花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

青き仙人・後編(屋久島編6)

11月27日はガメラの日


ヒノキ「おお、アストロメガネスターから、メガネンジャー名誉特別隊員のわらわに通信がキター。ほう、メガネピンクの弥生からか。何? 司令の新星どのから、ゲンブにハッピーバースデイじゃと? おい、ゲンブ、喜べ。彼の御仁は、ガメラの日を忘れていなかったようじゃ」

ゲンブ「何と。ガメラの日をきちんと祝福してくれるとは。先日は助けてくれたのみならず、何とも義に篤い方よ」

ヒノキ「だったら、ラドンの日もアピールしておくかの。『空の大怪獣ラドン』の公開日は、1956年12月26日。すなわち、クリスマスの翌日はラドンを祝うのが、九州・阿蘇の伝統じゃよ」

ゲンブ「そんな伝統は、今、初めて聞きました。ところで、弥生殿はわざわざ通信しておいて、何の用ですか? まさか、誕生祝いだけと言うこともありますまい」

ヒノキ「いや、先日、タイムジャッカーの襲撃にあったことを知らせたら、すぐに対策を検討すると言っていたわけじゃが、その方法およびガメラの日のバースデイ・プレゼントとして、ラビットタンク改造計画を提案されての」

ゲンブ「ラビットタンク改造計画?」

ヒノキ「そう。あれは元々、古代遺跡の発掘メカとして移動手段に重宝しておったが、わらわたちの中にはメカに詳しい者がおらん。その話をすると、ドクター・ウルシェードという御仁が非常に興味を示しての。是非とも研究調査の末、改造させてくれ、ということらしい。一応、改造プランも三つほど示された」

ゲンブ「三つも! それは一体?」

ヒノキ「一つめは武装強化案。タンクという名前なのに、攻撃手段を持たなかったわけだが、これでラビットタンクも戦える」

ゲンブ「確かに、戦闘マシンとしては考えて来なかった。続く二つめは?」

ヒノキ「高機動ラビットモードの搭載。前にクラブキングの高重力で操縦不能に陥っていたから、反重力で対抗できるグラビティ・コントローラーを装着し、それを利用した加速装置も実装する案じゃ。さすがに時間移動までは不可能にしても、限定的な短距離空間跳躍まで提案されたが、本当に実現可能かの」

ゲンブ「実現できたら、我々の活動範囲も広がること間違いなし、でござる」

ヒノキ「うむ。新星どのの構築した新世界の探索にも役立つかもしれんの。そして、三つめはロボへの変形機能。その名も『武玄ラビタン∞』!」

ゲンブ「ええと、何とおっしゃられた? よく聞き取れなかったでござる」

ヒノキ「ゆっくり言うぞ。ムゲン・ラビタン・インフィニティーと読む」

ゲンブ「ムゲンと、インフィニティーの意味が被っているでござる」

ヒノキ「ムゲンの元ネタは、ダイムゲンにあるそうじゃ」

ゲンブ「つまり、玄武を逆にして武玄とアレンジしたわけでござるな。すると、∞にも何か意味が?」

ヒノキ「それは、メガネンジャーのメガネにも通じるとのこと。元ネタの亀夫もメガネキャラだし、絡めることも可能ではないか、というのがメガネンジャー司令の意見らしい」

ゲンブ「なるほど。つまり、ラビットタンクをメガネンジャーの技術力で、スーパーメガネロボにパワーアップさせようという計画でござるな。まさにハッピーバースデイにふさわしいプロジェクト。これでポンコツ呼ばわりされず、タイムマジーンにも負けることはないであろう」
仮面ライダージオウ DXタイムマジーン&オーズライドウォッチ

ヒノキ「問題は、あくまで机上のプランでしかなく、実際にラビットタンクをドクターに預けて、魔改造させてみないと、成功するかどうか分からんということじゃ」

ゲンブ「しかし、ラビットタンクが強く、速く、格好良くなるのであれば、その強化改造計画には是非とも乗ってみたいでござる。武玄ラビタン∞へのパワーアップをドクター殿にお願いしよう」

