花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

マッスル太郎と、薬酒クエスト(SWミストキャッスル5)

2度めの成長タイム

 

ヒノキ「冒険を始めて、6日めの夕方。スケルトン相手の武者修行を終えて、拠点に帰ってきたマッスル太郎は、蛮族の偵察ミッションの結果を主人のザバーラに報告したということじゃな」

ゲンブ「うむ。ロールプレイの前に、ゲーム的な成長処理を先に済ませるとしよう。まずは経験点だが、獲得したのが890点だけだと合計で910点にしかならなくて、技能の成長はできない。せめて1000点がないと何も伸ばせん」

ヒノキ「成長方針としては、何を伸ばしたいのじゃ?」

ゲンブ「グラップラーを3レベルに上げると、戦闘力がはっきり上がるのだが、このミストキャッスルでは冒険者レベルが上がると、それに応じて攻略難易度も上がる仕様なので、スカウトやセージといったサブ技能も平均的に伸ばして行かないと、探索面で不利になる。まず、欲しいのはエンハンサー技能を2レベルに上げて、防護点を上昇できる練技ビートルスキンを手に入れたい。その後、MP不足が懸念されるので、マギテック技能を習得して、その上でグラップラーを上げたいでござる」

ヒノキ「すると、3500点が必要じゃな」

ゲンブ「他には、ポーションや薬草の回復効果を上げるレンジャー技能にも手を伸ばしたいが、ソロだと技能の分担ができない分、取捨選択に悩むでござるな」

ヒノキ「それも、攻略の楽しみと言えるのじゃ。まあ、先に能力値の成長ダイスを振るがいい」

ゲンブ「6ゾロが出たので、精神力が1上がった。これでMPも1点増えたが、6点が7点になっても、あまり大きな違いはないでござる」

ヒノキ「練技の使用にはMPが3点必要じゃから、マッスルベアー2回分というのは変わらない、というわけじゃな。では、次はミッションの報酬じゃが、ランダムにもらえるので、2dを振るといい」

ゲンブ「5」

ヒノキ「陽光の指輪じゃな。使用すると壊れるが、生命抵抗プラス2のボーナス。売れば500ガメルになるが、どうする?」

ゲンブ「とりあえず、持っておこう。他には、前回で880ガメルが手に入ったのだが、合計1025ガメルで何が買えるだろうか?」

ヒノキ「これがファイターだと、武器や防具をバージョンアップする楽しみがあるのじゃが、グラップラーの場合は装備が限定されておるからのう」

ゲンブ「欲しいのは、防護点をプラス1してくれるブラックベルトでござるが、3000ガメルもするからな」

ヒノキ「ポーションを10本買っておけば、戦闘でも安心できそうじゃが」

ゲンブ「ポーションを飲むのが補助動作でできるのなら、それも一つの選択肢でござろうが、主動作を使うことになるので、ポーションを飲むと攻撃ができない。マッスル太郎は攻撃方向に特化したキャラなので、回復しているよりも攻撃して相手を先に殴り倒した方が確実。回復して手をこまねいている間に、またダメージを受けてしまうと、ジリ貧になるだけだからな。もしも殴りながら、同時にポーションを飲めるなら、すぐにレンジャー技能も習得するのでござるが」

ヒノキ「2.0版のアイテムに、ポーションインジェクターというのがあってのう。あらかじめ仕込んでいたポーションを一度だけ補助動作で使えるようにしてくれる代物じゃ。お値段は740ガメル。ソロで戦う戦士には結構好評じゃよ」

ゲンブ「それは、是非欲しいでござるな」

ヒノキ「問題は、それが首に取り付ける装飾品なので、奴隷の首輪を付けている現状では装備できない、ということじゃ」

ゲンブ「何と。首輪が実にいまいましい。インジェクターの方を、別の箇所に置き換えることはできないのでござるか?」

ヒノキ「今は無理じゃが、近い将来、フルボトル入りポーションを装着する腰用インジェクターが登場するやもしれぬ」

ゲンブ「それは、どういうことでござるか?」

ヒノキ「新作サプリメントの発売じゃよ。SWの追加アイテム集は、これまで大きく2つが用意されておった」

ゲンブ「確か、アルケミスト・ワークスとルミエル・レガシィでござるな」

ヒノキ「この度、スタートセットに続いて、2.5版対応のアルケミスト・ワークスと言うべき、アイテム追加サプリメントが出るらしい。その名も、エピック・トレジャリー、伝説的なお宝集なのじゃ」 

