花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、D&Dを中心に世紀末前後のTRPGの懐古話を不定期展開中。

D&D3版と3.5版のレンジャー話

システムが大きく変わった3版

 

リモートNOVA『さて、前回は主に90年代のレンジャー話をして来たわけですが、AD&D2版までと、システムを新世紀対応にしてD20システムという大改革をもたらした3版以降ではレンジャーも大きく立ち位置が変わりました』

ヒノキ「具体的には?」

NOVA『AD&D時代のレンジャーは、「野外活動の特殊能力を持ったファイターの上級職」という感じで、ファイターにできることはレンジャーにもできる。レンジャーが不利なのは種族制限や性格制限、微妙に成長が遅いといった程度。まあ、クラシックD&Dで言うところの、ファイターとドワーフの差よりも少ないというか、ファイターがガンダムGMに例えるなら、レンジャーはGMカスタムに例えられると言ったところでしょうか』

ヒノキ「わらわはガンダムファンじゃないので、例えの意味はよく分からんが、とにかくレンジャーがファイターより上ということじゃな」

NOVA『AD&Dの2版では、技能ルールの採用(選択ルール)と、ファイターのみ使える武器習熟(専門化した武器の命中・ダメージに少々のボーナスが付く)という点で、基本職のファイターにも旨みを付けようと試みられたのですが、3版に入って特技(フィート)の採用で、ファイターが「戦闘の専門家」という個性を与えられて強化された結果、ファイターとレンジャーの格差が減ったのが3版です』

ヒノキ「ファイターの性能や面白さがいろいろと向上した分、レンジャーが上級職の位置付けから離れたのじゃな」

NOVA『ところで、D&Dのシステム進化史について、こういう面白い記事がありまして』

ヒノキ「なるほど。この2記事を読むと、D&Dの山あり谷ありの歴史のあらましが読み取れるのう。ざっと読んだところ、偶数版(2版と4版)が谷の時期みたいじゃが」

NOVA『2版は、モンク、バーバリアン、アサシンを基本クラスから削って、「お行儀のいい、まとまったゲーム」を作ろうとしたけど、初版の自由さ、拡張志向を縮小したという批判があったみたいですが、俺自身はクラシックD&D→アドバンストという道筋だったので、縮小されたとはちっとも思っていない。ただ、日本での評価は「ルールブックの値段が高すぎ」という点と、展開が始まったと思ったら、すぐに終わったという残念な点に尽きます』

ヒノキ「そもそも、TRPGのルールをハードカバーの大著で売るというビジネススタイルが、日本では初の試みだったからのう。それまでは5000円前後のボックスセットと、1000円未満の文庫版ルールという流れがあって、そこに2000円前後のムックスタイルが始まろうとしていたのが90年代初期。そういう状況に対して、PHB7500円というのは客離れを起こさせても文句は言えん」

NOVA『それで、結局、AD&Dが売れないということになって、すぐにクラシックD&Dの新版ルール(これも原書ではハードカバーの大著)を、文庫の分割サイズで安価に発売したのが、SNEの担当したメディアワークス版だったのですが、これも展開中にTSR社の倒産という事態に巻き込まれまして』

ヒノキ「TSRの業績悪化については、日本ではまさに晴天の霹靂じゃったらしいのう。海外業界の状況に詳しいSNEの社長にも、全く読めていなかったとのことだし」

NOVA『直接の原因とされるのは、TCGのブームで客をそっちに持って行かれたと言われていますが、その前に「どんどん新しいワールドを作って、商売的に盛り上がっているように外面的には見せながら、内実は自転車操業もいいところだった」という実態が、後からいろいろと暴露されていったわけですな。俺もゲイリーさんの伝記を読むまで、ちっとも知らなかったわけで』

ヒノキ「というか、2版がゲイリー下ろしの結果として誕生した版上げだったことも、その時、初めて知ったわけじゃのう」

NOVA『ゲイリーさんの作ったワールドがグレイホークで、その後、小説と連動したドラゴンランスのクリンや、ゲイリーさんがTSRを辞めた後に、新たにAD&Dの基幹世界となっていくフォーゴトン・レルムなどが誕生する一方、AD&Dから分かれたベーシックのD&D(後にクラシックD&Dと呼ばれる)の世界ミスタラなど、いろいろな冒険世界が構築されるのが80年代から90年代なんですが、そこから多元世界のスペルジャマーからプレーンスケープに発展するのがAD&D2版ですね』

ヒノキ「AD&D初版はゲイリーさんの物で、2版はゲイリー色を薄めるとともに、世界観の拡張を行なった時期と考えて良いかのう」

NOVA『広げすぎて、収拾がつかなくなって破綻したとも言えます。TSRの事業規模を越えて、やみくもに世界を広げた結果、もはやD&Dの世界は一企業だけで仕切れるものではなかった(新たなビジネスモデルが必要な段階に来ていた)のを、3版以降の展開を引き継いだウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が模索しながら試行錯誤していったのが21世紀。D&D50年の歴史で言えば、3版以降が後半となります』

