花粉症ガール・翔花伝&コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女主役の物語」&「その仲間たちの雑談話」など。TRPG話や特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。

令和VS珠保ゴブスレ対決4(今度はバトルだ)

プレイ前の反省会

 

晶華「ねえねえ、NOVAちゃん」

NOVA「何だ?」

晶華「前回の神ロールプレイだけど、正直やり過ぎだと思うの」

NOVA「まあ、俺も自分のキャラクターのジャンが霊媒体質だとは思わなかったな。ジャンのロールプレイが分からなくなっているし。自分で作ったキャラなんだけど、キャラよりプレイヤーの素が出すぎたようだ」

晶華「一人称まで、ぼくと俺でコロコロ変わっているしね」

NOVA「そりゃ、まあ、中の人が変わったからな」

晶華「って、中身は同一人物じゃない。11年前の平成NOVAちゃんと、今の令和NOVAちゃんってだけで」

NOVA「いや、人間、10年も経つと結構、変わるぜ。根本の性格は変わらなくても、趣味嗜好とか物の考え方とか、成長したり、逆に劣化したり、円熟したり、逆に高齢化によって我儘な幼児退行化してしまったり、個々人によって様々な変化を示す。まあ、昔の友人に会うと、懐かしい気分になって昔の自分ロールプレイが素で出たりするので大抵は『お前も変わらないなあ』と言ってられるが、まともに社会で成長した人間は、環境に合わせた適切な自分スタイルで振る舞うことを覚えて、環境の変化に応じた新しい自分を構築するわけで、変わらない自分というのは幻想だ」

晶華「そりゃ、私だって変わったけどね。生まれたばかりの姉妹分裂前の私と、お姉ちゃんと分かれた私と、吸血花粉症ガールになってた私と、太陽サンサンなんて言ってる今の私と、全然違うキャラじゃない」

NOVA「俺の中では、天然無邪気な姉・翔花と、腹黒毒舌な妹という方向性があったが、今のお前は成長して、周りに合わせられるようになったと思う。というか、俺と二人だとツッコミ・アシスタント芸で十分キャラ立ちしていたけど、ここに来て、謙虚になったというか、周りの人をフォローできるようになったというか、柔軟に振る舞えるようになったと思う。しかし、まさかアストに対して、気遣いを示すとは思わなかったぞ」

晶華「そ、そりゃ、GMがいないとRPGできないし、メガネ付けてるし、いちいち翔花ちゃんって言わなければ、それなりに仕事のできる有能ぶりを示すこともあるし、NOVAちゃんがアストをイジメているなら、私が少しぐらいフォローしてあげないとって思うし……」

NOVA「以前のお前は、他人をフォローしようなんて、あまり思わなかったんじゃないか?」

晶華「私のことは、今はどうでもいいのよ。それより問題はNOVAちゃんの方! ジャンのロールプレイって、ああいう感じでいいの? もう、どうしようもなく、キャラがブレブレじゃない。初期設定をもう一度、読み直してよ」

NOVA「半年前の記事か。なになに? 口癖は『話せば分かる』? そんなこと、一言も言ってねえな。大体、この世界、大抵のゴブリンとはまともな会話ができないからなあ。他にも、『やむを得ない。痛みをもって知るがいい』とか『ペンは剣よりも強し』とか、いろいろ書いているが、もう少し意識してみようか。

「書物好きで冒険譚に憧れて……って設定は使えるな。別にプレイヤー知識を使う際に、わざわざ神のお告げを持ち出さなくても、『昔、読んだ物語にこう書いてありました』って言うだけで、無難に策を講じることができる。『噂の小鬼殺しの物語によると……』と言えば、世界観的にも問題ないような気がする」

晶華「ゴブスレさんの話って、世間で知られているの?」

NOVA「少なくとも、妖精弓手ちゃんは吟遊詩人の美化した小鬼殺しの伝承を聞いて、ゴブスレさんに興味を持ったわけだからな。ジャンが『小鬼殺しの物語』に興味を持って、その脚色された部分の裏に隠された事実を推測して、そこから戦術を構築するようなキャラであっても、何の不思議もない」

