花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

戦場の鍛冶屋バトルスミスの話(アーティフィサー・サブクラス4)

リトル改めジュニアのターン

 

ジュニア「遅くなりましたが、ようやくリウの研鑽タイムですぅ」

ヒノキ「まあ、作者がしばらくゲームブック脳じゃったからのう」

ゲンブ「D&Dのサプリメントも、昨年末のドラゴンランス以降が音沙汰なくなり、展開が終わったのでは? という噂もちらほらと」

シロ「現行の版(5版)はこれで終わり、秋以降の新版に向けて待機中なのかもしれませんね」

ヒノキ「昨年の今ごろは、劇場映画の公開で盛り上がったものの、そこから今年の50周年で大きな動き……に至る前の静けさと言ったところかのう」

ジュニア「まあ、公式展開はともかく、こちらはこっちのペースで研鑽を重ねたいと思います。で、バトルスミスはアーマラーと同様、前衛職と考えるのですが、鎧は中装鎧のままなんですねぇ」

ヒノキ「どうしても重装鎧を着たければ、特技で《重装防具の習熟》をとるなどのカスタマイズも可能じゃが、それを言ってしまうと、他のサブクラスも同じことができるからのう」

ジュニア「アーティフィサーが特技を選べるのは、レベル4、8、12、16、19の最大5回ですねぇ。貴重な特技枠をわざわざ鎧の装備に当てるのはもったいない気がしますぅ」

ヒノキ「まあ、バトルスミスは防御的なアーマラーに比べると、防御は呪文で補いながら、攻撃力の増強と、相棒のスチール・ディフェンダーとのコンビを特長とするサブクラスじゃ」

シロ「スチール・ディフェンダーって、いわゆる人造兵器ですね。アーティラリストの魔導砲とはどう違うのかな?」

ジュニア「魔導砲は、1時間しか持続しない使い捨て兵器なんですねぇ。でも、スチール・ディフェンダーはメカの相棒として、ずっと行動を共にできるのですよ」

シロ「ああ、魔導砲は一時的な召喚兵器だけど、スチール・ディフェンダーは常にいっしょにいられる相棒だと。そりゃあ、スチール・ディフェンダーの方が愛着が出るか」

ヒノキ「言わば、物理戦闘のできるホムンクルスのしもべじゃな」

シロ「アーティフィサーは、魔具化式によってホムンクルスを作ることもできるんだけど、HPを決めるダイスがD4だから打たれ弱いんですね」

ヒノキ「ホムンクルスの戦闘能力は、遠隔攻撃の力場弾でちょこっとダメージ(D4+α)を与える程度じゃ」

ジュニア「でも、スチール・ディフェンダーはHPもD8基準ですし、D8ダメージ+αの近接攻撃ができますので、ちょっとした戦士並みの強さを持っています」

ヒノキ「もちろん、本職の戦士ほどの強さには達しないがのう。しかし、《警戒》という特殊能力持ちで不意を打たれることがなく、自発的に主人と意思伝達できるので、バトルスミスには不意打ちを無効化する能力が付与されると言ってもよかろう」

シロ「スチール・ディフェンダーが気付いた敵の不意打ちを、主人に伝えるかどうかの裁定は、DMにもよるのでは?」

ヒノキ「自分のキャラや相棒の能力をアピールするのは、元来プレイヤーの為すべき領分じゃろう? 何でもかんでもDM任せにするのは良くない。少なくとも、DMは自分が操る敵モンスターの管理やストーリー描写で忙しいのじゃから、スチール・ディフェンダーに不意打ち無効の警戒能力があることを失念している可能性だってある。自分が不意打ちされたくなければ、『警戒を怠らず、何か異常があれば、3回吠えて知らせろ、と相棒にあらかじめ命令しておきます』とぐらいDMに宣言しておくべきじゃと思うが」

ゲンブ「まあ、世の中には命令されないと、気を利かせた行動のできない人間もいるでござるからな。ましてや、人造生命体が命令されていないことを勝手に行う方が危険なこともある」

