他ブログのコメント欄を受けて
ヒノキ「新兄さんの執筆ペースが落ちているようじゃ」
ゲンブ「その分のエネルギーを、コメント対応に費やしているようでござるな。まあ、社交は大切でござるし、ブログのメインテーマではないライトノベルの創作話や、創作コミュニティーでの振る舞い方に関する説教めいた愚痴に不毛な時間を費やしている、と見た」
リトル「不毛なんですかぁ? コメント欄を読んでいると、良い勉強になるとも思いますがぁ」
ヒノキ「そりゃまあ、転禍為福を目指して書かれた文章だから、読む者によっては建設的に受け止めるじゃろう。しかし、肝心の読むべき当人に刺さって、学ばせるに至らんのではのう。
「無理やりラブコメに例えるなら、本命の相手に気持ちが伝わらず、それ以外の人間の好意をゲットしてしまうとか、
「教育に例えるなら、落第生に分からせるつもりで補習をしていたら、教室の外で聞いている別の人間が興味を持って、そちらの成績の方が上がるとか、
「数学の猛勉強をしてテストに臨んだら、数学の成績は全然上がらないのに、英語や社会の成績が上がって、何でだよと自分の努力の方向性に???を感じるとか、そんなところかのう?」
シロ「つまり、自分の意図とは異なる副産物の方に結果が出ているということですね」
ヒノキ「それに気づいたなら、賢い人間は方針転換をするのじゃろうな。成果の上がらないことには見切りをつけ、本命じゃないサブヒロインと仲良くするとか、落第生以外の成績を上げることに専念するとか、理系を諦めて文系を目指すとか」
リトル「僧侶戦士から武闘家に転職するとかですねぇ。より結果の見込まれる、自分の才能の発揮できる状況を構築する、と」
ヒノキ「まあ、教育者としては『バカな子ほど可愛い』ということもあるのじゃろうが、そこから『可愛さ余って憎さ百倍』とか『憎まれっ子世にはばかる』とか『人目をはばかる不義人情』とか、いろいろ派生して、最後は『バカな子ほど可哀想』に行き着くわけで」
シロ「どこまで行っても、バカはバカなんですね。そこまでイジめなくてもいいと思うのですが」
ヒノキ「イジメじゃないとはイジメっ子の弁じゃが、教育指導の場合はなかなか難しいのう。元々は『創作企画から始まった関係性』であって、新兄さんは『TRPG関連の仕事に夢を掛けて挫折した過去』があって教育業を生業としながら、自分のサイトを中心に趣味の文章書き(小説ではなく、特撮やゲームなどの感想メイン)を楽しんでおった。そこに『自分の創作企画を手伝ってくれませんか』と腐れ縁の主が、特撮掲示板に出現したのじゃな。もう、最初から場違いだったわけじゃが、一応、特撮ヒーローを題材にした企画ということで、新兄さんが当時管理していた議論用掲示板の話題ならいいか、と場を移した」
シロ「それがラーリオス企画なんですね」
ヒノキ「当初は、企画主(原案者)を中心に、新兄さんは場所を貸すだけで、様子を見守るだけのつもりじゃったらしいが、企画主が企画を回すような作業にちっとも慣れていなかったので、場の管理人および企画協力者の体面からフォローを入れているうちに、結果的に原案者の存在感を新兄さんが奪った形になってしまったのじゃ」
ゲンブ「原案者が学園バトル物のラーリオス本編を書き、新星どのが過去編であるプレ・ラーリオスで背景世界の構築のフォローをする形で展開し、二つの物語で企画運営をするうちに、興味を持った第三者がエジプト文明を背景にした初代ラーリオスの話を書いたりして、一つの星輝世界をみんなで盛り上げようとした。そして、原案者は大風呂敷を広げはするものの、実務や折衝能力が全くダメで、そういう細々とした要素を新星どのや、何人かの協力者たち(その中にはアリナ様の契約主どのもいる)がフォローする形で企画は展開したものの、結局、原案者が離脱したでござるな」
