今回はレンジャー話から飛躍
リモートNOVA『前回は、旧世紀のD&D憧れの上級職業だったレンジャーが、新世紀になって基本職ファイターの底上げによって、相対的に弱体化したという話をしました』
ヒノキ「ファイターに野外活動の斥候能力と、自然に関する呪文能力を加えたのがAD&Dのレンジャー。しかし、3版以降は、ファイターとレンジャーの立ち位置は同等の基本職にした結果、戦闘のプロのファイターと、何だか器用貧乏なレンジャーという位置付けになった、と」
NOVA『実は、3版レンジャーはゴブリンスレイヤーだと思えば、非常に納得するんですよ。「得意な敵=ゴブリン」に設定すると、相手がゴブリンの場合にダメージボーナス+2の他、ゴブリンに対する〈聞き耳〉〈視認〉〈真意看破〉〈生存〉〈はったり〉技能に+2ボーナス。さらにレベルアップによって、対ゴブリンのボーナスがどんどん向上していく。もう、ゴブリンスレイヤーをやるならD&D3版もしくは3.5版がお勧めのゲームとなります』
ヒノキ「今さらかよ。ゴブスレをやるなら、勧めるべきはこれじゃろう?」
NOVA『いや、そのゲームは、作者の逝去によって発展性がなくなりましたからね。本当に残念でなりません』
ヒノキ「しかし、D&D3版も今の5版とは異なるゲームで、発展性がないという意味では同じじゃろう?」
NOVA『すでに出ている膨大なサプリメントだけで、これでもか、と発展性が保証されていますよ。サプリ1つ、リプレイ1つ、および5年ほどの雑誌記事だけでしかサポートが続かなかったRPGとは年季が違います。そもそも、ゴブスレさんはあの四方世界でも特殊な変わり者キャラであり、ゴブスレRPGはゴブスレさん自身を再現するゲームではない、とルールブックに書かれていますからね』
ヒノキ「ゴブスレRPGなのに、ゴブスレ本人を再現しないとは異なことを」
NOVA『あくまで、「ゴブスレさんと同じ世界に生きている一般冒険者を遊ぶゲーム」という位置づけですから。で、ゴブスレRPGよりも、D&D3版のレンジャーの方がよほどゴブスレしてるって話です。専門のファイターよりは戦闘力が高くないけれど、対ゴブリン戦術では異常に詳しく、レンジャーとローグの能力をマルチしたら、ほぼゴブスレさんが再現できるという』
ヒノキ「しかし、D&Dのレンジャーは呪文も使うじゃろう。ゴブスレが呪文を使うのは、違和感がないか? アイテムは使うが、呪文には詳しくないのがゴブスレのはず」
NOVA『ああ、それなら選択ルールがありまして、サプリメントの「戦士大全」には、「呪文発動能力のないパラディンとレンジャー」を扱う手引きがあるのです。呪文を失う代わりに、他の種類の特殊能力を習得するオプションですな。レンジャーだと通常よりも素早く動け、1日1回【敏捷力】【耐久力】【判断力】のどれかに+4ボーナスが得られるドーピング効果とか、毒や病気の治癒能力などを会得できます。これなら、ゴブスレっぽいロールプレイも可能』
ヒノキ「3版の自由度の高さは聞いておったが、自分のファンタジー世界のイメージに合わせて、選択ルールが非常に豊かなのじゃな」
NOVA『しかし、普通のD&Dのレンジャー使いは、「得意な敵=人型生物(ゴブリン類)」はあまり選ばないんじゃないか、と思いますけどね。該当するのがゴブリン、ホブゴブリン、バグベアしかいなくて、序盤はともかく、中堅どころの冒険者だと「使いどころはあるかもしれないけど、そこまでボーナスがなくてもゴブリンぐらい簡単に対処できる」というのが常識ですから、せっかくのボーナスなら「アンデッド」とか「魔獣」とか「巨人」とか「来訪者(悪魔や異界の存在)」とか「竜」とかに回すんじゃないかな、と』
ヒノキ「そこを、敢えてゴブリン退治というメジャーなのにニッチという市場を狙ったのがゴブスレじゃろう。ドラクエだと、スライムスレイヤーになるのか?」
NOVA『3版ではオリジナルで上級クラスを作る手引きもありますので、「上級クラス:ゴブリンスレイヤー」を作るのもありでしょうね。実のところ、「ダークハンター(暗闇の狩人)」という上級クラスがかなりゴブスレに近いことが書いてます』
上級クラス:ダークハンターの話
★ダークハンター
地下の洞窟でクリーチャーを狩り立て、仕留める専門家。
隠密行動、待ち伏せ、策略を用いて敵を分断し、1体また1体と仕留めていく。
人里離れた地下洞窟をさまようことが多いので、一般社会とはどこかしら馴染みが薄い。普通の人たちは同族同士で集落を作るものなので、根なし草のような暮らしを送るダークハンターは、異形のように見られることも多い。集落を敵から守るのは大きな誉れであり、然るべき敬意を払う者もいるにはいるが、他人の評判を気にしない自立した個人にとっては、そんなことはどうでもいい。ダークハンターは敵を片付けるたび、自分のやっていることに意義があると心から実感しているのである。
