花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

三獣士のスターロード・キャラ(特徴編)

仲間キャラの話

 

リモートNOVA『では、ヒノキ姐さんのチームのキャラを作りますか』

ゲンブ「ようやく出番でござるな」

ジュニア「待ちに待ってたですぅ」

シロ「SFゲームのキャラ作りは初めてなんですね」

NOVA『まずは、エッセンスを決めてもらったので、次に特徴のうち弱点を決めてもらう』

ゲンブ「弱点は最大6レベルでござるな」

NOVA『弱点があると、その分、プラス特徴が多く得られるので、弱点がないよりもあった方が、キャラの個性付けがしやすい。テンプレデータは、弱点を2〜6の間にしているけど、自作の場合は6にするのがセオリーかな』

ゲンブ「我はもう決めた。サムライの弱点〔護るべき者〕でござるよ。アリナ様の教授キャラを狙う刺客がいて、主君の命を護るのが我が使命」

ジュニア「弱点と言っても、格好いいキャラ付けになるんですねぇ。リウはドラゴンの弱点〔仇〕を選びますぅ。自分を庇って死んだ師匠の仇をとりたいヒーローをイメージしましたぁ」

シロ「それは、ボクが選びたかったんだけどな。まあ、いいか。こっちは無難に、サムライの弱点〔敵〕を選ぼう。何だか分からないけど、勝手にライバル視されて張り合おうとするバカがいて、迷惑しているんだ」

NOVA『〔仇〕は自分が狙っている敵で、〔敵〕は自分を狙ってくる敵ってことだな。どちらも壊力デッキが増える効果で同じだけど、敵キャラがどんな設定かはプレイヤーが決めてもいいし、GMが決めてもいい』

シロ「ジュニアの〔仇〕が、ボクの〔敵〕と同一人物ってことでもいいんですよね」

NOVA『その辺の詳細は、後からでもいいだろう。では、プラスの特徴を決めて行こう。シロ君は10ポイント、他の2人は11ポイント使えるってことで』

 

ゲンブのキャラ特徴

 

ゲンブ「サムライは〔サイボーグ〕の特徴が得られるのでござるな」

NOVA『レベル分の耐久値が増えるな』

ゲンブ「つまり〔サイボーグ〕6レベルだと、耐久値+6でござるか。それだけでも十分打たれ強い」

NOVA『耐久値を高めるなら〔トランスファースーツ〕という選択もある。これは変身ヒーローっぽい強化服で、1APと命力をレベル分消費することで、《体力》を高めて、装甲も加算される超技術の産物だ』

ゲンブ「〔サイボーグ〕レベルを下げて、その分のポイントを〔トランスファースーツ〕に回せば、結果的にその方が打たれ強くなるようでござるな。〔トランスファースーツ〕は《体力》も強化される分、攻撃力も高まるし」

NOVA『常時打たれ強いのが〔サイボーグ〕で、〔トランスファースーツ〕はレベルが高いほど、消費命力も多くなるから気軽には扱いにくくなる』

ゲンブ「スーツ着装は、いざという時の切り札でござるな」

NOVA『他には、スタンダード特徴の〔愛用の武器〕や、サムライ特徴の特殊武器群、ブースト機能の〔ハイパーモード〕、ドラゴン特徴の〔パワーブースト〕や各種剣技・拳技を習得できる』

ゲンブ「戦士キャラとしては、よりどりみどりでござるな。しかし、剣技を使うにも命力が必要になるので、あまり欲張りすぎると、命力不足で本領を発揮するのが難しくなりそうだ。とりあえず、命力は〔トランスファースーツ〕の起動に回すと考えて、命力消費をしない特徴を選ぶとしようか」

NOVA『〔愛用の武器〕が武人キャラっぽいと思いますが?』

ゲンブ「では、接近戦武器として、日本刀を選び、それを〔愛用の武器〕にすれば、レベル分のダメージを足して強化できるのでござるな」

NOVA『あるいは、1命力をシナリオ最初に消費して、〔村柾〕を習得すると、もっと強くなれますが。同じレベルでも日本刀を〔愛用の武器〕にした場合、ダメージ基本値が6+レベルなのに対し、〔村柾〕だと6+レベル×2ですから、最強剣士になるにはドラゴン特徴の〔村柾〕がお勧めです』

