ソード・ワールド話はなお続く
NOVA「今回も前回に続いて、ラクシアの話だ」
晶華「そう見せかけて、ゴブリンスレイヤーだったり、アルシャードだったり、セブン=フォートレスだったり、カオスフレアだったり、TORGだったり、いろいろ寄り道迷走したのが前回ね。ついて行くのが大変よ」
NOVA「いやあ、もしかしたら、そのうちのどこかに粉杉翔花がうっかり迷い込んでいる可能性があるからなあ」
晶華「お姉ちゃんがフラフラ彷徨いがちなのも、実はNOVAちゃんの影響かもしれない」
NOVA「否定はしないが、TRPGという土台からはブレていないはずだぜ。ともあれ、仕切り直したんだから、ラクシアの種族と職業の話からしてやろう。と言っても、これについては公式サイトが分かりやすくまとめているからな。そちらを改めて示す方が早いだろう」
NOVA「2.0時代は、人族と蛮族を合わせて30種類以上。それに2.5からリカント、メリア、ティエンスが加わることになる」
ヒノキ「富士見の公式オンラインでは、まだティエンスが加わっておらんようじゃの。どういう種族なのじゃ?」
NOVA「人間と魔物を古代の魔法実験で合成して作った改造人間の末裔らしい。外見的な特徴は、金属色の髪と宝石のような瞳。そして、額か胸、手の甲にマナの結晶たる宝玉が現れるという」
晶華「ええと、額にビームランプが付いていたり、胸にカラータイマーが付いていたりするの?」
NOVA「今だと、宝玉をキラメイストーンになぞらえることも可能だな。全身が宝石なのがフロウライトで、ピンポイントで宝石パーツが付くのがティエンス。本当に、この種族の充実ぶりは凄いなあ。蛮族を抜きにしても、人間、エルフ、ドワーフ、タビット、ルーンフォーク、ナイトメア、リルドラケン、グラスランナーの8種が定番で、そこにシャドウ、フィー、フロウライト、ハイマン、ミアキス、ダークドワーフ、ソレイユ、レプラカーン、ヴァルキリーなんかが加わって、17種類。旧ソード・ワールドでは5種類しかいなかったのが、大きく拡張したわけだ」
晶華「それで職業は?」
NOVA「ああ。公式が種族みたいに提示していたら楽ができると思ったんだけどな。どうやら、手抜きは許してくれないみたいなので、頑張って職業リストを作ってみるか」
ようやくラクシアの冒険者技能
NOVA「いいか。お経のように一気に唱えるからな。ファイター、グラップラー、フェンサー、シューター、ソーサラー、コンジャラー、プリースト、マギテック、セージ、スカウト、レンジャー。以上の11種類が2.5のルールブック1に収録されている。
「続いて、ルールブック2にエンハンサー、フェアリーテイマー、バードが。ルールブック3にライダー、アルケミストが収録されて、目下16種類。これだけで、旧版の倍だな」
晶華「ええと、私が分からないのは、フェンサー、シューター、コンジャラー、マギテック、エンハンサー、アルケミストといったところかしら。ライダーは騎兵よね。ベルトで変身するヒーローじゃなくて」
NOVA「一応、魔動バイクにも乗れるから、仮面ライダーみたいに振る舞うこともできるぞ。ただ、ライダーと格闘家のグラップラーは相性が悪いけどな。馬やバイクに乗ったまま、パンチやキックをするのは難しいわけで」
晶華「馬の上から武器を振り下ろしたり、槍で突いたりはできるってことね」
NOVA「とりあえず、晶華が分からないものを説明すると、フェンサーは軽戦士で、旧版ではシーフ技能だったものが、戦闘能力のフェンサーと探索技術のスカウトに分かれたんだ。旧版ではファイターがシーフ技能を兼業するのは無駄が大きかったが、2.0以降はファイターがスカウトを兼業するのも有効。あのゴブリンスレイヤーさんも、ファイター兼スカウトだからな」
ヒノキ「ゴブスレのスカウトは戦闘能力を持つが、SW2.0のスカウトはファイターかグラップラーかフェンサーと組み合わせなければ戦えないことに注意」