ゲンブ「おお、このサプリメントがあれば、フルボトルで回復できる腰ベルトインジェクターが手に入るでござるな」

ヒノキ「それは知らん。わらわはサプリメントの製作者ではないから、あくまで適当に言ったまでじゃ。製作陣に、仮面ライダービルドに感化された者がおれば、そういうアイテムを追加してくれるかもしれないという願望混じりの妄想に過ぎん」

ゲンブ「しかし、今月はSW2.5関連の商品が3つも出るのでござるな。新星どのは、どうするつもりであろうか?」

ヒノキ「全部買うなら、マニアとして尊敬に値するところじゃが、パグマイアとか、パスファインダーにも手を出す御仁じゃから、もしかすると金欠に陥っているやもしれぬ。どれか一つを選ぶなら、まあ、データ集の方じゃろう。スタートセットも欲しいと思っておろうが、買ってもすぐにプレイする環境にないから、後でもいい、と判断するのではないだろうか。マッスル太郎の冒険に役立つものでもないじゃろうからな」

ゲンブ「うむ。マッスル太郎としては、新作サプリの追加アイテムのために、今はガメルを貯えておくでござる」

ヒノキ「怪力の腕輪を1000ガメルで買って、ダメージをさらに1点上げるという選択肢もあるのじゃがの」

ゲンブ「そ、それは魅力的な提案でござるが……陽光の指輪を売れば、資金に余裕もできるが、次の成長の機会に考えるでござる」

●マッスル太郎のキャラデータ(青字は成長部分)

 

ルーンフォークの練体拳闘士
グラップラー2レベル、エンハンサー1レベル、スカウト2レベル、セージ1レベル(残り経験点910)

所持金:1025ガメル(ザバーラポイント175点)

器用20、敏捷11+1、筋力22、生命力21、知力15、精神7
HP27、MP7

武器:チェインスティック(命中6、威力15、追加ダメージ+6、クリティカル値11、2回攻撃)
防具:クロースアーマー(回避4、防護点2)

特技:追加攻撃、武器習熟A/格闘

練技:マッスルベアー

所持品:冒険者セット、ヒーリングポーション3本、スカウト用ツール、救命草2つ、保存食1週間分、俊足の指輪、陽光の指輪

 

ザバーラの目論見(6日め、夜、天幕)

 

ヒノキ「さて、今回は少しストーリー語りをしてみるかの。ザバーラは、太郎の報告を聞きながら、試すように、こう問いかけてくる」

ザバーラ『あの牧場に飼われている人族の幼子たち。あれが、この蛮都の一面なんだけど、亀太郎としてはどう思った?』

太郎(ゲンブ)「そう問われると、ご主人さまの真意を確認したいでござる。正直に申すと、蛮族が人を喰うという話は聞いていましたが、あまり実感はしていなかった。ただ、ご主人さまはこの街に食料を調達することで一目置かれている、と耳にしました。もしかして?」

ザバーラ『いいえ。このあたしは、人肉を扱ったりはしていない。だけどね、蛮族社会では弱肉強食が当然で、食われたくなければ強くあれ、と考える連中が山ほどいるのよ。弱い者は強い者に逆らえない。そんな連中の支配する街で、少しでも多くの人を助けるためには何をすればいいって思う?』

太郎「もちろん、人族が一致団結して、蛮族の圧政に抵抗し、蛮族を街から追い出せばいいのでは?」

ザバーラ『それができるなら、苦労しないわよ。もちろん、君と同じように考え、街の裏で反蛮族のレジスタンス活動を企てている者もいる。人族の誇りを守るためなら死んでもいい、何を犠牲にしても戦うことを諦めない愚かな連中がね。あたしは、そんな連中に与したいとは思わない』

太郎「だったら、ご主人さまは蛮族の非道を黙認するってことですか?」

ザバーラ『黙認しているように見えるのかしら?  一応、これだけは言っておくわよ。人族だろうと、蛮族だろうと、生きていくためには何かを食べていかないといけないの。この街に食料が入って来なかったら、お腹をすかせた蛮族は何を食うと思う?  当然、街に残された人族の浮民が数多く犠牲になるのよね。それを防ぐためには、蛮族が少しでも人族の流儀に合わせて生きる、ということを誰かが教えなければならないの。例えば、人族の食べる牛肉や羊肉、それに芋の揚げ物とかを主食として、金を払って口にすることをね。