・クラスの必要条件
基本攻撃ボーナス:+5
技能:〈忍び足〉2、〈製作:罠作り〉5、〈生存〉2、〈知識:ダンジョン探検〉2
特技:《追跡》《無視界戦闘》
・獲得特殊能力
レベル1:石工の勘強化
レベル2:暗視強化
レベル3:急所攻撃+1D6
レベル4:岩隠れ
レベル5:致死攻撃
NOVA『ダークハンターの条件を満たすためには、最速でレンジャー5レベルで達成可能。あと、種族条件としてはドワーフが向いているものの、他の種族でも問題なく就ける。そして美味しいのは、暗視を持たない種族でもダークハンター2レベルで、暗視を獲得できることですね』
ヒノキ「元々、暗視を持っている種族の場合は?」
NOVA『暗視の距離が伸びますね。ドワーフは元々、暗視60フィート(18メートル)ですが、ダークハンター2レベルで90フィート(27メートル)になります。暗視を持たない人間は、30フィート(9メートル)の暗視を獲得できますがね』
ヒノキ「確か、今のD&Dは5フィートで1マスとして計測するのじゃったな」
NOVA『フィギュアとフロアタイルを使った場合は、そうですね。今の版は必須ではないのですが、4版はそれを前提としたシステムでした。ともあれ、人間がダークハンターとして暗視を会得するまでは、《無視界戦闘》の特技で補助することになります』
ヒノキ「その特技があれば、見えない相手に対する不利が軽減されるのじゃな」
NOVA『暗闇で暗視ができない場合、50%の確率で命中した攻撃が無効化されるんですね。だけど、《無視界戦闘》ができれば、無効化判定を振り直しできるので、無効化確率が25%まで軽減できます。他に、闇の中での移動速度の低下も2分の1から4分の3に軽減できます。もちろん、普通に明かりがあればいいわけですが、それでも透明化した相手と戦ったりする場合に有効ですね、《無視界戦闘》は』
ヒノキ「しかし、普通に暗視の使えるドワーフであっても、ダークハンターになるためには《無視界戦闘》を覚えなければならないのか」
NOVA『要は、視覚に頼らずとも研ぎ澄まされた感覚を持つことが、ダークハンターの条件ってことです。そして、ダークハンターになると、ドワーフ並みの感覚で、石造り構造の不審な点を見極めることができます』
ヒノキ「不審な点というと……隠し扉とか、落とし穴とかの類か?」
NOVA『崩れてくる天井の気配とか、不自然に通路が傾いているので大岩が転がって来る可能性とか、プレイヤーのアイデアとDMの裁定次第でいろいろと応用できそうですね。マンチキンなプレイヤーだったら、壁の構造物の弱いところを探り当てて、敵の頭上で洞窟を崩せないかとDMに聞いてみるぐらいするかもしれません。ドワーフとか、建築のプロだったら、「要石はこれじゃ」とか言って、建物を崩すプレイもできそうですが』
ヒノキ「そんな場合は、DMはどうするのじゃ?」
NOVA『俺がDMだったら、「できるかもしれないけど、構造物破壊をした結果、君たちの頭の上の天井も崩れてくる可能性があるから、建築のプロだとそういう危険は冒さないんじゃないかなあ」と忠告する。それでもやるなら、2分の1の確率でプレイヤーキャラも巻き込むかな。さすがに、TRPGの実プレイでそういう局面に陥ったことはないけど、コンピューターゲームとかゲームブックの方が、そういう仕掛けが用意されていたな』
ヒノキ「崩れる天井とか?」
NOVA『そこから水が噴き出して来て、鉱山を水没させるとか、昔のバルダーズゲートでやった記憶がある。というか、5版の昔のスターターシナリオでも、鉄砲水の仕掛けで敵を減らす仕掛けってあったな。ダンジョン内の仕掛けを利用して、戦闘を有利にするとか海外のゲームの方が凝っている。日本のドラクエだと、せいぜいパズル的な構造のダンジョンで、あまり破壊的な仕掛けは少なかったと思うけど』
ヒノキ「ダンジョン内の仕掛けを利用して、敵を一網打尽にするとか、面白そうじゃ」
NOVA『最近はゲームブックで、ゾンビ集団を誘き寄せて深淵の落とし穴にまとめて一網打尽って経験もしたり』
ヒノキ「いかにも、凝ったダンジョン仕掛けじゃのう」
NOVA『他は盗賊みたいに急所攻撃したり、暗殺者みたいに相手を麻痺させたり即死させたりできる』
ヒノキ「もしかして、ダークハンターって恐ろしい刺客なのか?」
NOVA『まあ、上級クラスですからね。致死攻撃を行うには、3ラウンド集中してから相手の不意を突いて、急所攻撃を命中させて、相手が頑健セーブで失敗するという段取りが必要ですが。1人でやるなら隠れた状態を3ラウンド維持、仲間がいるなら仲間が敵を3ラウンド引きつけて、自分は3ラウンド何もせず待機……という形になりますか』
