前回の後始末
太郎(ゲンブ)「前回は過酷な戦いでござった」
ヒノキ「いくら何でも無茶し過ぎじゃ。夜まで待っておれば、監視の目が緩んで、もっと楽ができたろうに」
太郎「そんなこと、プレイヤーの立場で分かるわけがござらん。与えられた情報で、最高最善のパフォーマンスをするのみでござるよ」
ヒノキ「その結果が、敵を壁の上から投げ落としたり、飛行モンスターの翼を蹴り折って、共に地面に激突するという無理無茶無謀ぶりなのじゃから、GMする方の苦労を知れい」
太郎「それでも、ルールに基づいてアドリブ処理をしたのはさすがでござる」
ヒノキ「まあ、プレイヤーがリスクと引き換えに、知恵を絞って考えた戦術じゃからな。無下に断るのもどうかと考えた次第。しかし、一歩間違えれば、マッスル太郎も死んでおったぞ」
太郎「サンダーバードが出現した時点で、死を覚悟していたでござる。その後は、ただ、無念無双の境地なり」
ヒノキ「無我夢中というか、ゴリ押し霧中というか」
太郎「今のは、五里霧中とゴリ押しを掛けた高度なギャグでござるな」
ヒノキ「或人じゃなくて、不破さんのゴリラも掛けておる」
太郎「おお、まさにランペイジ」
ヒノキ「とにかく、瀕死のエドガーを背負って、ヤムールの酒場に駆け込んだマッスル太郎は、自らも傷だらけの体を休めるために一晩休息。ミッション達成の仕事料200ガメルを、ヤムールから受け取る」
太郎「苦労の割には、ずいぶん安いでござるな」
ヒノキ「そりゃ、このミッションは本来、序盤に来る可能性があるものじゃからな。その場合は、さすがに今回のような無謀なことはできんので、夜中にこっそり忍び込んで、吊るされているエドガーを救い出すだけじゃったろうが。なお、この後、『エドガーの無事を知らせろ』というミッションが発動して、追い剥ぎ小路の〈風の旅団〉と関係を結ぶ展開もあったのじゃが、当リプレイでは既に〈風の旅団〉とは提携済みじゃからの。そこは割愛。ただ、今回の救出作業で、〈スエラの炎〉と〈風の旅団〉の連携が加速するのは間違いない」
太郎「では、北東でのミッションもこれにて終了。私は拠点に帰って、成長の儀に移ればいいでござるな」
ヒノキ「ああ。だけど、派手にやらかしたので、ザバーラの小言タイムも待っているがの」
Wミッション成長の儀
ヒノキ「拠点のザバーラに偵察……改め強襲任務の顛末を報告した太郎は……って、きちんと報告するよな?」
太郎「まあ、隠し事をしてもどうせすぐにバレるでござろうからな。レジスタンス関連のことは伏せたまま、血染めの壁での出来事に絞って報告するでござるよ。で、一言付け加える。『私は人族の笑顔のために、善意の心で戦った。やましいことは何もしていない』と」
ヒノキ「『そういう問題じゃないんだけどね。まあ、いいか。君が破壊と殺戮と混乱を招きかねないことは想定の範囲だし』と、ザバーラは溜め息を吐きつつ、どこか嬉しそうだ」
太郎「嬉しそう? それはどういう意味でござるか?」
ザバーラ『それは、君が破壊と混乱をもたらす魔神の眷属だからよ』
太郎「はっ? 魔神の眷属? 俺は涙を流さない。ロボットだから、魔神だから……のマジンでござるか? マジーンGOだとでも?」
ヒノキ「そのことは後で語ってやろう。マッスル太郎の出生に関わる、本キャンペーン最大の秘密をな。ヒヒヒ」
太郎「何と。プレイヤーの私ですら知らない、マッスル太郎の隠し設定でござるか?」
ヒノキ「もちろん、公式シナリオのミストキャッスルにもない、当リプレイならではのオリジナル設定じゃ。だがしかし、今はまず成長の儀を済ませるとしよう。それと、偵察ミッションの金銭的報酬は600ガメルということで」
太郎「では、まず能力値成長。今回はミッション2つ分なので、2回成長できるでござるな」
ヒノキ「おお、その通りじゃ」
太郎「1回めは1と2で、2の敏捷を選ぶ。2回めは4と5で、4の生命力を選ぶ。これでHPも1点上昇でござる」
ヒノキ「次に、経験点じゃな。★10個で2000点。そこに魔物撃退分とピンゾロ分を加えて、合計2400点を獲得した」
太郎「手持ちと合わせて、2730点でござるな。スカウト5レベルと、セージ3レベルになって2500点消費。各種の判定基準値の上昇に加えて、スカウトの自動習得特技《トレジャーハント》をゲットしたでござる。これで戦利品ダイスの出目が+1される」
