3月に入って
デル(リトル)「結局、2月中に剣の恩寵を使うことはできなかったなぁ」
G太郎(ゲンブ)「第4部も10話を迎え、今のミッションを達成すると終わる頃合いでござる。3月で第4部が終わるなら、剣の恩寵も今のミッション分だけあれば十分でござろう」
ホリー(シロ)「今のミッションに入って戦う機会がちっともなくて、アイテム拾いか、NPCからの情報収集ぐらいしかしていないと思う」
GM(ヒノキ)「うむ。ランダムイベントでも戦闘の機会がなかったからのう。ともあれ、前回、紅の水魔ソニア・ゾラの信用を得て、腹を割った話し合いを行った烈火団は、1tbの休息を経て、32日めの朝、【物乞い市場】を旅立つこととなった」
ホリー「ミサとコヨミはどうしてる?」
GM「宿屋の仕事のお手伝いで、朝から忙しく働いているみたいじゃのう。しばらく見ない間に、働き方を覚えたようじゃ」
ホリー「遊んでいる余裕はないってことかな。こういう世界では、子どもも自分たちにできる仕事をしないと、食べて行けない、と?」
GM「現代日本とちがって、子どもは学校で学ぶとか、のびのび遊ばせてやるって発想がないのじゃろうな。むしろ、手に職つけて働けるように育てることも優しさかも、という環境じゃ。宿の部屋の掃除とか、皿洗い、洗濯物を干すとか、子どもにもできる仕事をビシャナは見繕ってやってる。おまけに彼女はウサギ人のタビットじゃから、体のサイズは人間の子どもと変わりない。だから、子どもだ大人だという区別はされておらん。強いて言えば、火を使う料理だけは危ないので任されていない。包丁で野菜を切ったりなどは、割と器用にこなしておるようじゃが」
ホリー(シロ)「プレイヤーのボクも、アリナ様にはみっちり仕込まれましたからね。とにかく、子どもたちが甲斐甲斐しく働く姿を見て、こういう平和を壊さないようにしたいなあ、と考えながら朝食を食べているってことで」
G太郎「ところで、ビシャナさんに〈ティアハートの花〉を採取したことを報告しよう。確か、そういうミッションも引き受けられると聞いたが」
GM「そうじゃなあ。〈ティアハートの花〉は10個セットで引きとってくれるが、今は魚人との交渉ミッションの最中じゃからな。今の仕事を終えてから、お願いしたいそうじゃ。報酬はビシャナチケット2枚となっていて、繰り返し受注可能なので、チケットを効率よく集められる手段と言えような」
G太郎「あと2回、そのミッションを果たせば、『ヤーハッカゼッシュ』『防衛施設』のここでの情報をコンプリートできるでござるな。魚人ミッションの後で挑戦しておくといいかもしれぬ」
デル「ソニア・ゾラからの情報は結構大切そうだったからなぁ。ここで手に入る情報はどれも重要っぽいしぃ」
GM「まあ、第5部でのミッションにするといいじゃろう。今は魚人ミッションに専念する方がいい」
地下水路の探索ふたたび
魚人の王に面会するには、〈ストロベリーオイスター〉12個が必要。それを入手するため、大水車からふたたび地下水路へ潜る烈火団一行だった。
GM「大水車に着いたのが、32日めの昼。ここから地下水路じゃが、どこに向かう?」
G太郎「じっくり歩き回って、必要アイテムを拾い集めることにしようと思っていたが、それだと時間が掛かって仕方がないでござる。商売人としては不必要な金を使うことには反対したいところであるが、『時間を金で買え』という言葉もある。必要経費は投資と見なして、しっかり払うことも商売人の道。ここはリザードマンから〈虹色の宝石〉と〈ストロベリーオイスター〉を必要分、買いとって物語をさっさと進めるでござる」
GM「では、大水車からリザードマン集落まで4マス分、2tbの行動を略式でまとめることにしよう」
★32日め夕方
ランダムイベントは発生せず。
探索に成功し、ガストボール(100G)を拾う。
★32日め夜
ランダムイベントは発生せず。
探索で、100G入った金貨袋を拾う。
G太郎「やはり、地下水路での拾い物で当たりが出る可能性は低いでござるなあ」