ヒノキ「相手のHPにもよるが、3ラウンド分を普通に攻撃した方が早くないか?」
NOVA『そんな気がしますな。特に、ダークハンターはレンジャーの上級職で武器戦闘の攻撃性能は悪くないんですね。冒険中に仲間がいるなら、「3ラウンドを無駄に待つよりも、いっしょに殴れよ」と仲間にプレッシャーを掛けられる。アサシンの場合は、打たれ弱いローグの上級職だから奇襲以外の戦闘力にやや欠ける面もあるけど、ダークハンターはまず戦士として見なされるだろうし、致死攻撃に頼るとしたら、偵察活動中にチャンスがあれば……って感じになるかな』
ヒノキ「とにかく、洞窟限定で暗殺者の真似事もできる上級クラスということじゃな。それと、レベル5までしか上げられない?」
NOVA『上級クラスは、基本クラスに追加能力を加える形なので、成長限界が高くない者もいますな。レンジャー5レベル、ダークハンター5レベルで、キャラクターレベルが10レベルになるので、その後、どんな道に進むかも考えどころかも』
コアルール(DMG)の関連話
NOVA『さて、ダークハンターは「戦士大全」所収の上級クラスで順番が前後したけど、まずはコアルールの上級クラスをまとめてみたいです』
ヒノキ「コアルールとはD&D用語で、プレイヤーズハンドブック(PHB)、ダンジョンマスターズガイド(DMG)、モンスターマニュアル(MM)の3点セットを指すのじゃな」
NOVA『基本的に、PHBがキャラ作成と判定、戦闘、呪文、成長ルール。DMGがダンジョンマスターのゲーム運営(ダンジョン作成や世界観作成)とマジックアイテム。MMは大量のモンスターデータなどですが、DMGとMMはダンジョンマスターが主に購入し、プレイヤーはPHBを買えば十分……ってことですが、3版はそうでもなかったりします』
ヒノキ「と言うと?」
NOVA『まず、上級クラスについてはDMGに載っているので、プレイヤーが上級クラスに成長したければ、DMにお願いして見せてもらわないといけなかった。まあ、自分もDMやるプレイヤーはコアルールを3冊とも買うんだけど』
ヒノキ「上級クラスに興味があるなら、DMG必須だと」
NOVA『さらに、3版はプレイヤーがマジックアイテムを作成したり、お金で自由に購入できたりするシステムなんですが、そういうデータが全部DMGに載っているので、魔法使いや神官系など「マジックアイテム作成特技」を習得できる職業のプレイヤーは、やはりDMにお願いしないといけない』
ヒノキ「上級クラスも、マジックアイテムもDMの管理下なんじゃな」
NOVA『だから、PHBしか持ってないプレイヤーは、基本的なキャラは使えるけれど、あまり凝ったキャラ育成ができないわけですな。まあ、PHB所収の基本クラスだけでも十分楽しめるけど、ここでドルイドやレンジャー、獣や魔物召喚系の呪文が使える魔法使い系クラスは、モンスターマニュアルがないと、自分の召喚できる従者のデータが分からないことになる』
ヒノキ「ああ。召喚モンスターの管理を自分で行うか、DMに委ねるかの違いが出て来るのか」
NOVA『プレイヤーに必要な情報と、DMが管理すべき情報が時代によって変わって来るってことですね。4版だと、マジックアイテムの情報がPHBに収録されたり、召喚系のパワーはPHBから消えて追加ルール扱いになったりしたし、5版はマジックアイテムの管理がもう一度、DMに戻されたりして3版の感覚に戻ったけど、上級クラスがサブクラスに置き換わってPHBの範疇になったし、この辺のPHBとDMGの編集の違いが歴代D&Dを辿ると面白みを感じたり』
ヒノキ「DMがどこまで管理すべきか、プレイヤーにどこまでの自由を与えるべきかなど卓ごとの違いもあるじゃろうが、一応、公式の見解も示されておるのじゃな」
NOVA『で、3版と3.5版の違いは、PHBの方はマイナーチェンジですが、DMGの方が非常に大きく変わっていますね。ページ構成も、3版のDMGは先にキャラクター管理のことを書いてあって、後からダンジョン、ワールドと話を広げているのに対し、3.5版ではキャラクター関連が後回しにされました。あとNPC用のクラスと上級クラスが同じ章でまとめられて未整理なのが3版で、その辺をきちんと分けて扱いしやすくしたのが3.5版。ページ数も拡張されていて、3版のDMGが250ページなのに対し、3.5版のDMGは320ページと30%ほど増大。よって、ことDMGに関して言うなら、3版と3.5版はずいぶん変わったな、という印象です』
ヒノキ「今のDMGはどうじゃ?」
NOVA『今(2024年版)は先日発売されたばかり(11月12日)で、中身がよく分かっていないので、2014年の旧5版の話ですが、最初にワールド重視というか、いきなり多元宇宙の話から始まっていて、初見では驚きました』