晶華「じゃあ、まだ1年足らずのにわかゴブスレマニアなNOVAちゃんにツッコミです」

NOVA「何だ?」

晶華「前回、NOVAちゃんは『ゴブスレさんが爆発物の仕掛けを用意した』と発言して、爆発物の罠を示唆したけど、原作の最初のダンジョンでは、そんな罠はないのよね。他のエピソードで、粉塵爆発とかいろいろあるのと混同していない?」

NOVA「いや、確か最初の洞窟でも、ゴブスレさんがゴブリンを燃やす描写があったはずだが」

晶華「それは、原作小説52ページにある『メディアの油とか、ペトロレウムとかいう、燃える水』のシーンね。ルールブックの408ページにも、魔法のアイテムとして用意されているわ」

NOVA「晶華よ」

晶華「なあに?」

NOVA「お前、よく読み込んでいるなあ。さすがの俺も、ページ数なんて、いちいち覚えていないぞ」

晶華「知力の晶華は伊達じゃないってことよ」

NOVA「まあ、その場で素早く調べるだけでも凄いんだがな。俺の場合は、たとえ知っていることでも、いろいろな知識が未整理で、ごちゃごちゃ混ざっている可能性も大きいので、時々整理してくれるアシスタントがいれば助かる。まあ、大抵は、書いてから後で混同していることに気付いて、その場その場で修正したりしながら、より深く知っていくという過程を辿るんだけどな。書いたその時は、それで正解だと思い込んでいることほど、よく調べもしないで勘違いしている可能性もあるわけで、そこを冷静に指摘してくれる知人友人は大切にしたいよな」

晶華「NOVAちゃんはうっかりさんで間違っちゃうことも時々あるけど、過ちを正す姿勢は崩さないってのは、評価ポイントだと思うの」

NOVA「まあ、真摯な探究心というのは、マニアにしても研究者にしても必須の態度だと考えるからな。とある初歩の科学の啓蒙本によれば、『科学において大切な過程は、好奇心に基づく問題提起と、そこから仮説を構築する主観的直感的洞察力と、それを実験や現象を踏まえて検証する客観的観察眼と、仮説が間違えていれば潔く修正しながら次の段階に進もうとする前向きな向上心』という趣旨で、それは科学に限らず、趣味の探究においても言えることだと思うんだ」

晶華「好奇心と、主観的洞察力と、客観的観察眼と、前向きな向上心か。心→頭→目につながって、そこから次につなげる意思力ってところかしらね」

NOVA「とりあえず、興味を持って聞いてみる。それはいい。俺も質問されて答える過程そのものは好きだ。だけど、その質問したところからの発展性が気に掛かるし、仕事での教え子相手なら『尋ねられて答えた後のフィードバックが直接見ることができる』から、『ああ、こいつはきちんと理解しているな』とか『ああ、こいつはわかっていないからフォローが必要だ』とか、その後の対応がとりやすい。

「ネットでも、説明されたことに対するフィードバックがあれば、そういう人には言葉を惜しまず、話したい気にもなるし、フィードバックの中からその人独自の知見や、納得し得る理論的解釈があれば、『おお、そういう考え方もあるか』と心理的対価や報酬となる」

 

晶華「で、これは何の話?」

NOVA「ええと、ゴブスレに対する好奇心と、試しにあれこれ記事書きしてみる主観的なドタバタと、実際に書いてみたら何だか変な展開になってますという検証と、それでも潔く過ちを認めて次の段階に進もうとする前向きな向上心かな」

晶華「まあ、前の記事とかも読み直して、積極的にフィードバックしながら、『おお、こんなリプレイもあるのか』と読者の皆さんに楽しんでもらえればいいってことね」

NOVA「イッツ・ショーーーーーータイム(緑川光さんの声で)」

 

作戦会議

 

GMアスト「前回はどこまで進んだかな。意識がボヤけて、どうにも思い出せん。確か、君たちの前に覚知神が降臨して、何やら言っていたことまでは覚えているんだが」

ジャン(NOVA)「それは、あなたの妄想です。ぼくは知識神の信徒にして魔術師、学術騎士のジャン・ボーグナイン。まかり間違っても、覚知神などに心を奪われるはずがありません」

