四獣の眷属たち
シロ「アリナ様、お待たせしました。本日のスイーツでございます」
ヒノキ「おお。屋久島名物のたんかんを使ったデザートとは、さすがシロじゃ。たんかんは柑橘系フルーツの一種で、漢字では桶柑とも短桶とも書く。元々は、中国広東省原産の亜熱帯作物じゃったが、明治時代に台湾を通じて日本にもたらされ、奄美大島や沖縄などで栽培されている」
ゲンブ「ポンカンとは何が違うのでござるか?」
ヒノキ「ポンカンはインド原産で、伊予国、今の愛媛で多く作られておる。ミカン、イヨカン、ポンカンが日本の柑橘類の中ではメジャーどころになろうか」
ゲンブ「ポンカンと言えば、ポンジュースの原材料でござるな」
ヒノキ「それは、ちと誤解じゃ。ポンジュースのポンの語源は、日本(Nippon)のポンらしい。さらに柑橘果汁のことをオランダ語でponsと言い、調味料のポン酢の由来もそこから取られたと聞く。ポンカンのポンの字はインドの地名が語源なので、ポンカンとポンジュースとポン酢は同じポンでも全て違う意味ということになるが、結局は柑橘類ということで一括りにできそうじゃ」
ゲンブ「それで、ポンカンとタンカンの違いはどこに?」
ヒノキ「タンカンは、ポンカンとネーブルオレンジの交配種で、より甘みが濃いと聞く。ただし、皮がむきにくいのが難点だともな」
リトル・セイリュウ「さすがはアリナ様。物知りなんですね」
ヒノキ「な〜に、精霊ネットで手に入れた知識に過ぎん。セイリュウの子よ、おぬしもしっかり勉強して、修行して、父親に負けない立派な男になるんじゃぞ」
ゲンブ「うむ。我々は長らくセイリュウが裏切ったと誤解しておったが、この地球を守るために汚名を受けても戦い続けていた誇り高き戦士だったと知って、反省しておる。下手な風評に惑わされてはいかんでござるな」
ヒノキ「それは、わらわのせいでもある。セイリュウ自身に口止めされていたとは言え、多くの地球怪獣がエイリアンXに操られていた不名誉を打ち明けることもせず、失踪したセイリュウの名誉を守ることもできなかった不甲斐なさよ。まさか、目と鼻の先の屋久島で、人知れず戦っておったとは」
シロ「師匠は、ボクの恨みや怒りに対して、何の言い訳もせずに、ただ気持ちを受け止めた上で、稽古をつけてくれました。だから、リトルのことはボクがしっかり守らないといけないんです」
ヒノキ「シロや。前も言ったように、お前は少し思い詰めすぎるところがある。セイリュウの子のことも、お前一人で抱え込むものではない。わらわたちにも、かつての友の忘れ形見として、しっかり面倒をみる責務、いや権利があるのじゃよ」
ゲンブ「我も子どもは大好きだからな。お前も大きくなって、粉杉殿といずれ再び旅をする日が来るであろう。セイリュウの子は我らに任せて、お前は自分の進むべき道を進めばいいぞ」
シロ「ボクの進むべき道……それは一体?」
ヒノキ「今は落ち着け。まだ屋久島から帰って来たばかりなのじゃから、そう急ぐ必要はない。それに……お前がまたすぐに旅に出たら、わらわのスイーツは誰が作ると言うのじゃ? お前の一番為すべきことは、そのスイーツ作りの技をリトル・セイリュウに託すことと心得よ」
リトル「ええ? リウがスイーツ作りをするんですか?」
ヒノキ「リウ?」
リトル「あ、すみません。自分のことを昔はリウって言ってたんです。リトルがきちんと発音できなくて。今でも、ついつい気が抜けて甘えてしまう時には、リウって言ってしまったり」
ヒノキ「良い良い。ここでは甘えて、リウと言ってもな。セイリュウの子じゃから、リュウであることは間違いないしのう」
リトル「ええ、アリナ様。父からは厳しい方だと聞いておりましたが、本当はお優しいんですね」
ヒノキ「何を言うか。わらわが優しいのはきちんと自分の仕事をする者のみじゃ。戦いのない平時においては、手に職を付けるのも大事。まずは、シロからクッキングの仕方を学び、わらわのパティシエ2号になるがいい」
