花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

今は最後のD&D盗賊話(withゴブスレ話2ー4)

前置きゴブスレII(第4話)

 

NOVA『長かったD&D盗賊話も今回で完結だが、その前にゴブスレ話だ』

ヒノキ「どうやら、お主はゴブスレマニアに昇格できず、ただのファン(黒曜等級)であることが確定したようじゃのう」

シロ「どういうことですか? 4話で原作小説の6巻が終了。生意気な少年魔術師が少しは成長して、『そして冒険へ』と旅立ったまでは問題ないじゃないですか」

NOVA『そこまでは問題ない。しかし、今期のゴブスレは、放送前の予想が原作小説の3巻をやるという前提で、いろいろ構成はこうなるだろう、と語っていたんだ。1期が1巻と2巻に基づき、劇場版が5巻。3巻と4巻が飛ばされているが、4巻は外伝的な短編集でコミックでも別シリーズ扱いだから問題ない。しかし、3巻はメインエピソードだと考えていたから、それを完全にカットするとは思わなかったんだよ』

ヒノキ「しかし、アニメ2期は劇場版の5巻の続編で、6巻から始まった」

NOVA『少年魔術師の登場で、6巻が来るのは放送前から分かっていた。だから、放送前の予想では、「3巻→適当に短編エピソード→最後に6巻」と思い込んでいたら、いきなり6巻が来たのが最初のサプライズ。それでも3巻を切り捨てるはずがないという思い込みがあって、「6巻→適当に短編→3巻」と順番を変更する構成かな? と先週までは考えていた。それで6巻の後の短編が何かなあ、とワクワクしていたんだ。あるいは外伝過去編のイヤーワンやダイカタナを適当に再編集したアニメオリジナル回とかな(OP映像からの推測)。3話の花柄財布も、イヤーワンを想起させるものだったし』

シロ「だけど、次回予告のサブタイトルは『かみきり丸、南の川へ』だった」

NOVA『思いきり7巻じゃないか』

シロ「まあ、6巻の次に7巻とは普通に順当じゃないですか」

NOVA『いや、7巻をやるなら、次に8巻をやらざるを得ないんだよ』

シロ「どうして?」

NOVA『7巻はエルフの森が舞台で俺の好きな巻だが、女神官ちゃんが地母神さまから新しく授かった《浄化》(ピュアリファイ)の奇跡を用いて、ゴブリン・シャーマンの体内の血液を真水に変えて抹殺するという使い方をしてしまうんだな。ゴブスレさんの影響で、ゴブリンを倒すためなら手段を選ばないというチートに走りかけた彼女は地母神の不興を買ってしまい、その不興が試練の末に許されるのが8巻だ。さすがに彼女が崇拝する神から不興を被ったまま、2期終了とは考えにくい。なら、7巻をやるなら続けて8巻もやるだろう、という推測だ』

ヒノキ「つまり、いろいろと深読みしてはみたが、蓋を開けてみれば、6巻、7巻、8巻と順当に進むのが、アニメ2期ということになりそうじゃのう」

NOVA『8巻はまだ確定情報ではありませんが、2期OPのダイカタナともつながる話でもありますし、物語の規模もクライマックスに相応しい内容。そして何だかんだ言って、将来は「プリンセスを救う勇者になりたい」と言ったゴブスレさんの少年時代の夢が、ゴブリン退治もしながら叶うという大団円に流れる構成ということで、これはこれで悪くない、と』

ヒノキ「映像化に際して、原作小説の一部が割愛されたり、改変されたりすることは、たまによくある現象。傑作ファンタジー映画『ロード・オブ・ザ・リング』でも古森や塚山、そして最後のホビット庄の掃蕩エピソードは割愛されたじゃろう」

NOVA『納得はするけど、原作3巻の収穫祭エピソードは何らかのフォローが欲しいなあって思ってます』

 

5版ローグのサブクラス(サプリメント編)

 

NOVA『では、ローグ話の完結編に移る』

シロ「前回は、PHB所収のサブクラスを3つ研鑽しましたが、まとめるとこんな感じですね」

 

1.シーフ(盗人):PHB所収の基本サブクラス。盗賊の手先の技や潜伏の技などを強化する。また、アイテム使用がボーナスアクションでできるので、戦闘中にアイテム活用できる準備を整えると、有用なサポーターになれる。また、レベルが高くなると、あらゆるマジックアイテムを使いこなすことができるのも魅力。小技を工夫するのが好きなプレイヤー向き。

