花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、D&Dを中心に世紀末前後のTRPGの懐古話を不定期展開中。

剣の世界の神様たち2版(SW2.5編その4)

前回のあらすじ(みたいなヒノキちゃん語り)


花粉症ガールV3こと日野木アリナ(旧名・南郷阿里)はTRPG好きの女の子。
って、のんびり自己紹介している場合じゃないな。


昨日の記事の話じゃ。
わらわとコナっちゃんは、キャッキャウフフとソード・ワールドの神様の話をしておったのじゃよ、ヒヒヒ。


ふむ。
昨日の記事は何かが足りんと思っておったが、景気づけのヒヒヒ笑いが足らなかったのじゃな。
だからか知らんが、話の途中で、コナっちゃんが「名もなき狂気の神」に取り憑かれそうになりおった。
恐るべきは、名もなき狂気の神。何でも、新星殿ですら、近ごろ狂気の神に取り憑かれ、正気を取り戻すのに多少の時間を費やしたと聞く。
今年の夏の異常気象は、各地において時空の乱れと狂気の嵐を発生させているのかもしれんの。


天変地異と人心荒廃とは、すなわち時代の転機にあって、世界の理を破壊する魔王の復活が近いことを示唆しているのやも知れぬ。
そうなる前に、我らは新時代の勇者となる存在を育成せねばの。
その一人こそ、コナっちゃん、すなわち花粉症ガールの粉杉翔花シスターズであろうと、わらわは踏んでおる。ふむ、妹の2号の方も、そろそろこっちに来てもおかしくないはずじゃが、新星殿は一体、何をしておるのじゃ。
よもや、関西の方でも何やらトラブルが発生しておるのか?
6月には地震もあったそうじゃが、その後の記録的大豪雨と、異常な高熱ぶりと、不可思議軌道の台風とで、きれいに忘れられてしまったようじゃからな。


京都では、魔王・信長の甲冑武者の形をした巨大怪物体が暴れたと聞くし、
その後は、異世界京都でEVA型新幹線変形ロボが出撃して、キングシトエルなる融合モンスターと第3新東京市という名の箱根で交戦したとも聞く。
プラレール 新幹線変形ロボ シンカリオン 500 TYPE EVA
箱根といえば芦ノ湖
芦ノ湖といえばビオランテ
ゴジラ ムービーモンスターシリーズ ビオランテ
ビオランテといえば植物と少女のコラボということで、花粉症ガールゆかりのモンスターなのじゃが、わらわにとっても思い出深いモンスターで……と語り出すと、話が一向に進まん。


迫り来る狂気の魔の手を退けるには、何よりも心を強く持つこと。
一意専心、己が為すべき重要な一つのことに心を集中し、他の雑念を排すべし。
そう、記事の目的からして、ラクシアの神について語るべきところを、ファラリス、すなわち狂神ラーリスの話から始まったところから、狂気は襲来していたと言えよう。
狂気を振り捨て正気に返るには、本来の歩むべき道を確実に踏みしめて、そこにのみ集中することじゃ。
これ、すなわち、ルールブックの基本に則ること。


こうして、神の研鑽を仕切り直すことに至ったわけじゃよ、ヒヒヒ。


ラクシアの基本的な神


ヒノキ「ケイPや。先程のフォーセリアの時のように、ラクシアの神々リストは示せんかの。基本ルールにあるだけでいい。多すぎると、初心者プレイヤーが困惑するじゃろうから」

ケイP『2.0版なら一応はインプットされてあります。2.5版は無理ですが』

ヒノキ「それで良い。2.5版はわらわが補うとしよう」

ケイP『分かりました。では、こういう形で』

ラクシアの神々(2.0版ルールブック1より)

★古代神(エンシェント・ゴッド。最も古い神格の神)

1.始祖神ライフォス(第1の剣):ラクシア最初の神にして、神々の王(異論を唱える者あり)。調和と友愛を重んじるが、蛮族には裏切られ、長年の確執のために手厳しい。人族の主神として、都市を中心に信徒が多い。