ヒノキ「原案者の離脱した理由は諸事情考えられるが、口さがない者は、原案者が当初考えた企画を新兄さんに乗っ取られたような形になったから、と噂もされた。新兄さんの言い分では、『企画に協力しているうちに相手が独り立ちしてくれたらいい。ただ、複数の人間が協力してくれる以上は、原案者の名に恥じない振る舞いはできるようになって欲しい。そういう経験を重ねれば、作品にもフィードバックされるだろう』ということじゃったし、企画が動いている間は、新兄さんは原案者の体面を立てるように振る舞って来たはずじゃ」
シロ「それがどうして今のようなギスギスした関係になったのですか?」
ヒノキ「そもそものきっかけは、原案者が『自分は生活に困窮していて、プロの作家にならなければいけない』的な打ち明け話をしたからじゃな。まあ、プロ作家を目指すのは夢だからいいとして、生活云々を公の場で打ち明けたのは失敗じゃったと思う。せっかく、みんなで楽しく企画を回している最中に、深刻な空気を持ち込んでしまったからのう。遊びの場に、遊びじゃない重さを突きつけて、白けさせたのは大きな罪と言えよう」
リトル「罪なんですかぁ?」
ヒノキ「少なくとも、リーダーとしての振る舞いではなかろうな。チームの気持ちよりも、自分の気持ちを優先させて、無責任な言動で皆を振り回したのじゃから。創作家は総じて自己中な面が強いものじゃが、企画主である以上は、自分よりも企画の成否あるいは、立ち上げたなら最後まで始末をつけるところまで責任を果たしてこそ、信用が得られる。が、企画主はそういう責任のとり方、身の処し方のできない男であることを、その時のみならず、その後も次々と露呈していく形で信用評価をどんどんマイナスに落としている次第じゃ」
信用って、なに?
ヒノキ「まあ、公私の立て分けとか、公約は必ず果たすように務めるとか、果たせなくても進捗状況はきちんと説明するとか、自分の過ちにはきちんと謝罪するとか、情報の信憑性をきちんと確認して自分の言動には責任をとるとか、人からの期待を裏切らないように心掛けるとか、できないことはできないと早めに言明するとか、いろいろあるじゃろうな」
ゲンブ「それらの行動は、社会人として世渡りする上での常識でござる」
ヒノキ「そして、『公私の立て分けができない』『公約を果たさない』『説明責任を放棄する』『ちょっとした謝罪すら恥ずかしいと断る』『思い込みの嘘情報を流しまくる』『期待を煽りはするものの、期待外れに終わる(自分の力量を過大評価しがちで客観視できない)』『できないことを投げ出して、後から言い訳して、自分は悪くないように取り繕う』……と言う人間に、信用構築などできるはずがなかろうな」
シロ「ずいぶんと細かく状況観察しているのですね」
ヒノキ「新兄さんの観察能力と記憶力の賜物じゃな。マニアかよ、とツッコミ入れたいところじゃが、新兄さん曰く、『見たくなくても、いちいち視界に入って来ようとするから、イヤでも傾向と対策を立てないといけないだろう。トラブルの原因は、しっかり確認して、問題が広がらないように想定しておくのが、リーダーシップというものだ』と言うことらしい」
シロ「警察が、犯罪者の動向に目を光らせているようなものですね。問題行動の常習犯が自分の管轄地域に現れたら、神経を費やされる、と」
ヒノキ「当の本人は、それが自分への好意ゆえと思い込んでいるとしたら、大間違いじゃ。まあ、犯罪者の動向をいろいろとチェックしているうちに、犯罪者の考え方に精通する刑事さんも多いのは、ドラマなどでもお馴染みで、刑事と犯罪者の間に奇妙な連帯意識が生まれるケースもないわけではないが、現実ではなかなか難しい。刑事は法を遵守する責務があるから、犯罪者が法を犯さないように更生しているなら大目に見るが、ひとたび法を犯しているとなれば、過剰なほどの執念をもって相手を撲滅しようとする。罪を憎んで人を憎まずが原則じゃが、『罪が改まざる人間、過ちが習い性になっている人は、存在そのものが害悪でクズ扱いする』というのも、職務経験上の学習効果という奴じゃ」
ゲンブ「まあ、犯罪者に例えるのは、言い過ぎとも思うでござるがな」