2.アサシン(暗殺者):PHB所収の基本サブクラス。奇襲攻撃によるダメージ上昇と、毒の使用、そして変装の達人。武器戦闘における一撃の破壊力は高く、一方で都市冒険での演技を駆使した情報収集能力が特長。戦闘志向でも与ダメージの大きさで有能だけど、裏技的な交渉志向のプレイヤーこそポテンシャルをフルに発揮できる。

3.アーケイン・トリックスター(秘術使いのいたずら者):PHB所収の基本サブクラス。魔術師魔法を使いこなす盗賊キャラの定番。中でも、メイジ・ハンド(30フィート=9m以内の物品を幻の手が操作する初級呪文)で離れた物体を動かしたり、鍵や罠を解除するのに長けている。他にも本職の魔法使いにはできない器用な芸当も可能。魔法で小細工するのが好きなプレイヤー向き。

 

NOVA『ところで、前回の記事だが、1つのミスを発見した』

シロ「ゴブスレIIの構成予想以外にですか?」

NOVA『それもミスだが、D&Dの戦闘ラウンドが10秒だと思い込んでいたことだな。確かにクラシックD&Dやソード・ワールドでは10秒なんだが、3版以降のD&Dでは1戦闘ラウンドが6秒となっている。つまり、アサシンの項で出た「基本的な毒」の効果時間の1分は、6ラウンドではなくて10ラウンドだ。これによって毒の効果が時間効率にして1.5倍以上となる』

シロ「毒によるバフが地味に有効に思えて来ましたね」

NOVA『妖精弓手のセリフじゃないが、自分のDMでは毒禁止を言い渡したいところだ。まあ、プレイヤーが毒プレイに走ったら、こちらも毒の効かないアンデッドをたくさん出して対抗しようと思うわけだが。あとは、「毒薬作りが流行ったので、街の治安が悪くなったから、毒の使用は犯罪である」とお触れが出たとか、いろいろ対策を講じたくなる』

シロ「まあ、毒を好んで使うのは、秩序とか善の所業ではないということですね。一部の犯罪者か、あるいは野生の未開人なんかが好んで毒を使うということで」

NOVA『フィクションでは、毒使いってそれだけでキャラが立つのも事実だけどな。しかし、ヒーロー側としては、あまり印象が良くなくて、どちらかと言えば、悪の怪人とか卑劣な三下って印象がある』

シロ「毒の話はともかく、D&Dでは1ラウンドが6秒ですね。注意しておきます」

NOVA『なお、アドバンストD&Dの2版だけは、なぜか1ラウンドが1分なんだな。他のD&Dとは時間に対する感覚が大きく違うんだが、あくまで余談だ。では、サプリメントの追加サブクラスを見て行くか』

 

4.インクィジティブ(探り屋):ザナサー所収の追加サブクラス。秘密を暴き、謎を解明する達人。嘘を逃さぬ耳と、隠れているものを見つけ出す目を備え、敵の戦術を見抜いて急所攻撃を発動させやすくなり、その効果さえ上昇させ、幻も看破できるようになる。

 

シロ「手先の技ではなく、知覚と看破に秀でた知性派ローグって感じですね」

NOVA『これこそ名探偵にだってなれるな。推理シナリオだったら、大いに活躍できそうだし、ダンジョン内だったら罠や仕掛けに敏感なキャラになるし、戦法看破の能力で確実に急所攻撃できるというのが何気に凄い』

 

5.スカウト(斥候):ザナサー所収の追加サブクラス。野外活動に長けたローグで、移動力の強化(機会攻撃を誘発せずに移動することもできる)と、奇襲攻撃の達人。13レベルの「奇襲の達人」は、イニシアチブに有利が付き、初手でダメージを与えた敵1体に対しては、味方の全員が有利を得て攻撃できる。さらに17レベルになると、2回攻撃が可能になり、別の相手なら急所攻撃も2回発動できる。

 

