今回は神さまの話
NOVA「今回はロードス職業話の続きをするぞ。これまでは騎士、戦士、盗賊、精霊使いと順に話してきたが、いちいち記事にリンクを張るのも手間なので、昔の記事を読みたい人は『ロードス島』カテゴリータグを利用して欲しい」
ヒノキ「さて、残すところは司祭と魔術師じゃったが、確か司祭はわらわの担当で、魔術師はアッキーの担当だったはず」
晶華「ええ? 魔術師はNOVAちゃんが代わりに解説するって言ってたよ」
NOVA「その通り。そして、せっかくなので、司祭もこの際、俺が引き受けたいと思う」
ヒノキ「何と。神霊であるわらわを差し置いて、新兄さんが司祭の話をすると言うのか?」
NOVA「一応、俺もゴブリンスレイヤー妄想リプレイで、知識神の神官戦士、学術騎士とか救世主とも呼ばれるジャン・ボーグナインの担当なんだから、神さまの話をしてもいいと思うんですよ」
ヒノキ「ふむ。それでは、知識神官の伝説的な講義を拝聴しようとするかの。わらわはサポートに回るとしよう」
NOVA「ところで、司祭(プリースト)の話をするなら当然、神さまの説明もしないといけないんだが、ロードスの神さまは初代ソード・ワールドの神さまと共通なので、すでに記事書きしていたりする」
ヒノキ「うむ。この記事じゃな」
NOVA「そこから、フォーセリアの神のリストと簡単な説明を抜粋します」
フォーセリアの神々
★六大神
1.至高神ファリス:正義と秩序を司る光の神の王。王侯貴族がもっぱらの信者で、ヴァリスやアノスといった国では国教と認定して、聖王国を称している。
2.戦神マイリー:名誉ある戦いと勝利を推奨する神。騎士や傭兵が主に信仰する。
3.知識神ラーダ:学問や知識、賢明さを推奨する神。魔術師や賢者、研究者が主に信仰する。
4.商業神チャ・ザ:商業や人々の交流、幸運を司る神。商人や、ささやかな幸運を願う一般市民に人気が高い。
5.大地母神マーファ:自然を司り、農耕や猟を奨励。さらに豊穣の意味合いで結婚の守護神でもある。農夫や猟師、地方の村人に人気が高い。
6.暗黒神ファラリス:ファリスと対立する邪神の代表格。自由の名の下に、欲望を肯定し、法による秩序を否定する。犯罪者やならず者に信者が多く、ロードスでは暗黒の島マーモが、アレクラスト大陸では混沌の国ファンドリアが国教としており、蛮族や犯罪者の社会を現出している。
★他の神々
7.月の神フェネス:太陽を司るファリスの弟神で、中立神の王として、クリスタニアの地に渡る。そこで神獣の世界を構築し、自らは銀狼の姿となる。アレクラストでは信者が少ない。
8.芸術神ヴェーナー:芸術や詩、物語を司り、歴史や運命にも関与する。吟遊詩人の神でもあり、芸事や娯楽を好む庶民に愛されている。
9.盗賊神ガネード:手先の器用さやギャンブル的な幸運を司る。元は匠の神であり、技術を重んじる職人の神でもあるが、悪名のために公然と信仰する者は少ない。表立ってはチャ・ザを信仰しながら、こっそりガネードにも成功を祈るケースも。
10.鍛冶神ブラキ:ドワーフの主神。フォーセリアの他の異種族であるエルフやグラスランナーは神を信仰しない(ルール的にはプリーストになれない)ため、人間以外にはドワーフのみが神を崇める。人間の中では、鍜治屋や鉱夫といった金属関係の職種の者に信者が見られる。
11.名もなき狂気の神:邪神の一柱。正体不明で理解不能。常識外の行動を推奨し、妄想や幻想を常態と考え、突飛な考え、新奇なアイデアをもたらすとも。戯言を繰り返す狂人まがいの人間を称して、「名もなき狂気の神に取り憑かれた」と冗談的に揶揄することも(ゲーム内外問わず)。自分がそうだと自覚している信者は少ないが、「何だかよく分からないけど、神の声を聞いた」と妄想に駆られるケースも。真の啓示なら、大抵は神の名前もはっきりするはずなので。