NOVA「俺としては、ゴブスレのファイターにも投擲能力を付けて欲しいと思うんだよな。スカウトも、レンジャーも、グラップラーも飛び道具が使えるのに、ファイターは接近戦しかできないので、スリングが有効に使えていない気がして」
ヒノキ「別ゲームに脱線すると、また収拾つかなくなるぞ」
NOVA「いやあ、ソード・ワールド2.0のファイターも最初は投擲武器が使えなかったんですよ。飛び道具を使いたければ、シューター技能を取れ、と。だけど、その後、改訂されて、ファイターも投擲武器は使えるようになった。そういう改訂をゴブスレにも期待している」
ヒノキ「弓矢は撃てなくても、石ころや短剣ぐらい投げられる戦士でありたい、と」
NOVA「実際、ゴブスレのファイターって損だよな。重い鎧が装備できるのが長所と言っても、初期段階ではお金がなくて重い鎧が買えないし、棒術系の武器が使えないので、スリングスタッフで接近戦も遠隔攻撃もカバーするような育成ができないし、同じ軽装戦士ならグラップラー技能の方が有利かなあ、と誘惑される俺がいる。『学術騎士』から『学術道士』に転向しようか、と考えなくもない」
ヒノキ「公式リプレイの『おそらく原作者が中の人の侍少女』は、戦士と魔法使いの兼業を実戦しているではないか」
ゴブリンスレイヤー TRPG リプレイ 死と罠の街ランサペール (GA文庫)
- 作者:川人忠明とグループSNE,蝸牛 くも
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2019/08/09
- メディア: Kindle版
NOVA「あれは種族が圃人だから、回避が高いんだよなあ。まあ、いいや。とにかく、フェンサー技能は、シーフだけでなく、魔法使いの護身用にも便利。いざと言うときに、回避できる可能性があるのと、クリティカルが出ないと避けられらないのとでは安心感が違う」
晶華「シューターは飛び道具の使い手なのね。もう分かったから、説明はいいわ。コンジャラーはD&Dの召喚術師だったわね、確か」
NOVA「おお、前に一回聞いただけで、よく覚えていたな。SWのコンジャラーは、操霊術師といって器物や死体に魂を吹き込んだり、味方を支援する系のサポート魔法の使い手だ。ソーサラーが直接ダメージを与えるような派手めの魔法使いなのに対し、コンジャラーは地味というか、陰っぽいというか、でも便利な魔法を揃えている。そして、両方を習得するとウィザードの称号が与えられて、深智魔法という特別な呪文が使えるようにもなる」
晶華「あとはマギテックとエンハンサーとアルケミストかあ。ええと、アルケミストは錬金術士で合ってる?」
NOVA「合ってるけど、一般にイメージされるものとは違う。元々は、基本職ではなくて、追加ルールで登場した職業だ」
NOVA「ソード・ワールドのアルケミストはアイテムの専門家で、2.0だとモンスターから手に入れた素材を加工して、アイテムを作る能力を持っていたが、2.5ではアイテム加工のルールそのものが未採用。詳細は前に話した記事があるので、こちらを参照」
晶華「じゃあ、次はエンハンサーだけど……」
ゲンブ「マッスルパワー! で、ござる」
晶華「うわっ。ゲンさんが喋った」
ゲンブ「うむ。出番が今か今かと待ち構えていたでござる。エンハンサーなら、マッスル太郎のプレイヤーである我の出番」
晶華「ええと、筋肉で戦うのがエンハンサー?」
ゲンブ「練体士という呼称もあり、鍛えた体と呼吸法によって体内を循環する気を練り上げると、筋肉ムキムキになったり、敵の攻撃を弾いたり、素早くなったり、尻尾が生えたり、翼が生えたり、炎を吐いたり、カメレオンのように保護色になったり、指先から蜘蛛の糸を射出したりできる技(練技)を習得するでござる」
晶華「どんどん人間離れしていくんですけど?」
NOVA「まあ、ここには俺しか人間がいないからな。人間離れと言っても、精霊少女が言うな、という話になる」
晶華「じゃあ、練技を使えば、花粉分解で敵の攻撃を避けたりできる?」
ゲンブ「それは無理でござるが」
