花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウォーハンマー・キャラメイク2(初版その2)

90年代のウォーハンマー周辺の思い出

 

晶華「1991年に彗星のごとく登場して、出版元の社会思想社さんが92年から93年に経営不振から、ゲームブックRPGのサポートから撤退したために、ファンから惜しまれながら展開終了したウォーハンマー初版です」

NOVA「まあ、AFF『タイタンふたたび』のGM山本弘さんから受け継いだ友野詳さんが、続いてウォーハンマーGMを務めて人気を獲得した実績もあって、氏の代表作GURPSリプレイから始まった『ルナル・サーガ』の立ち上げにもつながる土台となったわけで」

ヒノキ「社会思想社が展開したT&Tは、その後、角川がハイパーT&Tとして商品展開を続けたが、ウォーハンマーまでは引き継がず、次に復活するのは世紀明けの話になるからのう」

NOVA「当時の友野さんの速筆ぶりはファンの間で非常に有名で、月刊・友野詳とも呼ばれるぐらい次から次へと作品を発表して行った。91年から92年は『ウォーハンマー』と『ルナル』を同時並行でリプレイ展開していた時期もあり、さらに山本さんと2人で『妖魔夜行』を立ち上げたり、SNEの柱の一つに登り詰める勢いがあったんだな」

ヒノキ「今は何をしておるのじゃ?」

NOVA「マーダーミステリーとか、雑誌編集とか、諸々ですな」

GMウォーロック VOL.13

NOVA「あと、今月の13号には間に合いませんでしたが、7月発売予定の14号で、山本弘さんの追悼特集をやるそうです。山本さんのSNE時代の作品の懐古記事とか、その功績を讃える号になる予定だそうで」

ヒノキ「社会思想社の旧ウォーロック誌を盛り立てた、お一人じゃからのう」

NOVA「ロードスの初代ディードリット(D&D連載版)のプレイヤーでもありますね。まあ、連載時のセッションは4回(1回のセッションを2話に分けて記事にしたので記事数は8回だけど)だけで、以降のディードリットのプレイヤー(ロードスRPG版)は別の女性が担当したわけで。山本さんは『自分は数回ディードリットをプレイしただけだ』とおっしゃって、自分とディードのキャラ人気を立て分けていたけど、その数回の印象がイラストの魅力と、ゲームのルールに詳しいクレバーなプレイぶりと相まって、昔からのファンの印象を惹きつけていたわけで」

晶華「そうかあ。ソード・ワールドだけでなく、ロードスにも山本弘さんは関わっていたのね」

NOVA「何だ、お前、知らなかったのか。で、SNE時代に一番、山本さんと仲が良かった後輩社員が友野さんだったと思うので、安田社長もそうだけど、山本さんの逝去の報に一番ショックを受けていたのが友野さんじゃないかなあ、と思う。作品で言うなら、山本さんの直弟子みたいな形で引き継いだり、共同で企画を組み上げたこともある人だからな。14号の山本追悼特集の企画を立てたのも友野さんの意見が大きいだろうし、雑誌が季刊だから3ヶ月後にはなるだろうけど、その間にいろいろと懐かしい作品の話をまとめ上げるんだろうなあ、と思う。一冊丸ごと山本弘特集になっても不思議ではないほどの作品数は残されているけど、まあ、マーダーミステリーも大事だし、全部ではなくても、それなりに多いだろうな、と」

NOVA「現在連載中のこっちのコミックの作者さんも、山本さんのコミックの影響を受けたって語っていたわけだし」

ヒノキ「後はこれじゃな」

NOVA「『ラプラスの魔』は安田社長が立てたゲーム企画を、山本さんにノベライズを任せて、プロ作家デビュー作に至った作品。この時の創作経緯をこの本の中で(現在、読み直してる最中)山本さんは結構、詳細に(デビューのチャンスを与えてくれた社長への感謝とともに)語っておられる」

NOVA「安田社長はSF翻訳家からSF要素の濃いゲーム紹介者の経緯を辿り、一方で山本さんの方はSF作家を目指していたのが、70年代に同人デビューしたものの、その後でスランプに陥って書けなくなっていた頃に、水野良さんらと結成・参加していたゲームサークル・シンタックスエラー(SNEの前身)の縁で、ゲーム紹介の道から商業デビューを果たし、10年経った頃合いにSNEを退社して、改めてSF作家として独立していった形だな。その辺の経緯の自伝小説的な描写も、この本に載っていて、感じ入ったりも」

