう。確か、この世界の極東にはニッポンだってあるし、アメリカを模したニューワールドだってあると、リプレイで読んだことはある」

翔花「そうなの? だったら、ニッポンサプリを読めば、〈杉花粉の精霊少女〉って種族かキャリアだって用意されているのかしら?」

シロ「ニッポンサプリがあるかどうかも知らないし」

 

 英語版Wikipediaで、商品リストを調べたけど、ありませんでした。

 ニッポンは初版では設定されていたけど、冒険の舞台がもっぱらオールドワールドのエンパイア周辺に限定されるようになった2版以降は、ファンが独自に作らないと公式に語られることもないようです。

 まあ、初版の友野リプレイでは、ニッポンから来たらしいNPC少女がオールドワールドの港町マリエンブルグで、プレイヤーキャラのハーフリングと紡ぐ悲劇ドラマが展開されました(錬金術ホムンクルス少女に関するネタでした)。やはりニッポンのことは日本人がオリジナル展開しないといけないのでしょうけど、今の翻訳態勢では勝手にそこまでできないのでしょうね。

 ホビージャパンがリプレイを単行本で出版できなくなったのも、本国のチェックが厳しくなったからとのこと。日本オリジナルの関連商品を出版するなら、英訳して本国でチェックできるようにしろという要求がD&D4版以降ではあったようで、今は翻訳ゲームを日本で独自展開するにも壁があるっぽい(ホビージャパン以外の一部ゲームでそれをやってる方も中にはいる。『比叡山炎上』の朱鷺田さんとか)。雑誌連載や、ネット上の記事なら今のところ問題ないらしいけど。

 ところで、キャラ作りの話から、寄り道脱線していないかね、君たち。

 

翔花「天の声に見せかけたNOVAちゃんに言われたくない。NOVAちゃんに他人の寄り道脱線をどうこう言う資格はないと思うの」

 

 さいですか(シクシク)。

 

シロ「まあ、そろそろ1万字越えたみたいだし、ここらでまとめに入らないと、読者さんもうんざりするだろう。ええと、要するに異能ってのは、技として後から習得できない個人の先天的な才能とか、種族や職業独自の特殊能力とか、何だか不思議な技っぽい何かってことでいいのかな」

翔花「魔法を使う能力も異能なのよね。《第六感》とか《強靭》とか《長視野》とかも異能なんだけど、《武器落とし》とか《礼儀作法》とか《ものまね》みたいな普通に学べそうな技っぽいのも異能になってる。基準がよく分からないの」

シロ「確かにそうだな。〈大酒飲み〉は異能じゃなくて技能になってるし。ルールブックによると、判定(テスト)に直接用いるのが〈技能〉で、判定にボーナスを与えたり、特殊な使い方をするのが《異能》と区別されているようだ」

翔花「一応、使い方によって整理しているのね」

シロ「D&Dの技能(スキル)と特技(フィート)みたいな物とも思うけど、とにかく初版の未整理だった技能が、技能と異能に分類されたってことだな。前者が熟達して成功率を上げることが可能で、後者は習得しているかどうかで熟達とは関係ない」

翔花「《花粉分解》は回避判定にボーナスを与える異能だけど、〈打撃回避〉の技能と組み合わせて使うってこと?」

シロ「もしも、ウォーハンマーの世界に《花粉分解》があれば、そう解釈できるルールなんだろうな。基本ルールにはないけど」

翔花「わたしをキャラ再現しようと思えば、何とか《花粉分解》を独自ルールで作らないといけないようね。まあ、いいわ。わたしのドワーフ娘が《花粉分解》できないことは分かってるし」

 

シロ「で、技能と異能を今から決めるわけだが」

翔花「必要ないわ。ドワーフの技能と異能って最初から決まってるし」

 

ドワーフの技能:〈言語(カザリッド語)〉〈言語(ライクシュピール)〉〈常識(ドワーフ)〉〈職能(鉱夫/鍛冶屋/石工)〉

ドワーフの異能:《怨恨》《肝っ玉》《壮健》《ドワーフの技》《魔法耐性》《夜目》

 

翔花「プレイヤーが決めないといけないのは、職能の3つから1つを選ぶことだけ。わたしは石工になるわ。力仕事は不向きだけど、手先の器用さ(ルール上、敏捷力と同義)は種族の平均並みにあるから、石の彫刻は器用に作れるの。鍛治や鉱夫は筋力を要するけど、石工は敏捷力で判定するから」

シロ「カザリッド語はドワーフ語。ライクシュピールはエンパイアの中心であるライクランドの共通語ってことだな。要するに、人間社会の標準語。それにしても、異能の《怨恨》って何だ?」

翔花「ドワーフは各種のゴブリン族に激しい恨みを抱いているの。だから、ゴブリンに対して武器技術度が+5%される。生まれながらのゴブスレさんってことね」

シロ「ウォーハンマードワーフは、『ゴブリンどもはみなごろしだ』ってセリフが普通にハマるんだな」

翔花「《肝っ玉》は恐怖や〈威圧〉なんかに抵抗するための意志力テストに+10%。《壮健》は重装鎧を着ていても、移動力にペナルティを受けず、鎧の重さを無視できる。《ドワーフの技》は指定の〈職能〉に+10%のボーナス。これで、私の〈石工〉は31%の成功率になった」

シロ「あまり優秀な数字には思えないけどな」

翔花「今は駆け出しの趣味でしかないけど、これから練習して上手くなるのよ。ゴブリンを殺して、経験を積みながら、石の罠をいっぱい作ってやるんだから」

シロ「〈石工〉技能って、彫刻とかじゃないのか?」

翔花「石の壁にトラップを仕掛けて、ゴブリンを仕留めることだってできるはず」

シロ「それには、〈罠設置〉なんかの技能も必要そうだけどな」

翔花「《魔法耐性》は、魔法に抵抗する意志力テストに+10%。《夜目》は暗い洞窟でも目が見える暗視能力。人間にはない技ね」

シロ「人間も一応、ランダム習得できるかもしれないんだけどな。じゃあ、次は、ボクの人間キャラだ。これで、この記事も終わらせるぞ」

 

・人間の技能:〈言語(ライクシュピール)〉〈常識(エンパイア)〉〈世間話〉

・人間の異能:ランダムに2つ

 

シロ「よし、何が出るかな。(コロコロ)78と68」

翔花「《壮健》と《第六感》。ズルい」

シロ「何でだよ!?」

翔花「わたしの《壮健》と、アキちゃんの《第六感》を合わせ持つなんて、マネをしないでよ」

シロ「たまたま出ただけだよ」

翔花「ええい、出目を入れ替えてやる! 87と86だと?」

シロ「どっちも《暗算力》だ。計算が得意で、〈賭博〉と〈方角案内〉のテストに+10%。その他、計算に関する〈察知〉テストに+20%とあるな。こう言うのは、ジュニアが得意そうだ」

翔花「わたしは計算が苦手なのに? そんなのズルい」

シロ「出目を入れ替えてまで、ズルいって言うな。とにかく、ボクの異能は《壮健》と《第六感》だ。ズルくはない。これも、翔花を守るための力だからな」

翔花「分かった。今回は、サポートありがとう。次回も、しっかりサポートお願いね」

シロ「ああ、ボクはガイア様から選ばれた翔花の公認パートナーだからな」

(苦手なラブコメモードで、当記事 完)