花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ロードス 誓約の宝冠 感想

小説読了

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

 

晶華「ああ、面白かった」

ヒノキ「うむ、久々のロードスを堪能できた。本作に不満があるとしたら、『物足りない。続きを早く読みたい』という満たされなさじゃな。芳潤なワインを飲んだ後の喜びを味わいつつ、飲み干したために飢えと渇きを覚えるというアンビバレンツな想い」

晶華「初めてロードスの1巻を読んだときは、それで物語が終わって余韻に浸ったの。壮大な物語を味わった感無量な満足感があったんだけど、今回の1巻は壮大な物語の序章でしかないので、続きが気になって仕方ないのよね」

ヒノキ「ふむ。元祖ロードス1巻は、パーンの成長物語として考えても、レベル1から始まって一つのキャンペーンを終えた形じゃからの。最初のD&Dに例えるなら、ウォートの塔にたどり着くまで、レベル7から8ぐらいには育っているんじゃないかの」

晶華「文庫版ロードスRPGのデータでも、最後に死んだギムさんの最終レベルが7なので、元祖ロードス1巻はレベル1から7までの物語と考えることができるわね」

ヒノキ「それに比べると、本作の主人公ライルは、まだまだ未熟としか言いようがないのう。初期レベルは3か4ぐらいはあるかもしれんが、彼の達成したクエストは『マーモに潜入したアラニアの盗賊を捕まえよ』『帰らずの森に隠遁するディードリットを見つけよ』『幽閉されたカノン王を救出せよ』の3つ」

晶華「そう書くと、それなりに冒険している感じだけど、あまり戦闘とかしていないのよね」

ヒノキ「序盤に盗賊と少々やり合って、ディードリット探しでは森をさまよっただけ。一応、カノン王ロテールとユーク王子救出で少し戦いはしたが、戦闘シーンで目立ったのは旧王レオナーの剣術を受け継いだロテール。主役のライルよりも、NPCが目立つ展開じゃったわけで」

晶華「ロードスのリプレイ第2部で、プレイヤーキャラのオルソンさん達よりも、先代のパーンさんやカシュー王の方が活躍したクライマックスみたいなものね」

ヒノキ「未熟な主役が傍観者になって、優秀なNPCの活躍に接することで、何かを学ぶ展開は、まあロードスらしいと言えなくもない。原作小説では5巻『王たちの聖戦』に相当する物語構造であろう」

晶華「ええと、それはパーンさんがモスやヴァリス、カノンの王族たちに協力して、内乱や戦争の行く末に絡んでいく物語ね」

ヒノキ「うむ。本作のライルは、パーンの後継たるロードスの騎士の一人であることを目指し、ディードリットの関心(本当にパーンの伝説を受け継ぐ人になるのかしら?)を惹き、パーンの足跡を辿る展開として始まったわけじゃ。その意味で、『小説のパーンみたいな活躍をしたい』と希望するロードスRPGの若手プレイヤーの代表みたいな立ち位置と言えよう」

晶華「つまり、ロードス6巻以降は、新世代の主人公スパーク君の視点で、歴戦の英雄パーンさんへの憧れを描いてみせたけど、今回はライル君の視点でパーンさんの伝説を追いかけている話にもなっているということね」

ヒノキ「そのようじゃの。ライルの次の目的地が、アラニアのザクソンの村であるからして、本作がディードリット・クエストから、パーン・クエストの様相を呈してきたと考えてもいい」

晶華「それにしても、ディードリットさんの語るパーン評が、そのまま作者視点にもなっているようで笑えたりするの」

ヒノキ「曰く、『無理・無茶・無謀で、後先考えずに走り出すところがあって、決して弱くはないのだけど、ロードスには彼以上の戦士が何人もいて、しょっちゅう危険な目にあって、それでも生き延びたのは持ち前の幸運と仲間のおかげ』だったとか、割と辛辣だったりするのう」

晶華「それでも、パーンさんの凄いところは『自分の信念を貫く点と、仲間を鼓舞する魅力で、パーンを助けるために犠牲も多かったけど、それでも皆がパーンを助けるために個々の実力を最大限に発揮するようになった』という点ね」

ヒノキ「ディードリットの語るパーン評を受けて、主人公のライルが『パーンだったらどう動くか』という視点で物事を考えるようになったのが、本作の流れじゃの。そして、『ロードスの騎士の後継者』を自称し、『自分に賛同してくれる、ロードスの騎士を目指す自由騎士団』を結成して、フレイムの侵略に立ち向かう機運を高めるのが目的となる」