リトル「分かりました。シロ兄さ……いや、シロ姉さん。スイーツ作りの技を、リウに教えて下さい」
シロ「ああ、パティシエ修行の道は厳しいぞ。まずは、食器洗いからだ。すぐに行くぞ」
ヒノキ「だから、落ち着けと言っておるのじゃ。まずは、せっかくのスイーツ、みなで味わうとしよう。新兄さんとコナっちゃんと、ケイPも呼んで来るといい」
青き勾玉
NOVA「タンカンかあ。何だか懐かしいなあ」
翔花「NOVAちゃん、知ってるの?」
NOVA「俺の父親の田舎は奄美大島でな。幼少期には、サトウキビとかタンカンが送られた記憶もあるが、ずいぶんと食べていなかったんだよ。田舎の味を食べていなかったんだ」
ケイP『これは、田舎といなかったを掛けた高度なギャグでございます。はい、NOVAでNO!』
NOVA「ギャグを説明するな。まったく、令和の時代に馴染ませようと思って、ゼロワンを見せたら、変なところを覚えやがって」
翔花「そうよ。NOVAちゃんのギャグを説明するのは、私の仕事なんだから」
NOVA「いや、だから説明せんでいい。俺は社長でも、お笑い芸人でもないんだから」
翔花「だけど、今のプリキュアの戦闘員のノットレイって、顔にNOって書いているから、まるでNOVAちゃんみたいね」
NOVA「俺の顔には、NOって書いてないし。ジオウじゃないんだから、顔に文字を書いたりするもんか」
翔花「だったら、NOONって書いて、眼鏡に見立てるとか」
NOVA「顔文字かよ。だったら、ーOOーで普通にいいだろうが。10月1日はメガネの日なんだしよ」
ヒノキ「やれやれ。新兄さんとコナっちゃんはずいぶんと賑やかなんじゃのう」
NOVA「いや、俺は本来、寡黙でハードボイルドを目指す冷静沈着クールガイなキャラなんですよ。これだけテンション高いのは、翔花に合わせているだけで」
翔花「え、私のせい? 親の不始末を娘のせいにするなんて、令和のNOVAちゃんはずいぶんと卑怯なキャラになったのね。私はそんな親に育てた覚えはないわ」
NOVA「いや、こっちこそ、お前に育ててもらった覚えはないよ。大体、そのセリフは普通、親が言うものだろうが。俺はお前をそんな娘に育てた覚えはないって」
翔花「そうよ、私はNOVAちゃんに育ててもらっていないもの(涙目)。3月に生まれたと思ったら、5月に修行に行けと追い出されて、NOVAちゃんの家に一緒にいたのはたったの2ヶ月よ。それから1年以上、たまに会うぐらいで、基本的にNOVAちゃんと離れ離れな生活。こんなに放任されて、親が子どもを育てたって言える?」
NOVA「うわ、何だか責められてる? ええと……すまないな、翔花。俺がダメな父親で。そうとも、時空魔術師だ、言霊魔術師だと威張っていても、俺は娘のおむつさえ替えたことがないんだ。あのターミネーターさえ、クリーニング屋のカールおじさんになって、家庭を持って赤ん坊のおむつを替えていたってのにな」
翔花「何の話よ、何の。大体、花粉症ガールにおむつなんてない! 排出しないんだから、必要ないのよ」
NOVA「排出しないのか? だったら、今、食べているタンカンスイーツは、どのように消化されるってんだ?」
翔花「それは……花粉症ガール七不思議の一つよ。花粉症ガールが食べたものは、体内花粉に生成されて花粉症バスターや花粉分解のエネルギー源になるの。戦闘しなければ、光合成だけで生きていけるんだけど、活発に動くには相応のエネルギーも必要なんだから」
NOVA「そうなのか、ヒノキ姐さん?」
ヒノキ「わらわに振るな、わらわに。同じ花粉症ガールでも、わらわとコナっちゃんは違う種のため、基本的に光合成だけで生きていけるコナっちゃんの体質の全てが分かるわけではない。何しろ、わらわは花粉分解などという技を持っておらんからな」
翔花「そう言えば、ヒノキちゃんが花粉分解を使ったことはないわね」