GM「探索に成功したら、取得アイテムはD6でランダムで決めるからのう。5が出れば〈虹色の宝石〉、6が出れば〈ストロベリーオイスター〉なのじゃが、どうも1とか2しか出ない」
ホリー「それだと価値の低いアイテムしか出ないのか」
デル「ところで、ソード・ワールドでは金貨ではなく、銀貨を使うはずだよなぁ。それなのに金貨袋というのはおかしくないかぁ?」
GM「わらわも以前にそう思っておったが、最近読んだ本によれば、1枚100G分の価値がある金貨も交易には使われていることに気づいた。すなわち、銀貨1枚が1ガメル。金貨1枚が100ガメルという交換レートと考えればいい」
ホリー「すると、金貨袋には金貨が1枚だけ入っている、と? どれだけシケているんだ」
G太郎「本当は、もっといっぱい入っていたのが、地下水路にこぼれ落ちて回収不可になったのかもしれん。たまたま袋に残っていたのが金貨1枚ってだけで」
GM「とにかく、お主たちはリザードマン集落に1日ぶりに帰って来た」
G太郎「長のハイ・ゴグ殿にお取り次ぎを願おう」
長ハイ・ゴグ『おや、烈火団の皆さん。お早いお帰りじゃのう。一体、どうしたのじゃ?』
G太郎「うむ、この地下水路を1日ほど探り歩いてみたものの、残念ながら欲しい品物を見つけることあたわず。やはり、水路の専門家の貴殿たちから買い受ける方が得だと分かったでござる」
長ハイ・ゴグ『我らとて当たりを引く可能性は3分の1程度。それでも毎日地道にコツコツ続ければ、それなりに貯まりもします。ただし、一度に大量の〈ストロベリーオイスター〉を手に入れるスポットもありますのじゃ。特別に教えて差し上げましょうか?』
G太郎「そんなスペシャル情報をただで教えてくれるのでござるか?」
長ハイ・ゴグ『情報サービスのおまけと言ったところか。以前にお教えした「暴君チクチク」の狩場こそ、〈ストロベリーオイスター〉が群生している穴場じゃ。我らの中でも勇気ある若者が、狩場に挑戦して命を落としたり、大成功を収めたりしている。チクチクの狩場に入って勇気を示すことが、成人の儀式にもなっておるが、4割強の確率でチクチクに襲われ、無惨な最期を遂げることに。ああ、どこかにチクチクを退治してくれる真の勇者はいないものかのう?』
G太郎「確かに、レベル14の怪物を倒せたら、真の勇者の称号にふさわしいでござるなあ。しかし、今はその時ではない。チクチク退治は弟子が成長したときの試練と考えよう」
デル「え? 師匠、もしかしてオラにチクチク退治の挑戦をしろってかぁ?」
G太郎「もちろん、私も手助けするでござるが、真の勇者にふさわしいのは私ではなく、デルニール、お前のはず」
デル「真の勇者の称号かぁ。悪くないとは思うが、今のままで挑戦しては、勇者ではなく、単に無理無茶無謀な愚か者でしかないだろぉ!?」
G太郎「愚者と勇者は紙一重。しかし、50近くミッションを重ねれば、レベル12から13にも達することがルールブックにも記載されてある」
ホリー「そういうG太郎は今まで何ミッションを果たしたんだよ?」
G太郎「能力値の成長回数から計算できるでござるな。ええと、器用7回、敏捷8回、筋力6回、生命力7回、知力3回、精神力6回の合計37ミッション。それだけ冒険すれば、レベル10〜11になっていてもおかしくはないでござるが、技能の複数伸ばしで成長が遅かったり、弟子や嬢ちゃんのレベルに合わせて冒険者レベルの上昇を遅らせているわけで」
デル「すると、あと13ミッションで真の勇者に近づくわけかぁ。オラは今のところ、器用1回、敏捷4回、筋力4回、生命力0回、知力0回、精神力4回の13回成長だからなぁ。師匠とは24ミッションも差がついているわけだぁ」
GM「13回成長だと、レベル6〜7というのがルールブック記載の標準データじゃから、デルの成長は一般的なものと言えよう」
ホリー「念のため、ボクは器用3回、敏捷0回、筋力3回、生命力2回、知力2回、精神力3回の13回成長だな。デルと同じ成長回数なので計算は合っている」
