2024年版を気にかけつつ
リモートNOVA『さて、久々にD&D話です』
ヒノキ「前は、春頃にアーティフィサーの話をしておったのう」
NOVA『仮面ライダーガッチャードに絡めて、錬金術師のあれこれを話していました』
ヒノキ「で、その後、D&Dの新ルールが出たそうじゃが」
NOVA『8月にイベントで先行発売されて、9月に正式販売されているわけですが、英語版ユーザーが少しずつ情報を垂れ流してくれています』
ヒノキ「新兄さんは買わんのか?」
NOVA『さすがに英語版まで追いかける時間も金もありませんので、日本語になるのを待ちます』
ヒノキ「いつ、なるのじゃ?」
NOVA『さあ。2014年に出た5版は、日本語版が2018年になりましたが、それから出版元がホビージャパンから、本国のWotC社の日本支部になって仕切り直しが始まったのが2022年末でしたからね。昨年末のドラゴンランス以降はサプリメントも出ておらず、新版待ちだと言われていました』
ヒノキ「日本語のみのユーザーにとっては、半年以上、放置されている感じじゃのう」
NOVA『ルールではありませんが、こういうガイドブックが最近も出ていて、盛り上げようという動きはあるんですけどね』
ヒノキ「ドリッズトは、フォーゴトン・レルムの北方を舞台にした『アイスウインド・サーガ』でデビューしたダークエルフのレンジャーじゃったな」
NOVA『ええ。その後、前日譚の「ダークエルフ物語」などで地下のアンダーダークなども描かれ、D&Dの中でも人気キャラの1人になっていますね。こんなボードゲームも出たくらい』
ヒノキ「2万越えとは高すぎじゃろう?」
NOVA『10年以上前のボードゲームで、プレミア価格も入ってますね。42体もフィギュアが入っている時点で、プレミアなくても1万円越えは確実でしょうし』
ヒノキ「フィギュアとダンジョンタイルがあれば、TRPGにも流用できるということじゃな」
NOVA『ともあれ、ドリッズトはレンジャーですから、この辺りで、レンジャーについてあれこれ語りたくなっているわけです。まあ、今回はその取っ掛かりとして、これまで語った職業クラスについて、総括しておこうかな、とも思いまして』
ヒノキ「気まぐれに書き散らしておるから、一度まとめておかないと、読む方にも不便じゃろうしのう」
NOVA『書く方も、何を語って、何がまだなのかこんがらがったりもしますからね』
2024年版D&Dのキャラクラス
NOVA『クラスの数と種類は、5版と同じ12種類で、以下のとおりです』
ヒノキ「最初から12種類を選べるのじゃな」
NOVA『もちろん、スターターセットでは、そのうち基本的なクレリック、ファイター、ローグ、ウィザードの4クラスのみだったりしますがね。あと、種族は今回、背景とセットになっていて、5版に比べて後ろに下がった感じです』
ヒノキ「あまり、重要視されなくなった?」
NOVA『キャラ作りの順番が、5版は種族→クラス→背景だったのが、2024版はクラス→背景(その中に種族も含まれる)という流れになって、種族自体はハーフエルフやハーフオークといった混血が抹消(ハーフリングは意味が違うので存続)。でも、悪魔の血を受け継いだティーフリングは残っていたりします』
ヒノキ「ハーフエルフは、ドラゴンランスの初代主人公のタニスで、D&D史的に重要な種族なんじゃがのう」
NOVA『サプリメントに追加されるかもしれませんが、とりあえずハーフオークも消えて、代わりにオークが最初からプレイヤーキャラとして採用。他に、アーシマール(天使)とかゴライアス(石巨人)が加わって、最初から扱える種族の数は5版の9種から10種に増えているようですね』
ヒノキ「そう言えば、あまり種族の話はして来んかったのう」
NOVA『種族は、人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリングがあれば十分だという感覚がありますね。あとは、ティーフリング、ドラゴンボーン、ノームがD&Dの特徴的種族になりますか』
ヒノキ「ともあれ、種族はあくまで背景情報の一種として扱われ、メインとなるのは職業的なクラスの方向性になった、と」
