花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

司祭と神々の話3(ロードスRPG編その8)

ハンバーガーの世界より帰りて

 

NOVA「さて、ようやく異世界フレッシュトヴィアからロードスに帰って来たぞ。ずいぶんと長く寄り道した気分だったが、今回は暗黒神ファラリス、鍛治神ブラキ、そして芸術神ヴェーナーの話をして、一連の神さま話を終わらせるつもりだ。んっ?」

 

PON!

小さな閃光とともに出現す。

 

謎の声「NOVAちゃん、帰ってくるの遅すぎ! いま必殺の太陽サンサン・シャイニング・アッキー・インパクト!(ドカッ)」

NOVA「キュー(昏倒)」

ヒノキ「……お、おい。まさか天下のWhite NOVAともあろうものが、たかが今の一撃ぐらいで気絶した、ということはなかろうな」

ゲンブ「いや、今のはまともに後頭部に直撃しておりましたが」

翔花「ちょっと、アキちゃん、いきなり出てきて、何をしてるのよ?」

晶華「え? いや、私だって去年の年末に、リナ老師に同じ攻撃をくらったんだし。気になる人は、この記事を参照。とにかく、いつかお返しをしようと特訓していたんだけど、ようやく成功したわけで……」

ヒノキ「それなら、わらわを狙えばよかろう。どうして、この中で最も打たれ弱い、ただの人間である新兄さんに必殺技を仕掛けるのじゃ?」

晶華「だって、私たちを放置して、いつまでも家に帰って来ないんだもん。いい加減、痺れを切らしたから、迎えに来たのよ。それにNOVAちゃんだったら、普通に時空転移で回避して、『フッ、甘いな、晶華。この俺の不意を討とうなど、10年早いわ。まだまだ、しっかり修行に励め』『うん、NOVAちゃん。来年もアシスタントガールとして、そしてメガネシルバーとして、しっかり精進するから、よろしくね』と朗らかに父娘の会話に流れることを期待したのに」

ケイP『大変です。マスターNOVAのHPは、先ほどの攻撃を受けて0になっています』

晶華「え、まさか、死んじゃったの?」

翔花「そんな! せっかく屋久島から帰ってきて、これから私と仲良く父娘ライフって時に、NOVAちゃんが死んでしまうなんて(涙目)。アキちゃん、NOVAちゃん殺しの罪、万死に値するわ。今すぐ、懺悔なさい」

晶華「ふえ〜ん(涙目)。私だって、まさかNOVAちゃんがこんな簡単に死んじゃうなんて思いもしなかったのよ〜。お姉ちゃん、お願い。NOVAちゃんを生き返らせて」

翔花「仕方ないわね。こうなったら、屋久島に封印した神の力を呼び起こして、この時間を改編し、令和の時代をやり直して、新たにNOVAちゃんの死なない新時代を作り直さないと」

ヒノキ「いやいや、コナッちゃん。そこまで大事にはするでない」

翔花「ヒノキちゃん、止めないで。私にとって、NOVAちゃんの死ほどの大事はないのよ。NOVAちゃんの命と、令和の時代のどちらかを選べと言われたら、私は迷うことなくNOVAちゃんを選ぶ。それが翔花の生きる道」

晶華「お姉ちゃん、私も協力するわ。ダブル花粉症ガールの力を合わせれば、きっとNOVAちゃんの命を救うこともできる」

翔花「ええ。ヒノキちゃん、あなたも花粉症ガールV3を名乗るのなら、ここでNOVAちゃんを救わないという選択肢はないわ。令和の時代を犠牲にしても、協力してもらうんだから」

ヒノキ「落ち着け、コナッちゃん。令和を犠牲にして生き返っても、新兄さんはきっと喜ばないと思うぞ」

翔花「しかし……」

ヒノキ「大体、お主はフレッシュトヴィアで何を学んで来たのじゃ? わざわざ令和の時代を犠牲にしなくても、今の新兄さんを復活させる術は持っているはず」

翔花「はっ! そうね。私にはホームスタイル・チキン・サンドイッチのオーダーパワーがあったんだった。ウェンディー女王の名にかけて、ホームスタイルの力、お借りします。レベル1スキル、ジャスト・テイク・ア・バイト(一口どうぞ)発動。花粉チキンサンドの力で、NOVAちゃん、起きて」

NOVA「(むっくり)HP4で起きたぞ。一体、何があったんだ?」

晶華「もう、バカバカバカ。死んじゃったと思って、心配したんだから(涙目。ついでにボカスカ駄々っ子パンチ)」

NOVA「うお、どうしてお前がここにいるのか分からんが、晶華、やめてくれ〜。今の俺はHPが少ないんだ。これ以上、殴られると、マジで死んでしまう。魔術師はHPが低いんだ〜」

晶華「ふえ〜ん、本当にNOVAちゃんが死ななくてよかったよ〜」

NOVA「いや、今どきHP0で即死ぬゲームも、ずいぶん少なくなったからな。とりあえず、生死判定には成功したから何とかなったし。ただ、この状態だと、これ以上の神学講義は俺には無理っぽい。HPと、ついでにフレッシュトヴィアの英文ルール探索で消耗した精神力を回復せねばならん。大休憩が必要だ。よって、ヒノキ姐さん、今回の神さまの話を引き受けてもらえませんか?」

