花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、D&Dを中心に世紀末前後のTRPGの懐古話を不定期展開中。

ウォーハンマー・キャラメイク7(4版その1)

改めてキャラメイク開始

 

ヒノキ「前回は、新兄さんの寄り道脱線話で、『今のフィクションでは日常的な背景と、冒険や事件解決のための役回りの複層構造が大事』だと結論づけられた」

晶華「私はメガネシルバーとして、弥生ちゃんの出ているキョウリュウジャーを応援する」

翔花「わたしは桃井タロウ様に忠誠を誓っているから、ドンブラザーズを応援する」

Wショーカ『だから、このキャラメイクは来週までに終わらせないといけない!』

ヒノキ「まあ、わらわはTRPG好きな女の子じゃから、こういう話は歓迎じゃが、さすがに新兄さんの寄り道脱線に付いて行くのは疲れるのう」

晶華「こういうのが、我が家の日常茶飯事よ。時空魔術師にして、言霊魔術師だから、話がどこの時空に転がり込んで複雑な言葉の糸が紡がれるか知れなくて、こんがらがるの。もう慣れたけど」

翔花「脳みそが躁状態とかで変な方向に活性化すると、そうなりやすいって聞いたわ。だから、アシスタントガールの仕事は、話をうまくコントロールして、適度にツッコミ入れることね」

晶華「そう言うお姉ちゃんがボケて、余計に話をこんがらかすこともしょっちゅうだけどね。ボケ役が2人もいると、ツッコミが追いつかないこともしばしば」

翔花「大丈夫。わたしがボケると、NOVAちゃんが正気に戻って、ツッコミ役に回って軌道修正することもあるんだから、ボケる役も大事ってことね」

ヒノキ「……まあいい。後はゲンブに新兄さんの相手を任せて、わらわたちは観戦モードに移るとしよう」

シロ「新星さまのキャラメイク奥義をしっかり見て学習させてもらいましょう」

ジュニア「伝説の技をこの目で見ることができるのはワクワクものですぅ」

 

NOVA(何だか期待が重くてやりにくいな^^;)

ゲンブ「では、新星どの。ご教示よろしくお願い致す」

NOVA「俺も初めてのシステムなので、基本に則り、4版のキャラ作りを開始しよう」

 

4版の種族

 

NOVA「4版の基本ルールは従来の4種族と異なり、エルフがハイ・エルフとウッド・エルフの2つに分かれて、全部で5種族だ」

ゲンブ「ハイ・エルフとウッド・エルフ。具体的には何が違うのでござるか?」

NOVA「ハイ・エルフは、本邦ではロードスのディードリットが最初に有名になったキャラクターだと思うが、人間社会に時折り見られるノーマルのエルフに対して、森の奥から滅多に出て来ることのない、より精霊に親和的な上位エルフを指すことが多い」

ゲンブ「世俗的な通常エルフと、高貴ゆえに人と関わらないようにしているハイエルフでござるな」

NOVA「元々は、トールキンの世界観で、光の世界である西方の故郷から海を越えて渡ってきたのが上のエルフと訳されるハイエルフだな。レゴラスの一族がそういう血筋だ」

ゲンブ「ガラドリエル様や、闇の森のエルフ王スランドゥイルなどがそうだと聞くが」

NOVA「で、森(シルヴァン)エルフたちは、中つ国土着のエルフで、エルフ社会では無作法で野蛮な血筋とされている。映画オリジナルキャラのタウリエルが森エルフの血筋で、レゴラスが彼女に親しみを覚えているが、タウリエルは血筋の違いを理由に求愛を断っている」

ゲンブ「単に王族と、臣下という身分差だけではないのでござるか」

NOVA「原作をよく知らない者には、同じエルフで単なる身分差にしか映っていなかったが、実は種族差もあったんだな。エルフの一族の種族格差は『指輪物語』ではなくて、その前の伝説を集めた『シルマリルの物語』で詳細が描かれている。去年の秋に文庫版が出たので、興味があれば買うのもいいだろう」

