旅立ちのプレリュード
ヒノキ「いよいよ屋久島編の始まりじゃ」
翔花「これでコンパーニュの塔を出発するわけだから、ヒノキちゃんの出番も、しばらくなくなるのよね」
ヒノキ「そんなことはない。わらわはいつだってそなたを見守っておる。いざとなったら、コナっちゃんのピンチに飛んで行くつもりじゃ」
翔花「それってNOVAちゃんの役目じゃないかな。私がピンチの時に、颯爽と現れて敵を翻弄した後、とどめは私に任せてくれて、自分はアデューと一言残して去っていくの。そんな格好いいタキシード仮面さまみたいなNOVAちゃんが私は好きです」
ヒノキ「新星どのは確かに神出鬼没に出てくることはあるが、そんなに爽やかで格好いいキャラじゃったかの。出て来るとしたら、『チッ、こっちは仕事と、他のブログ記事と、特撮ヒーローとTRPGの追っかけで忙しいのに、いちいち呼び出すなよな。お前か、俺の貴重な研究タイムな日常を脅かす悪党は? 仕方ない。俺の時間と娘のハッピーを守るために、相手してやる』とボヤキながらじゃと思うが」
翔花「一応、娘のハッピーを守るためなんだよね。さすがはNOVAちゃん。だったら私もアサヒになるよ」
ヒノキ「いやいや、現実の新星どののセリフではなく、わらわの脳内妄想新星どののセリフじゃからな。真に受けてはいかん。それよりも今、アサヒと言ったか」
翔花「うん、ウルトラマンR/Bの湊アサヒちゃん。真の主人公はあの娘だと私は思っているよ。絶対ハッピーになって欲しいよね。次回のハロウィン回も楽しみなんだ」
ヒノキ「屋久島へ行くなら、TVなぞ見れぬぞ」
翔花「うわ、本当だ。だったらR/Bが最終回になるまで、屋久島行きは延期しないと」
ヒノキ「そう言うと思って、新星どのから贈られた時空通信機にワンセグ機能も付けておいたぞ。これで電波さえ届けば、R/Bも見れるはず。一応、こっちでも録画しておくがの」
翔花「やった。もしも大好きなヒーロー番組が見られなくなれば、私は心の光を失って、ダークサイドに転向しちゃうかもしれないんだから。今はアサヒちゃんと、パトレン1号さんと、ウォズ様が私の心の光よ」
ヒノキ「ちょっと待て。アサヒちゃんの可愛さは認める。圭一郎さまを慕う気持ちも同感じゃ。しかし、よりによってウォズが心の光だと? それだけは解せん。ゲイツ派のわらわとしては、ウォズなど認めるわけにはいかん」
翔花「だって、ウォズさん、3人目のライダーになる予定だもん。緑のライダーで、槍持って戦うところはシンパシーを感じるし、忍者とか機械とかクイズの力で戦うそうなの。いかにもNOVAちゃんが好きそうじゃない。役どころも時空を超えた予言者、魔術師って感じでNOVAちゃんみたいなところがあるし、これでメガネをかけていたら最高なんだけどね」
ヒノキ「ジオウには今のところメガネキャラは、ソウゴのおじさんしかいないからの。しかし、ウォズか。こちらとしては、ゲイツとの敵対関係がなければよいのじゃが。その辺は、ソウゴがうまくまとめてくれることを期待するとしよう」
翔花「ところで、アサヒちゃんの新しいお友だちのツルちゃんもいいよね。何だか妹の2号ちゃんみたいで、黒いところも憎めない。今は敵みたいだけど、アサヒちゃんとの絆で感化されたらいいのにな」
ヒノキ「『古き友は言った』は、格言引用の前置きネタとしていろいろ使えそうじゃな。『世界には数えきれないほどの喜びがある。そしてそれは本質的に同じものだ。すなわち、愛することのできる喜びさ。By ミヒャエル・エンデ』といった感じにの」
翔花「だったら今はこうだね。『新しき友は言った。ハッピーは世界を救う。By湊アサヒ』って」
ヒノキ「ハッピーか。そなたの屋久島修行の旅も、ハッピーな結末を迎えればいいのう、ヒヒヒ」
ウサギ戦車に乗って
翔花「そんなわけで、私とKPちゃん、そしてシロちゃんは、ゲンブおじさんの操縦するラビットタンクに乗って、コンパーニュの塔を出発。南へ向かって擬似九州の荒野を進んでいます」