ヒノキ「ふむ。元はと言えば、司祭の話はわらわが担当するはずだったしのう。よし、ここは、わらわとコナっちゃんとアッキーのトリプル花粉症ガールが引き受けた。ゲンブ、シロ、それにリトルの三獣士は、新兄さんの休息のための風呂と食事を準備するといい。暖かい温泉と食事と睡眠があれば、新兄さんも程なく回復するであろう」

NOVA「では、頼んだぞ。3人の花粉症ガールたち(後を託して退場)」

ケイP『私も、マスターNOVAの側についておきます』

翔花「うん、お願いね。KPちゃん」

 

 暗黒神ファラリスと邪神の話

 

ヒノキ「では、元々の予定では、ブラキとヴェーナーの話をするはずだったのが、それだけだとマイナー過ぎてネタが少ないので、六大神の一つ、フォーセリアの邪神の代表であるファラリスの話から始めよう」

晶華「ファラリスといえば、新しい小説の主要人物の一人、クリードさんが信じているのよね」

ヒノキ「うむ。本来は敵側が信仰する邪神で、ロードスRPGでもプレイヤーキャラが信仰することは原則的に不可能。敵キャラの暗黒司祭(ダークプリースト)は、通常の信仰魔法(ホーリープレイ)の他に、暗黒魔法(デーモンスクリーム)に分類される特殊神聖魔法を使うことができるのじゃ」

翔花「私は、ロードスのことはあまり詳しくないけど、要するにファラリスってのは悪い奴と考えていいのよね」

ヒノキ「それほど単純に割り切れるわけでもないのじゃがな。アッキー、ロードスの物語における光と闇の立ち位置について、説明してやってくれ」

晶華「これはまた、難しい話を押し付けられたわね。でも、光と闇の葛藤はロードスのテーマでもあるし、私は灰色の魔女カーラ様の信奉者だから、そこは専門分野と言わせてもらうわ。ロードスは、光と闇の神々の大戦から語られるファンタジー世界。光の神の代表はファリスで、闇の神の代表はファラリスなんだけど、ファラリスの教義は『自由の尊重』なのよ。だから『法や王権、統治』を重視する封建王国中心の中世風ファンタジー世界では、国の法治を脅かす過剰な自由主義無政府主義は文明の維持さえ危険にさらす罪悪なんだけれど、現代の価値観では自由尊重の民主主義的な意味で、ファラリスの考え方が必ずしも悪ではない、と見なすこともできるわけ」

翔花「?????? つまり、ロードスではファラリスは悪だけど、今の日本では悪じゃないということ?」

ヒノキ「コナっちゃんにとって、何よりも大事なものは新兄さんじゃろう?」

翔花「当然よ」

ヒノキ「先ほど、新兄さんが一時的に死にかけていたとき、コナっちゃんは何としても新兄さんを生き返らせたいと考えた。ファリス信者にとっては、それは世界の秩序を脅かしそうな罪悪と見なされかねんが、ファラリス信者にとっては『汝の為したきように為せ』が教義じゃからの。当然、そなたの願いは推奨されることになるのじゃ」

翔花「だったら、ファラリスが正義ね(きっぱり)」

ヒノキ「だけど、ここに新兄さんを恨む者がいて、新兄さんの殺害をファラリス神に誓ったとしよう。そうすれば、ファラリス神はこう応じるであろう。『汝の為したきように為せ』と」

翔花「そんなの許せない。ファラリスが何と言おうと、NOVAちゃんは私が守ってみせる」

ヒノキ「つまり、ファラリス自身は割と無責任というか、信者の自主性を重んじるところがあって、人の感情をルールで束縛することを嫌う。すると、ファラリスの教義を推し進めると、人同士が欲望をぶつけ合い、争い合い、そして強い者が好きなようにする弱肉強食の社会になるだろう、と考えられるのじゃよ」

晶華「個々人の良心や欲望のどちらも肯定するのがファラリスだから、社会のルールに反しても果たしたい願いを持つ衝動的・情熱的なキャラクターを描くには、うってつけの神格なのよね。だから、魅力的な悪役とか、善悪の心の葛藤を描く小説などではスポットが当てられることも多い。

「例えば、昔のソード・ワールド小説の一つ『サーラの冒険』シリーズでは、主人公の少年サーラは純粋で正義感の強い、真っ直ぐな陽性主人公なんだけど、ヒロインのデルが不幸な過去を持つ影ある少女で、自分を助けてくれたサーラの真っ直な気質に惚れ込みつつも、サーラを助けたい気持ちが暴走して、ファラリスの力を受け入れてしまうのよ。闇を受け入れたデルに対して、サーラも彼女に引きずられて光と闇の間で葛藤する流れが描かれて、この揺れる少年少女の心の動きが当時のファンの共感を呼んだんじゃないかなあ」