ヒノキ「避けるよりも、敵の攻撃を弾き返す方が早いからのう。攻撃は最大の防御じゃよ」
翔花「攻撃が通用しない時は、どうするの?」
ヒノキ「炎が通じなければ、風。それすら通じなければ、結界に封じ込めたり、時空の彼方に放逐するなり、打つ手はいろいろある。普段使う技とは別に、切り札は複数用意しておくものじゃよ」
翔花「ああ、複数の技を持っていれば、連続で多彩な攻撃を放ったり、組み合わせたりして相乗効果を発揮できるものね。ヒノキちゃんから学んだ九九の剣技はかなり役に立ったわ」
ヒノキ「うむ。九九は掛け算の基本じゃからな」
翔花「そうそう、掛け斬ね。一掛け、二掛け、三掛けて、仕掛けて、殺して、日が暮れる。まさに、必殺奥義って感じで、スペースG相手に良い仕事をしたわ」
ヒノキ「ならば、次は割り算じゃな」
翔花「え? 割り斬? つまり、電光剣唐竹割りってこと? それとも、グレート動輪剣・真っ向唐竹割り?」
NOVA「あのう、横で聞いていて、いろいろツッコミ入れたいのだが。これは、算数と剣技を掛けた高度なギャグですって説明すればいいのか? はい、翔花でしょうか」
ヒノキ「アリナではないな」
GGGGGG
NOVA「ん? 何の音だ?」
リトル「大変です。父の形見の勾玉が光って唸って、轟き叫んでいます」
NOVA「それは爆熱しそうなのか?」
リトル「いえ、真っ赤には燃えていません。むしろ、青い光で……あっ」
NOVA「何だと? 勾玉がリトルの手を離れて、俺に向かって飛んでくる? 止めて助けて、止めて助けて、止めて助けて、うわーーー」
GWHINOVAAAANGGGG
青い勾玉がNOVAの体に融合す。
セイリュウinNOVA『やれやれ、さっきから騒がしい。とりあえず、潜在魔力の最も高そうな体を選んでみたが、この男が例の時空魔術師か? 花粉症ガールの父。肉体的には、脆弱そのものだが、今は贅沢を言うまい』
シロ「え、もしかして師匠ですか」
リトル「父さん?」
NOVA「いや、俺はシロちゃんの師匠じゃないし、リトルの父じゃない。翔花の父だ」
セイリュウ『ほう。意識を失わずに保っておるとは。だが、今はこの体、借りるぞ。皆にいろいろと伝えねばならぬことがある』
NOVA「何で、俺の体なんだよ? ここにはいっぱい使える体があるだろうが」
セイリュウ『今から伝えることは、怪獣界に関わる大事でな。ここにいるのは、我が息子のリトル以外に、ラドン、ガメラ、シーサーの子に、モスラ、ドゴラと怪獣の眷属ばかり。その中にあって、お主だけが怪獣とは無縁な只の人、ここでは部外者とも言えるのでな』
NOVA「怪獣界に関わる大事だって? だったら、俺にも聞く権利があるはずだ。怪獣ファンを続けて40年以上の年季の入った男なんだよ、俺は。部外者なんて、哀しいことをおっしゃらずに、是非とも聞かせてください、神さま、いやGODZILLAさま」
セイリュウ『聞くだけなら黙って聞いていればいい』
NOVA「あっ、だったら、ちょっと待って。おい、ケイP。今からの会話と映像をしっかり録画しておくんだ。俺がゴジラの霊に憑依されて、何だか凄いことを語り出す瞬間をよ。後で、自分でも見てみたい」
青きメガネ
NOVA(ふう、ゴジラ相手にいきがってはみたが、やはり魂の大きさが違いすぎる。かろうじて意識は保てているが、このままだと俺の魂がゴジラに融合されてしまうんじゃないか。そう考えると、イマジン4人と渡り合った電王の良太郎や、トライスクワッドの3人の魂を受け入れているヒロユキって、凄いんだな。とりあえず、自分の魂の保護のために、ブルーアイズに思念を預けてっと)
セイリュウinNOVA『さて、何から話せばいいか。それにしても、この目に付けている飾りが邪魔だの。こんな物は、わしには必要ない。ポイッ』
NOVA(って、ちょっと待て、おい。俺のブルーアイズを雑に扱うな!)
