花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

D&Dのアルケミスト話(アーティフィサー・サブクラス1)

大物錬金術師を目指すヒーロー

 

ヒノキ「仮面ライダーガッチャードが未来と過去の時空を超えた力で、ファイヤーガッチャードになったのじゃ」

セイリュウ「ガッチャードは装着変身玩具が楽しそうだな」

シロ「ガッチャードは、錬金術と創作料理を組み合わせた主人公のセンスもいいですよ。ボクも料理を応用した武術の参考にしたいと思う」

ゲンブ「我としては、アーマーパーツに着目した点を評価したいでござる。惜しむらくは、カメをモチーフにしたケミーが登場していないこと」

セイリュウカニとゴリラは登場しておるので、カニコングは喜んでおったがな」

ジュニア(元リトル)「竜のケミーはいないんですね」

セイリュウ「ドラゴンではないが、エックスレックスとかジャマタノオロチなんかが当たらずと言えども、遠からずってことか。まあ、ドラゴンはこれからオカルトもしくはファンタスティック属性で登場する可能性もあるだろうが」

 

ヒノキ「そして、ガッチャードの素体ボディに各種ケミーアーマーを装着するシステムは、D&D5版のメインクラスに各種サブクラスを付与して職業バリエーションを構築するシステムと相性がいいのじゃ」

セイリュウ「ガッチャードは戦闘中にいろいろとアーマーを取っ替え引っ換えフォームチェンジできるが、D&Dのサブクラスはそんなことはできんだろう」

ヒノキ「さすがに、TRPGのプレイでコロコロ戦闘スタイルを切り替えるのは、プレイヤーの処理能力や仲間との連携・役割分担など、運用面で支障が生じるじゃろう。せいぜい、ドルイドが獣形態に変身するとか、ソード・ワールドスプリガンとか、一部の特殊な職業や種族ぐらい」

シロ「仲間がいるなら、自分が何をできるかの役割を自覚しながら、お互いのフォローができる関係が理想ですね」

ヒノキ「その点、アーティフィサーはある程度、何でもできるサポーター向きの職業で、パーティーに足りない役割を補うために、サブクラスを選択するわけじゃな」

シロ「ガッチャードでスポットが当たっている錬金術師(アルケミスト)は、魔法と科学を組み合わせた職業ということで、ゲームごとに違う性能が提示され、その実態を一言では語りにくいですね」

ヒノキ「明確に魔法使いと異なるのは、呪文で無から有でも生み出せるのが魔法使いで、素材や道具を駆使するのが錬金術師ってところじゃろうか」

セイリュウ「無から有と言っても、魔素(マナ)みたいなエネルギー資源を消費したり、精神力みたいなリソースも必要ではないか」

ヒノキ「それはそうじゃが、魔素(マナ)は一般の人間には感知できないことが多いので、世間的には無から有を生み出しているようにも見える。その意味で、魔法使いは不可思議な術を使う一方で、錬金術は同じ不可思議にしても、怪しげな薬品や道具を使いこなして変成させる化学者、より物理的な職業と言えるじゃろう」

ジュニア「ゼロから1にできるのが魔法使いで、1を1′とか①とか❶に変容させるのが錬金術師ってところですかね」

セイリュウ錬金術の起源は、古代ギリシャの科学に遡ると言われ、それがイスラム圏に伝わったあと、十字軍後のルネサンス期に西洋に逆輸入されたと聞く。16世紀のパラケルススが有名で、その後、ガリレオ・ガリレイとも並んで『近代自然科学の父』とも称されるアイザック・ニュートンもまた錬金術研究で知られる。ガッチャードの錆丸先輩が使うタブレットAIの名前がアイザックなのも、そこから来ているのだろう」

