花粉症ガール・翔花伝&コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女主役の物語」&「その仲間たちの雑談話」など。TRPG話や特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。

ふたりはタイムジャッカー(屋久島編2)

コンパーニュ襲撃


ヒノキ「さて、コナっちゃんがいなくなると、寂しくなったのう。じゃが、わらわは桜島の異変に備えて、今はここを動くことはできん。九州守護の結界のために、霊力を供しないといけない時期でもあるし。そうでなければ、屋久島クエストにわらわも同行したいのが本音じゃが、まあ管理役としての務めじゃから仕方あるまい」

謎の声「お役目ごくろうさま。しかし、あなたさえいなければ、九州の地に災厄をもたらすことができる。そういうことよね」

ヒノキ「ムッ、何奴じゃ。この結界に守られしコンパーニュの塔に招かれず侵入し、わらわにも気付かれぬとは只者ではあるまい」

謎の声「結界なんて、あたしたちタイムジャッカーには無意味。だって、結界が張られる前の時代に転移して、そこから位置座標を保ったまま時間を越えれば、容易に侵入できるもの。時空転移を自在にできれば、私たちに入れない場所などない」

ヒノキ「なるほど。そなたが新星どのの言っていた敵の一人か。名を何という?」

タイムジャッカー「あら。人に名前を尋ねる前に自分から名乗るのが、この時代の礼儀じゃないかしら?」

ヒノキ「他人の住居に侵入しておいて、礼儀を語るのも片腹痛い。そっちはわらわの名前など、先刻承知であろう。名乗る必要などあるまい」

TJ「そうね。南郷阿里さんだったかしら」

ヒノキ「それは昔の名じゃ。今のわらわは日野木アリナ。ヒノキ様と呼ぶがいい」

TJ「いいえ、ヒノッチ、アリアリ、スーちゃん。どれかを選ばせてあげる」

ヒノキ「ちょっと待て。前の二つはともかく、スーちゃんって何じゃ?」

TJ「だって、あなたは四聖獣の朱雀の称号を持つんでしょう? だったら、スザクのスーちゃんでいいじゃない」

ヒノキ「そうか。確かにザクちゃんよりはマシだな。ザクとは違うのだよ、ザクとは。とにかく、ヒノッチとアリアリはムズムズするので、三つの中ならスーちゃんが一番いい。まるでキャンディーズになったみたいじゃからの」

TJ「キャンディーズ? 何よそれ? あたしの2018年データには登録されていないわ」

ヒノキ「やれやれ。ポンコツ未来人はキャンディーズも知らぬのか。女の子アイドルトリオを語る上で、キャンディーズも語れぬようではたかが知れておる。花粉症ガールも今は1号、2号、V3のトリオじゃから、キャンディーズには敬意を表する次第じゃ」
GOLDEN☆BEST キャンディーズ コンプリート・シングルコレクション

TJ「くっ、これだから年寄りの相手は疲れるのよ。そんな昔の芸能人の情報なんて、このあたしが知るわけないじゃない」

ヒノキ「ふん。キャンディーズも知らないようでは、そなたも女の子アイドル失格じゃ。業界勉強が足りんのう」

TJ「女の子アイドル失格ですって? それは聞き捨てならないわね。このタイムジャッカー、マーキュリーバットの一柱、ダイアナジャック。♦の称号を持つ女。未来のアイドルトップスターを目指している輝かしい美少女戦士。嫌いなものは、しつこいパパラッチ。好きなものはダイヤを始めとする各種宝石よ」

ヒノキ「なるほど、ダイアナジャックか。しかし、解せぬのう。ジャックというのは男の名前じゃが、もしかして、そなたは男の娘って奴か?」

ダイアナ「(ピクッ)いいえ、私はサソリ座の女。思いこんだら命がけ。一途な星の下に生まれたの。体はどうあれ、心は女。本当はクイーンになりたかったのに、バットクイーンに負けたために、女王になれなかったの。トップスターを目指すこのあたしが何て屈辱。だけどマーキュリーバットの任務は果たさないと、愛するあの人に嫌われてしまう。だから、私は使命を果たす。覚悟なさい」

ヒノキ「やれやれ。面倒くさい性格のようじゃな。男でも女でもどっちでもいいが、敵であるからにはそっちの事情は関係ない。タイムジャッカー、ダイアナジャック。この花粉症ガールV3、日野木アリナに勝負を挑んだこと、後悔させてやろう」

ダイアナ「年寄りの時代は間もなく終わるの。月とカボチャに代わって、冥界へのご招待よ!」
ハッピー ハロウィン! (講談社の幼児えほん)