『この街のトップのヤーハッカゼッシュ様は、野蛮な連中の中では、賢明で、法治というものに理解を示してくれて、暴力以外の秩序を構築しようとしたの。正体はトカゲの一族だけど、普段は眼帯を付けたイケメンでね。一年に一度の謝肉祭の時を除けば、人肉喰らいはご法度ってルールを制定してくれた。もちろん、それも人肉以外に食べる物が十分に確保できての話なんだけどね。あたしがこの街でしていること、目指していることは、蛮族たちに人族の文化習慣、経済に基づく法治秩序なんかを受け入れさせて、人族の地位と安全を守ることなのよ。全てが完璧とまでは言わないけどね』

太郎「なるほど。蛮族どもの腹をつかむことで、上手くコントロールするということでござるか。だけど、どうして、そんな話を奴隷の私に?」

ザバーラ『そんなのは簡単よ。君の可笑しな芸が、腹筋崩壊、つまり腹を割るってことでしょ?  だったら、そういう流儀に合わせて、こっちも少し腹を割ってみただけの話』

太郎「ほう。さすがは腹芸の分かる方ですな」

ザバーラ『もちろん、それだけじゃないんだけどね。君は最近、施療院のウルスラって女のところに顔を出したそうじゃない。だったら、少し釘を刺した方がいいと思ってね』

太郎「釘を刺す?  また、どうして?」

ザバーラ『あの女が裏で何をしているかは推測に過ぎないんだけど、長生きしたければ、あまり深入りしないことを勧めるわ。もっとも、お人好しの君のことだから、放っておくと、ズブズブ泥沼に引き込まれそうだし。いいこと?  君はあたしの奴隷だって忘れないようにね。義侠心に駆られるな、とまでは言わないけれど、あたしの仕事の邪魔は決してしないこと。そして何か分かったことがあれば、あたしに報告すること。無駄に命を落とすような危険に、首を突っ込まないこと。それだけ守ってくれるなら、こっちも悪いようにはしないわ』

太郎「では、早速報告するでござるが、例のサカロスの薬酒については、ウルスラさんが何か情報を持っているそうです。そのために私に仕事を依頼したいとのこと。どうすればよろしいでしょうか?」

ザバーラ『だったら、その仕事に応じればいいわよ。そして、ウルスラが何を知っているか調べ上げて、分かったことを報告しなさい』

太郎「……スパイ活動ってことですか?」

ザバーラ『こちらの身を守るための用心ってことね』

太郎「(女狐、いや、腹黒ウサギめ)と、心の中でつぶやくでござる」

 

ウルスラのミッション(7日め、朝、施療院)

 

太郎「ザバーラのロールプレイ、大変でござるな」

ヒノキ「まったくじゃ。一時期は女元締めって感じに考えていたが、もう少しウサギっぽいチャラチャラした感じで、だけど油断できないしたたかな女って路線で進めようと思う。前の記事のザバーラのセリフも、それに合わせて修正したりもした。太郎をお前と呼ぶバージョンを読んだ方は、読み直すのも一興かと」

太郎「ところで、ルーンフォークという種族だが、暗視が使えたのでござるな。うっかりそれを失念していて、先日のプレイ記事では松明を使ったりもしていた。今後は松明を消費しなくても済むでござる」

ヒノキ「辻褄合わせをするなら、あの時は常夜の回廊を抜けた影響で、暗視機能がうまく働かなかったのじゃろうな。それがようやく機能回復したということにしておこう」

太郎「いろいろ試行錯誤しながら、進めるでござる。まずは950ガメルを拠点に預けて、75ガメルを持ち歩くことにする。それから未明に拠点を出て、朝に施療院に着くのは前回と同じ。そこでスパイのことはおくびにも出さず、陽気な挨拶で振る舞うとしよう」

ヒノキ「施療院でウルスラを探している太郎の前に、一人のグラスランナーが声を掛けてきた」

グラスランナー『やあ、君が噂のお笑い芸人、マッスル太郎だね。ぼくはニルス、君と同じ芸人さ。楽器を弾いて、歌を歌っている吟遊詩人なんだよ』

太郎「ほう。私の名前が、芸人として知られているとは恐悦至極。ニルス殿はどうしてここに? 見たところ、健康そうでござるが」

ニルス『そりゃあ、ウルスラさんの手伝いさ。蛮族どもに占拠されたこの街で、弱い人族たちの力になってくれる人だからね。君は見たところ、ザバーラのために働いている奴隷みたいだけど、それは君の本意なのかな? それとも、奴隷の身だから仕方なくってこと?』