G太郎「意外にも、デルニールが生命力を、ホリーが敏捷を伸ばしていないのでござるなあ」
GM「最初から能力値が18あると、別の能力値を優先したくなるものじゃろう。あと、筋力は武器や防具の使用条件を満たすために戦士系なら優先的に育てるものじゃし、それ以外は6の倍数に満たない能力をボーナス増加のために優先するといったところか」
G太郎「ソード・ワールドのミッション成長回数を、ヒーロー物の放送話数に例えるなら、ご主人や嬢ちゃんは1クールめが過ぎた頃合いで、私はそろそろ3クールが終わりかけている頃」
GM「実際は、1週間で1ミッションというペースではないし、1ミッションに2記事以上かけるケースも多いからのう。魔神ハンターも、第0部は2ミッション、第1部は3ミッション、第2部も3ミッション、第3部が多くて4ミッションと展開してきたが、今回の第4部はミッション回数的にはスローペースと言えようか」
G太郎「アイテム集め系のミッションは時間がかかるでござるし、出てくる情報が多い部でござるからな。とにかく、レベル14の化け物退治は遠い未来の勇者に任せるとして、今は危険を冒さず、商売交渉で〈ストロベリーオイスター〉12個と〈虹色の宝石〉5個を買い求める。締めて4300G分の出費でござる。これで武器のイグニダイト加工の目標ははるか先に遠ざかった。トホホ」
GM「ヒヒヒ。まあ、ストーリーを先に進めるには仕方あるまいて。とにかく、金払いのいい良客の烈火団に、リザードマンの部族も信頼を深めたようじゃ。また儲け話を持ってくることを期待しておる」
G太郎「大きなお金を動かせることも、信用の証でござるからな。あとは出て行ったお金がどこかで回収されることを期待するのみ」
アイテム拾いの旅路
リザードマンから買い物を済ませた烈火団の一行は、深夜に北西のティアハート区画に向かう。
その際、ランダムイベントで水辺の魔物と遭遇。それはレベル7動物サーベルタイガーだった。
ホリー「トラ年っぽい魔物キター」
デル「でも、どうして地下水路にトラがいるんだぁ!?」
G太郎「そんなことはどうでもいいでござる。さっさと始末して、トラの皮を剥ぎとり、高値で売るでござる。先制判定は21!」
GM「殺意あり過ぎじゃろう。4回キックで瞬殺できるか試してみよ。回避16、防護点7、HP53のデータを公開しておこう」
G太郎「81点ダメージで瞬殺決定でござるな。【マッスルベアー】【ジャイアントアーム】【キャッツアイ】で命中とダメージを高めて、さらに順番が前後したが魔物知識判定18!」
GM「判定に失敗しても、〈狩人の目〉効果で敵データが公表されるからのう。ついつい、魔物知識判定を省略してしまうが」
G太郎「回避16だと、命中12では外す可能性があるゆえ、〈狩人の目〉で命中+1にしておくとピンゾロ以外、確定命中でござる」
GM「ついでに弱点を見抜いて、命中+1。さらに戦闘特技の《弱点看破》の効果で、ボーナス倍。つまり、【キャッツアイ】を使わずとも、十分な命中値を確保できていたのじゃがな」
G太郎「どうせ、すぐに睡眠が取れるゆえ、練技1回分の無駄遣いは気にしない。全力全開で4回キックを仕掛ける。ピンゾロは出ないので全て命中。24点、29点、23点、25点で合計101点ダメージでござるよ」
GM「防護点で総計28点減らして、73点をくらったトラは、地下水路に沈んだ」
G太郎「沈む前に、皮をはぎ取る。戦利品ダイスは7で、《トレジャーハント》と《鋭い目》でボーナス+2。すなわち9」
GM「残念ながらサーベルタイガーの戦利品は皮ではない。2本の〈鋭い牙〉じゃ。それぞれ200Gの価値がある」
G太郎「金貨換算で4枚にしかならん。このままだと、今回の冒険は赤字確定でござる。少しでも、損失補填できる獲物を仕留めなければ」
デル「師匠の目が血走っているぅ。これが商売人の恐ろしさかぁ」
ティアハート区画で寝泊まりし、保存食で食事を済ませた一行は(さらにG太郎の物欲パワーが発動したのか、〈ティアハートの花〉を6個収集する)、再び大水車への帰路をとる。