晶華「だったら大したことないわね。練体士もその程度か」
NOVA「まあ、エンハンサー技能だけじゃ戦えないのも事実だからな。ファイター技能や、グラップラー技能などの戦士系技能の補助に使うのが一般的だ。アルケミストの賦術もそうだが、補助効果目当てで習得できる技能が増えたのも、今のソード・ワールドの特徴だな」
晶華「順番が前後したけど、最後にマギテックね」
NOVA「これと、格闘家のグラップラーがフォーセリアの旧版になかったメイン要素だな。他は割と旧版にあった要素が細分化したものとか、サポート系だとかになる。ともあれ、銃で戦える機械使いとか、拳で戦う武闘家キャラはロードスの世界設定じゃあ、ちと考えられないよな」
晶華「D&Dだったら、そういうのもいるの?」
NOVA「武闘家はモンクだな。クラシックD&Dだと追加職でミスティックと呼ばれ、AD&D以降はプレイヤーズハンドブックの基本職でいる。4版だけは基本職と言えない追加職業だが。銃使いについては、機械文明の発達したエベロン世界には普通にいて、フォーゴトン・レルムでも大都市ウォーターディープに銃使いのNPCが見られる。ただし、プレイヤーには今のところ解禁されていないようだ」
ヒノキ「他に、銃の使えるファンタジーRPGでは、T&Tが有名じゃったの」
NOVA「連発できないマスケット銃だけどな。ハイパーT&Tにも武闘家はいて、実は90年代当時では、非常に先進的なシステムの一つだったと今さら感じたり。まあ、その要素は今のSW2.0に受け継がれているんだけどな」
晶華「今は、ハイパーじゃない普通のT&Tが復刻しているんだよね」
NOVA「う〜ん、この新作ソロシナリオを買って、久々にソロアドベンチャーでもやろうかな、と迷っている俺がいる。まあ、今は仕事の都合で、あまり遊ぶ気になれない時期なんだけどな」
晶華「マギテックの説明がまだ終わってないわ」
NOVA「おっと、そうだった。フォーセリアでは、神々の時代と、古代魔法王国の時代があって、その後に現在の剣の時代に至るんだが、ラクシアでは古代魔法王国が滅んだ後に、魔動機時代というのがあって、その遺跡も冒険者の探索対象なんだな。だから、魔動機時代の遺跡には、機械系の敵も多く出現して、銃器を発射して重装甲の戦士泣かせとなっている。ソード・ワールドの銃器は一種の魔法扱いで、戦士の鎧の防御効果を無効にするわけで」
晶華「つまり、マギテックは魔動機時代のテクノロジーを使いこなす機械の専門家ってこと?」
NOVA「そう。魔動機士と言われ、銃弾に魔力を込めてからシューター技能と組み合わせて射撃したり、いろいろな道具に変形する便利ツールなマギスフィアを操作して、自身の攻撃補助や探索の役に立つ魔導機術を使いこなす職業だ。なお、最近(去年の秋)になって魔動機時代には、コミケのような同人即売会やガンダムのようなアニメがあったことが、公式リプレイで発表されている(笑)」
ヒノキ「本記事のタイトルは、古代魔術の話じゃが、魔動機時代も古代魔術時代に含むのかのう?」
NOVA「遺跡があるんだから、含んでもいいと思う。ともあれ、2.0時代のメイン舞台であるテラスティア大陸では飛空艇が空を飛び、2.5のメイン舞台であるアルフレイム大陸では魔動列車が新大陸の開拓時代の象徴になっている。一方、箱入りスタートセットの一つでは海運も盛んな港町が舞台にもなっていて、フォーセリアよりは洗練された近代風イメージがあるのがラクシアかな、とも思う。冒険できる舞台イメージが広がっているのは、いろいろワクワクできて想像力を掻き立ててくれる感じだ」
晶華「とにかく、今のソード・ワールドは昔に比べても、冒険の舞台や材料が広がっているってことね。魔法関係もソーサラー、コンジャラー、プリースト、フェアリーテイマー、マギテックなど豊富だし」
カルディア・グレイスの職業
