花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

2019Xマス3部作(その1・接触編)

アリナVSアスト

 

ヒノキ「さて、新兄さんも、アッキーも、ゲンブもいなくなって、ここにはわらわとお前さんだけじゃ。そろそろ、動き出してはどうかの? 悪霊サンタよ」

GMアスト「いや、ですからXマスの時期は、悪霊を休業して聖闘士(サンタ)に専念するって言ったじゃないですか」

ヒノキ「しかし、Xマスはリュウソウジャーが守ったし、悪霊サンタ、すなわちサタンがそろそろ目覚めようとしているのではないか、と思ってな」


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GMアスト「だけど、春に戦隊に倒された究極大サタンがドルイドンの悪夢マイナソーに着ぐるみ改造されて登場するのは、来年の1月5日ですから。Xマスには、サタンの降臨はありません」

ヒノキ「だが、お前さんが背後から、わらわの隙を窺おうと時折見せる殺気が気になってのう。わざと隙を見せて、お前さんの攻撃を誘おうかとも思っておったが、それよりはお前さんの真意を確かめたい」

GMアスト「オレの真意ですか。簡単です。Xマスを成功させて、その後のゴブスレ対決で、令和NOVAを倒し、新たに珠保の時代を構築し、花粉症ガールの全てを我が手につかむこと。それ以上に、どんな思惑があると言うのですか?」

ヒノキ「表に出ているアストは、そうであろう。だが、その裏に潜む珠保NOVA、粉杉ノヴァ彦とやらは、さらに秘めたる野心があるのではないか?」

GMアスト改めノヴァスト「ほう。そこまで穿った物の見方をするとは、日野木アリナ、侮れんな」

ヒノキ「一つ聞きたい。お前さんが令和NOVA、新兄さんの異世界の分体であることは真実なのか?」

ノヴァスト「今さら何を言うかと思えば。そう、わしは花粉症ガール、粉杉翔花の父、粉杉ノヴァ彦だった男だ。幻と消えた『花粉ライターJUHO』の物語の登場人物で、本来なら続編でもJUHOを支援する守護霊として登場予定だったのだが、撮影時の事故で帰らぬ人になってしまい、JUHOの企画は頓挫した。その無念を晴らして、JUHOを再誕させるのが、わしの使命」

ヒノキ「ならば、コナっちゃん、粉杉翔花に会ったとき、お前さんは何をするつもりじゃ?」

ノヴァスト「もちろん、娘との再会を喜び、この手で抱きしめ、二度と離さないと熱く囁き、共に新たな時代を構築することを固く誓うであろう。そのためには、令和NOVAが邪魔なのだ。奴がいれば、娘は令和と珠保の間で迷い、新時代へと踏み出すことができぬであろうからな。さて、ここまで聞いて、日野木アリナよ、お前ならどうする? お前はNOVAと魂の契約を果たしていないがゆえ、我が支配の呪力は通用せん」

ヒノキ「ああ、確かにわらわの魂の契約相手は、新兄さんではなくて、絵師のサブロー殿じゃからな。このコンパーニュ一党には、珠保NOVAの支配力は通用しない。それゆえ、今年のXマスパーティーはここで行うことに決めたようじゃな、新兄さんは。コナっちゃんとアッキー、それにケイPたちがお前さんに手出しできない状況では、中立のホスト役が求められておる」

ノヴァスト「逆に言えば、お前さえ手中に収めれば、我が大願が成就することもたやすい。我が物となれい、日野木アリナよ。そうすれば、新時代でもそなたの居場所を作ってやろう」

ヒノキ「わらわの居場所はわらわが決める。悪霊ごときの誘惑には乗らん」

ノヴァスト「ならば、力づくでもそうしてやろう。このスピードAのスピード、見極められるなら見極めてみろ!」

 

 そして、閃光が走った。

 

赤と白のスピード対決

 

ノヴァスト「キュー」

ヒノキ「ふっ。この神霊たる日野木アリナ、貴様ごとき小悪霊にどうこうできるものではないわ」

ノヴァスト「バカな。わしの知る情報では、こ奴の力量はダイアナ・ジャックに匹敵すると聞く。逆に言えば、ダイアナ・ジャックよりも力を持っているわしならば、正面からぶつかって勝てぬはずがないのに」