翔花「キャー、NOVAちゃんが割れちゃう。KPちゃん、ブルーアイズを受け止めて」
ケイP『了解です。ケイP・テンタコー、触手を伸ばして、マスターNOVAのメガネを華麗にキャッチするであります』
NOVA(ふう、助かったぜ、ケイP。まさか、ゴジラの魂に体を乗っ取られて、宿ったメガネをポイ捨てされて、あわやWhite NOVA割れて死亡、なんてオチを迎えそうになるとは、さすがの俺も読めなんだわ。日常生活での事故ってのは、どんな形で起こるか分からないから恐ろしい)
翔花「もう、セイリュウさん。命よりも大切なNOVAちゃんのメガネ、そんなに雑に扱ったらダメじゃない。もう少しでNOVAちゃんが割れて、私が嘆き悲しんで、時間を巻き戻すために令和の時代を終わらせることになっていたかも知れないんだから」
セイリュウ『いやいや、すまん、モスラの眷属よ。何しろ、わしは生まれてこの方、メガネというものを掛けたことがないのでな。人にとって、メガネというものが命よりも大切だとは思いもよらなかった』
翔花「NOVAちゃんにとってのメガネは、ウルトラマンさんにとってのカラータイマーみたいなものなの。破壊されたら、命に関わるぐらいの重要アイテムなんだから」
NOVA(そんなわけあるか。今はたまたま、メガネに思念を移していたから、ピンチだっただけで。おい、ケイP、ブルーアイズを装着してくれ。俺と魂で契約したお前だったら、俺の思念を受け止めて、ケイPブルースタンドにだってなれるはず)
ケイP『了解しました、マスターNOVA。ブルーアイズ・セットオン』
KPNOVAAAAN
NOVAの思念がケイPマーク2に憑依す。
NOVAinケイP『ふう、さすがにメガネのままじゃ、喋れないからな。魂で契約している翔花とケイPとしか意思伝達できないんじゃ、誰か(とりわけ翔花)がおかしなことを言ってもツッコミ入れにくいし』
ヒノキ「ええと、新兄さんにコナっちゃん、さっきから何が起こっているのじゃ? 何やら魂を通じた怪現象が発生しているらしいことは、薄々感じとれるんだが、詳しく説明してもらえんかのう」
セイリュウ『久しぶりだな、スザクよ』
ヒノキ「その口調。新兄さんの声で喋っておるが、もしかして、本当にセイリュウか? 屋久島で死んだという」
セイリュウ『そう、死んで魂だけとなった。その欠片がリトルに託した勾玉、7つあるGソウルの一つ、ブルーソウル。今年はG誕生65周年記念ということで、魂の力も今だ漲っておる。ゆえに、こういう形で時空魔術師の肉体を借りて、一時的に意思を伝えることもできるという次第』
ヒノキ「ならば、新兄さんはどうなってるのじゃ」
翔花「NOVAちゃんの魂はメガネになって、KPちゃんと合体したの。これからはKPちゃんをNOVAちゃんと思うといいわ」
NOVAinケイP『あくまで、一時的なものだからな。俺の魂は俺のもの。俺の体も俺のもの。ですから、ゴジラ様、後で俺の体はちゃんと返して下さいね』
セイリュウ『分かっておるわ、時空魔術師。しかし、そのように魂を自在に移せるとは、只の人だと侮っておったが、なかなかどうしてやりおるわい』
NOVA『まあ、一応、イモータルとして研鑽中の身ですし。あ、それとゴジラとメガネって無縁だと思っていたけど、世の中にはこんな物もあるんですね。今、検索して驚いたりも』
セイリュウ『ほう、5年前か。わしの知らない間に、このような物が出ていたとはな。ならば、これからはゴジラの眷属もメガネを掛けて、メガネゴジラになればよいのか』
翔花「あ、それはいい。そして、セイリュウさんもメガネンジャーの一員になったらいいと思うのよ。みんなで広げよう、メガネの輪」
セイリュウ『うむ。その昔、ちょっとしたオシャレと思って、角を付けたり、エリマキを巻いたりもしたが、いまいち調子が出なくての。これからは怪獣もメガネの時代か?』