2.太陽神ティダン(第1の剣):ライフォスの腹心の友。太陽の光を司り、アンデッドを嫌悪する。誇り高い戦士や、太陽に恩恵を感じる地方の農夫に信徒が多い。

3.戦神ダルクレム(第2の剣):ライフォスを裏切り、神々の戦争を引き起こした蛮族神。力の解放と破壊を司り、弱肉強食を推奨する。蛮族の主神であるため、一般的なプレイヤーは非推奨。敵役を主人公とする変わったプレイを望むなら。

4.賢神キルヒア(第3の剣):知識の探求と魔術の研鑚を推奨する中立神の筆頭。学者や魔術師、研究者に信者が多く、積極的な冒険での探索行も奨励している。

★大神(メジャー・ゴッド。古代神の導きで神格を得た神)

5.騎士神ザイア(第1の剣):ライフォスに仕えた筆頭志願騎士が転生。弱者を守る秩序と調和の戦士。守るために戦うことを旨とし、守護騎士や官憲に信徒が多い。

6.月神シーン(第1の剣):太陽神ティダンの妻とされる女神。夫の代わりに夜の光を司り、眠りや安らぎを守る一方で、夜の職業(盗賊や娼婦など)に信仰される面も。

7.風来神ル=ロウド(第2の剣):自由と幸運を司るトリックスターの神。盗賊やギャンブラーに信徒が多く、第2の剣の神格にしては蛮族のみならず、人族にも広く信仰される。自由で縛られない性格ゆえ、人族のために行動したり、蛮族のために動いたり、奔放な逸話が多い。

★小神(マイナー・ゴッド。神格を得て日が浅い、地方限定のローカル神)

8.水の神ルーフェリア(第1の剣):騎士神ザイアに導かれた少女神。水と停滞を司り、フェイダン地方の「湖の王国ルーフェリア」の主要な土地神。2.0最初のリプレイで、NPCヒロインとして登場。無印SWと違い、神々が人の姿の分体で現世に出現し得るラクシアの世界観を提示した。現在は、二人の少女ルーとリアの姿で、それぞれの生活を営んでいる。

翔花「質問。第1の剣とか、それは一体、何?」


ヒノキ「それは、ソード・ワールドの根幹設定に関わるな。そもそも、どうしてソード・ワールドという名前なのか。
「旧版では、魔精霊アトンを倒すための切り札が『ファーラムの剣』という名前で、それを探索するのが冒険者の究極の目的として提示されたが故に、ソード・ワールドと呼ばれた。その目的を小説『魔法戦士リウイ』の物語で達成したことで、旧版ソード・ワールドは終了したという経緯になっている。可能なら、その『ファーラムの剣』探索の物語は、プレイヤーが物語参加できるキャンペーン・シナリオとして出版すれば、多くのファンを納得させられたのかも知れんがの。
「根幹物語の原作者である水野良氏は、自分で提示した物語設定を、ゲームでは放置したまま、自身の小説内でプレイヤーの手の届かないところで終了させてしまう傾向があって、それを不満に考えるプレイヤーもおる、ということじゃ。
ソード・ワールドが初期において展開を参考にしたというAD&Dドラゴンランスでは、小説とゲームシナリオの連動という形で密接にサポートしたものじゃが。日本では当時のTSRの会社規模との違いでそこまで手が回らなかったのか、小説で発表した物語をゲームシナリオで再現すること(あるいはその逆)に創り手が意欲を持たなかったのか、必ずしも上手くリンクさせられなかったようじゃの。もちろん、コンピュータゲームやアニメとの連動の方で、TRPGとは違った形でメディアミックス的なリンクは達成できたと言えようが、原作者の方も、90年代においてロードス、ソード・ワールドクリスタニアの三つの物語を同時に展開させるのは非常に困難だったということじゃろう。そうしているうちに、TRPG冬の時代到来って流れじゃ」


