花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女主役の物語」&「その仲間たちの雑談話」など。TRPG話や特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。

魔神ハンターと、続・隠者ヴァラルト(SWミストグレイヴ3ー3)

ランダムイベントのトラブル

 

ゲンブ「前回は、隠者にまつわる話を延々とした後、突然ラスボスと遭遇して、酷い目に遭ったでござる」

ヒノキ「うむ、あれはわらわも驚いたのじゃ。少し蘊蓄話を傾けすぎたかな、と思いきや、あれほどの大イベントの前の溜めと思えば、結果的には一記事として、うまくまとまったと思う次第」

シロ「確かに、蘊蓄話を全てカットして、さあ、迷路に突入! という場面から始めて、いきなりラスボスに出会っていたらと考えると、そこから迷路を探索しようという気持ちが失せますね」

リトル「それにしても、リウが1Dで5を出したから、ラスボス登場ですかぁ」

ヒノキ「あのシーンの小見出しは元々、『さまよえる烈火団』という仮タイトルが付いていて、迷路探索とか、ランダムイベントで違う展開になる可能性も想定しておった。ランダムイベントダイスで1が出たら何もなし。2が出たらケンタウロスのタクシーが出現して、目的地へのショートカットが可能になる。そして3以降でイベントが発生。仮に3が出ていれば、マーメイドを捕まえた奴隷商人と遭遇して、もしかするとタイムリーと言えたかもしれん」

シロ「ああ、プリキュアで人魚のローラが敵に捕まってましたね」

ヒノキ「ダイス目でズルをしようと思えば、このタイミングで捕まった人魚を助けて、隠者迷宮を先送りにして、彼女を人魚の王国に連れ帰ることを優先する流れになる可能性も想定しておったのじゃ」

ゲンブ「すると、その人魚が新たなプレイヤーキャラとして、パーティーに加わる可能性もあったのでござるな」

ヒノキ「さすがにそれはない。妖精郷のエマ・ショーカの参入は、当初から十分な準備を仕込んでおったらしいが、ランダムイベントでたまたま助けた人魚がいきなりプレイヤーキャラクターになるような行き当たりばったりは、GMの負担が大きすぎる。ここではパーティーメンバーの増加は当面、考えておらん」

ゲンブ「大体、人魚救出のランダムイベントは結局、発生しなかったでござるし、IFを論じても仕方あるまい」

ヒノキ「そうとも。人魚救出は29番。ダイス目が5なので、発生するのは……むっ、34番じゃと? 何と、わらわは勘違いしておった。どうやら数え間違えて、36番のイベントを前倒しで発生させてしまったらしい」

シロ「すると、本当に起こっていたイベントは?」

ヒノキ「イベント名は『温泉の空洞』とある。つまり、ラスボス登場イベントは幻で、本当は温泉に浸かって癒されていたのやもしれぬ」 

ゲンブ「今から、『ヤーハッカゼッシュとの遭遇は温泉に浸かりながら、ポカポカ気分で見た妄想』というオチにはできぬでござるか?」

ヒノキ「新兄さんところの妄想タイムなら、その手もありかも知れぬが、ここではそういうネタは場違いで使えん。温泉イベントは推奨ネタじゃが、すでに前の記事でラスボス遭遇戦で緊迫感を描いて、しかも、いいねまで頂いた手前、その話を巻き戻して実は温泉だったの、というわけにはいかぬ。幻の温泉ネタは、いいねを付けてくれた御仁のブログで、何らかのフォローを願えるやもしれぬ。

「ともあれ、間違えた裁定も一つの運命のいたずらとして受け入れるのが、TRPGの鉄則。その上で、プレイヤー側にあまりに不利な場合は適切なフォローを入れつつ、ダイス目や戦術ミス、裁定ミスも含めて、ゲームが描いた物語として楽しむことこそが王道。とにかく、烈火団はヤーハッカゼッシュと遭遇して、かろうじて死なずに生き残った。この事実は覆らないものとする」