晶華「最後の一文が、本作のテーマを表しているようね」 

  そして、この大戦はフレイム王ディアスという生身の英雄と、ロードスの騎士パーンという過去の英雄との対決になるだろう。 

 

光と闇の境界 

 

ヒノキ「そして、本作の巻末には、以前に雑誌で発表された外伝が収録されているんじゃが、これが前作シリーズ『新ロードス島戦記』と『誓約の宝冠』の橋渡しになる短編となっている」

晶華「私は先にこっちを読んでから、本編を読んだので、マーモでのエルフとダークエルフの混み入った関係や、リプレイ第3部の生き残りキャラのハーフエルフ少女リーフさんの背景などにも感情移入できた」

ヒノキ「うむ。スパークを主人公にした新ロードスはなかなか壮絶なクライマックスを迎え、リプレイ3部のキャラであるギャラック、ライナ、アルド・ノーバが、スパークや小ニースを助けるためにそれぞれ散って行くという過酷さじゃったからの。数少ない生き残りのリーフのその後を描き、100年後への橋渡しを行った作品は、新ロードス後日譚としても興味深かった」  

暗黒の島の領主―新ロードス島戦記序章 (角川mini文庫)

暗黒の島の領主―新ロードス島戦記序章 (角川mini文庫)

 
新ロードス島戦記(5) 終末の邪教(上) (角川スニーカー文庫)

新ロードス島戦記(5) 終末の邪教(上) (角川スニーカー文庫)

 
新ロードス島戦記〈6〉終末の邪教〈下〉 (角川スニーカー文庫)

新ロードス島戦記〈6〉終末の邪教〈下〉 (角川スニーカー文庫)

 

晶華「ロードスの基本テーマは光と闇の対決なんだけど、新ロードスでは最終的に、光と闇の融和を理想としつつ、マーモ王国の法の下で平和に統治するという流れで終了した。だけど、その理想を実現するための苦悩が新たに短編で問題提起され、エルフとダークエルフの確執が収まらず、結局は両者の間に精霊王の力で境界線を構築しなければならなくなった。その境界線を管理する者として、ハーフエルフのリーフさんが選ばれた話ね」

ヒノキ「ハーフだからこそ、光と闇の双方のエルフの心情が理解できるわけで、それでも闇の精霊王と契約しなければならず、自分が闇に染まったのではないかと自己嫌悪するリーフの嘆きなんかは興味深いのではないか」

晶華「確かに、それは感情移入できるわね。私はNOVAちゃんから『お前は闇に親和性があるようだから、中立を保つための言霊として、太陽サンサンを与えた』と言われたわけだし。だからこそ、闇を単なる悪役として見下すことなく、光と闇の葛藤を描こうとしたロードスの精神性には共感ができるんだと思う」

ヒノキ「そもそも灰色の魔女カーラからして、光と闇のどちらがロードスを支配しても大惨事に至るとの思想で、光と闇の天秤を揺らし続けたのじゃからな。陽性の王道ファンタジーである無印ロードスに比べ、新ロードスは暗黒の島マーモの統治という歴史の中で、闇にスポットを当て、現実世界の差別感情や政治的確執などをファンタジーの形で描写した作品とも言える。物語の中では、多くの犠牲を経ながらも、破局には至らずに、光と闇の融和という理想を描いてみせた。一応のハッピーエンドには至ったのじゃが……」

晶華「その理想が、結局、光と闇の間の境界線という形で覆されたのが、外伝ストーリー。そして、歴史の確執の火種が100年後に再燃したのが新たな『誓約の宝冠』の物語になるわけね」

ヒノキ「ハーフエルフのリーフもそうじゃが、新ロードスの正ヒロインである小ニースも、光と闇を内包した二面性を描かれておる。大地母神マーファの女神官であり、聖女として謳われる一方で、破壊の女神カーディスの巫女であった亡者の女王ナニールの魂が転生した存在でもあり、光と闇の間で揺れ動くことになる。そんな彼女を救うために、主人公のスパークもマーモ王として闇をも受け入れる選択をするわけで、マーモ王国は闇と共存する道を選ぶことになった。そして、小ニースの物語は、これでハッピーエンドに終わったかのように思われたのじゃが……」

晶華「100年後に転生して、蘇ったと」

 

マーモ王国の七兄弟

 

