花粉症ガール・翔花伝

会話リプレイ形式の「精霊娘主役の物語」。特撮・怪獣ネタやTRPGネタも絡めたり。

青き仙人・前編(屋久島編5)

ヒノゲンOPコント


ヒノキ「うわー、ゲンブよ。こんな姿になってしまうなんて。惜しい男を失くしてしまった」

ゲンブ「いや、アリナ様。我はここにおりますが」

ヒノキ「お主のことではないわ。わらわが言っておるのは、シンカリオンのエージェント・ゲンブのことじゃ。10月13日放送の40話ではビャッコが、11月10日放送の44話ではゲンブがそれぞれ力を失い、石になってしまった。こうなると、わらわとしては残されたスザクとセイリュウの今後が心配で心配で、なぜか飛んでくるキツツキが激突して爆発する悪夢にさいなまれてしまうのじゃよ」

ゲンブ「TVに影響されすぎです、アリナ様。あなたともあろうお方が、そのような妄想にさいなまれるなど嘆かわしい」

ヒノキ「何を。ここはスーパー空想(妄想)タイム。妄想にさいなまれて、何が悪い。新星どのも言っていたぞ。『妄想は世界を救う』って」

ゲンブ「言ってません。『ハッピーは世界を救う』とは信じておりましたが、『妄想は現実や真実と区別すべき』と考えておいででした。『思念の妄想パワーは確かに強大だが、使い方を間違えると現実を破壊してしまう。扱いは程々にな』というのが、あの方の信念であるようです」

ヒノキ「ゲンブよ。お主に新星どのの何が分かると言うのじゃ」

ゲンブ「分かりますよ。我やシロがタイムジャッカーのクラブキングに襲撃された際に、颯爽と現れ、助けていただきました。幻とはいえ、二度もこの目で見たわけですから、それなりの人となりは察することができます。あの方は浮世離れしているが、それでも現実を捨てることはしない。足は現実の大地に根ざしつつ、目は希望の未来を見つめる、そういう精神の下に生きていると感じさせられました。つまり、半分は真実、半分は妄想という中庸のバランスを重視している御仁なのでございます」

ヒノキ「うむ、そうか。わらわも一度会って確かめたかったが、あの小憎らしいタイムジャッカーの嘘吐きオカマ、ダイアナジャックに足止めを食らっての。散々翻弄された挙句、まんまと逃げられてしまった。正面から戦えば、あの程度の敵は炎で焼き尽くしてくれようものを。ああいうつかみどころのない相手は、どうにも相性が悪い」

ゲンブ「再戦に備えて、対策を立てねばなりませんな。キングの重力操作と、ジャックの虚術を打ち破る方法を」

ヒノキ「わらわは対策済みじゃ。これを見よ」
ウルトラアイ リアルタイプシリーズ ver.[ウルトラ警備隊西へ]
ゲンブ「こ、これは確か新星どのの贈り物の一つでございますな」

ヒノキ「そう。真実を映し出す明鏡戦隊メガネンジャーのリーダー、メガネレッドの変身アイテム・メガネレッドアイズのレプリカじゃよ。これさえ付けていれば、邪悪なインペイダーの扱う虚術などたちどころに見抜くことができたものを。新星どのは近い未来を予見して、わらわにこれを託したのに、わらわが気づかずにダイアナジャックに翻弄されたのは不覚。だが、二度目はこうはいかん。次にあのオカマが現れたら、わらわもメガネレッドに変身して応戦あるのみ」

ゲンブ「なるほど。新星どのの贈り物にそういう意味があったとは。すると、我も威風堂々Tシャツを装着していれば、キングの超重圧迫にも対抗できたかもしれない、ということか」

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キング『クラブキング奥義、超重圧迫グラビトン・プレッシャー!』

ゲンブ『そんな攻撃は効かん! この威風堂々オーラの前ではな』

キング『何だと?』

ゲンブ『さらに! フォームチェンジ! うちゅ〜んTシャツをまとって、大宇宙の無限パワーを宿したスペース・ゲンブ、ここに見参。スペース・ダイナミック・クラーーッシュ!』

