花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンターと、ダークドワーフ物語(SWミストグレイヴ4ー6)

新たな情報

 

GM(ヒノキ)「今回から新たなミッション『マーマンの宝を取り戻せ』が始まるのじゃ」

G太郎(ゲンブ)「そのためには地下水路を探索して、〈ストロベリーオイスター〉を12個集めなければならぬ」

ホリー(シロ)「その他に、竜の秘薬ミッションで〈ティアハートの蜜〉10個と、〈虹色の宝石〉5個を集めないといけない」

デル(リトル)「今回のミッションは地下水路を歩き回って、アイテム集めが中心ってことだなぁ」

G太郎「地下水路で拠点となるのは、リザードマンの集落でござる。地下水路で現在、わかっている地図は以下のとおり」

●ミストグレイヴ地下水路


     リザード

      マン 

      l

    ?    ー ? ー ?

 l  l l

 ?ー梯子ー?

 l  l l

 ? ー?ー?
 l  l l

 ? ー?ー大水車ー?ー?ーー?

 l  l l   l l

 ? ー?ー?ーーー?ー梯子ー?

 l  l l   l l

入り口ー?ー?ーーー?ー?ーー?

 

ホリー「ほとんど何も分かっていないんだな」

GM「地下水路はミストグレイヴの入り口で、まずは大水車から上層階へ到達するために通過した。その後、上層階の探索で二つの梯子を発見し、さらに北のリザードマンの集落の位置を知ったわけじゃ」

G太郎「梯子があるのは、北の【蛇の酒蔵】と南の【水没水路】でござったな。リザードマンの集落へ向かうには、【蛇の酒蔵】を通過することになろう」

デル「ついでに、そこで竜の秘薬に必要な酒〈ストーンメルト〉を買えるって寸法さぁ」

G太郎「うむ。地下水路は広すぎて宿泊拠点が少ないでござるから、1マスずつ動いていては時間が掛かって仕方ない。そこで、マーマンから魔動カヌーを譲り受けたでござるよ。これで1tbで2マスの移動ができる」

GM「魔動カヌーは〈改造キット〉を入手することで、最大3マス移動が可能になると言っておこう」

G太郎「ほう。〈改造キット〉はダークドワーフのビーリンが提供してくれるでござるか?」

GM「いや。さすがの天才魔動機士のビーリンも、カヌーの改造準備まではしておらん。いかなる天才でも道具や資材がなければ、何も作れんからのう。ともあれ、お主たちは29日めの夕刻に、ビーリンを引き連れて烈火団の本部に帰還したところから、今回の物語は始まる。

「本部はグレンダールおよびガメル神殿という体裁で、かつてのライフォス神殿跡に築かれ、神殿長はダークドワーフの鍛治師ワジマ。経理運営などをライフォス神官見習いからガメル神官に昇格したメル嬢が担当しているということじゃったな。そして、ワジマがビーリンの顔を見て、『おお、ビーリン坊ではないか。どうしてここに?』と反応を示す」

デル「2人は知り合いだったのかぁ」

GM「どうやら、そのようじゃのう。ワジマ曰く、『わしの鍛治の師匠は、深層階の黒炎工房長ツルクフ・パドゥーリン様でなあ。このビーリン坊は、ツルクフ様の甥っ子なんじゃ。しばらく会わん間に大きくなったのう』と自分たちの関係を説明してくれる」

ホリー「ワジマさんも深層階の出身だったのか。だったら、深層階のことを教えてくれたらよかったのに」

GM「『聞かれなかったからな』とワジマは応じる。『それに自分の過去をベラベラ喋るのも、どうかと思ってな。過去よりも今のわしを見てもらいたいわけだし』と」

G太郎「しかし、深層階の探索をするに当たって、我らは情報を欲しておる。そのツルクフ殿は、どこにおられるか教えていただけぬか。もしかすると、我らの探している〈破剣の星槌〉につながるやもしれぬ」

GM「『さて、どこまで話して良いものやら』とワジマが戸惑いつつ、ビーリンの顔をうかがうと、ビーリンが『あっし、いや、私が話しましょう』と急に態度が厳かになる」

デル「何とぉ。ワジマのおっちゃんよりも、ビーリンの方が格上なのかぁ?」

GM「ワジマの師匠の若き甥っ子がビーリン。家柄としては、ビーリンの方が上位らしい。王国風に例えるなら、ツルクフが国王で、ワジマが出奔した騎士団長、ビーリンは王弟の息子の傍系王子に当たるとも言えようか。ツルクフには子がいない故、ビーリンが後継者とも目されていた」

