花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女主役の物語」&「その仲間たちの雑談話」など。TRPG話や特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。

魔神ハンターと、隠者ヴァラルト(SWミストグレイヴ3ー2)

引きこもり隠者の遺産

 

GM(ヒノキ)「では、今回から魔神ハンター、本格的な冒険の再開なのじゃ」

デル(リトル)「第3部の1話は、立ち上げたばかりの本部の話でいっぱいだったからなぁ」

ホリー(シロ)「本当は隠者の迷路に突入するまでは、進む予定だったんだけど、そこまで漕ぎ着けられなかったというか」

G太郎(ゲンブ)「リプレイ記事書きは、作者にとって複数のキャラの心を扱う高度な遊び。つまり、集中を要する頭脳労働でござるな。遊びとは言え、書いている本人は真剣な芸術作品の気持ちでいる。そして、創作家にとっては、自分の世界の構築に心血を注ぎ込むことが生きる意味と思い定めていたりもする。もちろん、同じ創作仲間なら、自分の生きる意味を人に伝えたいという自己顕示欲は理解した上で、他人の生きる意味も同じぐらい、あるいは、より真剣な場合もあることは察するべきでござろう」

GM「たかが遊び、されど真剣勝負な世界もある。この場合の勝負とは、読者にとって面白い記事や物語を書いて、自分も満足、読む者も満足ということじゃな。もちろん、読む者は関係ない、ただ自分の心からの思いを残すだけで満足する者もいよう。書きたいから書く、研究したいから研究する、他者の評価は二の次……という学究肌な趣味人もいて、昔はそういう自己の道のみを追求した者を隠者とも言った。自己の研究、自己の修行、自己の信仰を貫くために、人里を離れ、自給自足をしながら精進の高み、深みを目指す世界もあったのじゃ」

デル「だけど、一人きりで修行や精進ってできるものなのかぁ?」

GM「かの偉大な剣豪・宮本武蔵は、若き日は道場破りなどをしながら腕を磨き、仕官の道を探るものの、時は戦乱の世が終わり、剣術よりも文治の才を尊ぶ流れにあった。そんな中で、武蔵も書や画を嗜み、学僧に教えを乞うなども試みて、一応の見識レベルに達しはしたが、それでも剣の道断ち難く、年を経て己の習得した剣の極意を隠遁しながら書き残した。剣の道は、武蔵にとっての生涯を賭けた人生訓。どれだけの広がり、どれだけの高み、どれだけの深みに至れるか、兵法も交えて端的な言葉で書き記した稀代の一書、それこそ『五輪書』じゃ」

G太郎「五輪とは地水火風空の5つで、地は若き日からの自伝、水は自分の培った剣術の技の型と意味、火は戦場での兵法や心構え、風は武蔵の知る他流派の特徴と分析批評、そして空は剣の道を通じた武蔵の悟りが記されているでござるな」

GM「もちろん、武蔵個人の主観による書じゃから、それが唯一無二絶対の教えではないが、武道を志す者、あるいは創作で武芸者の修行や戦闘シーンのイメージを構築したい者が参考にできる『武芸の達人と言われた人物の遺した資料』であることは間違いない。ダイ大の『アバンの書』や、『鬼滅の刃』なども武蔵の書を直接あるいは間接的に引用したと思しきところもあり、多くの武者、武闘家の物語の戦術、武術、剣術の元ネタとなっていると言えよう」

ホリー「そいつは凄いですね。つまり、全ての武芸の道は、武蔵に端を発するということですか」

GM「さすがに全てとは言わんが、武蔵はすなわち『武術の思想の宝庫』。全ての宝が東大寺正倉院に納められているとは言わんが、それでも正倉院の宝が歴史文化遺産として重要なことは異論ないじゃろう。同じぐらいの伝統の重みが武蔵にはある。ある作家が武蔵を元にバトルを描いた。すると、そのバトルシーンに感じ入った者が、時には原典の武蔵にあやかり自分も勉強して違うバトルを描く。あるいは元ネタが武蔵と知らずに、作家のオリジナルと感じて、リスペクトするケースもあるじゃろう。そして、後から自分が描いたシーンの元祖が武蔵と知って、改めて武蔵すげえと勉強するケースもある。知らず知らずのうちに、武蔵のミーム、遺した考え方が、バトル物の土台を構築しているわけじゃ」