リトル「囚われた人魚を助け出すイベントも、温泉イベントも次の機会になるんだなぁ」

ヒノキ「いや、ヤーハッカゼッシュ・イベントが発動した後は、ランダムイベント表の記録がリセットされ、もう一度、最初からスタートとなる。人魚ネタが発生することはしばらくない」

シロ「それはそれで、残念ですね。人魚ネタはタイムリーなのに」

ヒノキ「うむ。それなら、次に奴隷救出ネタが発生するなら、種族は人魚ということに確定しておこう」

   

ヤーハッカゼッシュの剣

 

ゲンブ「ところで、ヤーハッカゼッシュの強さは体感した通りでござるが、彼が連れていた金髪の少女は何者でござるか?」

ヒノキ「それは、当シナリオの根幹につながる大いなる謎の一つじゃが、タイムリーにぶっちゃけると、セイバーにおける光の剣、すなわちユーリに相当するキャラじゃ」

シロ「え? こっちでも光の剣ですか? 妖精郷でも光の剣が噂に挙がってますが」

ヒノキ「言っておくが、別に仮面ライダーセイバーのパクリではないぞ。フェアリーガーデンは2010年、ミストグレイヴは2013年に発売されたシナリオ。パクリ云々を言うなら、セイバーこそソード・ワールドのパクリということになるが、そもそも光の剣という素材は、ファンタジーではよくあるネタで、珍しくも何ともない。ただ、その定番ネタを活用して、どのような設定、どのような物語を描くかが問われる。

「創作は無からは紡げないゆえ、ジャンルごとの定番素材を上手く組み合わせながら、読者にお約束ゆえの安心感を提示する一方で、これは新しいというアイデアを売りにして、新たな価値を生み出すことで発展進化するもの。名前や設定を流用した知識に関して、お約束を知らない無知ぶりを示せば、読者の期待を裏切るし、お約束は守りながらも重要な部分は意図的な改変、独自の趣向の提示をして、おやっ? と思わせる。

「例えば、星矢で黄道十二宮と言いながら、作者が無知でオリジナルの星座を勝手に混ぜたら興醒め。まあ、『乙女座がなぜ仏教?』『山羊座がなぜエクスカリバー?』と細かいツッコミはできるが、それにしても仏教らしい演出、エクスカリバーらしい切れ味鋭い演出を示すことで、まあ、これぐらいなら……と読者の受容を促す。もちろん、マンガゆえの画力によるフォローもイメージ構築に一役買ってくれたろう。80年代当時のファンタジーに無知な少年読者にとっては、仏教っぽさ、エクスカリバーというネーミングだけで、作者の知識の広さを尊敬できたものじゃ」

ゲンブ「今だと、その手は通用しないでござるな」

ヒノキ「ファンタジーのお約束が当時よりも浸透しているのみならず、インターネットを介して容易に調べることができるようになって、設定のウソがバレやすくなっているからのう。元ネタありの流用をしたなら、作者の元ネタに関する知識が試されて、エクスカリバーと言えばアーサー王とセットとか、名前を借りたなら背景情報のイメージも付いてくる。名前を借りる以上は、その名前の持つイメージも込みで描写することが求められるが、あるいはギャグネタとしてアレンジする方向性を選ぶなり、改変部分が物語の根幹の秘密に関わっていたりなど、知らないデタラメよりも、意図的な作者のセンスが問われる。

エクスカリバーは強いけど、似て非なるエクスカリパーは弱い紛い物、とかは一つのギャグじゃが、流用して原典を踏まえた描写ができているなら佳作、流用しているのに描写が原典とは異なる無知さを露呈しているなら紛い物の駄作扱いとか、読者の目の肥え方を侮ってはいけない。おおよそ、一定レベルのファンタジーやSFを書く者は資料をちゃんと用意して、原典からイメージを膨らませておる。名前だけ借りて、中身がイメージと異なるのは、ただのデタラメ詐欺師にしか見えん。まあ、エクスカリバーという名前の武器を使う敵がいて、仲間の一人が『あんなちゃちな剣がエクスカリバーだって? ファンタジーに対する侮辱だ。あんな紛い物は、ぼくのカラドボルグで叩き折ってやる』とか言って、偽エクスカリバーVSカラドボルグの対決を描くなら、ファンタジー好きには、おおって思わせるかも知れぬ」