ヒノキ「ほう、セイリュウ、意外と博識ではないか」

セイリュウ「海好きなドクターの受け売りに過ぎんがな。あの男、少し前にMCUギリシャの主神ゼウスの声を演ったと語り、古代ギリシャから錬金術と科学の歴史をたっぷり講義したのだ。わしは半分寝ながら聞いておったが、少しぐらいは覚えていたようだ。睡眠学習にでもなっておったのかな」

ヒノキ「昔から、お前さんはよく眠っておったからのう」

セイリュウ「太古の眠りから覚まされた怪獣……ってのは、よくあるシチュエーションだろう? スザクも人のことは言えまい」

シロ「ボクの父さんも眠っていたそうですからね」

セイリュウ「ところで、長年の疑問を今にして尋ねるが、ミヤラビとは何であろうか?」

シロ「ああ、それは琉球語で『美少女』という意味です。漢字で『美童』とも書いて、乙女とか若い娘と考えればいいですね」

ヒノキ「なるほど。だったら、わらわもミヤラビを名乗るとしようかのう」

一同『…………』

ヒノキ「何じゃ、その沈黙は!?」

シロ「……アリナ様、そろそろ前置きが長くなったので、今年初のD&D研鑽に移る時間です」

ヒノキ「むっ、そうか。では、D&Dアルケミストの話に移るとしよう」

 

アルケミストは薬品学の達人

 

シロ「ええと、D&Dのアルケミストは薬の専門家で、アーティフィサーの中でも回復および酸や毒の扱いに秀でたサブクラスと言えます」

ヒノキ「アーティフィサーの中でも、特に最古参の術らしいのう」

シロ「さて、ガッチャードは天賦の才を持った大物錬金術師の卵ですが、一つの欠点がありまして」

ジュニア「何ですか?」

シロ「ケミーの力を借りないと、錬金術が使えない。つまり、ケミーの使用に特化した能力者なんですね。まあ、あの物語はケミーカードを用いた戦いが話の前提なので、『もしもケミーの存在が消去されたら』という局面はあまり考えなくてもいいのかもしれませんが、りんねさんやスパナなんかは、ケミーがいなくても術を使えるのに対して、宝太郎はケミーがなければ無力化されるのが最大の欠点」

