久々の魔法研鑽のとき
ヒノキ「今回は、ソード・ワールドの魔法サプリメント『メイガスアーツ』に合わせた魔法研鑽を行うのじゃ」
シロ「メイガスアーツは昨年10月発売のサプリ。魔神ハンター第3部完結の際に、チラッと触れましたね」
ヒノキ「影響しそうなのは、G太郎の魔動機術の追加魔法と、ホリーの深智魔法ぐらいじゃがな。一応、研鑽記事を書いておくと、自分に何ができるかの確認ができて、シナリオプレイ中のアイデアも出やすくなるじゃろう」
ゲンブ「アイデア出しのためには、頭の中にある知識や情報を目に見える形にアウトプットして、整理できるようにするのが有効でござるからな」
リトル「リウは今回、質問役に回りますぅ」
ヒノキ「では、早速、研鑽タイムに移るのじゃ」
追加された魔動機術(レベル3まで)
ゲンブ「前の魔動機術話は、こちらでござるなあ。今回は、追加された6つの術をチェックするでござる」
リトル「各レベルで2つずつですねぇ」
ゲンブ「まず、1レベルは【シグナル・バレット】と【サウンド・ボム】でござる」
リトル「前者は信号弾ですかぁ?」
ゲンブ「その通り。信号弾は1ラウンド(10秒)の間、激しく輝いて目印になる他、敵に命中させると目くらましで行動に−2のペナルティーを与えることも可能。後者は爆発音などの短い音を発する爆弾で、映画作りのSE(サウンド・エフェクト)などで役立てることができる。過去に聞いた動物の鳴き声や、扉のバタンと閉じる音、あるいは呼び鈴やノックの音、鎧のガシャガシャ鳴る音などで、相手の気を引きつけたりもできるのでござるよ」
リトル「光と音で小細工ができるんですねぇ」
ゲンブ「今のレベルでこの程度の小細工が必要になるとも思えぬが、冒険中に何か思いつけば試してみるやもしれぬ。続く2レベルでは【サウンドレコーダー】と【シャドウボディ】が加わった。前者は録音再生装置で、後者は回避力+1の自己補助が可能でござるが、昔ならありがたいと思ったものの、今は十分回避能力が成長したでござるからなあ」
リトル「確かに、G太郎師匠が避けられないような敵は見たことがないですねぇ」
ゲンブ「弟子たちのレベルに合わせた格下の敵としか戦っていないからなあ。今後、弟子が強くなったら、そういう敵が登場するのでござろうか」
リトル「録音再生装置は、映画作りや舞台芸術、単純に趣味の音楽鑑賞でも役立ちそうですねぇ」
ゲンブ「他にも会話内容も録音できるから、TRPGのリプレイ作りや、記者として取材するような仕事なら有効だし、お笑い芸人だと自分の話芸を録音して、聞き直しながら笑いの間や話のテンポを研究するのに有効」
リトル「デルのハーモニカを録音するってのはどうでしょうかぁ?」
ゲンブ「レベル1バードの芸なぞ誇れるものではないゆえ、もっと精進をせねば、人様に披露できるものでもなかろう」
リトル「くっ、芸事の精進よりも本業の神官戦士としての修行を優先するですぅ」
ゲンブ「3レベルでは【ティアガスバレット】と【グルー・ボム】。前者は催涙弾を発射し、行動に−2ペナルティーを与える毒属性の効果。後者は転倒状態の相手が起き上がるのを、粘着液で阻害する。どちらもサポート魔法という奴で、メインアタッカー向きではない」
リトル「でも、師匠だって《マルチアクション》の特技があるんだから、サポートしながら攻撃はできるんじゃないですかぁ?」
ゲンブ「それにしても、バレット系の魔法は銃器で攻撃を命中させないといけないので、そのためのシューター技能を持たないG太郎には、無用の長物。ボム系は普通に使えるが、【グルー・ボム】は相手を転倒させられる『投げグラップラー』との組み合わせが有効。しかし、G太郎は投げではなく、『蹴りグラップラー』の道を進んでおるゆえ、今から戦闘特技《投げ強化》を習得するのもどうか、と思う」
リトル「投げグラップラーは、敵を投げて転倒させて、以降の仲間の攻撃を当てやすくするサポートアタッカーですねぇ。師匠が投げて、デルが追撃するようなコンボはどうでしょうかぁ?」
ゲンブ「投げグラップラーは、レベル5で戦闘特技《踏みつけ》と組み合わせて真価を発揮する。そういうコンボを狙うなら、もっと早い時期にするべきでござった。職業技能はいくつでも取れるが、戦闘特技は習得数に制限があるゆえ、何を選択するかはじっくり考慮しなければならぬ」