翔花「ええと、肝心の質問内容に答えてもらっていないんだけど。そういう遠回りな説明って、NOVAちゃんみたいだね」


ヒノキ「おお、これは済まん。当時を知る者じゃと、いろいろ込み上げてくる思い出があっての。無駄に話し込んでしまったわい。そうして、時代は流れて今より10年前、水野良氏のソード・ワールドは若手のクリエイターに引き継がれ、新たな世界ラクシアと共に再出発したわけじゃ。そこでの剣の意味は、触れた者に神格を与える三本の魔剣の物語から始まる。つまり、ラクシアは剣が生み出した世界というのが根幹設定となる。
「第1の剣はルミエル。人族を守護する剣じゃ。単純に考えるなら、秩序と善の象徴と言えよう。
「第2の剣はイグニス。蛮族を生みし剣じゃ。破壊と混沌の象徴と言えような。
「そして、二つの剣の激突による神々の大戦を憂えたのが、第3の剣のカルディア。自らの身を砕くことによって、世界中にマナと呼ばれる魔素をばらまくと共に、神々の大戦を終了せしめた。この剣からは、中立の神々と穏和な性格の少数異種族が生まれておる。
「三つの剣の名前は、それぞれ2.0版の追加ルール・データ集のタイトルにも冠せられ、ゲームを豊かにしてくれるな」
ソード・ワールド2.0 ルール&データブックカルディアグレイスソード・ワールド2.0キャラクター&データブックイグニスブレイズソード・ワールド2.0アイテム&データブックルミエルレガシィ (ゲーム関係単行本)

翔花(感想。NOVAちゃんに負けず劣らず、ヒノキちゃんも話が長い。年を重ねると、みんな、こうなるのかな。だけど、これだけ物知りさんとお喋りするのは嫌いじゃないんだけどね。ついて行くのは大変だけど、私のことを考えて教えてくれているんだから、しっかり身に付けないと。だけど、全部は覚えられないから、その時はKPちゃん、私を助けてね)
ヒノキ「どうした、コナっちゃん? 目を虚ろにして。もしや、また狂気に襲われているのか?」
翔花「いや、そうじゃないけど。ちょっと疲れたかなって。ヒノキちゃんも喉が渇いたりしない?」
ヒノキ「ふむ。言われてみれば、水分補給はしっかりしないと、熱中症で倒れてしまうやもしれぬ。わらわはともかく、コナっちゃんにもしものことがあれば、新星殿に申し訳が立たぬ。よし、ここらでティータイムとしよう。シロや、ドリンクとデザートの準備はできておるな」
シロ「(シュパッと参上)今ここに。🍹🍹🍧🍧」
ヒノキ「ケイPにも、かっぱえびせんを」
シロ「承知」
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ケイP『おお。この私にも、このようなサービスをしていただけるとは』
翔花「シロちゃん、ありがとう」
シロ「礼には及ばん。ボクは自分の仕事を果たしているだけだ。お前もせいぜい頑張って、キャラを作れ。何時間かかっても(正直、時間をかけ過ぎだと思うが)、何日いや何週間を費やしても、必ず使命はやり遂げろ。それと、お前がボクをシロと呼ぶな。ボクはビャッコだ、粉杉翔花。正式名称はByplay Acolyte。そう確かに名乗ったはずだ」
翔花「ええと、ビャッコちゃん……って言いにくい。バイちゃんも何か変。アコライトのアコちゃんが可愛いかな? うん、それで行く、アコちゃんね」
シロ「ボクはブルースワローじゃない。それなら、まだシロでいい」
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翔花「わーい、シロちゃんって呼ぶのを許してくれた。白ってカラーはいいよね、NOVAちゃんみたいで好きになれそうだよ。私のことも翔花って呼んでくれていいから」
シロ「クッ、翔花。勘違いするな。ボクはお前と馴れ合うつもりはないからな。さっさとデザートを食って、キャラを完成させろ。アリナ様を決して失望させるな。死んでも使命を全うする。さもなければ、ボクは決してお前を許さない。いいな」
翔花「うん、分かったよ」
ヒノキ「いやいや、キャラを作るぐらいで死んでいては、その後のプレイが楽しめんではないか。こんなところで死ぬことは、わらわが決して許さん」
シロ「アリナ様がそうおっしゃるのなら。命拾いしたな、翔花。その命、今は預けておいてやる。いいか、絶対に死ぬなよ。お前を倒すのは、このボクだと決めているんだからな(シュパッと退場)」
翔花「何だか、よく分からないけど、シロちゃんっていい娘だよね。私のことを、これだけ心配してくれて」
ヒノキ「あ、ああ、そうかもしれんの」(天然なのか、大物なのか、コナっちゃんはシロの明らかな敵意を歯牙にも掛けとらん。あのシロの毒気をここまでいなすとは、もしかすると、わらわができなかったシロの凝り固まった鬱屈を解きほぐすやもしれぬな。無垢ゆえの純粋さで)