NOVA「で、山本さん絡みで、SNEネタと言えば、これもあるな」

NOVA「ゴーストハンター第3弾は、作者が違うけど、最初に山本さんが膨らませたキャラクターの続編ストーリーを、原案者の安田社長と後進ゲームデザイナーの秋口さんが書いたもの。で、この『アルケリンガ』というタイトルが、大阪で去年開店したSNEのゲームカフェ/ショップとなっている。間接的に、山本さんの作品との関わりがある店なわけだ」

翔花「人の縁って、いろいろとつながっているのね」

NOVA「俺個人は、80年代から90年代のゲームファンとしての縁だと思うけど、21世紀に入ってネットでの掲示板関係で、いろいろ学ばせてもらった経緯もある。まあ、そこでこっちも若気の至りで、失礼を働いたこともあったわけだが(それでNOVAが山本さんを恨んでいると一時期、変な誤解をした人物も現れたわけだが)、距離を置いたのは執筆活動の邪魔になりたくないためであり、それ以降、山本さんはSF作家として大成されたのだから、こちらとしては(陰ながら応援してたファンの立場で)ニッコリってもんだよ」

ヒノキ「しかし、2018年以降は故人も大変だったようじゃな」

NOVA「いろいろと噂は聞いて心配はしていたんだけど、ブログで書く話題ではないと思った。心配を煽るような記事とか、そもそも心配してますと言うだけでも、気持ちがモヤモヤするだけだし、まあ、こちらとしてはゲームブックとか、過去の思い出で楽しませてくれてありがとうってファンの気持ちを残しておきたいと思った次第だな。SFエンタメ作家の氏に対しては、『作品を楽しませてもらっています』ってのが一番のファン仕草だと思うし、ちょうどFFコレクション復活とかで懐古の時流もあったからな」

 

晶華「で、ウォーハンマーのキャラ作りの話のはずなのに、ずいぶんと違う話に展開したようだけど?」

NOVA「おっと、90年代を思い出すと、ついあれこれつながってしまって……俺の話はここまでだ。邪魔して悪かったな。さあ、キャラ作りを続けてくれ」

 

キャリアの話

 

晶華「では、気を取り直して、ここからキャリアを決定します。準備はいい、ジュニアのジュン君?」

ジュニア(略称ジュン)「はい、アッキーさん。人間のレンジャー、〈強靭〉〈両手利き〉〈天文学〉の技能を持った『星追い(スターチェイサー)のジン、18歳』を完成させますぅ」

晶華「いつの間に、キャラの名前を?」

ジュン「話が長かったですからねぇ。先に名前ぐらい考えたくなりますよぉ」

晶華「では、ジュン君が作るジン・スターチェイサーの最初の職業は何か? ドキドキしながら、%ロールをどうぞ」

ジュン「(コロコロ)89が出ましたぁ」

晶華「それは……罠師(トラッパー)ね」

ジュン「ええと、罠を仕掛ける猟師か何かですかぁ?」

晶華「そう。罠師は〈野外の姿隠し〉〈方向感知〉〈船こぎ〉〈秘密言語(レンジャー語)〉〈秘密符号(森番符号)〉〈罠設置〉〈野外の忍び歩き〉〈罠発見〉といった豊富な技能をもらえる大変有用な職業よ」

ジュン「そうですかぁ。当たりと考えていいんですねぇ」

晶華「そうね。レンジャー絡みの職で、名前だけ聞いてハズレっぽいのは、ラバ追いとネズミ捕りぐらいなものかしら」

ジュン「職業差別はよろしくないけど、『俺の名はジン・スターチェイサー、罠師だ』って名乗るのと、『俺はジン・スターチェイサー、ネズミ捕りだ』って名乗るのでは、格好良さが全然違いますぅ」