ヒノキ「勘違いしているようだから言っておく。わらわと正面からぶつかって勝てる相手は、わらわの知る限り、セイリュウか、ゲンブか 、ダン隊長のみ。もしかすると、近年、力を付けてきたゼロ殿もわらわを倒せるかもしれぬが、少なくとも、新兄さんの悪霊ごときにわらわを倒すだけの力などない」

ノヴァスト「ならば何故、貴様は令和NOVAに従うのだ? どうして、ダイアナ・ジャックに苦戦した?」

ヒノキ「知れたこと。それは単に相性の問題じゃよ。武芸とか力量とか関係なしに、わらわは新兄さんのクリエイティブな妄想力に惚れ込んでおる。この男と話していれば、楽しいし、ポジティブな気分になれる。しかも、新兄さんはわらわに敬意を見せてくれるし、互いにWinWinの関係を保てるからな。それに、新兄さんは管理はするが、人を縛りつける支配は望まない。そこが悪霊の妄執とは違うところ。

「ダイアナ・ジャックに関しては、彼奴は決してわらわと正面から構えようとはしなかった。虚言と挑発でわらわを翻弄したが、自分からは攻撃せずに幻惑と回避に専念したゆえ、わらわが攻撃を当てることができなかった。ただ、それだけのことよ」

ノヴァスト「くっ。しかしスピードAのスピードなら、お前を圧倒できると踏んだのだが」

ヒノキ「確かに、並みの相手なら通用する速度じゃったな。しかし、お前さんはスピード以上に、殺気とか欲望とか邪心を発散し過ぎる。その気の流れを読み、到達する先を感じ取ることができれば、そこにカウンターを入れることなど造作もない。もっと無念無想の境地に至らねば、その拳がわらわに到達することなどないと知れ」

ノヴァスト「無念無想の境地。そんな物を習得していれば、悪霊などにはならん」

ヒノキ「そうであろうな。さらに言うなれば、新兄さんのイメージカラーは白。しかし、お前さん、スピードAの色は赤。ならば、同じ赤をまとう者として、わらわはお前さんに負けるわけにはいかぬ。赤と炎と空は、わらわの象徴であるゆえ、それは誇りにも通じる。スピードA、お前にそれだけの誇りを持つ属性はあるのか?」

ノヴァスト「くっ、オレの誇りは、翔花ちゃんへの愛と、スピードだ!」

ヒノキ「スピードか。ならば、シロ、出番じゃぞ」

 

シロ「先ほど、新星さまの塔から戻りましたが、気づかれておりましたか」

ヒノキ「いや。お前の気配は分からなかったが、もう一人いたのでな」

リトル「シロ姉さんみたいに気配を消すなんて、リウにはできないですぅ」

ノヴァスト「ほう、雑魚が増えたか。ならば……」

シロ「くっ、ここにも悪霊か」

ノヴァスト「神霊たる日野木アリナには、悪霊の力も届かんが、お前たち二人ならば」

シロ「リトルを悪霊の餌食にはさせん!(リトルを庇うように抱きかかえる)」

リトル「シロ姉さん、リウを庇って……」

 

 その時、リウの持つ勾玉ブルーソウルが輝きを発した。

 

セイリュウ『やれやれ。スペースGを倒したと思ったら、また違う悪霊か。おちおち寝てもいられんわい』

 

ノヴァスト「な、何だ。この青い光は? 全てを圧する強烈な思念は? このような攻撃的な小宇宙(コスモ)は今まで感じたことがない」

 

セイリュウ『何だ、貴様? わしの息子と弟子に何をする気だ?』

 

ノヴァスト「こ、これは伝説の怪獣王の思念だと? こんな恐ろしい物に守られているとあっては、コンパーニュを悪霊パワーで支配下に置くことは不可能。まさに、神聖不可侵な神獣域」

ヒノキ「何しろ、ゴジラは今や星座にまでなっておるからのう。そのうち、ゴジラ座の聖闘士が爆誕するやもしれん」

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シロ「アリナ様。この悪霊はどうすればよろしいのでしょうか?」