翔花「それって、ロードスじゃないよね」

晶華「うん。だけど、NOVAちゃんの好きな小説シリーズの一つ。そして、単純な悪とは言いきれないファラリス司祭を描いた物語だと思う。いわゆる悪と見られている存在について、そう単純に割り切ることのできない物語の深みを感じさせてくれるんだけど、こういう物語を描く作者が掲示板管理や議論の進め方については、割と独善的、断罪的な態度を押し通す傾向が見られたことに関して、10年以上前のNOVAちゃんは随分、思い悩んだりもしたそうよ。まあ、もう時効だと思うし、フィクション的な理想と、現実のままならなさについては、本人的に納得もできているし、その上で、作品として面白いという気持ちは今も変わっていないみたい」

ヒノキ「サーラの物語に関してはともかく、深みのある物語を描くには、闇属性だけど、邪悪そのものでないキャラクターは主人公のアンチテーゼだったり、GMがドラマ要素を自分のシナリオに取り入れたり、いろいろと便利な素材と言えよう。まあ、そういう話にプレイヤーたちが乗らずに、単純に勧善懲悪とか、モンスターハッキングな展開を好む場合は、『小説とゲームはまた別物』とも見なせるのじゃが」

晶華「あまり、敵側の事情を考えすぎると、気軽にバトルを楽しめないということもあるわね。大抵のゲームでは、ゴブリンが悪、暗黒司祭は悪で問答無用で倒していい、そうするのがこの世界では普通という定番があってこそ、そうではない側面を提示する小説やリプレイの物語が変化球として個性を輝かせるとも考えられるし」

 

翔花「何が正義で、何が悪かは複雑だってことは分かったわ。だけど、基本的にファラリスは、ロードスの世界では悪い神。そういう扱いでいいのよね」

ヒノキ「暗黒の島マーモが敵対勢力である邪神戦争期までは、それで問題ないじゃろうな。もう一つ、ロードスでは破壊神カーディスという絶対悪的な存在がいて、ファリスVSファラリスの他に、マーファVSカーディスの物語が強調されるのも特徴じゃ。自由という必ずしも悪とは限らない概念に対して、生命を壊し、亡者として穢す命の冒涜者は、明確に生者と相容れない危険な存在と見なせるし」

晶華「吸血鬼を耽美的な闇として、ゾクゾク憧れる性癖も分かるけど、そういうのは陰に隠れているアングラ趣味だからいいのであって、それが公の舞台に上がって、世界を支配するようになれば、また違うと思ったりもする」

翔花「私は吸血鬼なんて嫌い。人の血を吸って、生命をつなげるなんて、邪悪以外の何者でもないと思うわ」

晶華「……お姉ちゃん、今だから打ち明けるわ。私は前に自分が吸血鬼だったこともあるし、今は吸血鬼のお友達だっている。NOVAちゃんだって、別に吸血鬼を否定せずに共存の道を模索しようとしている。あまり、吸血鬼の悪口を言われると、傷ついてしまうなあ」

翔花「……そ、そうなの? NOVAちゃんが受け入れるなら、私も……と言いたいけれど、大地母神に縁する者としては、亡者系には生理的嫌悪感を覚えずにはいられないわね。アキちゃんがカミングアウトした件は複雑だけど、判断は保留しておくことにする。別に、私は吸血鬼ハンターになりたいわけでもないし、だからと言って、はい、そうですかと吸血鬼の全てを受け入れたいとも思わない。もう少し勉強する必要を感じるの。善悪とか、光と闇の葛藤とか、正直、よく分かってないし」

ヒノキ「うむ。自分がよく知りもしないものを、生理的嫌悪感とか、曖昧な理由で断罪して排除することは、わらわも良しとはせん。じゃが、そうと知った上で、自分のスタンスを決める必要もいずれは出て来よう。まあ、わらわとしては、わらわの好きなものを害するような輩は、断固として叩きのめし、焼き尽くすことに躊躇はせんがの、ヒヒヒ」

翔花「ヒノキちゃんも神霊なのよね。そんな単純な考えでいいの?」

ヒノキ「ファラリスもそうじゃが、神というのは総じて、自分の関心事以外には大雑把に判断するものなのじゃよ。ただ、力ある者には大いなる責任が課せられる。何を守り、何を遺し、何を倒せば、自分の管理する世界が理想どおりに治まるか、大局的な視点で考えることも必要となろう。わらわは侵略することを是とせず、守り、育て、できるならば共存することを是とする神霊じゃ。なればこそ、自衛のための戦いを推奨するのみ」

晶華「その辺は、マーファに通じるものがあるのね」

ヒノキ「土地神とはそういうものじゃろう」

翔花「私は、土地神に興味はないけど、NOVAちゃんの守護精霊(ガーディアン・スピリット)として頑張りたいの」

晶華「私は、少し違うかな。NOVAちゃん自身も大事だけど、NOVAちゃんの好きなものを一緒に見聞きし、愛しながら語りたい。それがアシスタントガールなんだと思っている」

 