ゲンブ「とにかく、ハイエルフの方が高貴で、人には接しにくいと」

NOVA「一般的なRPGではな。だけど、ウォーハンマー4版では逆なんだ」

ゲンブ「逆というと?」

NOVA「ウォーハンマーのハイ・エルフは、人間の都市文明に割と順応したエルフで、河川沿いを中心に交易や文化的な仕事に従事している者もいる。一方でウッド・エルフの方が人の都市文化に距離を置き、自然重視の野生的な生活を良しとしているわけだ。人間との距離感では、ハイ・エルフの方が近く(性格は高慢な傾向があるけど)、ウッド・エルフの方が排他的というかよそよそしい。人に対する態度は以下の感じだ」

 

●ハイ・エルフ:人間ね。連中は堕落していて、感情的になりがちだ。すぐにカッとなって暴力を振るうところがあるが、そういう短絡的なところを理解しておけば、適度に交渉して、言いくるめることはできる。あれはあれで、役には立つものだ。

●ウッド・エルフ:人間か。奴らは内に闇を抱えて、混沌の一歩手前だ。信じるには足りんが、とにかく数が多く、どこにでも蔓延って来る。だが、完全な混沌の軍勢と戦うに際しては、扱いやすい連中でもある。ああいう連中を利用することで、我らの聖なる森を守ることを考えなければ、混沌の侵攻を抑えることも難しいのが現状だ。そう、人間は必要悪として、混沌を防ぐ盾となってもらおうではないか。それぐらいの利用価値はあるだろう。

 

ゲンブ「イヤな連中でござるな」

NOVA「なお、同じエルフ同士でも考え方の差異は大きい」

 

●ハイ・エルフ:森の連中は愚かすぎて、破滅的な孤立主義の道を歩んでいる。まあ、いずれ混沌の脅威を知れば、我らに泣きついて来るかも知れんが。それぐらいの知恵があればな。

●ウッド・エルフ:都会の連中はあり得ないほど自惚れた奴らだから、近づいてはいけない。酒色に溺れて、自分たちが堕落していることを「文化」と称して、エルフの誇りを捨て去った。欲にまみれた連中の差し伸べる手をつかんでも、いつ裏切るか分からないと心しておくべきだ。

 

NOVA「まあ、俺なりに解釈すると、以上の感じだ。ハイ・エルフとは利害の一致で交渉できるけど、ウッド・エルフは交渉よりも先に疑念を解消しないと、頑なな拒絶にあうだけということで」

ゲンブ「そんな人嫌いの連中が、どうやってプレイヤー・キャラクターに?」

NOVA「ロールプレイの指針としては、お喋りなハイ・エルフと、寡黙なウッド・エルフって感じになりそうだな。『よし、取引き成立だ。お互いに仕事はしっかり果たそうではないか。しくじるなよ』というのがハイ・エルフで、『余計なおしゃべりは必要ない。お前は自分の仕事を果たせ。有能なら少しは信じてやってもいい』というのがウッド・エルフだと思っている」

ゲンブ「いっしょに冒険に出る理由があれば、イヤでも付き合わざるを得ないってことでござるか」

NOVA「もちろん、人間社会で冒険の旅に出るエルフは種族の中でも変わり者だってことだから、『故郷のみんなは人間なんて信用できないって言ってるけど、本当にそうなんだろうか? 自分の目で確かめないと、納得できないな。修行だと思って、少し外の様子を見て来よう』って感じの若いウッド・エルフがいてもいいだろうさ。種族の一般的な見解と、自分のキャラの見解が同じである必要はない」

