今回で終わる予定のバード話
NOVA「予定の4倍ぐらい、吟遊詩人の話に時間をかけてしまっているな」
ヒノキ「そりゃあ、AD&D初版からの長い歴史を踏まえつつ、MERPとか、バーズテイルなどのコンピューターゲームまで言及していたら、話も長くなるじゃろう」
シロ「レンジャー同様の複合職ですから、切り口も多いでしょうしね」
NOVA「でも、今回でそれも終わりだ。前回語ったサブクラスについて、再確認するとこうなる」
①知の楽派:新旧PHB所収のサブクラス。技能と魔法の強化を目指した楽派で、育成自由度も高く、バードの醍醐味が味わえる。AD&D2版同様の、攻撃魔法で活躍する多芸な魔法使いタイプを目指したければお勧め。
また、5版独自の声援による支援は味方の強化に加えて、敵の妨害にも使えるようになり、相手のダイス目を下げるなどD&Dでは珍しいシステムを持っているのも特徴。
②勇の楽派:新旧PHB所収のサブクラス。魔法戦士の戦士という面を強化した楽派で、武器や鎧の強化と、攻撃回数の増加で、安心して前衛に立てるほどの接近戦闘力を持てる。また、遠距離戦でもロングボウが装備できるようになって、前に出ない運用も可能。
もちろん、専門の戦士ほどの破壊力は持たないけど、自ら戦いつつ、魔法と声援支援ができる芸達者ぶりもある他、声援ダイスをダメージ強化やAC強化にも使えるようにするとか、味方の攻防をさらに向上させるのも特徴。
ただし、魔法戦士の運用には、発動体や呪文の使用条件などを考える必要があり、装備や特技をどうするかで、ただの魔法使いよりも配慮することが多い。ただの魔法使いは、普通に魔法の発動体を持っているだけでいいのだけど、魔法戦士は武器や盾を装備しながら、発動体を扱うことに工夫がいるわけで、マルチタスクには相応の器用さ、事前準備など面倒な思考判断が伴うわけである。最適解を考えると、育成自由度は意外に低いな、と考える次第。
③踊りの楽派:新PHBで初登場となった期待の新人的なサブクラス。歌だけでなく、踊りでアイドル路線を追求か、と思わせて、実は素手戦闘(華麗なアクションで殴る蹴る)に長けた前衛武闘職。まあ、バトルフィーバーというダンス戦隊もあったし、新しいプリキュアも武闘派アイドルぶりをいきなり見せつけたし、ダンサーは体術に長けているのは間違いないか。
ルールを確認するまでは、剣の舞という方向性かと思ってましたが、そちらはすでにあったのね。とにかく、声援ダイスを自身の素手攻撃の強化に用いるので、仲間の支援は後回しになる反面、自分の戦いに仲間を伴って連携するような特徴も習得するようになって、あたかもパートナー付きのダンスを披露するように。いろいろと新基軸が面白いサブクラスです。
④惑わしの楽派:ザナサー本から新PHBに昇格したサブクラス。フェイ(妖精種族)の魅惑幻惑能力をテーマにした楽派で、心術や幻術が得意な魔法支援職。ダンサーとは違う意味のアイドルとも言える。
仲間を鼓舞して移動能力を向上させて、敵の陣形を瞬間移動的な高速機動で翻弄させる他、敵を誘惑したり命令する特徴が充実しており、心を持つ敵に強い。また、カリスマで敵からの攻撃を抑止するなど、間接的に戦場を操作するトリッキーな役回り。
⑤剣の楽派:ザナサー本収録のサブクラス。剣専門の魔法戦士で、剣を焦点具に使えるので楽器にこだわる必要がなく、二刀流をフルに活用できる。同じ魔法戦士バードの勇の楽派との違いは、ロングボウが使えないので接近戦特化になったことと、剣と魔法の同時使用ができずに融通が利かないこと。
サブクラスで習得する特徴は、声援ダイスを全て自分の剣技を強化することにしか使えないので、バードの支援能力を切り捨てて、純粋な戦士の破壊力を追求しているように見える。魔法は接近戦に入る前に自己強化するか、戦い以外で使うものを選ぶか、考慮する必要がある。