ヒノキ「ともあれ、ロードスにおける暗黒魔法を紹介しておこう。1レベルでは、相手を盲目状態にするブラインドネスが使える」

晶華「メガネンジャーの敵ね。目が見えなかったら、小説も読めないし、映像作品の鑑賞もできない」

ヒノキ「2レベルでは、相手を毒状態にするポイズンが使える」

翔花「私だって、毒鱗粉攻撃が使えるんだから。どっちの毒が強いか勝負よ」

晶華「私だって、ハイラスおじさんの薬草術から、毒の扱いを学んだわ。毒と薬は紙一重ってね、光と闇と同様に。ところで、毒を癒せる神聖魔法は何レベル?」

ヒノキ「キュアブラインドネスが2レベルで、キュアポイズンが3レベル。暗黒司祭よりも味方の司祭の方が1レベル上の魔法を求められるようじゃ」

晶華「だったら、それまでは毒消しを常備しておいた方がいいわね」

ヒノキ「備えあれば、憂いなしじゃな。そして、3レベルではクリエイト・アンデッドの呪文を使える」

翔花「スケルトンやゾンビを作ったりするのね。やっぱり邪悪だわ」

ヒノキ「4レベルでは、物を腐らせるロッツの呪文が使えるが、微妙にどう扱うか分かりにくい呪文じゃのう」

晶華「納豆を作ったり、チーズを作ったりはできないのかしら」

ヒノキ「発酵食品を作るのが趣味な暗黒司祭か。あるいは、BL同人誌を作る魔法に転用するのもありかのう」

晶華「腐女子御用達の呪文ね。フォーセリアじゃなくて、ファイブリアならあってもおかしくないかも」

コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム

コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム

 

ヒノキ「そして、最高の5レベル暗黒呪文がカースじゃ」

翔花「呪いね。やっぱり嫌らしい奴らね、暗黒司祭って」

晶華「あえて言おう。カースであると」

翔花「今のは、カスとカースを掛けた大変面白いギャグであります」

晶華「お姉ちゃん、ギャグを解説しないで」

翔花「はい、ショーカでしょうか」

ヒノキ「アリナじゃないな」

晶華「何、その言い回し?」

 

鍛治神ブラ

 

ヒノキ「さて、善悪の定義とか、自由に関する哲学論争でややこしくなりそうなファラリスはこれぐらいにして、次は六大神以外の小神から、ドワーフの主神である鍛治神ブラキについて語るのじゃ」

晶華「有名なブラキの司祭って誰がいるかしら?」

ヒノキ「うむ。ドワーフの名探偵デュダ辺りはどうじゃろうか」

ドワーフ村殺人事件 (富士見ファンタジア文庫)

ドワーフ村殺人事件 (富士見ファンタジア文庫)

 

翔花「ドワーフって、知力が低いのに探偵なんて向いているの?」

ヒノキ「能力的には向いていないけど、探偵小説の愛好者じゃから、下手の横好きという奴じゃの。ドラゴンハーフRPG同様、旧版ソード・ワールドのヴァリアントルールの一つなんじゃが、何しろSNE社長のミステリー好きが前面に押し出たシリーズで、ソード・ワールドの世界でコミカル・ミステリーを展開した作品となる」

晶華「元々、デュダさんはドワーフなのにセージ(学者、賢者)というミスマッチをネタにした名探偵オタクなんだけど、せっかくの豊富な精神力を活用するために、ブラキ神官の技能を1レベルだけ習得したのよね。ちっとも、神官らしくないけど」

翔花「それに、ロードスの話なのに、ソード・ワールド小説をネタにしないといけないなんて。ロードスでは、ブラキ神のエピソードって何かないの?」

ヒノキ「ほぼない。ドワーフに焦点を当てた物語か、NPC職人が信仰しているか、アレクラスト大陸でも日常背景にはいるが、表舞台に立つことはそうそうない、堅実な神と言えるか。元は、火山の神で、わらわと無縁でもないが、扱いが地味に過ぎる」

晶華「だけど、今、ブラキの神官を演出するなら『鍛えてます』が口癖のマッチョ神官なんてキャラが人気出そうよね。または、『力の賢者』ってキャラクターもブラキ神官ならいけるかもしれない」

ヒノキ「ブラキの属性が、筋肉を鍛えるボディビルダーの神とか、腹筋崩壊パワーで戦うお笑い芸人の神とか、シンギュラリティを目指すAIの神とか、殺人サイボーグを消滅させる溶鉱炉の神とか、そっち方向のヴァリエーションを生み出すかもしれんのう」

翔花「AIって神さまを信仰するのかしら?」

ヒノキ「アレクラスト産業革命以前の文明レベルじゃから、機械文明は存在しないが、ブラキは鉱工業を司る神でもあるから、遠い未来のアレクラストでは、労働者の神ブラキとか、工場の神ブラキとか、機械神ブラキとか、そういう属性が付与される可能性もあったのかもしれん」

晶華「ソード・ワールドの世界観を、近未来サイバーパンクに転用するとか、そんな可能性もあったのかもね。そうすると、ブラキに焦点が当たる可能性は十分に考えられるわ」

翔花「ええと、私はロードス素人だけど、2人がロードスとは全然関係ない妄想考察に現を抜かしていることは分かるわ。もっと、ロードスに関係する話をしてくれないと」

ヒノキ「おお、すまん。では、例によって、特殊神聖魔法の話に移ろうか。サプリメントで追加された3つの呪文をな」

 