12.破壊神カーディス:邪神の一柱。不死者の神でもあり、大地母神マーファの不倶戴天の敵。ロードス島の神話に大きく根差し、表立って行動するファラリス信者の陰で、いろいろと暗躍している。暗黒の島マーモは、破壊神カーディスの亡骸が眠る地で、カーディス復活を軸とするドラマが、ロードスの終盤のクライマックスになる。
13.死の海の神ミルリーフ:邪神の一柱。海の亡者の神で、コンピューターゲーム版ソード・ワールドや、原作小説『死せる神の島』に登場するボスキャラ。海洋冒険限定のマイナーなローカル神だけど、バイオハザード並みのゾンビわらわら状態を現出したため、インパクトは大きい。
ヒノキ「以上は、昔のソード・ワールド完全版ルールブックに掲載されていた神々じゃの」
NOVA「ええ。その本は、90年代末期のフォーセリア集大成的な大著でした。これとソード・ワールド版ロードス島ワールドガイドは、今でも俺のエピックトレジャリーみたいなものです」
ロードス島ワールドガイド―ソード・ワールドRPGワールドガイド
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ヒノキ「感慨にふけるのも結構じゃが、今の話を続けてもらおうか」
NOVA「ええ。まずは手っ取り早く、司祭の上級職の話から」
司祭の上級職
NOVA「これは簡単で、文庫版ルールも新版でもまったく変わっていません。大司祭(ハイプリースト)、癒し手(マスターヒーラー)、神官戦士(プリーストウォリアー)の3つの上級職がありますね」
晶華「順に、神聖魔法の達人、回復のエキスパート、戦闘重視ってところね。名前だけでも、分かりやすいわ」
NOVA「意外と、癒し手も打たれ強いんだよな。神官戦士が武器や防具に身を固めて攻防バランスが取れているのに対し、癒し手は防御と抵抗力に特化して、自身と仲間両方の生存性を重視している。自分も積極的に殴りたいなら神官戦士で、とにかく死なない、死なせないって方向なら癒し手、神聖魔法をバンバン使いたいなら大司祭って選択肢だ」
晶華「主要キャラなら、エトさんがファリスの大司祭、レイリアさんがマーファの神官戦士、大ニースさんと小ニースさんがマーファの大司祭、シャリーさんと師匠のホッブさんとグリーバスさんがマイリーの神官戦士になるのね」
ヒノキ「あとは、フラウスがファリスの神官戦士か。癒し手は誰かいないかのう」
NOVA「高山リプレイでは、オーディアさんがファリスの癒し手でした」
ヒノキ「それにしても、ロードスではチャ・ザやラーダがあまり目立たんのう」
NOVA「平和な時代の日常生活を描くなら、交易神や知識神にも需要があるのでしょうが、戦乱の時代を描くロードスだと、キャラとして扱いにくいのかな。一応、スレイン師がラーダの信徒ではありますが」
晶華「たぶん、TRPGをプレイするのなら、ラーダ神殿とかチャ・ザ神殿って結構な情報源になると思うの。シティ・アドベンチャーとかだったら、活躍するんじゃない?」
NOVA「あまり、パーン達ってシティ・アドベンチャーのイメージがないよな。各地を転戦したり、レジスタンスで戦ったり。おまけに隠居したら森に引きこもったし、あまり街で羽を伸ばしている印象がない」
ヒノキ「ライデンの街だとチャ・ザ信仰が盛んだろうし、ラーダは……アラニアかの。賢者の学院もあったほどだし」
特殊神聖魔法の話
NOVA「司祭キャラって、信仰する神によって、ロールプレイの方針とか、役回りがいろいろ変わってくるのがTRPGの醍醐味だと思う」
ヒノキ「確かに、コンピューターゲームだと回復魔法の使える重要キャラ以上の個性はあまり描かれないが、もしもパーティーに司祭キャラが2人いると、宗教談義が起こったりするのも醍醐味じゃのう。原作小説でも、マーファ神官のレイリアと、マイリー神官のシャリーの間で、戦いの意義に関する話をするシーンがあって、師匠が敵側についたシャリーの悩みをレイリアが受け止めるシーンが結構、印象的じゃった。プリーストも神を信仰しつつ、生きた人間として信仰の理想と現実にどう折り合いをつけて納得するかが描かれると、味わい深いと思う次第。ところで、新兄さんはコナっちゃんが神霊に祭り上げられることについては、どう思っておるのじゃ?」