ヒノキ「もちろん、世話焼きタイプのDMなら、スチール・ディフェンダーの行動をNPCとして演出してくれる場合もあるじゃろうが、本来、自分のペットの管理はDMではなくて、プレイヤーの担当と考えるDMもおるわけで」

シロ「危険には気付いていながら、主人に命令されていないから、それを主人に伝えない融通の利かないスチール・ディフェンダーもいるってことですね」

ジュニア「スチール・ディフェンダーにそういうのを学習させるのも、DMとプレイヤー間の意思伝達によるものだと思いますぅ。まあ、現実の人間関係でも、良かれと思って気を回した行動が、かえって相手の迷惑になって、『親切心の逆効果』『無能な働き者』『いらんことしい』と揶揄されてしまう失敗談もあると聞きますし」

 

バトルスミスの追加特徴

 

ジュニア「では、改めてバトルスミスのレベル別特徴を確認しますねぇ」

 

  • レベル3:「道具習熟(鍛治道具への習熟)」「防御系や自己強化の追加呪文」「戦闘訓練完了」「スチール・ディフェンダー
  • レベル5:「追加攻撃」
  • レベル9:「秘術ショック」
  • レベル15:「スチール・ディフェンダー強化」

 

シロ「バトルスミスも、アーマラー同様に鍛治道具に習熟しているんだな」

ジュニア「元々は、アルケミスト、アーティラリスト、バトルスミスの3つがあって(エベロン)、アーマラーが後から追加された(ターシャ)という経緯があります」

シロ「回復強化のアルケミスト、魔法攻撃に重点を置いたアーティラリスト、前衛戦士としての機能を高めたバトルスミスに、アイアンマン的なバトルスーツという新たな特徴を持ったアーマラーが加わった、と」

ジュニア「アーティフィサーは元々、魔具化によって自分の防具に+1のACボーナスを与えることができますし、レベルが上がれば、さらなるカスタマイズも可能。それを特化したサブクラスがアーマラーというわけですが、一方でバトルスミスは鎧よりも、武器の強化に重点を置いた形ですね」

ヒノキ「それが3レベル特徴の《戦闘訓練完了》じゃな」

ジュニア「これによって、軍用武器の習熟を得て、さらに魔法の武器で攻撃した際の命中やダメージボーナスを、【筋力】や【敏捷力】ではなくて、自分の長所の【知力】でまかなうことが可能」

ゲンブ「D&Dの武器習熟は、大きく単純武器と軍用武器に分かれるのでござるな」

ジュニア「単純武器は、最大ダメージがD8の両手用グレートクラブ(大棍棒)ですが、基本的にはD6の杖(スタッフ)や槍(スピア)、手斧(ハンドアックス)、槌矛(メイス)などですね。ダガー(D4)も単純武器に含まれますが、ショートソード以降のソード系や、D8以上の破壊力の大きな武器は軍用武器になります。バトルスミスは、アーティフィサーのサブクラスの中で唯一、軍用武器に習熟していて、長剣(ロングソード)や戦斧(バトルアックス)、戦槌(ウォーハンマー)、長柄武器(ポールアーム)なんかも使いこなせるわけですね」

シロ「ええと、アーマラーも前衛戦士だけど、武器は貧弱なのか?」

ゲンブ「アーマラーは、秘術鎧に内蔵された武装(雷鳴パンチや電撃ランチャー)で戦うことが想定されているので、単純武器にしか習熟していないでござるよ」

ヒノキ「一般に5版では、軍用武器に習熟していることが前衛戦士の条件の一つとされていて、その条件を満たしているのは、ファイター、パラディン、レンジャー、バーバリアンの4クラスなのじゃ。それと、サブクラスで例えば、クレリックの一部(嵐の神や、戦の神の僧侶)などが加わる」

シロ「シーフとかローグ系は確か軍用武器には習熟していませんでしたよね。ダガー以外の剣は使えないんじゃないですかね……(ルールブックを確認して)ああ、単純武器の他に、ショートソード、ハンド・クロスボウ、レイピア、ロングソードに習熟しているのか。グレートソードみたいな重武器や戦斧とかが使えないだけで、長剣は普通に使える、と」