デル「子引き、孫引きで代々、受け継がれていく奥義の精神かぁ」

GM「もちろん、『五輪書』由来の戦法は多くのフィクションに描かれているため、そういう経緯を知らぬ者が読むと、半分ぐらいは『よくあるパターン、使い古された知ってる話だから、凄い奥義を期待して読んだら大したことは書いていなくて、がっかりした』という感想もあろう。ドラクエ3を今の若者がプレイしても、古くて面白さが分からないと考えたりするものか」

G太郎「古典というものは、よほど忘れ去られたものを除けば、ベーシックなものとしてジャンルの基盤となるゆえ、その後の発展した結果を知る者には、ただの古い当たり前の思想や芸事、よくある何かであって、新鮮さを感じないケースもあろうな」

GM「ただ、古典の中には『継承されなかった要素』『忘れ去られた良さ』みたいなものもあって、理解能力のない者は『自分が知っているものだけで判断して、知らない要素の良さには気付かない』ことも多く、宝の山の中に眠っているレアな、磨けば光るネタを見落としていたりもする。物の価値というのは、それに気付いた者が掘り起こして、今風に分かりやすく再構成して、その後で実は……と原典、元ネタを公開して、初めて評価されるケースもしばしばなのじゃ」

G太郎「それこそ、古い酒を新しい革袋に入れるということでござるな」

GM「リメイクやリブートも、古い素材を新しい今風の姿で描き直すということじゃからな。本来は、『新しい酒は新しい革袋に』というのが聖書の記述らしいが、要は新しいアイデアを活かすには、古い形式のままではダメなので、見た目も新しくしなければ、ということらしい」

デル「新しい酒を古い革袋に入れたらダメなのかぁ?」

GM「大抵は、それが新しいものだと受け止めてもらえないじゃろうな。古い酒で古い革袋だと、ただの古典。古い酒で新しい革袋だと、古典の現代的解釈や文芸復興にも通ず。新しい酒で新しい革袋だと、流行ジャンルだけど軽々しくも見える。新しい酒で古い革袋だと……古さを好む者にも、新しさを好む者にも期待外れで良さが伝わりにくい、と言ったところかの」

G太郎「まあ、伝統ジャンルの中で、新しい趣向を実験的に投入する形でござろうか。一見古びて見えるが、実は最新のパーツが使われて性能が高いレトロ機体というのは、マニアが喜びそうでござる」

GM「マニアが喜ぶのは大切じゃが、マニアしか喜ばないのでは、商売としては成り立たん。商業の理想は、マニアでなくても楽しめる軽い装いと、その奥にマニアが分かる深みがあるということで、知らなくても楽しめる、知っていればもっと楽しめる一粒で二度美味しい作品じゃな」

ホリー「その逆は、マニアじゃないと楽しめそうにない重い装いと、その奥にマニアががっかりする底の浅さしかない場合で、ライト層にもマニア層にも訴えかけるものがない話ですね」

GM「形だけマニアを真似て、中身がない作品はそんなものじゃのう。ガワだけ豪勢そうに見えて、中身がスカスカなものは損した気分になる。シンプルで読みやすく、それでいて密度が濃くて思ったよりも深い、これが理想じゃが、深さは作り手の学習量や人生経験にも起因するからのう。