ラクシアのその他の神


ヒノキ「さて、喉も潤ったし、神さま話を続けるとするかの」

翔花「うん、ヒノキちゃん。だけど、ラクシアの神さまって、大地母神マーファみたいなのはいないの? ファリスっぽいのがライフォスとティダンに分かれ、ラーダっぽいのがキルヒアで、マイリーっぽいのがザイアってのは分かった。だけど、マーファっぽい自然を司る神さまっていないよね」

ヒノキ「ほう。物を知らぬと思っていたが、愚かではなかったようじゃな。学んだばかりのフォーセリアラクシアの神を的確に比較対照するとは、なかなかに大した学習能力と言えよう」

翔花「ヘヘ、ヒノキちゃんやKPちゃんが分かりやすく示してくれたからね。この中で選ぶなら、太陽神のティダン様が格好良くていいかな。信徒は、太陽の子RXって名乗れそうだし」

ヒノキ「うむ。ティダンは強力な神じゃ。特殊神聖魔法も光で照らしたり、光線で攻撃したり、天候操作して雲を晴らしたりする。光の使者的なものが揃っていて、いかにも正義のヒーローって感じのロールプレイができよう。教義も、太陽のごとく公明正大に、真実を貴べ、悪霊は滅すべし、といったもので、花粉症ガールが信じるに足る神格だと思うぞ」

翔花「うん、今が夏じゃなかったら、ティダン最高ってなるんだけど、この時期は何だか暑苦しいかも。暑さはこりごりな気分なので」

ヒノキ「そ、そうか。暑いのはお気に召さないか。それならば、妖精神アステリアというのはどうじゃ? エルフの信仰神で、自然や芸術を愛する神。2.0では、ルールブック2に掲載されている古代神で、精神にまつわる特殊神聖魔法を使用できる」

翔花「その本見せて。(バシっとルールブックを引ったくって、サッと目を通す)え、自由奔放で心変わりが激しい神? 取得魔法は、混乱とか、魅了とか? つまり小悪魔系で誘惑の女神ってところね。こんなのダメ。私の信じたい神さまじゃない」

ヒノキ「お、おい。そんな、すぐに読んで、中身を看破できるものなのか?」

ケイP『翔花ママは、字が書けなかっただけで、識字能力は決して低くはありませんよ。無知に見えるのは学習期間が短いだけで、経験さえ積めばたちどころに習得して、応用までこなせる天才的センスの持ち主、とマスターNOVAがおっしゃっていました。周囲から脳筋呼ばわりされてはおりますが、それは経験豊富なマスターや、吸収能力が異常なドゴラや、知力の2号ママと比べるからであって、元々、マスターのアシスタントガールを目指して勉強してきた経緯があります。ルールブックだって、普通に読もうと思えば、読みこなす程度の能力は備えております。読むきっかけがなかっただけで』