NOVA「何? 翔花が神霊に、ですと?」
晶華「お姉ちゃんが神さまに? まさか……」
ヒノキ「どうも、大地母神のガイア様はコナっちゃんを屋久島守護の後継者に任じようとしているようなのじゃ」
NOVA「神霊になったら……どうなるんですか?」
ヒノキ「自分の担当する土地に縛られて、そこから滅多に外には出て行けなくなる。わらわのようにな」
NOVA「つまり、翔花が屋久島の守護の任を引き受けたら、屋久島から帰って来れなくなると言うことですか?」
ヒノキ「それを承知で、屋久島に送り出した……ということではなさそうじゃな」
NOVA「いや、そんなつもりはありません。俺はただ、ガイア様からの夢交信を受けて、娘の精霊としての力が必要だから派遣してくれ、としか言われてなくて……モスラの力とか、娘の修行のためとか、少しは親離れも必要かな、とか、そういうことは思ったりしたけど、まさか、屋久島から帰って来れないなんて、考えてもいなかった」
ヒノキ「ならば、覚悟を決めておいた方がいいかもな。大いなる力には大いなる責任が伴うことは、新兄さんもよくよく承知のことじゃろう。神が後継者に望めば、娘を差し出すぐらい……」
NOVA「翔花はまだ1歳なんだぞ。きちんと成長して、道理をわきまえた一人前に育ったならともかく、幼子も同然の状態じゃ、持てる力も正しく使えずに暴走してしまうのがオチじゃないか?」
晶華「私もそう思う。NOVAちゃんのいない未来で絶望した私がどうなったか。やっと、そのトラウマも解消されたかもしれないのに、今度はお姉ちゃんがそんな哀しみを背負わないといけないなんて。リナ老師、お願い。お姉ちゃんを助けてあげて」
ヒノキ「うむ。お主たち二人の気持ちは分かった。あとはコナっちゃんの気持ち次第じゃ。屋久島での状況が確定したら、わらわもお主たちに力を貸すことは約束しよう。ところで、父親ではなく、翔花伝の作者としてはどう思っておるのじゃ、新兄さん、いや、White NOVA殿?」
NOVA「メタ発言で突いて来ますか。ヒノキ姐さんには敵わないなあ。ええと、書き手の俺としては、やはり翔花とシロちゃんとケイPマーク2がそろって元気で、戻って来るのがハッピーで望ましいが、いざ戻ってきた場合、みんなの居場所とか役割とか、どうするかがまだ不鮮明だったりする。当面、ここで預かってもらうことも考えたが、ゴブスレ対決もあるしなあ。翔花と晶華の双子の役割分担とか、下手したら、こいつらも一つに融合してしまいそうだし。俺の中では融合がブームになっているからな」
晶華「……私は別にいいよ。お姉ちゃんと一緒になって、私が消えてしまっても、それでNOVAちゃんが幸せになれるなら」
NOVA「そんなので、俺は幸せになれねえよ。翔花1号も、2号の晶華も、どっちも大切な俺の娘だから。どっちかがいなくなるなんて、俺には耐えられそうにない。たとえ、神さまとケンカしてでも、俺は娘を二人とも守ってみせる!」
ヒノキ「……では、覚悟が決まったところで、特殊神聖魔法の話を続けてもらおうかの」
NOVA「って、ちょっと待ってよ。今の話の流れで、そっちに話を戻しますか?」
ヒノキ「うむ。今のは、次の記事につなげるための伏線に過ぎんからの。それとは別に、今回のロードス話はきちんと終わらせないと」
NOVA「……では、翔花の物語は次の記事を期待するとして、今回は神さまに対処するための予習のつもりだな。まず、ロードスRPGでは暗黒神ファラリスを除く五大神のプリーストに、プレイヤーキャラはなれる。そして、今回の新サプリで、新たに二つ、鍛治神ブラキと、芸術神ヴェーナーが加わった。つまり、神格の選択肢が7つになったわけだ」