ヒノキ「本作の名目上の主役は末っ子のライルじゃが、実際には群像劇の構造となっていて、マーモ王国の四王子、三王女の物語でもある。前に、わらわはマーモの子沢山ぶりを揶揄するようなことを言ったが、本作できちんと説明が為されていて、『マーモはかつて闇に支配された過酷な環境ゆえ、他のロードス諸国よりも人の死亡率が高い。故に子供をたくさん作る傾向があり、スパークと王妃となった小ニースの間にも10人以上の子を為した』とある。つまり、子沢山は必然だったわけじゃな。作品を読まずに短絡的に揶揄すると、こういう失態を仕出かすことになる。反省した」

晶華「まあ、子沢山なのは事実だけどね。ただ、そこに理由が示されていると、揶揄すること自体が恥ずかしいって気持ちになるのかも。それじゃ、リナ老師はライル君の兄弟の中で誰が一番好き?」

ヒノキ「もちろん、三男のザイードじゃな。ライルはパーンの追っかけをしている未熟な少年というキャラじゃが、本作の戦記物としての主人公は、マーモを表面上裏切って、フレイム側に就いた三男ザイードと言える。フレイム王ディアスのロードス統一戦争に際し、マーモの統治体制を守るために、ザイードはフレイムへの恭順の意志を示し、戦場の最前線に立って、フレイムのアラニア侵攻の視点キャラとなる。マイリー神官に勇者と称えられる一方で、ロードスの歴史や現状を達観して見ることのできる戦略眼をも併せ持つ逸材。ライルにとってはパーンとは違う形で、目標となっている男じゃ。未熟な若者よりも、すでに鍛えられた強キャラが好きな読者には、ザイード人気が高まるであろう」

晶華「フレイム王ディアスについてはどう?」

ヒノキ「カシュー王の悪堕ちした子孫ということじゃが、1作目では描写が少ないからな。冷酷な野心家だが一廉の英雄という扱いで、魏の曹操的な立ち位置にも思えるが、人材を登用することにこだわりを持つ曹操に比べると、有能だが人材を切り捨てる独裁者にも映る。今のところは、強大な悪の帝王という以上の魅力は感じられんのう。カシュー王の持つ懐の広さはまだ見えん。ただまあ、自国の民のことは大事に考える優秀な指導者として描かれているゆえ、圧政を施す悪王のレベルではない」

晶華「フレイムにはパヤートっていう王弟もいるよね。彼はどう?」

ヒノキ「人のいい優男といったところだな。穏健派だが、兄をサポートするように動きつつ、ザイードの味方もしてくれる。ザイードから見れば、マーモがフレイムに支配されることになっても、彼がマーモ公の地位に就いてくれれば、自分がサポートすることでマーモの安定は図れると考えている」

晶華「パヤートさんの内縁の妻になりそうなのが、マーモ第3王女のビーナさんね」

ヒノキ「本作のエロ担当といったところじゃの。職業・踊り子で妖艶な軽戦士になるか。フレイム側の描写はいろいろとアダルト的な楽しみができるであろうな。ところで、お主は誰が好きなのじゃ?」

晶華「私は長女のローザさんが気になるわね。兄弟の中でも最年長の姉さんで、『小ニースの生まれ変わりと噂されているマーファ神官』というキャラ紹介だったけど、本当に小ニースの生まれ変わりだったとはね。おまけに、聖女と亡者の女王の両属性を備えていて、小ニースの記憶も持っているなんて。ディードリット、リーフに続く第3の前作キャラになるなんて思わなかった。今回は出番が少なめだったけど、彼女がどう動くかで、ロードスの命運も左右しそう」

ヒノキ「うむ。わらわも、エルフとバグナード以外で、100年後のロードスに続投してくるキャラが出るとは思わなかったわ。小ニース→ローザは本作最大のダークホースと言えるかもしれんのう」

晶華「そして、長男のクリードさんも面白そうね。イラストを見てると、ガンダムマ・クベみたいな神経質な男だけど、本文を読むと、色男なファラリス神官で欲望重視、だけど節度は弁えていて、姉のローザさんの従者として立ち振る舞っている。たぶん、ローザさんに禁忌な恋心を抱いていて、ハアハアしながらも、姉に迷惑は掛けたくないと頑張って自制しているのよね。間違って、お姉さんに襲い掛かりでもしたら、お姉さんの中のナニールさんが覚醒して、ロードス滅亡の危機に発展しそうな危なっかしさを備えている。そんなクリードさんがどんな行動をするかは、裏ロードス的な物語として楽しめそう。これで、クリードさんがメガネキャラだったら最高なんだけど」