★33日め朝
ランダムイベントで、密偵のニコ・シュナウヘアに遭遇するが、彼の欲しい情報がないので、あいさつだけして別れる。
探索では、黒鉄剣士勲章を拾う。
★33日め昼
ランダムイベントはなし。
探索では、〈虹色の宝石〉を1つ入手。
★33日め夕方
ランダムイベントでは、再びタクシー役のカマウェトに会うが、必要ないので、あいさつだけして別れる。
探索では、100G分の価値あるマギスフィア(小)を入手。
こうして、一行はあまり大きな実入りもないまま、大水車から上層階に帰って来たのである。夜に拠点に帰還して、休息をとった後、未明にいよいよ魚人の拠点のある【水没した通路】に向かうことになった。
恐怖のカボチャ
●ミストグレイヴ上層階の地図
(青字は拠点および宿泊可能地点。赤字は現在地。
緑字は新規に記入。青いラインは安全ルート)
死者の道ーミノタウロスl の門→深層
l l 階蛇の酒蔵ー凱旋門ー岩棚のーゴミ溜め窟ー炎河橋
(梯子) (魔窟) 城塞 l l
l l l l 腕試しの
コボルド窟ー無限ー隠者のー地底湖の畔ー通路→深金床 迷路 (人魚宮殿) 層
l l l 階
大水車ー烈火団ー煌びやかな
l 本部 大通路
l l l
物乞い市場ー 騎獣ー水没通路
(蜜蜂) 調教所 (梯子)
l l
肉の穴ー処刑遊戯場
(解放軍)
34日めの朝に【煌びやか通路】に向かう途上の烈火団は、2体のジャックオーランタンの襲撃を受ける。
G太郎「獲物発見。先制判定して、瞬殺するでござる。(コロコロ)出目3だとぉ!?」
GM「どうやら、金に目がくらんで平常心を失っているようじゃな。こちらが先攻しようかの?」
ホリー「済まない。ボクもフォローできなかった。(先制判定失敗)」
デル「師匠ぉ、何やってんだぁ? と叫んで、剣の恩寵を使うぞぉ。これで+2すれば、先に動けるはずぅ」
G太郎「おお。弟子の応援を受け、我を取り戻す。心の目を働かせれば、こんな奴ら、敵ではない。1体ずつ確実に仕留めるでござるよ。まずは連続4回攻撃」
ホリー「ちょっと待った。ここはボクから行動させてくれ。ウォーリーダーの鼓咆【怒涛の攻陣】を叫んで、全員ダメージボーナス+1だ。その後、【エンチャントウェポン】をイノセントとデルとG太郎にかけて、MP6点消費。それからイノセントで突撃する」
GM「前衛に出るなら、魔法は使えんぞ」
ホリー「それが使えるようになっているんだニャ。騎芸【姿勢堅持】の賜物です」
GM「おお、なるほど。しかし、イノセントは移動だけで攻撃不可じゃ」
ホリー「ああ、そうか。すると、攻撃は次のターンだな。このターンは支援だけで終わり」
デル「オラも先に動くぜぇ。【マッスルベアー】【ビートルスキン】【キャッツアイ】でダメージ+3、防護点+2、命中+1のバフを入れて、MP9点消費。そして、シェルブレイカーを叩き込むぅ。命中は21ぃ!」
GM「デルの気合の一撃がカボチャ頭を粉砕しようとするが……」
デル「ダメージダイスは普通に7。いろいろ足し合わせて22点だぁ」
GM「防護点6点を減らして、受けたダメージは16点。残りHPは32点じゃ」
G太郎「では、いよいよ私の出番でござるな。4回攻撃を2体に振り分けて、まずはデルニールが攻撃した相手を狙う。【マッスルベアー】【ジャイアントアーム】を使い、2回命中。ダメージは25点と27点でござる」
GM「40点くらって1体は沈んだ」
G太郎「問題はもう1体でござるな。撃退するのには60点ダメージを与えないといけないが、クリティカルしないと不可能でござる。とりあえず、2回命中は(コロコロ)したが、ダメージダイスよ、ここで唸りを上げよ。(コロコロ)4と7。ダメでござるな。25点と28点」
GM「41点ダメージで残りHPは7点じゃな。では、ここは一発【ファイアボール】と宣言するか。全員、精神抵抗16で抵抗せよ」
ホリー「しまった。敵が範囲呪文を使ってくるとは予想していなかったよ。予想していれば、前に出なかったのに」