「そして、何よりも『五輪書』は奥義書とは言え、実はシンプルで読みやすい。武蔵は理論家ではあるが、余計な虚飾を良しとしない性格ゆえ、華美で見た目の派手さを競った当時の道場剣術の流行に反し、勝つという一点に絞って練り上げた素朴かつ実戦的な剣術理論を書物に遺した。当然、その内容も素朴かつ実戦に応用しやすい。シンプルかつ奥が深く、若き日の実体験に基づく透徹した武の知見が老境に達して言葉に結実した書と見なせば、武道の師の教えそのままに読むことも、バトル創作のイメージ構築にも役立とう」

   

改めて隠者の話

 

G太郎「しかし、隠者という言葉から、剣豪として名高い武蔵を挙げてくるとは、さすがはアリナ様と言おうか」

GM「今でも、元アスリートの有名人が引退後にスポーツ解説者になったり、自分の体験に基づいたメンタル指南の書を書いたり、年令に応じた活躍の場を見せているであろう。武蔵の時代と違って、今は出版物がありふれているため、問われるのは玉石の中から自分に合った、自己を楽しませて精進させ得る真理を見出すセンスじゃ。読者が読む物には不自由しない時代ゆえ、作者はより読者の求めるものに敏感でなければ玉にはなれん。

「そして元来、書物が貴重だった時代は、自己が修行の果てに会得した悟りや知恵を後世に遺したいがためにそうするゆえ、遺っているものは時代の風雪に耐えた珠玉の作が多い。もちろん、江戸時代半ば以降、町人の識字率が高まり、浮世草子、絵草紙などの出版印刷が文化の柱となっていくと、人気作家の娯楽物語が世に出回るようになる。すると、作家は能や古典などの文化研究の知見を活かして、大衆が読める活劇や男女の情愛を描いた心中もの、滑稽本など多くの庶民の世俗文学が流行したのが元禄・化政文化の時代。

「作品が読者の感情や世の流行をリードするのか(作者主導)、読者の読みたいニーズに合わせて作家が提供するのか(読者主導)、どちらか片方と言うことはなく、結局は相乗効果があるのじゃろうが、作家が読者を乗せ、読者が作家を乗せ、その波をつかんだものは人気を獲得し、ノリから外れたものは雑多な石たるマイナー作品(それでも好む者はいる)、ただ箸にも棒にも掛からぬひどい場合は見向きもされないゴミ扱い。一方で大衆の人気作品ではなくとも、読み応えのある知見、深みがあれば、武士・貴族などの上流文化人の嗜むところとなり、そこで求められる価値は深き教養。元来、庶民が読むものと、上流階級が読むものは一線を画しており、直接比較はできぬもの。そして、明治以降も西洋の文物紹介や、新聞小説、大衆向きの文壇雑誌など、次々と近代文学の流れが生まれる。

「そこで、個人の抱えた悲劇や内面の苦悩を前面に出した私小説などの流れもできるのじゃが、私小説は歴史的には戯曲の心中もののテイストを写実主義のリアリティに乗せた系譜にある作品群で、最後はたいてい悲劇に終わることが多い。ハッピーエンドの恋物語が主流になるのは、忍ぶ恋を美とする日本の伝統ではなく、戦後のアメリカナイズされた価値観が元で、明るいラブコメはディズニーの童話映画や、青春映画、それを受けてのTV作品、そして少年マンガよりは少女マンガの延長に位置づけられるものと言えようか」

ホリー「って、アリナ様? ボクたちはTRPGをプレイするのではなかったのですか? 何だか新星さま以上に違う方向に脱線しているようですが?」

GM「おお、すまぬ。ええと、わらわが話したいのは、時代ごとに求められる文学作品の姿があって、その流れに素で合わせられる者はよし、逆に合わせられない者はせめて自分の書きたいジャンルが時代のどういう層に受け入れられるものなのか、自覚的でなければ人に読まれる話にはならないと言いたいのじゃ。

「元より、他人との関わりが薄い隠者めいた生活を送っている者は、世間知に疎くなりがちじゃから、自分が良かれと思って為した行動や書いた作品が、世間では求められていないという事情に気付くことなく、下手したら愚かなルサンチマンをこじらせる元になりかねないからのう。別に世間に過剰に媚びよと言うつもりはないが、その逆に過剰に世間を敵視しても、それで自分が良くなるものでもないのじゃよ」