ケイP『てっきり、私がバイクにならないといけない、と思っていたのですが、途中まではゲンブ師匠が送ってくれるとのことで、大変ありがたいであります』
ゲンブ「うむ。今は桜島の辺りが物騒だからな。屋久島に着く前に、何かがあっては大変だということで、アリナ様が配慮して下さったのでござる」
翔花「だけど、ヒノキちゃんだったら、乗り物を使わなくても、転移呪文で直接、屋久島に飛ばしたりはできなかったのかな」
ゲンブ「最初はそうしようと思っておられたらしいが、やはり九州南部は現在、次元の歪みが大きいようでな。安易な空間跳躍に頼ると、どんなトラブルに見舞われるか分からないそうだ。相手の家に飛ばすような強制帰宅呪文バシルーラならともかく、未知の敵の本拠地や、強力な封印が施された土地には、相応の結界が張り巡らされているらしい。しかも最近は天災や地災が相次いだ影響や、時空の歪み現象が大きくて、転移の目的座標に確かな目印となるマーカーでも設置していなければ、安定した転移は望めんようだ。屋久島へ向けて飛ばしたら、海の上にドボンという可能性もあって、危険は避けようという話になった」
翔花「そうなんだ。NOVAちゃんは割と簡単にどこにでもポンポン飛ぶから、もっと単純なものかと思っていたよ」
ケイP『だけど、マスターも転移先の選定には慎重ですよ。うかつな座標設定だと「いしのなかにいる」状態になりかねませんし、自分で飛ぶ際も、自分で設定したリンク先や信頼できるリンク先を回ることが多く、うかつな場所に飛び込んでトラブルに巻き込まれないように心掛けてはいるようです』
シロ「大体、翔花たちが最初に九州に来たときも、本当は直接、屋久島かコンパーニュの塔に飛ばすつもりだったんじゃないかな。だけど転移先が少しズレて、荒野に着地した。あれは、うっかりすると阿蘇の火口に飛び込んで、『翔花伝・完』になり兼ねんところだったぞ」
翔花「まさか。NOVAちゃんは、そんなミスをしないもん。もしも、ダイス目が極端にブレて最悪な結果になったとしても、人間なんだから運命変転で何とかしたり、時空魔術師なんだからリターンの魔法をかけたり、時の砂で時間を巻き戻したり、リセットしたりして状況打開するぐらいのことはできるはずよ、きっと」
シロ「そう考えると、時間を操る能力ってチートだよな。ボクも修行して、時空忍者になったりはできないかなあ」
翔花「未来忍者だったら普通にあるのよね。雨宮慶太監督の最初の作品で」
シロ「うん。もしも過去に戻ることができれば、セイリュウが父さんを殺すのを阻止できるかもしれない。そう考えると、時空移動の忍術は何とか修得したいなあ。あ、新星どのに弟子入りするという手もあるか」
翔花「ええ? NOVAちゃんはそういう闇雲な歴史改変は嫌うんじゃないかなあ。改変された世界で、幸せになったように見えても、どこか歪みが生じるとかで」
シロ「う〜ん、だけどジオウを見ていると、ボクはタイムジャッカーの誘惑にあっさり乗りそうなんだな。別にアナザーライダーになりたいわけじゃないけれど、自分が王になれば不幸な過去を改変できると言われたら、父さんを助けるためにアナザービーストになってしまうかもしれない」
ゲンブ「シロよ。そういうことは軽々しく口にするものではないぞ。タイムジャッカーと名乗る連中は新星どのの敵ということらしいから、もしもお前がタイムジャッカーの誘惑に乗れば、それは裏切り行為でしかない。バカなことは考えない方がいいでござる」
シロ「タイムジャッカーが敵だって? そんなのジオウの世界の中の話だろう? ボクたちの世界にタイムジャッカーなんていないはずじゃないか」
ゲンブ「それがアリナ様の話では違うらしい。粉杉殿の妹御が未来世界に飛ばされた事件があって、その時にタイムジャッカーの連中に……おっと、これは秘密でござった。危うく口を滑らせるところだった」
