花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンター、深層階に突入す(SWミストグレイヴ4ー2)

地震じゃ

 

ヒノキ「日向灘震源とする地震で大変なのじゃ」

ゲンブ「コンパーニュは阿蘇の麓にあるので、結構揺れたでござるな」

シロ「まあ、別位相の九州なので、直接ダメージを受けたわけじゃないんだけどね」

ヒノキ「それでも間接的に影響は伝わって来るので、心配は心配なのじゃ」

リトル「これ以上の被害が出ないように願いますぅ」

ヒノキ「遠い国の火山噴火や、各地の豪雪や、猛威を振るうオミクロンや、今回の地震に対して、わらわ達ができることは……TRPGじゃのう」

ゲンブ「ここはそういうブログでござるからな。TRPGのプレイという言霊を通じて、災いが調伏できれば是幸いなりと思うばかり」

ヒノキ「うむ。現実の息災を願いながら、わらわたちは己が与えられた役割をしっかり果たすのみ。架空世界の冒険物語が、笑顔や希望を取り戻すきっかけになることを祈りつつな」

 

初めての深層階

 

GM(ヒノキ)「では、ここからプレイ開始じゃ。ミストグレイヴの上層階と深層階をつなぐ【ミノタウロスの門】。地上から深淵まで伸びる縦穴空間には、階層移動の魔力が働いていて、〈琥珀のマギスフィア〉が地上の天井を開く鍵に、また〈白銀騎士勲章〉が空間転移の資格証明ツールとなっておる。管理役のジンドラルの導きに従い、お主たちはしっかり手をつないでマッスルG太郎の持つ〈白銀騎士勲章〉に秘められた転移パワーを発動させた」

ホリー(シロ)「これって、仲間の手を離すとどうなるのかな?」

GM「深淵の底に落下して、グチャリと潰れる。なお、縦穴空間ではジンドラルが乗っている専用台座〈舞空光輪〉以外の飛行手段は使えない。資格者以外は飛行呪文を使っても、この縦穴空間は利用できないというゲーム仕様じゃ」

デル(リトル)「古代の魔術は、ご都合主義を可能にするんだなぁ」

G太郎(ゲンブ)「大丈夫。たとえこの命に替えても、我がマッスルパワーが働く限り、仲間の手は離さないでござるよ」

ホリー「イノセントはどうするんだ? 四つ足の獣だから、手なんてないぞ。前足でいいのかな?」

GM「心配なら、下に降りるまで彫像化しておくといい」

ホリー「そうしておきます。騎乗したまま、エレベーターに乗るイメージが湧かないので」

GM「では、軽い浮遊感と一瞬の光に包まれ、お主たちは縦穴空間を抜けて、深層階のフロアに降り立った。頭上遠くから、ジンドラルの声が響いてくる。『上層階に戻りたくば、そこから我に声をかけるがいい。階層移動の魔力を起動させよう』」

 

G太郎「それでは、いよいよ深層階に一歩を踏み出すでござる」

GM「【ミノタウロスの門】からは、北と東へ進むことができる。なお、時間は26日めの未明。ここから1マス進むと、夜明けが過ぎて朝になって、お主たちは食事と睡眠ペナルティーを受けることになる」

G太郎「食事は今、すればいいのでござるな。保存食を消費してから、先へ進もう。できれば、宿泊施設がすぐに見つかることを期待して」

●ミストグレイヴ深層階の地図

(青字は拠点および宿泊可能地点。赤字は現在地。

 緑字は新規に記入。青いラインは安全ルート)

 

  ?

  l

?ー?ーー流血回廊ー?

       l    l

?ー蒸気の谷ー?ーー?

   l     l
ミノタウロスー?ーー?