晶華「罠師は狩人の一種だから、弓矢も最初から与えられるし、装備も充実している感じ。成長すれば、次のキャリアはドルイド、無法者、偵察兵の3つを選べるわ」

ジュン「戦えるキャラなら、偵察兵が良さそうですねぇ。無法者は悪そうだから、イヤかな。ドルイドは呪文が使えるのですかぁ?」

晶華「いいえ。ドルイドはまだ入信者段階なので、呪文は使えません。ドルイドとして生きる自然哲学を学んでいる時期なので、そこからドルイド僧に昇格して、初めて呪文を使ったり、使い魔を持てるようになるんですね」

ジュン「ドルイドを目指すなら、ハイラスおじさんは喜ぶかもしれませんねぇ」

晶華「考えてみれば、ウォーハンマーってイギリスのゲームだから、ケルトドルイドって本場なのよね。道理で初版のルールブックの記述も力が入っているはずだわ(2版以降はアメリカのゲーム会社がライセンス発売)。D&Dよりも、ウォーハンマーの方がドルイドゲームの名にふさわしいんじゃない?」

ジュン「アッキーさんもドルイドの修行は受けたんですよねぇ」

晶華「ハイラスおじさんから森で生きていくサバイバルの方法を少し学んだだけよ。あと、カシュミーラとして、大地の大妖精タイタン様から大地の守りを託されたこともあるけど、NOVAちゃんが続きの話をマスタリングしてくれないの」

ジュン「そうかぁ。ジン・スターチェイサーも将来はドルイドを目指すのがいいのかなぁ?」

晶華「ジュン君は、ジンとして何がしたいの?」

ジュン「戦士のように強く戦いたいですぅ」

晶華「だったら、ドルイドはダメね」

ジュン「どうしてですかぁ?」

晶華「むやみに動物の命を奪ってはいけないって戒律があるもん。自衛のため、あるいは食物を得るための手段ならいいけど、必要以上に好戦的な振る舞いは禁じられているそうよ。戦士とドルイドは生き方が反するんじゃないかしら」

ジュン「罠師は獣を捕まえるハンターだけど、そこから命の大切さに目覚めるとドルイドの道、狩りや追跡技能を活かすなら偵察兵って方向ですかぁ」

晶華「キャラ作りだけなんだから、そこまで将来のことを考えておかなくてもいいんだけどね。後はレンジャーと罠師の所持品をキャラシートに記入して、最後に成長できる能力値を1回成長させて、作成終了よ」

ジュン「罠師が成長させられるのは……(ルールブックの該当ページを見ながら)武器技術度、射撃技術度、筋力、耐久力、反応度、器用度ですかぁ。接近戦もできるように、武器技術度を上げるのはどうでしょうかぁ?」

晶華「ただの罠師から戦士を目指すなら、それでもいいんじゃないかしら。これで、ジュン君のキャラは大体、完成ね。あとはキャラシートにまとめましょう」

●ジン・スターチェイサー(プレイヤー ジュニア)

種族:人間(18歳・男)

キャリア:レンジャーの罠師

次のキャリア:ドルイド、無法者、偵察兵

運命点:4

 

移動力  :3

武器技術度:28+10=38

射撃技術度:39(+10)

筋力   :3(+1)

強靭力  :3+1=4(〈強靭〉技能分)

耐久力  :6(+2)

反応度  :31(+10)

攻撃回数 :1回

器用度  :27(+10)

統率度  :31

知力度  :31

冷静度  :25

抵抗度  :34

協調度  :24

 

・技能:強靭、両手利き(器用度に関する危険度テスト+10%)、天文学、野外の姿隠し、方向感知、船こぎ、秘密言語(レンジャー語)、秘密符号(森番符号)、罠設置、野外の忍び歩き、罠発見

 

・所持品:剣、ナイフ、ショートボウと矢、毛皮の帽子と鹿皮の服、フード付きマントと革製ブーツ、レザー・ジャーキン(胴体防御点1、4点以上のダメージに対しては無効)、ロープ10m、カヌー(近くの水辺に隠している)、動物用の罠3セット、背負い袋(毛布2枚、食事用フォーク、火口箱、調理用ポット、水筒)、金貨7枚

 