勇の楽派が仲間を支援しながら魔法も駆使して戦うバランス型の魔法戦士であるなら、剣の楽派は魔法を露払い程度と考えながら、自己の剣の道を鍛え上げることに専念する求道家のイメージがある。そして、シミターという武器のイメージからアラブ風というのが基本だが、シミター=日本刀も含む曲刀一般と解釈するなら、日本のサムライ的な解釈を持たせることも可能。草笛や尺八、竹笛を楽器としてたしなんだ東洋の剣士というキャラにもなれるわけで。
⑥ささやきの楽派:ザナサー本収録のサブクラスで、5版のバード・サブクラスにあって一番の問題児。プレイヤーキャラとして使うには、多くの問題を抱えている。
問題点その1。サブクラスの特徴が対個人専門で、精神的に追い込むものなので、非常に扱いにくい。一般にバードに求められる役割は、味方集団へのバフか、敵集団へのデバフで支援することだけど、そういうものを一切習得しないうえ、精神的な防御を施された敵には一切通じない。多くのD&Dの戦闘シチュエーションでは、多数のザコ敵か、意志力の強い単体ボスキャラと考えられ*1、この楽派の得意技が活用しにくい。せめて、恐怖をもたらす技が複数相手なら、ザコ散らしに有用なんだが。
問題点その2。変装する際に「死体が必要」とか、「闇の魔力を相手の心に注入して支配」とか、いかにも悪キャラ御用達の技が揃っていて、DM脳だと非常にワクワクするのだけど(笑)、これをプレイヤーキャラとして使うシチュエーションを考えると、シナリオを作りにくいなあ(苦笑)。死んだ人間になり済ますとかはドッペルゲンガーそのものだし*2、幻や愛情で誘惑するような惑わしの楽派と比べても、恐怖で支配するのは美しさに欠けるというか。まあ、邪悪プレイだと面白そうなんだけどね。カオスに満ちたピカレスクロマンを楽しめる層なら、いいのか。コードギアスのルルーシュみたいなキャラが作れる?
問題点その3。ダンジョンや野外では、ほぼ使えない能力のうえ、味方を支援する能力でもない。つまり、NPCとの交渉がメインのシティアドベンチャーで、隠密潜入工作が求められるシナリオで、単独調査に長けたサブクラスである。で、そんなシナリオの場合、「重要NPCを殺して、成り替わり、記憶から情報を読み取る能力」や「恐怖で人を洗脳支配する能力」で問題を解決することは、DMもあまり想定しないと思うので、邪道な裏技の類だと思う。
結果的に、D&Dの一般的なシナリオでは役に立たないうえ、その能力を想定したシナリオを作るのも難儀と思われ。キャンペーンで暗躍する敵キャラって感じかな。あるいは、ホラー調の能力を持った殺人事件専門の探偵キャラで、死者の声を聞いて、死者の恨みを晴らすために、犯人を恐怖で追い込むためだけに能力を活用する「死神」という異名を持つスタイリッシュな霊界探偵とか?*3
シロ「新星さま、何だか『ささやきの楽派』にハマってませんか?」
NOVA「設定がゾクゾクするので、TRPGよりはソロプレイ、ゲームブックの癖あるダーク主人公には向いているのかな、と思う。死者に身をやつす能力と、闇の魔力で恐怖と支配をって能力には、何らかの縛りが必要だし、ファンタジーの冒険活劇なD&Dよりは『ヴァンパイア・ザ・マスカレード』あるいは『D&Dクトゥルフ』みたいなダークホラー陰謀劇向きのキャラなんだろうな」
ヒノキ「おそらく、プレイヤーにもDMにも上級者であることが求められような」
ターシャ本のさらなるサブクラス
シロ「では、残り2つのサブクラスを見てみましょう。『創造の楽派』と『雄弁の楽派』です」
⑦創造の楽派:ターシャ本所収のサブクラス。バードの音楽を形ある物品に変えて、特殊効果を生み出すことが可能。
シロ「無から有を生み出すような感じですね」
ヒノキ「声や音でのマンガ擬音表現が、現実的な形ある物として相手にぶつけたり、足場になって空中移動したりするようなものか」
シロ「もちろん、コエカタマリンそのものではないのですけどね。まず、3レベルでこのサブクラスを選んだときに、『可能性のかけら』と『創造の響き』という2つの特徴を習得します」
