花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク9(4版その3)

年少チームの前置き雑談

 

翔花「なかなかキャラクターが完成しないね」

晶華「NOVAちゃんがキャラ作りに専念しないで、マンガとか浮世絵とか嬉々として寄り道脱線蘊蓄に走ってるからよ」

シロ「おかげで、思いがけない勉強になる。こういうのを何て言ったか、ええと掘り出し物がどうこう……」

晶華「セレンディピティ?」

シロ「そう、それだ。TRPGのキャラ作りから、雑学知識が得られるなんて……」

ジュン「さすがは時空魔術師さまですぅ。古今東西の生き字引みたいな博学ぶりがお見事ですねぇ」

晶華「おかげで関係ない話に脈絡なく飛んで、追っかけたり、まとめたりするのも一苦労よ。とっ散らかり放題というか」

翔花「まあ、それがNOVAちゃんの良いところなんだから」

晶華「整理できないところが?」

翔花「発想力の広がり具合とか、いろいろ調べる好奇心とかじゃない?」

ジュン「ところで、時空魔術と言霊魔術の弟子のアッキーさんに質問がありますぅ」

晶華「何? 知っていることなら答えてあげる。知らないことなら、NOVAちゃんを召喚するわ」

シロ「というか、普通は魔術師が精霊を召喚したりするもんだろう? 何で、精霊娘が魔術師を召喚するんだ? 普通は逆だろう」

晶華「NOVAちゃんは普通じゃないからね。それより、質問は何?」

ジュン「リウのジン・スターチェイサーなんですけどぉ、オールドワールドって人間社会はドイツ語圏内なんですよねぇ。だったら、スターチェイサーは英語よりもドイツ語の方がいいのではぁ?」

晶華「まあ、そういう風にこだわるなら、ドイツ語で『星を追う者』って言葉を調べたらいいと思うわ。でも、フランス(ブレトニア)出身のムッシュー・クロワッサンなんて公式キャラもいたんだし、オールドワールドに英語が混じってもいいんじゃないかしら。元々はイギリス産のゲームなんだし、そもそもオールドワールドやエンパイアだって英語でしょ」

シロ「確かにそうだな。もしもドイツ語にこだわるなら、アルトヴェルトとか、カイゼルライヒと呼ぶべきだろうし」

翔花「シロちゃん、ドイツ語が分かるの?」

シロ「いや。今、ネットで調べた。スターチェイサーはドイツ語でシュテルンフォルガー(Sternvolger)かな?」

ジュン「すると、ジン・スターチェイサーと、ジン・シュテルンフォルガー、どっちがいいと思いますかぁ?」

晶華「ドイツ語の方が格式張っているというか、響きが重い感じね。英語の方が分かりやすくて軽妙感がある。自分のキャラに欲しいのが重厚感か、それともポップな感じなのかで選んだら? 実際にプレイするのに音の響きって大事よ」

ジュン「だったら、若者っぽくスターチェイサーで行きますぅ。元々、家名じゃなくて、個人の二つ名みたいなものだから、星追いにスターチェイサーってルビを振る感じなのでぇ。もしも、貴族みたいに家名を残すようになったら、シュテルンフォルガー家としますぅ」

晶華「英語のストライダーを、和名の馳夫(はせお)にするか、それとも同じ意味の古代語を王家の家名にしたテルコンタールにするかって感じね」

翔花「何の話?」

晶華「指輪物語。こちらを参照するといいわ」

ジュン「ついでに、ジンの出身地も2版の背景表で決めたいと思いますぅ。(コロコロ)0の5だと、ウィッセンランドの農村ですねぇ」

翔花「どこそれ?」

シロ「エンパイアの南東にある州だ。北西のノルドランドとは、真逆に位置するな」

晶華「エルフの出身地表は19でアルトドルフ市。つまり、エンパイアの首都生まれの私は都会人ってことで」

翔花「アキちゃん、ズルい。わたしのディアトルドは最果て山脈の田舎出身よ」

晶華「あ、これ、初版のルールブックに載ってたマップね」

翔花「あっ、カラザ=カラク(カラ・ザ・カラク)って、こんなところにあったんだ。キスレフ方面じゃなくて、エンパイア南のボーダー・プリンスの東の果て。わたしの届け屋ドワーフちゃんはロシアと関係なかったんだね」