NOVA『旧5版の誕生時期は、D&Dの4版の改革路線が多くのファンの反発を招いて、3版の系譜を受け継いだパスファインダーの方に客が流れていった背景事情がありまして、5版はD&Dブランドの立て直しを至上命題とされていたわけですね。その結果、選んだ道が「過去のキャンペーン世界の大プッシュ」なわけです。戦闘重視だった4版に対して、背景世界重視の旧5版の方向性が打ち出されて、PHBもDMGもドラゴンランスやらフォーゴトン・レルムの記述が散りばめられ、世界観こそD&Dの魅力と言わんばかりの編集でした』
ヒノキ「人気システムの3版を受け継いだパスファインダーに対して、システムで挑むことを避けたのが5版じゃな」
NOVA『じっさい、3版はAD&D2版が初版から切り捨てた要素をいろいろと復活させながら、新世紀ならではのシステムにアップデートした流れで大ヒットしました。そして、若干ながら突貫工事になっていて、ユーザーの不満だった要素を改善したのが3.5版。一方、4版はシステムも世界観も大変革を行ったら、保守的なユーザーが猛反発したので、「よりスピーディーでシンプルなシステムと、豊かな世界観」を売りにしたのが旧5版。そちらは大成功した形で、今回の新5版に移行中というのが現状です』
ヒノキ「旧5版と新5版の違いが、目下の旬の話題じゃろう」
NOVA『まあ、海外ゲームの先鋭的なゲーマーにとってはそうでしょうが、大雑把にいうなら、3版と3.5版の違いが参考になるんじゃないかなあ、と思ってみたり。あとは基本クラスに多彩なサブクラスを付与して、キャラのヴァリエーションを増やすシステムは同じなので、「旧5版のコアルール+サプリメントのザナサーやターシャの要素を整理」という方向性ですね。
『それ以外には、「種族の違いが人種差別を想起させるというポリコレ的事情から、これまでみたいに前面に出すのを避けて、背景特徴と種族特徴を一つにまとめた」というのが、どう受け止められるかです。これまでは、「種族→職業クラス→背景付与→技能や特技選択→サブクラス選択」というキャラ作りの流れだったのを、「職業クラス→種族や背景付与→技能や特技→サブクラス」にしましたが、エルフとかドワーフといったファンタジー異種族の設定を貴族や商人、学者、兵士などの背景と同一視するのはどうなんだ、という意見も』
ヒノキ「そもそも、新兄さんはD&Dの職業話はいろいろして来たが、種族の話はあまりしておらんじゃろう? ソード・ワールドの異種族と違って」
NOVA『まあ、クラシックD&Dのクラスとしての種族話(エルフ、ドワーフ、ハーフリング)はしましたが、AD&D以降はほとんどしてませんな。ぶっちゃけ、3版以降はどんどん種族の差をなくす方向に進んでいる感じです。昔は、ドワーフがレンジャーになることなどあり得ない選択でしたが、今ではドワーフが聖騎士になろうが、魔法使いになろうが、許されます。
『ただし、3版だと【魅力】の能力値が低いので、パラディンやバードが有利とは言えませんが、どうも「ドワーフという種族は【筋力】や【耐久力】が高くて【魅力】が低い」という種族の区別さえステロタイプで差別だといった感じの意見も出て、5版からは種族の弱点能力値がなくなったし、ターシャ本ではオプションルールとして「能力値上昇をステロタイプでなく、プレイヤーが望むなら自由にカスタマイズしてもいい」という記述が加えられ、新5版では、それがオプションではなく標準ルールになったとか』
ヒノキ「すると、『ぼくのドワーフは【筋力】よりも【知力】に+2するよ』って能力修正が認められると?」
NOVA『ちなみに、5版の人間は全能力値+1という形で、他の種族の弱点をなくした分、底上げが行われています。要は、異種族とは言え、ステロタイプ的な決めつけは良くない、という思想みたいですが、ドワーフの欠点である移動力の低さ(他の種族では30フィート=6マス移動なのに、ドワーフやハーフリングみたいな小柄な種族は足が遅くて20フィート=4マス移動が標準)も、今回なくされたようで、種族による差異は数字データ部分ではなく、習得技能や特技で行われているのかな、と』
ヒノキ「キャラ作り以外の違いは?」
NOVA『とにかく、旧5版は多様な背景世界という「長いD&Dの歴史」をアピールして、初版や2版の原点回帰を示して、3版推しのパスファインダーと対決したわけです。で、今回はまず「初版と3版がプッシュしたグレイホーク」に絞った形ですな。DMGのページ構成は、パッと見、3.5版に戻ったかなと思います』
ヒノキ「だから、今さら3.5版をプッシュするんじゃな」