GMアスト「しかし、シナリオを読んで、チートな策を講じるなど、どう考えても覚知神に取り憑かれたとしか思えない所業じゃないか」

ジャン「そう。プレイヤー発言や知識に基づいて、うっかり作戦を立ててしまったけれど、それをどうキャラクターにとって違和感ないように、納得できる形で進めるかが熟練プレイヤーとしての腕の見せどころです」

丸子(ヒノキ)「ふむ、前回のプレイでは、『この迷走GMは大丈夫なのか?』とか『この妄想人格分裂騎士は大丈夫なのか?』と心配になったが、熟練プレイヤーとしては、新兄さんの采配を期待したいところじゃ」

ジャン「では、前回、ぼくが錯乱して口走った作戦1と作戦2について、検討してみましょう。晶華、いや、アカミドリさん。作戦1とはどのようなものですか?」

アカミドリ(晶華)「え? ええと、隠し通路のある区画で騒いで、ゴブリンどもを誘い出す?」

ジャン「ふむ。これは、どう考えてもボツですね」

蜥蜴用心棒(ゲンブ)「どうしてでござるか? 大勢の敵に飛び込まず、少しずつ誘い出す作戦は有効だと考えるが」

ジャン「そう、戦術としては決して間違っていない。ただ、ロールプレイングゲームを役割演技のゲームと規定した場合、『隠し通路のことを何も知らないはずのジャンが、この作戦を提案したこと』自体、ストーリーが台無しになるわけで。いくら勝つためとは言え、あまりにも卑怯だ。覚知神の誘惑に抵抗するだけの分別は、ぼくにもある。つまり、この作戦を直感的に思いついた時点で、これは覚知神の罠だとぼくは推測する。知識神の信徒を闇堕ちさせる邪神の企てだとね」

丸子「恐るべきは覚知神じゃのう。甘い誘惑の声で、プレイヤーキャラクターの心を揺さぶるとは」

ジャン「作戦1は、キャラのロールプレイに違背する覚知神の罠という結論で。次に、作戦2ですが、用心棒さん、説明をお願いします」

用心棒「確か、まだ探索していないエリアを調べることでござったな」

ジャン「ええ、それなら妥当なところでしょう。ぼくたちの目的は、ゴブリンどもに誘拐された幼子たちの救出。もしかすると、通り過ぎた区画に、監禁されている可能性はあります。それに、ゴブリンの大群が待ち構えている大広間に飛び込む前に、洞窟の構造を一通りチェックしておくのも、地の利を得るための戦術としては正解です。兵法家曰く、『天の時、地の利、人の和を得れば百戦危うからず』」

丸子「そいつは何やら混ざっているが、言っていることは間違いではないのう」

ジャン「まあ、『備えあればうれしいな』という格言のある四方世界ですからね。多少アレンジされているぐらいが、それっぽいかと」

丸子「では、来た道を引き返して、スルーした横道を探索するとしよう」

 

小鬼の詰め所

 

GMアスト「君たちが通路を引き返した先にあったのは、小鬼の詰め所と呼ばれる小部屋だ。普通のゴブリンと弓兵ゴブリンが一体ずついて、たちどころに侵入者に襲いかかって来る。では、洞窟内の初バトルだ」

ジャン「弓兵とは、確か初遭遇だったよね。怪物知識判定を試みよう。(コロコロ)出目だけで11。達成値は21だ」

GMアスト「凄いッピ。さすがはマスターNOVA。それだと、12レベルのモンスターまで分かるッピよ……って、ケイPに乗っ取られている場合じゃない。ところで、ザコ戦だとGMがダイスを振る必要がないんだが。お前たちだけで、戦闘を解決しておいてくれ」

丸子「何を、手抜きしたがる? しっかりバトル描写しないか」

GMアスト「ええと、最初は不意討ち判定とか、遭遇距離とか、キャラ配置とかがあるけど、そういう細々としたのは適当に飛ばして、行動順の決定からだな。ゴブリンどもは1d6の期待値で4でいいわ。それより早いキャラは部屋に踏み込んで攻撃していいぞ」