リトル「カラドボルグって、確かマスターロゴスの剣ですよねぇ?」

ヒノキ「うむ。元ネタはケルト神話であり、そして一説によると、後年のエクスカリバーの原形でもある。またの名をカレードウルフとも。要するに、関連している由来があるから、見た目がエクスカリバーのリペイントであったり、同型色違いの巨人を召喚したりしても、分かっている人間ほど納得できよう。まあ、ケルトのアーサーとユダヤのソロモンを王つながりで同列扱いするのに疑問を抱く者はいるやも知れぬが、ソロモンが伝承にあるように『父ダビデの後を継いで国を栄えさせたけど、傲慢になって信仰を失った堕落した賢者』という評価もあって、ただの名前借りだけでなく、キャラ性も原典に忠実じゃから、その点ではマニアも納得できる要素がある、と」

シロ「妖精郷の光の剣マクリール・ルーはケルト神話由来なんですかねえ」

ヒノキ「アイルランドの英雄騎士フィン・マックールと、ケルトの太陽神ルーを組み合わせたと思われるが、海の神マナナン・マクリルという名前もあって、どちらが元ネタかはシナリオライターにしか分からぬであろう。ただ、その名前を聞いて、いかにも妖精郷の光の剣として納得できるネーミングセンスと、わらわは考える」

ゲンブ「ヤーハッカゼッシュの剣の名前は?」

ヒノキ「それは2種類ある。ミストキャッスルで語られたのは、紅霧の魔剣クルルガラン。他者の生命力を吸いとり、蛮族の穢れパワーを強化する紅霧を放出する魔剣じゃが、ミストグレイヴにおいては、もう一本の光の剣少女の存在が追加された」

リトル「剣少女ですかぁ」

ヒノキ「うむ、本来の姿は意思を持った魔剣なのじゃが、金髪の少女の姿に身をやつして、今はヤーハッカゼッシュという勇者に仕えている。彼女もまた光の剣という呼称に相応しい存在で、慈悲と癒しの力を備えておる。前作ミストキャッスル版でのヤーハッカゼッシュは、ただの暴君、暴れん坊将軍で街一つを支配しているが、退屈なので自分を倒そうという気概のある者と戦い、叩き潰すことを余興と考えている男。強すぎて、自由気ままに専横政治を行い、そして理知と暴虐の両面を合わせ持ったラスボスと設定されておった」

ゲンブ「ミストグレイヴでは、地上にいるのは影武者だと設定されたでござるな」

ヒノキ「うむ、地下に出現する真のヤーハッカゼッシュは、外付け良心回路と言うべき剣少女が設定されることで、暴虐の面が抑えられておる。そして、単に退屈だから戦いたい、戦わせたいというマスターロゴスみたいなキャラから、もっと奥深いキャラ性が付与された。彼が力を求める理由として、元凶たる真の邪悪な存在の封印を維持することが挙げられる」

 

剣少女『あなたが街を支配するなら、支配者としての責務をお話しします』

ヤーハッカゼッシュ『ほう。神の力でなければ滅することのできぬ邪神か。いつ、目覚める?』

剣少女『目覚めさせてはいけません。あなたが魔の封印を解かないと約束するなら、私めはあなたに永遠の忠誠を誓いましょう』

ヤーハッカゼッシュ『光を司るそなたがバルバロスたるオレに仕えるというのか。面白い。だが、オレは気紛れだぞ。退屈となれば、世界を賭けて邪神に勝負を挑むやもしれぬ』

剣少女『必ず勝てるだけの力を備えておいでなら、私めもお供しますが、今のままでは無理でしょう。命を無駄に落とすだけです』

ヤーハッカゼッシュ『はっきり言ってくれるわ。ならば、力を蓄えて、街の統治に専念するか。オレと共に邪神に挑む力と気概を持った者を育ててもいいし、今しばらくは武術や芸術を磨きながら、支配者らしく統治に勤しんでもいいし、無聊をかこつべく祭事に励んでもいい。この霧の街はまだまだ刺激に満ちた場所みたいだからな。たっぷり味わい尽くしてから、死にたいものだ』