シロ「……もう、口を滑らせているぞ」
翔花「秘密ってどういうこと? 2号ちゃんがタイムジャッカーって人たちとどんな関わりが?」
ゲンブ「あ、いや、我も詳しいことは知らんが、タイムジャッカーという連中が妹御を酷い目に合わせたようで、新星どのが非常に怒っていたという話をアリナ様から聞いてな。だから、タイムジャッカーはコンパーニュにとっても敵ということになっている」
翔花「そんなの、私、聞いてない。2号ちゃんが酷い目に合わされたなら、私だって黙っていられないよ。今すぐタイムジャッカーのアジトに乗り込んで、花粉症ガールの怒りを思い知らせてやるんだから💢」
ケイP『翔花ママ、落ち着いて下さい。ゲンブ師匠、一つ確認したいんですが、「タイムジャッカーが2号ママを酷い目に合わせた」んですよね。「タイムジャッカーが酷い目に合わされた」んじゃなくて。あの恐るべき魔女である2号ママを酷い目に合わせるとは、タイムジャッカーというのは非常に恐るべき相手と言わざるを得ませんね』
シロ「ああ、あの抜け目ない腹黒魔女が倒されるなんて、油断できない相手だ。連中の目的は何なんだ? この世界でも、やはり王を擁立しようとしているんだろうか?」
ゲンブ「さあ、どうだかな。アリナ様がおっしゃるには、連中が本格的に動くまでは、お前たちは屋久島での修行に専念せよ、とのこと。タイムジャッカーの件は現在、新星どのが対策を練っているゆえ、詳しいことが分かれば、また連絡があるらしい」
翔花「NOVAちゃん、そんな話はちっとも私にしなかった。妹の2号ちゃんが酷い目に合わされたっていうのに」
ゲンブ「察するに、状況が安定するまで粉杉殿には心配掛けたくなかったのかも知れん。おそらく妹御の治療をしている最中に、次元嵐やら新世界やらで慌ただしかったみたいだしな。それでも、メガネンジャーと連携したり、アリナ様と連絡を取りあったりしていたみたいでござるし、我も断片的な話しか聞いておらんから、誤解があるのかも知れぬ。感情的な判断は控えてだな」
シロ「とにかく、タイムジャッカーは敵なんだな。そうと分かれば、誘惑に乗るなんて言ったボクが愚かだったという話だ。敵の誘惑に乗せられるほど、ボクは未熟じゃない、と思いたい。少なくとも、アリナ様や仲間、友だちを裏切るようなマネはしないつもりだ。敵対相手の情報を秘密にされていた件については、抗議したいけどね。だけど、アリナ様と新星どのの判断だ。状況がはっきりするまでは、うかつなことをベラベラ喋るわけにもいかなかったんだろう。それぐらいは察しろよ、翔花。お前が父親を信じているならな」
翔花「うん。だけど、隠し事をされたのは何となくショックで。私のことをNOVAちゃんは信用してくれていないのかな、と思ったら悲しくなって(涙目)」
シロ「騒動の渦中にある者は、心の整理ができるまでは、知らせようにも知らせられないこともあるんじゃないかな。まあ、新星どのがすぐにパニックを起こして、誰かに相談に乗ってもらわないと、自分の心の整理もできないような人間なら別だけど。妹御の件は、向こうで状況整理ができてから、お前に伝えようと思ったのかもしれないし、お前がパニックを起こしてしまえば、新星どのの負担が増えるだけだ。だから、今はまず落ち着け。情報にいちいち翻弄されるな。事実を冷静に受け止めろ。それが忍びの鉄則だ」
ゲンブ(ほう、シロの奴、なかなか言うようになったではないか。その忍びの鉄則は、先代ゲンブの言葉として、我が伝えた言葉なのだがな)
シロ「何だよ、ゲンブ。ニヤニヤして、こっちを見て。運転手なんだから、脇見するなよ。危ないだろ? ただでさえ、こいつは時代遅れのポンコツマシンなんだから」
ゲンブ「何だと? 我が愛車ラビットタンクを愚弄するか?」
シロ「だって、そうじゃないか。今のトレンドはこいつなんだからな」
ゲンブ「何の。ラビットタンクもまだまだ現役。少なくとも年末の劇場版までは役に立ってもらわねば」
