前回のあらすじ(みたいなヒノキちゃん語り)
花粉症ガールV3こと日野木アリナ(旧名・南郷阿里)はTRPG好きの女の子。
そう、精霊基準で女の子じゃ。
人間の基準で考えるでないぞ。
ハイエルフの美少女ディードリットは170才ぐらい(リアルでロードス30周年なので200才を越えた可能性も)じゃが、変わらず美少女じゃろう。
わらわは、由緒正しい台湾ヒノキの精霊が、この倭の地に渡来したという出自を持っておる。倭の国では木曽の地に樹齢450年の古木が生育しておるそうじゃが、台湾では樹齢2000年のものが見られる。
さすがに、わらわ自身は若輩者ゆえ、その長老の木に拝謁する機会には恵まれておらんがの。彼の地の長老エルダー・ヒノキ様(檜老師ともいう)は、わらわの精霊ネットにも興味を示されぬゆえ、軽々しく連絡の取りようもないわけで。
ともあれ、わらわはこの倭、いや大和、あるいは日の本の地に渡って以来、幾星霜もの間、鎮守守護の任務をあてがわれ、ある時は妖怪退治、ある時は厄災加護、また、ある時は豊穣祈願など、人々の幸せのために邁進してきた。
すなわち、守護精霊の一柱という奴じゃ。
一柱というのは、神々を数える時の単位で「ひとはしら」と読む。大和言葉ゆえ、訓で読むのが正解じゃ。
これまで、「いっちゅう」と音で読んでいた者は、考えを改めるが良かろう。
もちろん、わらわ自身に限って言うなら、樹木の精霊ゆえ「いっちゅう」と呼んでも差し支えないのじゃが。
何? わらわの来歴はどうでもいいから、さっさと本題に入れと?
そなたは確か、読者A?
え? 読者Aは現在、謎の失踪を遂げて行方不明じゃと?
そなたは読者B、名前はまだない、と。
そなたも、コナっちゃんを狙っているのか?
え? 違う?
純粋にTRPGファンで、ソード・ワールドの話を楽しみにしてくれておるというのか?
あんなストーカー男と一緒にするな?
それは済まなかった。
下心なしに、純粋にTRPGを愛する者は同志じゃ。わらわの記事の閲覧やコメントを公式に許可するとしよう。
では、賢明な読者B殿のアドバイスに従い、本来のあらすじに入るとしようかの。
確かに、わらわの来歴は長きに渡るゆえ、延々と話し続けるところであった。コミュニケーションを重視するTRPGファンゆえの空気を読んだ的確な指摘であったと受け止めよう。
わらわ自身の物語は、また別の機会に触れることもあろうて。何せ、このブログの準レギュラーじゃからな。
SW2.5編の第1話では、わらわに忠実な二人の従者、ビャッコ(シロ)とゲンブがキャラ作りを終えた。
そして、前回の2話めでは、本命のコナっちゃんの番になったが、「字が書けない」というTRPGプレイにおいて割と致命的な問題が発覚した。こうなれば仕方ない、カードゲームに切り替えようか、それともボードゲームがいいか、などと判断を巡らせる前に、助っ人が現れてくれたがの。
その名はケイPマーク2。
怪獣カプセルに宇宙大怪獣ドゴラを封印して、忠実なペットに飼い慣らしたアシスタント・モンスターという奴じゃ。
わらわの知る限り、かつて九州で暴れたドゴラに対して、そういう処置を施した者はいない。白新星という魔術師の隠れた偉業の一つと言っても良いのではなかろうか。
いくつかの伝説を残して、わらわなりに注目をしていた御仁だったが、実際に連絡を交わしてみると、意外とフランクというか、伝説とは裏腹の人物であった。もっと、頭の固い気難しい男かと思っておったが。
ただ、君子豹変するところがあって、必要以上の馴れ合いはせぬ方が吉と思われる。ベタベタ甘えられることには一線を置いているところがあって、娘御をわらわに託したのも、そういう事情があってのことであろう。