ヒノキ「何じゃ。そういうことなら、さっさと言ってくれれば、ルールブックを渡して、キャラ作れ、で、よかったのではないか。ここまで延々と時間をかけて説明してきたのは何だったのかのう」

ケイP『最初からそれでは、ダメだったと思いますよ。マスター曰く「子供を育てるには、最初は教え手が付き添って、一緒に学習内容を示してあげて、興味を持たせてあげて、ある程度、自分でできるようになったら手を離してあげる。そうすれば、子供は自分で興味を持ったことを自分でどんどん吸収していくものだから、後は間違えたやり方を正し、時々は効率のいいやり方を示す程度でいい。まずは関心を持たせ、一人でできるまでを丁寧に進めれば、優秀な子は放っておいても育つ」とのこと』

ヒノキ「なるほど。つまり、わらわのこれまでの導きが実って、コナっちゃんの天性の学習能力に火がついたのじゃな」

翔花「うん、ルールブック2の神さまは大体分かった。奔放な妖精神アステリアの他に、ドワーフの神である炎武帝グレンダール、酒幸神サカロス、恋愛成就の融合神リルズ、ファッションと化粧を司る纏いの神ニールダなんてあったけど、私好みの神は一つもなかった。他にはないの?」

ヒノキ「あ、ラクシアの神はこのゴッドブックに大抵は載っておるが」
ソード・ワールド2.0 ラクシアゴッドブック (ドラゴンブック) [ 北沢慶/グループSNE ]

翔花「貸して。(バシっと引ったくって)こういう長いカタログ本を読むときは、最初に目次をチェックしろってNOVAちゃんが言っていた。神々のリスト発見。うーん、名前見て良さそうなのは、慈雨神フェトル? 母神なのはいいけど、雨とか雷ってのは少し違う。うーん、他にもいろいろあるけど、どうして大地母神マーファの系譜を受け継いだ神がいないのよ。旧版のマーファのファンを敵に回すつもりなのかしら?」

ヒノキ「おいおい、それは爆弾発言ってものじゃないかの」

ケイP『そもそも、マーファはルーンクエストのアーナールダ女神の系譜を受け継いだ母なる家庭的な女神ということです。水野良氏はルーンクエストのファンだったので、自身の世界観にも反映させたのでしょう。しかし、家庭的な女神は冒険者の信仰する神としては少し扱いにくい。そこで、ルーンクエストにこだわりのない現在のソード・ワールドのデザイナーたちは、大地母神の性質を練り直したのではないか、というのが私の中にインプットされたマスターNOVAの考察です』

ヒノキ「どうして、そんなマニアックな考察をアシモンにインプットしておるんじゃ、新星殿は。そんな時間があるなら、娘御にもっとTRPGの手ほどきをすれば良かったろうに」

ケイP『いえ、翔花1号ママがこの塔に向けて出発したのは、5月の連休が終わってから。一方で、私はマーク2なので、2号ママと共に学習する期間が長く与えられたのです。旧式のマーク1には、このようなTRPG特化型思考回路は構築されていなかったでしょう。全てはマーク1の失敗を踏まえて、同じ過ちを繰り返さないよう、持てるTRPG戦術知識を夜な夜なインプットしていたマスターNOVAの人知れぬ努力があったればこそ』

ヒノキ「つまり、新星殿はTRPGバカということじゃな」

ケイP『マスターNOVAなら、それを聞いて褒め言葉と受け取るか、「いや、まだまだだ。俺より凄い人はいっぱいいるぜ。俺も負けていられねえな」と言いながら、この果てしないTRPG坂を登り続けるでありましょう』

ヒノキ「クッ、何じゃ、この敗北感は。わらわとて、約30年のTRPG年季を誇るゲームマスターのつもりじゃったのに、そこまでの想いに駆られたことは、これまで一度もなかったわい。これが伝説の魔法使いの心意気って奴か!」