ホリー「そんな大層な身分のドワーフの王子が、忍びの旅だったとは……」

GM「まあ、ミストグレイヴのダークドワーフは王制をとっていないので、あくまで立ち位置の印象じゃがのう。むしろ職人の頭領がツルクフと言った方が良かろう。とにかく、ダークドワーフの長老格で、一族の中でも最高峰の尊敬を集めていたと言っていい」

G太郎「それは、それは、ご無礼を。ビーリンさん、肩をお揉みしましょうか? と急に丁重に扱うでござるよ」

ビーリン『いや、G太郎さん。偉いのはツルクフ伯父さんであって、私は破門された身ですから』

G太郎「破門? それはまた、どういう経緯で?」

ビーリン『私の専門は鍛治ではなく、魔動機術。私の師匠は魔動博士のゲリ・ブレキというのですが、ゲリ師匠は元々、ツルクフ伯父の弟子の一人だったのが、「これからは魔動機術の時代じゃ。古くさい武器鍛治師などは時代遅れよ」と暴言を吐いて、伯父と袂を分かったのです。私は伯父に、鍛治と魔動機術のどちらを選ぶかと詰め寄られ、魔動機術を選んだために勘当されました』

G太郎「すると、ビーリン殿はゲリ・ブレキ博士の方に付いた、と?」

ビーリン『いいえ。ゲリ師匠は、魔動機術を戦争のための兵器として考えています。私はその考えには馴染めませんでした。人族は魔動機術をもっと日常に根差したもの、平和な生活を向上させる文化的な技術として発展させたと聞いています。私は魔動機術の平和利用のために学び、働きたいのです』

G太郎「伯父さんには、魔動機術をやめろと言われて勘当され、師匠とは魔動機術の軍事利用に反対する立場で、行く場所がなくて上層階に来た、と」

ビーリン『ええ。そこで烈火団の皆さんに謹んでお願いがあります。私を隠者ヴァラルト様に正式に紹介して頂けないでしょうか。先ほど、ヴァラルト様の書庫をチラ見した際に、魔動機術に関する膨大な資料があるのを確認しました。あそこで是非とも勉強したい。ヴァラルト様の弟子に推薦していただければ、深層階について私の知る情報を教えても構わないと思っています』

GM「そう言って、ビーリンは深々と頭を下げたのじゃ」

 

隠者の弟子見習い(29日めの夜)

 

ヴァラルト『それで、ぼくのところに、ダークドワーフの若造を連れて来たわけか』

G太郎「是非に、と頼まれたでござるからな。深層階の情報は、ヴァラルト殿も興味あるだろうし」

ヴァラルト『しかし、魔動機術の平和利用ねえ。この蛮族どもに支配されたミストグレイヴじゃあ、夢物語もいいところだろうさ』

G太郎「それを言ったら、大経済圏構想も夢物語以外の何物でもござらん。しかし、夢を否定して現実だけを見ていても、何も変わらないでござる。夢に向かって手を伸ばし、それを実現するための方策を懸命に、かつ賢明に考えて、汗を流すことに命の営みを感じるではござらんか」

ヴァラルト『……死んだ知識をぼくに代わって役立たせてくれるって言うなら、烈火団の手伝いをしてもいい。そのダークドワーフが烈火団預かりなら、弟子の見習いとして研究資料の整理ぐらいはさせてみよう。それで、深層階について、どれだけ知っているって言うんだ?』

G太郎「うむ。まずは、ダークドワーフの拠点の在処がどこなのか。それを教えてくれぬか、ビーリン殿?」

GM「『私が知っている場所は、この3つです』とビーリンは深層階の地図を指し示した」

●ミストグレイヴ深層階の地図

(青字は拠点および宿泊可能地点。赤字は現在地。

 緑字は新規に記入)

 

瑠璃宮ー?ー?

 l  l l

 ? ー?ー?ーー流血回廊ー月の図書館

       l l      l  l 

黒炎の工房ー蒸気の谷ー赤瀑布巨大格納庫ー?

                 l      l  l
             ミノタウロス翡翠のー?