太郎「むっ、どうして、そのようなことを初対面の人物に問われねばならないのか?」

ニルス『あ、怒らせたようだったら、ゴメンね。だけど、ザバーラの奴隷がどうしてウルスラさんに近づいて来たのか、気になるからさ。正直言って、ボクは君がザバーラのスパイじゃないかって疑ってもいる。ウルスラさんに危害を加える蛮族の手先だったりしたら、それなりに警告もしないといけないしさ』

ヒノキ「そう言うグラスランナーの瞳は、最初の明るい口調から一変、ギラリと威圧の光を帯びている。スカウト技能を持っている太郎なら分かるが、ニルスもご同業らしい。しかも、より腕利きのようじゃな」

太郎「具体的には、どれぐらいでござるか?」

ヒノキ「魔物知識判定で見抜いてもらおうか」

太郎「12でござる」

ヒノキ「スカウト5レベル、レンジャー5レベル、バード5レベル、そしてフェンサーがそれ以上ということが何となく相手の物腰から分かった」

太郎「つまり、戦って勝てる相手じゃないでござるな。グラスランナーの密偵剣士にして吟遊詩人とは定番の組み合わせだが、それだけに手強いと考えながら、ここは下手に出よう。ワッハッハッと豪快に笑いながら、『いやあ、ニルスさんもお人が悪い。あっしはこう見えても、しがない駆け出しお笑い芸人。スパイだなんて物騒なこととは、縁もゆかりもなく、ただただ皆さんの笑顔のために働きたいと思っておりますです、ハイ。蛮族の手先? とんでもない。連中の野蛮さには心を痛める毎日ですが、あっしみたいな無力な臆病者には何もできません。ただただ、日々の平穏な生活を維持しながら、自分の仕事のお使いに邁進するばかり』と、言い逃れようとするでござるよ」

ニルス『ふ〜ん。その、いかにも強そうなムキムキな筋肉と、ヌンチャクは、見た目だけのお飾りなんだ。かの有名な昔話、世紀末救世主伝説みたいな、どこかの流派の伝承者を期待したんだけどなあ』

太郎「いやいや、ご冗談を。私はドジで、強いつもりなマッスルマン。それでも、心に愛だけは持っているつもりだと、神谷明に似た声で訴えてみせる」

ヒノキ「世紀末救世主伝説も、神谷さんなんじゃがの。まあいい。そうして太郎がニルスと腹の探り合いをしていると、ウルスラさんが出てくる」

ウルスラ『おや、太郎さんじゃないか。昨日の仕事を引き受ける気になったみたいだね』

太郎「はい。その代わり、例の薬酒の件を教えてください……とペコペコ頭を下げながら、魔物知識判定。この女も実は高レベルNPCじゃないか、と疑ってみるわけで。達成値は7」

ヒノキ「それじゃ、何も分からん。働き者のドワーフの少女(ロリ)な外見以上のことは、見分けられなかった。まあ、ラクシアの一般常識として、ドワーフ娘は幼い外見に反して力持ちで、そこそこ歳を重ねていることは知っていてもいいだろう」

太郎「見た目は子ども、中身は……でござるな。では、正式にミッションを引き受けたいと思う」

ヒノキ「うむ。ミッション名は『水を汲んできて』じゃ」

太郎「はっ? そのいかにもお使いって感じのミッション名は、気が抜けるでござるが」

ヒノキ「依頼の中身は、まず露天市場に行って、道具屋のアイテラから水袋5つを買ってくる。それから泉のある広場に行って、水を汲んで帰ってくる。それだけじゃ。露天市場と、泉広場の位置を決めるとしようか」

(決めた結果は下図)

●霧の街のマップ(7日め、朝時点)

 

    牧場       ー     ?  ?

     l                  l  l

  路地裏     ー 施療院ー泉の広場ー?

     l                  l  l

常夜回廊ー 涸れ井戸ー ?           ?

     l                  l        l           l

     港ー   三色の天幕ー庭園ー翡翠の塔ー?ー叫び

                   (拠点)      l                   l の門

                           l         l          l    l

        ダルクレム神殿 ー骨の川ー ?ー露天市場ー?

                           l         l      l

          剣闘士の宿舎   ー  ?      ?