 

3版のレンジャー話

 

NOVA『D&D3版の登場時期は2000年。オリジナルD&D誕生(1974年)から約25年、AD&D(77〜78年)を基準にするなら誕生10年ぐらいで2版(89年。邦訳が91年)になり、さらに10年ほど経ってから3版という流れですね』

ヒノキ「ルールの大きな改訂アップデートは10年に1度が望ましい感じじゃのう」

NOVA『ところが、3版のマイナーチェンジ版の3.5版が2003年で、4版が2008年。この辺は新ルールを売りたい企業の思惑がエスカレートして、しかも4版はシステムも世界観も改変が大きすぎて既存ユーザーの多くの反発を招いた結果、3版の流れをくんだパスファインダーRPGがD&Dの客層を大きく奪っていった形になります』

ヒノキ「パスファインダーは、D&D3.75版との異名というか俗称を持つようじゃのう。3版と3.5版とマイナーチェンジが増えたが、一体どう違うのじゃ?」

NOVA『基本システムはおおよそ同じですが、細かいデータがずいぶん違っていて、版が進むにつれて、キャラの成長時に習得できる特殊能力のデータが増えている感じですね。ファイターのような基本クラスはそれほどでもないのですが、レンジャーの版ごとの改変が非常に大きく、ことレンジャーについて語る場合は、3版と3.5版は区別しないと話が噛み合わなくなるほどです。レンジャーのファンにとっては、3版がつまらなく、3.5版はできることが増えたけど部分的に弱体化した要素もあり、パスファインダーのレンジャーが一番強くて面白いと思われ』

ヒノキ「D&Dのレンジャーは、版ごとの強弱がいろいろと槍玉に挙げられるようじゃのう」

NOVA『同じファイター上級職のパラディンに比べて、強さが安定しないみたいですね。4版や5版でもレンジャー弱いという意見がちらほら、と見受けられました』

ヒノキ「どうしてじゃ?」

NOVA『D&Dを戦闘ルールとして考えるなら、ファイターは戦闘職の基本として3版以降、相当強くなりました。何よりも前線の壁役として、たくさんの戦闘オプションとなる特技(フィート)の習得数が最高で、プレイヤーの育成選択肢が多い。カスタマイズしようと思えば、最強キャラにチューンナップしやすくなっている、と』

ヒノキ「パラディンは?」

NOVA『素の武力ではファイターの方が上ですが、神の加護によって防御力が高く、ファイターほど考えなくても、安定した性能が保証されています。一方、レンジャーは元々、能力をフルに発揮しようと思えば、重装備がしにくい職業ですし、長所の二刀流は序盤こそ強く思えるものの、ファイターの攻撃回数が増えてくると、二刀流による攻撃回数の増加は誤差の範囲で、むしろ盾を持たない撃たれ弱さの弊害が出てくるわけですね。あと、レンジャーは得意な地形や仇敵によってボーナスが付きますが、それは結局、戦場となる地形や敵の種類によって、レンジャーの戦闘力が大きく左右されることになります』

ヒノキ「森で、人型生物に対して強いレンジャーは、ダンジョンの中で爬虫類と戦うような局面では強さが維持できないということじゃな」

NOVA『NPCなら、自分の庭を守っていればいいのでしょうけど、冒険の旅に出て、さまざまな戦場で戦うことになるプレイヤーキャラの場合、森「だけ」の専門家がいてもなあ、と思われたりして、専門家ゆえの融通の利かなさが付きまとうのがレンジャーやドルイドの宿命だったりしますな』

ヒノキ「水中戦の専門家のゲッター3が、海マップのない戦場ではいまいち使い勝手が悪いのと似たようなもんじゃな」

NOVA『ガンダムのファンではないけど、ゲッターは例えに使うんですね』

ヒノキ「うむ。わらわはリアル系よりも、スーパー推しなのじゃ」

NOVA『それは気が合いますな。まあ、海洋冒険ものというキャンペーン設定をすれば、海が得意なレンジャーを使うという手もありますが、得意地形という能力が設定されると、今度は逆に得意じゃない地形との格差が気になって、能力をフルに発揮できる局面が限られてくるという弊害があります。あと、レンジャーと同様に野外活動が得意な戦士というキャラで、バーバリアンというライバルがいるのも厳しい』

 

寄り道バーバリアン

 