NOVA『そうかもしれません。何しろ、ウルトラマンのラスボスである宇宙恐竜ゼットンまで』
セイリュウの遺志
ヒノキ「メガネの話に夢中になるのもいいが、何か伝えることがあるのじゃろう、セイリュウよ」
セイリュウ『うむ、スザク、そしてゲンブ、ビャッコ。長らく連絡を絶やしてしまい、心配かけたようで済まぬ。だが、わしはガイア様の結界の中にいた故、連絡の取りようもなかったことを理解して欲しい』
ゲンブ「事情は承ったでござる。しかし、不思議なのは、セイリュウの噂が屋久島以外の地からも聞こえてきたこと。ある時はアメリカの地で、また、ある時はシンの世界で。あれらは一体?」
セイリュウ『うむ、今のこの世界にはGの欠片が7つある。ファイナルウォーズの後、わしはまたも宇宙より飛来したギドラと戦うことになり、その際に、わしの膨れ上がった力が分裂することとなった。一つはわし、もう一つはリトル、そしてまた一つはゴールドソウルとしてギドラと融合しながら奴を封印し続けておる。残り4つのソウルの所在はわしにも不明だが、屋久島以外で活動しているGの眷属は、それらのソウルの生み出した存在と推測される』
ヒノキ「つまり、屋久島のセイリュウは、7つに分裂したGの一体じゃったか」
セイリュウ『そう、Gソウルを持った眷属はわしとリトル、そしてギドラの3体。さらに、残り4体のGソウルを集めてこそ、真の怪獣王が誕生する。リトルよ、お前はまず己の中に宿る力、レッドソウルを鍛えて強くなれ。その後のことは、お前の意思で決めるといい。7つのソウルを全て集めて、怪獣王を目指すも良し。戦いを避け、静かに暮らすも良し。お前自身の人生ゆえ、父は修羅の生き方を強制することはせん。
『しかし、他のGの眷属がお前の存在に気づき、お前の中のGソウルを奪おうと狙ってくることは考えられる。それ故に、お前は自分自身、そして自分の愛する者を守るために、自身を鍛えねばならぬのだ』
リトル「分かりました、父さん。リウは、ぼくは頑張って強くなります」
セイリュウ『ということだ、スザクよ。お前には昔から世話になって来たが、改めて頼むことになる。我が息子を守り、鍛えてやってくれ』
ヒノキ「あい分かった。リウの持つのがレッドソウルということなら、赤の力はわらわの司る属性。わらわの弟子として、育てることを約束しよう」
ゲンブ「当然、子を守るのは我の務めでもある」
セイリュウ『ゲンブよ。お前との決着、いまだに付けられなかったことが心残りよの。お前が消えて、ケンカ仲間のアンギラスが一時期、ゲンブの座を受け継いだが、ファイナルウォーズの戦いでキングシーサー、ビャッコと共に倒してしまった。あの時、お前があの場にいれば、と思ったりもしたが』
ゲンブ「ああ、我もその場にいたかったが、過去を悔いても詮無きこと。それよりも、旧き友の魂とこうして和解できたことが今は嬉しいでござる。お主の忘れ形見は、しっかり守り通すゆえ、あの世でも安らかにな」
セイリュウ『うむ。そして、新たなビャッコたる乙女よ』
シロ「はい、師匠」
セイリュウ『死ぬ間際に、お前に何かを伝えることができたこと。これであの世にいる、そなたの父にも顔向けできるというもの。お前から父を奪ったこと、すまなかったな』
シロ「いいえ、師匠。一時期は師匠の気持ちも察せず、お恨み申し上げておりましたが、それでもボクを受け止めてくれ、奥義を伝授してもらったこと、感謝してます。これからも、父の、そして師匠の遺した想いを受け継ぎ、しっかり守って行きたいと思います」
セイリュウ『ああ、それならば、時空魔術師よ』
NOVA『え、俺ですか』
セイリュウ『うむ、花粉症ガールの父にして、未来の神の親、あるいは時の魔王を自認する者よ。そなたにシーサーの子の師匠役を務めてもらいたい』
NOVA『いや、俺は武術は空っきしですし。師匠役はヒノキ姐さんがいるでしょう』
