花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

令和VS珠保ゴブスレ対決3.5(GM迷走)

ゴブリンの洞窟ダイブイン

 

アスト「よし、覚悟を決めて、ASTROスペックを起動するぞ。シナリオプログラムのダウンロード開始。……はい、ゴブスレ.netに接続します」

 

https://ga.sbcr.jp/sp/goblin_slayer_trpg/gstrpg_sce_01.pdf

GMアスト「よし、君たち4人の冒険者はレイワ、エド、ヤヨイの3人の幼子を助けるため、小鬼の洞窟に踏み込んだ。そこからの続きだ」

学術騎士ジャン(NOVA)「おお、何だかセーブしていたところから、ゲームを再開するような気分だな。継戦カウンターは1で、消耗も1点。ところで、前はまったく気にしていなかったけど、因果点は何点だっけ?」

GMアスト「5点だ」

ジャン「いきなり高いな。ルールブック掲載の初心者対応シナリオだと、3点を推奨していたはずだが」

GMアスト「しかし、これは初心者を苦しめるシナリオだからな。金もなく、毒消しもまともに用意していないのに、ゴブリンなんて雑魚だから、と侮ってかかる素人を抹殺するという、原作小説のオープニングを再現したシナリオ。さあ、原作者の手に掛かって死ぬことを、ファンとして本望に思うがいい」

ツラヌキ・丸子(ヒノキ)「ヒヒヒ。なかなかGMぶりが板について来たではないか。GM養成メガネのASTROスペックは、うまく機能しているようじゃの」

アカミドリ(晶華)「あれ? ASTROスペックって、そういう装備だっけ?」

ジャン「ああ、ケイPマーク2に内蔵された装着者の支援システムを応用して、そこにノヴァストラダマスの仕込んだブラックボックス込みのシナリオデータを引き出せるようにして、どんな素人でも、それなりにゲームマスターとして振る舞えるようにした代物だ。これさえ実用化すれば、日本のTRPG人口も画期的に増えるんじゃないか。

サイバーパンク系のゲームだと、頭にチップとしてデータインストールするだけで、持っていない技能を一時的に習得できる装備が普通にある。素人が企業秘書とか上流社会の礼儀作法とかを簡単に習得できるわけだ」

アカミドリ「だったら、素人でも一流の戦士になったりできるわけ?」

ジャン「一流は無理だな。一流の動作や思考には、局面に応じた臨機応変さとかの状況対応力が欠かせないが、データ化できるのは型にはまったルーチンワーク的なもの。仮にレベル5以上をベテランの域とするなら、脳内チップで対応できるのは、せいぜいレベル2とか3とか、それぐらいだろう。ゲーム作品にもよるが、『ズブの素人ではないけど、普通に手抜かりなく決まった仕事をこなせるレベル』だな」

蜥蜴用心棒(ゲンブ)「ゴブリンスレイヤーは、ファンタジー世界の物語であろう。それなのに、どうしてサイバーパンクの話題に走るのでござるか? 寄り道も結構だが、もう少し世界観を考えていただきたい、と」

ジャン「うん、それなんだけどな。最近はゴブスレの原作者が後書きで一番ハマっている作品が、ファンタジーサイバーパンクを混ぜたシャドウランらしいんだ。基本はファンタジーのゴブスレにも、スターウォーズとか仕事人とかシャドウランのネタが投入されているので、そこは絡めても問題ないか、と」

用心棒「そういうものでござるか」

ジャン「ついでに、日本のシャドウランの現在の元締めであるゲームデザイナーの朱鷺田祐介さんがニチアサの熱心な視聴者でな。ツイッターでリアルタイムで感想書きながら、ご自分の作品に絡めたりしているんだ。そして、彼がZAIAスペックの設定を気に入って、シャドウランのネタに使えないかな、的なことを呟いていたり。だから、ゴブスレ→シャドウラン→ZAIAスペックという流れが、俺の中ではつながってくるわけだよ」