NOVA『新5版という呼称は、たぶん俺しか使っていないと思いますが、2014年版と2024年版という呼称が一般的。ただ、何ぶんDMGが発売されたばかりで、その中身の評価が出て来るのはこれからですな。俺は現物を持っていないから(邦訳待ち)、昔のバージョンからの発展で語るのみ』
ヒノキ「では、話を戻そう。キャラクター推しだった3版のDMGから、ワールド推しだった3.5版以降の流れになったわけじゃが、そこにはどんな意味が?」
NOVA『ダンジョンマスターの仕事であり、遊びが冒険の舞台であるワールド作成にあることを強調したみたいですね。ダンジョン作って、ダンジョンの近くの町(ホームタウン)を作って、町の周りの野外マップを作って、その周りにできる国、さらには広がる世界と異世界……ってのが3.5版以降のイメージ。まあ、4版はシステムが大きく変わったので、よりゲーム的な運用メインになりましたけど、DMGは版上げのたびに構成が大きく変わるイメージです。そもそもDMGを買うような人間は、プレイヤー以上にマニアなのは間違いないだろうから、同じパターンだとがっかりするでしょうし、ルール自体は大きく変わったわけじゃないのに、中身を変えないといけないってことは、編集や構成を変えて、違いを見せないといけないってことですからね』
ヒノキ「で、DMGを読まないと、3版は上級クラスになれない、と」
NOVA『3版は、上級クラスが6つしか載ってなくて、3.5版のDMGの売りの一つが「上級クラスの数が飛躍的に増えた」ってことですが、ざっと16種類。その後、大全シリーズで、どんどん上級クラスが追加されていくわけで、この上級クラスを全て覚えているほどのマニアは世界でどれだけいるかなあ、と思います』
ヒノキ「で、その上級クラス解説をこれからして行こうと言うのじゃな」
NOVA『そのために、もう一度、3版のDMGを読んでいるのですが、今の視点で読むと、AD&D2版のDMGと、3版のDMGって編集が変というか、他のRPGと比べても、癖が強いと思います』
ヒノキ「と言うと?」
NOVA『AD&D2版は、キャラ作りの能力値の決め方について、DMがどのやり方を採用するか、という選択肢から解説されていまして、普通は6面ダイス3つを振って順に当てはめるんだけど、6面ダイス4つを振って高い方3つを選ぶ手法とか、6面ダイス3つを6回振って好きな能力値に割り振るとか、複数のバージョンを示して、それぞれの利点とか解説している。ルールじゃなくて、選択ルールの山なのがAD&DのDMGだったわけですが、改めて読むと無駄なネタページが多いなあ、とツッコミ入れられますね』
ヒノキ「洗練されていないということか?」
NOVA『3版のDMGも、改めて読むと凄いです。「ダンジョンマスターなんて面倒な作業に挑むのは、選ばれた人間の1人だ! 全ての人間が、それほどの創造力と献身を持ち合わせているわけではない」とベタ褒めした後、「君はPHBを熟読し、内容を把握したろう」なんて書かれてあって、その上で、DMの仕事の概説が示された後、第2章の「キャラクター」の章が笑った。「君はPHBのクラスが気に入らないかもしれない。だったら、君の世界に合った新しいクラスを用意するといい」というようなことが書いてあって、オリジナルクラスの作成の手引きが示されて、その延長線上に上級クラスが載ってあるんですな』
ヒノキ「ええと……いきなり、ルールを改造する手引きから始まると言うのか?」
NOVA『ええ、19ページから58ページまでが、そんな感じです。ふつう、DMガイドだったら、ルールの改造の仕方よりも先に、シナリオの作り方とかそういうのを載せるべきだと思うんですが、それは97ページの第4章からですね。第3章は、ルールの運用の仕方ですので、それはまあ納得。それまでは延々と、オリジナル種族の作り方とか、PHBの種族ルールの改造の仕方とか、ゴブリンとかミノタウロスとかユニコーンといったモンスターをプレイヤーキャラにする案とか、いろいろ面白くはあるんだけど、初心者DMでは少し手に負えないようなネタばかりですな。PHB掲載のルールをあれこれイジる手引きになっていて、その延長というか、まるでDMの最初の仕事がキャラデータの改造かよ、と言わんばかり。それが3.5版のDMGだと、ずいぶんまともになりました』
ヒノキ「と言うと?」
NOVA『そういうマニアックなルールは、6章(165ページから)に後退して、「1章 ゲームの運営(15ページほどの概説)」「2章 ルールの運用(19ページから42ページまで)」「3章 冒険とシナリオ(43ページから100ページまで)」……といった感じで、DMが最初に為すべきことを順を追って説明してくれている。言わば、3版がマニア向きの手引きで、3.5版が初心者でも分かりやすい編集の仕方なんですな』