セイリュウ「それを言ってしまえば、契約モンスターを持たない龍騎や、ラウズカードを失った剣や、ライドカードを失ったディケイドも同じではないか?」

ゲンブ「変身アイテムを失った変身ヒーローはことごとく無力化されるでござるな」

ジュニア「でも、変身できなくても心はカァーーーーレンジャーって方々もいますし、大切なのは折れない心ではないでしょうか?」

ヒノキ「想いだけでも、力だけでもダメってのは、次回のプリキュアでも語られそうじゃが、さておき、突然、ガッチャードに話を戻して、何が言いたいのじゃ?」

シロ「ガッチャードには、もう一つの弱点があって、それは敵の状態変化攻撃には対処しにくいということ」

セイリュウ異議あり。ドクターコゾーとツッパリヘビーの力をガッチャンコさせたドクターヘビーは、多彩な薬品調合によって毒雲と癒しの煙を発生させる……と設定にはある」

ヒノキ「そこまで設定をチェックするとは、お前さん、隠れマニアかよ。本編では単に煙の雲でできたヘビで、相手を拘束しただけじゃったが」

セイリュウ「うむ、宝太郎の戦闘スタイルは、とにかく戦士らしく攻撃能力と物理防御に特化して、あまりケミーの特殊能力を駆使したバトル活用は得意ではないと思われ」

ジュニア「ケミーとは仲良く付き合えても、その能力を細かく研究はしていないみたいですねえ」

ヒノキ「その辺に詳しいのは、錆丸先輩じゃろう。ケミーの特殊能力について、錆丸先輩が講義をしてやるといいのではないだろうか?」

ゲンブ「というか、そういうのを教えるのはミナト先生の役目ではなかろうか? あの人は、どうも錬金術についてアカデミーで講義している姿を見たことはないでござるが」

ジュニア「アカデミーとは名ばかりで、単にケミー回収のボランティア活動しかしていなかったですね」

セイリュウ「昆虫研究のアカデミーが、昆虫採集しかしていなかったようなものか」

ヒノキ「まあ、ミナト先生は錬金術の専門家ではあっても、ケミーの専門家ではなかったのかもしれん。ケミーは九堂風雅が管理していて、錬金連合の中でも禁断の知識扱いされていたようにも思えるし、生物学の教授が専門は『哺乳類の捕食行動と習性から導き出される捕獲手段の開発』なのに『昆虫の大量発生による作物被害の対策』に回されて、よく分からないままにケミーキャッチャーの使い方だけは指導した……ってところか」

セイリュウ「ケミーのことは専門外だけど、現場指揮官としては有能な指揮能力と事後処理などのサポート実務を有していたと思われる。おそらく、錬金連合の中でも数少ない実践派として、現場仕事を任されがちなのかもしれん」

 

シロ「……と話が脱線していますが、ボクが言いたいのは搦め手で攻めてくる敵が増えたので、ストレートな攻撃スタイルのガッチャードだけでは対応しきれずに、次からマジェードの浄化能力、状態異常の解呪能力が必要になるだろうってことですね」

ゲンブ「確かに、ジャマタノオロチの石化能力やムーンマルガムの影を利用した翻弄には太刀打ちしにくかったでござるな」

シロ「マジェードは、劇場で示した太陽とユニコーンの基本フォームに次いで、今回の月と次回のケルベロスの力を使いこなすみたいなので、眠りと覚醒の技も使えそうです」

ヒノキ「マジェードは宇宙と幻獣の力の専門家といったところじゃな」

シロ「そして、D&Dのアルケミストはその能力としてはガッチャードよりも、マジェード寄りなのではないか、という話の流れなんですね」

ジュニア「ええと、癒し系ってことですか?」

シロ「アーティフィサーが素の状態で使える回復呪文は、キュア・ウーンズ(レベル1)とかそれなりにあるのですが、D&Dのキュア・ウーンズは接触呪文なので、離れた相手には使えませんし、集団回復呪文も持っていないので、回復の専門家とは言い難い。

「しかし、レベル3でアルケミストになると、遠距離回復のできるヒーリング・ワード(レベル3)や集団を回復できるマス・ヒーリング・ワード(レベル9)を使えるようになって、さらにレベル5になると錬金術碩学という特徴を習得して、回復ダイスや一部の呪文の攻撃ダメージダイスにボーナスが加算されます」

ゲンブ「なるほど。回復を中心に呪文使いとしての能力が高まるのでござるな」

シロ「さらにサブクラスにアルケミストを選択することで、アーティフィサーは以下の特徴が付いてきます」

 

  • レベル3:「道具習熟(錬金術用品)」「回復や毒、酸、炎属性などの追加呪文」「試作型エリクサー」
  • レベル5:「錬金術碩学
  • レベル9:「回復の秘薬」
  • レベル15:「化学奥義」

 

ヒノキ「なお、アーティフィサーの素の特徴は以下のとおりで、これにサブクラスのアルケミストの能力が合わさってくるシステムじゃ」

5版アーティフィサーの能力

 

●レベル1

・魔法の小発明:超小型サイズの物品に以下の魔力のどれかを付与できる。

 「明かり」「録音メッセージの再生」「匂いや音を放つ」「視覚的効果の投影」

 

・呪文発動:最大5レベルまでの専用呪文を発動できる。

 

●レベル2

・魔具化:アイテムに各種の魔法効果を付与できる。

 

●レベル3

・仕事道具作成:作業に必要な道具を自力で魔法的に生成できる。

 

●レベル6

・道具習熟強化:道具習熟のボーナスを2倍にできる。

 

●レベル7

・天才のひらめき:自分や仲間の能力値判定やセーヴィング・スローに、知力ボーナスを与えて成功率を上昇させる。

 