  の門

ホリー「バルカンの橋守りから聞いた情報では、北の【蒸気の谷】では宿泊できないそうで」

デル「だったら、東へ向かう方がいいでさぁ」

GM「では、徹夜明けのフラフラした状態で、お主たちは東へ向かう」

G太郎「何だか、地上の霧の街をさすらった最初の頃を思い出すでござる。あの頃は、宿泊場所が分からないまま、道に迷って、フラフラさまよっていたでござる。保存食も持っていなかった奴隷時代でござったから、運良く行き着いた【木漏れ日の施療院】で頂いた食事が美味しくて美味しくて。今回も、魚心あれば水心で良い宿泊所に巡り合えることを期待するでござるよ」

GM「その前にランダムエンカウントじゃ」

デル「オラが振るさぁ。6」

GM「イベント番号17番は、暴走幻獣じゃな。上層階ではサンダーバード3体じゃが、深層階ではコカトリス3体が襲いかかってくる」

G太郎「ちょっと待つでござる。コカトリスと言えば、石化の能力を持ったニワトリではござらんか? とりあえず、魔物知識判定は15と言ってみるが」

GM「レベル10幻獣。HP78。石化のクチバシを持ち、精神抵抗18に失敗すると、敏捷度が12点減少する。累積して敏捷度が0以下になると、完全石化じゃな」

G太郎「それが1体ならず、3体でござるか。いくら何でも殺意が高すぎる。これは勝てないでござるよ。逃亡を選択してよろしいか?」

GM「逃亡判定は、パーティーの代表が『冒険者レベル+敏捷度』で判定し、魔物レベル+2D以上を出せばいい。今回は10+(コロコロ)7で17以上じゃ」

G太郎「このダイスにパーティーの命運がかかっている。レベル8+敏捷度ボーナス+3だから、基準値11。6以上を出せばいいのでござるな」

GM「いや、徹夜ペナルティーがあるので7以上じゃ」

G太郎「何と厄介な。(コロコロ)8。ふう、敵に回り込まれずに済んだでござるよ」

デル「いきなり逃げ出す師匠に慌てて着いて行って、何とか逃げ延びたでさぁ。1歩進んだだけで、レベル10の魔物に出くわすなんて、何て恐ろしい場所なんだぁ、深層階」

ホリー「はあはあ。レベル5のボクたちが踏み込むのは時期尚早だったのかもしれない」

G太郎「まるで、霧の街の地上で、バジリスクのヒューリカと遭遇した時に匹敵する命の危機を感じたでござる。いや、あの時よりはまだマシでござるか。即座に逃亡できたのだから」

G太郎「ミストグレイヴでの私は高レベルスタートだったから、上層階ではそれほど命の危機を感じることはなかったが、それでも恐怖を覚えるのが深層階。久しく感じずにいた緊迫感を味わったでござるよ。戦慄でブルブル震えていよう」

デル「いや、しかし、師匠。この間、出会ったヤーハッカゼッシュに比べれば、まだマシではないかぁ?」

G太郎「うおっ、確かに。ヤーハッカゼッシュに比べれば、たかがニワトリ……って、そう舐めていい相手ではござらんよ。飛行ボーナス込みで命中21、回避19だから、回避14のG太郎でも7を出さないと避けられん。しかも、こやつは【連続攻撃II】持ちで最大3回まで攻撃できる。運が悪ければ、1ラウンドのうちにパーティー全員が石化して、当リプレイ完になるところでござった」

ホリー「普通のバジリスクよりも、コカトリスの方が強いんだなあ。これからは石化対策も考えておいた方がいいかもしれない」

GMコカトリスの石化は強力なので、500ガメルの〈キュアストーンポーション〉では解呪できなくて、2000ガメルの〈キュアストーンポーションII〉が必要になるのじゃ。呪文であれば、【キュア・ストーン】は神聖魔法7レベル。今のお主たちでは、コカトリスの石化は対処困難なバッドステータスと言えよう」

G太郎「保険と思って〈キュアストーンポーションII〉の1つか2つは購入しておいた方がいいのかもしれぬが、今は買い物できる時ではござらん。何にせよ、ランダムイベントが終わったので、東に進むでござるよ」

GM「うむ。では、そこに何が待つか、ダイスを振って決めるがいい」

G太郎「(コロコロ)54でござる」

 

翡翠のピラミッド(27日め朝)

 

GM「そこは【翡翠のピラミッド】じゃ」

ホリー「ん? どこかで聞いたことがあるな。(取得情報リストを見て)おお、これって防空施設の魔力供給源だよ」

デル「つまり、この供給源を絶てば、オラたちの密偵ミッションその1が終了するってことかぁ?」

GM「いわゆる、ゴールとも言うべき場所のようじゃな。芒洋たる暗闇に、おぼろげに緑色の光を放つ巨大な翡翠のピラミッドが浮かんでおる。ピラミッドは内部に入れそうな魔法施設のようにも見えるが、入り口らしき物は見当たらない。この中に入るための情報を、どこかで入手しなければならない、と見た」