G太郎「なるほど。アリナ様がヒントをくれた。自分の中で答えが出たでござる」

GM「何じゃ? 何の答えじゃ?」

G太郎「お忘れか。前回の宿題でござる。状況整理の記事の中で、アリナ様は『迷宮の奥にいる引きこもりな魔法使いに、どんな土産を持っていくのがいいか、悩むマッスルG太郎』という課題を示された。そのことを人知れず、黙々と考えていたでござる」

GM「バカ者。人知れず、黙々と悩んでいても、それを表現しなければ、読者には『悩めるG太郎さんの姿』も『トホホな哀愁感』も伝わらんじゃろう。悩んだとか、考えてるとか軽々しく言ったところで、その悩み具合、考え具合を適切に演出、表現しなければ、読者には分からん。表現者として、見る者、鑑賞する者に伝わらないのでは、無能もいいところじゃ」

G太郎「しかし、表現者の真意が伝わるには、見る者、鑑賞する者にもそれなりの目や受け入れるセンスが必要なのでは?」

GM「もちろん、そうじゃが、先程までのG太郎のセリフの中に、いかにも悩んでますって感じの描写はあったか? 伏線は仕込まれていたか?」

G太郎「そんな個人の悩みを切々と訴えるような女々しい振る舞いは、漢の風上にも置けぬ。漢は黙って、ただ背中で語るのみでござる」

GM「では、今、背中で語ってみよ」

G太郎「……(背中を見せる)」

GM「チェストーーーッ!」

G太郎「グフォーッ。背中を見せた相手をいきなり攻撃するとは、いくらアリナ様でも卑怯千万。強固な甲羅を誇るガメラの眷属でなければ、危うく死んでいたところでござる」

GM「後頭部に蹴りを入れなかっただけ、マシと思え。ただ、背中を見せただけで、会話主体のこの場で語ったうちに入るか。とにかく、G太郎が考えに考え抜いた答えとやらを、今、語らずして話が進まんじゃろう。いつ語るの、今でしょ、の極意じゃ。それこそTPO、時と所と場合の3要素。語るべき時に語らず、語るべきでない時に語っていては、時を外す、それこそT。Pもそうじゃ、場所を弁えよ。Oについては、場合分けじゃ。話を聞く場の求めるものに応じた、自分なりの芸のレパートリーを増やし、飽きさせない。ウケるかどうかは時の運。しかし、ウケる要素、芸のツボをいろいろ探り当て、行けるとなれば矢継ぎ早に繰り出す。

「武蔵だって、そう言っている。相手の構えに合わせて、柔軟たれ、とな。硬着した型にとらわれず、それでいて自らの力量や体格、特技に合わせた自らの一の型、二の型、三の型を何度も練習し、自然な動作になるまでに素振りを重ね、必要に際して瞬時に対応できる動きに磨くべし。されど、動きが読まれているとなれば、相手の動きに応じて、いつでも機先を制するように間合いを外す。相手が踏み込んで来たら、踏み込みの先を読んで体を反らし、最小限の動きで攻撃に切り替え、踏み込まない相手には隙を見せて相手を動かすように仕向けるなどなど」

G太郎「おお、そうか。確かにマッスルG太郎のカウンターキックもそうでござったな。さすがは武蔵どのでござる。しかし、この会話セリフ主体の場において、背中で哀愁を語るには、あまりにも難度が高い。場に合わせた適切な表現をするには、求めに応じられぬ型は不要と切り捨てることも肝要。では、我が悩みに悩み、考えに考えた事の真理を答えよう。それは一言、『情報』でござる」