リトル「師匠はレベル9になったら、何の特技を選ぶつもりですかぁ?」
ゲンブ「最近は、敵が固くなって来たように感じるから、近接攻撃1回だけ相手の防護点を半減させる《鎧抜き》がいいと考える。あるいは、単純にダメージアップに通じる《武器習熟S》という手もござるが」
リトル「なるほどぉ。少しでも与ダメージを高める方向での成長ですねぇ」
ゲンブ「先に相手を倒せば、防御など考えなくていいからなあ」
リトル「ガメラの眷属とは思えない言葉ですぅ」
ゲンブ「ガメラと言えば、次の成長は空が飛びたいので、エンハンサーの練技【ワイドウィング】がいいかな、と考えておる」
深智魔法の再確認(レベル1)
シロ「さて、次はボクの番ですけど、深智魔法って以前、新星さまが行っているんですよねえ。こちらの記事で」
ヒノキ「2.0版の魔法サプリ『ウィザーズ・トゥーム』の掲載分じゃな。今回、『メイガスアーツ』にて2.5版にアップデートされたが、基本的には深智魔法に大きな変化はないと思われ」
シロ「小さな変化はあるかもしれないのですね」
ヒノキ「それを確認するための研鑽タイムなのじゃ」
シロ「分かりました。では、まず1レベルから。【ウィザード・サイン】【キャントリップ】【バランス・ウェポン】の3つですね。順に、術者のサインを記す呪文、ちょっとした幻覚を見せる呪文、相手の攻撃力を減らして味方の攻撃力を高める呪文なんですが、データ的には新旧ともに同じ。しかし、大変なことに気付きました」
ヒノキ「何じゃ?」
シロ「【ウィザード・サイン】の使い方です。昨年の妖精郷のリプレイでは、新星さまがこのような使い方をしていました」
ヒノキ「ああ、ダイ大のドラゴンの紋章を見て、マネをしたくなったので、『【ウィザード・サイン】を自分の右手の甲に使って、光の紋章だと言い放った』厨二病チックなプレイじゃな。それをしたのは、厳密には新兄さんではなく、そのメモリを持った分身2009バージョンとのことだが、まあ、その点はどっちでもいい。要は、その使い方はありなのか? という指摘じゃな」
シロ「ええ。【ウィザード・サイン】は術者の名前あるいは称号しか署名できないとあります」
ヒノキ「そうじゃな。この呪文で、他人の名前を勝手に刻んで、詐欺まがいの行動は行えないようになっている。つまり、殺人事件の現場の凶器に、他の人間の名前を【ウィザード・サイン】で刻みつけて、この魔法使いが犯人だと濡れ衣を着せるようなことは不可能じゃと」
シロ「そういう悪用はともかく、【ウィザード・サイン】で刻んだ名前がドラゴンの紋章のように見えるって、ありなんでしょうか? 拡大解釈しすぎなのでは?」
ヒノキ「では、これをどう見る?」
シロ「アラビア文字ですね」
シロ「おお。古今東西、いろいろな文字があるのですね」
ヒノキ「象形文字や絵文字などは、上手く配列すると紋章のように見えるやもしれぬ。あるいは、サイバ☆リオンは作家設定じゃから、独自のサイン表記を編み出していて、それが紋章のように見えるのだ、とプレイヤーが言い張れば……まあ、GM次第ではあるが、その言い分を認めねばならぬやもしれぬ。我々は、ラクシア世界の魔法語である真語の全容を知る立場ではないゆえ、それがどのようなデザインをしているかは卓のGMとプレイヤーの自由に任されるであろう。まあ、公式に真語の文字体系が発表されて、どう見ても紋様には見えんということが確定したら、話は別じゃが」
シロ「なるほど、ルーン文字を適当に配列することで、紋章のように見せることも可能と言われれば、説得されそうなボクもいます。そういうことであれば、ボクのホリーも同じようなプレイをしても構わないでしょうか?」
ヒノキ「何に名前を刻みつけると言うのじゃ?」
シロ「もちろん、イノセントの装備品です。ビッグホーンに刻まれたホリー紋様が光り輝いて、聖なる力を帯びるというのは格好良さそうじゃないですか」
ヒノキ「言っておくが、実際に何かの効力を発揮するわけではないぞ。あくまで、雰囲気だけの紋様じゃ」
シロ「しかし、プレイヤーが強く主張すれば、面白いと思ったGMがノリに乗って、何らかの追加効果を与えてくれる可能性はゼロじゃない」