ヒノキ「バーバリアンは、どういうクラスじゃ?」

NOVA『ファイターよりも破壊力とHP的な打たれ強さがあって、技よりも肉体と野生のパワーで勝負するクラスで、地味なレンジャーに対して、派手さが自慢ですな。もちろん、防具はあまり重装甲にはなれないのですが、鍛えられた筋肉でダメージを直接減少させるという特殊能力も習得して、とにかくバトルでは頼り甲斐のあるキャラですな』

ヒノキ「しかし、頭が悪いということじゃな」

NOVA『3版だと、素の状態で読み書きできないというハンデが付きますが、正直にいうと、レンジャーについて語るよりも、バーバリアンについて語る方が記事として面白くできる自信があります。2版では基本クラスから抹消されたバーバリアンが3版で復活したときには、全米で拍手喝采が巻き起こったという噂も聞きます』

ヒノキ「そんなに人気なのか、バーバリアンは?」

NOVA『4版では、バーバリアンは最初のPHBに採用されず、PHB2で追加採用されたわけですが、バーバリアンはレンジャーと同じ撃破役(敵に大ダメージを与える役割)なんですな。そして、こと戦闘力においてはバーバリアンはレンジャー以上のパワーを持って、戦場を蹂躙します。自分も傷だらけになりますが、タフなバーバリアンは戦場の華(血の色で赤く染まる)と言えて、仲間の回復支援が付いて来るなら、いや、4版なら自力でも回復できるから、使っていて非常に快感なキャラ職業っぽいです。いや、俺は使ったことがないから、リプレイ読んでの感想ですけど』

ヒノキ「つまり、重戦士のファイターやパラディンに対して、軽戦士のレンジャーという位置付けじゃが、バーバリアンというライバルが復活して来たのが3版、と」

NOVA『さらに、軽戦士という意味ではローグ(盗賊)の戦闘力が上がったことで、急所攻撃による瞬間最大ダメージではローグの方が上になります。いや、3版以降のシステムでは「挟撃」というルールによって、戦場マップによる位置どり次第では、常時、急所攻撃が狙えるから、パワーのバーバリアン、技のローグという選択肢になって、レンジャーの強みって何? となりかねません』

ヒノキ「戦闘での破壊力を競うゲームだと考えると、レンジャーは他のクラスに勝てないということか」

NOVA『そもそも、レンジャーの魅力って「特殊な技能を持った戦士の上級職で、戦士と盗賊の一部技能を持って、野外活動用の魔法も使える複合職」ということだったんですね。戦えて、隠密行動もできて、魔法も使えるって万能っぽい憧れの職業じゃないですか。そもそも、野外活動に長けた戦士という設定自体、D&Dならではのシステムの産物だと考えます』

ヒノキ「D&Dは元々、ダンジョン探索ゲームじゃから、野外活動なるものは後付けで設定された追加ルールじゃのう」

NOVA『クラシックD&Dでは、青箱エキスパートルール以降で野外活動のルールが付いて来ましたが、オリジナルD&D自体ダンジョン探索以外のルールがなかったところに、アドバンストに発展するに際して野外活動のルールを付け加えた。だから「野外活動の専門家の戦士」を用意したのがAD&Dの初版です。ただ、その後、技能ルールを採用した2版によって、「既存のファイターだって、技能を習得すればレンジャーっぽいことができるようになる」という進化を遂げる。ファイターや、3版以降の盗賊ローグといった基本職が強化されていくことで、レンジャーの旨みが失われていくのが世紀初めのレンジャー事情でした』

 

レンジャーの迷い道

 

ヒノキ「それは結局、レンジャーって不人気職になったりしないか?」

NOVA『愛着のあるマニアは多いみたいですし、ドリッズトというD&Dレンジャー代表みたいな人気キャラがいて、不人気ということではないのですが、ゲームでは扱いにくくて初心者にはお勧めできない。何故なら、弱いからという意味では、クラシックD&Dのシーフに匹敵すると思われるゆえ。

『とりわけ3版は、職業格差の大きい2版までと比べ、各職業のバランスをとることに気を使ったシステムで、それまでにあった「強い職業はレベルアップの必要経験点が多く、成長しにくい」という分かりやすい格差をなくして、どの職業も等価値を目指したわけですな』

ヒノキ「ファイターも、レンジャーも、パラディンも等価値にするということは、ファイターの底上げが必要になるわけじゃのう」

NOVA『2版までのファイターは、特殊能力が何もない基本中の基本職でしたからね。バランスよく強くて、戦闘の要なんだけど、キャラ育成を考えると選択肢が非常に少なくて、特殊能力や呪文といった成長選択が楽しい他の職業に比べて、脳筋でもプレイ可能な(ゲーマー的には魅力に欠ける)職業でした』

ヒノキ「3版以降は、特殊な戦闘オプションが使える特技(フィート)こそが、ファイター最大の魅力となったわけじゃのう」

NOVA『あと、成長時の選択肢として兼職ができるようになったのが大きいですね。2版以前も兼職ルールはありましたが、最初にファイター/メイジといった感じに2職または3職でキャラ作りして、成長速度が半分ないし3分の1になるというシステムだった』