NOVA「『可能性のかけら』というのは、声援ダイスで仲間を支援したときに、おまけで付いてくる🎵や★や🌸などの芸術風シンボルなんだな」
ヒノキ「物なのか?」
シロ「実体を持たないエネルギーの塊みたいなもので、超小型サイズのシンボルが支援された仲間の周りにフワフワ漂います。これは声援ダイスを何に使うかで、弾けて3つの効果を発揮します」
- 能力値判定:声援ダイスを使用しても判定が失敗したときに、もう一度、声援ダイスを振り直しできる。
- 攻撃ロール(命中判定):攻撃した際にシンボルが弾けて、攻撃目標の相手とその周囲5フィート(マップでの1マス隣接)の敵にも声援ダイスの出目と同じ[雷鳴]ダメージを与える。
- ST判定:声援ダイスの使用時に、「ダイスの出目+バードの【魅力】ボーナス分」の一時的HPを支援された者に与える。
ヒノキ「要は声援ダイスに追加効果を付与する特徴じゃな」
NOVA「シンボルのデザインは、バードのプレイヤーが自由に決められますので、❤️でも、鳥の羽根でも、🍄でも、自身の芸術性アピールに合わせて考えるといいでしょう。まあ、あまりに変なものだと、支援されたくないと仲間に思われるでしょうが」
ヒノキ「エログロ下品なデザインの『可能性のかけら』とかじゃな」
NOVA「バード自身が、虫が好きで🐝をシンボルに選んでも、俺は🐝が苦手で身震いするので、自分の周りをフワフワ飛んでいると、気になって集中できません」
シロ「次に『創造の響き』ですが、1時間の使用ができる非魔法のアイテム(中型サイズまで)を歌の魔力で生成できます」
ヒノキ「すると、宝石を生成して、儲けたりできんか?」
シロ「生成できるアイテムの金銭的価値は、バードレベル×20GPと定められています」
ヒノキ「すると、最初は金貨60枚、最大レベル20でも400枚か。上手く売りつけることができれば、小遣い稼ぎ程度にはなろうが」
NOVA「生成されたアイテムは、かすかな光を放ち、触れると微かな音楽を奏でる、とあるな。例えば、冒険中にロープが欲しいけど準備していなかった場合に、1時間だけ使えるロープが調達できるわけだ。『お困りのようだね』と何でも調達して来てくれる調達屋ごっこが楽しめる」
ヒノキ「すると、マンホールの蓋なんかも生成できる?」
NOVA「武器や防具も作れるんじゃないかな。もちろん高価な金属鎧だと金貨750枚とか、それ以上がするので、せいぜい金貨50枚で買えるチェイン・シャツまでだろうけど、とにかく緊急事態に武器や防具を作ることも可能。ただし、同時に2つ以上のアイテムを生成維持させることはできないから、仲間全員の武装を整えるのは無理だし、武器と防具の両方をそろえるのも無理。細かい制限はいろいろある」
シロ「でも、6レベルまで成長すると大型サイズの品物を、14レベルになると超大型サイズの品物も生成できるようになるんですね」
NOVA「中型は5フィート×5フィートで、戦闘マップの1マス分。1.5メートル四方に収まるサイズだから、机やベッドの上に置ける程度だな。ベッドそのものは無理。ロープは伸ばせば50フィート(15メートル)が店売りの基準だが、巻きとった状態なら中型サイズに収まるだろう。人間の背より高いハシゴは無理だけど、折り畳みや伸縮できるようなギミック付きだと行けるかも」
シロ「大型は、10フィート四方で、戦闘マップでは4マス分ですね」
NOVA「3メートル四方に収まる範囲だから、個人の私室に収納できる大きさだったら行けるか。まあ、学校の教室サイズの私室を持ってる人間は考慮の対象外として」
ヒノキ「自転車やバイクなら生成できそうじゃな」
NOVA「ファンタジー世界にあれば、という前提ですけどね。馬車なんかは無理だろうけど、2〜3人程度が乗れるイカダや手漕ぎ船程度なら何とかなるかな」