一言で言えば、「自分の世界や愛するものを大切に考える気概」が強く、その領域を脅かす者に対しては、過剰な防衛意識を剥き出しにすると言ったところか。
筋を通す分においては、信頼できる男と言えような。少なくとも、わらわの現在の契約主であるサブロー殿とは、今も懇意の仲らしいからの。
サブロー殿といえば、先日、また一枚イラストをいただいてな。
温泉入浴シーンを描いたものじゃが、さすがに本物ではなく(それなら覗き見趣味ということになる)、水着をつけたイメージイラストという奴じゃ。
リアルなら犯罪となる行為でも、空想や妄想で心を豊かにすることまでは、戒めるものではない。美的センスは幻想の中でこそ培われるというのが、わらわの考えであって、その一線を踏み越えて生々しい領域に達してしまえば、興が冷めてしまうというもの。
すなわち、架空と現実のギリギリのラインで自己を律することが芸術の道であって、そのラインの見極めが下手くそだと、品がないということになる。別に上品を気取る必要はないが、露骨に品性下劣なのは褒められたものではないので、場や相手をわきまえるのが節度ある人の道と言えよう。
その点で、サブロー殿は精霊の友と呼ぶにふさわしいセンスの持ち主だと、わらわは信頼を寄せておる。空気が読めるゆえにな。そもそも、空気が読めなくては、精霊使いの資質に欠けることにもなろう。
さて、そんな、わらわとコナっちゃんたちのキャッキャウフフな仲睦まじい様子がしっかり描かれておるイラストは、近日の入浴編で公開予定じゃ。
感謝の気持ちを込めてな。
それで、どこまで話したかの。
そうそう、ドゴランアーマーのケイPマーク2じゃ。
このアシスタントのおかげで、コナっちゃんも字が書けるようになり、少しずつTRPGの超初心者プレイヤーから脱却し始めておる。
それで、シロのアドバイスに従って、プリースト技能を選んだまではいいのじゃが、ソード・ワールドの神さまの知識がないゆえに、そこから説明しないといけなくなったのじゃ。
つまり、今回は、「ソード・ワールド初心者にも分かる神さま講座」ということじゃな。
お盆の時期に神仏や精霊の話をすることは、時宜にもかなっていようしの。
まずはファラリス(暗黒神)の話
ヒノキ「さて、神さまの話じゃが、わらわに語らせると長いぞ。何しろ、わらわ自身が不肖ながら神さま扱いされてきた身じゃからな」
翔花「え、ヒノキちゃんも神さまなの?」
ヒノキ「一応はの。かつて樹木の精霊として祀られたことがある。現在は、わらわを祀っていた巫女の家系が神仏習合や廃仏毀釈の煽りを受けて途絶えてしまい、わらわも祀られぬ神霊となって、そのままでは消滅するところをたまさか霊力の強い若者に見出されての。まあ、そこからもいろいろあって現在に至っておる。今はサブロー殿という御仁が、わらわの契約主じゃ」
翔花「へえ、そのサブローさんという人はヒノキちゃんにとって、翔花のNOVAちゃんみたいな人ってこと?」
ヒノキ「そう言えないこともないが、そなたのところほどベッタリというわけではないぞ。別に親娘の縁でつながっているわけではないからな。サブロー殿は、人間界で怪事件が起これば、わらわに連絡をくれる。そして、わらわの協力者として、いろいろと助けてくれる盟友の関係じゃ。関西の地に花粉症ガールのそなたという存在がいると知らせてくれたのも、サブロー殿でな。その辺は、いつもベッタリというわけではなく、付かず離れずの距離を保ちながら、心の絆はしっかり構築されているというわけじゃ。用事があれば連絡も取り合うが、互いの一線は超えないところで関係性を維持する。これが人であろうと、精霊であろうと、交流を長続きさせる秘訣じゃよ」
