2026年最初の記事
ヒノキ「新年あけおめ、ことよろなのじゃ」
晶華「スペシャルゲストは私、粉杉晶華と……」
翔花「姉の粉杉翔花です」
シロ「コンパーニュ三獣士ビャッコのシロだ」
ジュニア「同じく三獣士セイリュウ・ジュニアですぅ」
ゲンブ「三獣士トリを飾るは我、ゲンブでござる」
ヒノキ「今年は6人の大所帯で正月を迎えた。めでたい」
晶華「リナ老師、お年玉をちょうだい」
ヒノキ「何じゃ、やぶからぼうに? 我がコンパーニュにお年玉のような風習はない」
晶華「え? そうなの?」
シロ「ああ。ボクもジュニアもお年玉をもらったことはない」
晶華「お姉ちゃん、帰るわよ」
翔花「え?」
晶華「こんなお年玉をくれないようなところにはいられないわ。NOVAちゃんから、お年玉をもらってくる」
ヒノキ「お年玉はないが、正月用のケーキ、ライスケーキならあるぞ」
晶華「ライスケーキ?」
ヒノキ「ポン菓子ともいう。穀物を膨張させて作るもので、トウモロコシで作ればポップコーン。米で作れば、ライスケーキともポン菓子ともいう。そもそも、お年玉が金銭を渡すようになったのは、昭和に入ってからの風習じゃ。それ以前は、餅やお菓子、玩具を与えたともいう。我が家は、アリナ流でこしらえたポンポン菓子が年玉代わりじゃ」
晶華「ポン菓子の仕組みは何となく分かった。戦後の伝統的な米菓子ってこともね。だけど、アリナ流ってどういうこと? 別にリナ老師が製造機を作ったわけじゃないでしょ?」
ヒノキ「そりゃあ、加熱する際に、わらわの愛情たっぷりの爆裂火炎魔法を使うからのう。ということで、魔法を駆使すれば調理にも応用できるって話じゃ」
翔花「魔法を使った料理ね。ダンジョン飯とかでありそう」
ヒノキ「GURPSには、料理にも活用できる便利な《加熱》呪文が用意されておる。また、食材さえあれば、単純なシチューが1分で作れる《調理》という呪文も用意されていて、その呪文を習得する前提呪文が、《発火》《火炎》《毒見》じゃ」
晶華「何で料理の呪文を習得するのに、《毒見》なんて物騒な呪文が必要なのよ!?」
ヒノキ「《毒見》は多くの食料系呪文の前提になっておる。日本語訳は物騒だが、《毒見》の英語はTest Food。すなわち、食べられる材料かどうかを調べる情報系魔法じゃ。毒の他に、腐敗していないか、食べ物以外の異物が混ざっていないかも確かめられる」
シロ「安全な食材かどうか見極めるのは、料理人の基本だからな。これさえあれば、フグの毒を取り除いたり、毒キノコを見極めたりもできるので、サバイバルには有用だ」
晶華「そもそも、食料系呪文というカテゴリーがある時点で、GURPSの呪文はすごいわね」
翔花「D&Dにもあるわよ。クリエイト・フード&ウォーターって信仰系呪文が。神さまが食べ物を作ってくれるから、レベルの高い聖職者は飢え死にすることはない。だけど、神さまの料理は、栄養豊富だけど味気ないし、消費期限が24時間しかないの」
晶華「グルメで、美味しい料理を作ってくれる神さまっていないの?」
ヒノキ「わらわじゃ」
晶華「あ、身近にいた。シーさんが名パティシエだってのは知ってたけど、リナ老師も料理人だっけ?」
ヒノキ「シロはデザート専門じゃ。わらわは何でも作れるが、デザートの味はシロの方が上で、わらわの味は基本的にホットでスパイシー。まあ、ポン菓子は例外じゃが、わらわが砂糖菓子を作ると、どうにも加減が分からなくて、やたらと甘くなりがちという問題がある。わらわはそれでもいいが、甘すぎるのはゲンブに不評でのう」
ゲンブ「うむ。アリナ様は細かい加減ができんので、味つけは各自が自分の判断で醤油や塩を混ぜる必要がある。さすがに、塩と砂糖を間違えるほどのバツ技能は持っておらんが、普通に作ると、甘いなら甘い、辛いなら辛いと極端な味になってしまうのがアリナ様でござる」
翔花「でも、このポン菓子は美味しいよね(ムシャムシャ)」
晶華「ああ、もう食べてる。私も〜」
ヒノキ「どうじゃ、わらわのお年玉は?」
晶華「これがお年玉というのは、どうも納得できないけれど、文化の違いと受け止めておくわ。それに……結構、美味しいわね。ポン菓子を司る神霊、ポン菓子神の称号を進呈するわ」
ヒノキ「そんなセンスのない称号などいらんわ。しかし、美味しいポン菓子の味加減を調整するのに、10年以上の歳月を費やしたからのう。あの年月の苦労は、まさにこの日のためにあったと言えようか」
翔花「血と涙の結晶のポン菓子ってことね」
改めてD&Dの魔法体系(ウィザード編)
ヒノキ「ポン菓子ティータイムを終えて、これより魔法研鑽に入る。まず、D&Dの呪文体系が大きく、秘術系と信仰系に分かれることは知っていような」
晶華「さすがにその辺は常識ね。秘術系は、いわゆる魔法使い魔法で、信仰系は僧侶魔法。よく分からないのは、秘術系がウィザード、ソーサラー、ウォーロックの3種類に分かれていることなの。信仰系はクレリックとドルイドで良かったわよね」
翔花「あと、ややこしいのは、バードとかパラディン、レンジャーといった武器と魔法を両方扱う職業ね。バードは秘術系、パラディンは信仰系で、レンジャーはどっちになるのかしら?」