ヒノキ「それを単純化したのが、クラシックD&Dの魔法戦士エルフじゃのう。ファイターが経験点2000でレベルアップするのを、エルフは4000もかかるので、ファイターがレベル3になったときに、ようやくレベル2という遅さ」

NOVA『初期のレベル差は、HPの量に露骨に影響しますからね。エルフは魔法戦士だから強いという幻想を抱いているD&D初心者も多く見られましたが、前衛戦士としては明確に打たれ弱いために、乱戦ではいかに前に出ずに後方で弓を撃っていいか? と仲間に気遣いするのがエルフの生存戦術という』

ヒノキ「敵の数が減ってきたときに、雑魚の掃討戦でエルフが前衛に立つという感じじゃな」

NOVA『まあ、卓にもよりますし、鎧はファイター並みに固いので、そこそこ戦えると誤解も招きがちですが、クレリックよりも打たれ弱いのが事実なので、成長スピードは大事だというのがクラシックD&Dをそれなりにプレイした者の見解ですな。エルフは前衛というよりは中衛で、戦士の代わり(壁役)はあまり務まらない』

ヒノキ「しかし、エルフのレンジャーだったら、いかにもそれっぽくないか?」

NOVA『はい。AD&D時代だと、エルフはファイターよりもレンジャーこそが天職みたいですね。人間以外の異種族は厳しいレベル制限が課せられるわけですが、戦士向きのドワーフはファイターレベル15で頭打ちなのに対し、エルフはファイターレベル12で頭打ち。一方、エルフが得意な魔法使い(ウィザード)やレンジャーは15レベルまで育てられます』

ヒノキ「クラシックD&Dでは、人間の最大レベルが36に対して、ドワーフは12、エルフは10、ハーフリングは8レベルまでしか成長できなかったが、AD&Dでもそうか」

NOVA『AD&Dは人間も最大20レベルなので、クラシックD&Dほどの格差はないんですけど、それでも「異種族は特殊能力が多く与えられて有利な分、職業制限やレベル制限が厳しい」というのが旧世紀のバランスの取り方だったんですな。結局、多くのファンタジー世界が人間中心な理由が、昔のD&Dだと「人間だけが成長限界が高いから、英雄として一番強くなれる」というもの。

『まあ、今はそこまで露骨に異種族差別をしない方向に時代が流れてますし、レンジャーになれる種族も人間、エルフ、ハーフエルフだけだったのが、3版以降は適性クラスという設定はあっても、ある職業になれない種族というルール上の縛りはなくなりました』

ヒノキ「ドワーフでもレンジャーになれる、と?」

NOVA『ドワーフのレンジャーは、山岳や地下を得意地形にすると良さそうですね』

ヒノキ「ああ、地下専門のレンジャーも作れるのじゃな。ダンジョン中心だと、その方が活躍できそうじゃ」

NOVA『あくまで、天然自然の洞窟ってことですね。建造物や、人工のダンジョンでは機能しませんので注意。ともあれ、3版になるとレンジャーの優位性が失われたという話に戻します。どんな種族でもレンジャーになれるのだけど、レンジャーを選ぶ価値が薄れたというか』

 

3版レンジャーの能力検証

 

ヒノキ「レンジャーは戦士、盗賊、自然にまつわる魔法の使える万能職じゃが、兼職の容易な3版においては、ファイター/ローグ/ドルイドで兼職すればレンジャーっぽいこともできる?」

NOVA『レベル3レンジャーと、レベル1ずつとったそのマルチクラスが等価値なのかどうかは検証の余地ありですけどね。まず、呪文に関しては、3版のレンジャーが呪文を使えるのが4レベルからなので、明らかにドルイドの方がお得。次にHPですが、レンジャー3レベルはファイターと同じ3D10(期待値16.5)だから、それは強い。兼職だとD10+D8+D6で期待値13.5なので、打たれ弱くなる』

ヒノキ「まあ、レンジャーは戦士じゃから、それに専念する方が強いのは間違いないのう」

NOVA『次に技能ポイントですが、レンジャーは最初に16ポイント与えられ、レベルアップごとに+4加算ですから、知力の修正を無視すれば24ポイントになります。一方、兼職では、最初にローグを選ぶと32ポイントもらえるので、技能を欲しければローグを選ぶのがセオリーとなります。ドルイドは成長ごとに4ポイント、ファイターは2ポイントなので、合計38ポイント。レンジャーはファイターよりも技能ポイントは多いですが、それでも少ないという意見があったので、3.5版では技能ポイント6になりました。レンジャーとバードがローグに続いて、技能が増やせる職業になったわけですね』