ヒノキ「最後に、お金での買い物タイムじゃな」
太郎「いろいろ精算して2872ガメル。それに剣のかけら10個を全部お金に替えて2000ガメルで、合計4872ガメル。まずは3点魔晶石9個を買い足して、2700ガメル使用。それにポーションインジェクター用のヒーリング……ではなく、トリートポーション3本を買って、さらに1500ガメル使用。回復力不足のヒーリングポーションでは、もはや非常時の保険にはならないと判断し、売ってしまうことにした」
ヒノキ「トリートポーションは、ヒーリングポーションよりも回復期待値が2高いのじゃな」
太郎「ポーションの回復力を上げるには、レンジャー技能の成長が必須でござるが、今はそこまで経験点が回せん。金で解決できることは、金を稼いで何とかする。これも冒険者のたしなみよ」
ヒノキ「確かに、ソード・ワールドは実用的なアイテムの充実したゲームじゃからな。レベル5ともなれば、敵の落とす剣のかけらなんかでも結構な報酬になる。収入の少ないゴブリンスレイヤーTRPGなどと比べても、入って来るお金が多く、その分、買い物の楽しさも多い。金で装備を強化する楽しみもあるし、魔晶石をいっぱい買えば、今回みたいな派手なバトルも狙えるといったところか」
太郎「ただし、今回は消耗品の補充などがメインで、新しい装備品はまた次の機会にしたい」
●マッスル太郎のキャラデータ(青字は成長部分)
ルーンフォークの魔動武人(冒険者レベル5)
グラップラー5レベル、エンハンサー3レベル、スカウト5レベル、セージ3レベル、マギテック2レベル、レンジャー1レベル、コンジャラー2レベル(残り経験点230)所持金:772ガメル(ザバーラポイント2708点)
器用22+2、敏捷15、筋力24、
生命力23、知力18、精神8
HP38、MP20
探索・危険感知8、先制7、知識6
生命抵抗8、精神抵抗7
魔動機術魔力5、操霊魔法魔力5
武器:ハードキッカー(命中8、威力30、追加ダメージ+10、クリティカル値11、2回攻撃)
防具:ミモレの布鎧(回避9、防護点4)特技:追加攻撃、武器習熟A/格闘、防具習熟A/非金属鎧、マルチアクション、トレジャーハント
練技:マッスルベアー、ビートルスキン、ガゼルフット
所持品:冒険者セット、スカウト用ツール、救命草3つ、魔香草3つ、保存食1週間分、サーペンタインガン、弾薬22発、アンチドーテポーション、キュアストーンポーション、月光の魔符+1、月光の魔符+2、北向きの針、3点魔晶石×10、トリートポーション×3
部位装備(括弧内は仮面レンジャーへの扮装時)
頭:ディスプレイサー・ガジェット
顔:(仮面レンジャーのマスク)
耳:蝙蝠の耳飾り
(仮面レンジャーの赤マフラー)
背中:マギスフィア(小)
右手:宗匠の腕輪
左手:発動体の指輪
腰:ブラックベルト
その他:名誉蛮族の腕輪
その他:信念のリング
(足には現在なし)
次回への引き
ヒノキ「さて、キャラの成長も終わったので、ザバーラの話に移るのじゃ」
太郎「私が、魔神の眷族だとか、聞き捨てならないことを言っていたでござるな」
ザバーラ『そう。このあたしは魔神使いのザバーラ。そして君は、このあたしが召喚した魔神、デーモンの魂を宿した器なのさ』
太郎「何ですと? それはネタとかジョークの類ではなく、本当にマッスル太郎の公式隠し設定なのでござるか?」
ヒノキ「わらわはGMとして、本気だと明言しておくぞ。これから語るのは、ザバーラとマッスル太郎の関係性につながる重大な秘密。そして、マッスル太郎の今後の運命にも大きく影を投げかけるであろう呪縛の話なのじゃ」
太郎「だがしかし、プレイヤーの知らないところで、そのような秘密が構築されるなど……」
ヒノキ「そりゃ、マッスル太郎本人でさえ知らなかった秘密じゃからな。それを、秘密を知るNPCが初めて語るシーンなのじゃ。それを聞いて、プレイヤーのゲンブが、そしてマッスル太郎がどう感じ、どう悩み、どう行動するかが今後のクライマックスを盛り上げることにもなろう。さあ、ゲンブのロールプレイ力を、わらわと、そして今、この記事を読んでいる読者の方々にも堪能させておくれ」
太郎「ううっ。マッスル太郎は、ただのお笑い芸人ルーンフォークではなかったのでござるな」
ヒノキ「詳しい話は、次回に続くじゃ」
(当記事 完。『マッスル太郎、驚異の正体』につづく)