ヒノキ「うむ。それは版によって変わってきたという事情がある。ドラクエIIのベギラマが電撃系だったのが、後に電撃系はライデインに置き換わったとか、歴史経緯による変更があったり、設定が増えたということじゃ」
シロ「バードはAD&D1版の追加職業であり、戦士と盗賊とドルイドの複合職として登場したけど、2版で信仰系のドルイドから、秘術系のウィザード呪文の使い手に変わった。3版と5版では、秘術系に属しながら、ウィザードと異なる独自のバード呪文リストを持つ。4版も秘術系だけど、もはやウィザードとは全く異なる呪文系のパワーを与えられた」
翔花「1版と2版が大きく変わって、3版と5版は方向性が近いってこと?」
ヒノキ「バードについては、そうじゃな。現在のD&Dは、職業ごとに呪文リストが用意されているので、秘術系と信仰系の区別はそれほど絶対的なものではない」
翔花「と言うと?」
ヒノキ「例えば、2版までは、回復魔法のキュア・ライト・ウーンズは信仰系の呪文だったので、1版で回復呪文を使えたバードが、2版では使えなくなった。しかし、3版ではバードの呪文リストにキュア系が加えられ、代わりにマジックミサイルやファイヤーボールといった攻撃呪文をバードが使えなくなった」
晶華「つまり、使える呪文の傾向が、バードみたいな複合職では大きく変わるってことね」
ヒノキ「変化が激しいのはレンジャーも然り。1版は初歩のマジックユーザーとドルイド呪文を使え、2版は動植物系の信仰呪文に限定。この段階では、レンジャーに呪文使いの能力を期待するのは間違っていると言えよう」
ジュニア「どうしてですかぁ?」
ヒノキ「パラディンもそうじゃが、レベル8とかレベル9になってから、1レベル呪文を1回使えます、と言われても、使いようがないじゃろう。あまりにも遅すぎる」
晶華「少なくとも、攻撃呪文や回復呪文みたいな数値が重要な魔法は、厳しいわね」
ゲンブ「《動植物探知》とか《動物会話》などの情報系呪文は、仲間にドルイドのいないパーティーだと、他に代用できそうにない特殊能力として使えなくはないが、総じて旧世紀のAD&Dは、今の目から見て、成長が遅いのは否めないでござる」
晶華「まあ、その人たちは呪文がメインではないから、高レベルに育ったときのおまけ的な余芸ってことね。レンジャーは戦士の亜種なんだから、戦えたら十分、パーティーに貢献できるわ」
ヒノキ「近年(5版)のレンジャーはレベル2から呪文が使えるので、はるかに使いやすくなった……と思いきや、新5版になると、さらにレベル1から呪文が使えるようになって、呪文の使用回数が専門家ほど多くないという欠点を除けば、最初から呪文職として便利なキャラとなった。複合職については、これぐらいでいいじゃろう。それより、呪文の専門家の話じゃ」
晶華「やっぱり、気になるのは、ウィザードとソーサラーとウォーロックの違いね。素人目には、全部同じ魔法使いにしか思えない」
ヒノキ「ウィザードは、かつてメイジとかマジックユーザーとも言われて、D&Dの魔法使いの基本じゃな。知識で魔法を使う本の虫じゃ」
晶華「うん。NOVAちゃんを見てると分かる。自称、ホワイト・ウィザードだったしね」
ヒノキ「ウィザードは、その得意分野によって『幻術』『召喚術』『死霊術』『心術』『占術』『変成術』『防御術』『力術』の8つのサブクラスに分かれるようになっておった。ただ、新5版においては、PHBに4つだけ記載されるようになった。『防御術』『力術』『幻術』『占術』じゃ」
晶華「つまり、召喚術師や死霊術師、心術師、変成術師がリストラされたのね」
ヒノキ「サプリメント送りになって、基本ルールからは除外されたということじゃな。そもそも、他のクラスが2つか3つしかサブクラスが与えられていなかったのに、ウィザードとクレリックだけ8個とか7個とか、サブクラスの選択肢が多かったのは、クラス格差という奴じゃろう。新版は全てのクラスがサブクラスを4個だけ与えられておる。ウィザードやクレリックは減ったが、他は全て増えて、全体的にはヴァリエーションが広がったと言えよう」
晶華「まあ、死霊術師がリストラされたのは分かる。どちらかと言えば、敵キャラ向きだもんね。召喚術も初心者が扱うには難しそう。心術師ってのは、精神系魔法?」
ヒノキ「代表的な呪文は、チャーム(魅了)やスリープ(眠り)、ホールド(金縛り)などじゃな。対人では強いが、アンデッドなんかが相手だと役に立たない呪文の使い手じゃ」
晶華「都市冒険だと有用そうだけど、ダンジョン探索では相手次第で有用性が大きく変わりそう」
翔花「眠りの呪文は便利そうだけど?」
ヒノキ「別に専門家じゃなくても、それらの呪文は使えるぞ。ただ、専門家だとそれらの呪文が習得しやすくなって、それに応じた特殊能力が追加されるだけじゃ。この呪文の専門家ルールは、AD&D2版からあったが、その際は力術師(インヴォーカー)が反対属性の心術呪文(エンチャントメント)や召喚術呪文(コンジュレーション)が使えなくなるなど、デメリットも設定されていた。今は、そんなことはないので、好きにサブクラスを選べばいい」