シロ「超大型は、15フィート四方なので、マップの9マス分になります」
NOVA「5メートル弱か。スパロボだと、この辺からSサイズって感じだな。これ以下は、大体等身大の人間扱いでSSサイズ。巨大化しないバイクとか、パイルダーやTFOなどの小型戦闘機はSSサイズ認定されている。特にTFOは牧場の馬小屋に収納されたりしていたからなあ」
ヒノキ「スパロボの話は置いておき、D&Dの超大型は人間9人が収まる広さということじゃな」
NOVA「パーティー全員が乗れるぐらいの乗り物サイズを生成できるが、旅客用馬車は金貨100枚なので生成可能。しかし、馬などは作れないので別に考えないといけないようだ」
シロ「あくまでサイズを考える目安ということですからね。超大型サイズの道具を生成する機会なんて、それほどないと思われます」
NOVA「5メートル四方のアイテムかあ。お芝居で使う、ちょっとした大道具ぐらいは作れそうだなあ。劇団員にそういう人間がいれば、非常に重宝しそうだ」
シロ「次に6レベルで得られる特徴『命吹き込む歌』は、大型以下の非魔法アイテムにかりそめの命を持たせることができます。そうして自律行動できるようになったアイテムはクリーチャー扱いで、ダンシング・アイテムと呼称されて、ゴーレムみたいに戦闘させることも可能。ダンシング・アイテムへの命令は、ボーナス・アクションで可能」
NOVA「すると、『創造の響き』で生み出したアイテムに命を持たせることも可能なんだな。ちょっとしたアーティフィサーみたいな職人気分にもなれる、と」
シロ「さらに14レベルの特徴『創造のクレシェンド』では、2個以上(【魅力】ボーナスの数まで)のアイテムを生成できますが、サイズ上限で可能なのは1つだけで、他のアイテムは小型サイズ以下という指定付き。ただ、このレベルになると、金銭による制約はないそうで」
ヒノキ「要するに、『創造の楽派』のバードは生き物(クリーチャー)ではないアイテムを創造召喚できるサブクラスじゃな。クリーチャーはモンスター・サモニングの呪文でまかなうことにして……」
NOVA「ああ。2版から3版にかけて有用だったモンスター・サモニングは、5版からは消えていたようですね」
ヒノキ「何じゃと? すると3版のバードお得意の召喚戦術は使えなくなった?」
NOVA「ええ。バードの召喚呪文で呼び出せるのは、目に見えない従者とか、ダメージを与える短剣の群れとかであって、他のクラスの呪文を拝借しないと、召喚戦術は気軽に使えなくなりました」
ヒノキ「他のクラスでは使えるのじゃな?」
NOVA「はい。もっとも、サモン系の呪文は、カンジャー・エレメンタルとか、カンジャー・アニマルズとか、クラス別、対象別に細分化されて、しかも総じて3レベルから4レベルと中堅どころ。この手の呪文が得意なのは、まずドルイドで、次にウィザードや、ウォーロックの妖術関連と3版よりも限定的になりました。
「ただ、ターシャ本でサモン系の呪文が8種類も追加されて、召喚できるモンスターの種類が増えたなあ、と思いますが、バードはそういう呪文を一切習得しなくなったので、3版の『召喚モンスターを呼び出して、支援の歌でパワーアップして戦わせる』という戦術は5版でほぼ崩壊していたんですね。もちろん、新5版のバードの呪文リストは未チェックなので、また召喚術師としてのバードが復活している可能性もありますが、旧5版のバードにとっては、気軽な召喚はできなくなった、と」
シロ「どちらかと言えば、心術や幻術で今いる相手を操る系の術師になっているようですね」
ヒノキ「だからこそ、自らアイテムを生成して命を与えられる『創造の楽派』は、擬似的な召喚の要素を味わえるということじゃな」
NOVA「ある意味、無生物なら何でも生成できて、それに一時的とはいえ、命を与えて操作できるのって、昔の魔法使い作品(魔法使いサリーとかチャッピーとかみたいな、戦わない魔法少女)でよくあったからな。いかにもファンタジーって感じがする」