●レベル10

・魔法のアイテムの名匠:同時に同調できるマジックアイテムの数が通常の3から4に増え、コモンおよびアンコモンのマジックアイテムの作成にかかる時間が通常の4分の1、金銭費用が2分の1になる。

 

●レベル11

・呪文蓄積アイテム:武器や職人道具に1〜2レベル呪文を封じておき、誰でも発動可能にできる。

 

●レベル14

・魔法のアイテムの碩学:同時に同調できるマジックアイテムの数が4からさらに5に増え、クラスや種族、レベルなどの制限を越えて全てのマジックアイテムを使用できるようになる。

 

●レベル18

・魔法のアイテムの達人:同時に同調できるマジックアイテムの数が5からさらに6に増える。

 

●レベル20

・技術魔法の神髄:マジックアイテムとの絆を構築し、同調しているマジックアイテムの数だけST判定にボーナスを得る。また、HPが0になったけど死ななかった際にも、アイテムの魔具化を1つ終了することで、HPを1にして意識を失うことを免れる。

 

セイリュウ「アーティフィサーのレベル3特徴『仕事道具作成』は、前回のガッチャードでも再現していたな」

シロ「自分の変身アイテムや強化アイテムを自分で作成できるのは、科学者ヒーローか、錬金術師ヒーローならではの特徴でしょうね」

ゲンブ「ウルトラマンガイアの高山我夢も、アルケミー・スターズ出身でござったからな」

ヒノキ「考えてみれば、ガイアとガッチャードの脚本家は長谷川圭一さんで共通しているのう」

セイリュウ「おお、つまりガイアのエッセンスは、ブレーザーだけではなく、ガッチャードにも引き継がれていると考えられるわけか」

ヒノキ「その意味では、ガイア26話に登場した巨獣ゾーリムの後継が、ガッチャードのジャマタノオロチと考えることもできよう」

 

試作型エリクサーの話

 

シロ「D&Dの研鑽をしているつもりが、何故かガッチャードだけでなく、ウルトラマンガイアの話にまで寄り道してしまうなんて」

ヒノキ「まあ、アルケミストと特撮というテーマだと、そうつながるのもやむを得んが、とりあえず話を続けよう。アルケミストは、薬の専門家ということで、エリクサーを作ることができるのじゃな」

シロ「ええ。手元に空きビンと錬金術用品があれば、大休憩のたびに1回分のエリクサーを製作できます。また、呪文スロットを1つ消費するごとに、作る量を1回分ずつ増やせますし、6レベルで2本、15レベルで3本を作れるようにもなります」

ジュニア「大休憩って、8時間ですよね」

シロ「ああ、1日1回、睡眠を含めた休憩だな。一般的には、朝起きたらHPと呪文スロットが完全回復し、また一部の特殊能力の使用回数も回復する。そして、アルケミストは1日最低1本の薬を製作して、冒険の準備を整えることができるんだ」

ゲンブ「ただで薬を作れるのでござるか。それで商売もできるのでは?」

シロ「薬の使用期限は、次の大休憩をとるまでですから、1日しか保ちませんよ。あくまで、自分か仲間が使うためであって、保存は効かないのです」

セイリュウ「で、どんな効果なのだ? まさか抗核バクテリア入りドリンクということはないだろうな」

ヒノキ「D&Dの世界に、そういう単語があるわけないじゃろう。まあ、DMが独自に『D20ゴジラ』とか作れば別じゃが」

ジュニア「実は、ネット上にあるんですよ。『D20 東宝ユニバース』と『GURPS GODZILLA』が。海外のファンの熱意は凄いですね」

ゲンブ「ほう、D20(D&D)では、ゴジラのみならず、ガメラやレギオン、イリスのデータも作られておるとは素晴らしいでござるな」

シロ「でも、シーサーはないですね(涙目)」

セイリュウ「ざっと内容を読んだところ、GURPSの方は、あくまで昭和と平成VSシリーズの世界観を総括して、その世界の人間をプレイするシステムらしいな。一方、D20は怪獣を神として祀るファンタジー世界Janjira(東宝怪獣の世界観を土台に再構築)を舞台に、怪獣の眷属の人々をプレイする内容っぽい」