晶華「初心者向きなのは、力術師よね。いわゆる攻撃系のダメージ呪文の専門家」
ヒノキ「わらわも自分がやるなら、それを選ぶじゃろうな」
翔花「でも、防御術も大事よね。だけど、占術って役に立つ?」
ヒノキ「知識情報系の魔術師じゃな。調査や探索を得意とする術師で、知性派を自認するなら有用じゃろう」
晶華「幻術師は初心者向きとは思えないけど? それよりも変成術師を採用した方が良かったんじゃない? 変身系の魔法でしょ?」
ヒノキ「それもあるが、変成術は自分だけでなく、物質の形態や性質も変える、すなわち錬金術のような特性も持っている」
翔花「ああ。だから、アイテムに魔力を付与したり、アイテム知識に詳しくないと使いにくいってことね」
ヒノキ「飛行や空中浮揚、鍵開けや水中呼吸など、物体操作系も、肉体能力向上系も変成術に分類されるから、単に変身だけでなく結構、応用範囲が広そうじゃ。例えば、現在放送中の仮面ライダーゼッツのカプセムも、力術と変成術に関係するものがほとんどになるのう」
晶華「ナイトメアの能力は心術系だと思うけど、ゼッツの能力には精神操作系のものが少ないのよね」
ヒノキ「心術を使う敵を、力術と変成術で倒すのがゼッツの仕事ということになるか。まあ、心術で夢主の心を操ったり、占術であっさり情報収集できたりすると、ドラマが成立しないという作劇上の都合もあろうが」
翔花「一応、幻術も使えなかった? ゼッツさんは」
ヒノキ「劇中のヒーローの能力を、ゲームのルールでどう解釈するか考え始めたら、ルールブックのデータを読み込むのが楽しくなるのじゃな」
晶華「とにかく、ウィザードさんが呪文の専門家だと分かったわ。次は、ソーサラーとウォーロックね」
ヒノキ「ウォーロックはすでに解説済みじゃが、仕方ない。アッキーのリクエストに応じよう」
ソーサラーとウォーロック
ヒノキ「ソーサラーは3版で登場した秘術系魔法使い。ウォーロックは3版のサプリメントに登場して、4版でPHB基本職に昇格した秘術系魔法使い。ただし、ウォーロックは魔法戦士のように打たれ強いという特徴もある」
晶華「ウィザードは本の虫だから、前に出て戦うのは苦手ってことね。同名の仮面ライダーとは違って」
ヒノキ「仮面ライダーウィザードは、D&D的にはウォーロックに相当する。というのも、ウォーロックの魔術は、上位妖精や地獄の悪魔、異界の神など、力ある存在との契約によって得たものだから。仮面ライダーウィザードは、ドラゴンとの契約で能力を得たからのう。D&Dのルールの中では、そういう契約魔道士はウォーロックと称される」
晶華「私とお姉ちゃんは、NOVAちゃんと契約している従属精霊だけど、NOVAちゃんはウォーロックじゃないよね」
ヒノキ「あやつの魔術の源が、お前さんたちであれば、ウォーロックじゃが、あやつの力は知識に基づくものじゃからのう。ウォーロックは呪文も使うが、ウィザードほどの数は覚えられん。その代わり、契約相手から授かった妖術と呼ばれる特殊能力を、秘術呪文とは別に授かる。ウォーロック最大の特徴は、怪光線と訳されるエルドリッチ・ブラストを連発できることじゃ。ウィザードほど多彩ではないが、連発できる強力な攻撃手段と、補助的に使う妖術および秘術呪文の組み合わせで、強力な攻撃魔法使い+αの可能性を秘めたのがウォーロック。魔法戦士としての選択肢の一つと言えような」
翔花「『ぼくと契約して魔法少女になってよ』の魔法少女って、ウォーロックになるのかな?」
ヒノキ「ウォーロックはゲームブック雑誌の名前として界隈では有名じゃが、元来は魔物と契約した黒魔道士的な意味に基づく。ルールブックのイラストも、刺々しい衣装をまとって、邪悪風に描かれておる。まあ、サプリメントでは、天使と契約した光陣営のウォーロックもいるし、妖精の王と契約したウォーロックは悪とは言えまい。とにかく、仮面ライダーにはウォーロックみたいな契約によって力を得た者が多いから、本の虫じゃないアクティブな魔法使いを望むなら、ウォーロックが一つの解となろうな。ただし、必ずしも初心者向きとは言えん面がある」
翔花「それは何?」
ヒノキ「ウォーロックは、いろいろとできることが多いのじゃ。ウィザードは呪文を使うことが存在意義なので、呪文のルールのみに慣れ親しんでおけばいい。しかし、ウォーロックは呪文と妖術のどちらも考えて選ばなければいけないし、得意な能力値が【魅力】なので、交渉役になることも求められる。契約相手との駆け引きもまた、ウォーロックのプレイヤーには求められていて、奥が深い反面、ロールプレイがなかなか難しいと思われ」
ヒノキ「次にソーサラーじゃが、ウォーロック同様、【魅力】で魔法を使う」
晶華「重要な能力ね、【魅力】って」
ヒノキ「5版では、ウォーロック、ソーサラー、パラディン、バードの4職が魅力に基づく呪文を使う。D&Dの【魅力】は、積極的にリーダーシップを取っていける雄弁さ、統率力、自信に満ちた意志の強さを示しているので、単に美形だとか、可愛らしさとか以上の意味合いを持つ能力値じゃ」