ヒノキ「各神のプリーストは、基本の神聖魔法以外に、それぞれの神に応じた特殊神聖魔法を使うことができる。だから、欲しい神聖魔法に応じた神を選ぶのも一つのプレイスタイルということじゃな」
NOVA「旧ルールでは、神さまごとに特殊神聖魔法は習得レベルも数もバラバラだったけど、新ルールでは統一されていて、2レベル、3レベル、5レベルで合計3つが与えられる形になった。それを順に見て行こう」
★至高神ファリス
2レベル:コマンド
3レベル:サンシャイン
5レベル:ジハド
NOVA「ファリスが命じる。動くな! と2ラウンド動きを止めるのがコマンドで、亡者に大ダメージを与える太陽光を放つのがサンシャインで、7日間も有効な聖戦発動呪文がジハドと」
晶華「ええと、コマンドってウルトラ念力みたいなものかしら」
NOVA「まあ、集中している間、相手の動きを封じるわけだから、そうなるな。要集中なので、動きを止めている間に自分で殴ることはできないため、『フハハハ、我が術で動けまい。今のうちに好き放題に痛ぶってくれるわ』というプレイは無理なわけだ」
ヒノキ「そういうサディスティックな奴は、ファリス神官とは言えんわ!」
NOVA「『フハハハ、我が術で動けまい。さあ、部下の皆さん、今のうちに好き放題に痛ぶってやりなさい』というファリス神官ならルール上、可能だがな」
ヒノキ「だから、そういうセリフは、ファリス神官には推奨されておらんのじゃ。せめて、『よし、あいつの動きはファリス様が封じてくれた。今のうちに態勢を立て直して、反撃に移るぞ。正義は我にあり!』ぐらいにしておくがいい」
晶華「どちらにしても、ファリス神官って偉そうよね」
ゲンブ「バカモーン!!」
晶華「わわっ、ビックリした〜(涙目)」
ゲンブ「……といった感じに喝を入れたり、雄叫びをあげたりすると、相手が怯えてひるむようなファリス神官というのはどうでござろうか」
晶華「もう、亀おじさん、急に驚かさないでよ」
NOVA「今の声、故・永井一郎さんだったら、ロードスらしい威厳があると言えるよな」
ヒノキ「ロードスという名の島がある、で有名なナレーションの声じゃな」
NOVA「永井一郎さん声のファリス神官だったら、俺も喜んでジハドに参加してしまいそうだ」
晶華「磯野波平さんだったら、サンシャインの魔法も納得できるわね」
NOVA「って、おい。これ以上は、ファリス神官のイメージがおかしな方向に流れそうなので、これぐらいにしておこう」
★戦神マイリー
2レベル:ウエポントランス
3レベル:バトルソング
5レベル:ディバインアーマー
NOVA「武器強化、戦闘力増強、防具強化と、マイリーの呪文は分かりやすいなあ。ストレートに戦力が向上するので、初心者にも分かりやすい神格だと思う」
晶華「分かりやすすぎて、お笑いネタにしにくいのが欠点ね」
ヒノキ「無理にネタにしなくてもいいじゃろう。はい、次」
★大地母神マーファ
2レベル:ピース
3レベル:レベル・レストレーション
5レベル:リターンホーム
NOVA「相手の戦意を削いで、亡者に吸われた経験レベルを回復し、拠点に帰還する呪文だ」
ヒノキ「戦闘で直接役に立つ呪文がないので、ゲームでは有利とは言えぬが、ロードスの世界ではマーファ信仰が大陸よりも盛んなので、世界観的には恩恵が多いと思う」
NOVA「ところで、大地母神は家庭への帰還と平和を尊ぶんですよね」
ヒノキ「ふむ。少なくともマーファはそうじゃの」
NOVA「だったら、ガイア様はうちの娘を返してくれるべきだと思うんですよ」
ヒノキ「しかし、お主は母親ではなくて、父親じゃろう。母の元へ還れ、という理屈を出されると、花粉症の精霊が屋久杉の母の元に留まるべし、と言われても反論しにくいのではないか?」
NOVA「うっ。少し考えさせて下さい。今日の話はこれで終わりにします」
ヒノキ「ふむ。ロードスの神のメジャーどころはこれだけじゃからな。残り4柱のチャ・ザ、ラーダ、ブラキ、ヴェーナーはまた別の機会にすればよかろう」
(当記事 完)