GM「ヒヒヒ。敵もバカな獣ばかりとは限らなくなっておるからのう」
ホリー「ボクもイノセントも抵抗失敗。もしかすると、支援魔法を使うよりも、ボクとイノセントは攻撃した方が良かったのでは? HP7点なら落とせたかも」
GM「あくまで結果論じゃがな。さあ、G太郎とデルはどうじゃ?」
G太郎「難なく成功したでござる」
デル「オラは、〈月光の魔符+1〉を破って、成功したぁ」
GM「チッ、つまらんのう。ならば、ホリーに……おお、クリティカルして28点ダメージじゃ」
ホリー「……ぴったりHP0で死にました(涙目)」
GM「何っ? い、いや、まだじゃ、生死判定を行うといい。ピンゾロじゃなければ、生きているはず」
ホリー「(コロコロ)ふう、8で生存。でも、イノセントから振り落とされて気絶、戦闘不能です」
GM「イノセントに対しては、16点ダメージ。あとはG太郎に、おっと、またもクリティカル……は抵抗に成功して無効じゃったな、9点ダメージ。最後にデルニールに対して8点ダメージ。まあ、こんな物か」
デル「よくも、ホリー姉さんをぉ。オラの怒りの一撃を叩き込むぅ!」
これは同値回避されたが、【運命変転】で命中させて、何とか撃退。
デルは神聖魔法【アウェイクン】でホリーを気絶状態から回復させる。
ホリー「ふう、死ぬかと思ったよ」
ジャックオーランタンの戦利品は、かぼちゃのランタン(100G)が2つと、さびた鎌(100G)、大きな鎌(600G)。戦利品ダイス目の出目がもう1つ高ければ、魂刈の鎌(3000G)が手に入ったのに、と悔しがるG太郎。
その後、一行は態勢を立て直すために、【煌びやか通路】の宿で、1tbの休憩をとって、HPとMPの回復を行った。
ホリー「いろいろと戦術ミスをしてしまったなあ。相手の範囲攻撃呪文を予想してなくて、うかつに前に出てしまったこと。エンチャントでダメージを増やすよりも、【カウンター・マジック】や【プロテクション】で防御を考えるべきだったこと」
G太郎「自分のミスを悔やむのも仕方ないが、今回は何よりもアリナ様が絶妙なタイミングでクリティカルを出したことが脅威でござる。こっちは、どんなに頑張ってもダイス目が伸びないというのに」
GM「ヒヒヒ。ダイス目でプレイヤーに悲鳴を上げさせるのが、良きGMというものじゃ。死なない程度に痛みつけるさじ加減。久しぶりに気分がスカッとしたぞ」
デル「オラたちのザコ戦闘は基本、師匠の4回蹴りの瞬殺で片付くからなぁ。たまに複数の敵が出て来たら、倒しきれないこともあるけどぉ」
ホリー「カボチャ怖いカボチャ怖いって、ボクはトラウマになるな。しばらく、カボチャ料理は作れないや」
魚人の王ブグプリ
34日めの夕刻。
【水没通路】に向かう途上の一行は、休息部屋に通じる扉のスイッチを発見したが、宿で回復したばかりなのにタイミングが悪すぎる。G太郎曰く、「こんな場所があると分かっていたら、宿代200Gを支払わずに済んだものを」
そして、とうとう今回のミッションの目的地、魚人の王ブグプリの本拠地に通じる【水没通路】に到着したのだが、
魚人ギルマン『お前たち、ここを通過するには、通行料150G分のアイテムを支払うギョ』
G太郎「何だとッ!(ギロリと睨みつける)」
魚人ギルマン『ヒッヒーッ。恐ろしいッ! 殺意に溢れた目だギョ』
G太郎「ここまで来るのに、我らがいくらのお金を支払って来たか。さらには、カボチャの火の玉攻撃で死にかけた娘もいるというのに」
ホリー「そうだそうだ。カボチャ怖い。蛮族憎い。ここはボクたちの怨念をぶつける時。こいつらを始末するなら、喜んで手を貸すぞ、G太郎」
G太郎「とにかく、我らは烈火団。水と炎の試練を切り抜けて、トラ殺し、竜と契約を交わし、恐るべき深層階すら切り抜けて来た猛者たちよ。そんな我らが魚人の王ブグプリに面会を求めて来たのだ。それなのに、お前たちはつまらない通行料を払え、と言い放つのか!」
魚人ギルマン『な、何と。烈火団だとぉ? 北の驕王ムルカグンドリと手を組み、今度は南の地に進出して来たと言うのか!?』