2レベル:センス・メタル

3レベル:フォーギング

5レベル:ヒート・メタル

 

ヒノキ「センス・メタルはMP1で使える、金属感知の呪文じゃ。範囲10メートル以内の全ての金属が分かるので、センサーとして非常に重宝する」

翔花「少なくとも、隠密行動をしている盗賊さんが持つ短剣なんかが分かれば、奇襲を防げるわね」

晶華「隠された金目の物や、金属製の凶器なんかを感知できるなら、探偵としても有能になれるんじゃない?」

ヒノキ「うむ。旧ソード・ワールドでも、センス・メタルは3レベルの神聖魔法で存在しておったが、デュダは1レベル神官じゃから、そういう活用はできなかったようじゃの。助手にして相棒精霊使いリュークにMPを融通するトランスファー係以上の働きは記憶にない」

晶華「次のフォーギングって何? 今までのルールにはなかった新呪文だと思うけど」

ヒノキ「正解じゃ。一言で言えば、金属を鍛えたり、修繕したりする鍛治魔法。金属加工の判定に+20%ボーナスを与えたり、使用済みで壊れた矢を直したり、酸でボロボロになった武器や防具を修復したりすることが可能じゃ」

晶華「武具にダメージを与える特殊攻撃のある世界では、結構、重宝しそう。やるわね、ブラキ」

翔花「ヒート・メタルってのも、いかにも探偵って感じの呪文よね」

ヒノキ「おお、ブラキはマイナーな神だと思っておったが、筋肉を鍛え、探偵向きと考えると、この場では随分と化けそうな神じゃのう」

晶華「そうね。ロードスでは、ドワーフを中心に信仰されて、人間とドワーフの交流があまり盛んでなかったから、目立たなかっただけなのかも。ロードスはマーファ信仰が盛んで、産業の中心が農林業に偏ってきたって設定だけど、平和な日常が続いた100年後では、もしかすると産業構造が大きく変わった可能性もあるわね。ドワーフと人間の交流が盛んになって、人間の職人たちの間でもブラキ信仰が盛んになっているとか、そういう時代になっている可能性も否めない」

ヒノキ「100年後はともかく、ブラキ神殿はドワーフの社会でしかほとんど見られない、というのが、現在のロードスRPGの設定じゃからな。第二次邪神戦争(終末戦争)と、その後の100年間の設定はゲームでは未実装。いずれは紹介されるかもしれんが、その前に小説の続巻が気になるのう」

晶華「100年の間で分かっているのは、ロードスが解放された島と呼ばれるようになって、アレクラスト大陸との交流も以前より盛んになっているということ。何しろ、以前は大陸出身といえば、カシュー王とグラスランナーのマール君しか公式では描かれていなかったのに、新作ではマーモ王家の武術師範にしてイリサ王女の夫であるハレックさんや、魔法使いのテューラさんが大陸出身だと語られている。この2人を通じて、100年後のアレクラスト大陸の様子も触れられるのが楽しみだ、とNOVAちゃんは言っていたわ」

翔花「私はロードスのことも、アレクラストのことも、よく分からない初心者なんだけど、NOVAちゃんが楽しみにしているということは、間違いなく正義ってことね。そして、ブラキさんはヒートメタルから分かるように、正義を愛する探偵の神ってことかしら」

ヒノキ「それは誤解、もしくはただの妄想じゃ。ともあれ、ヒート・メタルの呪文は金属加工の助けになることに加え、戦闘では相手の手に持つ金属武器を熱して、手放さなければダメージを与えるという攻撃呪文に転用できる。ソード・ワールドのルールでは、鎧に対しても掛けることができたが、今回のロードス・サプリメントでは武器に対してしか掛けられなくなっておる」

晶華「弱くなった?」

ヒノキ「いや、そうとも限らん。どちらも与えるダメージが、初歩の魔法のエネルギー・ボルト並みで、継続ダメージという意味では同じ。接敵している相手に対して掛けられて、ダメージ継続には要集中ということで、相手の反撃を受けて集中が途切れれば効果終了。これを使うぐらいなら、より低レベルの攻撃魔法フォースを使う方が効率的と思われる。せめて、ヒート・メタルに射程が10メートルほどでもあれば、格段に使い勝手が良くなるものを」

翔花「接近戦でしか使えないなら、要するにこれね」


Evolution of GOD FINGER (1995-2013) | ゴッドフィンガー | SRW


Sentou Danji ~ Kitae Yo Katsu Tame ni

翔花「つまり、ブラキは武闘家の神、武羅機ということね」

ヒノキ「それも誤解、もしくは、ただの妄想じゃが、ブラキ神官が探偵になったり、力の賢者になったり、ヒート・メタルで爆熱する武闘僧侶になったりする物語も作れるかもしれん。TRPGは自由度の高い遊びじゃからの」

晶華「だけど、それは普通のロードスの世界観とは違うと思う」

 

芸術神ヴェーナー

 