シロ「2版のルールブックの地図では、分からなかったな。やっぱりエンパイアの外の国は、初版の方が詳しく描かれていたみたいだ」

翔花「ボーダー・プリンスって、現実世界ではどの辺になるのかな?」

シロ「西のティリア市国がイタリアだから、ボーダー・プリンスはギリシャとか東欧と黒海周辺のトルコ辺りだと思う。一つにまとまった国じゃなくて、各地に小国が分立した辺境地域だから、現実の国になぞらえるのが難しいかと。強いて言えば、東ローマのビザンツ帝国が1000年間持続することなく、あっさり滅亡した仮想世界の該当地域がボーダー・プリンスっぽい」

晶華「リアルの中世世界で考えるなら、エンパイアのモデルのドイツ人の神聖ローマ帝国と、キスレフのモデルのキエフ大公国が国境を接しているのも変だって話になると思うし、キリスト教会みたいな影響力を持った一神教教団が存在しないし(オールドワールドは多くのファンタジーRPG世界同様に多神教世界観)、リアル世界史と比べて、いろいろデフォルメ改変されているのよね」

翔花「いろいろややこしいけど、それなりのモデルはある。でも、細かい違いを言えば、いろいろと差異があるってことね」

ジュン「でも、ジンがエンパイア南東のウィッセンランド出身ってことは、届け屋さんの故郷の山とはご近所さんってことになりますよねぇ」

翔花「そっかあ。じゃあ、ジン君とディアトルドは知り合いってことにしましょう。いっしょに首都アルトドルフを目指さない?」

ジュン「遠い旅になるかもしれませんが、カヌーに乗って川を渡ると、いつかたどり着けるかもぉ」

翔花「そうして、届け屋ディアトルドと罠師ジンはアルトドルフに到着したのです。続きの話は、アキちゃん、GMをして」

晶華「どうして私が? NOVAちゃんに頼みなさいよ〜」

翔花「頼めば引き受けてくれるかな?」

シロ「いざとなれば、アリナ様に頼むという手もある」

晶華「そうね。ここにいる4人で嘆願状を出しましょう。でも、まずはゲンさんとNOVAちゃんのキャラが完成するのを待たないとね」

 

能力値の成長と、技能の習得(ゲンブ編)

 

NOVA「さて、俺のマンガ家(志望)のハーフリング、オッサムとゲンさんの兵士(名前はまだない)の技能や異能を決めるんだが」

ゲンブ「名前がないのも不便なので、そろそろ決めておこうと思う。エンパイアはドイツ語でござったな」

NOVA「人間のランダム名称決定表は4版にはなくて、エルフ名の自動生成表があるだけだな。試しに振ってみると、モルディアエリオンなんて名前が湧いて出た」

ゲンブ「では、それを拝借して、エリオン・モイアデルって感じで、どうでござろうか」

NOVA「エリオンがドイツ語っぽくなくてラテン語、いやギリシャ語風味だが、先祖がエルフ文化にかぶれていたのかもしれないな。エルフ語に影響されてって言い訳すれば、ドイツ風味じゃない音も通用すると思う。英語だって、エルフの西の故郷アルビオン(イギリスがモデルの光の世界)の言葉といえばあり得るだろうし」

ゲンブ「では、兵士エリオンで確定でござる。年齢は表があるでござるな。振ってみると……16歳」

NOVA「若すぎでしょう。オッサムは……30歳。ホビット成人年齢は33歳だから、それに準じると人間の17歳から19歳に当たるかな。指輪のペレグリン・トゥックが指輪戦争の時にそれぐらいの年齢だから、そんな感じのイメージで」

 

ゲンブ「で、技能や異能は種族やキャリアに応じたものをもらえるのでござるな」

NOVA「過去の版ではな。しかし、4版では成長ポイントを使って、与えられた範囲から選択購入しないといけないんだ」

ゲンブ「この段階から成長させると?」

NOVA「この成長ルールが過去版よりややこしくて細かいんだな。過去版の成長ルールは基本的に経験点100点を払って、技能や異能を買ったり、能力を1点ないし10%(2版では5%に減少)増やすなり、転職したりするシステムだ。キャリアによって増やせる能力値や習得できる技能などの制限があるから、欲しい能力が得られるキャリアを求めて転職するわけだな」