翔花「契約相手に意志を示すために、ウォーロックが【魅力】を必要とするのは分かる。でも、ソーサラーさんの力の源って何?」
ヒノキ「自身の内面に宿した魔法の資質じゃ。5版のPHBには、『竜の血脈』『荒ぶる魔法』の2種がサブクラスとして記載されておる」
翔花「ああ。ドラゴンが先祖にいるから、魔法の力を生まれつき宿しているって感じね」
ヒノキ「そうじゃ。また『荒ぶる魔法(ワイルド・マジック)』は、先祖に凄い魔法使いがいて、その血を受け継いでいるから、魔力の才能に満ちているとか、幼少期に魔力を秘めた強烈な光を浴びたために、暴走する力を望まぬままに発動してしまうとか、そんな感じじゃ。この場合、呪文を使う際に20分の1の確率で、魔法が暴走して様々なアクシデントが発動する。そのための魔法暴走表が用意されていて、予想外のランダム事故が面白い」
晶華「それって、とんだトラブルメーカーね」
ヒノキ「新5版では、その2つに加えて、ターシャ本記載の2つのサブクラスが基本ルールに昇格した」
晶華「D&Dのソーサラーって、不思議生命体ってことね。ドラゴンの要素を発現したり、ランダムに魔法が暴走したり、SFチックな超能力者になったり、挙げ句の果てにメカっぽくなったりするわけ?」
ヒノキ「ただの伝統的な魔法使いじゃ飽き足りない面白好きにお勧めじゃ」
晶華「D&Dって、ファンタジーRPGの伝統的なシステムだと思っていたけど、変な方向に突き進んだりもするのね」
ヒノキ「基本ルールは保守的じゃが、サプリメントで変な要素を付け加えて、その変なものが新たなルールブックの基本として採用されたのが近年じゃな。ソーサラーは元来、ミュータントみたいな異能が発現した異端の魔法使いというキャラ性を持っていて、伝統的な魔法使い(ウィザード)と似て非なるアンチテーゼとなっている」
翔花「自分で勉強して、魔力を身につけたのがウィザードさん。力が欲しいかと問われて、わ〜いと喜んで、悪魔の囁きに乗ったのがウォーロックさん。そして、どうして、ぼくがこんな力を? こんな力があったら日常生活が送れない。何とか鎮まれ〜ともがいているのがソーサラーさんってところね」
ヒノキ「ウィザードはその通りじゃと同意するが、ウォーロックとソーサラーは、一面的な理解に過ぎん。まあ、平成ライダーじゃと、アギトやキバに相当するのがソーサラーじゃと思う。何だか知らない間に、不思議な力が目覚めちゃいましたってところが」
シロ「ザナサー本では、『嵐のソーサラー』『影のソーサラー』『神の魂のソーサラー』というサブクラスが収録されています」
- 嵐のソーサラー:体内に強力な風の元素力を内包する。それによって飛翔能力を発動したり、[電撃]あるいは[雷鳴]に対する耐性を得たり、逆にそれらを身にまとって攻撃したり、天候操作したりできる。
- 影のソーサラー:体内にシャドウフェル(影世界。闇や死の力が濃い異次元)の力を内包する。暗視と、ダークネスの呪文の発動能力を得る。HPがゼロになっても、【魅力】セーブに成功することで、HP1になって復活する([光輝]属性のダメージには能力を無効化されるけど)。凶兆の猟犬という闇のクリーチャーを召喚できる。影を伝って、120フィート(36メートル)までの距離を瞬間移動できる。影形態に変化して、[光輝][力場]以外のダメージを半減できる。
- 神の魂のソーサラー:ソーサラー呪文の代わりに、クレリック呪文を習得できる。神の恩寵により、セーブや攻撃命中にダイスボーナスを加算できる(小休憩ごとに1回)。治癒呪文を強化したり、背中から翼を生やして飛行能力を発現したり、重傷状態からHP半分を回復できる(大休憩ごとに1回)。
晶華「何だかザナサー本の追加サブクラスの方が、いろいろと格好良く思えるんだけど?」
ヒノキ「というか、単純にイメージが分かりやすいのう。サイオニックについては、呪文スロットを使用するソーサラー呪文と、魔力点を消費するサイオニック呪文があって、サイオニック呪文の場合は、音声要素と動作要素が不要になる、とある」
晶華「それって、超能力者は魔法使いと違って、無言で呪文を発動できるってことよね。つまり、魔法の系統が違うから、普通の魔法使いでは想定外の戦術もとれるってことじゃない?」
ヒノキ「確かにのう。D&Dの世界で、魔法使いと超能力者のどちらが一般的かと問われたら、普通は魔法使いじゃろう。魔法は基本ルールに載っておるが、サイオニックはサプリメントを使わんと登場せん。まあ、新5版になって、PHB記載の一部のサブクラスがサイオニックになったが(ファイターのサイ・ウォリアー、ローグのソウルナイフ、ソーサラーの異形の精神)」
晶華「つまり、超能力者はレアな存在ね。だったら、無声呪文の使い手だと思えば、実は超能力者だったというオチが成立しそう」
ヒノキ「それをラノベにすると、ファンタジー世界に魔法と異なる体系の超能力が登場する時点で、ツッコミが入ると思う。トラベラーなどのSFRPGならともかく」
晶華「魔法使いと超能力者、戦ったら、どっちが有利かしら?」