ヒノキ「もしも、技能ポイント6で計算すると、レンジャー3レベルで30ポイントの技能がもらえることになるのう」

NOVA『これによって、レンジャーは技能がたくさん習得できる戦士という強みを持つようになりました。ただ、3.5版のレンジャーはHPがD10からD8に下がって、よりローグ寄りの傾向が強くなった、と見られます』

ヒノキ「他には、違いがあるのか?」

NOVA『数値的な違いでは、攻撃ボーナス、頑健セーブ、反応セーブ、意志セーブかな。レンジャー3レベルと、3職マルチの差は以下のとおり』

 

          攻撃ボーナス 頑健 反応 意志

レンジャー3:     +3      +3     +1     +1

F1/Ro1/D1:    +1               +4     +2     +2

 

ヒノキ「武器戦闘の能力はレンジャー専業が優秀で、打たれ強さや抵抗力は兼職が得ということじゃろうか」

NOVA『他にも、兼職だとローグやドルイドのような特殊能力の多い職業は1レベルか2レベルでも美味しいことになりますね。ローグ1レベルはそれだけで「急所攻撃+1D6」でダメージボーナスが加わりますし、2レベルの「身かわし」で反応セーブに成功すれば呪文のダメージを完全回避できる(ふつうは半減)。一方、ドルイドは1レベルで呪文以外に「自然知覚」や「動物の相棒」を持てるので、レンジャーと兼職しても活用できる』

ヒノキ「レンジャーだと何ができるのじゃ?」

NOVA『これが3版だと、非常に寂しいのですよ。ボーナス特技として《追跡》、そして「得意な敵」、あとは《両手利き》《二刀流》の特技を習得しているようにペナルティなしで二刀攻撃ができるぐらいですか。自然に関する知識は、技能かドルイド兼職でまかなわないといけないのが3版で、レンジャー単独だとファイターより多少、技能を習得しやすい程度で、意外と成長時の面白さが感じにくい職業です』

 

3.5版によってアップデートされたレンジャー

 

NOVA『レベルアップによって、扱える特殊能力が増えていくクラスが多くなった3版ですが、レンジャーだけはその恩恵にほとんど預かることができませんでした』

ヒノキ「そうなのか?」

NOVA『レベル4で呪文が使えるようになった後は、レベル5で「得意な敵」の種別が1種増える。あとはレベル10、レベル15、レベル20で1種ずつ増えるだけで、ファイターが1レベル、2レベルでボーナス特技がもらえ、さらに偶数レベルごとにボーナス特技が増えていくのに比べても、レンジャーだけは何も変わらない。最初に趣味でレンジャーを選んで、1レベルの特殊能力をもらった後は、レンジャーのレベルを増やすモチベーションが湧かない成長表ですな』

ヒノキ「呪文が増えたりはせんのか?」

NOVA『専門職じゃないので、劇的には増えませんね。レベル4で1レベル呪文、レベル8で2レベル呪文、レベル11で3レベル呪文、レベル14で4レベル呪文で頭打ちです。まあ、特技はファイターでなくても、3レベルに1つずつもらえるのですが、他の職業と比べても成長表がスカスカなのが3版レンジャーです。3.5版になって、一番大きく変わった職業がレンジャーなんですな』

ヒノキ「不遇状態が改善されたのか」

NOVA『まず、1レベルで「野生動物との共感」が追加され、その流れで4レベルで「動物の相棒」が加わり、ドルイドをとらなくても自力でペットを飼えるようになりました。2レベルで「戦闘スタイル」を得て、二刀流レンジャーか射撃レンジャーを選択できるようになって、3レベルで《持久力》のボーナス特技を会得。野外活動における各種の【耐久力】判定に+4のボーナス。もう、3版でスカスカだった成長表の穴を埋めるように、次々と特殊能力が追加されて、5レベル以降は以下の通りです』

 

  • レベル5:得意な敵(2つめ)
  • レベル6:戦闘スタイル強化(《束ね撃ち》か《二刀流強化》)
  • レベル7:森渡り
  • レベル8:迅速なる追跡
  • レベル9:身かわし
  • レベル10:得意な敵(3つめ)
  • レベル11:戦闘スタイル体得(《精密射撃強化》か《上級二刀流》)
  • レベル13:カモフラージュ
  • レベル15:得意な敵(4つめ)
  • レベル17:影隠れ
  • レベル20:得意な敵(5つめ)

 

NOVA『3版では「得意な敵」以外の特殊能力がなかったことを考えると、いかに成長表がスカスカだったか分かるでしょう。あと、先ほど話した技能ポイントが増えて、さらに反応セーブの数字が良くなりました。これで、「身かわし」も合わせると、盗賊並みにファイヤーボールを回避できるレンジャーになったわけで』