      上層階 ←の門  ピラミッド

GM「【黒炎の工房】はダークドワーフの伝統的な拠点で、工房長のツルクフ・パドゥーリンが仕切っておる。【巨大格納庫】は魔動兵器ドラゴンフォートレスが封印されていて、魔動博士ゲリ・ブレキが日夜、研究を重ねている施設じゃ。そして、【月の図書館】は古代の叡智が収められた場所と言われているが、そこの書物を読む方法が知られていないため、ビーリンも今だに読めずにいる、とのこと」

G太郎「ヴァラルト殿はご存じないのか?」

ヴァラルト『ぼくが知っているのは、こういう伝承だけさ』

 

翼持つ獣が守りたる書架 太古の叡智を集めたる図書館

月が姿を隠す夜 セランシェの灯火のもとでのみ

古の叡智は 汝が前に現れる

 

G太郎「どういう意味でござるか?」

ヴァラルト『さあね。考える材料が足りていない現状では、当てずっぽうにしかならないことを承知の上で推測してみるなら、キーワードは「翼持つ獣とは何か?」「月が姿を隠す夜とはいつか?」「セランシェの灯火とは何か?」の3点だと思う。もちろん、「太古の叡智とは何か?」というのが最大の謎だというのは置いておくにしてもだ』

ホリー「翼持つ獣といって思いつくのは、ドラゴンか、ペガサスか、グリフォンといったところかな」

ビーリン『いいえ。スフィンクスです』

デル「ビーリンさん、知っているのかぁ!?」

GM「『ええ。行ったことはありますから』とビーリンは答える。なお、スフィンクスについて詳しく知りたければ、魔物知識判定で15以上が必要じゃ」

G太郎「20でござる」

ホリー「ライダー技能でも判定できるんだな。16で成功」

GM「レベル15の幻獣で、4部位モンスターじゃな」

G太郎「レッサードラゴンのエサユハ殿(レベル13)よりも上ではござらぬか。さすがは深層階。登場する怪物がことごとく、レベル2けたとは」

ヴァラルト『スフィンクスが守る謎の図書館か。興味深い。【流血回廊】の隣の区画なら、ぼくもそこに行ってみたいものだ。ついでに連れて行ってくれないか、烈火団』

G太郎「今すぐと言うわけにはいかないでござる。少なくとも、第4部が終わって第5部になってからの話でござろう」

ヴァラルト『分かった。では、その時までに【月の図書館】の謎について、ビーリンと考えておくとしよう』

デル「【月の図書館】については、クエストとか、情報を欲しがってる密偵もいたよなぁ」

G太郎「アム・ヤーセンでござるな。ビーリンのおかげで、彼女の欲しい情報がいっぱい集まったので、次に会う時が楽しみでござるよ」

ホリー「ところで、【巨大格納庫】のドラゴンフォートレスというのも気になるな。前にどこかで聞いた覚えがあるんだけど」

GM「それは、この記事じゃ」

デル「大体、1年前ぐらいかぁ。キラメイジャーが終盤で、ゼンカイジャーが始まる前の話だなぁ」

GM「プレイ前の雑談で語った程度のネタじゃが、今回は正式にドラゴンフォートレスの情報が入ったので、魔物知識判定をしてもいいぞ。知名度は17じゃ」

G太郎「ぴったり17でござる」

GM「レベル15の魔動機で、脅威の7部位モンスターじゃ」

G太郎「そんな化け物を魔動博士とやらは復活させようとしているでござるか?」

ビーリン『師匠はそれを復活させて、ヤーハッカゼッシュ様のための戦力に使おうとしているのでさあ。そんな物が起動したら、人族と蛮族の戦争がまた勃発して大変なことになります。何とかして止めようとしたのですが、師匠は兵器の魅力に取り憑かれて、周りの言うことを聞こうとしません』

G太郎「だったら、どうしろと?」

ヴァラルト『まだ起動はしていないなら、起動する前に破壊するか、ぼくたちが起動させて操作できるようにするかだろうね。何にしても、もっと詳しい情報が必要だ。やれやれ、面倒な仕事を持ち込んでくれるよね、君たち烈火団は』

G太郎「ちょっと待つでござる。ダークドワーフの魔動博士の所業は、烈火団とは無関係でござるよ」

ヴァラルト『ビーリンを連れて来たのは、君たちだろう。ビーリンに関わるトラブルは、君たちにも関係するんじゃないか? 目が合ったら縁ができるという言葉もあるし、ドラゴンフォートレスの問題を聞いた以上は、放置するわけにも行かないだろう。今、抱えている仕事が片付いたら、そっちの方の調査も進めてもらいたいものだねえ』

 

GM「……と言うことで、ビーリンがヴァラルトの見習い弟子として、深層階のダークドワーフその他の問題を検討する部署がここに立ち上がったのじゃ。これ以降、ヴァラルトの【隠者の迷路】は大経済交流圏の青色ルートに含まれるものとする。つまり、ランダムイベントなしで、いつでも安全に通える場所ということじゃ」

●ミストグレイヴ上層階の地図

(青字は拠点および宿泊可能地点。赤字は現在地。

 緑字は新規に記入。青いラインは安全ルート)