用心棒「はあ、そういう背景を語られると、必然のつながりが納得できるでござる」

ジャン「気心の知れた友人との会話では、いきなり話がポンと飛ぶこともあるが、相手が戸惑っているなら、そこのところを話し手が補ってくれるんだよ。逆に、補わなくても、即、話に乗って対応してくれる稀少な親友もいる。俺も自分で話していて、『時折り話が飛ぶこと』を自覚しているが、親友レベルになると、本当に即応能力が高いんだよな。『こいつは、よく、この流れに付いて来れるな』と。

「もちろん、相手が付いて来れていない場合も、リアルだと普通に分かるので、『スマン、いきなり話が飛んだ。これはつまり、こういうことを考えて(思いついて)しまって、こういう流れなんだ』と補足すると、まあ、分かってもらえる。で、その説明をどこまでしないといけないかで、相手の知識とか理解力とかがリアル会話だと把握できるので、だんだん適切なボールでやりとりできるわけだ」

晶華「ネットだったら?」

NOVA「表情とか、口調とかが分からないから、微妙なニュアンスが伝わりにくいな。(笑)という表現一つとっても、相手の発言内容が楽しくて笑っているのか、自分の発言に笑いを付けているのか、二通りに解釈できるし、ウケているのか、嘲笑しているのかも、文脈とか、日頃の発言イメージに左右される。真面目な話の途中に(笑)を付けた場合、重い空気を解そうとする気遣いにも、単に話の重大さが理解できないようにも受け取られる。

「書き言葉で『バカな奴やな(笑)』とか安易に書いちゃうと、悪意しか伝わらないけど、関西人の間では、話し言葉で『バカ=面白い』というニュアンスで会話する時もあるので、『お互いのバカさ自慢をした』後で、ふと我に返って、『バカを競って、どないするねん。ほんま、俺たちアホやな』とお互いを明るく笑い合ってオチをつける。

「関西人の笑いのペーソス(人情味)は、人をバカにした分、その代償に自分もバカにして、お互い様でしたチャンチャンって締めくくれる人が、一般にウケるわけで、そういうバーターな流れを無視して、一部だけ切り取ってみせても、単に口の悪いギスギスした悪口合戦にしか聞こえないわけだ」

 

GMアスト「で、それは何の話なんだ? そろそろプレイを先に進めてもいいのかな?」

ジャン「ああ、スマない。要は、唐突な話にも背景があって、そこを膨らませて語ると、納得できる会話になって、満足度も高くなる。逆に、そういう背景を自覚していなかったり、言葉足らずで語られなければ、フラストレーションが溜まるわけだな。個人的な事情って奴だ」

GMアスト「そんなことは、ゴブスレには関係ない。プレイに集中するように」

ジャン「……なるほど。ASTROスペックの問題点その1。合理的なマスタリングには長けるが、無駄話をしたい人間の心理をフォローするまでには至らない。想像力と創造力、コミュニケーション力を重視する遊びには、改善が必要、と」

アカミドリ「まあ、無駄話の多いNOVAちゃんにも問題があるけどね。早く、プレイを進めましょう」

 

ゴブリンの罠はどこ?

 

ジャン「結局、消耗しているのは、俺、いや、ぼくと用心棒の旦那だけか。そう、ジャンの1人称は、俺じゃなくて、ぼくなんだ。ようやく感覚を思い出して来たぞ。ここからロールプレイに専念することにします」

用心棒「それにしても、この洞窟は狭い。体の大きな戦士が歩くだけで消耗してしまうとは」

丸子「その点、小人種族の圃人(レーア)である、わらわは楽なものじゃ。ルンルン気分で先頭を歩くぞ」

ジャン「いや、そんなお気楽モードじゃなくて、罠に気を付けて下さい」

丸子「もちろん、優秀な斥候であるわらわは、表面的に気楽なように見えても、常に危険の兆候はないか、と無意識で探っておるのじゃよ。GM、この洞窟にいる間は、わらわはいちいち宣言しなくても、常時、【観察】判定を行なっていると主張しておくぞ」