翔花「同じレベルで戦わせて、どっちが勝つか確かめたらどう?」
ヒノキ「それには今からサイオニックの勉強をしなければならん。魔法はともかく、サイオニックについては、わらわは素人じゃ。そこから研鑽しないといけないので、今すぐは無理。とりあえず、サイオニックについては、今後の宿題じゃ」
ソーサラーについて、さらなる掘り下げ
ヒノキ「さて、ソーサラーは選んだサブクラスによって、様々な異質な特殊能力が付いてくる異形変態マニア好みのクラスじゃが……」
翔花「それって、言い方が酷くない?」
ヒノキ「異形変態マニアは褒め言葉じゃ、と新兄さんなら言うじゃろう」
晶華「まあ、NOVAちゃん自身が異形変態マニアだってのは、娘の私も認めるところだけど、とにかくD&Dのソーサラーさんが、タイタン世界(ソーサリー)のソーサラーさんとは異なるキャラ性だというのは分かった」
翔花「ソード・ワールドともね。名前は同じソーサラーでも、ゲームや世界観によって違うイメージってことね」
ヒノキ「D&Dの伝統的な世界観として、魔法使いは呪文書に記された魔法を日々、学び、記憶を再確認することで魔法を使う。学問を尊び、コツコツ知識を習得する賢者、もしくは引きこもり隠者、アカデミックな存在が従来のメイジ、マジックユーザー、そして現在のウィザードと呼ばれる職種じゃ。
「しかし、21世紀に入ると、世間の魔法使いと呼ばれるキャラクターは、別に呪文書なんて読まんでも、個人の才能や、上位存在に与えられた異能を魔法として扱うようになる。つまり、従来の魔法使いキャラクターでは表現できないファンタジーが世に溢れてくるわけじゃな」
晶華「でも、学問として魔法を勉強するファンタジーも人気作が出たじゃない? ハリー・ポッターとか」
ヒノキ「うむ。ハリー・ポッターのシリーズは、魔法学園というアカデミックな魔法使いの姿を世間に定着させた。それまでも、魔法学園という設定は、ファンタジーゲームなどに存在したが、あくまで魔法使いキャラの背景あるいは後援者として存在しているだけで、魔法学園が物語の中心という作品は少数派と言える」
晶華「超能力SFや伝奇物で学園ものは普通にあったけれど、異世界ファンタジーに魔法学園って設定はゲームの世界にしかなかった、と?」
ヒノキ「ゲド戦記が近代ファンタジー小説では、魔法学園を描写した代表例じゃが、主人公のハイタカは天性の魔法の才能を持ち合わせた人物で、ウィザードよりもむしろソーサラー。彼が学園で学んだのは、自分を制御して魔法の力に振り回されないようにするため。大体、魔法学園ものの主人公は、アカデミックな魔法使いの卵の世界にあって、異質な力を宿した別格の存在として描かれがちじゃ。
「つまり、成績優秀でコツコツ魔法を学ぶ模範生ではなくて、魔法の才能はあるけど勉強は得意でないトラブルメーカーが、それでも周りの助けと自分の才能で事件を解決して、ガミガミ怒る教師に叱られる子どもっぽさと、そこからの反抗精神を昇華しつつ(闇堕ちの危険はあるものの)彼の可能性を期待する校長など、いろいろな大人の思惑も背景に描きながら、成長していく。これは、ハリー・ポッターにも見られる作劇スタイルじゃ」
翔花「魔法学園ものでは、みんなが魔法使いの修行をしているから、魔法使いというキャラ属性が個性づけにはならない。だから、何の魔法を専攻して得意なのかが、キャラ付けにもなるけど、そうなると魔法の呪文をあれこれ分類する必要が出てくる。それがウィザードさんのサブクラスってことね」
ヒノキ「戦隊的に分かりやすいのは、やはりマジレンジャーじゃな。あれは以下の分類が為されておった」
- マジレッド:炎の魔法使いで、物質を変換する錬成魔法が得意。
- マジイエロー:雷の魔法使いで、魔法薬の調合が得意。
- マジブルー:水の魔法使いで、占いが得意。
- マジピンク:風の魔法使いで、変身魔法が得意。
- マジグリーン:大地の魔法使いで、植物を操る魔法を得意とするが、怪力や、大地に属する多彩なものを操ることができるようになった。
ヒノキ「色ごとの属性は、マジレンジャーに限らず、戦隊あるあると言えようが、マジレンジャーの場合は、それ以外の得意魔術がドラマにもきちんと反映されているのが、良質の魔法使い物と言えた」
晶華「ええと、全員が属性に分かれた攻撃手段を持つから、力術系ではあるのよね」
ヒノキ「その辺は、戦隊だから全員が戦闘能力を持っていて、サポート役で攻撃手段は持ちませんってキャラは存在しない。D&Dでは、特技《元素の達人》によって選んだ属性の魔法の効果を高めることが可能じゃが、炎使いや風使いという職業クラスが用意されているわけではない。マジレンジャーの場合、錬成魔法と魔法薬の調合と変身魔法は全て『変成術』に分類されるから、『占術』使いのブルーだけがD&D的には別カテゴリー。そして、グリーンの植物使いは秘術系ではなく、信仰系のドルイドが得意とする」
翔花「そう言えば、マジレンジャーは秘術系と信仰系の区別も特にないよね。D&Dの世界観とは噛み合わない?」