                           l

                           ?

太郎「う〜む。泉の広場はすぐ隣だからいいとして、どうして露天市場がこれほど遠いのか? 買い物はザバーラの店で済ませる方が早いのではないか?」

ヒノキ「確かに、マップはランダムに決めたにせよ、すでにザバーラの天幕が分かっている上、ザバーラの奴隷に買い物を頼むのに、わざわざ遠い場所に行かせるのは、ウルスラがまるで底意地の悪い女に見えるのう。少し待て。(露天市場の記述を読んでから)特に、ここでなければいけない理由はなさそうじゃ。TRPGは、GMが融通を利かせるのも重要な遊びであるゆえ、今回は露天市場を使わずに、天幕での買い物を認めよう」

太郎「そうなると、昼に天幕に行って、夕方に施療院だと、広場が夜になるので、ここは昼に天幕、夕方に骨の川で修行して、夜に天幕で休んで、朝に施療院、昼に広場というスケジュールで行動することにしよう」

ヒノキ「では、このシーンの状況を整理しよう。ニルスと出会ったことで★1つ。ウルスラから初ミッションを受けたことで★1つ。それから水袋5つ分の代金で100ガメルを前払いしておこう」

 

泉の広場(8日め、昼)

 

 7日めの昼に天幕で水袋5つを買った太郎は、ザバーラポイント10点をゲット(合計185点)

 その日の夕方、骨の川で3度めのスケルトン戦を経験する。1ラウンド目に先制権を奪われ、乱舞する骨に7点のダメージを受けるも、続く反撃で赤目スケルトンを連続攻撃。クリティカルも出て、1ターンキル。戦利品は、魔力を帯びた骨(250ガメル)と普通の骨(30ガメル)、剣のかけら(200ガメル)。探索判定には失敗し、追加報酬はなし。さらにスケルトン退治で、★1つと20経験点をゲット。

 その日の夜、ザバーラの天幕で休み、回復しきれなかったHPも救命草使用で、完全回復。使用した救命草も即座に購入し、ザバーラポイントの合計は188点に。

 

 そうして、翌朝、ウルスラの施療院であいさつしてから、いよいよ泉の広場へ向かうのだった。

 

太郎「ここまで★3つと、20経験点。450ガメルの収入と、順調でござる」

ヒノキ「では、昼ごろに広場に着いた。そこは開かれた鋼鉄製の門を潜った先にある。周囲を窓のない建物に囲まれ、中央に泉があって、多くの浮民や奴隷が水を汲んでいるのが見える。泉には書物を持った女性の像が建っているが、頭部が無残に破壊されている」

太郎「いかにも蛮族のやりそうなことでござるな。もっとも、ルーンフォークは神さまを信じないので、あまり気に掛けない」

ヒノキ「誰も女神の像とは言っておらんのだがな」

太郎「むっ、そう言われると重要な意味のある像のような気がしてきた。よくよく観察してみるとしよう」

ヒノキ「台座には、名前が刻まれていたらしいが、今は削り取られている。ここで冒険者レベル+知力で判定してもらおう。目標値は9じゃ」

太郎「だったら、5以上だから簡単でござる。8を振ったので達成値12」

ヒノキ「すると、辺りの水を汲んでいる連中が、妙に怯えた様子で、急いでその場を離れようとしているのに気づく」

太郎「それは気になるでござるな。何が問題か、適当な人間に声を掛けてみるが」

ヒノキ「『構わないでくれ。時間がないんだ』って、その人物は慌てて逃げようとする」

太郎「何だかよく分からんが、空気は読んで、自分も急ぐことにする。どうも、ここは嫌な気配がする」

ヒノキ「その予感は的中したようだ。ドーンドーンと太鼓の音が鳴り響き、広場の門が閉ざされて行こうとする」

太郎「何と。慌てて外に出ようとするが」

ヒノキ「冒険者レベル+敏捷で判定じゃ。目標値は11」

太郎「7以上でござるか。くっ、出目4で失敗でござる」

ヒノキ「非情にも、門は太郎の前で閉ざされた。そして、『ヒャッハー、人間狩りの時間だぜ。お前たち、覚悟しろよー』と吠える汎用蛮族語の声が聞こえてくる。誰かが、『うわー、縊(くび)り屋モ・ルゲだあ。奴に目をつけられたら、もう終わりだあ』と悲鳴を上げている」