ヒノキ「3版と3.5版では、ターゲット層が違うと言うことかのう」
NOVA『とりあえず、3版はマニアックなAD&Dのベテランを引きつけるのが目的のゲーマー目線の編集で、3.5版は改めて初心者DMを養成するような方向を目指して、ファン層の拡大を目指したのだと思います。まあ、経験あるDMは別に最初からルールを全部読むのではなくて、自分にとって必要な項目を探す飛ばし読みの技術ぐらいは習得しているものだと思いますし、俺も3版のDMGはそのように読んでたから、編集方針が大きく変わっていたことを最近になって初めて知ったわけで』
ヒノキ「新兄さんは、D&Dファンじゃなかったのか?」
NOVA『いや、3版と3.5版のDMGを比較しながら読んだのは、今が初めてです。3版を読んで、少ししてから3.5版を読んで、レンジャーのデータが増えてるとか、上級クラスが増えてるとか、変わったデータの部分はチェックしましたが、「3版のDMG構成じゃ、DM初心者が苦労しそうだ」なんて発想ができるようになったのは、たぶん今だからだと思う。この20年の間で、SNEのソード・ワールドや、FEARさんの各種ゲームの版上げなんかにも触れたりして、初心者にも優しいルールブックの構成の仕方なんてのも考える機会もあったし』
ヒノキ「今さら昔のDMGの構成の変化を分析しても、読者は喜ばんじゃろう。それよりも、上級クラスの解説をせぬか。そもそも、それが記事の主旨だったはずじゃ」
NOVA『そうでした。何だか、昔のDMGをじっくり読むのが楽しくて、つい。では、今回は3版の6つを紹介して、続きは次回にしましょう』
3版のコアルール上級クラス
①アーケイン・アーチャー(秘術の射手)
NOVA『魔法の矢を放つ射手ですな。5版でもザナサー本に収録されているファイターのサブクラスですが、3版の時にはエルフかハーフエルフでないといけない種族制限がありました』
ヒノキ「ファイターかレンジャーが、秘術魔法(ウィザードやソーサラーの呪文)を習得する職業に就いてから、選べるクラスじゃな」
NOVA『レンジャーは秘術ではなくて信仰系の呪文を使うので、レンジャー1本じゃアーケイン・アーチャーにはなれない、と』
②アサシン(暗殺者)
NOVA『5版でもローグのサブクラスですが、そちらは即死攻撃がなくなった分、おとなしくなった印象です。急所攻撃でダメージが加算されて、さらに暗殺術が成功すると倍ダメージになるのが5版。一方、3版はHP量に関わらず、即死の可能性があるわけです』
ヒノキ「AD&D初版の基本クラスだったのが、邪悪だからという理由で2版から消えた後、3版でも基本クラスでは復帰できず、結局、上級クラスとしてDM管理の下で使用が認められる、と」
NOVA『結局のところ、敵キャラ専用クラスと考える方がいいのではないかと思うのですが、正義の暗殺者というのも成り立たないんですね。性格が悪限定だから』
ヒノキ「5版のサブクラスのアサシンは、性格の制限はなかったはず」
NOVA『3版に比べて、プレイヤーキャラとして扱いやすく、マイルドになった印象ですね』
③シャドウダンサー(影の踊り手)
NOVA『これは5版のサブクラスに見当たらないのですが、ローグやバードの上級職で、素早い身のこなしで相手を翻弄しながら戦う華麗なクラスです。また幻術を使ったり、影と影の間を短距離ワープしたり(ディメンジョン・ドアの魔法と同様な効果)、シャドウというモンスターを召喚して自らの分身みたいに戦わせることも可能』
ヒノキ「幻術を使う忍びと考えればいいのかの」
NOVA『忍びなれども忍ばないというか、派手に立ち回る芸妓って感じですね。必殺シリーズだと、梅沢富美男さんが演じていたような』
ヒノキ「例えがマニアックすぎるじゃろう」
NOVA『バードから、この職業に昇格すると、歌って踊れる芸能キャラになれますな』
NOVA『文字どおり、ドワーフ専用の防御力に長けた戦士の上級職です。D12とバーバリアン並みのHPを持ち、レベルアップによってACも伸びて行き、もうドワーフだったら、これを目指しなさいという壁役キャラ垂涎の職業ですな』
ヒノキ「究極のタンク(防衛役)と言ったところじゃな」
NOVA『DMが殴りたくないキャラの筆頭ですな。まあ、このクラス単独だと攻撃力に欠けるので、ファイターとして攻撃系の特技を習得したり、バーバリアンとして攻撃力向上の特殊能力を得たりしながら、パーティの防御の要になっていくのでしょうな』
⑤ブラックガード(暗黒戦士)
NOVA『いわゆる悪のパラディンで、邪悪専用です。これとアサシンは、敵役専用にしているDMも多かったと思います。毒を使ったり、急所攻撃もできますし、転職直後から呪文を使うこともできるし、アンデッドを召喚することもできて、性能は非常に高いですな。いわゆる敵軍の指揮官も、ライバルキャラもできます』