丸子「とことん手抜きじゃな。気合いを入れんか。先制判定、うりゃっ(コロコロ)。ぐほっ、ダイスをテーブルの下に落としてしまったわ」

アカミドリ「リナ老師、興奮し過ぎ」

丸子「どこじゃ、どこじゃ? 落としたダイスが見当たらん」

GMアスト「これって、ファンブル扱いして、武器をポロリと落として、慌てて拾おうとパニックに陥っていることにできないかな」

ジャン「LARPやってるんじゃないんだから」

 

 LARPとは、ライブ・アクションRPGの略で、本来テーブルの上でやるゲームを、お芝居のようなアクション込みで、擬似演劇的なスタイルでやる形式。まあ、サバイバルゲームとか、リアル脱出ゲームとか、そういうアウトドアや広い会場でイベント的に行う形式だと認識している。

 そしてプレイヤーもコスプレしたりして、キャラになりきった表現ができるわけで、見た目は「なりきりごっこ」的な感じですな。

 まあ、関西人としては、わざわざゲームにしなくても、仮想の刀で斬られたら、ギャーッと叫んで、バタッと倒れたり、ドカーンと爆発するようなリアクションを返すのが日常茶飯事なんだけど(やや誇張)。

 

 なお、このダイスを落としたのは、NOVAのリアル。

 ダイスを落として、しかも部屋が積んでる本で散らかっているから、その隙間に入って、すぐに見つからない。

 ダイスどこどこ? とキカイダー・ジローのギターや、キカイダー01イチローのトランペットにうろたえるダークやシャドウの戦闘員ロボのような醜態を演じた挙句、結局、今はあきらめて別のダイスでプレイ続行。

 

丸子「うう。どうしてダイスが行方不明なのじゃ? どこかのブラックホールに引き摺り込まれて、次元の彼方に飛ばされたんじゃないだろうか?」

ジャン「とある世界で、空から落ちてきた不思議なサイコロ。その出会いが、ぼくたちの冒険の始まりだった……って感じの物語を作るのも一興かと」

用心棒「そのダイスを渡してもらおうか。それは世界の命運を決める、大いなる力の源。元はと言えば、我らのものだったのだ」

アカミドリ「いやよ。あなた達みたいな悪い人に、この子は渡せない。だって、このダイスちゃん、泣いているもん。私が守ってあげないと」

用心棒「何? ダイスの声が聞こえるだと? この娘、もしやダイスの神に選ばれた伝説の巫女だとでも言うのか。ならば、都合がいい。ダイスごと連れ帰って……」

アカミドリ「キャーーーーッ」

 

GMアスト「って、お前たち、いつまで違う世界の物語に入り浸っているんだ? さっきからゴブリン2体が固まったまま、待機しているんだが」

丸子「おっと、済まなんだ。新型ダイスの力を見せてくれるわ」

 

 結局、先制判定は、ジャン以外ゴブリンを上回った。

 ジャンだけがピンゾロを出してしまい、後攻め。どうしてだ?

 

丸子「部屋に飛び込んで、先に弓兵に突撃じゃ。17で命中。ダメージは8点」

GMアスト「装甲で2点減らして、残り生命力は2」

アカミドリ「とどめは私が。17で命中、ダメージは6点」

GMアスト「それで死亡」

用心棒「残ったゴブリン1体にブロードソードを叩き込む。命中は18。ダメージは14点」

GMアスト「それで倒された」

ジャン「その様子を見て、こうつぶやこう。フッ、このぼくが手を貸す必要はなかったみたいだね」

丸子「ピンゾロ出して、動けなかった男が何を偉そうに!」

アカミドリ「それにしても、用心棒さんが一撃でゴブリンを倒したのは凄いわね」

用心棒「ブロードソードは当たれば大きいでござる。習得した技能【強打攻撃・斬】によるボーナス修正+2も大きかったな」

丸子「うむ、戦ってみて分かった。わらわたちは前の冒険よりも確実に強くなっておる。約1名の騎士を除いてじゃが」

アカミドリ「洞窟の外でも、見張りを相手にピンゾロ振っていたわよね」

ジャン「そ、それは、去年の話だ。とりあえず、今年はこれが初のピンゾロってことで、ソード・ワールドだったら経験点100点ゲットだよ」

丸子「ダイス目には、神は憑依しなかったようじゃの」

 