GM「ほう。その言葉の真意はどう説明する?」

G太郎「隠者ヴァラルトなる人物が、どういう御仁か、隠者ということしか我らは知らぬ。何を土産に持って行けばいいのか、皆目見当がつかぬ。これが別ブログの妖精郷の話なら、ラナ印のスイーツを持参すれば、大抵の交渉事は何とかなると聞いたが、この蛮都の地下にはそういうスーパー交渉アイテムはないであろう」

GM「うむ。煌びやか卿なら金、騎獣を愛するフーララバラ嬢なら同じく騎獣愛、たいていは相手が愛する何かへの愛情や理解を示せば、分かり合えるがのう。蛮都の地下では、皆が皆、共通して愛するものはなかなか見出だせぬ。蛮族の価値観は、弱肉強食、自由気ままであるからして、誰でも同じという考えでは立ち回れん」

ホリー「その点では、創作趣味も似たようなものですね。弱肉強食、自由気まま、死して屍拾う者なし(個人差はある)。ただあるのは、楽しさとはこういうことだと示せる強烈な自負と、自分の技術を磨く向上心と好奇心、そして己を突き動かす衝動かな」

G太郎「しかし、この地は蛮族だけでなく、人族の密偵まで人知れず行動しているから、さらにややこしいでござる。蛮族の流儀、人族の流儀、相手を見誤ると、とんだ失態を仕出かすゆえ、相手がどういう人物か情報を得ずして、安易に決めつけるのは良くない」

GM「言っておくが、隠者ヴァラルトにまつわる情報などないぞ。直接会わぬことにはな。と言うか、それを調べることも、お主たちに期待されていること」

G太郎「それは向こうも同じでござる」

GM「何?」

G太郎「GMのアリナ様はともかく、迷路の奥に隠遁している隠者なる者は、外の世界の情報に飢えていると見た。よしんば、魔法の水晶球などのアイテムで外の世界を見ることはできるとしても、それは一面的な情報に過ぎず、研究者ともなれば多面的な知識を欲するはず。ましてや、烈火団は最近、この地に登場した新興勢力。どのような存在か、外の世界に興味があれば詳しく知っておきたいと考えるのが先見の明というもの。もちろん、外の世界を知らない真の引きこもりであれば、あるいは自分しか見えぬ研究活動の虫であれば、打つ手は簡単。その研究内容に興味を抱いて、邪魔をせずに手伝いをしたいと申し出れば、同胞意識からこちらの話に乗ってくるはず」

GM「お主の助けなど必要ないと断られたら?」

G太郎「その時はその時。しかし、我らにはご近所付き合いの挨拶回りという大義名分もある。そして、何よりも、このマッスルG太郎のお笑い芸こそが最大の土産。よしんば、腹筋崩壊芸が通用しなくとも、我らは一人ではなくて三人。この中の一人でも、隠者どのの琴線に触れる芸を示せば、必ず関心は得られよう。我らの武器は、一に外の世界の情報。二に隠者どのへの好奇心の表明。あとは、三人三様の陽性お笑い芸があれば、箸にも棒にもかからぬことはあるまい」

ホリー「芸人はお前だけだ、G太郎。ボクにはそんな陽性なお笑い芸の持ち合わせはない」

G太郎「いや、イノセントとのコンビプレイ、騎獣芸は十分お笑いの世界でも通用するでござるよ。ペット好き、動物好きは、世に受け入れられやすい属性でござる」

ホリー「そ、そうか。そうだな。ボク一人じゃ芸にはなれなくても、イノセントと一緒だったら、みんなを和ませることだってできる。何しろ、イノセントなんだからな。うん、イノセントは正義、イノセントは希望、イノセントは世界を超える愛なんだ、納得した」

デル「師匠、オラはぁ?」

G太郎「グレンダールは芸人の神さまではないが、それでも職人の神として、ものづくりの大切さ、すなわち破壊と創造を司っていると聞く。破壊も創造もうまく使いこなせれば、立派に芸として成立するでござる。かのG3、氷川誠を見よ。不器用で無骨ながら、何かを壊し、豆腐をすくえないけど一生懸命ムキになるだけで、芸として成立しているではござらんか。そう、不器用で無骨なれども芸人にはなれる。それこそ平成ライダーから現在、我が学んでいること。G3のGは、G太郎のGでござる」