ヒノキ「つまり、3版よりも3.5版の方がレンジャー単独でできることが多くなった、と」

NOVA『元々、レンジャーはいろいろできる複合万能職という売りがあったのですが、3版は兼職が容易なシステムなので、レンジャーの持つ《追跡》以外の能力は他の職業を兼職すればいい、という判断か、少し方向性の違う「二刀流軽装ファイター」以上の個性がなくなりました。一応、ほとんど技能が得られないファイターよりも技能が多く得られて……という差別化はされているのですが、技能が欲しければローグを選べばいい、というシステムで、あえてレンジャーを選ぶ理由が少ない、と』

ヒノキ「ファイターは特技(フィート)が充実していて、ローグは技能(スキル)が充実しているから、それぞれ基本クラスとは言え、兼職の際に選択する価値が十分にある、ということじゃな」

NOVA『3版のプレイヤーの大きな目的に、上級クラスの取得条件を満たす、というのが挙げられます。2版までは「レンジャーがファイターの上級職」という位置づけでしたが、ファイターが「ボーナス特技の充実した戦闘のプロで、非常にカスタマイズ性が高い通好みの職業」という意義づけが為されて、かつてのファイター=初心者対応、最も頭を使わなくてもプレイ可能というのが旧世紀の(古臭い、時代遅れの)価値観になったわけですな』

ヒノキ「すると、初心者はどうすればいいのじゃ?」

NOVA『初心者は「選択肢が少ないけど、普通に成長させると強くて活躍できる安定した職業」を好むと考えたなら、3版以降で割と無難なのがパラディンになるという。特殊能力が多いから初心者向きじゃないというのは、RPGが新鮮な趣味だった80年代では是でも、ゲーム文化がそれなりに定着した21世紀では、段階を踏んで有用な特殊能力が増えるパラディンは初心者にも優しいわけで。初心者向きでないのは、育成自由度が高すぎて何が役に立つか分かりにくいか、単純に弱くて活躍させにくい職業。

『たとえば、レンジャーは「選択肢が少なくて、強くないから立ち回りを考えないといけない」という意味で、初心者が扱いにくいうえに、育成マニアの要求を満たしにくい。少なくとも、戦闘の中心にはなれない脇役支援担当ですけど、そういう役回りだと術師系やローグ、バードなどがいますから、レンジャーならではの魅力が薄いということになります』

ヒノキ「自然が好きで、普通に戦闘もこなせて、技能も豊富というのがレンジャーの旨みと思うがのう」

NOVA『自然好きならドルイドやバーバリアンも同じ。戦闘をこなせるのは間違いないですが、最強ではないので渋いサブ戦士の役回り。技能は……ファイターの倍だけど、ローグの半分で、しかも同じ技能ポイント4なら、ドルイド、バード、バーバリアン、モンクというライバルがいて、結局、バーバリアンがほぼ上位互換の位置付けになります。強くて、野生で、技能もそこそこ充実という意味では、レンジャーよりもバーバリアンの方が楽しいとまで主張しますよ』

ヒノキ「それが3.5版で改善されたのじゃな」

NOVA『技能ポイントが6となって、そこが旨みとなりますね。上級職への転職条件として、特技と技能と戦闘ボーナスと習得呪文(他には種族制限)といったものが入って来ますが、転職目的でなるべく早く条件を満たすなら、ファイターで特技と戦闘ボーナス、ローグで技能ポイントを稼ぎ、習得呪文はそれぞれの術師に転職することが、慣れたプレイヤーのセオリーとなります。レンジャーは戦闘ボーナスの点でファイターと同等で、自前で信仰呪文(自然系)も使えますから、転職しなくても上級職の条件が揃えやすいというメリットがあります』

ヒノキ「万能職ゆえの強みということじゃのう」

NOVA『いろいろ転職して、他の職業のルールを覚えるのが面倒だ。一つの職業を極めて、のんびり条件を満たせれば、上級職への道も考えるよ……ってプレイヤーにはレンジャーが向いているのかな、と思いますね。細々と各職を転々としながら、必要なフィートやスキルを手早く習得して、さっさと上級職を目指すという遊び方もありなら、田舎のスローライフで幅広い技をのんびりコツコツ覚えているうちに自然と上級職に手が届くという遊び方もあり。レンジャーは後者向きかもしれません』

ヒノキ「それでも3版では、あまりにも弱いとなったので、3.5版で上方修正が為された(HPは減ったけど)。そこからさらにパスファインダーで強くなった?」

NOVA『HPも元に戻りましたし、戦闘スタイルで習得できる特技の種類が増えて、ファイターほどでなくてもカスタマイズ性がアップしました。他には、「得意な地形」という特殊能力が追加。3版や3.5版では、追加の技能や特技で地形対応していた部分があったのですが、それが技能ポイントなどを浪費する必要もなくなって、4版から5版にも定着します』