ゲンブ「で、種族はどうやって決めるのでござるか?」

NOVA「%ダイスを振って、90までが人間(ライクランド人)。91〜94がハーフリング。95〜98がドワーフ。99がハイ・エルフで、00がウッド・エルフだ」

ゲンブ「9割が人間でござるな。(コロコロ)12だから人間」

NOVA「俺も70だから人間。この決定にそのまま従うなら経験点を20点もらえる。やはり、自分で好きな種族を選びたいなら、経験点ボーナスはなしだ」

ゲンブ「好きに選んでもいいが、ランダムに従うなら経験点が余分にもらえるシステムでござるか。それは面白い」

NOVA「で、ゲンさんは人間のままでいいか?」

ゲンブ「人間で問題なかろう? 経験点ボーナスはありがたくいただく」

NOVA「だったら、俺はハーフリングな。晶華がエルフで、翔花がドワーフなら、俺がハーフリングってのが筋ってものだろう」

ゲンブ「ハーフリングって魔法使い向きではなかろう?」

NOVA「キャリア表では絶対になれないな。まあ、見習い魔術師になれる確率って、人間でも1%しかないし、エルフでもたったの4%だからな。素では、まずなれない」

ゲンブ「魔法使いにはこだわっていないということでござるな」

NOVA「こだわっているのは、面白いキャラかどうかってことさ」

ゲンブ「うむ。では、次に能力値を決めるのでござるな」

NOVA「今までの版ではそうだったが、4版は違う。能力値よりも先にキャリアを決めることになる」

 

キャリア決め

 

NOVA「ウォーハンマーのキャラ作りで、一番楽しい瞬間はランダムでキャリアを決めるときだと思ってる。ゲンさん、18か19を出して下さい」

ゲンブ「人間の18か19というと(表を見て)物乞いでござるか!」

NOVA「このタイミングで、その目を出してくれたなら、俺はおとなしく敗北を認めます」

ゲンブ「物乞いなど、武人の誇りが許さないでござる。(コロコロ)99。よし」

NOVA「キャリア・クラス戦士の中の兵士ですか。当たり前すぎて、つまらない」

ゲンブ「何を言うでござるか。兵士は戦士階級の基本。兵士のない将棋は負け将棋でござる」

NOVA「正しくは、歩のない将棋は負け将棋ですけどね。まあ、歩は正式名称は歩兵(ふひょう)だから意味的には間違ってないけど」

ゲンブ「今はしがない歩兵でも、敵陣に攻め込めば、と金となって強くなる潜在力を秘めているでござる」

NOVA「将棋ではそうですね。で、ウォーハンマー4版も、兵士も含めて全てのキャリアは4段階の強化ができます」

ゲンブ「ほう。魔術師が見習いからレベル1魔術師、レベル2魔術師と昇格していき、最終的にレベル4魔術師になるようなものでござるな」

NOVA「それは初版ですな。2版では、見習い→中堅→上級→主席の4段階。そして、4版ではそれに倣ったのか、64種類のキャリア全てが4段階の強化ができるわけです。兵士の最初は新兵(リクルート)で、そこから経験を積んで兵士(ソルジャー)→下士官(サージェント)→士官(オフィサー)と強くなって行く」

ゲンブ「将軍(ジェネラル)というキャリアはないのでござろうか?」

NOVA「基本ルールではないですね。もしかすると、サプリで追加されるかもしれないけど。確認はしていません」

ゲンブ「ジェネラルというキャリアがないのであれば、兵士で問題ないでござる」

NOVA「だったら、経験点50点を差し上げます。ランダムに決めたキャリアをそのまま使うなら50点。気に入らない場合は、さらに2回振って、3つから一番気に入ったキャリアを選ぶなら25点。それでも気に入らず、好きなキャリアを選ぶか、それとも4回以上の振り直し挑戦を続けるなら経験点ボーナスなしというルールです」

ゲンブ「経験点ボーナスにこだわらなければ、自分の好きに自由選択できるということでござるか」

NOVA「魔法使いに最初からなりたければ、試しにダイスを振ってなれたらよし(ボーナス付き)、そうでなくても自由選択の道があって、過去の版よりもプレイヤーの自由意志を反映しやすいシステムですね。では、俺のハーフリングのキャリア決め、行きます。16〜19で勝負には勝てるけど、大事なものを失う気がするので、来ないで欲しい」