ヒノキ「さすがに、ロードスにメガネキャラはいないと思うがの」

晶華「分からないわよ。古代王国の遺品である魔法のメガネの一つや二つぐらい出土してもおかしくない。バグナードさんも眼鏡を掛けていれば、ファンになっていたのに」

ヒノキ「つまり、メガネキャラがいないから、推しキャラはいないということか?」

晶華「そうね。欲望にさいなまれながら、悶々としているクリードさんを想像すると楽しいけど、サングラスぐらい掛けてくれないかしら」

ヒノキ「まあ、クリードが姉ローザに惚れているかどうかは、明確に書かれているわけではないがの。あくまでアッキーの妄想に過ぎん。それはそうと、他は二人。マーモ国王に即位した第2王子アルシャーは、法や盟約重視なエルフオタクで穏健な性格ながら、マーモ王としてフレイムの侵略に立ち向かうことを決断。彼をサポートするのが第2王女の姫騎士イリサ。姫騎士萌えなファンが付くかもしれんと思われたが、既婚者なので、人妻姫騎士萌えという特殊な属性を要するなど、なかなかレベルが高そうじゃ。以上、マーモ7兄弟姉妹はいずれも個性的で、まずは一人、推しキャラを見い出すのが、キャラクター小説として楽しむ方法じゃな」

 

その他のキャラ

 

晶華「7兄弟の周りのキャラも、紹介しておきましょう」

ヒノキ「うむ。わらわの一推しは、ザイード様のヒロインになる女魔法使いのテューラじゃの。マイリー神官のラジブと二人で、ザイード様を助ける活躍が期待できよう」

晶華「テューラさんはイラストが描かれていないのよね。次巻では描かれるのかしら」

ヒノキ「父親がアレクラスト大陸出身ということで、そちらの現状が語られるのも興味深いのう。彼女の話によると、100年後のアレクラスト大陸は戦乱に明け暮れ、ロードスの方が平和な『楽園の島』と呼ばれていたそうじゃ。戦乱のアレクラストというのも、気になるところじゃの」

晶華「ハイラスおじさんの故郷のユニコーンの森が無事だといいけどね。大陸といえば、イリサさんの夫の王家武術師範ハレックさんも大陸出身よね。大陸出身というだけで、旧ソード・ワールドファンの人はニヤリとできそう」

ヒノキ「100年後のアレクラストをテーマにした戦乱サプリメントなんてものが出ると、凄いことじゃがな。ファンドリアがオーファンを滅ぼしました、とか言われるとビックリじゃ」

晶華「逆に、オーファンが大陸統一を目指して、侵略開始する可能性もあると思うの。ラムリアースとの同盟が決裂して……って、そうなったらユニコーンの森もピンチね。そんな妄想はさておき、本作を読んで、一つ驚いたのは、ライル君の従者にゴブリンのアグゾってのがいることね。ゴブリンはスレイしないと」

ヒノキ「マーモでは、違う法が制定されているのじゃ。ゴブリンも集団でなければおとなしいので、街の人々が奴隷として一匹ずつ養っているそうじゃ。アグゾは上位種で、妖魔兵団の隊長だったりもする。ハリー・ポッターにおける屋敷しもべ妖精のドビーみたいなものか」

晶華「マーモでは、ゴブリンスレイヤー禁止法みたいなものが制定されているのかも。すると、将来、100年後のロードス・サプリメントみたいなものが作られると、プレイヤーキャラクターとしてゴブリンを選んだりすることもできそうね」

ヒノキ「需要があるかは知らんがの。ゴブリンの前に、魔獣使いをプレイできるサプリメントが欲しいものじゃ。現状のルールだと、ゴーレムなどの魔法生物を召喚することはできても、魔獣使いにはなれん」

晶華「ロードスで魔獣使いにスポットが当たったのは、カセット文庫の外伝エピソードでゲスト的に登場したエレーナさんが新ロードスで再登場したときだものね」

ヒノキ「カセット文庫とは、また懐かしいものを」

晶華「エレーナさんの家系の持つ魔獣使いの秘術は、マーモ王国に継承され、100年後には複数の継承者を持つに至る。そのうちの一人が、ライル君の乳母のマーサさんで、その娘のヘリーデさんがライル君と共に育てられた姉気取りな子。ヘリーデさんと、男装の盗賊娘のノーラさんと、ディードリットさんが、ライル君の旅の同行者になるのね」

ヒノキ「またも、リウイみたいなハーレムパーティーじゃな」

晶華「軽戦士にしてヒポグリフ・ライダーなライル君と、魔法も使える魔獣使いのヘリーデさん、盗賊のノーラさんと、精霊使い及び本作では吟遊詩人のスキルも習得済みのディードリットさん。パーティーのバランスとしてはどうだろう」