デル「いや、オラたちは先に南から攻略を進めて来たんだけどなぁ。ここだけ後回しになってただけでぇ」
部下のサハギン『思い出したぜ、隊長。こいつらは確か、【処刑遊技場】で派手に暴れ回った連中だギョ』
隊長ギルマン『そんな恐ろしい奴らが目の前にいるとは。しかし、我々は番兵としての任務を果たさなければならん。お前たち部下の命、私に預けてくれるなギョ』
部下のサハギン『隊長、どこまでも従うギョ』
隊長ギルマン『おお、私は良き部下を持った。さあ、烈火団、魚人一族の名誉にかけて、ここを通りたくば、我らを倒してみるがいいギョ!』
G太郎「愚かな。お前たち雑魚には用はない。我らの通行料はこれだ! そう言って〈ストロベリーオイスター〉12個を指し示すでござる。これを手に入れるために、我らは1800Gを支払った。たかだか150Gなどとは比べ物にもならん宝よ」
隊長ギルマン『おお、確かに。このような貢物をもたらしたとあれば、我らが王ブグプリもさぞや喜びになるギョ。ささ、こちらへ』
GM「そう言って、魚人は賓客を迎えるように、急に下手に出るのじゃ。では、【水没通路】の奥深くに巧妙に隠された魚人宮殿にお主たちは案内されて、ついに『背信の魚王ブグプリ』と面会することとなった。★1点を進呈しよう」
ホリー「それはいいんだけど、『背信の魚王』って自分で名乗ってるのか? 自分で『信用できない裏切り者です』って宣言しているようなものじゃないの?」
GM「ブグプリは愚かなので、『背信=一族の信頼を背負っている優れた者』というように思っておるのじゃ。レベル5の剣のかけら入りギルマンじゃのう」
デル「今のオラたちの目から見ても雑魚じゃないかぁ? それで王を名乗るのかよぉ」
GM「この上層階の豪族の中では、最も格下なのがギルマンなのじゃが、卑怯で狡猾で相手を陥れるやり口と、強きに媚びる習性を利用して、王の器量以上の権勢を誇っていると言えようか。とは言え、ブグプリは烈火団の持ってきた〈ストロベリーオイスター〉に大喜びで、『ブグプリの御用達商人』の称号を進呈しよう、と言ってくる。以降、ここへは顔パスで入ることを許された。今後も、王のために〈ストロベリーオイスター〉と、ライバル部族のマーマン奴隷を連れてきたら〈赤銅勇士勲章〉と★を授けよう、とも」
G太郎「こいつもパトロンでござるか?」
G太郎「煌びやか卿はどうして、このような小者と手を組むようになったのか」
GM「魚人の長所は、その繁殖力の高さと言おうか、水棲蛮族の中でもやたらと数が多い。質より量の軍勢を率いるのと、その戦術もとにかく卑怯で、名誉ある戦いとは程遠い。ただし、自分たちの長に対しては忠実で、結束力は意外と高いので、小者と思って侮ると数の脅威と執拗さで包囲され、押しつぶされる。水中のゴブリンに相当すると言えようか」
G太郎「数が多い、ということは、いっぱい物を買ってくれる顧客としても敵に回さない方が得ということでござるな」
GM「さらに、魚人は奴隷交易に賛成し、人魚は奴隷に反対する立場なので、煌びやか卿からすれば、魚人の方が付き合いやすい相手となる。人魚は真面目で説教くさい。魚人は品性に欠けるが、いちいち文句は付けて来ない。どちらが気兼ねなく付き合えるか、ということじゃな」
G太郎「人魚は文化的にエルフの近縁種で、魚人はゴブリンの近縁種と考えれば、いい感じでござるか」
デル「だったら、リザードマンはどうなんだぁ?」
GM「誇り高い戦士の一族という意味では、気質的にドワーフに近いと言えるかもしれんが、人魚や魚人と特別に仲が悪いわけでもない。と言うのも、人魚と魚人はどちらも本来は海洋棲の種族なのに対して、リザードマンは淡水を好む種族だからじゃ。種族としての接点が薄いゆえに、距離を置いた付き合いができているわけで」
ホリー「そもそも、魚類と爬虫類だから好き好んで交わるわけじゃないけど、敢えてケンカすることもない、と」