晶華「職業が決まれば、その職業にふさわしい所持品を自動的にもらえるから、最初に買い物しなくていいのが楽よね」

ジュン「結構それらしい所持品が設定されているのが、自分のキャラのイメージを高めてくれる感じですぅ」

晶華「NOVAちゃんが最近、妙に夢中になってる物乞い(ベガー)なんて、物乞いの椀、ぼろぼろの衣服、重い杖、安酒の瓶しか持ってないそうだから。まあ、ローグ基本装備で、ブーツ、ナイフ、金貨3D6枚も与えられるけど」

ジュン「金貨で気になったんですけど、1日の生活費っていくらくらいですかねぇ」

晶華「ちょっと待ってね。そういう情報はルールブック3にあるから。キャラ作りはルールブック1だけでできるけど、魔法関係はルールブック2で、ワールドガイドとお試しシナリオがルールブック3。アイテムの値段とかもルールブック3なので、いちいちチェックが面倒なの」

ジュン「そんなルールを全部読んだんですかぁ?」

晶華「NOVAちゃんはね。私は時間がないから、目次だけチェックして、どこに何の情報が書いてあるか、大雑把に見ただけ。キャラ作りのルールはそれなりに詳しく読んだけど」

ジュン「それでも、これだけ指導してくれて、ありがとうございますぅ。さすがは知力の花粉症ガール2号・粉杉晶華ことアッキーさん。尊敬してますぅ」

晶華「(ポッ)あなた、いい子ね。褒めてもらって嬉しいわ。うちの子にならない?」

ジュン「それはちょっと……。リウには、アリナ様と、シロ姉さんと、ゲンブ師匠がいますからぁ。でも、また遊びに行くのはいいかもぉ」

晶華(年下っぽい子を相手に、何を変な気を起こしてるのよ、私。私の好きなのは、クール眼鏡の年上男性なんだから。でも、ジュン君も前のリトル君の時より、いい感じに成長してきたかも。ああ、眼鏡を付けさせたい……)

ジュン「アッキーさん?」

晶華「……ああ、ごめんなさい。ルールを探すのに手間どったわ。これこれ、ええと金貨1枚(1ゴールドクラウン=GC)は銀貨20枚に相当し、銀貨1枚(1シルバーシリング。本ゲームのアイテム価格の基本単位)は銅貨12枚に相当する。銅貨は1ブラスペニーって言うんだけど、なぜか略称は1dなのよね。イギリスの貨幣単位ってややこしい」

ジュン「今のイギリスは、ポンドとペニー(複数形はペンス)だから割と簡単ですよ。1ポンドが100ペンスらしいし。ややこしいのは、中世ヨーロッパだからじゃないですかぁ?」

晶華「ポンドは知っているけど、£って記されるのよね。何でポンドなのに、Lなの?」

ジュン「昔、ポンドは天秤にちなんでlibraと呼ばれていたそうです。その名残で1lbという古い記録もあるとか。なお、アメリカのドルが$なのも、諸説あってややこしいですけど、18世紀にはすでに略称として用いられていたようですね(イギリスのシリング貨由来とも)。シリング貨は1971年まで貨幣単位に10進法が導入されるまで使われていたそうで、当時はやはり1ポンド=20シリング=240ペンスだったそうです」

晶華「1971年ってことは、中世どころか思ったより最近よね。昭和の話じゃない。ええと、NOVAちゃんが生まれた年だから、それを記念して1ポンド=100ペンスになった?」

ジュン「そうなんですか!? さすがは時空魔術師さまですぅ。そんな貨幣単位にまで影響を与えるなんてぇ!」

晶華「冗談よ。真に受けないで(この子、頭は良くて物知りそうなんだけど、素直すぎて騙されやすそう。天然ボケなところは、お姉ちゃんに似ているかな?) ……とにかく、最初の質問の答え。オールドワールドの1日の生活費は、1日あたりの食費と宿賃が合わせて銀貨10枚ぐらいね。金貨1枚あれば、2日間は宿に泊まれる。最低限の食料と野宿なら銀貨3枚で済むみたいだけど、それなら金貨1枚で1週間かな。ひもじい思いをするでしょうけど」

ジュン「だったら、作り立てのキャラクターがすぐに飢え死にすることはなさそうですねぇ。リウのキャラは狩人だから、動物を捕まえれば、それだけでも食いつなげそうですしぃ」

晶華「レンジャーはその点が有利なのよね。貨幣経済とは関係なく、野外で普通に食料はまかなえる」

ジュン「でも、ジンは植物知識がないので、食べられる野草とか薬草採集はできないのですぅ」

晶華「ああ、そういう技能が欲しいときにドルイドを目指すのね。罠師は、狩りはできるけど採集は専門外、と」

ジュン「だから、やっぱり自分が入手できない香草とかは、街でお金を払って買わないと、肉だけじゃ美味しい食事もできないし、栄養だって偏るわけでぇ」

 

華麗なエルフ女剣士のキャリアは?