ヒノキ「ならば、管理する側が犯罪者だとしよう。すると、自分の縄張りに他所者が入って来たらどうする?」
シロ「とりあえず様子を見て、問題行動を起こすようなら、落とし前を付けさせるでしょうか?」
ヒノキ「警察は法の名の下に行動し、秩序を乱さないように排除する。マフィアや蛮族は自分たちの流儀に従うなり、相手の力量に応じた処遇を与えるなりで、多少のトラブルメーカーでも義理人情の生き様や自立心を示した者は、一目置いたりもする。要は、自分たちの組織や社会に益をもたらす存在なら、特別扱いも辞さない」
リトル「秩序やルールを重視するか、義理人情や利得を重視するかですねぇ」
ヒノキ「で、どちらも持ち合わせぬチンピラのような小者だったら、どうするのじゃろうな?」
シロ「こちらが法の守護者だろうと、自由の守護者だろうと、相手がチンピラなのは変わらないんですね(苦笑)」
ヒノキ「実質、世間知らずの風来坊、トラブルメーカーはそんなもんじゃろう。仮に、探索行に赴いた遍歴の騎士と持ち上げたとしても、他人の領分を犯して傍若無人に迷惑をもたらして恥じないという意味では同じじゃ。何なら、買いたくもない物を売りつけに来る迷惑なセールスマンや、変な宗教の勧誘者と見なしても同じこと。いや、彼らは仕事や組織のノルマで行動している分、『結構です』の一言で帰ってくれるし、目的意識が明確で『お時間をとらせました』と返礼して帰るぐらいの社交性は弁えておる」
ゲンブ「真っ当な社会人にとって、自分のために時間を割いてくれるだけで、感謝に値するものと考えるし、時間という資源を相手に使わせることに対する遠慮を表明できるもの。時間をとらせた分、自分との付き合いが楽しく有意義なものであるというアピールは、社会を生きる者としてのマナーでござるな」
ヒノキ「『つまらない質問のために、お時間をとっていただき恐縮です』という思いが微かでもあれば、自分の些細な好奇心を満たすための質問は遠慮するはず、とか、そういう社交の常識が通じない輩じゃったからのう。少なくとも、新兄さんは世間的に先生と呼ばれる職業ゆえ、生徒からの質問は日常茶飯事。そして、質問して答えたからには、その理解のほどを確認するところまでが1セットじゃが、まあ、『質問する割に、考えが深まらない輩』には相当にうんざりさせられたそうじゃ」
リトル「リウたちもアリナ様に、いろいろ質問しているですぅ」
ヒノキ「そりゃ、わらわたちは身内じゃし、子どもの教育は大人の務め、シロやリトルが立派なコンパーニュ四天王に育つことは、わらわの利益や満足にもなる。そもそも、お主たちは話の文脈をしっかり読んでくれるゆえ、わらわの言いたいことを適切につかんでくれおる。質問には何よりも流れと受け応えが大切じゃ」
ゲンブ「流れをつかまない唐突な質問や、回答への気の利いたリアクションを伴わない態度が重なると、質問をされて答えた側の徒労感が募るでござるなあ」
ヒノキ「まあ、情報を得るための質問力は、ビジネスの場面でも重要視されるらしい。もちろん、対面会話での質問と、リモートでの質問は勝手が違うこともあるし、書き言葉における質問は話し言葉よりも重さが異なる。回答が後に残るゆえ、相手もあれこれ資料を調べたりする労力も想像しておくべきじゃ。『一回の質問に、相手がどれだけの労力を費やして答えているのだろうと想像し、自分がその労力に応じた返礼ができるかどうか、判断できない場合』は気軽に質問すべきではないじゃろう」
何でも知ってる魔法使い
ヒノキ「質問と言えば、思い出すのは『魔法の国ザンス』に登場する情報の魔法使いハンフリーなのじゃ」
ゲンブ「ほう。唐突にファンタジー小説の話でござるな」
ヒノキ「ハンフリーはどんな質問にも答えを示してくれる知恵者で、シリーズの第1巻から登場するレギュラーキャラ。その巻の主人公が人生の悩みに直面して、解決方法を求めてハンフリーの助言を受けて、それをヒントに探索行に赴くのが大体の定番のパターン。そして、ハンフリーは質問に来る者に対して、3つの試練と1年間の奉仕活動を代価に要求するわけじゃ」