ヒノキ「語れば語るほど、鍛治神ブラキの神格がブレていきそうなので、話を切り替えることにする。さて、次の芸術神ヴェーナーについては、サプリメントにこう明記されておる。すなわち『ロードス島ではほとんど信仰されていません』と」

翔花「だったら、どうしてロードスのサプリメントに登場させるのよ」

晶華「まだ、盗賊の神ガネードを掲載する方が、ロードスの状況に則していると思うわね。これは、ロードスRPGを通じて、アレクラストサプリメントを出すための伏線よ、きっと」

ヒノキ「つまり、これと逆バージョンのサプリメントが出るということか」

晶華「NPCリストに、若き日の剣匠ルーファスさんとか、リウイさんとか、マナ・ライさんとか、ラヴェルナさんとか、スイフリーさんとか、デュダさんとか、歴代ソード・ワールドのキャラを載せて、ロードスRPGのルールでアレクラスト大陸の冒険をできるサプリメントが出たら、NOVAちゃんとハイラスおじさんが喜ぶと思うわ」

ヒノキ「わらわも喜ぶ。『帯にアレクラスト大陸での冒険が再び』とでも書いておれば、往年のソード・ワールドのファンも懐かしい気分になって、ファンのマストアイテムとしてロードスRPGを買うのではないか」

翔花「だけど、それなら発展システムのソード・ワールド2.5でフォーセリアサプリメントを出す方が現実的じゃないかしら」

ヒノキ「ともかく、今はヴェーナー神の話じゃよ。先述のとおり、ヴェーナー神の司祭はアレクラスト出自で、ロードスには神殿もなく、信仰者もなく、原作小説にも登場しておらん。それなのに、どうして、今回のサプリメントに採用されたのか。次のサプリメントで、アレクラスト大陸について広げる予定なのか、と願望的な推測も成り立つわけで」

翔花「ところでヴェーナー神って、吟遊詩人の神さまなのね。ロードスRPGのルールに、吟遊詩人っているの? 騎士、戦士、魔法使い、司祭、盗賊、精霊使いの6職業だけだったような」

ヒノキ「吟遊詩人の使う呪歌は、大陸から渡ってきたグラスランナーのみが習得できる特技として、基本ルール時点で採用されておる。原作小説に登場したマールを再現するためにのう。ヴェーナー司祭は、グラスランナー以外の人間が呪歌を習得できる唯一の職業となっておるのじゃ」

翔花「つまり、呪歌のルールを活用するための職業ってことじゃない? 人間でも呪歌を使えるようにして下さい、という要望が多かったとか」

ヒノキ「でも、これだと神を信仰しないエルフは、呪歌が使えんのじゃな」

晶華「新作小説では、ディードリットさんが吟遊詩人みたいに楽器を奏で、パーンさんの伝承を広めるためにロードス各地で唄った、とある。呪歌を使えるかは分からないけど、芸術神を信仰する以外に吟遊詩人の技能がエルフにも得られるようなルールを追記して欲しいところね」

ヒノキ「まあ、ディードリットはグラスランナーのマールと知り合いだから、個人的に興味を持って教えてもらったとか、見よう見まねで吟遊詩人の技を使っているうちに、それが物になるぐらいの修練を積んだとか、いろいろと説明はできるがの。問題は、ゲームのルールでそれが再現できるかどうかだけで」

晶華「ところで、ソード・ワールドの方ではヴェーナー神の司祭って誰かいた?」

ヒノキ「わらわがすぐ思い出すのは、この作品じゃ」

ヒノキ「この作品は、ナイトブレイカーズというロックバンドを結成しているバード技能持ちの冒険者たちの物語で、その中の一人、サティアが芸術神の司祭なのじゃ」

晶華「ロックバンドってことは、こんな感じ?」


Planet Dance (duet version) - Fire Bomber

ヒノキ「う〜ん、ナイトブレイカーズの登場する『SWアドベンチャー』が雑誌ドラゴンマガジンに連載されたのは1993年9月から96年まで。一方、ファイヤーボンバーの登場する『マクロス7』は94年10月からじゃから、ナイトブレイカーズの方が先になるが、個性的なロック集団がファンタジー世界や未来の宇宙を駆け回った時期がちょうどかぶっているのが面白いのう。残念なことに、ナイトブレイカーズの方は特に後継者を生み出すこともなく、旧世紀の伝承の一つとしてオールドファンに語られるのみじゃが」

翔花「ラクシアにも、ロックバンドって登場しないかしら」

晶華「それよりロードスよ。ロードスにロックバンドの洗礼を」

ヒノキ「ロードスで音楽じゃと、やはりこれじゃろう」


wind fantasia

晶華「NOVAちゃんはOVA派みたいだけど、TV放送された英雄騎士伝の主題歌も貼っておくね」


Record of Lodoss War (ロードス島戦記 英雄騎士伝) op full Kiseki no Umi

 

ヒノキ「とにかく、音楽も含めて、好きな作品を鑑賞する時間は至福そのものじゃ。これこそ正に芸術よ。では、この世に芸術を生み出してくれたクリエイターを神と崇めつつ、ヴェーナーの特殊神聖魔法も紹介するとしよう」

 

2レベル:ルーティン

3レベル:コラボレーション

5レベル:フリータイミング

 