ゲンブ「確かに、サムライといえば、ムラマサが憧れでござるな。よし、接近戦武器は〔村柾〕に決めた。〔村柾〕3レベル、〔サイボーグ〕5レベル、〔トランスファースーツ〕1レベル。残り2ポイントを〔サイバーウェポン〕2レベルで、口からプラズマ火球(データはプラズマライフル相当)を発射し、さらに両肩に携行ミサイルが装着されるというのは、どうでござろうか?」

NOVA『ミサイル……ですか?』

ゲンブ「うむ。サイボーグでござるからな。クライマックスの戦闘では、〔トランスファースーツ〕装着とともに、肩部ミサイルランチャーも転装されて、フルアーマーモードになる。飛び道具でミサイルの弾を打ち尽くして、その後はプラズマ火球を連射し、接近してきた敵は村柾でジャキーンと叩き斬る。こういう方向性で、遠近ともに死角なしの武人キャラを目指してみたいが?」

NOVA『武人キャラにミサイルは似合わないと思いますが、ゲンさんがよければ、まあ、それで』

●ゲンブのキャラ特徴

 

・サイボーグ:5レベル(耐久値+5)

・村柾:3レベル(ダメージ基本値11、シナリオ開始時に命力1使用)

・サイバーウェポン:2レベル(口からプラズマライフル相当の火球発射。肩部に携行ミサイル2門)

※プラズマライフルは光学ダメージ11。携行ミサイルは物理ダメージ16(弾数2発)。

トランスファースーツ:1レベル(装着時に命力1使用。物理・光学装甲どちらも+2、《体力》+1)

・護るべき者:ー6レベル(プロフェッサーJDに、軍人として瀕死の重傷を負ったところを改造手術で助けてもらった。その恩に報いたい)

 

ゲンブ「サイボーグ手術は、アリナ様のジェーン・ディアナ教授が行った」

ヒノキ「ほう、わらわはそんな技術も持っておったのか」

ゲンブ「プロフェッサーは天才科学者でござるからな。で、愛刀の村柾も、先史文明の遺跡から発掘された伝説の名刀。しかし、それを扱いこなすには、ヒーローとしての気の力が必要ゆえ、常人には振るうことすらできない」

NOVA『下手な人間が扱うと、剣の殺戮本能に呑まれて暴走するという設定ですからね』

ゲンブ「鋼鉄の肉体と、護りし者としての心の鍛錬を怠らぬ我だからこそ、扱いこなせる業物でござる。こういう我のスタイル名は[鋼鉄の守護者]。スティール・ガーディアンで、キャラ名はスティーブ・ルーカスとしておこう」

NOVA『何だか、スピルバーグとルーカスが混ざったような名前ですね』

ゲンブ「ルーカスはまずいか? ならばアレンジして、スティーブ・タルカスがよろしいか」

NOVA『タルカス……ドルバックの戦車ロボって感じか。まあ、いいんじゃないですかね』

ゲンブ「戦闘しかできないキャラでござるが、まあ、そういうことで」

 

シロのキャラ特徴

 

シロ「次、行きます。忍者っぽいキャラとして、〔二刀流〕を習得。さらに剣術として〔彗星理心流〕も3レベルで習得していて、技はカウンター攻撃が可能な〈三日月〉、集団攻撃が可能な〈流星雨〉、遠隔攻撃が可能な〈星煌波〉までを覚えました。忍者としては、銃は邪道だと思って使いません」

NOVA『手裏剣は?』

シロ「武器リストには、投げナイフしかないんですね。だから、〈星煌波〉の演出として、星形の気が飛んでいくのを手裏剣に見立てるということで。使用武器はソニックブレード。他に〔トランスファースーツ〕〔ハイパーモード〕〔パワーブースト〕〔アストロノーツ〕を1レベルずつ習得すると……ポイント足りるかな」