キング『うわあ、やられた〜』

ゲンブ『フッ、Tシャツアーマーをまとった我に断てぬものなし!』

キング『くっ殺せ。敗北した者に恥をかかせるな、兄弟。とどめを刺すんだ』

ゲンブ『いいや、戦いはもう終わった、弟よ。お前には、この胸の文字が読めないのか?』

キング『そ、それは、親しみやすさ? 何て温かい文字なんだ』

ゲンブ『そう、戦いが済んだその後は、互いの力量と健闘を称え、後腐れなく親友となる。これぞ、慈愛の精神に満ちたフレンドリー・ゲンブの侍精神というものよ』

キング『うおー、ゲンブ兄貴ー。俺がバカだった。これからは心を入れ替えて、あんたと共に戦うぜ』

ゲンブ『ああ、よろしくな。これにて一件落着でござる』

(流れるエンディングテーマ)

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ヒノキ「おい、ゲンブ。ニヤニヤして、何を妄想しておる。早く正気に戻らないと、なぜか飛んできたキツツキに腹を突かれて爆発するぞ」

ゲンブ「はっ、一体。いつの間にか妄想パワーに取り憑かれておった。我としたことが」

ヒノキ「よいよい。ここはスーパー空想(妄想)タイムじゃからな。現実さえ見失わなければ、そして誰かに気持ち悪がられたり、自分の判断に狂いが生じたりしなければ、害はない。明るい妄想、愉快な妄想で、健全な妄想ライフを送ればよいのじゃ」

ゲンブ「分かったでござる。しかし、屋久島へ向かった粉杉どのやケイP、そしてシロが心配で心配で。よもや石に変えられたり、キツツキに襲われて爆発したりはしていないだろうか」

悪夢の水晶空間


シロ「おおい、翔花〜、ケイP〜、どこだ〜!」


返事はない。ただ変わらぬ森の景色が続いているのみだ。


シロ「困った。新星さまのおかげで、無事に屋久島へ転移したのはいいんだけど、転移先が微妙にズレて、翔花たちとはぐれてしまった。こんなことになるんだったら、しっかり手をつないでいたら良かったな。翔花と手を……(ポッと赤面)。いかん、いかん、何を考えているんだ、ボクは。翔花とは親友だけど、それ以上の関係じゃない。忍びとは、いついかなる時も冷静さを保ち、妄想に我を忘れることがあってはならないんだ」

謎の声(誰か、助けて。ここから出して)

シロ「何だ、この声? これも妄想の空耳か? それとも、翔花なのか? どこにいる?」

謎の声(こっちだよ)

シロ「こっちだよって、どっちだよ? 声だけじゃ分からん。大体、助けを求める君は誰なんだ?」

謎の声(ぼくはリトル……)

シロ「リトル・シーサーはボクだ。お前は偽者、いや、もう一人のボク? アナザー・ビャッコか何かか? とにかく、助けを求めるなら、場所を示せ。それじゃないと、何もできん」

謎の声(クリスタル……)

シロ「クリスタル? 何の話か分からん」

謎の声(……)

シロ「声が消えた? クリスタルは水晶。水に関係あるのか? とにかく川でも探して、それっぽいところを捜索するか。サバイバルをする上でも、水は必要不可欠だしな」


野外活動に長けたシロは、たちまち川を探し当てた。


シロ「さて、次の選択肢だ。上流に行くか、下流に行くか。翔花だったら、どっちに向かうかな。足跡でも残していれば楽なんだけど。または、翔花の匂いでも追ってみるか? 翔花の匂い……(ポッと赤面)。いかん、いかん、何を考えているんだ、ボクは。花粉症ガールの芳しい花の香りを想像して、髪の毛をクンクンハアハアするなんて、忍びのすることじゃない。妄想に現を抜かし、我を忘れるようなことがあっては、キツツキに激突されて爆発しても文句が言えない。平常心だ、平常心。ん? 川向こうの木が変だ。何だか普通よりもキラキラしている感じに見える」

謎の声(こっちだよ)

シロ「また、さっきの声か? 川向こうから聞こえてくるようだ。しかも、普通の声じゃない。頭の中に直接、響くようなテレパシーか何かか?」

謎の声(君は選ばれし者なの? だったら、ぼくを助けて!)