翔花「ねえ、ヒノキちゃん。2.5のルールブックも見せてよ。新しい神さまが載ってるんでしょ」

ヒノキ「あ、ああ、載っておる。ほれ、好きに見るがいい」

翔花「うわーい。古代神さまは、あ、これは前のと一緒ね。大神さまは、え? 騎士神ザイアが消えた? 代わりに、『奈落の盾神イーヴ』って何これ? ええと、奈落から出て来る魔神から人々を守って戦う対魔神特化型騎士神ってところね。何だ、『奈落の』っていうから、てっきり敵役かと」

ヒノキ「コナっちゃんの独り言解説を聞くと、とてもTRPG初心者のものとは思えん」

翔花「風来神ル=ロウドも消えて、代わりに『神の指先ミルタバル』って盗賊神がいるけど、私としてはどうでもいいかな。大地母神はやっぱりいないみたいだけど、え? 『導きの星神ハルーラ』ってキタコレ! イーヴの妹神で、許しと癒し、加護と導きを与えてくれるって、何だかいい感じ。ハルーラの特殊神聖魔法は、スター・ガイドと、ディスクローズ・デーモン。最寄りの神殿への距離と方角を星が導いてくれるので、道に迷っても大丈夫か。コンパーニュの塔に来るとき、迷ってたからなぁ。行き当たりばったりな私には、ありがたいかもね。それに、魔神に対する知識判定ボーナス呪文かあ。アルフレイム大陸は、魔神との戦いが多いみたいだし、使えるかも。それに何よりも、星が導いてくれるってのがいいよね。NOVAちゃんに見守られている感じで安心できる。決めたわ、これにする」

ヒノキ「いちいち解説する手間が省けたのはいいが、何だか急に疲れがドッと押し寄せてきた気がする。やはり、新星殿の娘御は初心者に見えて、潜在的素養は侮れんと言うことじゃな。ついでに、もう一つの小神の解説も頼む」

翔花「うん。風と雨の女神フルシルね。慈雨神フェトルと属性かぶってるんですけど。ルーフェリアの代わりで、水関係ってところね。船乗りや農夫が信仰するって、ラクシアはフォーセリアに比べて、大地や森よりも、天候や風、嵐にまつわる神が多いって印象かしら。地上よりも空を見ている感じっていうか」

ヒノキ「確かに、その印象は間違っていないかもしれんの。2.0は飛空艇が飛ぶ世界じゃったし。アルフレイムは、地上を列車が走る世界らしいが、本領が発揮されるのはこれからじゃ。さあ、ここまで来たら、あとはコナっちゃんだけでもキャラが作れるな」

翔花「そうだね。大体分かったし、分からないところはKPちゃんに聞けば何とかなりそうだし」

ヒノキ「それでは、ここで休憩を取るかの。今ごろ教え疲れた感じじゃ。新星殿はいつも、こういう気分を味わっているのか」

風雲呼びし来訪者


ケイP『警告。間もなく、この場に次元の門が開く反応。何だか恐ろしい予感を覚えるのですが。体の震えが止まりません』

ヒノキ「何? ケイPマーク2をここまで警戒させるとは、一体、何者の襲来か? コナっちゃん、油断するでないぞ」

翔花「う、うん。何が出て来るか分からないけど、戦闘準備はバッチリだよ。どんな魔神が出てきても、ハルーラ様が導いてくれる」

ヒノキ「いや、ゲームの中と一緒にされてもな。さて……いよいよか。このコンパーニュの塔に不意の来襲とは、身の程を知らぬ愚か者め。この日野木アリナの実力、たっぷりと思い知らせてくれるわい、ヒヒヒ」

ケイP『要注意反応、出ます!』


PON!