ゲンブ「今のキャリアでは成長が頭打ちになったから、次のキャリアに移ろうってルールでござるな」

NOVA「4版でも、異能の習得や転職は基本的に100点を支払う。しかし、能力値や技能は5%とか10%という上昇ではなくて、1%ずつ細かく経験点を払いながら成長するシステムになった。例えば、能力値は1%につき25点、技能は1%につき10点の経験点を支払うことになる。さらに成長回数が5回(5%)を越えると、支払う経験点が段階的に多くなるものの、能力成長の頭打ちはなくなった(100%を越えた成長に意味があるかは未確認)。また、経験点を倍支払えば、自分のキャリアで増やせない能力値や技能も伸ばせるようになって(異能はGMが認めた特別なケースでない限りキャリア外の習得は不可能)、育成自由度は高まった感じだな」

ゲンブ「自由度は高まったけど、複雑化したわけか」

NOVA「そして前回、保留した最初の能力値成長だけど、5%分を自分のキャリアの推奨能力に割り当てることができる」

ゲンブ「兵士の推奨能力値は初期段階で、武器技術度、頑健力、意志力の3つでござるな」

 

・武器技術度:36+1=37

・頑健力  :36+4=40

・意志力  :30

 

ゲンブ「頑健力ボーナスが増えると、受けるダメージが1点減るので優先して伸ばした。次に武器技術度を1%でも高めたでござる」

NOVA「妥当な成長と言えるか」

ゲンブ「ところで、頑健力が増えると、耐久値も増えたりはしないのでござるか?」

NOVA「過去版では、耐久値は他の能力と独立して伸ばすようになっていたけど、4版では耐久値を伸ばすルールが明記されていないんだな。だから、関連能力ボーナスの向上によって連動するように耐久値も増えるのでいいと考える」

ゲンブ「ならば、耐久値も2点増えて、12→14になったでござる」

NOVA「頑健力が上がると、防御力もHPも増えるから、前線で傷つきやすい戦士にとっては重要度が高い能力だな」

 

ゲンブ「次は技能だが、どうするのでござるか?」

NOVA「2版では技能と異能に分かれるという改変が起こったが、4版でも技能の使い方に改変が起こった。2版では技能が通常技能と上級技能に分かれ、通常技能は習得していなくても能力値の半分(端数切り上げ)でテストが行える。上級技能はより複雑な技なので、未習得だとテストも行えない。例えば、〈大酒飲み〉は通常技能なので、技能がなくても酒は飲めるし、飲んだら確実に酔っ払うということもない」

ゲンブ「そりゃあ、【頑健力】で抵抗判定ぐらいはできるでござるな」

NOVA「で、【頑健力】40のキャラは〈大酒飲み〉技能があれば、40%の確率で酔いつぶれることなく飲み続けられる。しかし、技能がなければ20%の確率に下がるわけだ」

ゲンブ「どんなに体が頑丈でも、飲み慣れない酒には弱い、と」

NOVA「【頑健力】30の平均並みの人間でも、〈大酒飲み〉技能があれば、飲み慣れない頑丈な相手よりも成功率30%という高い確率で飲み比べを制することができるわけだ」

ゲンブ「まあ、結局はテストの出目次第でござるがな」

NOVA「そんなわけで2版の技能有無の差は、基準の能力が高いほど大きいわけだ。しかし、4版では変わった。【頑健力】40のキャラは技能がなくても、40%で飲み比べができる」

ゲンブ「技能があれば?」

NOVA「技能の習得段階分だけ成功率を増やせる。〈大酒飲み+5〉なら45%で、〈大酒飲み+10〉なら50%で成功できる」

ゲンブ「技能がなければ能力値テストの成功率が激減するのではなく、技能があれば成功率を高められる方向に変わったでござるな」

NOVA「テストの成功率が上がったという意味では、プレイヤーフレンドリーな改変だと思うが、その分、キャラクターシートに書くデータが増えたということになる。D&Dが5版になってルールがシンプル化したのに対し、ウォーハンマーは4版になってルールが複雑化したという結論だ」