ヒノキ「チャッピーの魔法は、召喚や創造よりも、変成術って感じじゃのう」
NOVA「変成術だと、バードも5レベル呪文で《アニメイト・オブジェクツ》(物体操り)を普通に習得できますので、無生物に命を与えてクリーチャー化させる能力は、バードの得意とするところみたいですね。そちらの呪文は9レベルで習得することになりますので、『創造の楽派』はそれを前倒しで可能にした、とも言えますな。しかも、《アニメイト・オブジェクツ》はウィザード呪文には入ってなくて、ソーサラーとバードしか扱えないということで呪文使いの差別化が為されているようです」
ヒノキ「確か、3版の時点では、ソーサラーとウィザードの扱う呪文リストは同じで、違いのよく分からんクラスじゃったからのう」
NOVA「今は、サブクラスの違いもあって、だいぶ違いが大きくなりました。まあ、ソーサラー研究はまたいずれ」
⑧雄弁の楽派:ターシャ本所収のサブクラス。バードの言葉の力を強化して、交渉系の技能や魔法の成功確率、声援の確実性を高めるのが特徴。
シロ「では、バード最後のサブクラスですが、創造バードよりも地味な印象ですね」
NOVA「そうか? 言霊使いを自認する身としては反論を試みたいが、言葉ってそもそも相手の話を聞きたくない人間に対しては、無力だったりするからな。感情的になった人間には、何を言っても無駄になることがあって、言葉で人を説得するためには、いろいろとお膳立てを整える必要もあるし、そもそも根本的に礼儀を失していると見なされると、言葉も受け入れられないのが人間社会ってものだ」
ヒノキ「テーブルトークRPGが会話で物語を紡ぐゲームじゃから、言葉を上手く扱うということは重要視されるが、そもそもゲームに興味ない人間にゲームを楽しむように説得するのも、無理難題というものじゃ。価値観を共有できない相手に、話せば分かると理想論を唱えても、まずは話す前の仕込みの段階で失敗していてはのう」
シロ「難しい話はさておき、まずは3レベルで習得する『銀の雄弁』です。〈説得〉か〈ペテン〉の技能判定で、ダイス目9以下が出ても、10が出たものとして扱えます」
NOVA「出目による失言を無効化できる技だな。思わぬ言葉の行き違いで、相手を怒らせたり見下されたりする危険を避けられる」
ヒノキ「しかし、地味な効果じゃのう。もっと、こう、言葉を武器にするような技はないのか?」
シロ「だったら、同じく3レベルで習得する『動揺させる言葉』ですか。ボーナス・アクションで声援ダイスを使うと、敵1体のST判定の出目にダイス目のペナルティーを付けることが可能」
NOVA「『知の楽派』の言葉の刃ですな。あれは、命中判定、能力値判定、与えるダメージを下げる能力で、ST判定ではなかったです」
ヒノキ「要するに、魔法などの特殊能力が通じやすくするための仕込みじゃな。味方の魔法使いのサポートにはなっても、やはり地味な効果じゃ」
NOVA「これは、ボーナス・アクションをいつ行うかで有用性が変わってくるのですよ。アクションの後にボーナス・アクションだと考えると、自分が魔法を使ってから、相手のSTを下げるので、自分の使う魔法には役に立たないということになる。でも、じっさいはボーナス・アクションの実行タイミングはプレイヤーが自由に決めていいので、先に『動揺させる言葉』で相手の抵抗力を削いでから、バードが自分の魔法を成功させやすくする。それから、仲間の魔法使いがいれば、彼らの支援にもなるという、自他ともに有用な能力なんです」
ヒノキ「ああ。先に動揺させてから、魔法を撃ち込むという使い方も可能なのか。魔法戦の得意なバードおよびパーティーにとっては効果的な能力なのじゃな」
NOVA「声援ダイスの出目にもよりますが、相手が呪文抵抗に失敗する確率を5%〜30%ぐらい上げますからね。『お前ごときでは、我が呪文に抵抗することはできまい。もう、諦めて軍門に下れ、チャーム!』って感じかな」