シロ「ただでは教えてくれないのですね」
ヒノキ「昔、親切心で教えてやったことがあって、するとザンスじゅうのいろいろな者が次から次へと、つまらない質問を持ってきて、ハンフリー自身の生活が脅かされたことがあった。ザンスには貨幣経済がないので、ハンフリーは何よりも『価値ある質問と雑多な質問を峻別する必要性』から、試練と1年の奉仕に値するほどの重要な質問のみ答えるような決まり事を設けたわけじゃ」
ゲンブ「普通、質問とは相手とのコミュニケーションを円滑にするためとか相手のことを知っておきたいとか、会話の話題をつなげるための情報交換とか、学生が知識を習得するための必要性とか、新聞記者の取材目的とか、とにかく欲しい情報の伝達なり、会話を促進させるなりの目的をもって行うものでござるな」
ヒノキ「うむ、普通は無目的の質問などせん。雑談的な会話では何気なく聞いてみることもありじゃろうが、例えば、メールの最後に必ず質問で締めくくる相手をどう思う?」
シロ「よほど切実に返信が欲しいのでしょうね。ただ、それを強要しているというか、さすがに毎回だと浅ましいです」
ヒノキ「わざわざメールを出してくるというのは、プライベートに相談したいことがあるとか、メル友として親密さを表すためとか、いろいろあるのじゃが、新兄さんは掲示板管理をしている人間で、管理人としてトラブルが発生したときに、場の参加者から意見をもらうためにメールを活用しておった。例えば、創作企画でのアイデア交換などにメールを使うこともあったようじゃが、新兄さんは『ただのアイデア交換なら、掲示板上で企画参加者の見ている前ですべき』という考えだったそうじゃ」
リトル「どうして、メールでこそこそなんですかぁ?」
ヒノキ「自分のアイデアを人に盗まれるのを警戒したか、あるいは参加者に批判されるのを恐れたか、それとも企画主の心根として『創作家である新兄さんの話は重視し、創作家ではない他の参加者は露骨に軽視する』という態度ゆえか。とにかく、『自分はプロの創作家を目指す凄い人間で、企画の参加者よりも一段上だから、重要人物としてチヤホヤされて当然』みたいな態度をとりがちだったらしい。これは現在も露骨に、他人への敬称の付け方などで上下関係を示しがちじゃが、『上にはへつらい、下と見なした人間にはスルーするか、粗探しで詰るか』が非常に鼻につく態度に見えた」
ゲンブ「まあ、人間関係には時としてヒエラルキーが付いてくるものでござるが、『創作家が偉い』という認識があからさまでござるか?」
ヒノキ「例えば、企画主はプロの創作家にはしばしば『○○先生』を付けておるが、本来、作家を先生と呼ぶのは、『編集さんが作家に対する敬意を示す場合』で、読者が作家を先生呼ばわりするのは、おそらくファンレターの募集なんかで『○○先生に応援の手紙を送ろう』などという編集氏の言葉に乗せられているのじゃろう。しかし、この先生表記、あらゆるプロ作家に等しく付けるなら問題ないが、彼の場合、敬意の表明と失礼が露骨に出がち。『車田先生』とは呼んでも『ゆでたまご先生』とは呼ばないし、尊敬する人間は過剰に尊敬し、そうでない人間は非常に雑な扱い。その上下差が極端に出るのは、少なくとも大人の態度ではない。社交性に欠けた子ども的な態度がいかにも丸出しなのじゃ」
シロ「相手によって態度がコロコロ変わる。それは人間として信用できませんね。少なくとも、自分が嫌いな相手であったとしても、最低限の敬意を示さなければ、大人の社交とは言えません」
ヒノキ「あの柳田理科男嫌いで暴言連発だった山本弘氏でさえ、批判対象に対しては柳田氏と敬称付きで呼称し、あくまで著作や主張への批判であり、人格批判まではしなかったわけじゃが、嫌いだから、いくら見下しても構わないとする態度では、大人として遇することは難しかろうな」
リトル「呼び捨てはマズいということですかぁ?」