 

晶華「じゃあ、ジュン君のキャラは一通り完成したと思うので、次は私のキャラの番ね。〈第六感〉で危険が予測できて、〈武器落とし〉で相手を無力化できる華麗な剣術をたしなんだエルフの女の子(48歳の若手)だから、名前は……華麗なカリーナにするわ」

ジュン「ストレートな名前ですねぇ」

晶華「で、華麗なを英語にすると……」

ジュン「ゴージャスですかぁ?」

晶華「そういうのはもうすぐ登場予定の金ピカ・レジェンドにお任せして、私はええと……スプレンディドを採用して、カリーナ・スプレンディで行きます」

ジュン「カリーナ・スプレンディですかぁ。華麗という言葉だけで、よくできた感じですぅ」

晶華「元の単語から、どう微妙に変えて名前っぽくアレンジするかがポイントね。で、問題はキャリアがどうなるか。エルフのウォリアーで変なのは来ないと思うけど、ここが運命の分かれ道。(コロコロ)58は何かしら?」

ジュン「船乗り(シーマン)……だそうです」

晶華「船乗り!? また微妙なところが来たわね。(職業説明を読んで)所持品が安酒の入った瓶だけって何これ? 私の華麗なカリーナは実は酔っ払い? 酒飲んで、ほろ酔い気分で歌ってるわけ?」

ジュン「5%の確率でアル中になる……って職業説明に書いていますねぇ」

晶華「そんなのはイヤ。(コロコロ)02。まさかのアル中エルフの誕生とは(苦笑)」

ジュン「アッキーさん、その出目は狙いすぎでしょぉ?」

晶華「……これも運命なのよ。さすがはウォーハンマー、華麗なエルフの剣士がアル中になるなんて、ダイスを振るまでは思いもしなかったわ。でも、これで面白いキャラ比べでは文句なく勝てたわね」

ジュン「アル中エルフのインパクトには勝てませんよぉ」

晶華「ええと、技能は〈打撃回避〉〈船こぎ〉〈航海術〉〈崖登り〉〈外国語の会話〉〈格闘〉〈強打〉〈水泳〉、そして75%の確率で〈大酒飲み〉をゲットできる」

ジュン「〈大酒飲み〉って、そんな技能もウォーハンマーにはあるんですかぁ?」

晶華「アルコールを飲んだ時の能力減少が半分で済む代わりに、お酒の誘惑への抵抗判定に10%のペナルティーとか……(コロコロ)23が出たので、私のエルフは〈大酒飲み〉のアル中になってしまいました。華麗なイメージがガラガラと(涙)」

ジュン「でも、技能は多くて、戦いでも強そうですよ。〈打撃回避〉〈格闘〉〈強打〉って戦士としては尊敬できますぅ」

晶華「酒飲んで酔っ払いながら、フラフラと敵の攻撃を避けたりしながら、相手を思いきり殴っちゃうようなエルフの姉ちゃんがぁ?」

ジュン「酔拳みたいで格好いい!」

晶華「褒め言葉も、そこまで来るとイヤミに聞こえるんだけど〜。まあ、いいわ。確実にキャラ立ちはした。酔っ払いエルフの女剣士なんてキャラは、それだけでライトノベルの主人公になれるはず」