重甲対決


翔花「タイムジャッカー、クラブキング。あなたたちが2号ちゃんを酷い目に合わせたのね。絶対許せない。KPちゃん、ドゴラン・キーパーで行くわよ」

ケイP『了解であります。システムチェーンジ! ハロモード展開、アーマーモード! 続いて、イークイーップ to ショーカ!』

ショーカDK「ドゴラの力を鎧に変えて、守れ勇者の大閃光! 花粉SHOWガール、ショーカ・ドゴラン・キーパー、ここに見参。不定形の力で気合充填OKね」

キング「これが噂に聞くドゴランアーマーか。その優美な曲線、正に芸術的精神の表れ。しかも、王侯の鎧にふさわしい輝き。是非とも我が物にしたいものよ」

ショーカDK「え、もしかして、こいつ、鎧マニアなの?」

キング「その通り。我がカニアーマーの強固さに、ドゴランアーマーの対エネルギー装甲をコーティングすれば、正に最強のアーマーが完成する。ゆえにショーカ・ドゴラン・キーパー、大人しく我が軍門に下るといい」

シロ「こいつ、翔花だけでなく、ケイPまで狙っているというのか?」

ゲンブ「粉杉どの、そなたは下がっているといい。このカニキングの相手は、我が一人でする。シロ、お前も粉杉どのとケイPに付いてやれ。敵の手に渡すわけにはいかんからな」

ショーカDK「そんな。私だって戦える」

シロ「いや、翔花。敵の狙いがお前である以上、お前を前線に出すのは愚策もいいところだ。ここはゲンブに任せた方がいい」

ショーカDK「だけど、一人で戦うより、みんなで一斉に掛かった方が確実だよ」

シロ「ゲームならな。だけど、実戦ではそう簡単にはいかない。連係の取りにくい乱戦状態では、仲間同士の攻撃のタイミングが噛み合わなければ、かえって互いの勢いを削ぐことになるか、最悪、同士討ちにだってなり兼ねない。お前、ゲンブと連携を想定した訓練をしたことはないだろう?」

ショーカDK「KPちゃんなら、ゲンブおじさんと一緒に練習していたんだから、ドゴラン・キーパーにもそういうデータが蓄積されているはず」

ケイP『翔花ママ、ゲンブ師匠は私には力をセーブして相手されておりました。師匠が本気を見せれば、未熟な私には付いて行けずに、練習になりませんから。今のドゴラン・キーパーでは、師匠の本気と上手く連携できる保証はありません。足手まといになるだけです』

ショーカDK「くっ、分かったわ。しばらく観戦モードってことね」

シロ「ああ、だが周辺への警戒も怠るな。敵はあのクラブキングだけとは限らないからな。どこかに伏兵を忍ばせている可能性もある」

キング「その心配は無用だ。ここに来たのは俺一人だけよ。一人いれば、お前たちの相手など十分と踏んだからな。マーキュリー・バットの面々はいずれも一騎当千の強者ばかり。中でも、このクラブキング、武器を使った正面からの戦いでは無敵を誇る。見よ、我が鋭利さを誇る双鋏刃ダブルシザースクロー!」

ゲンブ「カニバサミの二刀流、それが貴様の得物か。ならば、我もお見せしよう。GバックラーおよびGダイナミックブレード来たれ、ゲンブの名の下に! ナチュラルアーマー活性化! 玄人武装ジェネラル・バックラー、ここに見参! この硬き装甲、貫けるものなら貫いてみせい!」

キング「ほう、さすがは兄弟だ。完全武装のその姿、威圧感たっぷりでビリビリ来るぜ。相手が俺じゃなければ、それだけで怯ませることもできたろう」

ゲンブ「貴様も、大口叩くほどの腕は備えた武人のようだ。いざ、一騎討ちと参ろうか」

キング「俺は武人である前に、快盗なんだがな。目的の宝は、花粉症ガールとその鎧。だが、その前に力量を示しておくのも悪くはない。時間はたっぷりあるだろうしな。このバトル、楽しませてもらうぜ!」

ゲンブ&キング『海獣ファイト、レディーGO!』

超重圧迫


2本のハサミ爪と、1本の蛇腹大剣が何十合と切り結び、互いの盾や装甲に阻まれ、双方ともに決定打を与え得ぬ展開が延々と続いた。
そして……。


ゲンブ「お主、やるな。さすがはキングの名にふさわしい力量」

キング「フッ、そちらもな。さすがは我が兄弟。だが、このままやり合ってたら、いずれ、こっちが負ける。武器を使った技量は、どうやらそちらが上のようだ。こっちは何とか凌ぐので手一杯に追い詰められてきたんだからな」