太郎「そのモ・ルゲというのは、何者でござるか」

ヒノキ「魔物知識判定をせよ」

太郎「ピンゾロ」

ヒノキ「一応、港で会ったボガードの同族だと思うが。1dを振れ」

太郎「4」

ヒノキ「だったら、太郎はモ・ルゲの眼中には入らなかったようだ。代わりに、別の男がモ・ルゲの手下に引きずられてくる。『ふむ。お前の肉はうまそうだな』『イヤだ。俺はまだ死にたくない』と必死に訴える声」

太郎「うっ。これは私の勇気が試されている。ここは場を和ませるために、一芸披露するしかない。『ちょっと待ったあ』と叫んで、モ・ルゲの前に飛び出すでござる」

モ・ルゲ『何だ、お前は?』

太郎「マッスル太郎で〜す。腹筋パワー! 筋力で威圧するでござるよ。筋力+冒険者レベルで判定して13」

ヒノキ「勝手に判定の内容を決めるでない。挑発されたと受け止めたモ・ルゲも、負けないようにマッスルポーズを取る。出目は6。モンスターレベルを足して9」

太郎「すなわち、モンスターレベルは3。通常のボガードだと見た。5レベルのトルーパーじゃなければ勝てる。人を喰う蛮族は魔物と同じ。このマッスル太郎が成敗してくれる。このザバーラ様の首輪を恐れぬならば、掛かってこい!」

モ・ルゲ『ザバーラだと? 人肉は食うな、牛や豚、羊の肉を食えって訴えるメスウサギか。俺はあいつのことが前から気に入らなかったんだ。ちょうどいい。お前から血祭りに上げてやる』

 

VSモ・ルゲ

 

ヒノキ「相手は、3レベルボガードのモ・ルゲと(コロコロ)お供の2レベル妖魔のレッドキャップじゃ。レッドキャップの方は、魔物知識判定をするといい」

太郎「達成値は7」

ヒノキ「弱点は分からないが、データは判明した。HP18。命中回避はどちらも10。防護点は1」

太郎「それほど怖くはないな。他の蛮族は、どうしてるでござるか?」

ヒノキ「すぐに手を出す動きはない。太郎の筋肉に威圧されて様子を見ているのか、ボスのモ・ルゲが負けるはずがない、と思っているのか、遠巻きに観戦する姿勢じゃ」

太郎「つまり、モ・ルゲを倒せば、ビビって逃げると見た。それでは、先制判定8」

ヒノキ「こっちは11じゃ。モ・ルゲは名ありキャラなので、わらわがダイスを振る。命中は11じゃ」

太郎「回避は、くっ、10か」

ヒノキ「ダメージは11点」

太郎「防護点で2点減らして、9点食らった。残りHPは18点」

ヒノキ「連続攻撃で、もう一度11」

太郎「それを食らうわけには……よし、出目11で回避」

ヒノキ「レッドキャップの攻撃は固定値で10」

太郎「それは普通に避けた。なら、反撃するでござる。マッスルベアーでダメージ+2。一撃めの命中は16」

ヒノキ「回避は13で避けられん」

太郎「ダメージは13点」

ヒノキ「防護点3点を減らして、10点食らった(残りHPは11点)」

太郎「こちらの追加攻撃。命中は15」

ヒノキ「出目11なので、同値回避じゃ」

太郎「やるな、貴様!」

モ・ルゲ『お前も、奴隷にしては、そこそこの使い手じゃねえか。だが、勝つのは俺だ』

 

ヒノキ「2ラウンド目にいくのじゃ。モ・ルゲの命中は8。『何だと? 体がうまく動かねえ』」

太郎「それは9と言って避けたでござる。どうした、ふらついているのでは?」

モ・ルゲ『それは、お前だって。やれ、レッドキャップ』

太郎「ザコの攻撃なぞには当たらん。13で回避。さて、反撃でござる。1撃めは出目7の命中13」

ヒノキ「出目10。14と言って避けた。まだまだ」

太郎「2撃めも13」

ヒノキ「それも14で回避」

太郎「アリナ様、ダイス目を少しは遠慮して下され」

ヒノキ「ヒヒヒ。攻撃で遠慮したじゃろうが。お主がもっといい目を出せば、いいだけのこと」

 