ジュン「船乗りは転職するとどうなるんですかぁ?」

晶華「次のキャリアは、こぎ手、水先案内人、咄家(はなしか)、船長、奴隷商人、密輸商人ってところね」

ジュン「他はともかく、咄家って何ですかぁ?」

晶華「ローグ系キャリアの一つで、英語名ラカンタール。芸人の一種で、物語を語ったり、面白い小話を披露したりするキャラね」

ジュン「船乗りから咄家というつながりがよく分からないですぅ」

晶華「酒飲んで、航海の旅の中で仕入れた噂話や体験談を酒場で吹聴していたら、周りの客にウケちゃったので、それを商売の糧にし始めた?」

ジュン「酒飲み話の延長ですかぁ。でも、それを仕事にするなんて、さすがはアッキーさん」

晶華「いや、私じゃないし。私のキャラのカリーナ……でもないわね。そっちに転職するって決めたわけでもないし。ええと、咄家の技能を見ると、〈無駄話〉〈魅惑〉〈演説〉〈誘惑〉〈語り〉〈機知〉、そして25%の確率で〈礼儀作法〉ってあるわ。交渉系キャラが務まりそうだけど、ゲームマスターとかYouTuberが良さそうね。この人とか」

晶華「咄家さんの話はこれぐらいにして、船乗りの夢はふつう船長になることよね。でも、船長になるためには、その前段階として副船長にならないといけないの。まあ、GMの用意した冒険の舞台が海でないなら、少し自分の進路を考えないといけないけどね」

ジュン「陸地で役立つ技能持ちって、咄家の他には、奴隷商人や密輸商人ぐらいしかなさそうですけど、そういう悪者系ってどうかと思いますぅ」

晶華「自分の今のキャリアから次になりたいキャリアが見当たらないときは、経験点を100点払って、ウォリアーの基本キャリアを新たに選んでもいいし、200点払ってウォリアー以外のクラスからキャリアを選んでもいい。船乗りから吟遊詩人になってもいいし、行商人→小売商→大商人という道もある。冒険を重ねて、経験点さえ稼げば、紆余曲折を重ねても、いつかはなりたい自分にだってなれる。それがウォーハンマーなのよ」

ジュン「途中で力尽きて、道半ばに斃れることがなければですねぇ」

晶華「たとえ死ぬにしても、劇的に、人々に惜しまれる死に方をしたいわね。そのために今を精一杯生きるのが冒険者

ジュン「だったら、お酒に溺れて飲んだくれてる場合じゃないですねぇ」

晶華「人生、愉しむことも大事なの。とにかく、今は最初の成長をするわ。船乗りの成長表は……おお、攻撃回数が増やせる。これにするわ。2回攻撃ができるのは、絶対強いと思うし」

●カリーナ・スプレンディ(プレイヤー 粉杉晶華)

種族:エルフ(48歳、女)

キャリア:ウォリアーの船乗り(アルコール中毒

次のキャリア:こぎ手、水先案内人、咄家、船長、奴隷商人、密輸商人

運命点:1

 

移動力  :5

武器技術度:40(+10)

射撃技術度:25(+10)

筋力   :3(+1)

強靭力  :3+1=4(〈強靭〉技能分)

耐久力  :6(+2)

反応度  :59(+10)

攻撃回数 :1回+1=2回

器用度  :36

統率度  :37

知力度  :50

冷静度  :54

抵抗度  :38

協調度  :44

 

・技能:長視野、歌唱、強靭、第六感、武器落とし、打撃回避、船こぎ、航海術、崖登り、外国語会話、格闘、強打(ダメージ+1)、水泳、大酒飲み

・所持品:剣、ナイフ、兜(頭防御点1)、丈夫な衣服、フード付きマントとブーツ、背負い袋(錫鉛製のジョッキ、食事用フォーク、火口箱、毛布)、安酒の入った瓶、金貨16枚

晶華「船乗りのキャリアは所持品がマジで酒瓶だけしかない(物乞い以下の所持品)ので、ウォリアーの共通装備しか持っていないのが悲しいわね。鎧を買わないと」

ジュン「こっちはレザー・ジャーキンを持ってるんですけどねぇ」

晶華「鎧って高いのね。レザー・ジャーキンでも金貨12枚もするもの。兜も金貨25枚。この世界は、ソード・ワールド冒険者なんかと違って、鎧をガチガチに着込んで行動する戦士ってのも少数派ってことね。そもそも船の上で金属鎧を着込むなんてあり得ない話だし」