ヒノキ「色による魔法属性の違いは、カードゲームの『マジック』や、ウォーハンマーの8色分類になぞらえた方が良かろうが、ともあれ、マジレンジャーの魔法を分析すると、D&D的には『幻術』『召喚術』『死霊術』『心術』が決定的に不足しておる」
晶華「召喚術はロボ……って、あっ!」
ヒノキ「マジレンジャーの巨大戦力は、自分たちが変身する系じゃから、その辺の魔法はむしろガオレンジャーのパワーアニマルの方が召喚術の達人と言えよう」
翔花「そっちは、パワーアニマルと契約したウォーロックという感じね」
ヒノキ「一応、マジレンジャーも天空聖者との契約があるが、むしろ父親が天空聖者であるなど、血筋で魔法を使うソーサラーの印象が強い。一応、『幻術』や『召喚術』は追加メンバーのヒカル先生が補っていたが、『死霊術』や『心術』は敵専門という印象じゃな」
晶華「とにかく魔法の分類も、D&D以外にいろいろあるってことね」
ヒノキ「話を引き戻して、ソーサラーの呪文じゃが、細かい違いはところどころあれど、大枠は同じもの。ただし、ウィザードにある鑑定魔法(アイデンティファイ)がソーサラーにはないなど、きちんと勉強していないゆえの不備は見られるのう」
翔花「ソーサラーさんは、ウィザードさんに比べて、バカなのね」
ヒノキ「知識で呪文を使うのがウィザードで、感性で呪文を使うのがソーサラーじゃからのう。もちろん、アカデミックな背景を持つソーサラーもおるじゃろうが、クラスの推奨背景がウィザードは学究の徒である『賢者』であるのに対し、ソーサラーはドルイドと同じ『隠者』。図書館で調べ物をするのが好きなのはウィザードで、野外で不思議な事物を自分の目で見聞きする方が好きなのがソーサラーとなるか」
晶華「理論派のウィザードと、実践派のソーサラーってこと?」
ヒノキ「傾向としてはのう。よって、魔法使いを主人公にして成長物語を想定する場合、ウィザードは地味な物語になる傾向があるのに対し、派手に劇的な(トラブルの多い)物語を意図しておるなら、ソーサラーということになる。そして、ルール的にはソーサラーの方がややこしい面がある」
晶華「え? 理論派のウィザードさんの方がややこしそうだけど?」
ヒノキ「ウィザードは、自分の呪文書に記された呪文の中から、あらかじめ、その日に使えるものを準備しないといけない。スリープを1回、マジックミサイルを1回など種類と回数の両方をきちんと決めておくのが昔のD&Dじゃが、5版は少し制限が緩やかになって、『スリープとマジックミサイルを準備します。どっちを使うかは、状況によって臨機応変に考えます』というプレイができるようになった。なお、最初に呪文書には6つの1レベル呪文が記載されていて、それとは別に使用回数無制限の初歩呪文を3つ習得している。通常戦闘では初歩呪文でファイアー・ボルトを連発し、ここぞというところで切り札のマジック・ミサイルを撃つというのが現代のD&D1レベル攻撃魔法使いの一例じゃ」
ゲンブ「昔は、1レベル魔術師は、たった一つの呪文しか使えず、普段は見てるだけ、あるいはダガーを投げて、ちまちまダメージを与えるだけでござった。呪文書にも、リード・マジックとたった1つの魔法しか記されておらず、レベルアップして魔法の使用回数が増えることと、冒険中に呪文の巻き物が入手できることを祈るだけの毎日……と聞く」
翔花「ゲンブさんの実体験……じゃないよね」
ゲンブ「我は、魔法使いをプレイしたことはないでござるから」
翔花「魔法使いは誰?」
ゲンブ「シロの父親の先代ビャッコでござる」
シロ「え? 父さんは魔法使いだった?」
ゲンブ「D&Dの時はな。一応、魔法使いと盗賊を兼業したハーフエルフをプレイして……罠にハマってあっさり死んだのを覚えておる」
晶華「それって、クラシックD&Dじゃなくて、アドバンストの方よね」
シロ「父さんが魔法使いだとは知らなかった……」
ヒノキ「苦労して2レベルまで上げた魔法使いがあっさり死んで、2度と魔法使いなどやらん、とレンジャーに転向したこともあったが、懐かしいのう」
晶華「昔話に夢中になると、今の話が終わらないので、後でたっぷり語ってもらうとして、今はソーサラーさんの話をまとめないと」
ヒノキ「そうそう。ソーサラーは呪文を毎日準備する必要がない。習得した呪文は、レベルごとの回数制限の範囲で自由に使える。ただし、ウィザードよりも習得できる呪文の総数が少ないので、呪文コレクターにはなれない」
翔花「ええと、冒険中に呪文の巻き物や呪文書が見つかったら、ウィザードさんは自分の呪文書に書き写して、使える呪文のレパートリーを増やせるのね。ソーサラーさんはそれができない?」
ヒノキ「できん。よって、ソーサラーは覚えた呪文を自在に使えるのじゃが、毎日使える呪文を選び直すという多様性は持たない。レベルアップによって、使用回数に応じて、新しい呪文を習得することしかできんのじゃ」
晶華「それだけ聞くと、ウィザードさんの方が扱う呪文の種類がいっぱいで、面倒くさい職業だと思うけど? ソーサラーさんが覚える呪文が少ない分、いつでも準備なく使えて、初心者でもお手軽な魔法使いっぽい」
ヒノキ「アッキーが手慣れたゲームの魔法の使い方は、どういうシステムじゃ?」