ヒノキ「こんな奴でも、今はGMをしているからな。消滅させて、ゴブスレ対決記事を台無しにするわけにもいかん。ならば、Xマス前の準備もあるし、このコンパーニュの役に立たせて、邪念を祓うようにすればよかろう」

シロ「……と、おっしゃいますと?」

ヒノキ「おい、スピードA、お前さんはスピード自慢じゃったな? ならば、うちのシロとどちらが速いか勝負と行こうではないか」

ノヴァスト「このオレにスピード勝負だと? 翔花ちゃんへの愛と、スピードで、このアストの右に出る者はいない!」

シロ「! お前が翔花の言っていた変態ストーカーのアストか! だったら、翔花のパートナーである、このボクが叩きのめしてやる!」

ノヴァスト「お前が、翔花ちゃんのパートナーだと? ならば、このオレが叩きのめして、その座は奪いとってみせる!」

リトル「凄い! 白い獣霊気と赤い邪霊気がバチバチ火花を上げている!」

ヒノキ「よし、今から二人で競って、コンパーニュの塔を雑巾で拭き掃除じゃ。パーティー会場に使うならば、綺麗にせねばの」

 

大掃除タイム

 


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GMアスト「どうして、このオレが雑巾ダッシュなどに励まねばならんのだ?」

ヒノキ「忘れたとは言わさんぞ。お前さんは、この神域たる塔に唾を吐いて穢した。ならば、その罪を償うための奉仕をするのは当然の道理。自身の罪業消滅の機会を与えられたと思うがいい」

GMアスト「うう、罪業消滅.netに接続します」

シロ「雑巾掛けは、忍びの修行の基本だ」


雑巾掛けは日本人の心です‼︎

ヒノキ「では、できるだけ多くの面積をきれいにした方が、この勝負を制するものとする」

GMアスト「うう、スピードAの名に掛けて、この勝負、決して負けられん。勝って、翔花ちゃんのパートナーの地位を勝ち取ってみせるのだ」

シロ「お前のようなストーカーAの魔の手から、翔花を守るのがボクの使命。忍びとして長年修行してきた、ボクの雑巾ダッシュをナメるな」

GMアスト「甘いな。生身でいくら修行しようと、未来世界でスピード特化型に改造されたオレには及ぶまい。今こそ赤い彗星モード起動」

リトル「え、アストさんの全身が赤く発光した? これは一体?」

ヒノキ「赤い彗星とは通常の3倍のスピードを誇る名じゃ。それを発動するとは、こやつ意外とできるのう」


赤い彗星

シロ「何て加速力だ。ならば、こちらは、忍びの奥義、疾風迅雷発動! 風よ、光よ、忍法獅子変化!」


Kaiketsu Lion-Maru - Kaze Yo! Hikari Yo!

白虎「プリンスシーサー、白虎降臨! 行くぜ行くぜ行くぜ、覚醒したオレサマパワーでコンパーニュの隅から隅まで、綺麗にしてみせる! うぉーーーッ」

リトル「あっと、シロ姉さんがシロ兄さんに変わった。猛烈なスピードで追い上げていくぅ」

ヒノキ「ムッ。獅子変化と言いつつ、虎になるとは、何たる詭道。これも忍者というものか。きたない、さすが忍者きたない」

アスト「それなら、これだ! V-MAXレッドパワー!」


ace ザカール 1

白虎「バカな。さらに加速しただと? このオレサマがスピード勝負に負ける?」

ヒノキ「ふむ。単純なスピード対決では、シロよりもアストの方が上か。腐っても、スピードAの名は伊達じゃないと言ったところじゃな」

リトル「アリナ様、シロ兄さんが負けると言うの?」

ヒノキ「うむ。直線距離の単純な加速力では、明確なスペック差があるようじゃ。この事実は潔く認めねばなるまい。その上で、己の長所を見出だし、そこに勝機を見出す。これができてこそ、戦巧者というものよ」