ヒノキ「今さらながらの確認じゃが、盗賊系はロングソードよりもショートソードを使った方が得じゃぞ」

シロ「どうして……って、ショートソードは妙技武器だから、近接戦でも【筋力】ではなくて【敏捷力】のボーナスが付くからか」

ヒノキ「うむ。基本的にD&Dの近接戦闘では【筋力】で命中やダメージにボーナスが付くが、一部の武器は扱うのに力よりも技や素早さを重視しており、非力な者でも効果的にダメージを与えることができるようになっておる」

ジュニア「そして、バトルスミスが前衛で戦いたいときでも、無理に【筋力】を伸ばさなくてもいいんですね」

ゲンブ「我としては、【筋力】を軽視してはもらいたくないでござるが、重装鎧を身に付けるには【筋力】13とか15が必要なのに対し、中装鎧には【筋力】制限がない。つまり、中装鎧をメインに考えるなら、【筋力】よりは【敏捷力】の方が大事。ならば、武器の方も【敏捷力】重視の性能のものがあると、能力に無駄が生じずに済む、と」

ジュニア「そして、アーティフィサーで一番重要な能力は【知力】で、2番めに【敏捷力】か【耐久力】が推奨されているんですね。だから、前衛に出るからと言って、【筋力】を上げるのは職業として無駄が多いことになる」

ヒノキ「古来、D&Dと言えば、戦士に必要なのは筋力で、マッチョ推奨ゲームと言われて来たが、版を重ねるにつれて、力よりも技を重視するシステムに移り変わって行った」

ゲンブ「時代がパワーファイターよりも、テクニシャンなファイターの方がイメージしやすくなったということでござるな」

ヒノキ「80年代のアクション映画のヒーローは、シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガーなどのタフでマッチョなタイプが主流じゃったが、その後、技巧や知略に富んだスパイ風ヒーローや、アクションもするけど知略が最大の武器というギーク、もしくはナード風主人公もフィクションでの市民権を得てくる。ならば、そういうヒーローを描写できないゲームシステムは時代に取り残されることになる」

シロ「なるほど。ゲームキャラの能力値の使われ方でも、時代性を反映しているわけですね」

 

スチール・ディフェンダーの話

 

ジュニア「前衛戦士としての立ち位置の違いを比べると、アーマラーは防御的で、バトルスミスは攻撃的という違いが見受けられるわけですが」

ヒノキ「一方で、追加呪文を比べると、電撃系の攻撃呪文など対複数殲滅に向いた破壊的な魔法の多いアーマラーと、攻防ともに自己バフ補助魔法の多いバトルスミスとなるのう」

シロ「バトルスミスが地味に聞こえますが?」

ヒノキ「敵を一気に殲滅するのはアーティラリストで、バトルスミスは粘り強い戦いをするのが本領。その長所を両方持つのがアーマラーということなんじゃろうが、4つのサブクラスを分類すると以下のようになるか」

 

  • アルケミスト:後方支援役。治癒やバフに特化したサポーター。
  • アーティラリスト:後方支援役。範囲魔法と、サポート兵器による与ダメ特化のアタッカー。
  • アーマラー:前衛防御役。範囲魔法による殲滅性能も持ち合わせて、万能タイプ。
  • バトルスミス:前衛防御役。自分にバフを掛けながら武器戦闘と、サポート兵器による支援効果で、少数の強敵に対して粘り強い戦いを展開できる。

 

ジュニア「アーマラーが、集団殲滅能力を持った前衛であるのに対し、バトルスミスは集団戦術は仲間に任せて、前衛戦士としての役割を全うする形ですね。それと、スチール・ディフェンダー(以下SD)との連携が特長となります」