剣少女『だけど、それは今ではありません。くれぐれも愚かな選択はなさらないよう』

ヤーハッカゼッシュ『愚かかどうかはオレが決める。だが、今すぐ破滅を選ぶのは愚かだ、ということは分かる。しばらくは、付き合ってもらうぞ、光の剣よ』

 

ヒノキ「という背景をプレイヤーだけには語っておこう。光の剣少女のネタは、セイバーが放送されているうちはタイムリーじゃが、番組終了後に語っても、こちらが後出しみたいに誤解されるのもイヤじゃからな。以上の情報は、キャラクターはまだ知らぬが、プレイヤーの行動指針程度にはしてくれてもいいぞ」

ゲンブ「いわゆるGMシーンという奴でござるな。物語を多面的に見るための背景情報の前倒しというか」

ヒノキ「情報をどのタイミングで、どの程度明かすかは、語り手のセンスにもよるが、今の時代の読者は物語への能動的参加を望んでおる。この作品はこんな感じと先に知って、自分に合いそうだと判断して、安心して読み始めたがる。つまり、読者はせっかちなのじゃ。ゆえに作者が肝心な情報を秘密主義的に隠して、サプライズを意図するような作品は、人気作家や監督の実績があるならともかく、無名の作家が同じことを真似しても、注目は得られん。

「この作品のあらすじはこうです、と半分ぐらいはネタバレしても、予想どおりに進める安心感と、後半にどんでん返しで生じるサプライズは両立できる。逆に、前半を語ったら、もうサプライズは用意していないような話は、短編ならともかく長編ではつまらない。だからこそ、先に展開を示して、読者への引きをアピールした上で、連載なら毎回、盛り上がりどころを用意する。数話読んで、劇的なイベントも重要な情報公開もないような作品は、ストーリー物としてはいかにもつまらん」

シロ「だけど、日常ものですと、ストーリーが進まなくても、キャラ同士が和気藹々とお喋りしているだけで楽しい作品も多いですね」

リトル「ゲーム蘊蓄や、創作蘊蓄、特撮やアニメの話をしているだけで楽しいですぅ」

ヒノキ「いわゆる、ゆるふわ癒し系作品じゃな。昔のラノベ人気作は長編シリアス(文庫書き下ろし)とコミカル短編集(雑誌連載版)の二シリーズ並行スタイルが割と定番じゃったが、今は一作の中にコミカルとシリアスの両方を混ぜる形が王道。大雑把な構成では、前半コミカル会話のうちに伏線を仕込んで、後半シリアスで問題解決して、エピローグで日常に戻るルーティンとなっておる(他の形式もあるじゃろうが)。アニメのプリキュアシンカリオンZなんかもそのパターンじゃな。楽しそうな日常会話の中で浮かび上がる回主役キャラのちょっとした悩み、そこに敵怪物が襲撃してきて、迎え撃つ。怪物の撃退と悩みの解決がほぼ連動して、最後はハッピーに締めくくるけど、たまに事件が解決せずに翌週に持ち越すイベント回の前後編が入ってくる」

ゲンブ「次回で終わるダイナゼノンも、作風は違うが、各話のストーリー構造は似ていたでござるな」

ヒノキ「読者によっては、鬱展開でのハラハラドキドキを好む者、熱血英雄譚を好む者、ほのぼの談義を好む者など嗜好はそれぞれじゃ。そして、複数の嗜好を両立するには、ストーリー構成にも計算が必要じゃし、視聴者も読者も自分と嗜好の通じる作者の描く作品を求めるゆえ、作者が自分自身の、そして自分の作品のアピールポイントをきちんと示すことが大切じゃ。シリアスなのか、コミカルなのか、キャラが死ぬ過酷な話なのか、ハッピーに収まる優しい話なのか、先に伝えるのは是大事。要は、自分の作品の何で読者を楽しませたいのか、それに対して作者がきちんと自覚していることが重要……というか、人に発表するなら普通は自覚的じゃろう?」