シロ「最後の2回攻撃が凄いですね。戦士系ならともかく、ローグで何らかの2回行動はあっても、2回の武器攻撃はなかったはず」

NOVA『初手のみ2回攻撃は、シーフの17レベル「神速」があったし、武器以外で攻撃に使えるマジックアイテムなら続けて2回使用可能だ。ただ、急所攻撃が異なる相手に2回というのは強いかもしれない。最も、このキャラの強みは当初から使える、野外での「サバイバルの達人」ということだな。仲間にレンジャーやドルイドがいなければ強みになるし(いれば長所がかち合うので勧められないが)、機会攻撃を誘発せずに戦場を高速で動き回れるというのは、遠くから遠隔攻撃を仕掛けてくるタイプの敵(魔法使い含む)にとって脅威としか言いようがないわけで』

シロ「〈隠密〉を駆使すれば、敵のいきなり後ろに立っている自分ということになりますからね」

NOVA『多くの敵を引きつけられる前衛キャラがいるのなら、その場を彼に任せて、自分は後方に引っ込んで前に出て来ない敵を、ゲッター2の地底潜行能力みたいに忍び寄って、敵の遠距離戦術を妨害することができるわけだ』

シロ「でも、それが有効なのは、自分も強力な攻撃力を持っている場合でしょう。ゲッター2なら、ゲッター1に変形すればいいのでしょうが、スカウトの攻撃力はどうでしょうか?」

NOVA『そこが、このサブクラスの弱点なんだよな。敵陣深くに飛び込むことも、そこから脱出することも比較的容易なんだが、攻撃力は急所攻撃でダメージを増やすしかないし、一人で相手に急所攻撃するためには、ボーナスアクションで〈隠密〉を毎ラウンド成功させて、有利を勝ち得る必要がある。決して一人で何でもできるわけではなさそうだ。

『このサブクラスは単独偵察活動で敵陣の様子を調査し、その上で敵の要がどういう配置になっているかを確認したうえで、「奇襲の達人」で自分が先手でダメージを与えた敵の大物を、味方のできるだけ多数で集中攻撃したときに最大の戦果を発揮する。斥候らしく、偵察とチームとの連携戦術を前もって組み立てておくのが求められる、通好みのクラスと言えそうだ』

 

6.スワッシュバックラー(活劇剣士):ザナサー、およびソード・コースト所収の追加サブクラス。〈隠密〉が得意なローグクラスにあって、派手な1対1の決闘を好む、華麗にして機敏な軽戦士。1対1の状況で急所攻撃を行え、対峙する敵に言葉を放った挑発で他の味方への攻撃をそらし、自身に引き付ける。また、敵以外の相手を魅了することも可能。成長すれば、ボーナスアクションで有利付きの〈軽業〉や〈運動〉を行え、失敗した攻撃は有利付きで振り直すことも可能。

 

シロ「ローグの常識から外れたサブクラスだと思います。仲間と協力して急所攻撃を狙い、基本的にこそこそしているのがローグのイメージですが、逆に1対1で敵に対峙する方が強く、派手に振る舞うことが能力を発揮しやすいなんて」

NOVA『強いか弱いかで言えば、1対1という状況に持ち込めなければ能力をフルに発揮できないので、どうやってそういう状況を構築するかのロールプレイとか戦術、複数の敵が自分に向かって来た際のあしらい方を考えないといけないな。ゴブリンみたいな多数のザコ相手だと、持ち味が活かせないので、ゴブリンスレイヤーにはなれない、と』

シロ「当たり前です」

NOVA『仲間が多くのザコ敵を引きつけている間に、自分は〈隠密〉を駆使して標的に近づき、後ろで孤立しているボス敵に挑みかかる。ゴブスレで言うなら、ホブゴブリンや小鬼聖騎士みたいな大物相手だと真価を発揮する。相手が1体だと、レベル5の「直感回避」でダメージ半減できるので、二刀流を使って攻撃に専念する前のめりな戦術が機能する。急所攻撃でダメージが確実に増える分、殺られる前に殺れの精神で多少は格上の戦士が相手でも倒せる可能性が大きい』

シロ「1対1で、仲間との連携がなくても、普通に急所攻撃が発動可能というのが最大の長所なんですね。本当に1対1の状況をどう構築するかが問題なだけで」

NOVA『狭い隘路とか、橋の上とか、船上のマストの上とかで切り結ぶようなシチュエーションだと強い。まあ、うまく敵を誘き出すとか、必殺仕事人の殺しのシーンを参考に、1人ずつ敵を分散させる戦術を考えておくといい』