NOVA『〔二刀流〕がレベル3でよければ』

シロ「アクションポイントを3点使って、6回攻撃までできるってことですね。多彩な技を使いこなしたいってことで、満足してみましょう」

●シロのキャラ特徴

 

・彗星理心流:3レベル(3つの技を習得。戦闘開始時に命力1使用)

 〈三日月〉:接近戦に対するカウンター

 〈流星雨〉:4m以内の敵全てに攻撃

 〈星煌波〉:視界内の敵に気を放って遠隔攻撃

・二刀流:3レベル(1アクションポイントで2回攻撃可能。レベル分のAPが使える)

※武器はソニックブレード(ダメージ基本値+6)を想定。

トランスファースーツ:1レベル(装着時に命力1使用。物理・光学装甲どちらも+2、《体力》+1)

・ハイパーモード:1レベル(1シナリオに1回、1戦闘中のアクションポイントをレベル分、増やせる)

・パワーブースト:1レベル(気合いで格闘・白兵戦のダメージをレベル分増やせる)

アストロノーツ:1レベル(あらゆる操縦・技術にダイス+1個)

・敵:ー6レベル(何故か知らないけど、勝手にライバルを名乗っている宇宙忍者仮面に狙われている。仮面の下の正体は?)

 

NOVA『敵は仮面の忍者かよ』

シロ「覆面かもしれませんが、とにかく忍者マスクです」

NOVA『同じ剣術流派の兄弟弟子が嫉妬して襲ってくるとか?』

シロ「兄弟弟子だったら、太刀筋などから分かると思うのですが、とにかく心当たりがないのです。いろいろ調べてみたものの、奴もさるもの、こちらから痕跡を探ることは不可能でした」

NOVA『謎の忍者か。ところで、シロ君のキャラは痕跡を隠せないのか?』

シロ「ボク一人なら、人知れず姿を隠すことはできるかもしれませんが、プロフェッサーのところにいると、どうしても目立ってしまいますからね」

ヒノキ「つまり、わらわを狙えば、シロのキャラもそこにいるということじゃな」

シロ「ボクの敵に、プロフェッサーを巻き込んで申し訳ないですが、一人で去ろうとしたボクに、『お前の技が必要なのじゃ』と引き止められて、ならば迷惑をかけた分の恩返しはしようという気持ちと、自分が必要とされる居場所を持てる身が嬉しくて、一所懸命に頑張るわけです」

NOVA『スタイル名は[彗星の忍び]ってところかな』

シロ「それでいいです。名前はスターニンジャを縮めて、スターシャで行こうか、と」

NOVA『ヤマトかよ。ええと、その名だと、くノーなんだな』

シロ「もちろん。ボクはこう見えても、男装女子ですからね。本名はスターシャ、でも普段は男装していて、ステイシーと名乗る形で」

NOVA『ゼンカイジャーに、ステイシーザーっていたな。そうか、シロ君はシーザーの眷属だから、つながったような気がする』

 

ジュニアのキャラ特徴

 

ジュニア「ゲンブさんも、シロ姉さんも〔トランスファースーツ〕を身につけているんですねぇ。だったら、リウも……」

NOVA『いや、〔トランスファースーツ〕はサムライ専用だから、ドラゴンとロードしか選んでいない君のキャラが習得することはできない』

ジュニア「ああ、そうなんですねぇ。ええと、ドラゴンが習得できるのは、剣術と、拳法と、超能力かぁ。だったら、超能力者の道を進みますぅ」

NOVA『〔サイキック〕の特徴レベルと同じ数だけ、超能力技能を選べるな』

ジュニア「超能力の数は全部で7つだから、全てを選ぶことはできないんですねぇ」

NOVA『いや、異星人の〔サイキア人〕の特徴を得れば、超能力技能がレベル+1個習得できるので、パーフェクト・サイキックになることが可能だ』

ジュニア「でも、サイキア人って《体力》1って制限されるので、一応、打たれ強くはありたいんですよぉ。だから、まず、欲しい超能力を並べてみますぅ。遠隔攻撃できる〈サイコ・フォース〉、瞬間移動できる〈テレポート〉、バリアを張れる〈サイコ・バリア〉、治療ができる〈サイコ・ヒール〉ってところですかねぇ」