ヒノキ「つまり、ゴジラ教とガメラ教とラドン教とモスラ教の信者が、それぞれ自分の神のために戦う世界観じゃと?」

セイリュウ「う〜ん、アラインメント的にゴジラニュートラル(中立)で、ガメラモスラニュートラルグッド、ラドンはカオティックニュートラルで何をしでかすか分からん、とある」

ヒノキ「何をしでかすか分からんとは失敬な。じゃが、敵はイーヴィル属性の連中と思えばいいのじゃな」

セイリュウ「イーヴィル派閥は、キングギドラデストロイア、スペースGのほか、平成モスラ平成ガメラの敵怪獣が設定されておる。とにかく、怪獣神とその信者の織りなすファンタジー世界ということは、ルーンクエストみたいなプレイイメージであろうか」

ヒノキ「システムやデータ、世界観だけでは、プレイヤーが何をしていいのか分からぬからな。せめて、サンプルシナリオでもあれば、ストーリーの方向性が分かるものを」

セイリュウ「一般的なD&Dのイメージで考えるなら、ゴジラ神を信奉するバーバリアンと、ガメラ神を信奉するパラディンと、モスラ神を崇める詩人にして魔法使いと、ラドン神に仕えるドルイドがパーティーを組んで、ギドラ神を復活させようとする狂気の竜王の野望を止めるために、冒険するような物語に見えてくる」

シロ「そういう神さま怪獣(神獣)のために戦う設定なのに、琉球の守護神のシーサーのデータが用意されていないのが理不尽です!」

セイリュウ「いや、世界観のメインが平成VSシリーズなので、旧メカゴジラFINAL WARSには、デザイナーがあまりこだわらなかったのではないか?」

 

ヒノキ「まあ、明らかに話がおかしな方向に脱線している。エリクサーの話はどうなったのじゃ?」

シロ「エリクサーは、抗核バクテリアでも、オキシジェンデストロイヤーでも、パシフィック製薬の作った薬パシンでもありません。その性能は以下の6通り」

 

  1. 治癒:HPが2D4+作り手の知力ボーナス分、回復する。
  2. 俊足:1時間、歩行移動速度が10フィート増加する。
  3. 弾性:10分間、ACに+1ボーナス。
  4. 勇敢:1分間、攻撃ロールやST判定を行うたびにD4を加えることができる。
  5. 飛行:10分間、飛行移動速度10フィートを得られる。
  6. 変化:10分間、オルター・セルフ呪文と同様の変身ができる。水中適応や外見変更、肉体武器(牙や爪、角、トゲなど)の生成が可能。

 

シロ「以上の効果をランダムに決定します」

ゲンブ「ランダムでござるか」

シロ「ええ。朝起きたら、日課としてエリクサーを作ってみる。試作型なので、どういう効用かはアルケミストにも分からない。作ってみてから、効用を知るんですね」

セイリュウ「飲んだときにランダムで効果が決まるのではなく、作ったときに効果が分かるのなら、まだ使いやすいかもしれんがな。それでも狙った効果が自由に選べないのでは、使い勝手悪いと思うが」

シロ「呪文スロットを消費して、追加のエリクサーを作る際は好きな効果を選べるそうです。まずはランダムに作ってみて、欲しい効果のエリクサーが出なければ、呪文スロットを消費するといいのでは?」

ヒノキ「治癒で言えば、キュア・ウーンズの効果がD8+知力ボーナスじゃから、エリクサーと言っても、劇的に効果が高いわけではないようじゃのう」

ゲンブ「勇敢や飛行が美味しいように見える。変化の水中適応も、状況によっては重宝するかも知れんでござる」

シロ「とにかく、レベル3でアルケミストになったばかりのキャラは、試しにエリクサーを作って、ちょっとした効果を自分や仲間に与えられるようになるわけです」

ジュニア「試しに作ってみたら、こんな薬ができたので、誰か飲む? って感じですかぁ」

ヒノキ「朝のお薬精製タイムというのは、実用よりもロールプレイ的に楽しそうじゃな」

 