ゲンブ「まあ、書き始めの作者は、書けるもの、書きたいものをとりあえず書いてみたものの、それが良いのか悪いのか、自分ではろくに判断できないので、意見や感想をもらって自信を付けたい者も多いでござる」

ヒノキ「自分で、自分の作品の良さが分からない作家というのは、自分の作品を何度も読み直していないのではなかろうか。推敲不足というか書き捨てというか。作者が書き捨ててしまうような作品が、読者に評価される可能性は少なかろう。よほど、いくつもの締め切りに追われて、読み直しの時間が制限されている人気作家を除けば、作者は自分の作品の一番の読者であるのが当然で、書く前と書いた後で、物の考え方が深まったり高まったり、何かの発見をするなりで、自分の作品から自分はこういう知見を得た、というぐらい学べるものではないかのう」

ゲンブ「書くことが冒険なら、冒険の度に経験点を得て、成長するのが当然でござるな」

シロ「書いているのに成長しないとしたら、冒険しているのに試練を経ていないというか、自分の冒険の旅を後から振り返って反芻することもなく、ここは良かった、ここは悪かった、ここは改善できるなって自分では見返す作業ができていないってことですかね」

ヒノキ「もっとも未熟な子どもだと、自分の解いた問題を自分で答え合わせができないケースもあろうが、しかし、そういうレベルの子どもが書いたもので、他人からまともな評価を得られるとは思えんのう」

 

さまよえる烈火団

 

GM(ヒノキ)「……と、以上の話が、ゆるふわ癒し系日常談義じゃな」

デル(リトル)「癒し系かぁ? 読む者によっては、心にグサグサ突き刺さるような話に聞こえたがぁ」

GM「いわゆる鍼治療じゃよ。あるいは蛇遣い流の重傷手術に相当するか」

G太郎(ゲンブ)「ここからは迷路の探索ゲームを行うでござるな」

GM「うむ。いつの間にか烈火団は細い通路に突入していた。いくつもの曲がり角や分岐を通り過ぎて、お主たちは完全に道に迷ってしまったことに気づいたのじゃ」

ホリー(シロ)「判定もさせてもらえず、道に迷うなんて、まるで迷宮の隠者が結界でも仕掛けているみたいだな」

GM「その通り。ここは魔法の迷路なのじゃ。この迷いの結界を切り抜けるには、まず精神抵抗13を行え。2人成功すればいい」

G太郎「18で成功」

デル「13で成功だぁ」

ホリー「ボクは12で失敗したけど、イノセントが13で成功した。やっぱりイノセントは頼りになるなあ」

GM「成功したので、ボーナス+1でD6を振れ」

デル「6が出たので、+1して7だぁ」

GM「何と。途中のイベントを全てすっ飛ばして、お主たちは迷宮の出口付近にいきなり到着した」

G太郎「何とも呆気ないでござるな。『さまよえる烈火団』のはずなのに、タイトル詐欺でござる」

GM「しかし、ここには隠し扉があって、難易度16の探索判定に成功しなければ、隠者ヴァラルトの部屋には入れないのじゃ」

G太郎「探索でござるか。私の基準値は10であるゆえ、出目6で成功でござるが、念のため、魔動機術【エクスプローラー・エイド】を使用するでござる。うむ、呪文の行使判定は成功して、マギスフィア・センサー起動。これで、出目4で探索成功になるはず。はい、無難に7を出して成功。隠者の潜む隠し扉発見。罠は仕掛けられているでござるか?」

GM「罠はないので判定は省略。扉を開けると、そこは広間じゃ。床には絨毯が敷かれ、本棚やテーブル、ソファなどが並んでいる。ソファには1人の少年が座っていて、読書にふけっているのじゃが、お主たちが部屋に入ってきたのを見て、魔動機文明語で『うぜぇな。また蛮族かよ』と呟き、本をテーブルに置いて立ち上がる」