汚物溜め

 

丸子「結局、ザコを2体倒して、収穫はなしじゃったな。次に進むぞ」

GMアスト「詰め所の奥は、ゴブリンのトイレみたいだ。ここへ入ると、体力抵抗判定に成功しない限り、あまりの臭さで消耗してしまうぞ。目標値は14だ」

アカミドリ「イヤよ。私は入らない」

丸子「ふむ。ならば、ここは騎士どのに任せよう」

ジャン「えっ?」

丸子「さっきの戦いで、一人だけ何もしなかった罰じゃ。便所掃除の刑に処す。ゴブリンどもの便器をあさって、何かお宝でもないか、探ってまいれ」

ジャン「ええ? どうして、ぼくが?」

丸子「理由は先ほども申したであろう。1つのシナリオで2回もピンゾロを出したわけだし、便所掃除をしながら厄払いでもすればいい」

ジャン「うう、救世主になるはずのぼくが便所掃除なんて……」

アカミドリ「そう言えば、昔、トイレブラシのホワイトNOVAってネタがあったわね」 

ZONE(ゾーン) トイレブラシ ホワイト NOVA

ZONE(ゾーン) トイレブラシ ホワイト NOVA

  • メディア: ホーム&キッチン
 

GMアスト「ブハハ、NOVAよ。このネタを再び見るだけでも、オレがこのシナリオのGMをした甲斐があったってものだ」

ジャン「おのれ、アスト。こんな奴に笑われるとは。いや、ここは芸人魂としては、『笑われるよりも笑わせよ』の格言で、積極的に笑いをとるスタイルで行くべきか。そうとも、みんなを笑顔にするためには、このぼくのプライドなど小さい小さい。誰かが便所掃除をしなければ、汚れた世界はきれいにできないんだ。便所掃除、行きまーす」

GMアスト「では、体力持久+冒険者レベルで判定をするがいい。【免疫強化】の技能があれば、ボーナスを足してもいいぞ」

ジャン「そんな物はない。だが、こう見えても、このぼくの体力持久は6。一応、騎士として鍛えているんだ。それに冒険者レベルの2を加えて、基準値は8。だったら、2dで6を出せばいい。行くぞ、気合いを込めて(コロコロ)よっしゃ、7出た。これぐらいの便所など、ぼくの熱い信仰心の前では屁のツッパリもいらんですよ」

用心棒「おお、言葉の意味は分からんが、とにかくすごい自信でござる」

アカミドリ「学術騎士ジャンが今ほど輝いて見えたことはないわ」

丸子「うむ、今後は便所掃除騎士(クレンザー)のジャンとでも呼ぼうかの」

ジャン「そ、それだけは勘弁してください(涙目)」

 

GMアスト「ところで、この便所の床の一角に木の杭があって、錆びた鎖が繋がっているのが目に留まったんだが」

ジャン「木の杭と鎖?」

GMアスト「罪人を縛り付けるような器具だね」

ジャン「ここって便所だよね。便所に監禁するなんて悪質じゃないか」

GMアスト「それが、この世界のゴブリンってもんだ」

ジャン「今は誰も捕まっているわけじゃない?」

GMアスト「ああ。だけど、傍にかつての犠牲者の名残らしい装備品の残骸が転がっている」

ジャン「調べてみよう」

GMアスト「博識判定をするように」

ジャン「博識は得意分野だ。基準値は8で、(コロコロ)ダイス目は5」

GMアスト「13か……」

ジャン「その反応。もっと高い目で、さらなる情報が出ると見た」

GMアスト「何で分かるんだよ?」

ジャン「知識系の判定で、GMがプレイヤーの達成値を見て、一瞬がっかりするような顔をすることがある。これは『達成値がもっと高ければ、情報を与えることができるのにな。さあ、どうやってこの情報を伝えたらいいか。それとも、この情報なしに探索を進めさせていいのか』と考える際の表情だ」