晶華「そりゃあ、MPを消費して、その範囲で知っている呪文を自由に使えるシステムね。MPの代わりに、体力点を消費するとかが『ソーサリー』のシステムだけど」
ヒノキ「D&Dは、MP消費ではなくて、レベルごとの使用回数を消費するシステムじゃ」
晶華「知ってる。ゲームブックのFFシリーズでは、『バルサスの要塞』とかが回数消費制らしいけど。ファイナル・ファンタジーもIとかIIIとか、そういうシステムだって聞いている。他には、ウィザードリィとかもそうよね。1レベル呪文2回、2レベル呪文1回とか」
ヒノキ「その使用回数を、今のD&Dでは呪文スロットという。そして、呪文スロットは、ただの回数制限よりも融通が効くようになった」
晶華「と言うと?」
ヒノキ「高位の呪文スロットで、低位の呪文を使えるようになった。例えば、1レベル呪文2回を使用して、残りのスロットが2レベル呪文1回だけとしよう。そこで、どうしても使いたい1レベル呪文があった場合、従来のD&Dでは休息をとって1レベルスロットを回復しないといけなかったが、5版じゃと2レベル呪文のスロットで1レベル呪文を使うことが許される」
晶華「それは便利ね。2レベルには攻撃呪文がないって聞いたことがあるし」
ヒノキ「クラシックD&Dじゃな。幻影とか、鍵開けとか便利な呪文が2レベルにはあるが、確かにダメージを与える系のものはなかった。AD&Dでは、そんなことはなかったが、いずれにせよ高レベルのスロットで、低レベルの呪文を扱えると『このレベルの呪文は使い勝手が悪いので、使用回数が余って仕方ない』というプレイヤーの不満も解消された。
「さらに、一部の呪文は高レベルのスロットで使うと、効果が上昇するというものもあって、例えば回復呪文のキュア・ウーンズが、昔はレベルごとに軽傷のライト(1レベル)、中傷のシリアス(4レベル)、重傷のクリティカル(5レベル)、完全治癒のヒールまたはキュア・オール(6レベル)に分かれていたが、今はキュア・ウーンズを何レベルのスロットで使うかで回復効果を任意に増やせるようになった」
翔花「回復呪文が、ホイミ、ベホイミ、ベホマ、ベホマラー、ベホマズンって、段階的に別呪文として進化するのが昔のD&Dで、今のD&DはホイミにMPをいっぱい注ぎ込んだらベホマみたいに使える感じかしら」
ヒノキ「そうじゃなあ。呪文スロットはMPではないが、同じ効果の呪文を高レベルでかけることで威力を倍増させられたりできるのが今のD&D。そして、ウィザードでも呪文のアレンジをそういう形で行えるが、ソーサラーはもっと呪文を柔軟に運用できる」
晶華「勉強していないのに?」
ヒノキ「理論じゃなくて、実践で呪文の効果を修正できるのがソーサラーじゃ。それには魔力点(MP)を使用する」
晶華「え? ソーサラーはMPを消費して呪文を使えるの? D&Dなのに?」
ヒノキ「いや、D&Dでもサイオニクスや一部の特殊能力はMPに相当するようなポイント消費で技を使うのじゃが、ソーサラーの呪文使用はウィザードと同じ呪文スロットで、その点はD&Dの基本に則っておる。MP使用は、あくまで呪文の修正じゃ。また、魔力点を消費することで、呪文スロットに変換したりもできるし、逆に呪文スロットを魔力点に変換することも可能。呪文の実践的な運用は、ソーサラーの方が上じゃ」
晶華「ウィザードさんは、呪文を教科書どおりに決まった形でしか使えないけど、ソーサラーさんはその場で行き当たりばったりでアレンジできるってこと?」
ヒノキ「行き当たりばったりではなく、臨機応変と言った方がいい。とにかく、呪文修正能力を利用すると、ダメージダイスを振り直して威力を上げたり、言葉を発さずに呪文を使ったり、射程を延長したり、ボーナス・アクションで使用したり(結果的に他の作業をしながら呪文を唱えたり、2つの呪文を同時使用可能)、持続時間を伸ばしたり、範囲呪文を敵味方識別可能にしたり、単体呪文を2体まで同時にかけることが可能になる」
晶華「そんなの、ソード・ワールドの呪文使いは普通に戦闘特技を習得して、やっていることよ」
ヒノキ「確かにのう。D&Dにも特技はあるが、それとは別にソーサラーはMP消費で、呪文をアレンジすることが可能で、ウィザードよりも柔軟に活用できる職種なのじゃ」
晶華「呪文の無声発動は、ソーサラーの特権ってことなのね。つまり、真面目に呪文を勉強しているウィザードさんが、ソーサラーさんのアレンジ能力を見て、ビックリするわけか」
ウィザード「フフフ。その呪文は確かに強力だが、効果時間が短いのが欠点。その時間を凌げば、こちらに勝機がある」
ソーサラー「MP消費。効果時間延長」
ウィザード「バカな。効果時間はとっくに切れているはずだ。どうして、奴の呪文はまだ続いていると言うのだ? こちらの知らない特殊呪文だと言うのか!」
翔花「……何だか、それだとウィザードさんが間抜けっぽいんですけど?」
ヒノキ「つまり、ウィザードは頭でっかちで常識に囚われた魔法使い。ソーサラーは学が少なくて、感性重視の今風な若者魔法使いで、実践応用が得意な主人公向きというイメージじゃ」