G太郎「蛮族? どこに?」

少年『とぼけるな、マッチョのルーンフォーク。お前は人族かもしれんが、後ろの2人はどう見ても蛮族だろうが。ドレイクに、バルカンの女。ここに何しに来たか知らねえが、蛮族の手下だったら、どうせろくなことを考えてねえだろう。相手してやるから、とっととかかってきな』

G太郎「ふう……とため息をつくでござる。今日(前回)はヤーハッカゼッシュに挑発されて、今度は謎の少年に挑発されて、何だかやたらと挑発されているでござるなあ。坊や、人は見かけに寄らぬ者という言葉は聞いたことはないでござるか? 私は、お笑い芸人のマッスルG太郎。後ろにいる2人は、蛮族に身をやつしているが、それは世を忍ぶ仮の姿。さあ、各々がた、自己紹介をするでござる」

デル「あ、ああ、師匠。オラは炎武帝グレンダールの神官戦士デルニール・イーストンって者だぁ。こう見えても、れっきとした人間だぜぇ。何なら運命変転だってしてもいいさぁ」

ホリー「ボクはホリー・カーシェイン。レプラカーンの魔法騎手。そして、こいつはイノセント」

少年『人んちの部屋に入るのに、そんな雄牛に騎乗したまんまってのはないだろうが。今すぐ降りろよ、姐さん』

ホリー「う、確かに。普通のホモ・サピエンスの流儀では、部屋の中では騎獣から降りるのが礼儀って聞いたことがあります。今すぐに降りて、イノセントに伏せをさせるってことで」

少年『礼儀を弁えぬ輩は、蛮族だろうが人族だろうが、これだから嫌いなんだ』

G太郎「これは失礼したでござる。何しろ迷宮をあっさり抜けて、いきなり隠し扉だったもので、警戒は必要だったでござるよ」

少年『あっさり抜けただと?』

デル「ダイスを1回振っただけで、迷うことなくここに行き着けたさぁ」

ホリー「ここに来る前の方が、よほどあれこれ迷っていたよなあ。主に雑談寄り道タイムで」

G太郎「ともあれ、我らは、この地の南の亡者の神殿を改修して、新しく本部を立ち上げた魔神ハンター・烈火団と申す者。この度は、高名な隠者ヴァラルト殿にご挨拶をと思って、立ち寄った次第。主人殿にお取り次ぎを願えないものでござろうか?」

少年『ぼくには主人なんていない。ここの主人はぼくだ』

G太郎「はい?」

少年『人は見かけに寄らぬ者、と言ったな。確かにその通りだ。お前が会いたがっている冥導の隠者ヴァラルトというのは、このぼくのことなんだからな』

 

少年隠者ヴァラルト

 

GM「改めて紹介しよう。少年はナイトメアの賢者で、自称453才。かつては蛮族に占拠される前のジーズドルフで魔動機術その他、各種の魔法を学んできた天才だったが、〈大破局〉の際に逃げ遅れて、この迷路の隠し部屋に身を潜めているとのこと」

G太郎「453歳でござるか。何か不老不死の秘術の心得でも?」

GM「ナイトメアという種族は、老衰で死んだという記録がないほど長寿らしい。エルフでも寿命が500歳と言われるラクシア世界で、ナイトメアは寿命よりも冒険や過酷な迫害の中で命を落とすことが多い。それにナイトメアは人族の中で突然変異的に生まれる忌み子であるため、冒険者アウトローみたいな者を除けば、公に正体を明かす者は稀で、公式記録に残りにくいとも言えよう」

G太郎「それなら、彼の言葉を信じるしかなかろうな」

ヴァラルト『ぼくも君たちを信じることにするよ。少なくとも、君たちには敵意を感じない。【センス・エネミィ】の呪文で実証済みだ。それに聞いたことがある。〈バルバロスブラッド〉だったかな。蛮族の姿に変われるって薬の存在を。ただ、お笑いルーンフォークとか、烈火団という名前は初耳だな。外の世界が今どうなっているか教えてくれないか?』