翔花「ふうん、よく分からないや。私はNOVAちゃんと、KPちゃんと、妹の2号ちゃんしか知らないから。あ、ドルイ道おじさんと、それから精霊ネットのことを教えてくれた人がいたな。翔花のイラストも描いてくれたりして」
ヒノキ「ほう。コナっちゃんにも、イラストを描いてくれる御仁がいるとは。わらわのサブロー殿も、イラストを描いてくれたりするぞ」
翔花「へえ、そうなんだ。やっぱり、イラストを描いてもらえると、幸せになれるよね」
ヒノキ「うむ、それは同感じゃ。互いの絵師の方には、感謝の気持ちを忘れんようにせねばな」
翔花「そうだね。イラストレイターさんも、翔花にとってはNOVAちゃんのように、神さまみたいな人だよ。そう考えると、私の周りって、神さまに溢れているんだね」
ヒノキ「まあ、日本の地は、八百万の神々が溢れておるからな。商売人や芸人からして見れば、お客様も神さまらしいし、近年はゲームの世界を通じて神さま増殖中じゃ。しまいにはゲームマスターという名の神気取りの悪役が出てくる始末。檀黎斗にしても、ブラッドスターク改めエボルトにしても、自らゲームマスターを名乗っておるが、奴らのような存在は邪道と言えよう。TRPG用語のゲームマスターは本来、プレイヤーに対して共にゲームを楽しむ精神を備えていなければならん。それをプレイヤーを苦しめて、自分が頂点に立つことだけを考えてチート能力を連発するような輩は、まあ退治されて然るべき存在じゃな。TRPG界のゲームマスターにとっては、風評被害もいいところじゃ」
翔花「ああ、NOVAちゃんもそういうことを言っていたような気がする。真のゲームマスターにとって大切なのは、バランス感覚だって。自己の欲望のためにゲームを悪用するような輩は、主人=ホストの役割を果たしていないからマスターたり得ないとか。創造主や管理役は、強い権限を持つからこそ、自分を律しなければいけないなんて言ってたっけ」
ヒノキ「ゲームに限らず、コミュニケーション全てにおいて、自分を律することは必要じゃがの。誰もが欲望をむき出しにしたなら、社会は成り立たん。まあ、ファラリス信者なら別じゃがの」
翔花「ファラリスって?」
ケイP『解説しましょう。旧版ソード・ワールドの背景世界フォーセリアにおいて、暗黒神と呼称されています。教義が「汝の為したいことを為せ」という点で、欲望を肯定し、社会を混乱させる暗黒神官の崇拝する神とのこと』
翔花「私のしたいことは……修行で成長して、NOVAちゃんと幸せに暮らすこと、かな」
ヒノキ「ささやかな欲望じゃな。人間すべてがコナっちゃんのように純真無垢なら、ファラリスも邪神扱いされなかったかも知れぬが、現実は違う。何らかの戒律や法律がなくては自律できぬ人間が多いゆえ、無制限な自由を肯定しては、社会が成り立たん。ルールなしの無軌道な会話だけでTRPGという遊びが成り立たんのと同様にな」
翔花「だけど、自由を司る神さまだよね。人間の自由のために戦う仮面ライダー本郷猛さんは、ファラリス信者だったのかな」
ヒノキ「そんなはずがなかろう。世界観が違う。仮面ライダーが自由を標榜するのは、彼の戦う悪の秘密結社ショッカーが人間を脳まで改造して、完全に統制された自由のない管理社会を築いて世界征服するのが目的としているからじゃ。つまり、悪の象徴が反自由であるがゆえに、正義のライダーは自由を守る。それが証拠に、悪の象徴が科学の進化の果てに『感情の欠如した戦争』を目論むエボルトであるなら、それに対峙する今のライダーは『ラブ&ピース』を標榜しておるだろう。何が悪で、何が正義かは、その作品ごとのテーマじゃから、そこを短絡的な言葉一つで決めつけてはならん」
翔花「ふえー、ヒノキちゃん、ずいぶん詳しいんだね」