ジャン「この辺は、気心の知れたプレイヤーとGMなら、阿吽の呼吸で分かるものだがな。『はい、気を付けると宣言していなかったから、罠に気付かずアウト』と強引に進めるGM相手だと、『だったら、10フィート棒で床をチェックしながら進みます。他の人は天井に気を付けてね。それと、壁にも目を光らせて……』と神経質なプレイばかりになって、話が一向に進まなかったりする」

アカミドリ「ストーリーメインのシナリオだったら、トラップは要所要所に仕掛ければいいけど、トラップダンジョンだったら、常に気を付けないといけないし、この辺はプレイするシナリオ次第だと思うけど」

ジャン「最近のD&Dシステムなんかだと、受動知覚と能動知覚って形で感知系の能力を細分化して、気を付ける宣言のない時とある時で判定基準を変えたりもしているわけで」

用心棒「素人GMだと、プレイヤーに前もって情報を十分に与えていないにも関わらず、対応を怠ったプレイヤーを見下すケースもあるでござるからな。曰く、『ここに隠し扉を用意しているのに、気付いてくれないプレイヤーは無能だ』とか」

ジャン「いやいや、プレイヤーはエスパーじゃないんだから、GMが言葉足らずだと、いちいち気を付けてくれないって。よほどの神経質とか、前もってシナリオを一読しているプレイヤーならともかく。

「さて、これは知識神の天啓で、脳内に蝋燭の火がピカンと灯ったんですが🕯、確かゴブリンの洞窟には冒険者の不意を打つための隠し通路が壁に仕込まれているという噂を聞いたことがあります。丸子さんには、壁に何かないか、念入りに調べながら進んでもらいたい」

丸子「もちろんじゃ。わらわは熟練の斥候じゃからな。壁に何かがあれば、すぐに気付くよう目を光らせておくぞ」

GMアスト「しかし、左右の壁には特に異常は見受けられない」

丸子「ダイスも振らせずにか?」

GMアスト「振る必要はない」

ジャン「本当に? 俺の原作知識、そして以前にシナリオをチラッと見た知識では、この洞窟には、壁抜きの通路が仕掛けられていて、そこからゴブリンが7体、奇襲攻撃を仕掛けてくるはずなんだが」

GMアスト「今のは、プレイヤー発言だな。もっと、キャラのロールプレイに専念するように」

ジャン「あ、そうだな。思わず、つい言ってしまったよ。ぼくはジャン、ぼくはジャン、シナリオなんて見ていない。ゴブリン7体は、覚知神の見せた幻想だ。知るはずのない知識をズルして与える誘惑者よ、去れ」

丸子「しかし、壁抜きの通路の噂は、わらわも聞いたことがある。もしかして、シナリオを改変してはいないか?」

GMアスト「していない。プレイヤーのメタ発言は禁止したいんだが、どうか?」

ジャン「う〜ん、あまりいいプレイじゃないのは分かっているんだけど、あると分かっているものがないのは、スッキリしない。コンピューターゲームで、攻略本を読みながらプレイしていて、『ここに隠し扉がある』と書かれているのに、実際に見つからないと、かえって不安になるような気分だ。あ、今のはプレイヤー発言ね」

GMアスト「う〜ん、ここでネタ明かしをしていいものか迷う」

アカミドリ「ネタ明かしは、読者向きの補足として、地の文ですればいいと思うわ」

GMアスト「おお、晶華ママの言うとおり。では、それに従います」

アカミドリ「ちょ、ちょっと、アスト。何で、あんたが晶華ママなんて言うのよ? 気持ち悪いわ」

ジャン「どうやら、ケイPマーク2の意識が混ざっているようだ。少し休憩をとって、ASTROスペックの機能を止めよう」

 