G太郎「では、我ら烈火団の成立から、本部の設立までの物語を話すでござる。ただし、魔神の正体については触れない。それを知るのは、極力少ない方がいいと思うゆえ。ぶっちゃけ、ザバーラ殿を除けば、パーティー仲間のご主人とホリー嬢ちゃんだけ。あのヤーハッカゼッシュでさえ、そこには触れて来なかったわけで、おそらくは非常に稀なケースとみた」

GM「実際そうであろう。ソード・ワールドのPC種族で魔神キャラというのは公式で見たことがない。魔神使いに仕えた魔神のふりをしている蛮族バルカンというキャラは読んだことがあるが。まあ、今後、魔神PCがルール化されないとは限らぬが、今のラクシアで制御されない魔神が街中を闊歩していることが分かると、明確に迫害されるものと思われ」

G太郎「ところで、ここに来た目的は、ご近所付き合いの他に、ジーズドルフ解放軍への協力を打診されたのでござるが、いかがでござるか?」

ヴァラルト『イヤだね。そんなことには興味がない。仮に協力できることがあるとしても、ぼくが知っているのは、昔のジーズドルフの話だけだ。今の戦いで手伝えることがあるとは思わないし、世捨て人というのは知識があっても、それを役立てる術を知らない、しょせんは愚か者でしかないのさ』

G太郎「慢心した愚か者ではなく、何やら自己卑下しているのでござるか?」

デル「だけど、ずっとここに引きこもって、一生暮らす気かよぉ。グレンダール神官としては、あまり認めたくない生き方だなぁ」

G太郎「しかし、今回はあくまで挨拶回りゆえ、顔をつないだだけで良しとしておこう。そもそも隠者どのから何かを聞きたいということもないゆえ、おそらくはフラグがまだ立っていないのでござろう。一応、防空施設やミリア嬢、そして〈破剣の星槌〉のことも聞いてはみるが」

ヴァラルト『だから言ったじゃないか。昔のジーズドルフのことしか知らないって。う〜ん、そうだな。じゃあ、ぼくとしても今の知識をアップデートしておきたい。烈火団の冒険の話を聞いて、確認したいことができた。この『ミストグレイヴの上層階の地図を作って、完成させてよ』。このミッションを仕上げて来たら、ぼくのところに帰ってきて、報告してくれ。そうすれば〈琥珀のマギスフィア〉をあげるからさ。たぶん、ぼくの記憶では〈琥珀のマギスフィア〉がなければ、深層階に降りられないはずだよ』

G太郎「上層階の地図を完成させたら、ここに戻って来ればいいのでござるな」

ヴァラルト『もちろん、外の世界のお土産話もいっしょにね。ぼくの特技は頭を使うことだと自負しているんだけど、頭を働かせるには、目や耳を働かせて正確な情報をつかまないといけないし、目的意識だって必要だ。君たちがぼくの目や耳となって、情報を集めてくる。そして、ぼくは君たちの話を聞いて、それを分析する。ぼくの知識と分析能力、そして君たちの見つけてくる情報を組み合わせれば、お互いの好奇心と問題解決への道筋のどちらも満たせるはずさ。少なくとも、レジスタンスへの協力はどうでもいいけど、君たちの冒険は面白そうだ。ぼくをワクワクさせてくれたら、お礼ぐらいはするよ。でも、まずは上層階の地図がなければ、推理のイメージだって構築できない。パズルの欠けているところが埋まったら、次にするべきことも見えてくるはずさ』

G太郎「まるで安楽椅子探偵のような言い草でござるな。ところで、そのミッションを引き受けたら、果たすまで他のミッションは受けられないでござるか?」

GM「ルールに厳密に従うなら、そうじゃのう。ちなみに、このミッションは推奨レベル4以上で、本来なら上層階の全ての区画を回り直して、それぞれで地図作成判定をしないといけない、非常に手間暇が掛かる割には面白くないミッションであるゆえ、単に全ての地点を通過すればいいという形にアレンジする。また、地図が完成すれば、この【隠者の迷路】に戻った時点で、ミッションのクライマックスバトルが発生するものとする。そして、地図作成ミッションは特別に他のミッションと掛け持ち可能に改定した」