NOVA『〈テレキネシス〉〈ライト・スピア〉〈シェイプ・シフト〉はいらない、と』

ジュニア「〈テレキネシス〉も欲しいですけどねぇ。〔サイキック〕だけで5レベルも使っていいものか、悩むところですぅ」

NOVA『全部で11ポイントだからな。他の特徴も見ておくか?』

ジュニア「耐ショック値を上げて気絶しにくくなる〔鍛錬〕は欲しいですねぇ。超能力は、《意志力》か《器用》による判定が多いから、それらの判定ダイスを増やせる〔鋼の意志〕や〔コンセントレーション〕も有効だしぃ」

NOVA『サポート系のキャラをプレイしたいなら、ロードの〔サポーター〕が美味しいぞ。他のキャラに命力カードを送って、達成値を増やすことができる。逆に〔パワーゲイズ〕だと、敵の達成値を命力カード分、減らせる』

ジュニア「そういうのって、アリナ様は習得しなかったんですかぁ?」

ヒノキ「悪いのう。宇宙船とか資産とか、違う方にポイントを注いだので、仲間のサポートまでは気が回らなかった」

ジュニア「だったら、リウはそういうサポート業務を担当しますぅ。手持ちのカードさえあれば、仲間の達成値を上げられるって重要じゃないですかぁ。〔サポーター〕と〔パワーゲイズ〕を1レベル分、保険だと思って習得しておきますぅ」

NOVA『〔サイキック〕5レベル、〔サポーター〕1レベル、〔パワーゲイズ〕1レベル。あと4ポイントだ』

ジュニア「だったら、〔鍛錬〕2レベル、〔鋼の意志〕や〔コンセントレーション〕を1レベルずつにすれば、ちょうど11レベル分ですぅ」

●ジュニアのキャラ特徴

 

・サイキック:5レベル(5つの技を習得。シナリオ開始時に命力1使用)

 〈テレキネシス〉:遠隔操作

 〈サイコ・フォース〉:光学ダメージを与える遠隔攻撃

 〈テレポート〉:瞬間移動

 〈サイコ・バリア〉:思念による防護フィールド

 〈サイコ・ヒール〉:治癒能力

・鍛錬:2レベル(耐ショック値+6)

・鋼の意志:1レベル(《意志》を用いた判定にダイス+1個)

・コンセントレーション:1レベル(《器用》を用いた判定にダイス+1個)

・サポーター:1レベル(仲間の達成値に、命力カード1枚分を足せる)

・パワーゲイズ:1レベル(敵の達成値に、命力カード1枚分を減らせる)

・仇:ー6レベル(超能力の実験施設に長年捕えられていた。非道な実験から助けてくれたのが、プロフェッサーJDだ。彼女の仕事をサポートしながら、極悪非道の超能力研究所の所長に殺された友人の仇を討ちたいと思っている)

 

NOVA『あれ? 師匠の仇じゃなかったのか?』

ジュニア「最初はそのつもりでしたが、超能力の師匠ってのも変だと思ったので、仇は、自分たちを非道な人体実験に使ったマッドサイエンティストに決まりましたぁ」

NOVA『プレイヤーキャラの設定が決まると、倒すべき敵のイメージも固まるゲームなんだな、これ』

シロ「謎のライバル仮面忍者と、超能力研究所のマッドな所長と、後は何でしょうか?」

ヒノキ「〈フェニックス・コード〉を狙っている、軍の裏切り者の元高官って感じか」

NOVA『所長と高官は同じ人物でも良さそうだが、高官の部下に所長がいることにしてもいいし、キャラが決まれば、ライバル敵役も決まるし、それをメインのヴィランに設定すれば、敵のダークサイドパワーを決めることでシナリオもできる。連動要素の多い面白いシステムだな、これ』

ヒノキ「ランダムテンプレートを使ったプレイを売りにしておったが、オリジナルキャラを作って、敵要素との連動をもっと前面に出した方が良かったのではないか?」

 