ヒノキ「つまり、3版で弱体化したものの、以降の版上げの恩恵を最も受けた職業がレンジャーということじゃな」

NOVA『紆余曲折が大きいのは事実ですな。2版から3版への進化は、従来の基本職の底上げが大きく為されました。戦士は特技、盗賊はD20システムに対応した技能の充実、魔法使いや僧侶は0レベルの初級呪文の追加やアイテム作成といったルールの充実によって、それぞれの育成の自由度が高まって、より楽しく遊べるようになった。そして、いろいろな職業を試してもらえるように兼職ルールも加わったことで、キャラクターの多様性も向上した、ということですね。これで70年代の古いシステムだったD&Dが21世紀対応に生まれ変わったわけです』

ヒノキ「しかし、システムの進化の皺寄せを受けて、レンジャーの弱体化が目立った、と」

NOVA『元々持っていた職業の万能性が、兼職システムによってスポイルされて、レンジャーならではの魅力が薄れたのが3版ですね。そこからレンジャーの強みは何かを模索する流れとなって、とりあえずの答えが3.5版ですが、結局、レンジャーの戦闘力は弱いままなんですよ』

ヒノキ「できることが増えたのに?」

NOVA『戦闘力の拡張にはそれほどならず、森での移動や追跡スピードの向上、隠密行動用の特殊能力など、旅のガイドや偵察任務を容易にするのがレンジャーに与えられた能力。つまり、レンジャーのお仕事は戦闘の主役として華々しく活躍することではなく、パーティーの旅程や行軍をサポートする便利な案内人。そして、ローグと並んで、偵察や探索のプロという意義づけができます』

 

レンジャーのお仕事

 

ヒノキ「ああ、レンジャーの本分は戦闘ではなく、戦闘の前準備をする役回りか」

NOVA『たとえば、ファイターやパラディンという重装甲戦士と、レンジャーを比べると、前の2人はどうしても猪突猛進で、敵が出現したら力で粉砕して……となるんですよ。そもそも、彼らは前もって敵の存在を感知できない』

ヒノキ「脳筋じゃからのう」

NOVA『パラディンは、目の前の相手が邪悪かどうかは分かるので、交渉能力は高いですけど、姿を隠している敵を探すのはできない。しかし、レンジャーは偵察と捜索、感知が得意技ですからね。敵がこっそり近づいて来ても、察知できる可能性が高いし、先行偵察で敵の布陣を調べることも可能。さらに《追跡》能力を駆使すれば、地面の足跡から敵が何者で、何体ぐらいいるかという情報も分かる。つまり、戦いに入る前に作戦を検討することが可能になるわけです』

ヒノキ「なるほど。そういう役どころと思えば、個人の戦闘能力よりもパーティー全体の立ち回りを支援するのがレンジャーの仕事か。しかし、同じことはローグにもできよう」

NOVA『ローグは単独だと戦えないんですよ。強みは、仲間が前衛で戦っている隙に、背後から挟撃して、奇襲で大ダメージを与える役回り。集団戦闘で大きなダメージ源になったとは言え、ローグ1人だと弱い。偵察任務で、もしも敵に見つかった場合、ローグは逃げ出すしかない。しかし、レンジャーは違う。見つかったら見つかったで、ザコの何体かはその場で撃退できるだけの戦闘力を持っている。つまり、1人でも生存能力が高いのがレンジャーだと』

ヒノキ「ああ、見つかったらヤバいな、と思いながら、コソコソ立ち回るのがローグで、見つかったらその時だ、何とでもなるとクールに立ち回るのがレンジャーだと」

NOVA『あと、レンジャーのローグに対する優位性は、4レベルから呪文が使えることです。アニマル・フレンドシップの呪文で動物を友にできて、偵察活動の助けに使えますし、サモン・ネイチャーズ・アライで自然の生き物を召喚して戦闘支援できますし、スピーク・ウイズ・アニマルズで辺りの動物から情報収集できます。これらの呪文はドルイドも使えますが、レンジャーの場合はもっとダイレクトに偵察用の技能との組み合わせが有効です。何しろ、ドルイド単独だと〈忍び足〉も〈隠れ身〉も〈聞き耳〉も〈捜索〉もできませんから』

ヒノキ「なるほど。ドルイド呪文は便利じゃが、術者の持っている技能が偵察向きではない、と」

NOVA『隠密偵察向きの職業は、ローグ、バード、モンク、レンジャーの4つですが、その中でも〈捜索〉技能を持っているのは、ローグとレンジャーの2つだけ。他の職業でも技能ポイントを倍費やせば、習得可能ですけど、効率は悪いですからね。とにかく、偵察任務に限って言えば、ローグとレンジャーがプロフェッショナルで、しかもレンジャーは単独戦闘力もそれなりに高くて、動物たちをサポートに使うことも可能な点で、ローグよりも優秀と見なすことも可能です』