ヒノキ「時と場合による。アカデミックな場面では、批評対象を敬称抜きで客観的に論評するのは普通じゃ。そこでは尊敬しようがしなかろうが、全部まとめて敬称抜きで感情や立場を排したニュートラルな態度が求められる。あと、外国人の名前や歴史人物には呼び捨てが多い。
「さん付けは、面と向かった対話、あるいは直接の掲示板でのやり取りでは普通じゃし、最も無難な敬称じゃろう。○○氏、○○女史はややかしこまった場面で、そこそこの距離をとった敬意という感じがする。○○君は、親しい友人関係、同輩関係を示唆する感じで、同輩は君付けで、後輩でも面識がない場合は、さん付けというケースもある。あくまで、話し手の感じる距離感を表現しているわけじゃ」
ゲンブ「坂本監督や庵野監督などは、役職呼びで通用するでござるが、脚本家の場合は難しいでござるな」
ヒノキ「三条陸脚本とか長谷川圭一作品とかで、人ではなく作品という形で表すこともあれば、三条さん、長谷川さんという呼び方だったり、その辺の呼び方も人や場面それぞれじゃが、匿名板では中立色を増すために敬称抜き、通常はさん付け、隔意は感じるけど礼儀は失いたくない場合は○○氏。呼び捨てで罵るのは社会人の礼儀としては、あまりにも粗すぎるので、語り手の人格が疑われると考えた方がいい」
シロ「ちゃん付けは?」
ヒノキ「あまりにも距離を詰めすぎじゃ。まあ、年下の女の子やアイドル、女の子同士の親称になるのじゃろうが、小さい女の子みたいな感じじゃのう」
シロ「翔花はボクをシロちゃんと呼びます」
ヒノキ「そう言えば、わらわもヒノキちゃんじゃのう。まあ、粉っちゃんだから許す」
リトル「リウはリウ君って呼ばれましたぁ」
ゲンブ「ゲンさんか、亀おじさん……でござる」
ヒノキ「どんな呼称を付けるかでも、人間関係がイメージできるのう。まあ、大人としてはあまりにも失礼に見える言い方は、口に出す人間の良識の欠如を意味するので、自分を飾るためにも避けた方が良かろう」
原案者の思惑
ヒノキ「で、これはラーリオス企画の原案者の思惑の推測じゃが、元々はマンガ家になりたかったのが、絵が上手でなく、『文章しか書けない』と自分を卑下して、ラノベ作家を目指したものと考えられる。彼にしてみれば、マンガ家が上で、文筆家は一段劣るものと考えていた時期があったと見受けられる」
ゲンブ「その根拠は一体?」
ヒノキ「サブロー殿に対する態度じゃ。わらわが見る限り、サブロー殿がイラストを描けると表明した途端、露骨に態度が変わった、と思われる。そして、あまりにも無内容な雑談メールと質問を連発しまくった挙句、グランクレストに関心を示さない態度も合わせて、見切りを付け始めた新兄さんに、メールでの付き合いを断絶宣言された際、サブロー殿に擦り寄ったりして、すぐに愛想を尽かされたそうじゃ。
「やはり、好きなものへの持ち上げようと、そうでないものを知りもせずに見下す態度(しかも根拠は世紀末の謎本ブームの際の古い情報で、明らかに時代遅れな先入観に基づくもの)があからさますぎて、『相手がそれを好きであれば、うかつなことを言うと不機嫌にさせるかもしれない』という想像力が全く欠如していることを露呈。なお、原案者は本当にネット上での社交能力が欠如しているようで、自分がネットで話している相手が『実は幅広い人脈を持っているかもしれない有用な人間』である可能性を一切考慮に入れずに、本当に見たいものしか見えていないのだな、と思われる」
リトル「サブローさんは凄い御仁なんですか?」
ヒノキ「わらわの契約主なのじゃから、そりゃ凄いのは間違いないが、機を見て敏にして、かつ状況分析能力は的確じゃ。まあ、普段はなかなか忙しい御仁ゆえ、必要以上の出しゃばりはせぬ奥ゆかしい男じゃが、ここぞと言うときにフォローを入れてくれるという意味では、ダイ大のヒュンケルか、鳳凰星座の一輝兄さんに相当するやもしれぬ」
ゲンブ「アリナ様、いくら何でも惚気過ぎではござらんか? 目が❤️になっておられるぞ」