ゲンブ「物乞いでござるか。実はハーフリングが一番、物乞いになる可能性が高い、と」

NOVA「物乞いはイヤだ、物乞いはイヤだ、物乞いはイヤだ……(コロコロ)ふう、66で免れた」

ゲンブ「ハーフリングの66番は野外民の行商人でござるな」

NOVA「行商人? 何だか地味で面白みに欠けると思うので、あと2回振ろう。(コロコロ)91」

ゲンブ「無頼の盗賊でござる」

NOVA「分かりやすく当たりだと思う。だけど、ネタを求めて(コロコロ)35」

ゲンブ「廷臣の芸術家と来た」

NOVA「芸術家(アーティスト)かあ。芸術のジャンルは任意とあって、例に挙がっているのは地図製作、彫版、モザイク画、絵画、彫刻、入れ墨、機織りなどか。よし、ここはマンガ家になろう」

ゲンブ「オールドワールドに漫画などが存在するのでござるか?」

NOVA「ちょっと待って。(あれこれ調べて)この世界にはレアアイテムで高価だが、印刷された本が存在する文明レベルだ。そして漫画の定義は、『絵と、文字による補足説明で、絵に動きを感じさせれば漫画』、『絵に動きがなければ絵本』、『文字に発声が加われば紙芝居』という分類ができるらしい。また、日本では12〜13世紀に描かれたとされる『鳥獣戯画』を漫画の始祖とする説があり、西洋ではイタリア・ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの遺した手稿(発表された作品ではない)にも漫画の原型っぽい戯画(カリカチュア)が存在するという。ならば、現在漫画と形は違っていたとしても、ハーフリングの落書きレベルの風刺ストーリー絵が一部貴族の間でウケて、漫画っぽい娯楽として消費されても納得できよう」

ゲンブ「う〜む、そこまで熱弁されては、そういうのもありかも知れぬと思わざるを得ないでござるな」

NOVA「ということで、うちのハーフリングは、〈芸術(マンガ)〉の技能を持ったアーティスト(芸術家)ということで、キャリアを決めよう。ファンタジー世界にマンガ家というキャラは十分個性的で面白いんじゃないかと思う」

ゲンブ「芸術家の昇格コースはどうなっているでござるか?」

NOVA「見習い(アプレンティス)→独り立ちした芸術家(アーティスト)→弟子を持てるようになった熟練者(マスター)→貴族も大先生と称賛して頭を下げる大芸術家(マエストロ)といった流れか。芸術家が冒険の何に役立つかと言えば、貴族社会との社交スキルとか、情報収集のための裏社会へのコネとか、知覚関係の才とかいろいろだな。戦闘関係は何もできないが、そもそもハーフリングに戦闘能力を求められることはあるまい」

ゲンブ「戦闘はできない。しかし、情報収集はできる、と」

NOVA「必殺シリーズで言うところの、瓦版売りとか絵草紙屋みたいな密偵キャラだな。これで戦闘能力を持てば、経師屋になるところだし、安藤広重(今の歴史や美術教科書では歌川広重が一般的。実家が安藤で、ペンネーム的な画号が歌川広重)や葛飾北斎も必殺の元締めに近い役どころとして出たことはある」

ゲンブ「必殺シリーズまで例に出されるとは、熱の入れ方が違うでござるな」

NOVA「なお、今の社会のテストでは、東海道五十三次の作者は歌川広重と書かないとバツだし、そもそも子どもたちは安藤広重という呼び方を習わないから、よほどの歴史好きでないと知らない。夏目漱石の本名を夏目金之助と知ってる者が少ないのと同様にな。そちらの方が書きやすいからと、国語のテストで夏目金之助と書いたらバツをもらうのは言うまでもない。まあ、それでバツをもらったマニアックな生徒の話は聞いたこともないが」