ゲンブ「2版までは技能を持っているか否かが問題になって、結局は能力値を伸ばさないと判定の成功率は上がらないのに対し、4版は能力値と技能の両方を細かく伸ばして行けるゲームになった」

NOVA「ゲームの緻密さでは、D&Dの3版に匹敵すると思うな。歴代ウォーハンマーで最も基本ルールがややこしいというか、扱うデータが多くなっている」

ゲンブ「大まかな事情は理解したでござる。では、技能を決めて行きたい」

NOVA「分かった。まず、人間という種族に与えられる技能は以下のとおりだ」

 

●人間の技能:〈近接攻撃(基本武器類)〉〈指揮〉〈世間話〉〈値切り〉〈冷静さ〉〈話術〉〈遠隔攻撃(弓類)〉〈言語(ウェイストランド語)〉〈言語(ブレトニア語)〉〈知識(ライクランド)〉〈動物の世話〉〈値踏み〉

 

ゲンブ「結構、多いでござるな。過去版だと種族技能は3〜5個ぐらいと思っておったが」

NOVA「全部あげるとは言ってない。この12個の中から6つを選ぶ。5%ボーナスが3つ、3%ボーナスが3つという習得の仕方だ」

ゲンブ「ああ、自分のキャラに合わせて、好きなのを選ぶ形でござるか。面白い。ならば……」

 

・〈近接攻撃(基本武器類)〉5%+武器技術度37=42%

・〈冷静さ〉5%+意志力30=35%

・〈動物の世話〉5%+知力27=32%

・〈知識(ライクランド)〉3%+知力27=30%

・〈世間話〉3%+協調力27=30%

・〈指揮〉3%+協調力27=30%

 

ゲンブ「ところで言語系は習得しなかったでござるが、ライクランドの言語ライクシュピールは技能から消えたのでござるか?」

NOVA 「いや、現在のウォーハンマーでの展開は、ライクランド中心だから、基本ルールのキャラクター全員がそれを喋れて当然という形になっている。だから全員が習得している共通語をあえてキャラクターシートに記入しなくてもいいようにした。もしも、ライクシュピールが話せない異国人キャラを将来プレイできるようにしたら、その際に例外的処置がルール記載されるだろうが、そういうキャラをロールプレイするのは大変だろうな」

ゲンブ「普通と違う変わり者のキャラをロールプレイするのは、何事も大変でござる」

NOVA「そいつは心の底から実感するが、変わり者が個性を発揮して普通に生きていける社会こそが多様性だと思う。しかし、変わり者の権利を尊重するあまり、普通の人が割を食う社会が理想かと言われると、それはそれで問題があるがな。少数民族の人権は保障されるべきだが、少数民族が多数派の安寧を脅かすようにまでなると、やはり穏健な多数派の生活は過激な少数派の主張よりも優先されるべきだろう」

ゲンブ「まずは、絶対多数の絶対幸福という価値観に基づいたうえで、多数の範疇から漏れた少数の安寧を考えるべきだが、少数派が自分たちの権利を獲得するために既得権を持った多数派を脅かす行動を侵略と定義することも可能でござるな。よその学校から来た不良集団が平和な学園の生活や授業を乱すようなことを考えるなら、よその学校の子にも学び生活する権利があるという主張は的外れとなるし、不良集団はまず校則を守れ、と言うべきでござろう」

NOVA「法と人権のどちらが上かは政治学のテーマになるが、人権を盾に法の支配を脅かしてもいいという結論にはならないだろう。あくまで、法は多数の人間の人権と安寧を守るために制定されるべきというのが民主主義の原則と考えるが、とりあえずライクランドで生活するなら、ライクランドの常識と言語は身につけておくべしというのが2版。当然、身についているはずという前提なのが4版ということになるかな」

ゲンブ「そして、そういう社会を陰から守っているのが魔狩人(ウィッチ・ハンター)のようなキャリアでござるな」

NOVA「ウォーハンマーの世界は、混沌が密かに世の秩序を脅かすべく暗躍しているという世界観だから、混沌にも人権が……ということを考えると、異端者になってしまう。この辺は、ゴブリンにも人権が、とか、モンスターにも生きる権利を、と考えがちな和製ファンタジーとは異なる背景ってことで」