シロ「だったらラビットタンクもカスタマイズして、時空転移機能を付けないと、タイムジャッカーの侵略を防ぐことはできないんじゃないか。ラビットタンクが超時空戦車にバージョンアップしない限りは、この平成時代を乗り越えることなんてできないと思うぞ」
ゲンブ「そんなことはない。この赤と青のツートンカラーと流線型ボディは時代を超えて生き残るはずだ」
ガタガタガタガタ……
ゲンブ「何? 車体がいきなり揺れだした?」
シロ「とうとうガタが来たか? 古代遺跡からの発掘兵器を無理やり使ったりするから」
翔花「え、ラビットタンクってそうなの?」
シロ「ああ、見つけたのはサブロー殿らしい。ラビットタンク入手に関するエピソードは、サブロー殿が詳しいはず。何しろ設定を考えた原案者なんだからな。そのうち時間ができれば語られる機会もあるかも。それまで壊れていなければ、だけど」
ゲンブ「うおー、ラビットタンク。お前はこんなところで終わっていいのか。頼む、ラビットタンク。まだまだ現役だということを示してくれ。お前ならやれるはず。お前なら信じた。危なげな世界を守るんだ」
ケイP『ゲンブ師匠は、相当、ラビットタンクにご執心みたいですね。しかし……』
ガタン!
翔花「あ、止まったみたい」
シロ「とうとう壊れたか。今まで騙し騙し使っていたから、ここまで機能していたのが不思議だったんだ」
ゲンブ「いや、しかし、メンテナンスは完璧のはず。エンジンも正常に機能しているようだ。車体に問題はなく、外部からの干渉としか……」
ケイP『確かに。機体に強力な重力エネルギーが浴びせられ、動きを封じられているようであります』
シロ「重力エネルギーだって? だったら、機内にいるボクたちにも影響があるはず。特に体が重くなった感じはしないけど」
ケイP『ええ、それが不思議なんです。ただの重力異常なら、機体だけでなく、この場にいる我々全員が感じ取れるはず。しかし、この重力エネルギーはラビットタンクのみに作用し、中の我々には影響しない。通常の物理法則を超えた現象です』
翔花「つまり、魔法か超能力めいた不可思議現象ってことね。だったら、外に出て何が原因か確かめてみましょう」
重力使いのキング
謎の男「ククク、ぞろぞろ外に出てきたようだな。花粉症ガール、粉杉翔花とケイPの一行とお見受けしたが、間違いないようだ」
ゲンブ「貴様か。我がラビットタンクに重力波を浴びせ、無理やり動けなくしたのは」
謎の男「その通りだ、兄弟」
ゲンブ「兄弟だと? 貴様のような弟を持った覚えなどないが」
謎の男「そうかな? お互い正々堂々と、自己紹介の名乗りでもしようではないか。武人らしくな」
ゲンブ「武人らしくか。よかろう。我が名はゲンブ! 正式なコードネームはジェネラル・バックラー! ヒノキ三獣士の一角にして北の将! アリナお嬢様の黒き楯なり! 今は主君の命と義によりて、粉杉翔花どのの守護者の任を務めている! 其は何者ぞ?」
謎の男「ククク、俺はタイムジャッカーのキング!」
シロ「タイムジャッカーのキングだって? すると、こいつが敵のボスなのか?」
キング「そうだ、と言いたいが、俺はそんなに大した奴じゃない。キングはただの称号だ。とにかく質問は後にして、俺の名乗りは最後まで聞け。それが武人の礼儀って奴だろうが。ガキは礼儀をわきまえないから困る」
シロ「ガキだって? ボクはこれでも16歳だ!」
キング「黙れ! そして聞け! 俺の正式な名称は、マーキュリー・バットの一柱、クラブキング! 紋章は♣で、重力使いだ! そして、南海の三大怪獣ガニメの加護を受けし身でもある。つまりはカニキング! 我がまといし鎧は、その名も高きカニアーマー! 亀の甲羅にも負けぬ強固さを誇る。この装甲、貫けるものなら貫いてみせい!」