NOVA『種族の扱いについては、ポリコレ的な意見がうるさかったみたいですからね。元々、種族=レイスという表記だったのが、レイス=差別を連想する単語ということでスピーシーというワードに置き換わり、しかも背景文化の一種に過ぎない、とされました。昔のAD&D時代を知っていると、隔世の感です』
ヒノキ「どういうことじゃ?」
NOVA『AD&Dでは、種族による職業制限がキツかったですからね。例えば、ドワーフはクレリック、ファイターおよびシーフと、そのマルチクラスにしかなれない』
ヒノキ「つまり、ドワーフのパラディンやレンジャー、モンクにはなれなかった、と」
NOVA『まあ、旧ソード・ワールドでも似たような職業制限はありましたな。エルフはプリースト技能をとれないとか』
ヒノキ「確か、フォーセリアのエルフは、神を信仰しないのじゃったな。自然信仰で、エルフの聖職者はシャーマンしかいないという世界観じゃった」
NOVA『D&Dなら3版、ソード・ワールドなら2.0版で種族による職業制限は大幅に緩和されました。まあ、一部の特定種族用の上級クラスとかは残ってましたが』
ヒノキ「ソード・ワールドでも、グラスランナーはMPを持たないので、魔法使い系技能は習得できない、という制限はあったが、種族の特徴はゲームとして重要。しかし、そういう違いが差別につながるという意見に対して、どう体面を取り繕うかが海外のゲーム事情のややこしいところじゃのう」
NOVA『行き過ぎたポリコレが、文化をつまらなくするということもありますが、それも含めてゲームの発展変容史と言えるのかもしれません。最近は、ドラクエのキャラデザインについても、女戦士の鎧の露出度について、ポリコレ対策の変化が見られて、物議をかもしたとか』
ヒノキ「たいてい、こういう難癖をつけるのは、じっさいにゲームをするわけではない客以外の層であることが多く、仮に彼らの要望に応じたところで、商品を買ってくれるわけではないしのう」
NOVA『クレーマーの要望に応じて、お得意客の不満を募らせて、商品そのものの魅力が減衰してしまうことが一番の問題ですな。だから、今回は削った部分を別の形で補うことにして、結果的にはプラスになるように努めたようですが、例えば、各クラスごとに付いてくるサブクラスも、5版では3つだったのが4つになって、増えた感を出しています』
ヒノキ「ほう、増えたのか」
NOVA『例えば、ファイターのサブクラスは、5版がバトルマスター、チャンピオン、エルドリッチ・ナイトの3つだったのが、超能力戦士のサイ・ウォリアーが最初から付いて来るようになりました』
ヒノキ「すると、最初から超能力ルールも実装されておるのか」
NOVA『総じて、5版の基本ルールと、サプリメントのターシャ本のデータの一部を融合させた感じですね』
ヒノキ「ターシャ本が、日本でのD&D新展開に際して訳されたことで、アーティフィサーも幅広く使えるようになったからのう。重要サプリメントじゃ」
NOVA『それまでは、エベロンのワールドガイドのみに記載されて、錬金術師がエベロン以外のD&D世界で使っていいかどうかは、DM次第といったところでした。しかし、去年の夏に邦訳出版されたターシャ本でアーティフィサーが広く開放された……と思ったら、2024年版の基本ルールには載らなかったので、再び錬金術師は地下にこもったことになります』
ヒノキ「しかし、2024年版は5版と互換性があるのじゃろう? データのアップデートが行われるまでは、5版のデータを使い回して良かったはず」
NOVA『ソード・ワールドの2.0と2.5の関係みたいなものですな。旧版を切り捨てるのではなく、昔の資産は使えることを売りにして、少しずつ馴染ませようとしている形。ただし、ワールドの方はグレイホーク推しになりましたね』
ヒノキ「5版がフォーゴトン・レルム推しだったのに対してか?」
NOVA『グレイホーク推しは3版以来ですね。まあ、世界観については、DMガイドでより詳細が出るとして、D&D最初のワールドということで無難な選択ではないでしょうか。50周年ってことで、ワールド作成者のゲイリー・ガイギャックスさんへの敬意も表明できますし』