シロ「選ばれし者って、誰に選ばれるって言うんだ?」

謎の声(島に眠るモスラだよ)

シロ「モスラだって? 分かった。ボクがモスラに選ばれたかどうかはよく分からないけど、この声の主が何者か調べたら、確実に翔花の役には立つと思う。先行偵察は忍びの仕事。川を渡って、何がどうなってるか調べてみよう。浅瀬はどっちにある?」

謎の声(下流だよ)

シロ「了解。助けてあげるから、そのままボクを導いてくれ」

謎の声(足元に気を付けて。無理をしないでね)

シロ「大丈夫だ。こう見えても、ボクは立派な忍び……って声だけだと、見えていないか。とにかく、これぐらいの川に足をとられる心配なんてない」

謎の声(無理だったら引き返していいから。危険なマネはしないでよ)

シロ「人に助けを求めておいて、今さら何を言うんだ? 危険を察知したら、すぐに身を隠すから大丈夫だ。それよりも、お前は誰に捕まっているんだ?」

謎の声(宇宙……)

シロ「宇宙? 宇宙人か、宇宙怪獣か、宇宙犯罪組織か……どれなんだ?」

謎の声(……)

シロ「……また、静かになった。テレパシーを送るにも、エネルギーを消耗するってことなのかな? 向こうも頑張って助けを求めているなら、こっちも応じないと。やれやれ、ボクもお人好しになったと思うよ。だけど、翔花がここにいれば、『シロちゃん、見捨てておけないよ。絶対に助けなくちゃ』と言いそうだしな。だったら、翔花の期待に応えるのが親友の務め」


こうして、シロちゃんは浅瀬を伝って、川の向こう岸に渡るのだが、


シロ「何だか、川のこちら側は急に冷え込んで来たような気がする。木々の表面にも結晶のような物が張り付いていて、普通じゃない感じだし、一体どうなってるんだ? ええい、虎穴に入らずんば虎児を得ず。ボクはビャッコ。虎穴を恐れてどうするってんだ? 何が原因でこうなったか調べないと、川を渡った意味がない。先に進むぞ」


肌で感じる危険に対して、勇気を奮い起こして先に進む。しかし、好奇心、猫を殺すってことわざもあって、


シロ「うわ、地面が完全に結晶に覆われていて、霜柱を踏んだみたいにザクザク鳴っている。周りの木も完全に結晶に覆われていて、これじゃまるで……凍結水晶の森じゃないか。これ以上進むと……ゾゾッ、何だ? 足が動けない? 地面の結晶がボクの足まで上ってきて、ボクを固めようとしている。早く、ここから逃げないと……ダメだ、もっと早く気付くべきだった。結晶の侵食スピードが思ったより早すぎる。足が引きはがせない。まさか、この水晶空間が侵入者を捕らえ固めるためのトラップだったなんて。謎の声で獲物を引き寄せ、凍結させるとは、ボクはまんまと引っ掛かってしまったのか。このままだと、ボクも水晶に固められて、オブジェにされてしまう!」


長らく未完だった本話だったけど、シロちゃんピンチのまま、続くことになりました。
続きは、まあ、作者が現在、スパクロにハマっているので、その合間を縫って、ゆっくり書く予定。
それまでは、シロちゃんはピンチのまま、放置されることになります。さあ、果たして、シロちゃんの運命は?


シロ「そんな薄情な。水晶になんて、なりたくないニャー」

琉球焼き 『大立シーサー(青)』