ゲンブ「正義の多様性ということで、作品世界をいろいろ論じられると思うが、寄り道脱線が過ぎないか?」

NOVA「……どこまで話を進めたっけ?」

ゲンブ「種族の技能を選んだから、次は種族の異能でござろう」

NOVA「先にキャリアの技能を決めてしまおう。キャリアの初期技能は8種類あって、40ポイントを振り分ける仕様になっているが、面倒なことを考えたくなければ、全てに5ポイントずつ割り振るのがスムーズでいい。最初のキャリア満了条件が『キャリアでもらえる8種類の技能を5ポイント伸ばして、かつ最低1つのキャリア異能を習得すること』なので、その後の転職が容易になるからな」

ゲンブ「満了していないキャリアから転職するには、経験点を100点追加で支払わないといけないのでござるな。分かったでござる。先のことを考えるなら、8種類に5ポイントずつ割り振って無難に進めよう」

NOVA「その方が記事書きも圧倒的に楽だからな。結果だけを示せばいい」

●新兵エリオン(人間・男・16歳)の初期技能

青字はキャリア技能。斜体太字はキャリアの収入技能)

 

〈近接攻撃(基本武器類)〉10+武器技術度37=47%

〈冷静さ〉10+意志力30=40%

・〈動物の世話〉5%+知力27=32%

・〈知識(ライクランド)〉3%+知力27=30%

・〈世間話〉3%+協調力27=30%

・〈指揮〉3%+協調力27=30%

〈運動〉5%+敏捷力30=35%

〈回避〉5%+敏捷力30=35%

〈登攀〉5%+筋力31=36%

〈肉体抵抗〉5%+頑健力40=45%

〈演奏(太鼓)〉5%+器用度30=35%

〈言語(戦闘語)〉5%+知力27=32%

 

異能の習得(ゲンブ編)

 

NOVA「では、この勢いで種族異能とキャリア異能も決めてしまおう」

ゲンブ「異能は、ポイント割り振り制ではないのでござるな」

NOVA「ああ、異能は技能ほど細かくはない。今までの版と同様、習得しているか否かで効果を発揮する。人間の種族異能はこれで、二択のものを除けば、全部もらえる」

 

●人間の異能:《運命づけ》、《低姿勢》もしくは《分別》、ランダム異能3つ

 

ゲンブ「解説をよろしいか?」

NOVA「ああ。技能と比べて、異能は名前だけだと分かりにくいのが多いからな。まず、《運命づけ》だが、エンパイアの人間は10歳のときに成人の儀式の一環で、モール司祭に死の予言を宣告されるらしい」

ゲンブ「ええと、人間の成人年齢は10歳でござるか?」

NOVA「そこが気になるよな。何をもって成年と見なすかは、文化や地域にもよるが、例えば結婚可能年齢は中世の教会法によると、男性14歳、女性12歳と明確に定められている。平均して13歳となれば、貴族社会では普通に女性の結婚適齢期と見なされていたわけで、日本の武士の元服年齢も大体それぐらいだ。日本の場合は、幼名と元服名が史料から分かったりもする。我々の感覚では、中学生が立派な大人と見なされたのが中世の時代感覚だな」

ゲンブ「しかし、それが即座に一人前ということではないでござろう」

NOVA「もちろん、そうだ。しかし、10歳も過ぎると、社会は立派な労働力と見なして、親の庇護を離れて徒弟奉公とかも普通にさせられるし、武士なら初陣することもあるし、一人前でなくても子どもみたいな庇護対象にはならない。低階層ほど自分の食い扶持は自分で稼げと言われる年齢だし、それ以前だと……体が育ってないので、あっさり疫病で死ぬことも多い。なお、日本史の口分田で土地を与えて耕作義務を課されるのは6歳男子だが、さすがに農耕は無理なので、親の負担が増えるだけだな。やはり10歳前後でクワを持って自分の田んぼを耕せと言われるんだろうな。それまでは親の仕事を見ておけとか言われたりして」