 

寄り道雑談からの大試練

 

デル「為になるかもしれない話はこれぐらいにして、今回のミッションは結局、どうするんだぁ?」

G太郎「ミッションは今回、引き受けないでござる」

デル「何故だぁ? ミッションを引き受け、それを達成することで経験点の清算と成長機会が得られるぅ。つまり、ミッションを果たすことが冒険の王道だろぉ?」

G太郎「しかし、一度に受注できるミッションは一つのみ。そして、当ミストグレイヴのシナリオにおいては、様々な勢力からミッションを受注できるゆえ、特定のミッションを引き受けたければ、他のミッションは受注せずにフリーな状態を保たねばならぬ。私はゴブリン王ムルカグンドリのグールメイジ退治ミッションを引き受けるために、今はまだミッションを受けぬままにしておくことを望むでござる」

ホリー「ゴブリン王の仕事か。『ゴブリンスレイヤー』を推奨するブログとしては、そして基本は蛮族嫌いのボクとしては、ゴブリンからの仕事を引き受けるのは抵抗あるんだが」

G太郎「もちろん、仕事は選ぶでござるよ。烈火団が引き受ける仕事は、世のため人のためになることに限る。金のために外道仕事まで引き受けるほど落ちぶれるつもりはござらん。亡者のグールメイジ退治は、人蛮共通の利益につながるゆえ、引き受けるのもよかろう。ただ、その前に道中の隠者の迷路は攻略しておかねば、回り道をせねばならぬからな」

ホリー「分かった。ゴブリンからの仕事はその都度、是々非々で受けるかどうかを決めよう。隠者の迷路攻略はミッションではなく、クエストだから先にそれをクリアしてから、ゴブリン王のところへ出向く予定、と」

デル「では、早速……と言うには遅すぎなので、満を持して北へ向かうぞぉ」

 

GM「ようやくゲームが進むのじゃ。商業リプレイなら『ここまでのゲーム進行に関係ない寄り道雑談はまとめてカット、あるいは一部だけ編集してまとめる』ところじゃが、まあリアル会話っぽい雰囲気を重視して、プレイ中の無駄話も極力カットせずに収録した次第」

G太郎「作者の脳内妄想リプレイに、リアルっぽい雰囲気もないと思うでござるが」

GM「何を言うか。本リプレイはメタフィクションの要素もあって、虚実混淆している一面もあるが、空想妄想だからこそ、どういう形でリアルらしさを構築するかはあらゆる創作フィクションの課題なのじゃ。元来、物語の登場人物に過ぎないキャラクターが作者のコマではなく、物語進行のための操り人形ではなく、その世界の住人として生きているんだと感じさせるための手法。それは作者のテクニックであり、創作観に通じるものじゃが、そこが未熟じゃと、読者は世界に没入できずに興醒めする。作者が文章でキャラの描き分けができていない、キャラの見え方、感じ方、考え方を自分のものと区別できていないで、物語の都合の良いようにしか動かせないようじゃと、いかにも作り物臭い。

「逆に、キャラの自然の姿をそれっぽく描き出し、生き生きと行動させた結果として物語が生まれるとなれば、それこそが読者が感じ入れるキャラであり、今風の物語。もちろん、商業作品なら尺が限られているため、物語進行に必要ない冗長な部分は編集段階でカットされ、規定の尺に収めることもプロの技術の一つじゃが、当ブログの妄想リプレイは、いや、当ブログの全ての記事は元より『徒然草』の精神で描かれておるのじゃ」

ホリー「『心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ』ですね」

GM兼好法師も隠者そのものであり、来歴を語ると神職の出でありながら、貴族、歌人文人の道を経て、一説によると名のある武人との親交も持ち、齡30ほどにして出家。まあ、つまり幅広い経歴を持つ御仁であるが、本人はいろいろ手を広げてやったけど大成せずに中途半端な人生を送っているように著作内で自嘲気味に語っておるが、後年の目からは文学作品として思いきり大成しているではありませんか、と思うばかり。