ボスキャラとシナリオの話

 

NOVA『このゲームのシステム的先進性は、後の時代の方が受け入れられたのかも知れませんね。ヒーロー側とダークサイド側の連動性は、翌年に出た「ブレイド・オブ・アルカナ」でも強調されていましたが、GM側がシナリオを作るための作法として、次のルーティンが明記されましたね』

 

  1. ダークサイド(シナリオボス)の設定を考える
  2. ルールに基づいて、ダークサイドのキャラを作成する。
  3. ダークサイドに与えた能力(ダークパワー)に基づいて、シナリオ中のイベントを設定する。
  4. イベントの順番なんかも考えながら、導入部(オープニング)、探索部(リサーチ)、決戦部(クライマックス)の大筋を組み上げる。

 

NOVA『大体、こういう感じでシナリオが作れますか』

ヒノキ「最初にボスキャラありきなのじゃな」

NOVA『おおむね、FEAR社の作品では、クライマックスで倒すボス役を中心にストーリーを組み上げるシステムを採用してますね。もちろん、セブンフォートレスの初期の話みたいに例外はいくつもありますが』

ヒノキ「セブンフォートレスは、FEARゲームのフォーマットで構築されていない?」

NOVA『アルシャードのSRSを代表とするFEARゲーは、物語の基本フォーマットを固めて、極力、事故を起こさないように、お約束の定番ストーリーを楽しもうとする方向性で作られています。もちろん、定番のワンパターンだと飽きますので、大量のデータを用意して、組み合わせのヴァリエーションを広げる。一つ一つの要素は定番かもしれないけど、定番どうしの組み合わせが思わぬ化学作用をもたらすかもしれない。

『忍者キャラは定番であっても、そこにクレープ屋のバスとか、ハムスター館長とか、アメリカンなガンマン忍者とか、ゲルマン忍法とか、異なるエッセンスを混ぜることで、個性的な忍者が量産されるわけで』

シロ「確かに、忍者がハンバーガー配達に勤しむとか変なゲームもありましたね」

NOVA『FEAR社のゲームは、この組み合わせる要素をいっぱいデータ化することで、定番のキャラに変なエッセンスを加えて個性的なキャラを生み出しやすくした。もちろん、定番どおりに作ることもできるし、サンプルキャラも基本は定番のパロディが多い。しかし、定番+豊富なヴァリエーションで思わぬ化学変化が……というのを売りにしつつも、シナリオ運営中の事故は極力起こさないように、シナリオフォーマットはきっちり組み上げたのがFEARゲームの特徴だ』

ゲンブ「セブンフォートレスは違うのでござるか?」

NOVA『セブンフォートレスは、事故を起こすことを楽しむシステムだ。その最たるものが、クリティカルとファンブルの数値が毎回異なるルールで、同じ6面ダイス2個でも、アリアンロッドは12がクリティカルで、2がファンブルと分かりやすい。セブンフォートレスは違う。シロ君、2D6を振ってくれ』

シロ「10です」

NOVA『これが今回のクリティカル値だ。次にジュニア君、2D6をもう一度だ』

ジュニア「10」

NOVA『同じのは振り直せ』

ジュニア「7」

NOVA『よし、それが今回のファンブル値だ。判定で7が出ると、判定値がマイナス10される』

ジュニア「え? 2D6で7って一番出やすい数字じゃないですかぁ」

NOVA『そう。セブンフォートレス(および姉妹編のナイトウィザード)は、日本のRPGの中でもクリティカルもしくはファンブルが発生しやすくなり得るゲームだと思う。もちろん、出目7がファンブル値になった場合でも、【幸運度】の能力値から算出されるCF修正値で出目を7から遠ざけることができる。CF値が2あれば、7ー2でファンブル値を5にするのがセオリーだろうな』