ゲンブ「ほう、冷静に戦いの機微を察するとは、単なる猪武者ではなさそうだ。だが、これ以上、時間を浪費するわけにもいかん。互いの力量が分かったからには、一気に行かせてもらうぞ。燃えよ、我が炎刃、プラズマGDブレード!」

キング「おお、体内の炎のエネルギーを拳から剣に送るとは。これはカメーバにはできない、ガメラの眷属ならではの技だな。これを喰らえば、俺の装甲がどれだけ強固でも焼きガニになってしまう。だがな、俺にもこういう芸があるんだ。タイムジャッカー、クラブキング奥義、超重圧迫グラビトン・プレッシャー!」

ゲンブ「何? 動けん。これは!?」

キング「ククク、悪いな、兄弟。俺が重力使いだというのは最初に言ったとおりだ。俺が本気を出せば、あんたら全員の動きを封じ込めて、目的を達成するのは簡単なこと。だが、それだと武人としては卑怯だからな。一応は、武人の流儀に則って、ここまで戦ってみせたわけだ。決して、重力を操る以外の能無しに見せないためにもな。しかし、それもそろそろタイムアウトだ。いつまでも遊んでいる時間もなくなってきたから、ここから先は武人ではなく、快盗の流儀で行かせてもらうぜ。予告する。あんたらのお宝、いただくとしよう」

ゲンブ「ぐっ、やらせん。粉杉どの、逃げろ。こいつは我が何とか抑える。グググッ」

キング「ほう、動けないはずの身で、一歩踏み出すか。その心意気に免じて、トドメを刺すのは勘弁してやる。兄弟のよしみもあるしな。だが、邪魔されるのも厄介なので、ほらよ」

ゲンブ「グワッ(正面から衝撃を受けて、背後に転倒)」

キング「亀らしく、ひっくり返ったまま、もがいてな。重力をたっぷり加えているから、飛んで体勢を立て直すというのも無理だぜ」

シロ「ゲンブが倒された!? だったら、ボクが……って動けない?」

キング「おっと、坊主。そこで大人しくしてな。ガキを痛ぶる趣味はないからな」

シロ「ボ、ボクは坊主じゃない」

キング「そのなりで、一人前の大人のつもりか? いや、違う。はあ、なるほど、嬢ちゃんというか。うちのダイアナとは逆ってわけだ。だが、戦いの世界に男も女も関係ない。腕が立つか立たないか、勝つか負けるか、ただそれだけだ。そして、お前たちは皆負けたんだ。俺の重力に動きを封じられてな」

シロ「逃げるんだ、翔花。こいつに動きを封じられる前に」

ショーカDK「そんなことを言っても、もう動けないよ。逃げるなんて無理」

シロ「花粉分解があるだろうが。いくら高重力でも、微細な花粉粒子になれば、動きを封じられることはないはずだ」

ショーカDK「あっ、そうか。よーし……」

キング「動くな! 動くと、この嬢ちゃんの首を切り落とすぞ」

ショーカDK「えっ、あ……」

シロ「くっ、このボクが人質にされるなんて。こうなったら、舌を噛み切って……」

ショーカDK「ダメだよ、シロちゃん。そう簡単に、自分を犠牲になんてしちゃ。タイムジャッカーのクラブキングさん。私が大人しく捕まれば、ゲンブさんと、シロちゃんを見逃してくれる?」

キング「ああ、目的が達成できれば、それ以上は望まん。武人と快盗の名誉にかけて、無関係の者には手を出さないことは約束しよう」

シロ「快盗に名誉だと?」

キング「ああ、武人の名誉とは少し違うがな。目的のためには手段を選ばない。しかし、目的を果たすためには、なるべくスマートで被害の少ない策を講じる。必要以上の殺戮を楽しまず、綺麗に事を遂行する。それが俺たち快盗団マーキュリー・バットの流儀だ」

シロ「つまり、人質にとっても殺すのは避ける?」

キング「勘違いするな。必要なら殺す。必要なければ殺さない。そして、必要な殺しには躊躇しない」

シロ「その辺は、忍びの流儀に通じるものがあるか」

ショーカDK「シロちゃん、大丈夫。私たちの旅はまだ始まったばかり。こんなところで終わったりしないって、私、信じているから」


こうして、強敵クラブキングの前に、ゲンブとシロは動きを封じ込められ、花粉症ガール、粉杉翔花は自ら捕まることを決断した。
果たして、救いの手はあるのか。

( まあ、ないわけないけどな。娘をかどわかすような奴は、作者の怒りを買うこと必定だし。とりあえずは、今話完)