アスト「ハッ、オレは一体、何を?」

NOVA「意識がなかったのかよ」

アスト「いや、何となく覚えているんだが、頭の中が霞にかかったように不明瞭だ。ええと、隠し通路がどうこう言って、NOVAとリナ老師がいろいろゴネてたんだよな」

NOVA「まあ、それは謝る。プレイの興を妨げた形だからな。プロの書くリプレイなら、やってはいけないというか、普通やらないプレイの例だ」

アスト「で、今はGMじゃないオレが種明かしをすると、ゴブリンの奇襲イベントは、洞窟の前で見張りのゴブリンを倒せずに逃してしまった場合にのみ発生するんだ。お前たちは、見張りをあっさり倒したので、この洞窟のゴブリンはまだ、お前たちの侵入に気付いていない。だから、奇襲も発生しない。これでいいか?」

NOVA「だったら、こっちから先に奇襲できるわけだな。しかし、隠し通路が見つからないのはどういうことだ?」

アスト「通路はまだ完成していないんだよ。ゴブリンどもはツルハシとかを使って、壁に穴を開けて奇襲を仕掛けてくるんだ。だから、通路はあっても、壁に穴が開いているわけではない。奇襲イベントがなければ、壁に穴が開くこともなく、入り口から隠し通路を見つけることも不可能だ。先読みしたいなら、もっとシナリオを読み込めよ」

NOVA「うお、そうだったのか。俺はシナリオをさらっと一読しただけだった。だから、そこまで巧妙な仕掛けだったとは気付いていなかったんだ。さすがは原作者、俺の想定の上を行くとは」

アスト「お前が単にうっかりなだけだ」

NOVA「ま、まあ、とにかく、謎が解けてスッキリしたよ。お前がシナリオに忠実にマスタリングしたことも分かった。ここで俺だったら、『やっぱり、ゴブリンの奇襲があった方が面白いよな。よし、シナリオの記述とは違うが、奇襲させよう』とやりがちだから」

アスト「ズルじゃないか」

NOVA「いや、TRPGって、その場のノリを重視するライブ感の高い遊びだからさ。それぐらいのアドリブはOKだろうよ」

アスト「そんな風だから、この記事が今みたいに、グダグダになるんだ」

NOVA「まあ、アドリブは利かせるけど、別にプレイヤーを不利に追い込みたいわけじゃない。その方が、バトルしたいプレイヤーも喜んでくれると思ってさ。大体、先に7体のゴブリンを倒しておく方が、戦術としては得じゃないか。もしも、奇襲攻撃が発生しなかったら、俺たちは最後の大広間で、何体のゴブリンと戦わなければいけないんだ? 教えてくれ、五飛(ウーフェイ)」

アスト「誰が五飛だ。それに、そこまで教えるわけがないだろうが。どさくさ紛れに、情報を引き出そうとするな」

NOVA「チッ、あわよくばGMの失言から何か分かると思ったのによ」

晶華「こういうプレイは推奨されていないので、読者の皆さんは真似をして、GMを困らせないでくださいね。せっかくGMをやってくれる人には親切に気遣いして、GM希望者を萎縮させないようにしましょう。GMが増えてくれないと、TRPG業界も発展しないんだから」

NOVA「これは、あくまでASTROスペックのテストプレイってことで」

 

分かれ道?