ヒノキ「はっ……バカを申せ。わらわは冷静じゃ。できれば、新兄さんのところだけでなく、こちらのコメント欄にも書き込んでくれぬか……とは思ってもおらぬぞ。いい加減、コメント欄に名が上がっている、何ちゃら信者二世の名前に消えてもらいたいのじゃが、誰かがコメントを入れてくれぬと、返信もしにくくてのう」
ゲンブ「ここのコメント欄に書くと、レスを返すのは、アリナ様なのか、新生どののどちらでござろうか?」
ヒノキ「そりゃあ、わらわ……と言いたいが、まあ、リクエストに応じよう。新兄さん宛てでも、わらわ宛てでも、どちらでも応じてみせよう。それと、こちらの記事にも時々、『いいね』を入れてもらえているのは、ありがたい限りじゃ。マメに応援してもらっている気分になるので、作者ともども感謝の気持ちを捧げたい」
シロ「それで、本来はマンガ家志望だったという根拠は他に?」
ヒノキ「結局、『文芸という技術に対する無知さ』『思想として挙げてくるものが小説よりもマンガに基づくものが中心』『絵を描くのは難しいが文章なら簡単と当初、高を括っていたこと(その割に誤字脱字だらけで推敲能力が欠如していたこと)』『創作サイトにおける他の作家への露骨な見下し』『文章による視点の統一という基本技能に対して、いまだに無頓着』などなど、とにかく彼の心根は、マンガが格上で、文章が一段劣るものという認識だったと推察される(世間一般では、活字が上で、マンガが下という認識が多数派であるにもかかわらず)」
ゲンブ「なるほど。マンガ家志望の代替行為としての文章表現技術でござるか」
ヒノキ「実際、コミックの方がラノベよりも多く売れていて、業界全体としては、ラノベはコミック化、アニメ化されて、初めて元がとれるという扱い。10年代になると、なろう系と呼ばれるように、ネット小説からの商業作品化という流れが増え、遅まきながら、OGK氏がそこに飛び込んで、醜態を晒しておるのが現状に見える」
リトル「醜態ですかぁ」
ヒノキ「要するに、古いセンスと無知無能と言ったところか」
シロ「それってマスターロゴス?」
ヒノキ「いや、作品だけなら『趣味で好きなものを書いているんだから構わないだろう。いちいち文句言うな』と言い返すこともできようが(まあ、感想を書くように依頼したのは向こうなのじゃが)、何よりもレビューで他の作家に書いた批判内容が露骨に時代に対応できていなかったり、ジャンルの定番に無知なことが丸分かりでのう」
ゲンブ「新星どのにアピールして、どういう反応をしてもらいたかったのでござろうか?」
ヒノキ「自分は凄いものを書いたから、認めてくれ、という気持ちじゃろう。それとも、酷評でもいいから、相手をしてもらいたかった? 当然、新兄さんは自分が書きたいブログ記事に専念したいわけじゃし、OGK氏の目指している方向が、自分のしたい方向と完全に異なることが分かっておるのじゃから、わざわざ時間を割いて、得られるものがないと承知しておるのじゃ」
シロ「それでも関わるのはどうして?」
ヒノキ「新兄さんが最近、以下の本を読んで、勉強した内容に関連づけしたかったらしい。前者は、ラーリオス企画で書き方に悩んでいた時に参考にした一冊を文庫本にまとめたもの。後者は個人的に10年代がどういう時代だったか考える上での資料本。まあ、自分の観察と記憶だけで主観的にまとめるよりは、そのジャンルに詳しい人間の総括本も参考にした方がいいかも、と考えたらしい」
ゲンブ「なるほど。個人的に勉強したことがあるから、それの練習として、知識を活用できるか試したかったでござるか」
ヒノキ「これは老婆心で言うのじゃが、基本的にWeb小説を読む層は、手軽に感じ入るもの、あるいは自分の好きなジャンルを求めて読むわけで、見るからに内容が重そうな割に、自己紹介すらまともに書けていない重厚な作品なぞ求めておらん。いきなり、架空世界の年号をバーンと出して、壮大な世界が広がっている……と示して、ワクワクできるのは80年代のセンスじゃ」
シロ「壮大なのはダメですか?」