ヒノキ「結論すると、セブンフォートレスは、FEARゲームの中でも珍しく、積極的にランダム出目の事故を起こそうとするシステムというわけじゃな」

NOVA『あと、これはリプレイしか読まない読者には伝わりにくかったのですが、セブンフォートレスは基本的にダンジョンゲームですし、ナイトウィザードも同じです。公式リプレイは、後期に行けば行くほど、ダンジョンと異なるストーリー主導のシナリオっぽく描かれましたが(とりわけナイトウィザード)、基本的にはD&D以来の古きダンジョンゲームの文法に乗っ取って、よりコミカルな事故を起こすように構築されたのがセブンフォートレス。

『一方で、セブンフォートレスと比較されやすかったアルシャードは純粋なFEARゲームの基盤となって、ストーリードラマをいかに構築するかを意識したゲームと言えます。そして、トーキョーN◎VAアルシャードにも受け継がれたシーン制を、セブンフォートレスは2008年の4版メビウスになって、ようやく正式に取り入れて、名実ともにFEARゲームの進化の歴史に組み込まれたわけですが』

ヒノキ「V3以前はFEARゲームではない?」

NOVA『V3の2002年には、まだFEARゲームというものがどういうものか確立されていなかったので、断片的にはトーキョーN◎VAのシーン制っぽい要素もありますが、こんな感じでです』

 

  1. オープニング:各キャラの紹介シーン
  2. ミドル:各キャラの合流&情報収集
  3. ダイブ:フォートレス(ダンジョン)に突入と探索
  4. クライマックス:ダンジョンの奥でボスと決着
  5. エンディング:事件解決後の、各キャラそれぞれの日常描写

 

NOVA『このシーン制は、シナリオの書き方のフォーマットであり、1回のセッションのシナリオ進行の手順であり、そのゲームの定番ストーリーを提示したものですが、セブンフォートレスでは必ずダイブ、すなわちダンジョン探索が含まれて、旧世紀のゲームの名残りが濃いわけです』

ヒノキ「ダンジョンに潜って、モンスター退治するゲームじゃな」

NOVA『後にその要素は、アリアンロッドが引き継ぐことになりましたが。メビウスの時代になると、ダイブのシーンは必ずしも必要でなくなり、よりストーリー重視のシーン制要素を提示しましたが、セブンフォートレスのシーン制は単にシナリオフォーマットの形式をそろえるだけの形式的なもの、体裁を整えた程度のものでした。それよりも大事なのは、フォートレスの作成ルールです。背景世界が多元世界になって敵味方の構図やプレイヤーキャラの立ち位置が複雑化したにも関わらず、一蓮托生でダンジョンに潜って、奥のボスを倒すという構図は変わっていない』

ヒノキ「それが問題なのか?」

NOVA『本来、シーン制は各シーンのメインキャラクターにスポットを当てて、他のキャラは同行者だったり、途中で登場判定を行ったり、あるいは舞台裏で独自の調査や回復をしたりして、立ち場の異なるキャラが独立して行動して、複数視点の物語が最後に1本につながる物語演出が意図されていたわけですね。しかし、セブンフォートレスは基本的に、みんなで力を合わせてダンジョン探索を推奨するシステムだったから、シーンのメインキャラとか、登場判定とか、舞台裏でできることなどはルール化されていなかった。

『だから、例えばアルシャードガイアナイトウィザードは、同じ現代社会で超常能力を持ったキャラが悪のスペクターや魔王を倒すゲームという点では同じでも、ゲーム運営そのものは異なる形になるわけです。前者は情報収集主体の謎解きゲームで、後者は月匣という魔王が作ったダンジョン攻略が主体となるマップ探索ゲームです。これがコンピューターゲームだと、推理主体のアドベンチャーゲームと、ダンジョン探索RPGぐらい異なるものなので、どちらが好きかという意見は分かれても、片方があるから、同じようなもう一作は必要がないと言えば、よく知らずにバカな批評をしているな、と思われるわけで』

 

