強敵戦を前に
GM(ヒノキ)「前回、お主たち烈火団はついに魚人の王ブグプリと対面して、魚人たちの平和を脅かすレベル9魔動機ウォードゥーム退治を頼まれたのじゃ」
デル(リトル)「何だか、途中を思いきり省いて、最後だけ触れた程度のあらすじだなぁ」
ホリー(シロ)「もう少し、詳しく振り返ると、地下水路で高い金を出して〈ストロベリーオイスター〉12個その他をリザードマンから買い取ったボクたちは、ミッション目的地の【水没した通路】へ向かったんだ」
デル「その途中で、カボチャに襲われてホリー姉さんが危うく死にかけたりしたんだなぁ」
ホリー「最初に、カニに襲われて死にかけたし、今度はカボチャで2度めのHP0体験だ」
GM「ソード・ワールドではHP0は死亡ではなく、気絶と扱われる。死亡するのはHP0からのマイナス分を目標値に生死判定を行い、失敗したときじゃ」
デル「ぴったり0の場合は、ピンゾロでなければ死なないということかぁ」
ホリー「ボクの場合は、基準値7あるからHPがマイナス10になるまでは、ピンゾロ自動失敗以外で死ぬことはないわけで」
GM「HP1の状態から、さらに28点ダメージの【ファイアボール】に巻き込まれたなら、まず生きてはいられまい。それとジャックオーランタンは、特殊能力としてHP0に追い込んだ相手の生死判定にマイナス10のペナルティーを与える『魂刈り』を持つのじゃが、それは鎌で攻撃した場合にのみ発動し、魔法攻撃では発動しないのが幸いじゃったと言えようか」
ホリー「どっちにしろ、ピンゾロじゃなければ死ななかったけど、生死判定を振らされること自体、36分の1で死ぬこと確定だから、避けたいわけだよ」
デル「死んだらどうなるんだぁ?」
GM「死からの復活は、ラクシアの場合、プリーストではなく、コンジャラー7レベル呪文【リザレクション】を必要とする。ただし、当シナリオの場合、〈バルバロスブラッド〉の効果により、死んでもそのtbの終了時に復活する。その際、穢れが溜まり、ますます蛮族化が進行して、能力が強化される」
ホリー「死んだら強くなるってのか?」
GM「うむ。死からの復活で強くなるのじゃが、その回数は穢れが5点溜まるまで。穢れが5点に達すると、アンデッド(亡者)と化してプレイヤーキャラではなくなってしまう。いずれにせよ、死亡を積み重ねているうちに、人族から遠ざかってしまうのがソード・ワールドのルールじゃ」
ホリー「今ならまだ人の世界に戻って来れる。しかし、死んでからの復活を重ねると、いつかは魂が穢れきって、理性を失った化け物になるってことだな」
GM「そう。そして人族は穢れを嫌う一方で、蛮族は穢れを力の証として誇らしく思うメンタリティーの違いがある。ただし、力に溺れすぎてアンデッド化した者は蛮族にとっても愚かな末路と見なされ、忌まわしき者と敵視されるわけで。つまり、穢れが3点とか4点の蛮族は歴戦の勇者、地獄帰りの猛者として尊敬されるかもしれんが、物には限度というものがある。ギリギリのところで踏み堪えることで、リスキーな力を求めることこそ主神ダルクレムの教えなのじゃ」
G太郎(ゲンブ)「それにしても、今回のミッションのボスがレベル9のウォードゥームということは、無茶ではあるまいか? 一体、これは何レベル推奨のミッションでござるか?」
GM「ん? 3レベル推奨じゃが、ミッション次第では、ボスのレベルは『パーティーレベル』によって決まる。お主たちの現在のレベル平均は6で、今回のボスは『パーティーレベル+2』を基準に定められたものじゃ。通常なら、ボスを決めるのに『パーティーレベル+1』を基準にするのじゃが、ギルマン一族を脅かすほどの強敵という演出なのかもしれんのう」
G太郎「そりゃあ、王のレベルが5のギルマンでは、レベル9のウォードゥームは脅威でござるなあ」
GM「お前たちはつゆ知らぬことじゃが、実は魚人が人魚に戦争を仕掛けるための決戦兵器として、遺跡に埋まっていたウォードゥームを発掘したのじゃ。ところが、愚かな魚人には制御できるはずもなく、暴走してるという裏設定を辻褄合わせに今、考えた」
ブグプリ『ギョギョギョ。この発掘兵器さえあれば、いかに人魚が防御を固めようと、恐るるに足りんわ』
部下『陛下! 発掘兵器が暴走して、我らの手には負えないギョ』
ブグプリ『何だとッ!? ええい、何としても兵器を外に出すな。こいつを何とかしなければ、戦どころではないわ。どこかに発掘兵器の暴走を食い止める猛者はおらんものかのう』
部下『烈火団と名乗る者たちが、王に面会を求めていますが』
ブグプリ『ほう。そいつらが使えるやもしれんな。話を聞いて、協力させるとするか』
ホリー「酷い連中だ(苦笑)。さすがは『背信の魚王』の二つ名は伊達じゃないといったところか」
GM「もちろん、お主たちはそんな裏話をちっとも知らんということで、ブグプリは誠心誠意、お主たちに『平和のために暴走した戦争兵器を破壊してくれ』と頼むのじゃ。『戦争推進派の部下が勝手に起動させたのだ。奴を重用した余がまことに愚かであった。海より深く反省しておる。お主たちが我らを救ってくれるなら、人魚との和平も考えていい』とまで、口から出まかせをまくし立てている。お前たちはその言葉を本当だと信じた」
デル「信じられるかぁッ!?」
GM「プレイヤーは信じられぬじゃろうが、裏事情を知らないプレイヤーキャラは、魚人の王の迫真の演技を疑う術がない。あの傲慢な王が、心底反省したように頭を下げるコミカルとも言うべき演技は、鎌倉殿の佐殿、すなわち源頼朝公にも匹敵すると言えようか」
G太郎「そ、それは、今の大河ドラマを視聴する者として、納得せざるを得ないではござらんか。それでは、烈火団の代表として、堂々とこう宣言しよう」
『その恐るべき兵器を我らが撃破した暁には、人魚との全面的な和平を要望する。煌びやか卿も……そして翠将閣下も、つまらない戦争のいざこざでミストグレイヴが混乱することを望んでおられぬはず!』
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