ゲンブ「昭和の人間にとっては、安藤広重が一般的でござるか」

NOVA「『新 必殺からくり人』の登場人物で緒形拳さんが演じたキャラもそうだからな。なお、ネットで調べると、安藤を安東と誤記しているケースもいっぱいあって、自分も危うく混同しかけた。手書きだと安藤で問題なく書けるんだが、キーボードだと安東が先に検索で出て来るから、つい間違ってしまうんだろうな」

ゲンブ「しかし、ウォーハンマーのキャラ作りをしていて、浮世絵作家の話題につながるとは思ってもいなかったでござる」

NOVA「俺もだ。恐るべし、時空魔術と言霊魔術と言ったところか」

ゲンブ「自分で言っていては、世話がないでござる」

NOVA「そう言えば、世話って言葉は、人のお世話をするってことだが、どうして話って文字が入ってるんだろうなあ。ウォーハンマーのスキルの〈世間話〉と何か通じるんだろうか?」

ゲンブ「なるほど。相手を困惑、時に朦朧とさせる《無駄話》の異能とはこういったものか」

NOVA「で、気になって調べたら、世話という言葉は元々、歌舞伎や浄瑠璃関連の用語という説に行き当たった。それらがしばしば題材とする義理・人情・恋愛劇などを世話物と言って、そこから人付き合いのしがらみなどの意味が派生して、『人のお世話をする、お世話をかける』という感じの使い方が生まれたらしい」

ゲンブ「元は物語用語でござるか。物語の中のしばしば面倒な人の絡み(事件に発展することも多い)をリアルな人付き合いになぞらえて、『世話役』『世話が焼ける』という言葉にも発展した、と」

NOVA「で、英語のcareの訳語に世話が当てられたことで(ケアとセワ、音的な響きもそれとなく近かったり)、江戸から明治にかけて完全に今の意味として定着した感じだな」

 

キャリア・クラスと、文化芸術の話(寄り道脱線警報)

 

ゲンブ「いい勉強になったでござる。ところで、そろそろ話を戻そうではござらんか」

NOVA「キャリアの話だな。careerの語源も、careとつながらないかと調べたくもあったが、そうやって芋づる式に調べるとキリがなさそうなので、これぐらいにして、ええと、初版ではウォリアー、レンジャー、ローグ、アカデミックの4分類をキャリア・クラスと言った。2版では、そういう分類を取り除いたんだが、4版では復活して、新たに8種類のキャリア・クラスが提示されたんだ」

 

  1. 学士(アカデミック):教養を武器にする者。魔法関係も含む。
  2. 都市民(バーガー。ドイツ語でのブルガー、フランス語でのブルジョア):都市で生活する中産階級。初版におけるローグのうち、法を守って生活する一般市民の人たち。ただし、商人や職人以外にも、扇動家や物乞いなどの裏稼業寄りの者も含む。
  3. 廷臣(コーティア):支配階級、もしくは支配階級に専門技能を提供する者。貴族と、その雇われ人、またパトロンとして世話を受けている芸術家も含む(パトロンのいない芸術家は己の才覚だけで世に出ることは困難なわけで、自分の腕を高く買ってくれるパトロン探しも芸術家の大事な資質。なお、資本主義の時代になると、貴族から大商人→会社企業がパトロン役になる流れ)
  4. 農村民(ペザント):農村で働く一般人。初版におけるレンジャーのうち、定住生活を営む人たち。ただの村人以外に、薬草師や狩人、鉱夫なども含む。
  5. 野外民(レンジャー):野外生活に長けた流浪の民。芸人や行商人も含む。
  6. 河川民(リバーフォーク):水辺で生活する者たち。船乗りや密輸商人、港湾労働者なども含む。初版のレンジャーやローグの両方を含む。というのも、中世の都市は大きな河川の近くで発展したわけで、川沿いは田舎と都会の両方に接しているから。
  7. 無頼(ローグ):いわゆる法に抵触する裏稼業の者たち。盗賊や墓荒らし、無法者の他、魔女なんかも含む。
  8. 戦士(ウォリアー):戦闘のプロフェッショナル。なお、暗殺者は無頼ではなく、戦士クラスの流れ者の最上級職である。ならず者→流れ者→殺し屋→暗殺者の流れで、仕事人よりは木枯し紋次郎や拝一刀(子連れ狼)の方向性かと。仕事人の表稼業は多彩だからねえ(どのキャリア・クラスでも仕事人風味のキャラは作れる。何度か転職して適切なスキルは習得しないといけないだろうけど)。