ヒノキ「で、間抜けな批評家もどきの話はさておき、どうしてスターロードの話から、今の流れになったんじゃ?」

NOVA『今回、改めてルールを確認して、スターロードもFEARゲーム以前の要素と、後のFEARゲームに受け継がれる要素の混じった、過渡期というかミッシングリンクっぽいゲームだなあ、と感じた次第。プレイヤーキャラが同じ宇宙船に乗ったチーム(スコード)という構成で、シーン制も形式だけの未完成な構造なんですが、ただ、敵のダークサイドと、プレイヤーキャラのヒーローの間に関連づけを持たせようとするストーリー構築手法は、後のキャラのライフパスを構築して、背景世界や他のプレイヤーキャラとの関係性を紡ぎ合わせるゲームシステムへの発展継承が感じられて面白いなあ、と』

ヒノキ「ボスキャラとヒーローの関わり合いを構築する際に、悪側の破壊エネルギーである壊力(カイリー)カードが、ヒーロー側の原動力になる命力(メイリー)に変換されるシステムは、旧スペオペのヒーローポイントルールを進化させたという意味で、独自性を持っておるがのう」

NOVA『ここから、さらにキャラ同士の感情を表現する要素が加わると、ゲームとしてはさらに一段進化したって感じですね。ただ、スターロードは旧スペオペと比べて、キャラの特徴という形で個性化が進展したと思いつつ、退化したものもいろいろで、サプリが出なかったことが今さら残念に感じるシステムですな』

ヒノキ「TRPGマニアは、旧版にあった要素は新版でも再現されて欲しいと思うもの。旧版ではできたことが新版でできないとなれば、システムとして退化したと感じる」

NOVA『旧スペオペにあって、スターロードにないルールは以下のとおりです』

 

  • 超能力のテレパシーやクレヤボヤンスなどの感覚系、知覚系の能力
  • 星系作成ルール
  • 異星生物作成ルール
  • パワードスーツや巨大ロボのルール
  • その他、ヴィークル(車両、航空機、船舶)のデータやオプション武装のデータが大きく割愛された。
  • コンピューターのデータや、オプションソフトのデータも割愛された。
  • 宇宙船設計ルール(サプリメントスペオペ2に採用された)

 

NOVA『キャラクターやダークサイドの表現データが増えた代わりに、アイテムや乗り物など、周辺世界を構成するデータが大きく減ったのは、サプリメントでフォローするつもりだったのだと推測します。

『ともあれ、星系作成ルールや異星生物作成ルールは、トラベラーやマルチバースみたいな宇宙SFのTRPGにも見られるもので、サイコロを振るだけでランダムに星のデータや、生物データが作られていき、そこから冒険の舞台になり得る星の地図を考えたり、生物の外見を想像したりするのは、いい想像力の訓練になったなあ、と思ってます。数字データの向こうに、どんな空想世界が広がるかは、多くのヴィジュアルが簡単に見られる現代と違って、設定を文章化するトレーニングにもなったり。まあ、それを絵にするセンスが磨けたら、もっと良かったのですけどね』

ヒノキ「FEAR社の宇宙SFRPGだと、2004年の『スターレジェンド』に続いて、2014年に『エイジ・オブ・ギャラクシー』が登場しておる。新兄さんは勘違いしていたようじゃが、SRS対応なのは、『エイジ・オブ・ギャラクシー』の方みたいじゃぞ」

NOVA『え? 「スターレジェンド」は20面ダイスを使うゲームなんですか? よく知らないままに、後継ゲームと混同していたようですね。まあ、どちらも持っていないので、思い込みで語っていました。反省』

ヒノキ「では、新兄さんのSFTRPGの知識は、旧世紀からアップグレードされていないままじゃった、と」

NOVA『失敬な。単に宇宙ものを追いかけていなかっただけで、「カオスフレア」と「メタリックガーディアン」なら、ルールブックを買ってます』

ヒノキ「今もサプリを追っているのか?」

NOVA『……いえ。その辺も2010年付近で止まってますね。2018年以降、一部のファンタジーRPGTRPG熱が懐古的に蘇った形ですから。文庫リプレイになっていない作品は、いまいち追跡が甘いか、と』

ヒノキ「まあいい。今は、『スターロード』の話を終わらせるとしよう」

NOVA『ええ、ここまで続けたキャラメイクですから、次回で完成させてしまいましょう』

(当記事 完)