G太郎「ならば、そのミッション、引き受けるとしよう。地図の完成ついでに、ここに戻るでござる」

GM「ミッションを引き受けたことで、ヴァラルトの信頼を得て、★1つを獲得した。さらに、ここを宿泊拠点としても使うこともできる。ヴァラルトはお主たちにあれこれ外の世界の質問をして、1tbを余分に使わせるけれども、食事と休息は無料で行える。それと、去り際に〈黄金の羅針〉をくれる。これがあれば、ヴァラルトの隠し部屋に行き着きやすくなって、迷路攻略判定に常時+1ボーナスが得られるのじゃ」

デル「迷路攻略判定はD6で7以上でクリアみたいなんだな」

GM「出目が低いと、いつまでも迷宮内をさまよい続ける羽目になるのに、今回はいきなりゴールに到達しおったからのう」

デル「日頃の行いがいいからさぁ」

 

 こうして、烈火団一行は少年隠者ヴァラルトとの知己を得ることに成功した。

 次の目的地は、ゴブリン王ムルカグンドリと出会った【岩棚の城塞】。

 今度は余計な寄り道雑談をすることなく、グールメイジ討伐ミッションを果たすことができるだろうか?

●ここまでの冒険成果

 

日数経過:20日めの昼(隠者の迷路クリア)

 

経験点:ヤーハッカゼッシュと遭遇した★1つ

    隠者ヴァラルトと知己を得た★1つ

   隠者に解放軍への協力を要請する★2つ   

     (合計★4個)

    魔物退治分なし

収支結果:黄金の羅針ゲット

     5000G分のアイテム

  (ヴァラルトの話を解放軍に報告した段階で)

ミッション:迷路の隠者上層階の地図を完成させろ

エスト:ジーズドルフ解放軍の同志を集める

     (現在13人)

     隠者を協力させる→一応達成

     深層階で【月の図書館】を探す

     地下世界から外への脱出方法を探す

 

情報

・煌びやか卿アー・ヌルチェと商業同盟を樹立

・〈銀の蜜蜂〉からティアハートの花ミッションを受注できる。

・防空施設の魔力供給源は深層階の【翡翠のピラミッド】である。

・【ゴミ溜め窟】にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグが略奪品に詳しい。

・【ゴミ溜め窟】に、カレンの密偵仲間が行方不明に。

・【死者の道】に〈真紅のマギスフィア〉があるらしい。

 ・略奪品は【地底湖の畔】のマーマンが詳しい。

・【地底湖の畔】のマーマンは地上への抜け道にも詳しい。

・地下水路のリザードマンの集落の位置情報。

・ギルマン王ブグブリとの面会には、地下水路で手に入る〈ストロベリーオイスター〉が12個必要。

・〈ギルマン王の冠のかけらI〉入手。

・【コボルド窟】のオードル・プルは地上に伝手があるかも。

・【戦神の凱旋門】の魔窟で、魔神狩りができる。

・魔窟総監ギルギダッシュと知り合う→魔窟ミッションの予定

・ゴブリン王ムルカグンドリからグールメイジ退治を依頼される→ミッションの予定

・四祖の1人シェラシースの秘密は?

地下水路から地上への脱出には、〈銀水晶のサークレット〉が必要。

・漆黒のマギスフィアは、深層階の黒い球体に入る鍵。別に合言葉が必要。

琥珀のマギスフィアは、深層階に降りるのに必要。

 

密偵の知り合い

・アム・ヤーセン(ドワーフ娘→ラミア)

 キーワード「月の図書館」「隠者ヴァラルト」「黒炎の工房」「巨大格納庫」「漆黒のスフィア」

イゴール・ぺステリ(エルフ男→トロール

・ニコ・シュナウヘア(ナイトメア→オーガ)

 キーワード「防空施設」「シェラシース」「ヤーハッカゼッシュ」「地底に眠るもの」

・オスカル・バロー(シャドウ→バジリスク

 キーワード「白銀以上の勲章コレクター」

・シル・メリル(人間女→バルカン)

 キーワード「レジスタンスを探す裏切り者」

 

冒険達成度:合計4%

(当記事 完)