ヒノキ「相応の勉強はしたからの。わらわが最初に見たライダーは、仮面ライダーJ。精霊に関係するゆえに。そこから昭和ライダーを遡ったり、歴代平成ライダーを追いかけたり、研究の日々じゃよ。あ、戦隊はターボレンジャーからじゃ、妖精や精霊が登場するからの。ウルトラマンは精霊パワーとはあまり関係ないが、巨大化したJとのつながりで見ることとなった。新星どのと違って、幼少期からの年季の入った特撮ファンってわけではないが、あくまできっかけは精霊のためなのじゃ」
ケイP『仮面ライダーJは1994年。ターボレンジャーは89年。ターボレンジャーを始点とするならば、南郷さまが特撮ヒーローを調べるようになってから来年で30周年を迎えることになるわけですね』
ヒノキ「おう、つまりはソード・ワールドと同じ年ということか。確かに、それぐらいの頃じゃの。わらわが近年の人間の文化に惹かれるようになったのは。ゴジラがビオランテと戦ったのも、それぐらいの年じゃ。まあ、ゴジラはモスラやラドンと初めて戦った1964年から気に掛けてはおったがの。あまり熱心に追いかけてきたわけではないから、わらわの特撮歴はやはり30年と言ったことかの。あまり年数は気にして来なかったが」
翔花「へえ、30年か。ヒノキちゃんって凄いんだね。私なんて、ようやく4ヶ月ちょっとだよ。やっぱり年季が違うなあ」
ヒノキ「何のなんの。特撮もTRPGも新星殿には及ばんよ。彼は最初の仮面ライダーと同じ年に生まれ、秘密戦隊ゴレンジャーを見て育ち、クラシックD&Dについて心からの愛情を込めて語れる男じゃからな。この道では、わらわにとっても先達に当たる。時空魔術師という肩書きなどなくても、サブカルチャーにおけるアマチュア歴史研究家という肩書きだけでも相応の情念と能力を備えておるのは明らかじゃ。まあ、こんなことは、娘御のお主には語るまでもないことじゃろうがな。それだけに、そなたにTRPGのことをほとんど語って来なかったのは残念でならん。あの伝説の魔術師、新星殿の娘御にして期待の精霊少女であるコナっちゃんがまともに字も書けず、プリーストのことも知らなかったとは」
翔花「うう、生まれてまだ半年も経たない若輩者なんだから、許してよ。決してNOVAちゃんが悪いんじゃないんだから」
ヒノキ「分かっておる。冷静に考えれば、職業・教師であっても、我が子は教えにくいと聞くでの。家庭での顔を知る相手には、そういう心理が邪魔をして、教師として接することが困難ということじゃ。どうしても公私混同になるゆえな。教育は一人の教師や親だけが施すではなく、さまざまな環境を整えて幅広い見識を提供するのも親の為すべきこと。したがって、新星殿がわらわのところにコナっちゃんを送り込んだのも賢明な判断と言うべきか。このヒノキ大学校にの」
翔花「え、ヒノキちゃんって大学の先生もしてるの?」
ヒノキ「いや、今、適当に自分で勝手に名乗っただけじゃからな。コンパーニュの塔は、これより自称・ヒノキ大学校じゃ。文部科学省の認可は受けておらん私塾扱いじゃがの」
ケイP『一応、関西には「ひのき塾」という受験予備校が存在するそうですが、コンパーニュの塔とは全く関係ないようですね』
ヒノキ「英会話スクールのNOVAが、新星殿とは全く関係のないみたいなものじゃな。しかし、ヒノキ大学校。悪くはない響きじゃの。教科内容は、精霊学と異世界学、それに倫理哲学関連の現代ヒーロー論といったところか。まあ、今は異世界学のテキストとしてソード・ワールドを使っているということで」
翔花「そっか。ここは学校か。私、学校ってところには通ってみたかったんだ。NOVAちゃんは、そんな想いを受け入れてくれて、翔花をここに送ってくれたんだね」