「それは法師の物の見方、考え方が当時の識者の目として偏らず、幅広く、そして深く透徹して、しかも内容が平易で、主観、客観を駆使しながらも極力ニュートラルに世間から距離を置いた形で語っているから、時代を超えて普遍の真理・教訓としても読めるという稀代の珠作と言えようが、まあ、そんなことはどうでもいい。今はとにかくダイスを振れ。1Dじゃ」

デル「やっとゲームの話だぁ。5」

GM「ならば、本部を出て北の区画へ向かう途中で、お主たちは何と! 翠将ヤーハッカゼッシュに遭遇する」

G太郎「はい? いきなり? マジでござるか?」

GM「うむ。わらわも驚いているが、ランダムイベント36番、ラスボス登場イベントが発動した。お主たちの前方に、金色の長い髪の少女を従者に伴った隻眼の美男子がニヤニヤと嬉しそうな笑みを浮かべて、待っている。なお、外見はこんな感じじゃ」

ソード・ワールド2.0サプリメント  ミストキャッスル  ─蛮都からの生還─

G太郎「ええと、その身震いするような雰囲気を醸し出している御仁が、まさかの翠将であるとは、我々は分かってよろしいのでござるか?」

GM「デルとホリーには分からんが、地上のミストキャッスルでは翠将の似顔絵が街の至るところで支配者の姿として貼られているゆえ、G太郎はその顔を知っているとしよう」

G太郎「ま、まさか……という顔でガクガクブルブルと震えるでござる」

ヤーハッカゼッシュ『よう。お前たちが噂の烈火団とやらか。この地に住まう者なら、オレの顔は当然、知っているよな』

G太郎「 バ、バカな。上様がこのようなところにおられるはずがない」

ヤーハッカゼッシュ『ほう。このオレが翠将の名を騙る偽者だとでも言うつもりか? 最近、この地で名を挙げた烈火団というのが、どんな連中か興味があってな。それに、そこのお笑い芸人ルーンフォークのマッスル太郎だったか。地上で派手に暴れて、「出来損ないのヒューリカ」までも倒したって話は聞いているぜ』

G太郎「そこまで知られていた?」

ヤーハッカゼッシュ『この街において、おおよそオレの耳に入って来ない情報はないと知れ。優秀な諜報官も配下にいるのでな。ただまあ、大抵の噂は取るに足りない雑多なものだから聞き流しているんだが、「魔神使いザバーラ絡み」とか、「レジスタンスとの接触」とか、「供物の娘のかどわかし」とか、「サンドリーヌを連れての脱出行」とか、あれだけ派手に動き回ってちゃ、どうしても気になるじゃないか』

G太郎「地上の冒険譚が何もかも知られている!?」

ヤーハッカゼッシュ『そのまま街からいなくなったなら、放っておいても良かったんだが、また地下で何やら動いているって聞いたのでな。マッスル太郎の立ち上げた烈火団がどれほどのものか、一度お目に掛かりたいと思って来たのよ』

G太郎「いや、翠将閣下が気に掛けるほど大したものではございませんよ。ええと、ここは一つ、土下座しても構わないでござるか?」

デル「し、師匠?」

ホリー「翠将の顔も、地上での話も知らないボクは、何が起こっているのかよく分からないので、G太郎がここまで動揺している姿を初めて見たと思いつつ、いつでも逃げる準備だけは固めていよう」

G太郎「弟子たちの手前、土下座したくなるのは我慢して、ここは何とか虚勢を張るでござる。『我らが烈火団の本部設立に、翠将閣下が興味を抱かれるとは望外の喜びにして、恐悦至極。しかし、あまりに急なことゆえ、こちらは歓待の準備も整えておりませぬ。ご無礼の程は平にご容赦を』と適度な礼を示し、反抗の素振りは見せないようにする」