NOVA「さて、これは2.0時代の追加職業で、2.5では未実装だが、一応3つあるので復刻を願いながら、紹介しておく。ウォーリーダー、ミスティック、デーモンルーラーなんだが、このうちミスティックについては、別ブログで話題にしているので、こちらを参照」
ヒノキ「ミスティックは占いでサポートする職業じゃな」
NOVA「ああ。それとウォーリーダーは部隊指揮官として、チームを強化する鼓砲という技能を持つ。そして、何よりもスカウトの持つ先制判定の能力を持っているのが大きい。ソード・ワールドではレベルが上がるほど、できることが多くなるので、先制権を獲得する意味合いが大きくなる。つまり、先に動いた方が負け、ではなく勝つシステムなんだ。だから先制判定できるメンバーが多ければ随分と有利になるんだけど、それだけのためにパーティー内のスカウトを増やすのも無意味だ。そこで、メインスカウトとウォーリーダーが揃えば、無駄なくパーティーの役割分担を果たせるわけで」
晶華「ああ。つまり、NOVAちゃんの学術騎士ジャンもウォーリーダー技能を持てば、部隊指揮官としての箔が付くってことね」
NOVA「ちょっと待った。ゴブスレTRPGには、ウォーリーダー技能なんてねえ(少なくとも今のところは)」
晶華「ええ? NOVAちゃんがいろんなゲームの話を混ぜて来るから、ゴッチャになったじゃない」
NOVA「ゴブスレはお前もプレイヤーをやってんだから、そこは区別しろよ。まあ、読者がこんがらかるって言うのなら、やむを得んが」
ヒノキ「で、問題はデーモンルーラーじゃの」
NOVA「魔神使いなんだよなあ。旧ソード・ワールドだと、まずプレイヤーには解禁されない職業だが、2.0時代では、こういう邪悪系も許されるようになって、公式リプレイでも描かれた」
ヒノキ「パーティー内に純潔乙女と、その血を狙う半吸血鬼と、純潔の肉体を魔神の生贄に捧げようとする魔神使いの女と、怪盗が混在する中で、頼りないウォーリーダーのリディウスの冒険やいかに? って感じのリプレイじゃった」
NOVA「そういうギスギスしたパーティー構成なのに、ほのぼのした筆致で読ませてしまう秋田さんのセンスが凄いなあ。しかも、彼女は旧ソード・ワールド時代から続けて、今や超ベテランのGMであり、リプレイ作者であるはずなのに、今なお初々しい文章センスで描き続けられるのが凄いというか。まあ、魔動機時代にコミケを持ち込んだのも彼女だけど」
ヒノキ「お主は、秋田さんとは知り合いなのか?」
NOVA「向こうは忘れているかもしれませんけど、会計係をしていて、まだリプレイ作者じゃなかった時代を知っています。当時は、リプレイを書くようなGMはベテランで、というイメージがあったけど、『ゲーム慣れしていない女性GMがベテランプレイヤーに翻弄されつつも、持ち前のダイス運で恐れられるようになりながら成長するというGM奮闘記』としてストーリーそっちのけで読ませてもらいました。
「清松さんが書くと、ベテラン同士のギクシャクしたマニアックな雰囲気になる(それはそれで自分としては面白いけど)のを、秋田さんが書くとほのぼの初心者歓迎リプレイになるということで、ソード・ワールドの門戸を広げた功績は大きいなあ、と今さらながらヨイショしておきます。秋田さんのリプレイの好きな点の一つに、毎回のキャラ成長をじっくり示してくれるところ。やっぱり、RPGってキャラ成長でプレイヤーの思惑が語られるのも楽しいと思うし」
「ともあれ、2.5では今のところ、秋田さんのリプレイシリーズは出ていないので、また、そのうち新しい秋田節のほのぼの(ちょっぴり腹黒)リプレイを読めれば、と思いつつ」
(当記事 完。次回は、ようやくラクシアの古代魔術の話に移る予定)
ソード・ワールド2.0魔法文明リプレイ 黄昏の国の魔法王 (富士見ドラゴンブック)
- 作者:北沢慶/グループSNE
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/03/20
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