G太郎「『ゾラエンテスには栄光を、スエラには祝福を、ジーズドルフに繁栄を、そして、シェラシースには感謝を捧げる』と唱えてみるでござる」

ホリー「それは確か……」

G太郎「今は亡き密偵セバスチャンが遺してくれた防空施設の暗号でござる。この記事で発見した情報でござるが、今こそ使う時ではないか?」

GM「確かにのう。しかし、それだけでは不足らしい。ピラミッドは淡く輝き、厳かな声でこう告げた。『合言葉は確認しました。ただし〈翠緑のマギスフィア〉が確認できません。扉の開放には〈翠緑のマギスフィア〉を持参ください』とのこと」

G太郎「どこかで〈翠緑のマギスフィア〉を入手して来ればよろしいのでござるな。新たな目的ができたでござる」

GM「ここでのイベントは現時点でここまでじゃ。次にどうする?」

G太郎「目的地の【流血回廊】目指して、北へ向かう。ランダムイベントは、嬢ちゃんに任せた」

ホリー「4出た」

GM「イベント番号13。暗闇に呑まれて道に迷う。D6を振るがいい」

ホリー「5」

GM「目的とは逆方向じゃが、南に区画はない。壁に当たって、もう一度じゃ」

ホリー「1」

GM「ラッキーなことに北に向かった。地形を決めるがいい」

ホリー「イノセント、ボクたちを導いてくれ。(コロコロ)61」

 

赤い瀑布(27日め昼)

 

GM「ゴオゴオと凄まじい音を立てて、真っ赤な溶岩が流れ落ちている。地底の暗闇を焼く溶岩の瀑布は、全長300m、落差50mに及んでいた」

G太郎「これは何とも壮大な光景でござるな」

デル「烈火団の名前にふさわしい、燃える土地だぁ」

GM「そうして、地底の驚異に目を見張っておると、突如として、煮えたぎる溶岩の滝壺から1体の翼を持つ巨大な幻獣が舞い上がって来る。Dで始まるその幻獣は、お主たちを睨みつけるや、咆哮を上げた」

G太郎「そ、それは、ドで始まり、ンで終わるモンスターではござらんか」

GM「言っておくが、ドラえもんではないぞ」

G太郎「当たり前でござる。ドラえもんには翼はござらん」

デル「だったら、ドゴランかぁ?」

ホリー「そいつは、ケイPだ。普通に考えて、ドラゴンだろう」

G太郎「とりあえず、魔物知識判定でござる。17」

GM「ドラゴンはドラゴンでも、格下のレッサードラゴン(剣のかけら入り)じゃ。レベル13幻獣で、4部位を誇る」

G太郎「さっき会ったニワトリよりも強敵ではござらんか。この深層階って、もしかして人外魔境では? 地上の霧の街をたった一人で脱出した勇者をしてビビらせるとは、まるでラオウを倒したケンシロウが名もなき修羅に苦戦するような衝撃を覚えたでござる。とにかく、一目散に逃げ出すでござるよ」

GM「知らなかったのか? イベントボスからは逃げられない」

G太郎「ヒッヒィーッ!」

デル「師匠の慌てふためきように、オラとしては逆に冷静な気分でいられるぞぉ。ドラゴンと言えば、会話が可能なはずぅ。ちょうどオラはドレイク語を知っているぅ。ドレイク語で『偉大な幻獣ドラゴンよ。我々の話を聞いてください』と頭を下げるぞぉ」

ドラゴン『黙れ、蛮族。この汚らわしい悪党どもめ! 我が一族は、ジーズドルフを築きしスエラとの盟約を忘れてはおらぬぞ。我が領域に足を踏み入れた報いを受けてもらう!』

G太郎「はいっ? スエラとの盟約と言ったでござるか?」

GM「うむ。ドラゴン語でな」

G太郎「ドラゴン語……いや、分からんでござる。セージ技能が7レベルだから、いろいろな言語を習得したでござるが、魔神語、エルフ語、ドワーフ語、妖魔語は喋れども、ドラゴン語は習得していなかった」