ヒノキ「強く主張したいのなら、ルールを恣意的にねじ曲げるのではなく、ルールをきちんと理解した上で、それが自己のわがままではなく、ゲームプレイをも面白くすることを相手に納得させた上での話となる。よその卓のノリをそのまま自卓に持ち込むことが許されるのは、GMとプレイヤーの共通の価値観や信頼性に基づいていることを忘れるな。ルールの運用はGMの専権事項であるからして、【ウィザード・サイン】に術者の名を刻む以上の特殊効果は、プレイヤー側から要求しても通らんのが普通。あくまで演出以上の効果はないというのが、真っ当な裁定と判断する」
シロ「分かりました。次に【キャントリップ】ですが、ホリーってレプラカーンなんですよね」
ヒノキ「何じゃ、唐突に? 自分の種族を忘れたのか?」
シロ「いや、ミストグレイヴでは女バルカンの姿になっているから、プレイしていて、自分がレプラカーンだってことをついつい忘れてしまうんですよ。レプラカーンって、いたずら妖精のイメージがあるじゃないですか?」
ヒノキ「ファイティングファンタジーの『バルサスの要塞』に出てくるオシェイマスなどで、オールドゲーマーには有名な事実じゃぞ」
シロ「だったら、この【キャントリップ】の幻影効果って、いたずら妖精にとって美味しい呪文じゃないですか。どうして、今まで使わなかったんだろう?」
ヒノキ「イノセントに現を抜かしておったからじゃないかのう?」
シロ「うっ、否定できない。とにかく、MP1点で使える幻覚って使いこなすと面白いと思うんですよ」
ヒノキ「まあ、そう思うなら、試してみるといい。どんな幻覚を見せてくれるのじゃろうな?」
シロ「イノセントが虎の姿になるとか?」
ヒノキ「あくまで自分の至近距離で10秒だけじゃ。騎獣の姿を変えるのは対象外と判断する」
シロ「だったら、ホリーの顔が虎になるとか?」
ヒノキ「それはOKじゃ。10秒だけじゃがの。まあ、実際の効果はないが、相手をちょっぴりビックリさせるぐらいの意味はあるじゃろう」
シロ「ホリーの顔がヤーハッカゼッシュになるとか?」
ヒノキ「それはさすがに不敬罪で処罰されそうじゃな」
シロ「とりあえず、【キャントリップ】の面白い使い方を考えておきます」
シロ「レベル1深智魔法の最後の1つ、【バランス・ウェポン】は上手く使えそうにありませんね」
ヒノキ「使いこなせば、敵の攻撃力を下げて、味方を強化できる強い呪文なんじゃがのう」
シロ「今の魔力4じゃ、相手の抵抗を抜ける自信が全くありません。これを使うぐらいなら操霊魔法のエンチャントで確実に味方を強化しますよ」
ヒノキ「確かに、レベル6の敵キャラに対して、レベル2の術師の魔力で抵抗を抜くのは困難じゃのう。抵抗されて消滅する系の呪文は、まず役に立たんじゃろうな」
シロ「それが通用する程度の敵なら、攻撃力を下げる意味もないですしね」
さらなる深智魔法(レベル2)
シロ「レベル2は【タフパワー】【ロックオン】【バッドイメージ】ですが、この中で一番扱いが難しいのは、やはり【バッドイメージ】ですか。本当にどう使うのか理解に苦しみます」
ヒノキ「ストーカーに付きまとわれているときに、追い払う呪文じゃ」
シロ「ああ、なるほど。引きこもり研究生活を満喫したい魔法使いが、望まぬ来客に煩わされたくない時に使うような呪文だったのですね。お客さんを歓迎したいなら無意味ですが、嫌な人間に絡まれて、本当に迷惑を感じているときに、ピリピリした雰囲気を醸し出す際には非常に有効だと」
ヒノキ「2年前には、新兄さんもそこまで実感するようなことはなかったのじゃが、昨年の経験によって、この呪文の価値を認識するようになったようじゃ。これも何らかの成長と言えるかのう」
シロ「そういう嫌な経験に対処するには、【タフパワー】の呪文が有効そうですね」
ヒノキ「生命抵抗力と精神抵抗力を同時に+2できるので、毒や病気に加えて、呪文などの多彩な攻撃を仕掛けてくる強敵に対して、非常に心強い呪文じゃ。1ラウンドめは【カウンター・マジック】で精神耐性強化、2ラウンドめは【バイタリティ】で生命耐性強化というバフの段取りを1度にこなすので、支援役魔法使いとしての行動迅速性が何よりも魅力と言えよう」
