花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ゴブリンスレイヤー12巻の話(その3にて完)

ゲンブの王道(承前)

 

ゲンブ「今回は前置きなしで、いきなり王道を突き進むでござる。我の王道は第5章『只人の戦士の男で何の問題があるのかというお話』。ページ数的にも61ページで最長でござろう」

NOVA「いや、ページ数で競うなら、俺の選んだ第3章が65ページで、こっちが最長ということになるんだぜ。つまり、作者が一番、文量的に手を掛けたのが第3章なんだが、ゴブスレ正伝とは言えない番外編なので、中身まで王道を言い張るつもりはないってことで」

ヒノキ「わらわの選んだ第2章は53ページじゃから、文量的には3位じゃが、ゴブリンスレイヤーの物語を『ゴブスレさんに助けられた女神官の成長物語』と解釈するなら、これ以上の王道はないと考えておる」

NOVA「まあ、そうなるな。俺としては、作者がゴブスレの世界観を広げるための試行錯誤を体現した実験作が、いい感じに俺好みの方向性に来てくれたことで、第3章を推すわけだが、逆に言えば、従来のゴブスレ物語とはノリが違うので、賛否が分かれるのは間違いないと考える」

ゲンブ「しかし、ゴブスレの主人公がゴブスレさんなら、彼の登場する話の第5章を王道認定せずして、まっとうな感想とは言えないでござろう」

NOVA「それはもちろん、その通りなので、まっとうな王道感想はゲンさんにお願いしたいわけだ。俺だと、どうしても脇道に逸れてしまうからな」

ゲンブ「うむ。では、この5章だが、ゴブスレさんが友人の重戦士や槍使いと共に、まともな冒険の末に、名前を呼んではいけない大目玉の怪物と対決する英雄譚でござる」

NOVA「まあ、ゴブリンスレイヤー本来の物語は、『邪悪なゴブリンに対して偏執的な恨みとこだわりを持ったゴブスレさんが、女神官ちゃんなどを助けたり、助けられたりしながら、生来のコミュ障も改善し、まっとうな冒険者としての少年時代からの夢を実現して、将来は英雄になれるのか? って話』だからな。

ドロップアウトしかけても、自分の信念やこだわりを貫いた男が黙々とゴブリン退治を続ける中で、世界が認める英雄や勇者ではないけど、それでも一介の冒険者として彼に助けられたり、彼を助けたりする人間は確実にいて、そういう王道英雄譚とは外れた小さな世界で、居場所を獲得するまでの物語……と考えれば、俺的には相当、感情移入できるわけだな、これが」

ヒノキ「ああ。新兄さんは、自分をゴブスレさんに見なして、読んでいるわけか」

NOVA「そう読むこともできるって話だよ。もちろん、俺はゴブスレさんとはキャラが違うし、こだわり方も全然違うわけだが、感情移入できるポイントをつかめてしまえば、キャラとして好きになれるじゃないか。何より、ゴブスレさんは何もできない男じゃないし、自分一人であれこれできる男なんだが(ずっとソロでゴブリン退治を続けてきた)、普通はゴブリン退治から卒業して、もっと身入りの大きな仕事にステップアップすべきところを、ただただゴブリンにこだわり続ける。その理由も描かれたし、それを見た周囲の反応も描かれているし、決して光の当たる物語ではないニッチな人物像なんだな。

「決して俺強えな安易なキャラ像や物語でもないし、むしろゴブスレさんは、たかがゴブリン相手にここまでするか、という計略や事前準備を怠らない。そういう細やかさが、しばしばゴブリンとは比較にもならない強敵を退治してしまうトリッキーなアイデアとして爆発し、逆転勝利をもたらすわけだが、そういう強敵を倒して一言。『ゴブリン退治に比べれば、大したことなかった』という皮肉とも言える発言。そこに痺れる、憧れるってわけだ」

 

ヒノキ「……って、新兄さん。今回はゲンブに花を持たせるのではなかったのか。何だか、短編集の1章分の感想を無視して、ゴブスレ愛がだだ漏れになっているようじゃが……」

NOVA「あ、ああ、そうだな。ゲンさん、割り込んで済まなかった。続きをよろしく頼む」

ゲンブ「お、おう」(何だかやりにくいでござるが……)

 

只人戦士男の物語

 

ゲンブ「5章の最初は、少年魔術師と圃人少女の場面から始まる」

NOVA「少年魔術師は、 原作小説6巻のメインキャラだったな。6巻の感想はこちらに書いてあるから、興味あるならどうぞ。相変わらず素直でない性格の男の子だが、敵の本陣に突入する先輩冒険者の先行偵察的な役どころとして、顔見せ的に登場して、シリーズを追ってきたファンとしてはニッコリできる。こういう昔の登場キャラが久々に顔を見せるだけで、長編小説シリーズのファンとしては、『おお、元気にやってるな。作者に忘れられていなくて、愛されているようで、何よりだぜ』って思えてくる」

ヒノキ「圃人少女の職業は何じゃったかな」

NOVA「さあ。戦士っぽいんだけど、まだ目立って活躍する場面もないし、少年魔術師の連れの陽気な前衛以上のキャラ立ちは今のところしていないから、今後の掘り下げ次第じゃないかな」

ヒノキ「圃人キャラを使う身としては、キャラの立ち位置が気になるところじゃ」

NOVA「TRPGをすると、自分のキャラのロールプレイの参考に、原作キャラの動向が気になるよな。俺は魔法使い兼任の一応戦士として、魔法も使える熟練戦士の槍使いが気になるし」