GM「この霧の街でのリザードマンは、上位爬虫蛮族バジリスクのヤーハッカゼッシュに忠実に仕える騎士のような立場。一方、人魚と魚人はどういう経緯でミストグレイヴに来て、今の生活に至ったのかよく分からんのう。海の生き物がシェス湖という内陸の大きな湖の側にある古代都市の地下水脈に住むようになったのは何故か。
「人魚の宮殿が魔動機文明の産物であることから推測するなら、人魚はこの街がジーズドルフと呼ばれた時代から住んでいて、人族と友好的に付き合ってきた。そこに後からギルマンが翠将の水軍の一部として侵攻し、ここに住み着いて人魚を脅かすようになった……というのが、わらわの想像した設定じゃ」
G太郎「なるほど。伝統重視の穏健派な人魚と、侵略的立ち位置の魚人。その間で仲を取り持とうと苦心しているのが煌びやか卿でござるが、ここの人魚は人族文化に親和的で、蛮族の流儀に馴染めない、と」
GM「以上の種族の歴史は、人魚の女王パランティーナが先立って烈火団に語っていたものとする。ブグプリがここで語るのも変な話じゃしのう」
G太郎「よし。では、ミッションの本題に移るとしよう。我らは人魚の女王に依頼されて、部族の宝〈人魚姫の髪飾り〉を返還交渉に参ったのでござるが、お考えいただけないだろうか、と尋ねてみる」
ブグプリ『ほう、人魚の遣いか。つまり、我らと敵対すると?』
G太郎「いやいや、我らは水の中の話とは関わりなき部外者。どちらに味方し、どちらに敵対するかは決めておらぬ。ただ、煌びやか卿と盟約関係を結んだ間柄であるから、双方と関わって今後の商売の動向を見極めようとしているに過ぎん。たまたま先に人魚の女王と話ができただけのこと」
ブグプリ『うむ。悪いことは言わん。我らに付いた方が得だぞ?』
G太郎「どうしてでござるか?」
ブグプリ『遠からず、人魚は滅びるからよ。我らの軍勢に攻め滅ぼされてな』
G太郎「何と。陛下は戦を仕掛けるつもりですか?」
ブグプリ『今は煌びやか卿の顔を立てているがな。生意気な人魚の一族を滅ぼすのは先代からの悲願。時が来れば、必ず滅ぼす』
G太郎「時が来れば……と言い続けながら、ずっと後回しにしているのではござらんか?」
ブグプリ『ギョッ。どうして、それが……じゃない。時が来れば、と言っておろうが。戦をするには相応の準備が必要なのだ。そもそも、部族の宝を差し出すとは実質的に降伏したも同然だろう。滅ぼされるのが嫌なら、定期的に貢ぎ物を持って来るように言え。烈火団が敢えて人魚の使者を務めると言うのなら、それがパランティーナへの要求だと伝えよ。
『大体、バカ王子の身代金代わりにいただいた宝を返せ、と言われて、簡単に返すわけがなかろう。あの女王はバカ王子と同じで、交渉ごとというものが分かっておらん愚か者ではないか。バルバロス社会では到底生き残れないお人好しどもよ。我らが滅ぼさずとも、勝手に滅びるのがオチではないか』
G太郎「なるほど。滅ぼそうと思えば、いつでも滅ぼせる。しかし、いずれ勝手に滅びるのだから、敢えて面倒な戦の準備などしなくとも、時を待てば良い。賢明な大王閣下は、そのように計略を立てているのでござるな」
ブグプリ『そ、そうだとも。さすがは煌びやか卿と盟約を結んだ烈火団よ。我が深遠な計り事を読み解くとは。これで分かったろう。我らの側についた方が得だと』
G太郎「では、〈人魚姫の髪飾り〉と釣り合う貢ぎ物を差し出せばよろしいのでござるな。実は先日、このような品物を見つけ出しまして、と言って、〈ギルマン王の冠の破片I〉を取り出すでござる」
GM「すると、ブグプリは、またもやギョッと驚いた。『そ、それは伝説の〈技留ノン王の冠〉の一部ではないか?』と目が普段よりも大きく見開かれている」
ホリー「技留ノン王って?」
GM「うむ。シナリオ101ページにある記述じゃ。おそらくギルマン王の誤植じゃろうが、ここではブグプリの先祖に『技留(わざどめ)ノン』と呼ばれる伝説の戦士がいたとしよう。彼はいかなる敵の技であろうと、たちどころに見切って、『そんな技は留めてみせるギョ。ノンノン』と言いながら翻弄する腕前の持ち主なのじゃ」