ヒノキ「それを読みたい者は、好きな作家の本を買って読む。無名な作家が壮大でござると気取ってみても、ネットではもっと気軽に楽しめるライトな物を読みたい人間の方が多数派じゃ。センスの古いおっさんの書いたものなぞ、好き好んで読む者などどれほどいようか?」
リトル「おっさんって分かるのですかぁ?」
ヒノキ「レビュー文の上から目線ぶりとか、自作紹介文での妙に偉そうな態度とか、その割に題材が特撮ヒーローとか、10年代のライダー映画とか、インスパイアという英語とか、まあ、パッと見、若者の書く文章ではないな。何だか評論家気取りの痛いニートであることは、投稿時間を見れば、推測できよう。
「作者の個人情報はともかく、ルパパトでディープなSFと言っている時点で、読者対象が不明じゃ。ディープなSFを好む者は、戦隊やライダーにインスパイアという時点で、幼稚かよと思うし(好みじゃないとは言わない。単にジャンルの噛み合わせの悪さの問題)。当然の話じゃが、特撮ヒーロー好きはどちらかと言えば、ライト寄りなアクション要素の強いSF作品を好む。何というか、いろいろ矛盾した要素を混ぜこぜして、売りである作品内容の想像ができんのじゃ」
ゲンブ「要するに、詰め込みすぎということでござろうか?」
ヒノキ「結局、どんなに凄いと自称するものを用意しても、客層が違うものを求めているなら、それは場違いなのじゃ。ハンバーガー屋で、分厚いステーキとワインを出されても、客は注文せん。まあ、物好きが注文したとしても、ステーキにカビが生えていたり、ワインが保存状態が悪くて酸化していたりすれば、それ以上は口にせん。そもそも、ラノベとディープなSFという作品紹介は、それだけで矛盾するじゃろう」
リトル「なるほどぉ。内容を読む前から、宣伝文句だけで噛み合わせの悪さが分かるのですねぇ」
ヒノキ「これは、TRPGでもそうじゃが、いきなり重厚長大を売りにしても、マニアしか買わん。そして、マニアは自分で金出して買うから、無料で読める場所に求めるのは、新鮮な刺激、これから伸びそうな作品に目星をつけて、いち早く応援したいと思う一方で、最初から重々しいもの、究極とか豪勢を謳ったものにはうさん臭いと感じて飛びつかん。作者の自意識過剰ぶりが露骨に出ている作品は、作者がウザいという理由だけで、避ける」
シロ「酷評しまくりですよ」
ヒノキ「しかし、そうじゃろう。ラノベ読者は、作者よりも作品を楽しみたいのじゃ。作品を楽しんでから、こんな面白い作品を書くのはどんな人だろう? って気になる。いきなり、作者が前面に出てきて、作品解説をするような作品は、それだけで興醒めじゃ」
ゲンブ「作品を楽しんでくださいね、というサービスよりも、作者がチヤホヤされたい願望が出てるのでござるな」
ヒノキ「個人ブログなら、作者が目立つのは普通じゃが、カクヨムのような場所では出しゃばる作者はお呼びでない」
シロ「Web小説の読者は、結局、何を求めているのでしょうか?」
ヒノキ「数多くの作品の中で、それぞれ自分に合った作品に出会うために、タイトルやジャンル、宣伝文句で当たりを付ける。もう一作の宣伝文句に『美少女がいっぱいです』って表現があったが、いかにも親父臭い。今どき、そんなものが売りになるか。キャバクラの客引きじゃあるまいし」
ゲンブ「確かに、ラノベというジャンルは美少女が多くて当たり前なところがあるから、そんな物は売りにもならないでござるな」
ヒノキ「仮に、美少女を売りにしたいなら、何人いて、どんな属性を持っていて、と簡明に解説して、彼女たちに何をさせるつもりなのかまで概要を説明しないと、不親切というものじゃろう。美少女が5人いるなら、その5人のキャラの名前と性格、どんなトラブルに巻き込まれるかなど、序盤のストーリー展開まで紹介文で触れておいて、内容で期待度を煽るまでしないと、客は入らん」
シロ「例えば、どんな感じに書けば良いのですか?」