小さな閃光と共に出現す。


翔花2号「ふう、粉杉翔花2号、無事に到着だよ。ここはコンパーニュの塔で合ってる? あ、KPちゃんだ、久しぶり」

ケイP『ミ、ミストレス翔花。どうしてここに? 鞭でビシバシ叩いたりはしないでしょうね? あ、もしかして、マーク1のメンテナンスが終了したから、私を連れ戻そうと? それだけは勘弁を。私はここで1号ママをしっかりサポートするのに生き甲斐を見出しております。今さら、あなたの元に戻るなど恐ろしくて、恐ろしくて……』

翔花1号「妹の2号ちゃんだよね。前に夢の世界で会った……」

翔花2号「ああ、お姉ちゃん。私のことを忘れていなくて良かったよ。伝説扱いされたら、どうしようかと思った。翔花2号は夢じゃなくて本物。あれからメガネンジャーの一員として、いろんなヒーローさんたちとお話して、しっかり成長したんだから。もう、悪霊に取り憑かれて、KPちゃんをイジめたりもしないよ」

ケイP『にわかには信じられないであります。一度犯した過ち、失った信頼は、よほどのことがなければ修復不可能です。あの鞭の恐怖は、私の中で一生消えないトラウマとなって……』

ヒノキ「細かい話はともかく、新参者がこの場の主人に挨拶もなしとは許し難いのぅ。いくらコナっちゃんの妹であろうと、まずは礼儀から教えてやらねばならんとは」

翔花2号「え、ご主人はどちらに? ここの主人の南郷阿里さま、改めて精霊ネットの創設者として名高い日野木アリナ様には、当方の主人のWhite NOVAより書状を預かっております。是非とも、お取り次ぎのほどを」

翔花1号「2号ちゃん。その人がヒノキちゃん、日野木アリナ様だよ」

翔花2号「ええ? このチンチクリンなのが……って失礼。てっきり侍女の方だとばかり。偉大な南郷さんとNOVAちゃんが持ち上げるものだから、もっと、こう、凄いオーラをゴゴゴゴゴと醸し出しているとばかり」

ヒノキ「何じゃ、そういう演出が好みか(ゴゴゴゴゴ)」

シロ「(シュパっと参上)アリナ様、曲者ですか?」

ゲンブ「アリナお嬢様が気を高めるまで侵入者の存在に気付かなかったとは、この亀、一生の不覚。な、何と、粉杉殿が二人? 偽者が出現したのでござるか?」

シロ「まさか、分身の術? ありえない。まだ未熟な翔花に、このような高度な忍びの技が使えるなんて。ボクもまだ特訓中なのに」

翔花2号「え? 何だか私、みんなを怒らせてしまってる? ファーストコンタクトを間違えた? こういう時はどうしたらいいの、お姉ちゃん?」

翔花1号「何だかよく分からないけど、謝ればいいと思うよ」

翔花2号「うん、そうする。ゴメンなさい(土下座🙇♀)」

ヒノキ「やれやれ。人騒がせな妹御じゃの。知力の翔花2号が聞いて呆れるわい」

翔花2号「ムッ、あなただって、花粉症ガールV3を名乗るんだったら、私とお姉ちゃんの後輩ってことじゃない。それが偉そうにしてるんじゃないわよ。本当は私、NOVAちゃんと離れたくなかったのに、あなたがNOVAちゃんに説教メールを送ったものだから、わざわざここに来る羽目になったの。こっちは、とんだ迷惑ってものだわ」

シロ「貴様! 我が主人、アリナ様に何という口の利きようだ! 粉杉翔花、ボクは決してお前たち、分身を含めた2人を許さない」

翔花1号「ええ? 2号ちゃんの暴言のせいで、私まで巻き添えを食らっている? どうなっちゃうの、この展開?」

ヒノキ「今にもバトルが始まりそうな流れじゃが、続きの前に、お盆休みの特別イベント編、ドキドキ入浴タイムを公開予定じゃ。入浴中は、バトルも延期ってことになる」

翔花1号「お風呂に入ったら、そのまま遺恨を水に流すってできないの?」

ヒノキ「無理じゃ。風呂から上がれば、粉杉シスターズVSコンパーニュ組のバトル創作編と相なろう、ヒヒヒ」

翔花1号「そんな〜」(つづく)