ヒノキ「まあ、ローグが兼職で魔法を習得すれば、話は別じゃがのう」

NOVA『その辺は、パーティーの仲間同士、育成方針を相談すべきでしょうね。ローグにしかできない仕事(鍵開けとか、すりとか、罠外しとか)もあるわけだけど、ローグ1人で全ての技能を持つのは負担が大きい。うまく役割分担するのが大事です。まあ、レンジャーの偵察任務は鍵のかかった扉が一つあるだけで、終わってしまいますので、できることとできないことをきちんと把握するのも必要、と』

ヒノキ「すると、偵察のプロを名乗るには、ローグ技能を1レベルでもかじって鍵開けぐらいはできるレンジャーを作成するといいわけじゃな」

NOVA『そういう自分のプレイ方針に合わせて、職業の組み合わせをいろいろ考えられるのが、3版の長所ですね。4版以降は、マルチクラスのルールがまたややこしくなりましたので』

 

次の話の予定

 

ヒノキ「では、次は4版と5版のレンジャーを見ていくのか?」

NOVA『いいえ。手持ちの3.5版サプリメントから、レンジャーの進化先として妥当な上級職について見て行きたいと思います。レンジャーが上級職でなくなった分、より面白い能力を兼ね備えた上級職への道こそがシステムの人気ポイントですからね』

ヒノキ「確かに、転職ゲームだと、どんな上級職に就くかがキャラ育成の楽しさにも通じるからのう」

NOVA『D&D3版は、その兼職システムがソード・ワールドっぽいと登場直後は言われたものですが、90年代はソード・ワールドが日本のファンタジーRPGのスタンダードになって、D&Dは時代遅れと言われたものです』

ヒノキ「AD&Dの翻訳が打ち切られて、D&Dの全貌が日本では未公開だったにも関わらずのう」

NOVA『この場合のD&DはクラシックD&Dの方ですが、やはり職業ヴァリエーションの少なさも祟ったんでしょうな。で、日本のTRPGは職業の多彩さや種族の多彩さなどを追求したりもしながら、できることを増やして発展したり、ジャンルを広げたりしていくわけですが、D&Dが3版に発展すると、基本職11種類、基本種族7種類に、後から上級職がサプリメントで次から次へと押し寄せて来て、一時期は「月刊D&D」という状況が21世紀の最初の10年で押し寄せて来たわけですな。さすがにマニアしか付いて行かなかったけど』

ヒノキ「新兄さんは付いて行けたのか?」

NOVA『途中までは。職業拡張本の「戦士大全」「信仰大全」「秘術大全」「冒険者大全」までは追っかけて、他にはグレイホークやフォーゴトン・レルムといったワールドサプリを少々、そしてブログのプロフィール画像に使ってる「次元界の書」ですね。種族ルール拡張本や追加の職業本「魔道士大全」「アウトロー大全」「勇者大全」は付いて行けず。気がつくと、4版の時代に入って、俺のD&D追跡ライフはその辺で、一時中断してました。5版の邦訳が出るまで、10年ほどのブランクですか』

ヒノキ「で、今さら3版や3.5版をネタに話してると」

NOVA『何だかんだ言って、俺が一番サプリを買ったD&Dがそこですからね。コアルールも合わせて20冊ぐらいかな。5版はどうかと数えてみると18冊だった。まあ、5版の旧ルールは2014年版と言われ、今年出て新展開中の2024年版のルールも形式上は5版の改訂バージョンのことだから、そちらが日本語訳されると、5版が3版の購入数を追い越すのも確実だと思うけど』

ヒノキ「新版は5.5版という位置づけではないのか?」

NOVA『一応、ルールは大きく変えていなくて、データだけがいっぱい変えたみたいですけど、旧5版と混ぜて遊べる? って触れ込みにはなってる。その辺の変化を検証してるサイトは散見されますけど、まあ、こちらは様子見しながら、先の展開へのワクワクを深めている最中』

ヒノキ「3版における上級クラスは、5版ではサブクラスと名前を変えて、上級ではなくて基本クラスに付随する育成選択肢になったのじゃな」

NOVA『レンジャーだと、「ハンター(狩人)」と「ビースト・マスター(野獣使い)」が基本ルールのサブクラスですけど、新版ではさらにザナサー本収録の「グルーム・ストーカー(暗中の追跡者)」とターシャ本収録の「フェイ・ワンダラー(妖精界の放浪者)」が基本ルールに収録されているらしい。詳しくは、こちらを参照』

ヒノキ「では、今現在の新たな流れも気にしながら、20年前の版の歴史探訪の懐古話を続けて行くとするか」

NOVA『その辺の資料が多いですからね。ネタがいろいろなので、使わないのはもったいないと』

(当記事 完)