シロ「やはり、物陰に隠れて、敵がたまたま一人になったタイミングを見計らえってことですかね」

NOVA『待ち伏せとか、変装して敵意を見せないように魅了して、のこのこ付いて来た相手に突然切り掛かって、そこから1対1とか、やりようはいくらでもある』

シロ「でも、それって何だか暗殺者とかの手口ですよね。ダンジョン探検とかの冒険で実践できるのですか?」

NOVA『相手次第だな。言葉の通じないモンスター相手なら、挑発もあまり意味がないと思うし、分断工作は仲間に任せるという手もあるが、そこそこの強敵で話の通じる奴がいれば、「お前に1対1の決闘を申し込む」とかダメ元で宣言だけしてみる。それに乗ってくる相手なら、好敵手と見なして喜んで戦う。乗って来ずに複数で襲いかかって来たら、「卑怯者め」と悪態をつきながら逃げて隠れるなり、仲間と連携して普通のローグらしいアクションで戦う』

シロ「もしも、1対1で戦って、負けそうになったら?」

NOVA『潔く負けを認めるか、それとも「なかなか良い戦いだったが、この辺が瀬戸際のようだな。この決着は次の機会に預けておこう。それまでは首を洗って待っているがいい。では、さらばだ、また会おう。ハハハハハ」と華麗に笑いながら、〈軽業〉でも使って、その場を離脱する。逃げるときも鮮やかに。これぞスワッシュバックラーの流儀って奴さ』

シロ「実用的なキャラかは分かりませんが、役割演技が楽しそうなキャラであることは認めます」

NOVA『騎士だと敵から逃げることは名誉に反するが、スワッシュバックラーはあくまで格好良く振る舞う伊達男であることを誇るからな。格好つけながら逃げられるなら、逃げることは恥ではない。その意味では、やはりローグ(悪漢、ならず者)でもあるわけで』

 

7.マスターマインド(心を操る達人):ザナサー、およびソード・コースト所収の追加サブクラス。潜入捜査と謀略、諜報が得意で、最初に変装用具と偽造用具、ゲーム1種類の習熟を得て、2種類の追加言語を使いこなす。また、1分以上、会話を聞いた相手の話し方や訛りを完全に模倣できる交渉系キャラの一方で、戦闘においてはボーナスアクションで30フィート(9m)以内の味方に援護を与えることができる(仲間1体の作業や攻撃を有利にできる)。レベルが上がると、相手を1分以上観察ややりとりをすることで自分と比べての力量を洞察できたり、自分に向けられた攻撃を近く(5フィート以内=隣接したマス目)の味方もしくは他の敵に強制的に移し変えて身代わりにできたりもする。極めると心を読ませる能力を完全に遮断でき、嘘の思考すら読ませることが可能になる。

 

シロ「暗殺者も変装の達人と言えましたが、このサブクラスはそれ以上ですね。スパイとして実に有能だ」

NOVA『戦闘能力が高まるサブクラスではないが、自分ではなく他人を上手く利用する才能にも溢れている。ひどいのは13レベルの「身代わり強制」だな。味方に使うと角が立つので、相手プレイヤーの了承が必要だろうが、複数の敵に対峙しているときに命中した攻撃をもう1体に移し替えることで同士討ちに持ち込むことが可能』

シロ「それは乱戦でこそ効果を発揮しそうです」

NOVA『使用条件が、身代わりが自分の隣にいて、攻撃に遮蔽を与える位置にいることだから位置どりが難しいが、基本的には遠くからの範囲攻撃に巻き込まれた際に、近くの誰かを盾にする形だな。「お前が近くにいたから悪い」とか言って』

シロ「まるで某殺人鬼ライダーみたいな所業じゃないですか。それに敵が元々、自分の仲間か誰かを巻き込むつもりで呪文とか撃って来ること前提ですよね。なかなかないシチュエーションだと思うのですが」

NOVA『突然のトラップ発動に際して、近くの敵を盾にして自分はノーダメージとか、わざとトラップゾーンに敵を誘き寄せて使うというのもあり。より確実な戦術にしたければ、味方魔法使いに、わざと自分を巻き込んで範囲呪文をブッ放すように指示するのもありかと。味方と自分の間に身代わりを立てるように動いて、味方の呪文の効果を特定の敵に倍増させるように仕向けるとか』