ヒノキ「あまりに強すぎるので、こいつに転職したいプレイヤーもいるのではないか?」
NOVA『まあ、邪悪キャンペーンでもやりたかったら、花形職ですね。パーティー全員が邪悪なキャラをプレイして、強大な力を秘めた至宝を求めて暗躍するのもいいかも。ロードスで言うところの、アシュラム配下の暗黒騎士団の若手を主人公に、マーモ側をプレイするような感じですか』
ヒノキ「そう言えば、お前さん、灰色の魔女カーラの下で『灰色の勇者』だったりしてなかったか?」
NOVA『黒歴史ですね。心優しいダークエルフのヒロインを守ることを誓った、世間知らずのお坊ちゃん騎士だったと思います。高山GMが変化球的なリプレイ企画を出して、善悪の間でフラフラ揺れる話だったと記憶。勇者騎士に憧れて、灰色の魔女の闇バイトに騙されて、いろいろ葛藤するキャラでしたが、最終的にはモスの普通の騎士団長になれたかな。途中で暗黒騎士もいいかも、と思ってましたが、マーモとも対立したというか、微妙に悪堕ちにも至らなかったというか』
ヒノキ「更生したんじゃな」
NOVA『悪堕ちヒャッハーみたいなプレイには走れませんでしたね、さすがに。まあ、細かいストーリーは忘れましたが』
⑥ローアマスター(学匠)
NOVA『呪文使いの目指す上級クラスの一例と言ったところですね。いわゆる賢者で、ウィザードとクレリックの両方を経てから、この職に就くと、両方の呪文使用能力が伸ばせるので、ついでにドルイドなんかにも寄り道して、全ての呪文知識を趣味で覚える知識の探求者キャラがプレイできます』
ヒノキ「なるほど。新兄さんの垂涎職ということじゃな」
NOVA『ただし、両方一度に伸ばせるわけではないので、例えばウィザード8レベル、クレリック3レベルに、ローアマスター2レベルとなった場合、ローアマスターレベルをウィザードかクレリックのどちらに足すか選ばないといけません。これによって、ウィザード10レベルか、ウィザード9+クレリック4か、クレリック5になるか、呪文使用能力を選択する必要があります』
ヒノキ「ウィザード10+クレリック5のようにはならない、と」
NOVA『それができると本当に優秀なんですが、バランスをとるためには、どちらか選択式ですな。他に知識系の技能や呪文を習得するのが得意ですが、このクラスの条件に「占術系呪文の習得を7つ以上」というのがあって、いわゆるディテクト何ちゃら系(探知系、識別系)の呪文を優先しないといけない』
ヒノキ「攻撃呪文や戦闘支援呪文の習得数がその分、減るのか」
NOVA『わしの仕事は、戦うことではなく、知ることと探ることじゃ。ファイアボール? そんな頭の悪い力術呪文を覚えるくらいなら、遠くの音声が聞こえるクレアオーディエンスを覚える方がいい……と言っちゃう人ですな』
ヒノキ「情報系の魔法は便利じゃが、それしかできないとなると、冒険仲間としては足手まといじゃろう。少なくとも、ダンジョンでは役に立たない」
NOVA『まあ、囚われたヒロインを助けるシナリオで、クレアオーディエンスが使えると、彼女が囚われている場所が分かって、無駄な戦闘を避けられるというケースも考えられますが。「わしの調査系の呪文で、ダンジョンのマップはほぼ完成した。あとは、お前たちに任せよう。わしは疲れたので、寝るzzz」という魔法使いって素敵じゃありませんか?』
ヒノキ「それは、プレイヤーキャラじゃなくてNPCじゃろう。まあ、NPCでローアマスターの知り合いがいると、情報源として非常に重宝するじゃろうが」
NOVA『プレイヤーキャラでローアマスターを目指すなら、基本はしっかりチームの一員として働いて、知識系呪文は余力のある時にコツコツ増やしておいて、それで十分貯まったタイミングで転職ですな。いきなり、ローアマスターを目指して、占術系呪文しか取得しないという一つ覚えじゃダメだ、と』
ヒノキ「冒険者は、学者バカであってはダメ、ということじゃな。実用的なこともできるようにせんと」
NOVA『何にせよ、3版の上級クラスは数が少ないので、魔法使い系キャラが目指せるのがこれ一つしかない、というのが問題ですな。ここから先は、上級クラスをどんどん増やしていくのが、商売にもなるわけで』
NOVA『最後におまけとして、こいつに触れておきましょう』
ヒノキ「ウォリアーとは、いわゆる戦士じゃが、ファイターとは何が違うんじゃ?」
NOVA『ウォリアーの定義は、版によって変わってきます。クラシックD&Dでは、ファイター2レベルの称号名で、AD&D2版ではファイター、パラディン、レンジャーをまとめた戦士系をウォリアーと言ってました。3版では、ファイターが特技を習得する戦士と定義され、ウォリアーは冒険者でない普通の兵士。戦闘能力はそれなりにあるけど、特技を習得したエキスパートとは異なるわけですね』