ヒノキ「コナっちゃんがそう思うのなら、そういうことで良かろう。うむ、だったら、いつまでも寄り道せずに授業を続けんとな。とにかく、ファラリスは自由を謳うが、他人の迷惑を顧みぬ抑制されない自由を推奨するが故に、そこでは暗黒の島マーモのような弱肉強食、力の論理がまかり通る蛮族社会が現出してしまうのじゃ」
翔花「力こそ正義の社会か。そういうのは、私には合わないな。ファラリスはやめた」
ケイP『そもそも、ファラリスはフォーセリアの神ですから、今のソード・ワールドの背景であるラクシアには存在しないであります』
ヒノキ「いや、そうでもないぞ。狂神ラーリスという異界出自と見なされる邪神がラクシアには存在しての。公式ではないが、ファンの間ではファラリスの顕現と見なされておる」
ヒノキ「他には、グラスランナーの出自や、魔神関連では両世界の関係を匂わせる記述もある。2.5の舞台であるアルフレイム大陸は、魔神や異世界に通じる地域性もあって、そこを突き詰めればフォーセリアとの接点も見出せるのでは? と考える研究者もいるみたいだな。新星殿も、そこに注目しているようじゃが」
フォーセリアの神々
ヒノキ「ということで、念のため、フォーセリアの神についても触れておこう。旧版やロードスのファンは、こちらに馴染みが深そうじゃからな。取っ掛かりとしても悪くはなかろう。ケイP、リストの提示を任せられるか?」
ケイP『ああ、旧版なら基礎知識としてインプット済みなので、すぐに可能です』
フォーセリアの神々
★六大神
1.至高神ファリス:正義と秩序を司る光の神の王。王侯貴族がもっぱらの信者で、ヴァリスやアノスといった国では国教と認定して、聖王国を称している。
2.戦神マイリー:名誉ある戦いと勝利を推奨する神。騎士や傭兵が主に信仰する。
3.知識神ラーダ:学問や知識、賢明さを推奨する神。魔術師や賢者、研究者が主に信仰する。
4.商業神チャ・ザ:商業や人々の交流、幸運を司る神。商人や、ささやかな幸運を願う一般市民に人気が高い。
5.大地母神マーファ:自然を司り、農耕や猟を奨励。さらに豊穣の意味合いで結婚の守護神でもある。農夫や猟師、地方の村人に人気が高い。
6.暗黒神ファラリス:ファリスと対立する邪神の代表格。自由の名の下に、欲望を肯定し、法による秩序を否定する。犯罪者やならず者に信者が多く、ロードスでは暗黒の島マーモが、アレクラスト大陸では混沌の国ファンドリアが国教としており、蛮族や犯罪者の社会を現出している。
★他の神々
7.月の神フェネス:太陽を司るファリスの弟神で、中立神の王として、クリスタニアの地に渡る。そこで神獣の世界を構築し、自らは銀狼の姿となる。アレクラストでは信者が少ない。
8.芸術神ヴェーナー:芸術や詩、物語を司り、歴史や運命にも関与する。吟遊詩人の神でもあり、芸事や娯楽を好む庶民に愛されている。
9.盗賊神ガネード:手先の器用さやギャンブル的な幸運を司る。元は匠の神であり、技術を重んじる職人の神でもあるが、悪名のために公然と信仰する者は少ない。表立ってはチャ・ザを信仰しながら、こっそりガネードにも成功を祈るケースも。
10.鍛冶神ブラキ:ドワーフの主神。フォーセリアの他の異種族であるエルフやグラスランナーは神を信仰しない(ルール的にはプリーストになれない)ため、人間以外にはドワーフのみが神を崇める。人間の中では、鍜治屋や鉱夫といった金属関係の職種の者に信者が見られる。
11.名もなき狂気の神:邪神の一柱。正体不明で理解不能。常識外の行動を推奨し、妄想や幻想を常態と考え、突飛な考え、新奇なアイデアをもたらすとも。戯言を繰り返す狂人まがいの人間を称して、「名もなき狂気の神に取り憑かれた」と冗談的に揶揄することも(ゲーム内外問わず)。自分がそうだと自覚している信者は少ないが、「何だかよく分からないけど、神の声を聞いた」と妄想に駆られるケースも。真の啓示なら、大抵は神の名前もはっきりするはずなので。