回復の秘薬

 

シロ「レベル5特徴の錬金術碩学で使用呪文の効果を高めるボーナスを獲得した後、次はレベル9で『回復の秘薬』という特徴を習得します。効果は次の2点ですね」

 

  • 試作型エリクサーに、2D6+作り手の知力ボーナス分の一時的HPを与える効果を付与。
  • 術者がレッサー・レストレーションの呪文を、1日に知力ボーナスの回数だけ使用できる。

 

シロ「レッサー・レストレーションは、レベル2呪文でアーティフィサーがレベル5になれば使えるようになるわけですが、9レベルのアルケミストは呪文スロットを消費したり、準備していなくても、毎日数回は使用できる、と」

ジュニア「レッサー・レストレーションって、どんな効果ですか?」

シロ「病気や毒、麻痺、盲目、聴覚喪失といった状態異常を1種類終了させられる」

ジュニア「それは癒し手として有能ですね」

セイリュウ「石化に対しては、無力らしいな」

シロ「それは、より高位な呪文のグレーター・レストレーションが必要になりますね。そちらですと、石化や呪い、魅了、能力値減少などの効果も癒せます。レベル5呪文なので、アーティフィサーは17レベルにならないと使えないのですが。クレリックだと、9レベルで習得できるんですけどね」

ヒノキ「さすがに高位呪文になると、アーティフィサーも回復の専門家には及びにくいと言うことじゃな」

シロ「神の奇跡を、薬品や錬金科学の力で代用するのは簡単ではないってことですね。アーティフィサーは複合職なので、呪文の習得スピードは専門家の半分になるのはやむを得ない、と」

 

化学奥義

 

シロ「さて、アルケミストのレベル15特徴が『化学奥義』ですが、これは以下の2つの能力です」

 

  • 酸と毒ダメージに対する抵抗を得て、毒の状態異常も無効化する。
  • グレーター・レストレーションまたはヒールの呪文を、1日1回発動できる。

 

シロ「本来はアーティフィサーがレベル17にならないと習得できないグレーター・レストレーションを、レベル15でいち早く使えるのがアルケミストですね。さらに、ヒールが使えるのが凄い」

ジュニア「ヒールってのは、どんな呪文ですか?」

シロ「本来、アーティフィサーが使えない6レベル呪文なんだけど、アルケミストはそれを発動できる。その性能はHPを70点回復するとともに、レッサー・レストレーションの状態異常回復効果をもたらす。さすがは化学の専門家の奥義といったところです」

ヒノキ「神の奇跡であれば、レベル11でそれが可能になるんじゃがのう」

シロ「だから、人間の叡智が神の奇跡に追いつこうと頑張っているのが錬金術じゃないですか。そんなに神の奇跡が欲しいなら、アルケミストではなく、クレリックになればいいだけの話です」

ヒノキ「まあ、ガッチャードでは鎧武やギーツに勝てないってことじゃのう」

シロ「だけど、アルケミストはギリギリまで戦って、ギリギリまで踏ん張って、それでも人間の力じゃ太刀打ちできないときに、ウルトラマンの力が欲しいって物語ですからね」

ヒノキ「うむ。ウルトラマンと言えば、デイブレイクの声がかつてはウルトラマンゼロにも変身したDAIGOさんだったし、ウルトラとライダーの役者コラボは、それだけで燃えるのう」

セイリュウ「その通り。仮面ライダーハートがブレーザーになったり、仮面ライダーアマゾンアルファおよびファルシオンが未来のウルトラマンデッカーになったり、燃えるコラボは今でも見られるものよ」

 