シロ「ええと、味方魔法使い→身代わり敵→自分という形にして、敵と自分を巻き込むような呪文を使えば、自分の受けるダメージを全部、身代わり敵に移し替えて、魔法で2倍ダメージを与えるコンボですか」

NOVA『カードゲームのコンボもそうだが、ある特定の能力が入手できた際、それをどう活用すれば効果をより発揮できるかを考えるのも、戦術研究の醍醐味だからな。それが上手くハマると快感なわけだ』

 

シロ「ここまでがザナサー所収で、次からターシャ所収の2つとなります」

 

8.ソウルナイフ(魂の刃):ターシャ所収の追加サブクラス。新たな能力のサイオニックを活用できる。技能判定の失敗を超能力で補ったり、テレパシーで話しかけたり、超能力で刃を生成して攻撃に活用したりできる。成長すれば、超能力で不可視になったり、精神攻撃で急所攻撃の命中した相手の意識を朦朧とさせることも可能。

 

シロ「ええと、サイオニックってよく分からないんですけど? 戦士のサブクラスにも、サイ・ウォリアーってありましたよね」

NOVA『共通点は、サイオニック・エネルギー・ダイス、略してサイ・ダイスを利用できる点だな。サイ・ダイスは習熟ボーナスの倍で、最初は4点からスタート。1点消費すればD6ボーナスを技能判定に加えたり、戦士なら武器のダメージを増やしたり、防護フィールドで受けるダメージを減少させたりできる。ソウルナイフのサブクラスでは、自分で生成した超能力の刃のダメージを高めたり、刃を投げた位置に自ら瞬間移動することも可能だな』

シロ「ウルトラマンブレーザーさんが光の槍を生成したり、レインボー光輪を投げたりするようなものですかね?」

NOVA『確かに、そんなイメージもあるな。とにかく、魔法と違うのは、D&Dでは回数制限のある魔法に対して、ポイント消費式の能力ということだ。成長すれば、サイ・ダイスは最大12点になり、それだけ多くの回数、超能力を発揮できるわけだ』

シロ「一度に複数のサイ・ダイスを使うことはできないんですか? 例えば、12点全部注ぎ込んで、ダメージを12D6点増やしたりは?」

NOVA『それができると、急所攻撃も加えて非常に強いんだが、さすがに無理だな。あくまで1回の能力使用に消費できるダイスは1個だけ。また、能力の種類によっては、再使用のために3点消費しないといけない技もあるけど』

シロ「魔法とサイオニックの両方を使いこなすキャラは作れないんですか?」

NOVA『ウィザードではなく、ソーサラーの方に特別なサイオニック呪文を使いこなすサブクラスがあるな。3版では、サイオニック専門のサイオンとか、激情で暴走しがちなワイルダーという超能力者も(サイキック・ウォリアーやソウルナイフと共に)導入されていたが、とにかくサイオニックは魔法と違う個人の精神由来の特殊能力ということだ。だから、魔法で解除することもできないし、ビホルダーの魔力消去空間でも打ち消せないので、「魔法が通用しにくい相手には超能力で」という戦術が有効になる』

シロ「ビホルダー狩りに、超能力者を連れて行こうって話になるんですね」

NOVA『その世界にサイオニック使いが一般的に見つかるかどうかは、DM次第だけどな。とにかくターシャの導入によって、5版でもサイオニック使いを選択できるようになったわけだ』

シロ「確かに、ターシャ本はこれまでのD&Dを新方向に進化させるサプリメントみたいですね」

 

9.ファントム(亡霊):ターシャ所収の追加サブクラス。死の世界の魔力に取り憑かれたローグ。死者の囁きで一時的に未習熟の技能や道具を使いこなせるようになったり、誰かに急所攻撃でダメージを与えた際に、別の誰かに追加で死霊ダメージを与えることもできる。また成長すれば、目の前で死んだ相手の魂を、形見の品に宿して特殊な恩恵アイテムに加工できるし、自らを幽体化させることも可能。

 