ヒノキ「白熱した3ラウンド目じゃ。モ・ルゲの攻撃は、11を振って、命中15」

太郎「それは無理……と思いきや、6ゾロ振ったでござる。空中に高く舞い上がり、華麗に着地」

モ・ルゲ『バカな。今の攻撃を避けただと?』

太郎「ザコの攻撃も普通にかわして、ここで奥義マッスルリベンジャーと叫んで、攻撃するでござる。ダイス目は6なので、命中12でござるが」

ヒノキ「ならば、8以上で回避。(コロコロ)7じゃと?」

太郎「ダメージは、振るわなくて10」

ヒノキ「7点くらった(残りHPは4点)」

太郎「もう一撃は、出目11のマッスルダイナミック!」

ヒノキ「6ゾロのみじゃが、出目5。終わったか?」

太郎「ピンゾロでさえなければ。出目10で惜しくもクリティカルならず。しかしダメージは14点」

モ・ルゲ『ぐはっ。バカな、この俺が倒されるとは。マッスル太郎、貴様、一体何者だ!? ただの奴隷ではないな』

太郎「フッ、みんなの笑顔のために戦う、お笑い芸人さ」

モ・ルゲ『お笑い芸人。何て強い輝きなんだ。心が洗われるようだぜ(死ぬ間際に笑顔を見せる)グフッ』

太郎「縊り屋モ・ルゲ。残虐な男だったが、これも乱世に生まれた宿命か。安らかに眠れ」

雑魚レッドキャップ『バカな。兄貴がやられただと? ヒ、ヒーッ!』

 

 ゲーム的には、その後のレッドキャップの攻撃で、合計10点ダメージを受けて、残りHP8点まで減ったマッスル太郎だったものの、5ラウンド目に何とか撃退し、クライマックス戦闘を勝ち残った。

 戦利品として、それぞれの武器(150ガメル×2本)と、レッドキャップの髪(10ガメル)をゲット。

 

蛮都のお笑い芸人伝説

 

 モ・ルゲを倒したキン肉男の噂は、霧の街で虐げられた人々の間で、久しぶりに笑顔で語られるニュースとなった。

 しかし、噂はいろいろと尾びれを付けて語られ、伝説の男は謎の怪しい覆面を付けた某国の王子だの、胸に七つの魔晶石の輝きを宿した暗殺拳法の達人だの、3人パーティーのリーダーで空中戦を得意とする斧使いだの、女好きの凄腕シューターだの、その人物像はなかなか特定されなかった。

 よって、まさか、その男がお笑い芸人を自称する一介の奴隷ルーンフォークだとは、ほとんどの人族、蛮族は思いもよらなかったのである。

 

ヒノキ「さて、マッスル太郎がモ・ルゲを倒した後、全てを目撃していたニルスが現れ、脱出を先導してくれる。ニルスは、太郎を連れて施療院まで逃げ延び、そこで傷ついた太郎は手厚い看護を受けることになった。これで、この度のミッションは終了じゃ。広場のイベントで、★を2つ進呈しよう」

太郎「やれやれ。これで、ウルスラとニルスに上手く乗せられ、マッスル太郎は反蛮族レジスタンスの先鋒に仕立て上げられるのでござるな」

ヒノキ「確定したわけではないがの。ただ、今回の件で、ウルスラが太郎に信頼を寄せてくれたことは間違いない。人族を守って、蛮族と戦う男意気を見せたわけじゃからな。よって、今後、ウルスラの施療院を拠点に使うこともできるし、ザバーラ以外にウルスラがクエストを与えるようにもなる。もちろん、メインの雇い主(キーパー)はザバーラだが、ストーリー展開によっては、どちらに付くか選択を選ぶことにもなろう」

太郎「モ・ルゲを倒したことで、蛮族社会から目の敵にされたりはしないだろうか?」

ヒノキ「その辺は、ザバーラがうまく情報操作したことにするのじゃ。自分の奴隷が蛮族に刃向かったことが知れ渡ると、いろいろ不都合だしの。それに、蛮族社会では勝った者が正義、負けた者は弱いのが悪い、と見なされるわけで。モ・ルゲを倒した人物は人族の間では謎のヒーロー、蛮族の間では調子づいたボガードを成敗した一人の強者という扱いで、まだまだ注目を浴びる段階ではないってところか」

太郎「とにかく、これでサカロスの薬酒の件が進展するでござるな」

ヒノキ「では、その件を次の話で片付けて、ひとまずマッスル太郎の物語は中断することにしよう。作者がそろそろ他の記事にも手を付けたいと考えているようでの」

 (当記事 完)