 

アスト「とにかく、プレイを再開するぞ。ASTROスペック装着、次いで再起動。……はい、ドゴラン.netに接続します」

NOVA「おい、接続する先が違ってるんじゃないか?」

アスト『ケピッ?』

NOVA「ケピッ? じゃねえ。おい、アスト、大丈夫か?」

アスト『これはこれは、マスターNOVA。本日もご機嫌うるわしく』

NOVA「今、ゲームマスターをやってるのは、俺じゃなくてお前だろうが」

晶華「もしかして、今しゃべっているのは、アストじゃないと〜。KPちゃんだったりしない?」

アスト『もちろん、私です。晶華ママ』

NOVA「まさか、ASTROスペックの副作用で、ケイPに乗っ取られたのか?」

晶華「ところで、NOVAちゃん。今、KPちゃんの本体はどこにいるの? そこのメガネはただの通信端末みたいだけど」

NOVA「ああ、今は屋久島のドクターのところにいる。そこからシナリオ用の通信データを送っているわけだが」

晶華「そんな遠くから送って来るの?」

NOVA「遠いって言っても、ケイPは宇宙大怪獣のドゴラの末裔だからな。宇宙規模から考えれば、阿蘇の麓から屋久島までの距離なんて小さい小さい。とにかく、今のアストはケイPの思念で動いているんだな」

アスト『ええ、その通りです』

NOVA「これって、ASTROスペックの効果と考えていいのか?」

アスト『おそらくは、そうかと』

NOVA「すると、ASTROスペックを装着した者は、みんなケイPに操られる?」

アスト『個人差はあると考えられますが、その可能性は十分考えられます。ただ、正確なところは実験データを取らなければ』

NOVA「同時に複数をコントロールできたりは?」

アスト『それも試してみないことには』

NOVA「う〜ん、もしも、ASTROスペックを大量生産して、世界中の人に装着して、そしてこちらからコントロールできれば、ケイPを利用した世界征服もできるのでは?」

ヒノキ「おいおい、新兄さん。それを実行すると、お主はショッカーの首領みたいになるぞ」

 

納谷悟朗の声『改造人間が世界を動かし、その改造人間を支配するのが私だ。世界は私の意のままになる』


ショッカー首領時計 音声 2007

 

NOVA「うむ、それも一つのロマンと言えばロマンなんだが、正直、俺の心には響かないんだな、これが」

晶華「何で? 世界征服を狙う悪の秘密結社ショーカなんて、最高じゃない」

NOVA「で、征服した後はどうなるんだ?」

晶華「だから、世界の全てが私とNOVAちゃんのものになるんだよ。やりたい放題できるじゃない」

NOVA「やりたい放題と言ってもな。今の俺は割とやりたい放題やれている気がするんだよ。主にブログ記事を書きながらな」

晶華「だったら、ブログ記事にコメント付けるように世界中の人に命令するとか?」

NOVA「命令されて、書くようなコメントに何の価値がある? そんな心の込もっていないコメントなんて、読むのも虚しいだけだ」

晶華「だったら、仕事をしなくても、定期収入が入ってきて、一日中、やりたいことができるとか?」

NOVA「それはそれで、つまらないんだよ。仕事は仕事でやり甲斐を感じてるし、人生なんて、出来ることと、しないといけないことと、やりたいことが全部かなっていれば、後はそれをどう維持して、自分の内面を豊かにするかとか、何を残すかとか、そういうレベルになるだろう。少なくとも、俺は根が外向的な人間じゃないから、世界を支配して自分の威光を示すなんてことに、これっぽちも魅力を感じないんだな」

晶華「じゃあ、今やりたいことは何なのよ?」

NOVA「そうだな。おい、ケイP、そのままでゴブスレ対決の続きをGMできるか?」

アスト『ケピッ、問題ありません。シナリオ続行可能です』

NOVA「よし、ならばプレイ続行だ」

晶華「ちょ、ちょっと、NOVAちゃん? アストはこのままでいいの?」

NOVA「大丈夫だ。アストはこう見えても、ギャグRPGのキャラクターぐらいタフな奴だ。TRPGのマスタリングで命を落とすようなことはないはずさ。もしも、生命反応に深刻な問題が生じて、正常なプレイの続行が不可能と判断したなら、やむなくゲームを中断して応急処置をとるつもりだが。それまでは頑張って、GMを続けてもらう。