当ブログでの復習
NOVA『ここでのD&Dクラス話だと、去年の秋に戦士(ファイター)について語ったのが最初ですね』
ヒノキ「ドラゴンランス・サプリで、ずいぶん喜んでおったのう」
NOVA『それが日本での5版の最終サプリになってしまったので、勢いが続かなかったわけですが』
ヒノキ「それでもアーティフィサー話で、秋から春まで、半年もかけたんじゃなあ」
NOVA『ガッチャード効果って奴ですね』
ヒノキ「途中で、盗賊話に寄り道しおった」
NOVA『アーティフィサーは複合職ですからね。解説しているうちに、盗賊についても語る必要を感じた次第』
ヒノキ「ということで、ここではファイター、ローグ、それにアーティフィサーを攻略済みということで良いな」
NOVA『先が長いですね。まあ、その前に現ウルトロピカルでD&D話は2018年から、いろいろ語って来たわけですが』
ウルトロピカルのD&D復習記事
NOVA『こちらでD&D話を引き取る前は、去年の春頃に「盗賊と吟遊詩人」について語っていました』
ヒノキ「ウルトロピカルでは、クラシックD&Dのドルイド、パラディン、戦士、魔法使い、僧侶、ミスティックを語り、そこから海賊、モンクおよび忍者、ウォーロックと、本当に気まぐれに話を展開していたのじゃな」
NOVA『5版の現状追跡ではなくて、クラシックD&Dから3版にかけての回顧録のつもりでした。じっさい、4版と5版は未プレイで、前の版に比べて思い入れが薄かったですし』
ヒノキ「どちらかと言えば、昔のお宝本を見ながら、総括的にではなく、ネタを拾い食いして来た感じがある」
NOVA『で、ある程度、過去記事が溜まっているので、整理の意味も込めて、振り返ってみるわけですよ。とりあえず、ドルイド記事はここからかな』
ヒノキ「どうして、ドルイドからなのじゃ?」
NOVA『いや、昔のクラシックD&D経験で、ドルイドはプレイ経験がないんですね。この場合、自分がプレイしただけでなく、卓のメンバーがプレイしたものも含むわけですが。そして、ルールブックでも、ベーシックやエキスパートは実プレイがあるわけですが、コンパニオンルールはプレイに使ったことがない。つまり、持ってはいるし、読んでもいるけど、使ったことがない。で、2018年にコンパニオンルールの思い出研鑽をしていたら、所縁あって、当ブログのタイトルが「コンパーニュ」にもなったという』
ヒノキ「おう、わらわの生みの親が、コンパーニュの名付け親でもあるのじゃのう」
NOVA『で、ドルイドを使ったことも、使われるのを見たこともない(コンピューターゲームの「バルダーズ・ゲート」などを除く)ということで、改めて呪文について考えたくもなったわけです。クラシックD&Dのドルイド呪文は、各レベル4つで9レベル分だから、36個ぐらいなら記事書きしやすいかな、と』
ヒノキ「ドルイドは、クレリックの派生クラスじゃから、クレリック呪文(一部除く)とドルイド呪文を併用するんじゃったな」
NOVA『マジックユーザーは各レベルで12種類。クレリックは8種類だったから、それら全てにコメントを付けるのは、膨大な作業になる。それに実プレイだと、せいぜい5レベル呪文までしか使用経験がないわけです。マジックユーザーの6レベル呪文に何がある? と聞かれても、素では答えられません』
ヒノキ「5レベル呪文だと?」
NOVA『クラウドキルでしょう。あと、アニメートデッドと、コンジャーエレメンタルと、テレポートを覚えてる。6レベルは……(ルールを見ながら)アンチマジックシェルとか、ディスインテグレイトかあ。これらは、魔法使いをレベル12まで成長させないと使えないんだなあ。知識にはあっても、使ったことがないレベルだ。いや、リプレイとかコミックで使われるのを見たことはあるけど、実プレイではないなあ』
ヒノキ「ドルイド呪文だけは、最高の7レベル呪文まで語っておるのう」
NOVA『AD&D以降のドルイドは、獣の従者を召喚したり、自ら獣となって前衛で戦うキャラにもなれるなど、多彩な感じだったけど、クラシックD&Dのドルイドは総じて地味なクラスと感じたなあ』
ヒノキ「一番笑ったのが、クラシックD&Dのドルイドが欠陥ルールということじゃったな」