晶華「しかも、ドラゴンの血筋だったり、魔法を暴発させたり、超能力者だったり、メカ属性を発現したり、いろいろな属性が付いてきて、変異混成術師って感じね。ドラマとしては、そっちが面白い感」
ヒノキ「うむ。ウィザードは良くも悪くも、典型的な常識重視の魔法使いで、クールな理論家。一方のソーサラーは、同じような呪文を使うものの、破天荒な一面を持っていて、その分、大事なことが抜けている感」
翔花「大事なことって?」
ヒノキ「儀式呪文が使えん。マジックアイテムの鑑定ができん。呪文書から呪文を学べないので、高レベルになるほどウィザードほどの幅広い対応力を持たずに、汎用性に欠けたキャラになりやすい」
晶華「儀式呪文って?」
ヒノキ「一部の呪文は、10分間の準備をすることで、呪文スロットを消費せずに、また使用できる。例えば、ウィザードの1レベル呪文では、以下が儀式使用可能な呪文となっておる」
- アイデンティファイ(鑑定)
- アラーム(警報)
- アンシーン・サーヴァント(見えざる従者の召喚)
- イリューソリィ・スクリプト(幻の文)
- コンプリヘンド・ランゲージ(言語理解)
- ディテクト・マジック(魔法の感知)
- テンサーズ・フローティング・ディスク(テンサーの浮遊盤)
- ファインド・ファミリアー(使い魔獲得)
ヒノキ「これらの呪文で、ソーサラーが習得できるのはコンプリヘンド・ランゲージとディテクト・マジックぐらいじゃが、おそらく、それを習得するソーサラーは少ないと思われ」
晶華「使い勝手が悪いから?」
ヒノキ「未知の言語を話す相手がいて、彼らの会話を盗聴したい。そのために多少の時間をかけて、コンプリヘンドの呪文をかけてから、1時間じっくり相手の話に耳を傾ける。あるいは、書き言葉の解読にもコンプリヘンドは利用可能。さて、そんな悠長なことをソーサラーがしたがると思うか?」
翔花「ソーサラーさんは、ウィザードさんよりもせっかちなの?」
ヒノキ「術者個人の性格もさることながら、ソーサラーはコンプリヘンドの呪文を使うのに、呪文スロットを使用しなければならない。仮に、ウィザードとソーサラーに未知の言葉で書かれた書物の翻訳作業を任せたとしよう。ソーサラーは、仮にコンプリヘンドの呪文を覚えていたとしても、1時間経つごとに呪文スロットを消費するので、1日に何時間も書物を読みふけることなどできんし、消耗が激しすぎる。一方のウィザードは、コンプリヘンドを儀式使用することで、何時間も書物を読める。アカデミックな世界では、どちらが有能か分かるな?」
晶華「しかも、コンプリヘンドなんて、ダンジョン探索には役に立つ機会が少ないので、貴重な呪文の習得枠をそんなことに割く術師は少ないわよね」
ヒノキ「一方、ウィザードは元来、知識欲の塊じゃから、コンプリヘンドの呪文を習得する機会があれば、とりあえず自分の呪文書に書き記しておくことじゃろう。そして、冒険中に未知なる書物や碑文が見つかるたびに、仲間に『ちょっと待ってくれ。何か大切なことが書いてあるかもしれない。ぼくに10分ほど時間をくれれば解読できるんだが』と言って、呪文スロットを消費することなく、何でも読める」
翔花「まさに賢者さんね」
ヒノキ「ついでに言うと、コンプリヘンドは外国映画を字幕なしに鑑賞する際にも役立つ」
晶華「D&Dのファンタジー世界に映画なんてないでしょ?」
ヒノキ「まあ、D&Dのシステムで現代ファンタジーをプレイすることも可能じゃし、ファンタジー世界でも古代文明の遺跡から何らかの映像記録を発見することだってあろう。音声情報は何を言ってるか分からないけど、映像だけで情報補完するという手もあるが、もしも音声情報も聞き取れるのであれば、情報収集判定にボーナスを得ることも可能(D&D的には有利を得る)」
晶華「つまり、情報収集に関しては、ウィザードさんが圧倒的にソーサラーさんより優秀なわけね。ソーサラーさんの強みは、臨機応変に呪文を操作して戦闘中に有利に立ち回ることはできるけど、じっくり儀式なんかも駆使して、何かを調べることには不向き、と」
ヒノキ「もちろん、ウィザードと言っても、情報収集系の魔法にほとんど興味を持たぬ者もいようが。それに呪文リストを見ると、ウィザードは使い魔を持てるが、ソーサラーは持てん。あと、念のため、ソーサラーと言えども、《儀式発動者》の特技を習得することで、儀式呪文を習得することもできるので、自分の好みに応じたカスタマイズもできなくはない。ソーサラーだけど使い魔が欲しいので、《儀式発動者》でファインド・ファミリアーを習得するという裏技めいた正攻法もある」
晶華「う〜ん、D&Dの奥の深さが分かったような気がする。少なくとも、ウィザードさんと、ソーサラーさんのキャラ性の違いは、十分理解できたと思うわ。どっちも同じ魔法使いでしょう? なんて、おバカなことはもう言わない」
翔花「だけど、今回は信仰呪文の話にはならなかったわね」
ヒノキ「それは、次回に送ろう。今回は、ウィザードとソーサラーだけでも、十分研鑽できたってことで」
(当記事 完)