シロ「SDって強いのか?」

ジュニア「自己修復が可能な自律兵器で、デザインはプレイヤーが自由に決めることができますが、例として挙がっているのはロボット犬や猫、それに熊タイプの動物型ですね」

シロ「熊って強くないか?」

ジュニア「SDの外見は能力に影響しませんが、HPは『バトルスミスのレベル×D8+2+バトルスミスの知力ボーナス』ですから、レベル3、知力ボーナス+3のバトルスミスが作れば、期待値20点ぐらいになりますね。大体は、主人のバトルスミスと同等もしくは少し多いHPになるでしょう。与ダメージは魔導砲ほどではないですし、複数回攻撃もできないので、攻撃性能はさほどでもないですが、《攻撃そらし》という特殊能力を持っています」

シロ「防御してくれるのか?」

ジュニア「自分の隣のマス(5フィート以内)の敵の攻撃を邪魔して、不利にさせます。ただし、その攻撃がSD自身を狙っていたら別ですけど」

シロ「つまり、SDとバトルスミスが連携して戦っていると、敵はSDを狙うか、バトルスミスに不利付きの攻撃をするか考えないといけないんだな」

ジュニア「SDのACは15なので、ハーフ・プレート並み。しかも、自分で自分のHPを修理できるので(2D8を1日3回)、打たれ強い壁役になってくれます」

シロ「ディフェンダーだから、優秀な壁役になってくれる、と」

 

ジュニア「その後、レベル9で習得できる《秘術ショック》が美味しい技ですね。バトルスミスかSDの攻撃が敵に命中した場合、相手に追加で2D6力場ダメージを与えるか、それとも30フィート内の味方1体のHPを2D6点回復してくれます(回数制限は、1日に知力ボーナス回だけ)」

シロ「追加ダメージか、回復効果を与えてくれるペットか。まさにヒーリングメカアニマルって感じだな」

ジュニア「そして、レベル15で《SD強化》が為されると、《秘術ショック》の効果が倍になって、4D6の追加ダメージまたは回復効果が発生するのです。そしてSDのACが2増えて17に、また《攻撃そらし》を使用する際に、相手にD4+【知力】ボーナス分の力場ダメージを与えます」

シロ「なるほどな。敵の行動の妨害をしながら、地道にダメージをコツコツ積み上げていくバトルスタイルか。派手さはないけど、守りながらジワジワと相手を削り、しかも自己回復しながら粘り強い戦いを展開できる。それがバトルスミス」

 

ヒノキ「地味とは言え、バトルスミス自身は呪文で武器に魔力を付与できる。例えば、レベル5になると、ボーナスアクションで使える〈ブランディング・スマイト〉(烙印の一撃)が格好いい。武器が光り輝いて、2D6の光輝追加ダメージを与えるのじゃ。ちょっとした聖騎士パラディン気分を味わえる」

シロ「必殺のオーラ斬りって感じですか」

ヒノキ「さらにレベルが上がると、癒しのオーラとか、浄化のオーラといった呪文も使えるのがバトルスミスなので、アーティフィサーでパラディンみたいな演出ができる。また、機械仕掛けながら相棒のペットとともに戦えるのは、レンジャーのサブクラスであるビーストマスター(野獣使い)に近いムーブとも言える」

シロ「相棒のペットメカと連携して、光り輝くオーラを身にまとって悪を討つって感じの演出だと、地味キャラが一転、派手に思えますね」

ヒノキ「特殊能力は地味に思えるが、新しく追加される呪文の演出でキラメくことができる、それこそ戦場の鍛冶屋の側面でもあるのじゃ」

 

ひらめきとアーティフィサーとものづくり

 

ゲンブ「キラメイジャーは、想像力で絵から物を実体化させる創造力を備えた主人公が活躍して、ものづくりや発明にも関係している作品。ある意味、アーティフィサーに通じるものがあるでござるな」

ヒノキ「うむ。アーティフィサーの7レベル特徴も《天才のひらめき》じゃし、ガッチャードの錬金術もそうじゃが、キラメイジャーの発明も、アーティフィサーと相性が良いように思うのう」

シロ「自分のアイテムを自分で作ったりするヒーローってことですね」

ヒノキ「そして、今度の戦隊も『造る』ことがテーマっぽいので、通じるものを感じておる次第」

(当記事 完)