 

NOVA「これらの大分類であるキャリア・クラスは、初版だとキャラ作成時に能力値に合わせて選択することになるんだけど、4版ではキャリアが決まれば自動的に決まる。そして、キャラ作成時ではなくて、成長後の転職時に影響する。簡単に言えば、同じクラス内のキャリアには少ない経験点で転職できて、クラスを越えた転職は経験点が余分に掛かる、と」

ゲンブ「つまり、ウォリアーの兵士は、同じウォリアーの騎士や剣闘士には簡単に転職できるが、そこから廷臣の貴族の世界に入るには苦労するということでござるな」

NOVA「廷臣(コーティア)のマンガ家は、貴族お抱えの密偵とか召使いにはなりやすいけど、野外民の芸人とは畑違いということになる」

ゲンブ「マンガ家が廷臣というのは、現代とイメージが異なるでござるが」

NOVA「いや、マンガが庶民の読み物だと思うのは、日本では江戸時代の町人文化の流れの延長線上なんだ。中世ではそもそも文化芸術活動に力を注いだのは、貴族やイタリアの大商人だからな。そして、文化芸術知識というのは、上流階級の教養の一つであって、日本だけが何故かマンガを蔑んで、その中の芸術性を低く評価しがちなのは、明治以降の実学重視の富国強兵政策の名残りかな、と考える。それが証拠に、ドラゴンボールの作者が亡くなったときに、その文化的価値を高く評価する外国の為政者からのお悔やみが来て、当の日本人が驚いて、改めて故人の世界的な価値を知ったという逸話もある」

ゲンブ「なるほど。すると、元マンガ家の赤松健議員の掲げるマンガ外交というのも、世界的な視点では別におかしい発想ではないのでござるな」

NOVA「ゴジラアカデミー賞をとって、国際的な栄誉を勝ち得たわけだからな。日本がもしも文化大国、文化立国の道を歩もうとするなら、そうしたジャンルをもっと宣揚するべきとも思うが、その辺のグローバル化が日本の(明治以降の)狭い常識の壁に阻まれて、ただのオタクの妄想にしか思われていないのが問題だな。

「そして、もしも日本の戦争反対の立場を主張する政治勢力がまともに物を考えるなら、当然、平和外交の手段としての文化を宣揚することで、『日本はこういう文化を作り出す平和主義な国家です。これを破壊する蛮行は、世界の損失なので断固反対する』という立場を表明すれば、また若年層の風向きも変わってくると思うんだが、彼らは戦争反対を言いながら、世界的に評価されているクールな文化も毛嫌いする文化破壊者な政治主張も繰り返しているからな(一部の例外議員がいるのは知ってるけど)」

ゲンブ「まあ、軍国主義は文化破壊と関連づけられるでござろうな」

NOVA「もちろん、マンガ文化が戦意高揚の手段、プロパガンダ的に政治利用される可能性も考えられるから、マンガが全て平和に寄与するという主張は反論可能なんだが、少なくとも平和じゃなければ、マンガやアニメ、特撮などの趣味を楽しむことはできないという理由で、マンガ愛好者は平和主義を是とするという主張は成立すると思うんだ。たとえ、ジャンルの中にミリタリーや戦争をテーマにするものがあって、暴力的な言動を行うキャラクターがいたとしても、それは架空世界の物語として現実とは違う(現実はもっと残酷なこともあって、それらは許せない罪悪だ)ということさえ履き違えなければ、いいだけの話だ」