NOVA『だって、コンパニオンルールで「クラス固有の成長ルールの、この続きはマスタールールで」と書かれた箇所が、結局マスタールールに載っていなかったわけだし。AD&Dで補完しなければ、ドルイドは非常に不遇な扱いだったわけですよ。そういうことに、2018年まで気づかなかった辺り、いかに自分がドルイドについて無知だったんだなあ、と実感した』
ヒノキ「で、次はパラディンじゃな」
NOVA『いえ、先にミスティックでした』
NOVA『何故か、ウルトロピカルでも人気記事になってます』
ヒノキ「『ミスティック 職業』で検索すると、世界樹の迷宮の職業とともに上位に上がる。もしかすると、『世界樹の迷宮』のプレイヤーが調べようとした際に、迷い込んでしまうのではないだろうか」
NOVA『一応、最近のD&Dでも、モンクとは別の超能力使いとして存在が確認されているみたいですね。もしかすると「マニアックな失われた職業」として、再評価されているのかな? と思ったりするのですが、俺が気づいていないだけかもしれません』
ヒノキ「神秘的な、という形容詞がクラス名になっただけで、一般的な職業名ではないからのう。ソード・ワールドでは占い師じゃったし、2.5版ではまだ復刻もしていないわけで、こちらも『マニアックな失われた職業』になっておるのう」
NOVA『知る人ぞ知るレア職業って奴ですね。それで、魔術師や僧侶の1レベル呪文だけをチェックした後、パラディン話に突入します』
ヒノキ「パラディンは、昔から人気職の一つじゃったのう」
NOVA『オリジナルD&Dで最初のサプリメントに、シーフといっしょに登場して以来ですからね。続いて登場したのがモンクとアサシンだけど』
ヒノキ「ウルトロピカルでは、海賊、忍者、モンクの順で記事書きしたようじゃ」
NOVA『海賊は、犬D&Dのパグマイアのサプリメントの影響ですな』
ヒノキ「犬猫D&Dとして、SNEもプッシュしたのじゃが、何だか続かなかったのう」
NOVA『プリキュア的には、今が旬なのに』
ヒノキ「だったら、こむぎやユキをパグマイアでキャラ作りしてはどうじゃ?」
NOVA『パグマイアの世界では、擬人化した動物は登場しても、飼い主のヒトは登場しない世界観ですので、似て非なるストーリーですね。おまけにウサギが登場しないので、大福ファンがプレイできません』
ヒノキ「確か、海賊サプリで鳥やトカゲが追加されて、それっきりじゃのう」
NOVA『超能力ネズミの加わるサプリが出る予定とかありましたが、翻訳者のベーテさんの体調不良と、ウォーロックマガジンからGMウォーロックに雑誌が切り替わる際のゴタゴタで、パグマイアの国内展開も終了してしまったようですね。一応、本国ではルールブックの第2版が予定されているようですが、D&Dの版上げを見越した上でのことなのか。それとも、違う事情なのかは判明せず。まあ、うちは海賊とモンクがパグマイアの影響込みで記事書きしたってことです』
ヒノキ「その次にウォーロックか」
NOVA『ここからゲームブックにつながる流れですな。個人的に、D&Dよりもファイティング・ファンタジーの方が旬だと感じたので』
ヒノキ「今のGMウォーロック誌は、TRPGよりもマーダーミステリーの記事の方が多いらしいのう」
NOVA『ソード・ワールドとAFF以外は、老舗ゲームの展開が見えにくくなりました。ゴブスレRPGもロードスも、デザイナーが亡くなったので、続く見込みが薄いですし』
ヒノキ「ともあれ、これからD&Dの新版が旬になっていくと予想される以上、その流れにも乗っておいた方がいいという判断じゃな」
NOVA『クラス話にしろ、これまで全く語っていないのが、レンジャー、バーバリアン、ソーサラーの3職です。それとは別に、ウィザードとクレリックも割と中途半端な感じでもありますが、ウィザードとソーサラーをセットで語るといいと思いますし』
ヒノキ「クレリックについて語ると、神さまについても語らねばならんぞ」
NOVA『それが手間ですので、またいずれ気が向いた時の課題にしておくとして。今後はしばらく、古今のレンジャーについて、いろいろ述懐していきたいと思います』
(当記事 完)