GMアスト「そういうメタな推測はやめるように」

ジャン「いや、TRPGにおいてメタな推測はあっても然るべきだと、プレイヤーの俺的には考えている。キャラクターは物語世界の現場にいて、視覚、聴覚、嗅覚、触覚など、あらゆる感覚を動員できるのに対し、プレイヤーはGMの言葉だけが情報源だ。しかし、GMの表情や反応なんかの表に出ないメタ情報も、キャラクターの直感、第六感的な反応を促す情報源として利用してもいいんじゃないか。名探偵が『ん? 何かが引っ掛かる。もしや?』と閃くようにな」

GMアスト「しかし、達成値は13しかないんだろう?」

ジャン「因果点を使用する。みんな、それでもいいかな?」

丸子「まだ一度も使っていないからのう。今は5点じゃが、これを8点、できれば10点まで上げて追加経験点を得られるようにしておきたい」

アカミドリ「ジャンの直感を信じるわ」

用心棒「情報収集は任せたでござる」

ジャン「ならば、知識神に祈ってダイスを振る。(コロコロ)11だ。祈念判定成功。因果点が6に上がって、ダイスの振り直しが可能になった……と言いたいが、これは前回のシナリオで、ルール解釈を間違えていたんだよな。『因果点によるダイスの振り直しは、判定と祈念以外で使用可能』とある。この場合、『祈念(因果点の効果を発動させるためのダイス使用)で使えない』のはもちろんだが、以外という言葉が判定にもつながっているかどうかが疑問点となっていた」

丸子「つまり、『判定と、祈念以外で』と分けて読むべきか、『(判定と祈念)以外で』とセットにして読むべきか、でGMの解釈が問題になった、と」

ジャン「で、前回のシナリオでは、ゲームの発売から間もないこともあって、前者で判断した。だって、『判定の振り直しに使えなくて、いつ使うんだよ』って単純に考えてしまったからな。だけど、実は『ダメージのダイス目が低いときに、それを向上させるため』というのが主な使用法だと分かった。逆に判定の場合は、わざわざ振り直さなくても、『判定結果の向上』という用途で、失敗を成功に、成功を大成功に変えることが可能。ただし、大失敗(ピンゾロ)だけはどうしようもない、というわけだ」

丸子「要するに、ジャンの便所掃除だけは、因果点を使っても免れることができなかった、ということじゃな」

ジャン「シクシク。便所掃除を免れるために、神さまに祈るなんてことができますかいな。しかし、ぼくは転んでもタダでは起きない。この便所掃除の試練からも、何かをつかみ取ってみせる。それが知識神の信徒の生きる道。さあ、GMよ。情報があるなら、キリキリ吐くがいい。この名探偵ジャンの目を逃れることはできないと知れ」

GMアスト「くっ、便所掃除の身でありながら、何を偉そうな。しかし、便所掃除の苦行の果てに、ジャンの妄想回路に一つの光景が浮かび上がった」

ジャン「ちょっと待て。プレイヤーならともかく、キャラクターのジャンに妄想回路なんて付いていないぞ」

用心棒「プレイヤーの新星どのには付いているのでござるか」

ジャン「ああ。プレイヤーのWhite NOVAには、不完全な良心回路と、稀に熱暴走して怒る自省回路と、頻繁に異常活性化する妄想回路が備わっていることは、公式設定だったりする」

丸子「欠陥回路ばかりじゃのう」

ジャン「ええ、だから人間として日々是精進で生きて行こうと頑張っているのです。それはとにかく、ジャンの妄想回路ならぬ神のお告げが脳内に浮かび上がった」

GMアスト「うむ。この装備品は、どうやら女物らしい。ビキニアーマーとか、女物の衣服の残骸が、ジャンの熟達した、鋭い観察眼にはしっかり分かった」

アカミドリ「って、女性の装備をチェックするのに熟達した、鋭い観察眼って何よ?」

ジャン「ご、誤解だ。ぼくは女性の衣服をそのような目で見たことはない……はず。そう、敬虔な知識神の信徒なんだから。ええい、神さまの天啓が女用の装備……ってよろしいのですか?」