ヒノキ「いわゆる壁役の戦士がいなくて、軽装なメンバーだらけ。その分、隠密行動能力は高く、戦闘は避けて通るべきじゃろう。何よりも問題なのは、治療役の神官がいないこと。ただし、ヘリーデが薬草にも詳しいから、ちょっとした手当てならできそうなことと、いざとなればディードリットが癒しの精霊魔法や、圧倒的な戦闘力を秘めているから、彼女が全面的に手を貸してくれればヌルゲーになると思われる。まあ、本文中ではディードがあまり出しゃばりたがらず、ライルがロードスの騎士たるか見守る立ち位置にいるがの。極力、ディードリットの協力なしに事を成し遂げることが求められている」

晶華「それなら頼れる神官戦士が仲間に欲しいところね。アラニアにいるローザさんや、クリードさんが合流したりはしないかしら」

ヒノキ「一パーティーにあまり人数が多すぎると、個々のキャラが描きにくくなる。それでなくとも、現状、ヘリーデやノーラの印象が薄いと思うが、彼女たちの出番がもっと増えると、逆に主役のライルが霞みがちになろう。本作はとりあえず、ライルとザイードの二つのキャラの視点を中心に、キャラ紹介と100年後のロードスの描写を試みた形。今後の掘り下げを楽しみに待つとしよう」

 

旧作やRPGとのリンク

 

晶華「旧作ファンとしては、とりあえずディードリットさんが出てきて、パーンさんに憧れる主人公が出てきて、カシュー王やカーラ様の話も出てきて、その後のリーフさんも出てきて、小ニースさんの転生まで出てきて、マーモの法律がスレイン法と呼ばれていることまであって、楽しめるんじゃないかなあ」

ヒノキ「哀しいのは、リプレイ2部の魔法使いセシルの末路じゃな。アラニアの改革に頑張っていたのが、不可解な死を遂げ(敵対勢力の暗殺?)、アラニア北部のザクソン村周囲の地域が離反する契機になってしまうとは」

晶華「その辺の掘り下げが、次巻の最初の章になると思うけど、来年の話になりそうね。そして、気になっていたパーンさんの子供は登場せず」

ヒノキ「ディードリットとの間には、子ができなかったそうじゃからな。ただのエルフならともかく、ハイエルフと人間の間にハーフを作るのは難しいらしい。永遠の乙女不妊説という話もありそうじゃ」

晶華「他には、100年後のロードスでは、遺跡荒らしという冒険稼業は時代遅れと見なされているそうね。大陸から来た冒険者が生活に苦労するぐらいだし」

ヒノキ「大陸が乱世で、ロードスは冒険する舞台となる古代遺跡が枯渇。まあ、100年後をRPGの舞台にするなら、改めてネタを考えることになろうが」

晶華「こうなったら、モスに行って、魔神を復活させたらどうかしら?」

ヒノキ「こらこら、物騒なことを言うでない。ウォートの塔をしっかり管理している者がいるはず……っているのじゃろうか?  ウォート→スレインに管理役が移ったそうじゃが、その後は誰が見ているのやら。アラニア編の後は、ヴァリス編、モス編とライルの旅は展開しそうじゃが、各国の現状は気になるな。パーンの子はできなかったが、エトとフィアンナの子孫とか、シーリスとレドリックの子孫とか、どうなっているか知りたいものよ」

晶華「私としては、セシルさんの子孫がいれば嬉しいな。セシルさんは非業の死を遂げたけど、彼の忘れ形見がザクソンにはいて、顔のそっくりな子孫がいたりすると、面白いんじゃないかな。ディードリットさんが、セシルに見間違えるとかね」

ヒノキ「それを言うなら、フォースの子孫とかも登場して欲しいが、ライデンは敵国フレイム領じゃから、ライルの旅の目的地にはしにくそうじゃ」

晶華「まあ、子孫以外でも魅力的な新キャラがいればいいわけだし、本人が登場しなくても、昔話で話題に挙がるだけでも楽しそう」

ヒノキ「大陸から逃げてきたリウイの子孫って方向性もありかも知れん」

晶華「後はバグナードさんがどう動くかな。新ロードスで、彼の奥さんになったミネアさんのその後が見たかったり」

ヒノキ「ともあれ、小説にわくわくしながら、RPG展開についても、まったり追跡できる現状を楽しむとするかの」

 (当記事 完)