ヒノキ「ルーティンは、定型の美とでも言うべき反復行動を推奨する呪文で、前のラウンドと同じアクションを続けると、成功率+20%される支援効果を発揮する」

翔花「すると、前のラウンドと同じ敵を普通に攻撃すると、20%ボーナスということか」

晶華「目前の敵を倒して、次の敵を狙うと、呪文の効果が終了する。ザコ敵よりはボスとの戦いでメインアタッカーの戦士を支援するのに使うと、効果的って感じね」

ヒノキ「MP2点で、最大10ラウンド継続するから、支援魔法としては非常に効率がいい。とにかく、バカの一つ覚えで殴り続ける戦士を応援する呪文じゃ。そして次なる呪文、コラボレーションも支援魔法じゃが、複数の仲間が術者の指定した同じアクションを行う場合にボーナスが得られる」

翔花「術者が、『みんな、武器で敵を殴れ』と言ったら、その指示に従った人はボーナスを得られて、飛び道具や魔法など違う行動を取った人はボーナスが得られないってことね。どちらかと言えば、軍隊向きの呪文じゃないかしら」

晶華「全軍、一斉射撃! って感じで部隊指揮を行うための呪文よね」

ヒノキ「個人の行動パターンが多様なパーティーには向かない呪文じゃな。逆に近接攻撃キャラの多いパーティーだと、有効かと」

晶華「魔法使いさえもが殴りに行く、突撃戦士の多い戦記リプレイ第2部パーティーなら、いい感じね。オルソンさん、シーリスさん、マール君、セシルさん、フォースさん、シャリーさん、みんな殴りに行くようなイメージがあるわ」

ヒノキ「そこにパーン、ディードリット、そしてカシュー王まで加わるんじゃから、ロードスリプレイ最強の武闘派パーティーと言えよう。合言葉はキル・ケイオスじゃ」

翔花「元ネタが分からないと想像しにくいけど、あまり芸術って感じの神聖魔法には思えないわ」

ヒノキ「要は、これじゃろう」


エヴァンゲリオン ユニゾン

翔花「ああ、なるほど。複数の仲間で連携して、同時に合体攻撃していると思えばいいのか」


FINAL DYNAMIC SPECIAL

翔花「つまり、スパロボの合体攻撃は一つの芸術。それゆえにヴェーナー神はスパロボの神ってことね」

ヒノキ「いや、それもまたもや誤解、もしくは、ただの妄想じゃが、面白ければ何でもいいというのも、また一つの真実であり、芸事の作法であるからして、いちいち訂正せずに、次に行くとしよう。最後のフリータイミングは、呪文使用者の指定したイニシアチブのタイミングで、全員が同時に行動できるようになる呪文じゃ」

晶華「つまり、これね」


第2次スーパーロボット大戦OG 同時合体攻撃

翔花「やっぱり、スパロボじゃない。つまり、ヴェーナー神の司祭は、統率技能を持った指揮官キャラもしくは、JAMプロジェクトみたいな感じかしら」


JAM Project - 守護神-The guardian (Shugoshin-The guardian)

 

そしてラクシアへ

 

NOVA「やっぱり心配になって来てみたが、一体、何の話をしているのですか、ヒノキ姐さん?」

ヒノキ「おお、新兄さん。ちょうど、ロードスの神の話が終わったところでの」

翔花「うん、NOVAちゃん。ロードスって面白いね。ブラキさんが探偵と武闘家の神で、ヴェーナーさんがスパロボの神。しっかり覚えたわ」

NOVA「は? どこをどう解釈したら、そういう話になるんですか?」

ヒノキ「いや、まあ、いろいろと話しているうちに、つながってしまったものは仕方ない。なあに、カシュー王の声が池田秀一さんで、アシュラムの声が神谷明さんじゃから、スパロボにつなげても問題あるまい」

NOVA「問題ありまくりです。アシュラムは、トマホークを投げたりしませんし、ゲッタービームも撃ちません。ついでに、もっこりだってしませんし、牛丼食べながら踊ったりもしません。まあ、世紀末の世界に現れた救世主ということは、もしかするとクリスタニアの神王関係と絡められるかもしれませんが。カシュー王だって、アクシズ落としはしませんし、変な仮面も付けません。とにかく、うちの娘が、ロードスを間違ったイメージで覚えたら、どうするんですか?」

ヒノキ「それもまた一興」

NOVA「いや、一応、昔わずかなりともロードスに公式に関わったことのある身としては、間違ったロードスの話を広めるわけにはいかないんですよ。オフィシャルなロードス設定は、俺が守らないと」

ヒノキ「まあまあ。TRPGは自由なんじゃから、ハウスルールと思って、探偵と武闘家を守護するブラキや、合体攻撃を守護するヴェーナーがいても文句あるまい。そもそも、ヴェーナーの特殊神聖呪文は、どうしてこうも軍隊の統率に向いておるのか?」