怪しき老人


一方そのころ、
屋久島の地で、翔花たちとはぐれたビャッコことシロちゃんは、一人でピンチになっていた。謎の声に導かれて、水晶に包まれた森に踏み込んだのだが……


シロ「足元を水晶に固められて動けない。このままだと、全身が水晶に凍結されてしまう。ボクはこんなところで終わってしまうのか?」

謎の声「そこの愚かな小僧。汝は何故に危険な水晶空間に入り込んだ?」

シロ「だ、誰だ? 見ているなら、ボクを助けてくれ」

謎の声「助けて欲しくば、先に質問に答えよ、愚かな侵入者め。危険を承知で、どうして怪しい場所に足を踏み入れたのか?」

シロ「ああ、ボクは愚かな未熟者だ。助けを求める声に導かれた、と思ったら、こんな罠にみすみすハマってしまうんだからな」

謎の声「ふむ。助けを求める声とは、いかなる物ぞ?」

シロ「頭の中に聞こえる声だよ。リトルとか名乗っていたけど……」

謎の声「リトルの声が聞こえた? 汝はもしや? 分かった。リトルを助けようとして、水晶に囚われようとしているなら、愚かではあっても優しい気質なのであろう。それならば、その優しさに報いるとしようか。これより、汝の足元に炎をぶつける。多少の火傷は負うかもしれんが我慢せい。水晶が融けたら、汝は脱出できよう。急いで川まで逃げて来い。うかうかしていると、水晶と一緒に焼け死ぬことになるので、うまくかわせよ」

シロ「ちょ、ちょっと。動けないのに、どうやってかわせって言うんだよ」

謎の声「炎の熱で水晶が融けたら、動けるようになる。炎がぶつかるまでに数瞬の差があろう。そのわずかな時間で身をかわすがいい。かわせなければ、炎に耐えて、走って来い。川の水で火を消せば、軽傷で済むやもしれぬ」

シロ「無茶を言うな」

謎の声「汝が選ばれし者なら、これぐらいの無茶は乗り越えられるはず。選ばれし者でなければ、ここで散るのも運命ということで、それもまた一興」

シロ「一興じゃない。こんなところで死んでたまるか。ボクには守るべき大切な親友と、倒すべき親の仇がいるんだ。水晶が融ける一瞬の間合い、絶対に見切ってみせる。さあ、来い」

謎の声「いい覚悟だ。では行くぞ」(ゴゴゴゴゴ)

シロ「何だ? 青い光が閃いて?」

謎の声「くらえ!」(ゴーーーーッ)

シロ「青い一条の炎キターーー。こんなの直撃したら死んじゃうじゃないか。ええい、こうなったら火事場のクソ力発動! あっ、熱のせいで足元が融けて動けるようになった。今だ、シーサー流奥義ダイナミックジャーンプ」

謎の声「ほう、避けたか。よくぞ、一瞬の隙を見切ったな。未熟な小僧にしてはよくやる。さあ、着地したら、すぐに川のこちら側に戻ってくるがいい。うかうかしていると、また水晶の餌食だぞ」

シロ「言われなくても」


こうして、シロは謎の声の主の放つ青い炎流のおかげで、水晶地獄から逃れることができた。そして、川を渡った先で、薄汚れた衣の老人の姿を目にする。


シロ「さっきの青い炎を撃ったのは爺さんか」

老人「いかにもわしじゃ。よく避けたな、小僧。少しは見込みがあると言ったところかの」

シロ「ボクは小僧じゃない。こう見えても、実年齢16歳の花も恥じらう乙女なんだ」

老人「花も恥じらう乙女? お前が?(ジロジロ)」

シロ「……そんな目でジロジロ見るな。とっさに口走ってしまったボクも、自分の言葉が恥ずかしいんだから(赤面)」

老人「それで、その恥ずかしい乙女がどうして、わしの縄張りに侵入したのか。この地は結界に覆われて不可侵であるはずじゃが」

シロ「恥ずかしい乙女、なんて呼ぶな。ぼくにはビャッコという呼称がある」

老人「ビャッコ? はて、その呼び名には聞き覚えがあるような……」

シロ「そりゃ、あるだろう。呼称としては、よくある名だ。正式にはByplay Acolyte。巫女付きの従者にして、忍びの者。この地には、他に翔花という花粉症ガールが来ているはずなんだが、知らないか?」