シロ「ええと、某蟹座の聖闘士ですか?」

NOVA『ヒカルの碁とかの幽霊棋士、藤原佐為も連想したが、こちらは碁に限らず、あらゆる技能を一時的に習得マスターできる。つまり、その技能を持った幽霊を儀式で召喚し、取っ替え引っ換えできるわけだ。昨日までズブの素人だった人間が、夜のうちに夢の中で幽霊と交流することで、その技能を学びとることができる。一度に借り受けられる技能は一つだけだが、幽霊の力で万能の技を使いこなせるのが魅力と言える』

シロ「非常に汎用性が高いわけですね」

NOVA『ただし、その技能の中には戦闘能力は含まれていない。一夜にして、天才歌手にはなれるし、天才医師にもなれるが、天才戦士とか天才格闘家にはなれないのがルールの限界って奴だな』

シロ「でも、軍事知識の天才にはなれたりするんでしょう?」

NOVA『まあ、実際のところは技能を習熟していない者が、普通の技能持ち程度になれる程度だから、天才というレベルに達するのは自分自身が高レベルになる必要があるんだがな。〈隠密〉の達人だった奴が、魔法や交渉事には門外漢だったのに、一夜にして〈魔法学)を講義したり、プロの交渉人になれるようなものか。一時的とは言え、どんな技能でも一夜で習熟できるのは、一夜漬けの天才と言ってもいいだろう。まあ、別の技能に習熟したら、前の技能をきれいさっぱり忘れてしまうのも一夜漬けっぽいんだが』

シロ「明日はとあるゲームのGMをしないといけないのに、そのゲームのシステムはしっかり読み込んでいないときに、助けて、ゲームの達人幽霊さ〜ん! って感じで、夜のうちに教えを乞うんですね」

NOVA『まず、自分がろくに読み込んでいないようなゲームを、GMしないといけないような状況に陥ったことを反省すべきだな』

シロ「でも、新星さまが明日、急に持ってないゲームをGMするような局面に立たされた時はどうしますか?」

NOVA『せめて、そういう予定は1週間くれ、と要求するぞ。ルールを入手して、読み込んで、シナリオも用意しないといけないじゃないか。まあ、ゲーム関連で、一夜でマスターしろなどと極端な局面に立たされたことはないが(3日後とか来週までに、というのはある)、学生時代に苦手科目だった高校化学や、そもそも学びさえしていない高校生物や地学の質問を生徒にされて、その場に用意していた参考書を駆使して、それなりに教えた経験は何度もある。後から、その教えが間違っていなかったか復習はして、もしも間違えていたら、次の授業で修正したりもしたが、自分が苦手なことを質問されたら、大切なのは「苦手だと先に予防線を張っておいた上で、参考書は用意しているので、一緒に調べよう」と学習の仕方を教えることだな、高校生レベルなら』

シロ「何でも知っているわけではないけど、何でも調べることはできるんですね」

NOVA『教科書や参考書に載っていることはな。しかし、幽霊に教えてもらうという技を使ったことはない』

シロ「そりゃ、普通はないでしょう?」

NOVA『そう主張する霊媒師は時々、話題になるけどな。後はまあ、書物が「死んだ知識の結晶」だってことなら、とりわけ故人の記した解説書なんかは死者の教え、と解釈することもできるし、入門書を読み込むことで、ズブの素人(技能なし)から初歩の技能持ちぐらいには学習によってなれるだろう。その後は専門書に読み進めるか、実技の経験を積むかだが、とにかくファントムの一夜漬け多芸ぶりには惹かれるものもあるのが事実だ』

シロ「ネットで議論するには、魅力的なサブクラスかもしれませんね」

NOVA『実体を持たない佐為も、saiというハンドルネームでネット碁をして、現代囲碁棋譜とかを学んでいたっけ。その道の達人は、幽霊になっても旺盛な学習意欲を持ち続けるものなんだなあ、と思ったよ』

シロ「で、ファントムの便利な一時的技能習得能力のことばかり言ってますが、その戦闘能力についてはどうですか?」

NOVA『まあ、死者の能力を活用する独特な技がゾワゾワ来るので、仲間が許容してくれるなら面白いんじゃないか? 復讐の誓いを立てた闇パラディンと、死霊使いのネクロマンサーと、暗黒神に仕える司祭とで冒険するダークファンタジーってのも一興……なのかな。闇属性ばかりが偏ると、個性がかぶって物語がつまらなくなると思うんだが』