丸子「しかし、ここに装備品があるということは、囚われていた女性はどこに?」

ジャン「もしかして、地下水脈の小川で見つけた女性の死体って?」

GMアスト「その推測は間違いなさそうだ。彼女はゴブリンどもに捕まって、この臭気に満ちた汚物溜めに監禁され、ゴブリンどもの玩具とされ、はかない命を散らした。そして遺体は川に投げ捨てられたという推測が、ジャンの心にまざまざと描き出される」

ジャン「それを知った、ぼくの心にふつふつと怒りが湧き上がる。おのれ、人でなしめ。こんなところで散った女性の晴らせぬ恨み、このままにはしておけないな」

 


Hissatsu Shiokinin TV Series Intro – 1973 – 必殺仕置人

 

ジャン「無言のまま、亡き女冒険者の遺品となった装備品に祈りを捧げて、仇討ちを約束する。それからこの場を後にするよ」

GMアスト「すると、さらなる天啓が。この臭気で満ちた部屋に満ちたガスに火をつけると、爆発しそうだとね」

ジャン「ここか。ならば、ここにゴブリンを誘い込むことができれば、一網打尽にできるかも。便所の恨みは便所で晴らすのも、因果応報と言うべきか」

用心棒「因果点で得た天啓で、因果応報の仕置きを始めるでござるな」

 

再び水場へ

 

 汚物溜めの奥の通路から、水場に出ることができる。

 一行は、布で顔を覆って臭気を遮断しながら、素早く便所を通り過ぎて、水場に到達した。

 

ジャン「きれいな水で汚れを取りながら、汚物溜めで得た情報をみんなに脚色交えて、たっぷりと話す」

丸子「脚色じゃと?」

ジャン「ええ、話せば分かります。このぼくの胸に激しく燃え盛る、必殺への想いを」


仕置人の血が騒ぐ

 

丸子「ゴブリンどもを便所に誘き出して、業火の刑に処すのは、わらわも賛成じゃ。大きな花火を咲かせてやるとするかのう、ヒヒヒ」

アカミドリ「炎ね。どれだけのダメージを与えられそうなの?」

ジャン「GM、どうだ?」

GMアスト「天啓だと、2d6の炎ダメージが室内にいる者全員に、というイメージが浮かび上がった」

用心棒「ずいぶんと具体的な天啓でござるな」

GMアスト「シナリオに、そう書いてあるからな」

ジャン「シナリオに書いてあるんだったら、間違いないな。やはり、ゴブスレ作者のシナリオだけあって、爆発の仕掛けが用意されているわけだ」

丸子「問題は、どうゴブリンを誘き寄せて、わらわたちが被害を受けずに、爆発させるかじゃな」

アカミドリ「部屋の外から、《火矢》の呪文を撃つというのはどう? 射程は100メートルもあるし」

ジャン「だったら、後は誰が誘き出し役をやるかだが、ぼくは無理です」

丸子「いきなり辞退するとは、見損なったぞ」

ジャン「いや、臆病とかそういうことじゃなくて、純粋に能力の問題です。ぼくの移動力は9。一方でゴブリンの移動力は15。足の遅いぼくでは、ゴブリンから逃げて誘い出すことは不可能です。移動力を上げる技能の実装がどれだけ待ち遠しいことか」

丸子「誘い出す前に、ゴブリンの集団に囲まれてしまうのでは、無駄に命を散らすだけか。ならば、その役目、移動力24のわらわが引き受けよう。ゴブリンどもを誘き出し、まずはロープと木の杭の罠でダメージを与え、その後、わらわは便所をすり抜けて、追撃してくるゴブリンどもが便所に入ったところを、待ち伏せていたアッキーが《火矢》で爆発させる。それでも生き延びたゴブリンがいれば、この水辺で決着をつける。完璧な作戦じゃ」