セイリュウ『武術ではなく、時空魔術を伝授してもらいたいのだ。お前の娘、粉杉翔花はモスラの眷属の力を得たものの、一人では制御することもできぬようだ。ならば、パートナーに抑え役が必要とは、ガイア様も仰っていた。その役をこなせる者は、プリンス・シーサーを置いて他にないと考えるがどうか?』
NOVA『ああ、確かに、未来から来た翔花はシロちゃんと一緒だったしな。分かりました、他ならないゴジラ様が俺に頼んで下さるというのなら、それに従わないのは、怪獣ファンの名がすたるというもの……って言うか、俺の体で俺に頼むって、何だか俺が独り相撲をとっているように思えるんですけど』
セイリュウ『だったら、こう言おうか。ドゴラの眷属よ、我が時空仙人の命に従え』
NOVA『ケピッ? 分かりました、マスターG。キング・オブ・ザ・モンスターズの名に従います……って思わず、強制力を働かされてしまったよ。うう、ゴジラ様の威厳には、作者であっても抵抗できません。滅亡迅雷netに接続してしまったヒューマギアって、こんな気持ちなのか? 怪獣王に命令されたら、大抵の怪獣はその威厳に屈服してしまうよなあ』
セイリュウ『うむ。本当はお主のような脆弱な只の人間に託すのは、不安なのだ。せめて、もう少し体を鍛えよ。破壊光線一発ぐらいには耐えられるほどにはな』
NOVA『そりゃあ、鍛え上げたウルトラマッスルだったら可能でしょうけどね』
翔花「大丈夫よ、NOVAちゃんの命は私が守るから」
セイリュウ『娘にこのようなことを言わせるとは、どうにも不安な男だが、やむを得まい。ともあれ、時空魔術師よ、決して死んではならぬぞ。お主の死は、この世界の滅亡につながるゆえ』
NOVA『分かりました。俺が死なないために、俺を守ってくれる者たちをしっかり育成しますので。それが俺の生きる道』
セイリュウ『ではな。我が魂はガイア様の御許で、大地と一体化しよう』
NOVA『なるほど。こうして、遠い未来でゴジラ・アースが誕生したりするんだな』
シロの進路
NOVA「ふう。ゴジラ様が去ったおかげで、ようやく自分の体に戻ることができたぜ。あ、リトル君、ブルーソウルの勾玉を返すから。大事に持っているんだよ」
リトル「ありがとうございます、時空魔術師さま」
NOVA「何だか、そういう称号で改まって呼ばれると、恥ずかしいなあ」
ヒノキ「それはそうと、新兄さんはコナっちゃんだけでなく、シロまで連れて帰る気なのか?」
NOVA「いや、その辺をどうしようかと考えている。こっちで晶華の修行をつけてもらっているみたいに、お互いの塔で弟子を行き来させればいいんじゃないかな。翔花には、しばらくアシスタントガールとしての仕事をさせようと思っていたけど、シロちゃんにもそれに付き合ってもらう形で、花粉症ガール創作設定でも記事書きしてもらおうかな。何しろ、うちの翔花はケイPのフォローがなければ字も書けないし」
翔花「そんなことはないよ。あれからいっぱい練習したんだから。毎日、粉杉翔花って何回も書写し続けて、自分の名前だったら漢字で書けるようになったんだし」
NOVA「いや、自分の名前だけ書けても、記事書きはできないでしょ。その点では、まだまだ妹の晶華には及ばないわけで」
翔花「私だって頑張って、NOVAちゃんのアシスタントガールをこなせるようになるもん」
シロ「だったら、ボクもしっかり時空魔術の修行をして、翔花のアシストをできるようにしないとな」
リトル「それなら、リウもしっかりクッキングの修行をして、シロ姉さんの代わりのパティシエを目指す」
NOVA「まあ、みんな頑張ってくれよ。その間に俺はGソウルの情報でも集めるとしようかな。そのうち、ギドラとか他のGの眷属がリトルを狙って攻めて来るかもしれないし、GファイトレディGOって展開になる可能性もあるしな」
ヒノキ「その前にゴブスレファイトじゃと思うがな」
NOVA「まあ、一つ一つ順番に片付けていくってことで」
(当記事 完)