G太郎「ただの誤植から変な設定が生まれたでござるが、さておき。どうやら、魚人王のお気に入りの品で間違いないようでござるな。これと〈人魚姫の髪飾り〉と交換するのではいかがだろうか?」
ブグプリ『伝説の冠が我が手元に来るとは、やはり我が時代が栄えるという吉兆か。うむ、それで他の破片は持っておるのか?』
G太郎「いや、今は手元にないでござるが、取り引きの材料としてまずは一つを持参した次第」
ブグプリ『なるほど、抜け目ない奴じゃ。では、こうしよう。その破片と引き換えに、〈人魚姫の髪飾り〉を引き渡す。そして、できれば、残り2つの破片も探し出して欲しい。さらに、頼みごとを1つ。目下、我らギルマンを脅かす魔物を、噂に聞く烈火団の力で退治してもらえぬだろうか?』
G太郎「そちらも抜け目ない御仁でござるな。その魔物とは一体?」
GM「ランダムで決まる。(コロコロ)レベル9魔動機、その名もウォードゥームじゃ」
G太郎「何と。それは……第4部のラスボスにふさわしい強敵でござるな」
●ここまでの冒険成果
日数経過:34日めの夕方(【水没通路】のブグプリの間)
経験点:〈ストーンメルト〉を購入した★1個
【月の図書館】の場所を調べた★1個
地下からの脱出方法を探した★1個
ソニア・ゾラの正体を知った★1個
ソニア・ゾラから話を聞いた★1個
魚人の王ブグプリと面会した★1個
(合計★6個)
魔物撃退分210点
ピンゾロ分(なし)
収支結果:黒鉄剣士勲章2個、1点消魔石、5点魔晶石
ティアハートの蜜10個、銀貨100G
戦利品1500G分、宿代200G
8050ガメル分の支出、食料消費2日分
月光の魔符+1使用(デルニール)
ティアハートの花8個
ビシャナチケット残り1枚
〈翠緑のマギスフィア〉
虹色の宝石6個
ミッション:マーマンの宝を取り戻せ
ドラゴンの秘薬の材料集め
(現在14人)
【月の図書館】の書物を読む方法を探る
地下世界から誰かを外に脱出させる
魔窟50階を踏破(店舗経営の許可)
驕王ポイント31点を目指す(現在10点)
人魚奴隷の救出
虹色の宝石の確保
(現在水妃ポイント2点)
情報
・煌びやか卿アー・ヌルチェと商業同盟を樹立。
・防空施設の魔力供給源【翡翠のピラミッド】に入るには、〈翠緑のマギスフィア〉が必要。
・〈破剣の星槌〉らしき略奪品は深層階のダークドワーフに渡った。
・【地底湖の畔】のマーマンは、水妃ポイント25点で地上への抜け道を教えてくれる。
・【コボルド窟】のオードル・プルは地上に伝手がある。
・【戦神の凱旋門】の魔窟総監ギルギダッシュと知り合い、魔窟ミッションを攻略中。
・四祖の1人シェラシースは魔剣である。
・地下水路から地上への脱出には、〈銀水晶のサークレット〉が必要。北東の隠し扉を開けられる。
・漆黒のマギスフィアは、深層階の黒い球体に入る鍵。別に合言葉が必要。
・竜のエサユハと知り合い、竜姫ナーデージュ救出の活動を行う。
・【歯車の迷宮】には地下水路の明かりの仕掛けあり。
・【王女の鍾乳洞】では魅了の瞳に注意。
・深層階のダークドワーフ情報いろいろ。
・【月の図書館】の伝承詩。
・ユリア・ミルドリスは深層階の【瑠璃宮】に向かった。
・暗闇を見通す〈セランシェの灯火〉は【妖精庭園】に。
・妖精をなだめる〈妖精の歌笛〉は魔窟の31階から69階の間に。
・〈乳白色のソーダ水〉は深層階にある。温泉か鍾乳洞と推測されている。
密偵の知り合い
・アム・ヤーセン(ドワーフ娘→ラミア)
キーワード「月の図書館」「隠者ヴァラルト」「黒炎の工房」「巨大格納庫」「漆黒のスフィア」
キーワード「ユリア・ミルドリス」「ノイア・カーナ」「白銀勲章」
・ニコ・シュナウヘア(ナイトメア→オーガ)
キーワード「防空施設」「シェラシース」「ヤーハッカゼッシュ」「地底に眠るもの」
・オスカル・バロー(シャドウ→バジリスク)
キーワード「白銀以上の勲章コレクター」
・シル・メリル(人間女→バルカン)
キーワード「レジスタンスを探す裏切り者」
冒険達成度:ブグプリの御用達の称号を得た+1%
合計20%
(当記事 完)