ジャン「ええ、後は何体のゴブリンが誘き出されるかですが」

GMアスト「それは、シナリオに書いていないが……2d6で決めよう」

ジャン「2d6か。期待値7で最大12体だな。うまく行けば、ほとんどのザコを殲滅させられる。敵の大群に追いかけられながら、途中に仕掛けた罠で数減らしをして、最後にボスキャラを倒すというのは、いかにもゴブスレらしい展開じゃないか」

 

 その後、一行は水場に放置された女性冒険者の遺体を回収しておくことにした。

 名もなき女性に向ける慈悲はないが、「仮称・トイレの花子さん、改め、お花ちゃん」と名付けたことで、ジャンが妙に感情移入してしまったわけである。

 お花ちゃんの遺体には、縄のように見えたローパーなる蔦植物モンスターが3体いたが、それをダメージを受けることなく、2ターンで仕留めることに成功する。

 

GMアスト「所詮は1レベルの触手モンスターか。攻撃が当たれば、締め付けで継続ダメージを与えた後、丸呑みで生命力を吸収できたものを」

ジャン「だけど命中達成値11しかないからね。回避が6しかないぼくでも、十分に避けれる数字だ」

アカミドリ「ジャンの回避は6しかないの? 前衛キャラじゃない私でも7あるのに」

ジャン「能力値の反射が1しかないんだから仕方ないだろう? 元々、運動神経が鈍いんだよ。それでも騎士の家に生まれて、苦手な武芸を習わされた。だけど、ぼくの本分は学問にあるわけで」

丸子「まあ、前衛はわらわと用心棒に任せて、後方支援に専念する方針で構わんぞ」

ジャン「体力はあるんだけどなあ。一応、いざという時に自分の身ぐらいは守れる魔法使い兼僧侶と考えておくといいか」

用心棒「それで、この遺体はどこに置いておくでござるか?」

ジャン「洞窟内で一番清潔なのが、この水場ですからな。今はここに置いておくしかない」

アカミドリ「せめて、フード付きのマントを外して、遺体にかぶせてあげましょう。私は赤毛と赤い瞳をさらして、炎の精霊の名にかけて誓うわ。あなたの仇は必ず討ってみせるってね」

GMアスト「遺体の首には『白磁等級冒険者の認識票』が遺されていた。これを冒険者ギルドに持ち替えれば、追加報酬になるかもしれない」

ジャン「行方不明者が確定死者になるわけだね。復活させることは……この世界では難しいんだろうな。ソード・ワールドやD&Dと違って、死者蘇生の呪文が用意されていない。原作を読んでも、完全に死んでしまえば蘇生は不可能。原作2巻でも、昏睡状態だったゴブスレさんが剣の乙女の蘇生術で復活したような描写があるけど、あれも死んだのではなくて、生死の境をさまよっていた魂を何とか呼び戻した形だったから、厳密な意味での死者蘇生という扱いではないし」

丸子「リプレイでは、特殊な薬と儀式の効果で吸血鬼化という副作用を伴うプレイヤーキャラの復活が見られたが、あれも例外的な扱いじゃしのう」

ジャン「まあ、ルール的には不可能なことでも、それをキャンペーン物語のテーマと絡めてしまえば、『プレイヤーキャラは、英雄候補とも言うべき例外的立ち位置である』として、GMとプレイヤーの双方の話し合いのもと、ルールを逸脱した採用が可能、と。

「ともあれ、仮称・お花ちゃんに正式名称を与えるなら、フローラってところかな。フローラさんの遺体はシナリオ終了後に、きちんと埋葬してあげよう。復活は遺体の損壊で無理にしても、人としての尊厳ぐらいは守ってあげたい。聖職者騎士としてな」

 

 こうして、一行は名もなき女冒険者改めフローラさんの亡骸を前に、小鬼への復讐を固く誓うのであった。

 

 (当記事 完。次回4.50話「仕掛けて仕損じなし」 仕事人マニアの話を予定)


【巡音ルカ】あかね雲【新・必殺仕置人】