ヒノキ「言わば、2版までの特殊能力を持たないファイターをNPC専用のウォリアーと定義し直したのじゃな」
NOVA『そうなりますな。3版では「ウォリアー+多彩な特技=ファイター」「ウォリアー+神の加護による聖なる力=パラディン」「ウォリアー+野外活動の技能など=レンジャー」といった感じに定義できると思えます』
ヒノキ「つまり、NPC専用で、プレイヤーキャラよりも弱いクラスを設定した、と」
NOVA『他には、金持ちでそこそこ戦えるアリストクラート(貴族、特権階級)、部族社会などの洗練されていない魔術師アデプト(まじない師)、職人や商人などの特定技能を修めたエキスパート(専門家)、普通の農夫や店員などを表現したコモナー(一般人)が用意されていて、一般人は冒険者のウィザードよりもひ弱だという扱いです』
ヒノキ「魔法使いが一般人よりも肉体的に脆弱だと認識しておったが、3版では違う定義が為されておったのじゃな」
NOVA『一般人→見習い冒険者→レベル1冒険者という順に強化されていますね。ウォリアーは一般人よりも基本的な戦闘訓練を積んで鍛えているからタフ。それでも、冒険者のファイターみたいに特殊な技をどんどん習得できるわけではない、と。改めて、D&D世界におけるプレイヤーキャラの位置付けが再定義されたのが、この時期だ、と。まあ、その気になれば、一般人キャラ(コモナー)が成長して、念願の冒険者になるまでを描いたシナリオもデータ的に作れそうですが』
ヒノキ「レベル1ファイターは、一般人よりもはるかにタフということか」
NOVA『それでも、レベル3コモナーぐらいになれば、HP的に追いついて来そうですけどね』
ヒノキ「レベル10一般人だったら、レベル3ファイターに勝てる程度の戦力比ということか」
NOVA『一般人を極めて、レベル20ぐらいになったら、伝説級の一般人と言えるかも』
ヒノキ「そこまで極まっているなら、冒険者になれ、と言いたいが、冒険には出ないけど、村をゴブリンの襲撃から守り続けて幾星霜……という村の守り人もプレイできる、と」
NOVA『ただの兵士と商人と一般村人が行うミニアドベンチャーもできなくはない、と』
ヒノキ「まあ、元兵士のファイター見習いと、商人の背景を持った魔法使いの徒弟と、一般村人上がりのドルイド見習いでも冒険できるのじゃろうが、それが楽しいかどうかは謎じゃ」
NOVA『そういうのって、「混沌の渦」とか「ウォーハンマー」の初期とか、「一つの指輪」のプレイスタイルだと思いますね。職業冒険者ではなく、普通の職業持ちの一般市民が旅先でたまたま事件に巻き込まれて冒険をする羽目になるという。何となく、開拓魂を持った職業冒険者というのがアメリカ人的で、一般の市民や農民が冒険に巻き込まれるのがイギリス人的という感じで』
ヒノキ「しかし、ゲームブックのファイティング・ファンタジーは職業冒険者だぞ」
NOVA『たぶん、作者のジャクソンやリビングストンは、イギリス人なのにアメリカ人的な開拓者気質を持ってるんですよ。で、D&Dは開拓者的なゲームで、他のイギリス風ファンタジーRPGは一般人が事件に巻き込まれる系が目立つっぽい』
ヒノキ「まあ、行商人とか旅の職人とか大道芸人が事件に巻き込まれるのは、イギリス人のファンタジーという感じはする。妙に歴史に忠実というか」
NOVA『もちろん、5版は背景ルールによって、冒険者としての職業クラスとは別に、表看板の職業がコアルールに実装されたわけですが、さておき、3版ではそういうのはあくまで選択ルールでした』
ヒノキ「ドワーフのファイターが、元々は鍛冶屋をやってたか、鉱夫をやってたか、宝石細工師をやっていたか、酒場の用心棒をやってたかを決めるルールじゃな」
NOVA『ダンジョンでバトルしてる分には、必要ない設定ですけどね。魔法使いが、街ではアルバイトで図書館の司書をやってたり、子どもたちに読み書きを教えてたり、大道芸で幻術を披露していたり、美味しい酒の醸造を研究していたり、ただの魔法使い以外の個性を持たせるようなネタは3版のサプリや5版なんかで一般的になった感です』
ヒノキ「というか、上級クラスの話のはずなのに、どうして冒険者ではない一般の職業の話を長々としているのじゃ?」
NOVA『いや、深い理由はないのですが、3版が上級クラスとNPCクラスを混ぜてるのが悪いです。ローアマスターの次が、NPCクラスになってますから、その流れでつい……』
ヒノキ「3.5版は違うのか?」
NOVA『NPCが4章で、PC用の種族やクラスの項目は6章ですから、混同はしないでしょうな。とにかく、今回はここまで。3.5版の上級クラスは次につづく』
(当記事 完)