老人「知らん。バイプレ何ちゃらという称号も初めて聞いた」

シロ「あっ、そう。さあ、こっちは名乗ったぞ。爺さんも自己紹介ぐらいしろよ」

老人「そうしたいのはやまやまじゃが、わしは仙人である。名前は……忘れた」

シロ「ハッ? 自分の名前を忘れた? ボケてるのか?」

老人「痴呆ではない。言わば、何者かに記憶が抹消されたというか、封印されたというか、言わばロストメモリーな状態と考えておる」

シロ「何者かって、誰だよ。それより、爺さんはこの地で何をしているんだ?」

老人「もちろん、危険な水晶がこの地をこれ以上侵食しないよう、防ぎ止めている。そなたみたいな乙女が紛れ込むとは、想定外のことでの。ついでで助けはしたが、仕事はまだ途中じゃから、邪魔はせずに立ち去るがいい」

シロ「立ち去れと言っても、行く当てが特にないからな。爺さんがここに詳しいんだったら、状況を見極めるまで付き合わせてもらって構わないか?」

老人「勝手にするがいい」

仙人と水晶と焼き肉


シロ「名前が分からないんだったら、爺さんのことは何て呼べばいい?」

老人「爺さんと呼んでいるではないか」

シロ「いや、そうは言ってもな」

老人「息子はわしをパパと呼ぶぞ」

シロ「息子がいるのか。名前は?」

老人「さあのう。昔はミニ何ちゃらという息子がいた気もするが忘れた。最近の息子は、ベビーか、リトルか、ジュニアか。今、水晶に囚われているのは、リトルのはず」

シロ「リトル? だったら、あの声はやっぱり……」

老人「そう言えば、乙女はリトルの声を聞いた、と言っていたな。それは本当か?」

シロ「ああ、確かに聞いた……と思う。頭の中に響いた声だから、聞いたと言っていいのかどうか分からないけど」

老人「ふむ。後で詳しく聞かせてくれ。先に仕事じゃ。この高台なら、遮蔽物なしに水晶の外縁を焼き尽くせる。行くぞ」

シロ「お? 爺さんの背中から全身にかけて、青い光が放たれていく?」


ゴオーーーーーーーーーッ!


シロ「こ、これは、さっきの青い光流とは比べ物にならないくらいの勢いの熱線が、爺さんの口から放たれていく。凄い。水晶の森がみるみる焼かれている」

老人「ふう。今はこれが限界じゃ」

シロ「あ、焼かれた森の水晶が少しずつ再生していく」

老人「1日後には元どおりじゃ。だから、明日、また焼かないと、この島はたちまち水晶に飲み尽くされてしまう。わしにできるのは、ただ、こうやって水晶の侵攻を防ぎ止めるだけ。しかし、それも時間の問題よ。わしの力は日々衰え、一方で水晶はますます力を付けて来ておる。モスラの目覚めがなければ、水晶を完全に滅ぼすことはできそうにない。モスラの眠りを覚まさせる、選ばれし2人の巫女の力がどうしても必要なのじゃ」

シロ「選ばれし2人の巫女。1人は、花粉症ガールの粉杉翔花。ボクは、その友として、または供としてここに来たんだけど、はぐれてしまった。翔花さえ、ここにいればモスラへの道を示してくれるかもしれないのに」

老人「ふむ。どうやら巫女の到着は間に合ったようじゃな。そして、乙女はこれからどうする?」

シロ「もちろん、翔花を探します」

老人「やみくもに探しても、この広い森じゃ。そう簡単には見つかるまい。当てが見つかるまでは、わしに付き合え」

シロ「え? 一緒に探してくれるのですか?」

老人「乙女がわしの手伝いをしてくれるならな?」

シロ「手伝いって何を?」

老人「腹が減った。これから今夜の食事を狩りに行く。乙女も何か食べないと大きくなれんぞ。森の獣を狩って、今夜は焼き肉っしょ」

シロ「今夜は焼き肉っしょ、ってどこかで聞いたような。ええと、あれは確か9月25日のソード・ワールド模擬戦のこと。うっかり、獣変貌のことを忘れていたボクを、導いてくれた謎の時空仙人さま? そう言えば、クリスタルの世界から思念を飛ばしていると言っていた。白を愛する、とも。もしかして、このお方が?」