ゲンブ「我は重戦士が気になるでござる。ゴブスレ殿の知人の別パーティーでは、最も豪快かつ年下冒険者への面倒見がよく、いわゆるチームリーダーとしての戦士を体現したキャラ。しかも、女騎士とのカップルぶりがリア充要素があって、世間で言うところの陽キャラ感満載であったり」

NOVA「今年の秋から、ようやくアニメ3部が放送されるらしい『ログ・ホライズン』でも、こういうギルドマスター的な豪快男キャラでアイザックってのがいて、素直に格好いいなあ、と思ったりするわけだが、声優さんが日野聡さんで、今だとグリーン・アローの故人オリバー・クイーンじゃないかとか、 『力の賢者さん、チーす』と挨拶したい俺がいる」


LOG HORIZON OPENING 


ログ・ホライズン ''Log Horizon'' Main Theme

 

ヒノキ「ログ・ホラに話が飛びかけておるぞ。それはまた別の機会でよかろう。さあ、ゲンブよ、今のうちに」

ゲンブ「かたじけない。そう、第5章は重戦士、槍使い、そしてゴブスレ殿の3人のパーティーの物語でござる」

NOVA「いずれも只人(ヒューム)戦士(ファイター)男という属性で、HFOとルビ付けされる偏ったパーティー。それにしても、HとFは分かるが、何でOだけ英語じゃないんだ、とツッコミ入れたくなった。これだと、女でも同じOじゃないかとか、いや、『女だったら女子(ガール)なのでHFGとなるのかな?』とか、実は『Oで始まる、俺の知らない男という意味の英単語でもあるのか?』とか、いろいろ考えた後でネット検索したら、こんなページを見つけた次第。一応はTRPG関係のネット流通専門用語なんだな」

ゲンブ「とは言え、ゴブスレTRPGの場合は、HFOでも完全単機能ということはなく兼職可能なシステム。よって重戦士こそ典型的ファイターだが、槍使いは多少の魔法が使え、ゴブスレ殿は本職でないが、と言いつつ盗賊的な技能を使えるわけで、十分個性的な役割分担を果たしているでござる」

NOVA「まあ、ゴブスレさんも盗賊技能でなければ、武器をポンポン投げてゴブリンを仕留めることなんて、なかなかできないよな。罠もいっぱい仕掛けるし、革鎧と中途半端な長さの剣がメインウェポンだし、イラストコミック、アニメやフィギュアを見ると重戦士っぽいけど、地の文だと貧相な見かけで、兜がなければ盗賊風味の格好なんだな、これが」

ヒノキ「確かに、鎧も銀色でピカピカしているッポイのは、フィクションで美化された表現という奴じゃないか。原作の記述に従うなら、きっとリュウソウ茶色っぽい地味な色合いであることを、ゴブスレさんは好むはず」

NOVA「マニアのみが喜ぶ、ゴブリンの血を模したツヤ消し迷彩カラーのリアルタイプ・ゴブスレのフィギュアもそのうち出るんじゃないかなあ。オプションパーツで、卍型の投げナイフとか、火炎瓶とか、鳥カゴとか、初期の角付きカブトとか、兜を外したレア素顔パーツ付きの」

ゲンブ「そういう商品が売れるのでござるか」

NOVA「さあ。少なくとも、俺は買わないけどな」

ゲンブ「買わないのでござるか」

NOVA「だって、別にフィギュアのコレクターじゃないし。ディケイドに『ちょっとくすぐったいぞ』と背中のツボを押されて、ファイナルフォームライドして『アフリカ投げナイフに変形するゴブリンスレイヤーのフィギュア』が出たら、多少は食指が動くかも知れないが、それより先に原作ファンに怒られそうだ」

ヒノキ「だったら、原作パーティーのゴブスレさん、女神官、妖精弓手、蜥蜴僧侶、鉱人道士の5体合体して、巨大戦士のグレート・ゴブリンスレイヤーになるような玩具が出たら?」

NOVA「値段にもよるが、1万円以内なら笑って買いそうだ。出ただけで、俺はそのバカさ加減に涙を流して喜ぶだろう。要はこういうアイテムだろうし」

ゲンブ「今どき、5体合体で1万円以下という玩具はないのではござらんか?」

NOVA「食玩ミニプラなら、ないわけでもないが、10年前ならともかく、最近は玩具とかプラモを買わなくなったなあ」

 

そろそろまとめ

 

NOVA「もはや、小説の感想記事じゃなくなっているが、残りは牛飼娘メインの日常編である第4章と、勇者ちゃんがラスボス退治する第6章。そして別行動をとっていたゴブスレパーティー冒険者ギルドに集まり、新たなゴブリン退治の冒険依頼を引き受ける終章になって、いろいろな登場人物の短編集はこれでお終いとなる次第」

ヒノキ「さらっとまとめおったな」

NOVA「というか、一冊の巻の感想として、長々と書きすぎたんだよ。どうも、長編と違って、短編集の感想フォーマットが俺には見えていない。ネタバレを極力しないように気を使いながら、短編の感想を書くのは難しいよな。ともあれ、作者が今巻の後書きで軽くスター・ウォーズネタを書いたり、映画の関係者への謝辞だったり、ここまで多くの『縁に恵まれた』ことの喜びと感謝を示したり、『精一杯頑張って書き続けている』アピールだったり、読んでいて清々しい感じで、こちらもまた続きの『ゴブリンが出たのでゴブリン退治をするお話』が読みたくなったり」

ヒノキ「まあ、今巻は、ゴブリンスレイヤーなのにゴブリンがほとんど出なかったのが残念と言えば、残念なので、次はどんなゴブリンとの対決が見られるのやら、楽しみにしたいと思うのじゃ」 

(当記事 完)


ゴブリンスレイヤー 劇場版 ドラマCD 令嬢剣士・女神官・妖精弓手 編