12.破壊神カーディス:邪神の一柱。不死者の神でもあり、大地母神マーファの不倶戴天の敵。ロードス島の神話に大きく根差し、表立って行動するファラリス信者の陰で、いろいろと暗躍している。暗黒の島マーモは、破壊神カーディスの亡骸が眠る地で、カーディス復活を軸とするドラマが、ロードスの終盤のクライマックスになる。
13.死の海の神ミルリーフ:邪神の一柱。海の亡者の神で、コンピューターゲーム版ソード・ワールドや、原作小説『死せる神の島』に登場するボスキャラ。海洋冒険限定のマイナーなローカル神だけど、バイオハザード並みのゾンビわらわら状態を現出したため、インパクトは大きい。
ヒノキ「六大神だけで十分であったのに、その他の神までリストアップするとは、随分とマメじゃの。ソード・ワールドで、クリスタニアのフェネスを登場させることはまず無かろうに』
ケイP『いえ。マスターNOVAがインプットしたデータは、完全版のルールブックに基づくものなので、一通り網羅したい心根の表れと考えます』
ヒノキ「研究者として完璧主義者なのは美徳かもしれんが、本命はラクシアの神だというに、旧版でここまで力を注いで、どうするのか。記事が無駄に長くなるだけじゃろうに」
ケイP『やるなら徹底的に、後腐れなくってことなんでしょうね』
ヒノキ「優先順位を考えて、加減を知れ、と説教しても仕方ないか。何はともあれ、資料として重宝するのも確かじゃから、ここは素直に感謝しておこう。そうか、旧版だけでも、こんなに神がいたんじゃな。六大神と、ブラキ、カーディス以外はあまり覚えてなかったわ。言われてみれば、名もなき狂気の神なんてのもいたな」
翔花「狂気って、内海さん?」
ヒノキ「彼なら死んだよ」
翔花「え、嘘?(呆然)」
ヒノキ「嘘じゃない。関西ではどうか知らんが、九州では先日の放送でグリス、猿渡一海の消失と、マッドローグ、内海成彰の最期が確認されておる」
翔花「そんな。メガネンジャーでしっかり祈るから、内海さんは死なないってNOVAちゃんが言っていたのに。きっと、メガネパープルとして仲間に加えるからって(涙目)」
ヒノキ「お、おい、コナっちゃん。気を確かに。落ち着いて、意識をしっかり持つんじゃ」
ケイP『翔花ママ。マスターNOVAの隠しメッセージです』
NOVA「俺はげんとくんとカシラ、そして内海さんの無事を願った。たとえ死んだように見えても、白いパネルの力で奇跡が起こって蘇ってくれれば、ご都合主義などとは言わん。何しろ、そのために用意したアイテムだからな」
ヒノキ「何と。新星殿がそのような仕掛けを? すると、8月26日の結末を見るまでは、早急な判断はするなと言うことじゃな。少なくとも、新星殿は奇跡を信じておる。信じる心こそ奇跡の源じゃ」
翔花「う、うん。そうだね。NOVAちゃんが信じるなら、私も信じる。信じることこそプリーストの力。そうでしょ、ヒノキちゃん」
ヒノキ「うん、まことにもって、その通りじゃ。信仰心こそプリーストの源。学習したようじゃな」
翔花「ようし。私は花粉症ガール。そんな私にふさわしい神さまは今こそ決まった! そうよ、大地母神マーファ。自然を司る母神さまこそ、私にはふさわしい」
ヒノキ「いや、それは旧版の神であって、2.0および2.5ではマーファは存在しないのじゃよ」
翔花「ええ? そんな。私の決意はムダだったの?(涙目)」
ヒノキ「やれやれ。動転してアップダウンの激しいコナっちゃんの気持ちを落ち着かせるためにも、ここは休憩が必要なようじゃな。ラクシアの神さまの話は次回に続くじゃ。コナっちゃんのキャラ作りはいつになったら完成するのかのう?」
翔花「そんなの私が知るか」(完)