ついにゲット
ヒノキ「おい、アッキー。喜ぶがいい。新兄さんから贈り物じゃ」
晶華「え、もしかして?」
晶華「わあい。夢みたい。カモノハシみたい」
ヒノキ「カモノハシ? 何じゃ、それは?」
晶華「NOVAちゃんが言ってたの。娘が父親の活躍を見て喜んでいるときは、そう言うのが剣劇人のマナーだって」
ヒノキ「何を教えておるのじゃ、新兄さんは」
晶華「それにしても、さすがはデンライナーね。入手困難な本を未来から手に入れて来るなんて」
ヒノキ「いや、よく見ろ。この本は重版ではなく、8月1日の初版本じゃ」
晶華「え? だったら、過去から手に入れて来たの?」
ヒノキ「いや、そんな裏技を使わずとも、単に電車で大都市の書店まで行って、売れ残っている本を見つけて来たのじゃろう。暑い中、ご苦労なことであった」
晶華「うん、じゃあ、早速、読もうっと」
ヒノキ「ちょっと待て。わらわもすぐに読みたい」
晶華「ええ? この本はNOVAちゃんが、私に贈って来たものよ。当然、私が先に読むべきよ」
ヒノキ「お主宛とは記されておらん。このコンパーニュの塔に送られて来たのじゃから、当然、塔主であるわらわが先に読む権利があるのが道理」
晶華「そうはいかないわ。ロードスの新刊は私が先に読む。そのためなら、リナ老師とだって戦ってやるわ」
ヒノキ「ほう。未熟者がわらわに挑むか? 面白い。その勝負、受けて立つ」
晶華「ああ。だけど、私たちが本気で戦えば、ロードスの新刊が魔法の劫火で焼かれてしまうかもしれないわ」
ヒノキ「むっ。確かにの。ならば、ここは一発、ダイス目勝負と行こうではないか。互いに2Dを振り合って、大きい目を出した方が先に読む」
晶華「そうね。TRPGゲーマーなら、それが正解ね。ならば、私が先に(コロコロ)9よ」
ヒノキ「ちっ、なかなかやるな。だが、わらわにも、まだ勝機はある。行くぞ、南郷流ダイス投擲術! ハッ(コロコロ)9じゃ」
晶華「まさか、引き分けるなんて。ならば、もう一度よ。私もNOVAちゃん譲りの気合・幸運・集中の精神コマンドを駆使して(コロコロ)10キター」
ヒノキ「何と! 南郷流が新星流に負けるわけにはいかん。ダイスに念を込めて、うおーーーー(コロコロ)5。ダメじゃ、負けた(がっかり)」
晶華「フフフ。天は私に味方したようね。わ〜い、ロードスだ〜。まずは目次から。プロローグではパーンさんやカシュー王も登場するのね。第1章はマーモの継承者。第2章はフレイムの進撃。第3章はカノンの内乱。そしてエピローグ。アラニア、ヴァリス、モスが章題に挙がるのは2巻みたい。それと、外伝・光と闇の境界も収録されている。これは、前に雑誌掲載されたスパークさんの物語ね。あ、それとスパークさんの治めるマーモは、以前はフレイム王国の属領だったから公国と呼ばれていたけど、本作ではフレイムがマーモの独立を認めた後の話なので、マーモ王国と呼ぶのが正解みたい。今後は、間違えないようにしないと」
ヒノキ「暗黒皇帝ベルドが統一してから、アシュラムたちが活動していた時期がマーモ帝国。アシュラムがクリスタニアに渡ってからは、フレイム属領となってスパークが領主となっておったのがマーモ公国。それに抵抗していた旧マーモ勢力が名乗ったのが新生マーモ帝国。そして、マーモ公国がフレイムからの独立を果たした後の新刊物語がマーモ王国か。国の呼称が変わるとは、いかにも歴史が動いたって感じがするのう」
晶華「それと、誓約の宝冠って、1巻・灰色の魔女、2巻・炎の魔神といった感じの巻ごとのサブタイトルだと思っていたけど、正確には誓約の宝冠というシリーズ名みたいね。だから、次巻は誓約の宝冠2巻になるのか」
ヒノキ「余談はいいから、さっさと読んで、わらわに譲るのじゃ」
晶華「急かさないでよ。私はじっくり100年後のロードスの世界に浸りたいんだから。あ、先に外伝から読む方がいいのかな。時間軸も発表順も、そっちの方が早いんだし。わ〜い、読みたかった本が読めるなんてハッピーだよ〜」
(当記事 完)