NOVA「そんなの俺が知るか。芸術神ヴェーナーの司祭が、戦神マイリーのバトルソングとコラボでもしているんじゃないですか?」

ヒノキ「おお、フォーセリアの世界では、歌と戦いというものはリンクしておるのじゃな」

NOVA「もしかすると、そうかもね。ライディーンラーゼフォンをコラボして、神谷明さんとか、出渕裕さんとか、要素をいろいろ抽出していけば、いろいろとリンクもするだろう。しかし、そういうのは公式設定とは分けて考えないと、翔花が恥をかく」

翔花「大丈夫よ、NOVAちゃん。原作小説もちゃんと読むから」

NOVA「ああ、今度OVAも一緒に見よう。やっぱりディードリットの声は冬馬由美さんじゃないと派だからな、俺は。そしてスパロボで、セシリーやアヤ・コバヤシの声を聞くたびにロードスのことを思い出す俺がいる。

「というか、今、声優関連を検索で調べると、英雄騎士伝のディードリットの声優さんはとっくに亡くなっていたのか。知らなかった。他に、カセット文庫版では、やはり故人の鶴ひろみさんがディードリットをやっていたとか、それとは別に宮村優子版のディードリットもいるとか。あと俺のベスト・ディードリットの冬馬さんが、アニメのグランクレスト戦記ではカーラみたいな役どころのパンドラの声だったことを知って、今、驚いている。アニメは最後まで見なかったからな」

ヒノキ「って、新兄さん。お主がいろいろ混ぜて、どうする?」

NOVA「おっと、好きなもの同士、トリビアとか絡めて、いろいろ混ざってしまうものだな。よし、せっかくの神さまの話だ。最後のまとめとして、ラクシアにも触れておくぜ」

 

★ファラリスとラーリス

 

NOVA「やはり、魔神の神である狂神ラーリスが果たして、フォーセリアのファラリスと関連しているのかどうかが、一番の疑惑だな」

ヒノキ「両者が関連している証拠はあるのか?」

NOVA「完全なる自由を謳っている異界の神という設定で、同一神説が出るには十分だと思いますがね。ラクシアでは、グラスランナーと、魔神と、そして邪神ラーリスが異世界フォーセリアからの来訪者だと噂されている。現在のソード・ワールドでは魔神との戦いに面しているアルフレイム大陸が舞台になり、ロードスでも魔神戦争編絡みのサプリメントが出た。ならば、今後、両方の世界に何らかの接点が見られるような展開を迎えることも想定できるわけですよ。まあ、願望交じりの予想に過ぎませんがね」

 

★ブラキと炎武帝グレンダール

 

NOVA「これは別の神格だが、どちらもドワーフの信仰する鍛治神という立ち位置は同じだな。グレンダールはまた戦神であり、鉄道の神でもあり、かまどの神として料理人にも信仰されており、人間にも信者が多いどころか、アルフレイム大陸のキングスレイ鉄鋼共和国では主神として崇められているそうだ」

晶華「ブラキさんよりも、扱いがいいのがグレンダールさんってことね」

NOVA「ブラキもフォーセリアの工業化が進めば、注目が集まると思うんだがなあ」

 

★ヴェーナーと妖精神アステリア

 

NOVA「芸術を推奨する神という共通点はあるが、ヴェーナーが芸術に対する技巧や調和を重んじるのに対して、アステリアは感性重視、気まぐれで衝動的な楽しさ、即興性を重視すると思われ。真面目に芸術の道を極めようとするのがヴェーナー的な芸術であるのに対し、天性の美意識やら直観なセンス、ノリの良さを推奨するのがアステリア。クラシック音楽の拡張高いオーケストラがヴェーナーで、歌って踊って陽気に楽しくLOVEソングなノリがアステリアってところかな」

翔花「それは曲のスタイルが全然違うわね。私は、どちらかと言えばアステリア寄りだと思うけど」

NOVA「まあ、90年代とゼロ年代の音楽性の違いなんかも反映されているんじゃないか。90年代にはAKB48なんてなかったし、アイドルグループとアーティストの線引きは割と明確だったと記憶する。ティーン向けのアイドルグループはアーティストとは違っていて、ヴェーナー信徒はアーティストの方向性、アステリアの芸術感覚はアイドルも受け入れるって感じじゃないかな」

翔花「つまり、90年代感覚がフォーセリアで、ゼロ年代から10年代の感覚がラクシアってこと?」

NOVA「世界の製作時期からして、そうなるよな。そして、20年代を前にしてフォーセリアの一つ、ロードスが復活して、一方でラクシアも新大陸アルフレイムが軌道に乗り始めたのが現状だ。古き世界が脱皮するのか、新しき世界がどう広がっていくのか、昔を思い出しながらワクワクしているのが、俺の現状だな」

翔花「うん。私も頑張って勉強して、NOVAちゃんのワクワク感について行けるようになりたいな」

ヒノキ&アッキー「それには、まず、ロードスの旧作と新作の両方を読まないと」

翔花「うん、頑張って、ディードリットさんを目指すよ」

NOVA「あ、ああ、まあ、せいぜい頑張れ。高みを目指すのは悪くない」


odyssey

(当記事 完。この後、NOVAはヒノキとゲンブを残して、娘たちを連れて一度、自分の拠点に帰ることになった。その話はこちらへ)