シロ「秩序とか善のキャラとは手を組めないでしょうから、お仲間は中立がよろしいでしょうか」

NOVA『と言うか、この手の奇矯キャラを中心に面白い話にするには、それでも慕ってくれる純粋な良い子(だんだん奇妙な価値観に染められる)と、ツッコミ入れてくれる常識人(それでも奇矯人に助けられて、力量は認めつつ、自分が常識を教えるなり監視しないとというツンデレ名目で付いてくる)がいて、異なる価値観の交わりを描写してこそだと思うなあ(ゴブスレ脳)。みんながみんな同じ方向を向いていても、それに否を唱えるツッコミ担当がいないと面白くならないんじゃないか』

シロ「奇矯主人公のここが凄いと持ち上げるキャラと、でもここは変でしょって指摘するキャラがいてこそ、物語は面白くなるってことですか」

NOVA『少なくとも、俺つええと持ち上げキャラだけだと、話がつまらないと思うな。ある一面では強いけど、でも常識外れの天然ボケが目立つキャラ、そういうのに愛着が湧くが、常識外れと根本的な倫理観の欠如は少し違う。ダークファンタジーで過激な言動が目立っても、その根本にある「弱者への優しさ」とか「守るべき規範あるいは信念」とか感情移入できる根拠が描かれていないと魅力的にはなり得ない』

シロ「で、ファントムについてはどうです?」

NOVA『ゲームで扱うには、死者の魂の尊厳というものについて、DMや他のプレイヤーのコンセンサスを得られるかどうかだな。まあ、幽霊というものをコミカルに演出して、普段はダークな要素を削りつつ、それでもクライマックスではシリアスに締めながら、死者の想いにまっすぐ向かい合うキャラがプレイヤー向きではないだろうか。ここで、死者の霊を道具のように使い捨てるような演技をするなら、ヴィランだろうしな』

シロ「ヴィランをコミカルに演じるというのも、最近のアメコミの流れっぽいみたいですが」

NOVA『狂った過激さというものをシリアスに描いても、エンタメドラマにはならないからな。そこを面白く演出したり、エキゾチックな格好良さを映像で見せたり、スタイリッシュな狂気を美学に昇華したり、観客を痺れさせる要素がどこにあるかは作品の作り手としては意識すべきポイントだと思う』

 

シロ「では、そのサブクラスの能力を大雑把に、また、それをどう活用するか、また演出すればいいかをここまで延々と無駄話も込みで語って来ましたが、これで盗賊話は終わっていいですね」

NOVA『最後にターシャ本を読んで、シロ君向きの特技を発見したので、紹介しておこう』

シロ「ボク向き? 忍者ですか?」

NOVA『いや、こっちだ』

 

●追加特技《料理人》

・耐久力か判断力を1上昇。

・まだ習熟していないなら、調理用具に習熟する。

・小休憩中に特別な料理を作れる。小休憩中にHP回復したキャラは、追加で1D8ポイント回復できる(4+習熟ボーナス人まで。初期状態で6人)。

・1時間の作業、または大休憩中に、習熟ボーナス個の特別なお菓子を作れる。お菓子の消費期限は8時間。戦闘中にお菓子を食べたキャラは、料理人の習熟ボーナスに等しい一時的HPを得ることができる。

 

シロ「お菓子を食べて、元気を高めての戦闘ですか。それはいいですね」

NOVA『うむ。こういうキャラ演出に向いた特技は、楽しいと思うな。あと、毒についても追加記述があって、毒の効果時間は付着後の1分間か、ダメージを与えた時点で消えるそうだ。「基本的な毒」の1D4も、10ラウンド全てが有効なのではなく、ダメージは一回きりとするのが変に規制せずに活用できるんじゃないか、と考え直した』

シロ「強すぎる毒は規制対象だけど、効果が微々たるものなら構わない、と」

NOVA『で、アサシンの毒能力を高める《毒使い》という特技がターシャで追加されて、それを習得すれば、より毒が使いやすくなるわけだ』

シロ「毒の話はもういいです。ボクはアサシンじゃなくて、忍者志望のシーフもしくはスカウトですから。《料理人》の特技は備えていますが、毒など邪道です」

NOVA『まあ、邪道なのは間違いないな。でも、邪道すらルールブックに採用されているのがD&Dで、ヒーローでもヴィランでも、どっちのキャラにも面白いアイデア源になるってことで』

(当記事 完)