ヒノキ「新兄さんを引っ掛けようと思えば、『ハッピーを司る精霊少女がまさかの悪堕ち!? 黒く染まって破壊の使者になってしまった妹を、兄2人は救出しようと頑張るが、妹は兄二人を妖艶に誘惑しようとする。果たして、兄たちは妹の魔の手から世界を救うことはできるのか? それとも妹に籠絡され、共に闇に呑まれてしまうのか』という煽り文句で、作品タイトルは『闇堕ち精霊少女は、2人の兄をハッピーに翻弄します』って感じかのう」
シロ「って、まともにグリージョダークネスっぽい何か、パクリそのものじゃないですか!?」
ヒノキ「もちろん、あくまで原案であって、用語をイジれば、何とでもなる。『幸運を司る精霊の加護を受けた魔法少女が、まさかの悪堕ち!? このままだと世界から幸運が消え去り、みんなが不運になってしまう? しかし、世界一不運だった彼女の兄はラッキーと叫ぶ。不運に不運が重なり、彼だけは世界一幸運な男に覚醒したのだ。世界の命運は彼に託された。チートな幸運パワーで妹を闇から救い出せるのか? しかし、妹を助けたら、自分は再び不運になってしまう。果たして、彼の選択は!?』という紹介文で、作品タイトルは『悪堕ちした妹パワーで、不運な俺は世界一ラッキーに!?』となる」
リトル「少し違う話になりましたねぇ」
ヒノキ「とりあえず、何かを元ネタに自分が読みたい話の大枠を簡単な文章にまとめる。そこから少しアレンジして、どうしたらもっと面白いものになるか考えてみる。パクリをスタート地点に、発展改変すればどうなるか試してみる。ここまでが概要で、後は試しに10話ほどのプロットを書いてみて、話がどう転がりそうかいくつかのシーン原案を形にしてみる。面白く話が転がりそうなら、第一エピソードを書いて小出しに投稿する。ウケそうなら、あるいは自分の筆が乗りそうなら、第一エピソードの引きに、第二エピソードの予告を入れて、読者の反応を見る。
「基本的に一エピソードは短く切りつめ、短編連作ものにする。あまりに長い話は、作者の労力に反して読者は読まない。無駄な描写に時間をかけても、そんなものはWeb小説では求められていない。読者層を想定できておらず、自分の力量を把握できていない作品では、作者の思い込みに反して、独り善がりにしかならないのじゃ」
ゲンブ「そこまで考えたなら、アリナ様が投稿されてみては?」
ヒノキ「イヤじゃ。わらわは面白そうなアイデアを作るのは好きじゃが、それを書くのは面倒くさい。ここでTRPGをしている方がよほど楽しい。もしも、このアイデアが気に入った読者がいれば、勝手に使ってもいいぞ。アイデア代はタダじゃ」
ゲンブ「何と。ただでアイデアを提供すると?」
ヒノキ「自分が読みたい話のアイデアを考えて、誰かが形にしてくれる。すると、晴れてわらわが原案者となれるのじゃ。そっちの方が楽しいと思うのでの。誰か、アイデアに飢えている書き手はいないものかのう?」
ゲンブ「ともあれ、原案者になりたいというアリナ様の思惑に乗ってみたい奇特な作家の卵は、コメント欄に名乗りを挙げると、要相談でござる」
シロ「とにかく、次回は魔神ハンターのリプレイの続きですね」
ヒノキ「うむ。タイトルは『魔神ハンターと、隠者ヴァラルト』なのじゃ。迷宮の奥にいる引きこもりな魔法使いに、どんな土産を持っていくのがいいか、悩むマッスルG太郎の話……としておこう」
ゲンブ「って、GMがプレイヤーキャラの悩みまで、指定して来るでござるか?」
ヒノキ「うむ、最近のG太郎さんは師匠面して、昔みたいに悩んで、トホホと哀愁を漂わせることがなくなったのが残念です。もっと、悩むG太郎さんの姿を見せて下さい。応援してます……と読者の声が聞こえたのじゃ」
ゲンブ「それは、妄想ではござらんのか?」
ヒノキ「何を言うか。新兄さんのところと違って、ここは妄想ブログではない。れっきとした炎の精霊少女・花粉症ガールV3こと日野木アリナの居場所じゃよ。読者の心の声の一つや二つぐらい、わらわの霊感で受信してみせるわ」
果たして、日野木アリナは本当に読者の声を受信したのか?
それとも、ただの妄想に過ぎないのか?
作者すら、その答えは持たない大宇宙の謎である。
(当記事 完)