ヤーハッカゼッシュ『そんなことはどうでもいい。こっちも忍びの身だ。仰々しい歓迎など必要ない。オレはこの街を統治するバルバロスの王だ。バルバロスの流儀は簡単。強いかどうか、有能かどうか、生き残るに値するかどうかだ。マッスル太郎、噂に聞いたお笑い芸人の実力を今、試してやろう。さあ、掛かってくるがいい』

G太郎「お笑い芸人の実力でござるか。ならば、全力全開・腹筋パワー! と叫ぶでござる」

GM「では、先制判定を行うがいい」

G太郎「え? マジで戦闘するのでござるか? 会話演出で済ませるのではなく?」

GM「先制判定じゃ」

G太郎「とりあえず、振るだけ振ってみるでござるよ。出目10なので、20でござる」

GM「こちらは27なので、先に攻撃する」

G太郎「ちょっと待った。せめて事前準備として、練技【ビートルスキン】と【ガゼルフット】を使って、防護点+2、回避力+1しておくでござる」

GM「好きにするといい。では、こちらは2回行動を宣言して……」

デル「ちょっと待ったぁ。さすがの師匠でも、ラスボスの2回攻撃をくらったら死んでしまうと見て、そのうち1回はオラがかばうぜぇ。もちろん、事前準備として【ビートルスキン】は宣言しておくぅ」

GM「ならば、一撃め。目にも留まらぬ剣閃がG太郎に襲いかかったのを、かろうじて割り込んだデルニールが受け止める。ダメージは29点じゃ」

デル「防護点は12点だから、17点くらったぁ。残りHPは14点」

GM「一撃はデルが庇ったが、衝撃で吹き飛ばされる。そして次の攻撃が、今度はG太郎に襲いかかる。命中値32に対して、回避を試みるといい」

G太郎「そんなの6ゾロでなければ不可能でござるよ。はい、出目5で、回避20。ここまで速い攻撃は今まで見たことがないでござる」

GM「ダメージは6ゾロで36点!」

G太郎「ぐはっ。敵の攻撃はクリティカルが発生しないのが幸いでござったが、ええと、防護点は5点だから31点受けて、残りHPは20点。デルが一撃をかばってくれなかったら、一瞬でHPが0を切って、生死判定に突入していたでござる。吹き飛ばされて、かろうじて倒れることなく立っているが、何もできぬまま気付くとズタボロになっている自分を認識して、驚愕の表情を浮かべるでござるよ」

ヤーハッカゼッシュ『ほう、一撃に耐えたか。だが、二撃めがとどめになりそうだな。仲間に守られて命拾いしたようだが、この程度じゃ、まだまだ使い物にならん。興が冷めた。次に会う時までに、もっと腕を磨いていろ。十分な力量を備えたら、我が翡翠親衛隊に取り立ててやってもいい。帰るぞ』

GM「そう言って、ヤーハッカゼッシュはお主たちを顧みることなく、去っていく。ただ、従者の少女が去り際にふわりと会釈して、G太郎とデルに視線を向けると、失ったHPとMPがじわじわと回復する。神技にも似た不思議なパワーを感じながら、気がつくと、少女の姿も翠将と共に消え去っていた。過ぎてしまうと、何やら夢を見たかのような心地で、お主たちは茫然とそこに取り残されている。これで、翠将との初邂逅イベントは終了じゃ。★1つを進呈しよう」

 

 こうして烈火団は、まさかのラスボスとの邂逅を大過なく生き延びた。

 弟子のデルニールが庇ってくれなければ、マッスルG太郎の物語も終了する可能性が高かったので、作者としてもドキドキのイベントである。

 でも、結局は、隠者の話をいろいろしただけで、このままだとタイトル詐欺になってしまうので、次回に続く流れということですな。

 次回、「続・隠者ヴァラルト」ってことで、今回の記事はここまで。

(当記事 完)