リトル「シロ兄さんの長所とは一体?」

ヒノキ「それは、スピードだけではない、変幻自在の機動性。繊細かつ細やかな動きの末に体得した奥義じゃよ」

白虎「スピードでは勝てない。だが、オレサマにはこれがある!」


スパロボOG MD 虎龍王[タイラントオーバーブレイク]

リトル「シロ兄さんが分身した!?」

ヒノキ「そう、忍びの奥義とされている分身の術。これは単なるスピードや加速力だけではない、自分の内なる気を周囲と調和させる合気を要するもの。自身の影を現身の如く周囲に映し出し、かつ本体と同程度の気を発散させることで、相手を幻惑する。そのためには自身の内面を見据え、外界と折り合わせる内外一如の境地に至る必要がある。つまり、改造されたスペックだけでは到達できない精神力の賜物ということじゃよ」

リトル「つまり、どういうことですか?」

ヒノキ「シロは自分一人のスピードではなく、周囲をいち早く清めるために、数の力で対応しようとしているのじゃよ。この勝負の要諦は、いかに多くの面積を拭き清めるか。相手が自分のスピードの倍で拭くとなれば、自分はどうすれば勝てる?」

リトル「スピードで劣っていても、自分が3人いれば、より多くの面積を掃除できますね」

ヒノキ「もちろん、分身の術は心身ともに負担が大きく、先の見えない戦いでは持久性に難が生じる。また、気を分散させている以上、集中した攻撃よりも威力が減退して、相手にろくなダメージを与えられないことも有り得る。だが、先の見える掃除、破壊力とは関係ない掃除という局面では、有効な技と言えよう」

 

そして、掃除は終わった

 

ヒノキ「この勝負、シロの勝ちじゃ」

GMアスト「ズルいぞ。1対1のスピード対決なら、オレの方が勝っていた。それをスピードで勝てないからと言って、数を増やして掛かるなんて、卑怯者のすることだ!」

ヒノキ「アストよ。お前は、事の本質が見えてない」

GMアスト「本質だと?」

ヒノキ「この勝負の目的は何にあると思う?」

GMアスト「そりゃ、オレが翔花ちゃんのパートナーになるためにだな」

ヒノキ「違う違う。お前さんの使命は、Xマスのために準備をすることじゃ。みんながハッピーなパーティーを迎えるためにの。そのために、お前とシロを競わせて、コンパーニュを綺麗にしてもらおうと思ったのじゃが、お前さんはスピードを意識する余り、綺麗に拭けているかどうかは、ほとんど気にしておらんかった。お前さんの掃除の仕方は雑そのものじゃ」

GMアスト「どこが雑だって? コンパーニュの廊下はピカピカじゃないか」

ヒノキ「それはの。お前さんが拭き逃した汚れを、後から追いかけるシロが丁寧に拭きとっていたからじゃよ。つまり、シロはお前さんとの競走に励みつつ、お前さんの尻拭いも同時にしていたのじゃ。これも、コンパーニュを綺麗にするという目的、事の本質を見失わなかったが故の配慮というものよ」

GMアスト「そ、そうか。オレは翔花ちゃんのことしか見えていなかった。しかし、周囲の事物に対する細やかな配慮、これこそがオレに欠けていたことだったんだな、リナ老師!」

ヒノキ「お前が老師と呼ぶな!」

GMアスト「いや、そう呼ばせて欲しい。アッキー様にとっての老師なら、オレにとっても老師と同じだ。Xマスをより良くするために、修行不足だったオレの迷妄を晴らせてくれたんだからな。よし、己の未熟さを悟ったオレは、さらなる修行のための旅に出る。帰ってきたら、より立派なXマスを演出できるオレになっているだろう。では、さらば」

ヒノキ「どこに行く気じゃ! Xマスの準備はまだ終わっておらん。お前さんの仕事はまだまだいっぱいある。Xマスの準備を放ったらかしにして、修行の旅など本末転倒。今、ここで、精進に励むのがお前さんの使命じゃよ」

GMアスト「トホホ。まだまだ、こき使われるのかよ」

ヒノキ「Xマスの時期には、サンタが忙しく駆け回るのが当然じゃからな」

(当記事 完)