ゲンブ「とにかく、オールドワールドでは10歳まで生きると、一区切りとして仮成年の儀が行われると理解しよう。いきなり全ての成人権利が与えられるものでもなかろうが、『もう子どもじゃないんだから』と言われる年でござるな」

NOVA「ルールブックを読み込むと、いろいろなところで世界観がチラチラ見えるのが架空世界のイメージ付けになって、考察が面白い。で、そんな《運命づけ》の儀式で、『お前はこういう風に死ぬだろう』と予言されるそうだ」

ゲンブ「いやな予言でござる」

NOVA「例えば、『お前は炎にまかれて死ぬだろう』と予言された。そして、ゲーム中に本当にそういう形で死んだなら、上手く転生条件を満たせて、次に作るキャラクターは死んだキャラクターの獲得した経験点の半分をボーナスとしてもらえるってルールだ」

ゲンブ「キャラ本人としてはイヤな予言だが、プレイヤーとしては同じ死ぬにしても予言が当たって死ぬ方が嬉しいのでござるな」

NOVA「死に方の予言は自分で前もって決めておく。そして、仮に『お前は友を庇って死ぬだろう』と予言されたなら、名誉ある死を果たすために友を積極的に庇おうとするか、逆に予言どおりに死にたくないから友を作らないようにするとか、人を庇うようなマネを避けるとか、いろいろとロールプレイの材料になる。まあ、予言どおりの死に方を果たしたら、転生してより良い人生を送れる(かもしれない)というオールドワールド流の死生観って奴だ」

ゲンブ「『馬車に轢かれて死ぬだろう』という予言で異世界転生を狙うことも可能でござるな」

NOVA「いや、転生してもオールドワールドだから、異世界にはならないだろう。ちなみにTRPGマニアの中では、異世界転生したくない世界のトップクラスに入るのがウォーハンマーのオールドワールドという説もある。まあ、4万年、混沌との戦いが続く残酷な世界だからなあ」

ゲンブ「かつては、腐敗と自由と暴力の真っ只中と称される世界……とも言われていたでござる」

NOVA「ウォーハンマー初版が生まれたのは、北斗のブームと同時代だからなあ。どっちもパンクロックな世界観だし」

ゲンブ「で、『ランダム死の予言表』なんてものもあるのでござろうか?」

NOVA「いや、それはない。例はいろいろ挙がっているんだが、死の予言の内容はプレイヤーが自分で考えることになっている。まあ、GMが自作すれば別だが」

ゲンブ「面白い予言の例はござらんか?」

NOVA「そうだな。俺が個人的に面白い予言と思っているのは『その鼓手は汝の終焉を刻み込む』かな。死ぬときに、どこからともなく太鼓のリズムが響き渡るとか」

ゲンブ「浄めの音で殺されるでござるか?」

NOVA「それじゃあ、自分が魔化魍か混沌みたいじゃないか。むしろ、敵群が太鼓をドンドン叩いているとか、自分が死を覚悟したときに太鼓を打ち鳴らすような演出をするとか、日頃から戦い前の景気付けに太鼓をドンドン叩いて、いつでも死ねるように覚悟を決めておくとか、そういう演出をあれこれ考えるルールだろうなあ。プレイ中には何の役にも立たない異能だし、死に方演出を決められるけど、意図して狙っていなければ、その通りに死ねるとは限らない。ただ、死の予言を元にロールプレイの材料に使うためのルールだろう。まあ、積極的に死に立ち向かうか、死の予言を避けようとするかの性格演出も含めてな」

ゲンブ「『風呂場で石鹸を踏んで、滑って転んで頭を打って死ぬだろう』と予言されたから、風呂に入るのは嫌いなんだってキャラも作れるでござるな」

NOVA「そんな予言も、キャラもイヤ過ぎるだろう。ウケ狙いの一発芸だと笑えるが、そんなキャラで続けてプレイしたいとは思わない。まあ、ギャグネタにするか、シリアスネタにするかはプレイヤー次第。ロールプレイ支援システムとしては面白い。で、次の異能だが、《低姿勢》は【協調力】+5%の永続ボーナスで、《分別》は【知力】+5%の永続ボーナス。どちらかを選んで下さい」