アルケミストクレリックに対する優位

 

シロ「まあ、アルケミストはアーティフィサーのサブクラスの中でも、最も回復能力に秀でているってだけで、そもそも回復の専門家のクレリックと同じ土俵で勝てるわけがないじゃないですか」

ヒノキ「確かに、仲間にクレリックがいる場合、アルケミストをサブクラスに選ぶ旨みはあまりないと思うのう。仲間にできない仕事をできるからこそ、役割分担の美味しさがあるのであって」

セイリュウ「アーティフィサーの本来の仕事は何だ?」

シロ「ええと、仲間のためにマジックアイテムを作ることですね。マジックアイテムの専門家というのが売り文句で、それ以外に武器戦闘や探索任務、魔法の呪文や回復支援など、器用に何でもこなせるサポート役、と」

セイリュウ「ならば、仲間の専門分野に張り合うことよりも、仲間の足りない能力を補って、自身が主役ではなく、名バイプレイヤーとして振る舞うことが求められような」

シロ「名バイプレイヤー! そう言えば、父さんも主役として活躍したことは一度もない。ビャッコの称号は元来Byplay Acolyteを意味するもの。その後、獣の相方皇子Beast Companionの意味も付与されたけど、忍びとしては己が目立つことよりも影からのサポートに徹することが求められる。師匠、久しぶりに大切なことを思い出させていただきました」

セイリュウ「うむ。ホワイトソウルの極意は、素人だったときの初心を忘るるべからず、と解釈できようが、Byplayの中にこそ、奇襲伏兵としてのお主の本領が発揮できるのではなかろうか?」

シロ「分かりました。Byplayの道を精進していきます」

セイリュウ「まあ、Byplayは一途に精進ではなく、主役の動きに応じた柔軟さ、器用さこそが求めれるゆえ、思い詰めすぎぬ方が吉だろう。柔軟な多芸こそが、アーティフィサーの、そしてお主の持ち味なのだから」

 

儀式呪文の話

 

ヒノキ「ところで、昨年ひそかに新兄さんに頼まれていたテーマを今、思い出した」

セイリュウ「時空魔術師の頼まれ仕事だと?」

ヒノキ「うむ。この記事でアーティフィサーの1レベル呪文をあれこれ研鑽していたんじゃが……」

ヒノキ「1レベルのお勧め準備呪文の中に、ディテクト・マジックを選んでおったのじゃが、アーティフィサーにとっては、『それは儀式呪文で使えるので準備しておかなくてもいい』という意見をうかがったらしい」

セイリュウ「ふむ。ディテクト・マジックは魔力を探知する手段で、見つけた宝の中にマジックアイテムがないかとか、部屋の中に魔法の仕掛けがないかとか、NPCの身に着けている装備や装飾品に魔力がいっぱいギラついていれば大物っぽいと推察できるとか、いろいろ活用できる便利呪文だ。魔法使いなら当然、習得していて然るべきだろうがな」

ヒノキ「D&Dの場合、ウィザードは呪文書に記載されていない呪文は準備することもできないので、ディテクト・マジックは当然、記載習得の候補に挙げられよう。しかし、アーティフィサーの場合は、クレリックなどと同様に、呪文を習得しなくても、該当レベル以下の呪文は全て選択可能。後は準備呪文を選ぶだけの話であるが、一部の儀式呪文は準備しなくても使える仕様になっているのじゃ」

シロ「ええと、儀式って準備が必要でややこしそうなんですけど?」

ヒノキ「4版と5版で儀式呪文の意味も変わっておって、少し勘違いもあったようじゃ。4版の魔法使いは、戦闘中に使えるパワーとして呪文を使う。必然的に、呪文の多くは戦闘での使用を前提としたものとなり、それ以外の探知や交信、長距離移動系などが儀式呪文として、別のルールで用いられる」