ゲンブ「ムッ。ガニメと来たか🦀。確かに我がガメラの眷属である以上、同じカメ怪獣のカメーバは親戚筋に当たる🐢。そして、ガニメはその兄弟。親戚の兄弟は、兄弟も同じ。タイムジャッカーのクラブキング、そなたが敵でなければ、弟と遇しても良かろう。だが、今はただの敵。そういう扱いで良いのだな」
キング「ああ、元よりそのつもりだ。ついでに南海の三大怪獣といえば、もう一体。イカ怪獣のゲゾラが必要だが、その役はケイP、お前に務めてもらう」
キング「似たようなものだ。そこで、本来なら、ここで南海の三大怪獣で雌雄を決するか、トリオを結成するのも一興だが、俺にもタイムジャッカー所属の一チーム、マーキュリーバットの任務があるんでな。遊んでいるわけにもいかん」
ゲンブ「任務だと?」
キング「そうだ。それは花粉症ガール、粉杉翔花さまにもう一度、我らがクイーンとして君臨してもらうこと。そのために俺は来た」
翔花「クイーン? 私が女王?」
キング「そう。マーキュリーバットの頭目は、俺ではなくバットクイーン。クイーンofハートの紋章❤を持つ女王だ。翔花さまはバットクイーンとして、再び我らを率いらねばならない。どうだ、女王になれる。決して悪い話じゃないだろう」
翔花「私がクイーンで、あなたがキングってこと?」
キング「そうだ。我が女王よ」
翔花「そんなのイヤだ。私が女王になるのなら、王はNOVAちゃんみたいにクールメガネじゃないと。NOVAちゃんがキングになるなら、その時は考えます」
シロ「大体、再びって何だよ。翔花はボクの知る限り、お前たちの女王になんてなったことはないはずだ。そうだろ?」
翔花「うん、私はないよ」
ケイP『もしも、女王になるとしたら、1号ママではなくて、2号ママの方が可能性が大アリではないでしょうか』
翔花「あ、もしかして、2号ちゃんがタイムジャッカーの人たちに酷い目に合わされたって、そういうこと? 嫌がる2号ちゃんを無理やり女王に仕立てて、悪事の片棒を担がせていたとか?」
キング「嫌がる? 無理やり? いや、そんなことはない。我らが女王バットクイーンは、嬉々として悪事を楽しんでおられたが」
翔花「結局、悪事じゃない。私は正義の花粉症ガール。悪い人たちの女王になったりはしない。もしも2号ちゃんが悪に染まったなら、その性根を叩き直して、心の光を取り戻してみせる。もしも、あなた達が2号ちゃんを悪に染めたのなら、決して許さない。花粉症ガールはプリキュアと同じ光の使者、セーラームーンと同じ愛と正義の美少女戦士なんだから」
ゲンブ「よく言った。それでこそ、アリナお嬢さまが見込んだ粉杉殿だ。カニキングよ、弟分のよしみはあれど、お前が悪党のタイムジャッカーの一員ならば、我とて容赦はせぬぞ。大人しく引き下がるならよし。さもなくば、成敗してくれる」
シロ「同じく、ヒノキ三獣士、西の将見習いバイプレイ・アコライトこと2代めビャッコ。白き忍びだ。未熟なれども、アリナ様の命に従うとともに、友なる粉杉翔花のため、お前を倒す」
ケイP『もちろん、私も翔花ママのために戦うであります。2号ママの弔い合戦にもなるようですしね』
翔花「KPちゃん。2号ちゃんを勝手に殺さないで。女王とか、バットクイーンとか、正直よく分からないけど、私はタイムジャッカーには従わない。4対1は卑怯かもしれないけど、私は早く修行の地、屋久島に向かわないといけないの。邪魔をすると言うのなら、さっさと済ませるわ」
キング「ククク、4対1か。しかし、俺もキングと呼ばれた男。有象無象が寄せ集まったところで、脅威にはならん。まとめて相手してやるわ。行くぞ!」
こうして、花粉症ガールと仲間たちは屋久島への旅の途上で、タイムジャッカーの一人と遭遇することになった。
果たして、自信満々のクラブキングの実力はどれほどのものか。翔花たちは、タイムジャッカーの襲撃を切り抜けて、無事に屋久島へ至ることができるのか。
バトル創作エピソード『翔花伝・屋久島編』、開幕の狼煙はここに上がった。
(今話完)