ゲンブ「まあ、マンガの中の残酷描写を見て、それを楽しむ者が影響されて模倣した犯罪行為に走る危険性を訴える層もいるでござるが、統計データを取れば、『暴力マンガを読む人間の犯罪率が、世間一般から見て、どれだけの比率か計測できる』でござろう」

NOVA「まあ、暴力マンガの定義づけにもよるがな。80年代に一世風靡した『北斗の拳』は暴力マンガと分類して問題ないと思うが、では『北斗の拳』を読んで、自分も暗殺拳法を習得して、誰かを実験台にして、人体破壊の練習をした人間がどれだけ発生したかの話だな。それよりも女性の不倫マンガを見て、自分も不倫したくなって事に及んだ女性の方が数多いと思うんだが、それはそれで統計データを取るのが難しいだろうし、たいていの女性はそこまで愚か(フィクションに影響されて、同じ倫理に反することを自分でも実行する)ではないと考えるんだが、男のエロ妄想を批判して根絶しようとするなら、女性のそういうフィクションも発禁しないといけなくなるという理屈になるし、それこそ品行方正だけが罷り通るローフルグッド(秩序にして善)な人間にしか生きにくい社会になると考えるな」

ゲンブ「暴力行為が禁じられ(リアルでは法的にそう)、フィクションでもそれを描くことが禁じられるとするなら、ウォーハンマーの表紙絵もアウトでござろうな」

ホビージャパン ウォーハンマーRPG ルールブック TRPG

NOVA「まあ、この世界観は、中世ヨーロッパ風の架空世界と、4万年後の未来だから許されるのだと思う。もしも『ウォーハンマーNOW』という現代社会を舞台にしたゲームが作られたら、厳しい批判にさらされそうだ(苦笑)」

ゲンブ「必殺仕事人も時代劇だから許される話でござるが、現代風の必殺をやれば、どこか犯罪者処罰の描写が手心入って、これじゃない感を覚えるでござる」

NOVA「ハングマンとか相手を殺さなくて、何だ、始末しないのかよって思ってた中学時代だし、さすがに現代劇でポンポン人を殺すような話は実写で作りにくい。まあ、戦争映画とか、怪獣映画とか、ホラー映画とか、深夜ドラマとか、なくはないんだが、ゴールデンタイムにTV放送される内容としてな。昔は放送できたけど、今は放送倫理に抵触する描写もいろいろあるし」

ゲンブ「しかし、『鬼滅の刃』が広範な層にウケた理由も、暴力描写に反して一定のヒューマンドラマの側面があったからでは?」

NOVA「家族愛を大事にする主人公像は、大人が見ても受け入れやすいんだ。特に子持ちの親は、子どもを映画に連れて行って、『鬼滅の刃』に妖怪退治の時代劇のエッセンスを感じとって、悪い妖怪を倒す剣士たちの愛と友情の物語という視点で見れば、良い話ってなるんだな。主人公が義理人情に篤くて、家族思いで、それを支える先輩たち、大人たちがきちんと描けていれば、良いファミリー娯楽作品として受け入れられる。暴力描写は多少の刺激物として、フレーバー程度に過ぎない。ストーリーを追ってみれば、根底に流れるヒューマニズムがきちんと伝わる作品なわけで」

ゲンブ「ウォーハンマーはどうでござるか?」

NOVA「さすがに世界観が違うので、親子のファミリー層に推奨できるゲームじゃない(苦笑)。まあ、中世ヨーロッパの歴史の勉強には絡められるな。中世から近世の暗黒時代的なエッセンスを、パンクロックの反体制的なビジュアルで染め上げて、底辺から成り上がる上昇志向の(破滅することもあるが)作品スタイルだから、マニアックな層にしか受けないと思うが、リアリティ溢れる転職ゲームとしては、不景気な世の中の鬱屈ライフを反映した、今の世相にも通じるゲームだと思うよ」

(当記事 完。次は、能力値決めと、技能や異能の決定につづく)