GM「お主、セージを7レベルに上げた際、新しい言語を決めていなかったじゃろう? この場で死にたくなければ、ドラゴン語が分かると決めてもいいのじゃぞ」

G太郎「いや、それはちとズルくはござらんか? ご都合主義のような気もするので、ここは固有名詞のジーズドルフとスエラの名前だけは聞き取れたことにしておこう。『スエラ? スエラと言ったか? ドラゴンよ』と交易共通語で話しかける」

GM「すると、ドラゴンも交易共通語に切り替え、こう問いかけるのじゃ。『貴様、人族の言葉を使うとは、蛮族ではないのか?』と」

G太郎「蛮族のことを、バルバロスと呼ばずに、蛮族呼ばわりする時点で、この竜の立場は人族寄りと見た。ここは、みんな正体を明かしていいのでは?」

ホリー「ヴァラルトの時と同じ展開ってことだな。蛮族嫌いのNPC。だったら、ボクもレプラカーンのホリー・カーシェインと自己紹介するぞ」

デル「人間のグレンダール神官、デルニール・イーストンだぁ。ドレイクの姿は、蛮族社会に潜入するための仮の姿でさぁ」

G太郎「私は、お笑い芸人にして商売人のマッスルG太郎。見ての通りのルーンフォークでござるが、かつては地上のレジスタンス組織〈スエラの炎〉の食客として、一宿一飯の恩義のために働いたこともある。みんなの笑顔のために戦う、気のいい男でござんす」

ドラゴン『〈スエラの炎〉……地上が今どうなってるか詳しくは知らんが、スエラの名を受け継ぐ者たちがいるのは僥倖よ。我は紫闇彗星(しあんすいせい)の異名を持つ若竜で、人族にはエサユハと呼ばせている。正式名称は長過ぎて、発音も難しいからな。ここに人族が迷い込むのも久しいゆえ、少し話をしていかぬか?』

G太郎「それは喜んで。ちょうど我らも、この深層階で休める場所と、この修羅の地の情報を必要としているところでござった。我らは互いにWinWinの関係になれると見たが、どうでござろうか?」

エサユハ『それは、我ら竜族のために働いてくれると言うことか? かつてのスエラのように信義と契約に基づいて、蛮族どもと戦うことも辞さないと?』

G太郎「それは……ちと言い淀むでござるな。私は個人的に、蛮族の中にも話の通じる良き者と、そうではない荒くれ者がいることを知っている。単純に蛮族が敵だと見なして、誰かれ構わずキル蛮族という思考では考えにくいのでござるが……」

ホリー「だったら、ボクが代わりに言ってやる。蛮族どもは家族の仇だ。叶うものなら、全ての蛮族は八つ裂きにしてやりたいと思ったことすらある。このジーズドルフに来て、確かに蛮族の中にも良い奴がいるかもしれない、と思うときもあるが、それでも自分が蛮族の姿をしていることさえ、虫唾が走る気分なのは変わりない。全ての蛮族を殺すのは不可能にしても、自分の道の前に蛮族が立ち塞がるなら、喜んで始末してやるつもりだ。家族を殺された恨みだけは、決して忘れない。そして、ボクは弱者と……魅力的な女性の味方だ」

エサユハ『なるほどな。ならば、我らが竜族の姫ナーデージュ様を助けてくれ、と依頼したら、力を貸してくれるのだな?』

ホリー「竜の姫? もっと詳しく!」

デル「ホリー姉さんが食いついたぁ!?」

GM「うむ、ナーデージュの話し口調は、わらわとそっくり同じなのじゃ。777歳のノーブルドラゴンで、可愛い女の子であることは、わらわを見れば、分かるじゃろう」

ホリー「なるほど。アリナ様のような女の子ですか。だったら、味方につけると頼りになること間違いありませんね。それで、どこに行けば会えるのですか? よろしければ、臣下の礼を捧げてもいいかと考えますが」

GM「うむ。シロなら、きっとそう言ってくれると思ったぞ。じゃが、詳しい話は、また次の回にする。竜族のエサユハは、この深層階でお主たちのパトロンになってくれるNPCじゃ。当座の信頼を勝ち得たので、★1つを進呈しよう」

(当記事 完)