ジュン「でも、カリーナさんは〈打撃回避〉があるからいいじゃないですかぁ」

晶華「〈打撃回避〉は1ラウンドに1回、自分に命中しそうな接近戦の攻撃を、反応度テストに成功すればノーダメージにできる優れ物の技能ね。この技能がなければ、敵の攻撃をかわす手段がないので(攻撃の命中は敵が判定に成功するかどうかのD&D方式)、基本的に敵の攻撃は〈打撃回避〉で避けるか、攻撃をせずに受け流しでダメージを減らすしかない」

ジュン「でも、2回攻撃できるなら、そのうち1回を攻撃、1回を受け流すってできるんじゃないですかぁ?」

晶華「そうそう。それができるから、攻撃回数を増やすことは、攻撃でも防御でも有効なのよ。とにかく、カリーナはアル中だけど、1対1なら結構、強いキャラとして戦えるってことね」

ジュン「1対1なら負けない。それって、カシュー王みたいですねぇ」

晶華「! それよ。カリーナの将来は、剣闘士になる。それから、傭兵になって、傭兵隊長になって、いつか王になる。それが華麗なカリーナの生きる道」

 

NOVA「はい、そこまでだ。キャラ作り終了」

晶華「ねえねえ、NOVAちゃん。『酔いどれ剣士カリーナの華麗な冒険記 船乗りから剣闘士奴隷にされたエルフの少女はいつか傭兵になって王を目指す』ってラノベの原案シナリオを書いて」

NOVA「タイトル長えよ。って言うか、キャラ作りだけで、冒険に出るつもりも、ましてや、それをネタに小説を書くつもりもねえよ。どうしても読みたければ、今、これを読んでる小説家志望の読者にでも頼めよ」

晶華「お願い、読者さん。誰でもいいから、このネタで面白い話を書いて。イラストでもいいわ」

NOVA「まあ、別に執筆料を払うものでもないので、単にアイデアの垂れ流しに過ぎんからな。それで、誰かがなろう小説のネタにでもして、じっさいに書いて出版までこぎ着けたら、俺が喜んで買うだろうな。影の原案者、粉杉晶華って」

ジュン「その際には、相方の罠師少年ジン・スターチェイサー(18歳)もよろしくですぅ」

 

初版のキャラ作りの結末

 

NOVA「……ということで、ヒノキ姐さん、今回のキャラメイク対決の勝敗はどちらでしょうか?」

ヒノキ「まあ、結論は出ているじゃろう。ジュニアの罠師はふつうによくあるキャラじゃが、華麗なエルフのはずが酔っ払いのアル中に転落して、そこから砂漠の傭兵王を目指すために、わざわざ剣闘士奴隷を志望するなんてのは、ここでしか作れん。大いに笑わせてもらった」

晶華「すると、私の勝ち?」

ヒノキ「うむ、アッキーにはマッスル太郎に次ぐ、お笑い芸人キャラの称号を授けるとしよう」

晶華「その称号、あまり嬉しくないんですけど〜」

NOVA「まあ、エンタメは楽しめて何ぼだからなあ。最近のTRPGはテンプレートのデータに、ランダム背景をダイスで振って決めるのが主流だが、根幹データがデザイナーの用意した定番っぽいテンプレだし、自作するにしても好きな職業や能力を選ぶだけだからなあ。プレイヤーの設計どおりのキャラはできるが、プレイヤーの意図しない形の変なキャラはできにくいようになっている(変なキャラは、プレイヤーのロールプレイの個性や、用意されたデータの意外な組み合わせ選択で生じるもの)」

ヒノキ「おかげで、爆笑ものの事故も起こらんようになってるからな。少なくともキャラメイクの時点では」

NOVA「でも、ウォーハンマーって、このランダムにキャラが生まれてしまう面白さがあって、今の版でもそれを受け継いでいて、俺が好きなキャラメイクなんですよ。ダイスを振っているだけで楽しい。まあ、4版はランダムを受け入れると追加経験点ボーナスがもらえて、ランダムで出たものが気に入らなければ自分の意志で選択できる(ボーナスはなし)というシステムなので、どっちの需要にも応えているんですけどね」

ヒノキ「とにかく、物乞い並みに笑えた酔っ払いエルフの誕生に乾杯🍻」

NOVA「このネタだけで酒の肴になりますな♪」

晶華「嬉しくない!」

ジュン「アッキーさん、いっしょにキャラ作りできて楽しかったですぅ」

(当記事 完)