シロ「偉そうに言って、使う呪文はチャーム(魅了)なんですか? もっと、チャームっぽい言い方にしましょうよ」
NOVA「どうするんだ? 例を挙げてくれ」
シロ「うっ……(赤面しながら)『君がわたしのために動いてくれるなら、もっといろいろなことをしてあげるんだけどな。お願い、わたしの頼みを聞いて、チャーム❤️』って感じ?」
NOVA「ハニートラップかよ。『雄弁の楽派』ってソクラテスみたいな髭のおじさんだと思い込んでいたぞ」
シロ「チャームを使うんだったら、髭のおじさんより美少女キャラの方が派手な絵になります」
ヒノキ「確かに、美女や美少女に誘惑の言葉を突きつけられると、動揺する男も多いじゃろう」
NOVA「ううっ、『雄弁』という言葉だから、雄(オス)すなわち男の弁論という思い込みが邪魔しておったわ」
シロ「雌弁(しべん)という言葉は日本語にはないようですが、女性で弁という言葉につなげると弁天さまという七福神がいまして、福徳の他に音楽や学芸をも司り、バードとつなげることも可能かと」
NOVA「弁天と雄弁を弁の一文字でつなげるのは強引な気もするが、弁天がバードっぽい属性を持っているのは分かった。次に進んでくれ」
シロ「6レベルでは、『失敗なき声援』と『普遍言語』の2つの特徴を習得しますね」
NOVA「前者は、声援ダイスを使った判定がそれでも失敗したときに、ダイスは消費されずに手元に残るという効果だな。後者は、言葉の通じない相手にも、自分の言葉を魔法的に理解させることができるという優れものだ」
シロ「制限時間は1時間、対象は【魅力】ボーナスと同じ数」
ヒノキ「やっぱり地味な効果じゃのう」
NOVA「呪文のコンプリヘンド・ランゲージズ(言語理解)は、相手の言葉を分かるようにしてくれますが、自分の言葉を相手に分かるように伝えることはできないですから、一方通行なんですね。だけど、自分の言葉が伝わることで、交渉や頼み事などを相手に受け入れてもらう可能性も増える」
シロ「言葉も知らないような見知らぬ土地を旅する場合には、極めて重要な能力ということですね。では、最後に14レベルで習得する特徴が『声援伝播』です」
ヒノキ「声援が広がって行くのか」
NOVA「誰かが声援ダイスで判定に成功すると、それに気づいたバードがリアクションで別の誰かに声援ダイスを渡すことができます。その際、声援ダイスは消費する必要がないけど、この効果を使えるのは、1日に【魅力】ボーナス回だけ」
ヒノキ「つまり、【魅力】の分だけ1日当たりの声援ダイスの使用数が増やせるということじゃな。全体的に何かの効果を高めるのではなく、安定して効果を発揮する手堅さが売りのサブクラスと見た」
NOVA「地味だけど確実というのは、ギャンブル好きの多い冒険者稼業にあって、ありがたい資質だと思うのですよ。とりわけ、敵に効果を及ぼすタイプの呪文は、相手の抵抗を破れるかどうかで戦局に大きな影響を及ぼしますからな。ボス敵をホールドで麻痺させたり、コンフュージョンで混乱させたりできれば、かなり強い。しかも、自分の呪文だけでなく、仲間の呪文支援になるということだと、なまじ武器の命中可能性を上げることよりも、魔法の成功可能性を上げられる能力の方が、高レベルになると重宝するわけで、ルールブックの文面で読むよりも、実プレイでは猛威を振るいそうなサブクラスです」
ヒノキ「自分や仲間の習得呪文との組み合わせ次第ということじゃな。ともあれ、支援特化のバードと考えておこう」
NOVA「で、ここから先は、前回に気になった5版の魔法の使用条件ですが、書いてみると話が長引いたので、結局、記事を切り分けて、次回に続けることになりました。バードのサブクラスについてはこれで完結で、次回はバード(とりわけ魔法戦士)の呪文運用についての話をまとめて行きたいと思います」
(当記事 完)