セイリュウ「戦闘用のパワー呪文と、非戦闘用の儀式呪文に分かれるのだな」

ヒノキ「基本的に戦闘ゲームに特化した4版ならではの区分じゃな。しかし、5版では儀式呪文の意味が変わった。通常呪文は基本的に準備していないと使えないが、儀式に分類される呪文は『10分間の儀式を行うことで、呪文スロットを消費せずに、準備も必要なく使える』となっている」

セイリュウ「つまり、ディテクト・マジックは儀式呪文だから、わざわざ準備していなくても、ちょっとした手間をかけるだけで、ただで使えるということだな」

ヒノキ「どうせ戦闘中に使う機会の少ない呪文だから(敵の持っているマジックアイテムにとっさに目星をつける局面でない限り)、見つけた宝の中のマジックアイテムを調べるだけなら、10分ぐらい手間をかけてもいいだろう、と。5版のディテクト・マジックはそうやって使っている魔法使いも多い、とのこと」

セイリュウ「時空魔術師はそのことを知らなかったのか?」

ヒノキ「恥ずかしながら……と言っておったな。昔は、そういうルールもなかったし、新たな儀式呪文のルールを読んでも、さらっと読み流しただけで、それを実プレイでどう活用するかまでは想像力が働かなかったらしい。他サイトのD&D呪文解説とかを見て、『ああ、今のディテクト・マジックは儀式呪文で使えるから、わざわざ準備しなくてもいいのかあ。目から鱗が落ちた』と学んだとのこと」

セイリュウ「ルールブックをただ流し読みするのと、実践活用まで意識して読むのとでは、理解の差があるということだな」

ヒノキ「それと、自分一人では解釈しきれなかったものを、他人の解釈を知ることで理解に幅が出るということもある。趣味のジャンルでも、視野を広げ深める機会は大事にしたいところじゃ」

シロ「で、アーティフィサーは儀式呪文が使えるわけですね」

ヒノキ「うむ、D&Dでは呪文を使える職業がサブクラスも含めると結構あるが、その中でも儀式の形で呪文が使えるのは、ウィザード、クレリックドルイド、バードに加えて、アーティフィサーじゃ。ウォーロックソーサラーパラディン、レンジャーは呪文を儀式の形で活用する方法を学んでいない」

シロ「その意味では、アーティフィサーも呪文の専門家たり得るわけですね」

ヒノキ「というか、知識としてしっかり学んでいるということじゃな。ウォーロックは契約相手から授かった力じゃし、ソーサラーは感性で呪文を使っている。理論的な裏付けがあるわけではないので、定式的な作法で呪文の魔力を集める儀式というものは分かっていない」

ゲンブ「TRPGのプレイヤーでも、ルールブックをしっかり読み込む派と、自分のキャラに関係するところだけ、つまみ食い的に読む派と、ルールはGMや他のプレイヤーから聞くだけで、ダイスの振り方とか見よう見まねだけでプレイに参加する派に分かれるでござるからな」

ヒノキ「いや、ルールを読むだけで、実プレイはしていない派閥もあるじゃろう。机上の空論だけで、実践運用の経験が足りていないとか、意外な見落としに後から気づいて、遅まきながら学ぶとか」

セイリュウ「まあ、己の過ちや解釈ミスに気づいて改めるのは、実践に接しているゆえであろう。実践に触れなければ、過ちに気付くことすらないのだから。試行錯誤とはそういうものだ。さて、わしもしばらく実践や研鑽から離れておるが、次はアーティラリスト(砲術士)について、語らせてもらうとするか」

ジュニア「アーティラリストって、どういう職業ですか?」

セイリュウ「アーティフィサーのサブクラスの中で、最も遠距離戦闘に長けた攻撃呪文なんかの専門家らしい。一撃必殺の火炎放射や爆発や砲撃などに興味があるなら、お勧めクラスと言えよう」

ジュニア「それは、しっかり学んでいきたいです。竜の一族としては、ブレス攻撃ができることが一人前の証ですからねぇ」

(当記事 完)