老人「ん? 何をぼんやりした目で、ぶつくさ言っておる? 焼き肉のことでも考えているのか?」

シロ「い、いや、ボクはネコ舌だから、あまり熱いものが食べられなくて、焼き肉はちょっと……って、いや、そういうことが言いたいんじゃなくて、ええと、あなた、時空仙人と名乗ったりしたことは?」

老人「時空じゃと? ふむ、よく覚えておらんが、その昔、わしはラゴス島という名の孤島に住んでいたこともあったような気がする。そこから何やらいろいろあって、時空の旅を経験したりもしたかのう。とにかくタイムトラベルは経験済みなので、時空仙人と名乗ることもできるやもしれぬ」

シロ「す、すると、もしかして、白が好きとか、そういうことは?」

老人「城か。大好きだぞ。空にそびえる、くろがねの城って物もいいなあ。いかにも魔神って感じで。一度、共演したいと思っておったが、実は密かに共演していたのじゃな」

シロ「うう。何だか話が噛み合っていないような気もするけど。爺さんの頭の中で、どのような妄想が浮かび上がっているのか、ボクにはちっとも想像ができていないんだけど、分かっていることはただ一つ。このお方が、今のボクを導いてくれる時空仙人さまだってことだニャー」

老人「どうした、乙女? 焼き肉が食べられないというのか? だから、16歳なのに、そんなに小さいのではないか? 食べ盛りな年頃なんだから、しっかり肉を食わんと大きくなれんぞ」

シロ「ああ、爺さん。いや、時空仙人さま。お願いですから、ボクを弟子にして下さい(土下座🙇♀)」

老人「ハッ? 焼き肉の味も解せぬ乙女を弟子になどできるか!」

シロ「焼き肉……。そうか、ボクに足りない物はこれだったんだ。アリナ様は火炎の術を得意とする。ゲンブはプラズマ火球という技を持っている。翔花だって、植物の精霊だから火は苦手と言いながら、火の技を使いこなす。火炎技、いや飛び道具を持っていないのはボクだけだ。ボクは体術が得意だけど、高重力で動きを封じられたら、何もできなかった。あの時、飛び道具さえ使いこなせたら、何かの役に立てたかもしれないのに。手裏剣でも、火遁の術でも何でもいい。ボクには飛び道具が必要だ」

老人「うむ、乙女が何やらブツブツ妄想にふけっているみたいじゃが、どうしたものかのう」

シロ「あのう、仙人さま。焼き肉を食べたら、先程のような青い業火を放つことができますか?」

老人「ああ、肉を食って、エネルギーさえ回復すれば、撃つことは可能になるが、今すぐは無理じゃ」

シロ「だったら、ボクも頑張って、焼き肉を食べます。熱いのが苦手とか好き嫌いを言っていたら、火炎の術は身に付かない。翔花だって、火炎技を習得しているのに、ボクが苦手を避けていれば、パートナーを務めることなんてできない。ボクは、この時空仙人の元で修行して、自分の殻を破るんだ」

老人「何やら、一人で勝手にいろいろ決めているようじゃが、わしは弟子などいらんぞ」

シロ「弟子じゃなくてもいいです。お側に置いていただき、いろいろ学ばせてもらえさえすれば」

老人「……学ぶのはそちらの勝手じゃ。少なくとも、今夜は食事を共にすることにもなろう。ならば、合言葉を唱えるがいい」

シロ「今夜は焼き肉っしょ! うおー、力がみなぎる! 魂が燃える!
ボクの獣がほとばしる! 負ける気がしねえ」
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こうして、シロちゃんは、時空仙人と思しき怪老人の押しかけ弟子になることを勝手に決めたのでありました。
果たして、シロちゃんは火炎術を身に付けることができるのか?
そして、翔花との再会はいつになるのやら?

水晶に蝕まれた森で、クリスタルはただ不気味な光をたたえていた。


PS.今回の参考資料
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