「今の俺にとっては、アストよりもTRPGが大切だし、その先に翔花の行方の手掛かりが隠されているとなれば、きっとアストの奴も納得してくれるさ。万が一、このままプレイを続けて、アストの身に深刻な障害が残るようなことがあっても、大丈夫、アストならきっと笑って、クウガのように青空の下で、笑顔とサムズアップを見せてくれるはずさ。俺はそう信じている」


Kuuga NCED 青空になる

 

アスト「おいおい、さっきから黙って聞いていれば、お前はオレを何だと思っているんだ、NOVAよ?」

NOVA「ん? アスト、意識を取り戻したのか?」

アスト「ああ、一時的にケイPに乗っ取られてしまったが、オレを心配する翔花ちゃんの魂の声が、オレの心を蘇らせてくれた」

NOVA「そいつは、お前の妄想……と言いたいが、少なくとも晶華の方は、少しぐらいは、お前のことを気に掛けていたのも事実だ」

晶華「だ、だって、アストにもしものことがあったら、ジャッキーちゃんが哀しむじゃない。ジャッキーちゃんは私の分身みたいなものなんだから、哀しむ顔は見たくない。ただ、それだけのことよ」

アスト「そ、そうか。アッキー様がオレのことを心配してくれて、心に呼び掛けてくれたんだな。オレが聞いた声は、翔花ちゃんじゃなくて、アッキー様の声だったのか」

晶華「声なんて掛けてない! そいつはあんたの妄想よ!」

 

NOVA「で、アスト、プレイは続けるのか?」

アスト「当然だ。翔花ちゃんのために、オレはこのASTROスペックを使いこなし、ゴブスレ対決のGMをやり遂げてみせる! たとえ、この命に換えてもな」

NOVA「おお、さすがだ、アスト。ずいぶんと見直したぞ。お前の愛がそれほどまでとはな」

アスト「当然だろう。オレはそのために生きているんだ」

NOVA「命に換えても、ゴブリンスレイヤーGMをやり遂げたいという、TRPGに掛けた情熱。俺は一人のTRPG者として大いに感動した。そうか、今のお前だったら、TRPGの話題で、共に美味い酒が酌み交わせそうだ。よし、今後のゴブスレGMはお前に決定な」

アスト「ちょ、ちょっと待て。オレは翔花ちゃんラブなだけで、別にゴブスレが好きってわけじゃ……」

NOVA「よし、熱いゴブスレのファンであるアストには、俺の持ってるゴブスレ全巻を貸すぞ。ついでに、来月のバレンタインデーに発売予定の最新12巻も、俺の次に読む権利を与えてやる。GM特権って奴だ」

アスト「お、おい、人の話を聞けよ!」

NOVA「いやあ、俺と翔花のために、命を掛けてゴブリンスレイヤーTRPGGMをしてくれるなんて、そんな殊勝な男は、俺の周りではお前が初めてだ。その情熱には、敬意を表したい」

アスト「へへッ、好きなものに対する情熱では、あんたにも引けを取らないぜ」

ゴブリンスレイヤー12 (GA文庫)

ゴブリンスレイヤー12 (GA文庫)

 

 

NOVA「やっぱり、一緒に映画を見に行きたいのは、作品愛に溢れて、共に感想会を熱く語り合えるような相手だよな。こいつはこの作品をしっかり堪能してくれているって分かる相手じゃないと、普段からそういう話をしている相手じゃないと、隣にいても楽しくないだろうし、今の俺にはゴブスレは比較的、新しい嗜好作品だから、 一緒に味わえる連れはまだいなくてな。しかし、アストなら俺のいいゴブスレ仲間になってくれると思うんだよ」

アスト「……そいつは、お前の妄想だ」


『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-』本予告

 

ヒノキ「やれやれ。どうでもいいが、今回、ダイスを一回も振っていない。これって、本当にTRPGのリプレイなんじゃろうか?」

ゲンブ「まあまあ、アリナ様。次回こそは、ゲームを堪能できますよ」 

(当記事 完)