ゲンブ「兵士としては、知力よりも協調力の方が大事と考えるので、《低姿勢》を選ぶでござる。守り手を目指すので、あまり居丈高な振る舞い方はせずに、任務に忠実な控えめの若者だけど、穏健そうながら腕は立つとか、怒らせたら怖いとかそういう方向で」

NOVA「そして、ランダムに3つ選んでください」

ゲンブ「37、19、48でござる」

NOVA「《幸運》《職人(任意)》《器用な指先》だな。意外と器用なので、【器用度】+5%の永続ボーナスとか。《職人》はキャリアの技能に〈職能(任意)〉を加えて、いつでも成長させられる」

ゲンブ「ならば、《職人(武具鍛治師)》でござる。親が鍛治師で武器を鍛えている姿を幼少期から見て育った。自分は鍛治よりも武器を振るう仕事に就きたかったが、念願かなって兵士になることができた。しかし、上官からは武器を研ぐなど手入れの雑用を命じられて、親譲りの器用さで上手に研げるので重宝されている。武器を研ぎながら、その武器の扱われ方から相手の力量を察する目線は養われたということでよろしいか」

NOVA「良い個性化だと思う。そして《幸運》は幸運ポイントが1点上昇する」

ゲンブ「それはヒーローの資質ありでござるな。ただの兵士だったのが、いろいろと主人公らしい特徴が付いて来たような気がする」

NOVA「そして、キャリアの異能だ。次の中から、1つだけ選ぶ」

 

●新兵の異能:《強固な背筋》《サイコロ博徒》《射撃術》《生来の戦士》

 

ゲンブ「《生来の戦士》が格好良さそうでござる」

NOVA「【武器技術度】+5%の永続ボーナスだな」

ゲンブ「どんどん強くなって、嬉しいでござるよ」

 

ゲンブのキャラ完成

 

NOVA「最後に、キャリア・クラス(戦士)とキャリア(新兵)から得られる所持品をキャラクターシートに書き込んで、外見や大望、さまざまな背景情報を決めたりしながら、手持ちの経験点で成長させたりして、キャラクターは完成だ」

ゲンブ「経験点は95点でござるが、異能《強固な背筋》も習得したいし、転職にも100点必要だろうから、使わず残しておく。それでもよろしいのでござろう?」

NOVA「まあ、ここまでいろいろ考えるのに疲れたからな。では、ゲンさんの分は、ここまでにしておこう」

●鍛治師の息子エリオン・モイアデル(プレイヤー・ゲンブ)

種族:人間(男・16歳、経験点95点)

キャリア:戦士クラスの兵士(新兵、白銀1)

青字は、キャリアで成長させられる能力値、技能)

 

武器技術度:41+1=42

射撃技術度:28

筋力   :31

頑健力  :36+4=40

機転   :31

敏捷力  :30

器用度  :35

知力   :27

意志力  :30

協調力  :32

 

耐久値:14

運命点:3(幸運ポイント4)

執念点:2

動機 :大切な誰かや何かを守りたい

移動力:4

 

技能

〈近接攻撃(基本武器類)〉10+武器技術度42=52%

〈冷静さ〉10+意志力30=40%

・〈動物の世話〉5%+知力27=32%

・〈知識(ライクランド)〉3%+知力27=30%

・〈世間話〉3%+協調力32=35%

・〈指揮〉3%+協調力32=35%

〈運動〉5%+敏捷力30=35%

〈回避〉5%+敏捷力30=35%

〈登攀〉5%+筋力31=36%

〈肉体抵抗〉5%+頑健力40=45%

〈演奏(太鼓)〉5%+器用度35=40%

〈言語(戦闘語)〉5%+知力27=32%

〈職能(武具鍛治師)〉0%+器用度35=35%

 

異能:《運命づけ》《低姿勢》《幸運》《職人(武具鍛治師)》《器用な指先》《生来の戦士》

(運命づけの予言「太鼓の響きが死出の旅を奏でるであろう」)

 

所持品:衣服、長剣、ダガー2本、ポーチ、レザー・ブレストプレート、兵士の制服、銀貨3枚

(当記事 完。次回は、ハーフリングのマンガ家志望、オッサム・ティーツを完成させて、キャラメイク記事を終了予定)