シロ「まあ、うちはG太郎が面倒な相手を瞬殺してくれるので、じっくり防御体制を整えて……という戦闘はして来なかったんですけどね」
ヒノキ「やられる前にやれ、のゴリ押しで十分に突破可能じゃったからのう。これまでは」
シロ「G太郎でさえ瞬殺できないレベルの敵が出てくると、相手ターンの激しい反撃に対処しないといけない局面も出て来そうですし、敵の面倒な特殊攻撃に対する【タフパワー】は非常に使いでのいい呪文になるわけです」
ヒノキ「そして、最後に【ロックオン】じゃが、これは随分と使いやすいように改変されたのう」
シロ「戦闘特技《ターゲッティング》の効果を一時的に付与する呪文なので、それを持っているキャラには無意味なんですが、ホリーは持っていなかったので、この呪文の恩恵が大きいです」
ヒノキ「念のため、《ターゲッティング》の意味を説明すると、味方が敵と乱戦しているところに外から飛び道具や射撃呪文を撃つと、味方に誤射する可能性がある。前衛で味方が戦っているときに、後衛から射撃するのはリスクが大きいが、そのリスクを取り消すのが戦闘特技《ターゲッティング》なのじゃ」
シロ「2.0時代は、魔法用の《魔法誘導》と遠隔武器用の《精密射撃》に特技が二分されていましたが、2.5になって二つが統一化。これによって、弓矢持ち魔法使いが使いやすくなったわけですね」
ヒノキ「あるいはマギテックシューターが、別の呪文系統に手を伸ばすのも実用レベルで考えられるようになった。とにかく呪文であれ武器であれ、後方から射撃するキャラは《ターゲッティング》の修得が必須なのじゃが、ホリーのように前衛で戦うことを意図した魔法戦士は《ターゲッティング》を未習得なケースも多い」
シロ「同じ乱戦エリア内では誤射しませんからね。前衛で戦う魔法戦士は乱戦中に魔法を使えばいい」
ヒノキ「逆に魔法戦士キャラが後衛から魔法を使おうとして、《ターゲッティング》がないから迂闊な攻撃呪文は使いにくいというジレンマがある」
シロ「そこで【ロックオン】があればジレンマが解消される、と。ただし、2.0時代は使いにくい魔法でした。『MP4点消費。敵に抵抗されると効果消滅。使用は主行動』ということで、まずは1ラウンドかけて【ロックオン】しないといけないので、速攻性に欠ける上、確実性にも欠けるという残念要素が大きいわけで」
ヒノキ「しかし、2.5でアップデートされた新生【ロックオン】は、消費MPが3点に減少。敵には抵抗されない必中効果。そして何よりも補助行動で使用できるようになったので、他の攻撃呪文を即座に撃ち出し可能。速攻性、確実性が保証され、しかも省エネ仕様と、高性能エアコン並みの進化を感じさせてくれる」
シロ「この呪文があるからこそ、ホリーもわざわざ戦闘特技《ターゲッティング》を習得する必要がなくなり、戦況によって前衛と後衛を自在にシフトできるようになったわけですね」
おまけ
シロ「ところで、アリナ様。先程、深智魔法に大きな変化はないと仰っていましたが、一つ見つけましたよ。重大な違いって奴を」
ヒノキ「ほう。それは何じゃ?」
シロ「5レベルにあった【インスタント・アンデッド】が3レベルに下がりました」
ヒノキ「それはまあ、元の操霊魔法の【クリエイト・アンデッド】が5レベルから3レベルに下がった影響じゃろう」
シロ「そこで5レベル深智魔法に一つ追加分として【ディフェンス・マスター】が新しく掲載。これは真語魔法5レベルの【ウェポン・マスター】の防御バージョンで、防御系の戦闘特技を一時的に習得させるもので、《かばう》を持たない戦士が仲間を庇えるようになったり、仲間の足りない特技を補うことができますね」
ヒノキ「なるほど。新たな呪文の発見は、その呪文の使い勝手の吟味なども含めて、いろいろワクワクさせてくれるのう」
シロ「そうですね。自分が新たに身に付けた技、将来に身に付けられそうな技は、どのように使うか想像すると楽しいです。料理人が新たなレシピ、新たな食材、新たな調味料に出会えて喜ぶように」
ヒノキ「自分をワクワクさせてくれる新発見、あるいは新たな経験にワクワクできる自分を大切に生きていきたいものじゃのう」
(当記事 完)