            死者の道ーミノタウロス

              l   の門→深層
              l     l  階

蛇の酒蔵ー凱旋門岩棚のーゴミ溜め窟ー炎河橋

(梯子) (魔窟) 城塞  l     l

  l   l   l   l    腕試しの
コボルド窟ー無限隠者の地底湖の畔ー通路→深

      金床  迷路 (人魚宮殿)   

         l   l       階

     大水車ー烈火団煌びやかな 

         本部 大通路

         l   l

   物乞い市場ー 騎獣ー水没通路

    (蜜蜂) 調教所 (梯子)

         l

     肉の穴ー処刑遊戯場

    (解放軍) 

 

鍛治師ロベルク(30日朝)

 

G太郎「夜も遅いので、ヴァラルトのところで泊めてもらえないでござるか?」

GM「良かろう。以降、ヴァラルトの迷宮は飲食・宿泊が無料でできるものとする。食料などの経費は烈火団本部が賄い、買い出しは弟子見習いのビーリンが動いてくれるので、プレイヤーが気にすることはない。今後、ヴァラルトは完全にお主たちの同志として、文句を言いつつも進んで協力してくれよう。烈火団の出張宿泊所および攻略情報のヒントを教えてくれる場所として活用するといい」

G太郎「すると、〈乳白色のソーダ水〉の在処も知っているでござるか?」

ヴァラルト『さあね。上層階にないなら、深層階じゃないのか? ソーダ水というからには炭酸水。自然界で炭酸水が湧くところで有名なのは、温泉地か鍾乳洞か。深層階でそういう地形を見つけたら探索してみるといいんじゃないか? よく知らんけど。しょせんは机上の空論、当てずっぽうな推測だし』

G太郎「なるほど。深層階で温泉か鍾乳洞を見つけたら、探索したらいいのでござるな。では、今夜はこれにて休ませてもらうでござるよ」

 

GM「深夜は睡眠に費やし、翌朝早くに食事を済ませた烈火団はビーリンをヴァラルトのところに残して出発する、で良いな」

G太郎「うむ。向かう先は西隣の【無限の金床】でござる。ここはムルカグンドリの黄金鎧ミッションの目的地であると共に、魔窟コンビニで武器や防具を発注したい場所。ダークドワーフの鍛治職人が働いている場所ゆえ、改めて交流を深めておきたいと思う」

GM「では、ここの主は名をロベルクという。どこかの魔界の鍛治師に名前が似ておるが、酒好きな点と腕の良い鍛治職人という以外に共通点はあまりない。超一流の剣士というわけでもなく、頑固なダークドワーフという程度の個性じゃ。一応、ワジマ同様にツルクフの弟子で、ワジマとも顔見知りという設定で、烈火団にも好意的という立ち位置にしておこう」

ロベルク『おお、烈火団のG太郎さんじゃないか。朝っぱらから何用だ? そのハードキッカーをそろそろイグニダイト加工する気になったのか?』

G太郎「そう言えば、1万ガメルでハードキッカーの威力を+5しようと思っていたのに、なかなか資金が貯まらなかったでござるな。そろそろ強化できる頃合いか」

GMソード・ワールドでは、強い武器を買う他にも、必要筋力と威力を高めるオーダーメイド、魔法の武器にして命中とダメージを+1にする、名誉点を注ぎ込んで器用度+2にする専用化など、いろいろ強化方法がある」

G太郎「2.5ではアビスシャードを利用したアビス加工というものもあるでござるな」

GM「それはアルフレイム大陸での強化技術じゃ。ミストグレイヴは2.0時代のシナリオゆえ、そもそもアビスシャードが手に入らん」

デル「オラのシェルブレイカーもオーダーメイド加工するといいかもなぁ。さすがに魔法の武器にするほどの金はないけどぉ」

G太郎「とにかく、金が貯まればイグニダイト加工はワジマ殿かロベルク殿に頼むとしよう」

ロベルク『ああ、任せておけ。さすがにツルクフ師匠みたいな黒炎加工の技は持ってないが、イグニダイト加工なら手慣れたものよ』

G太郎「黒炎加工? それは一体?」

ロベルク『深層階の【黒炎工房】でしか見られない秘伝の技よ。〈黒魔溶鉄鉱〉という門外不出の素材を用いた奥義でな。頑張って習得しようとしたんだが、どうも上手く行かねえ。あの技術を身に付けようと思えば、よほどの天賦の才ってものが必要なんだろうぜ』

G太郎「天才鍛治師でござるか。それは一度会ってみたいでござるな」

ロベルク『だったら、ツルクフ師匠の前で魔動機術の話はあまりするな。鍛治の技一本に命を掛けた御仁だから、ここの金床みたいに大量生産のできる魔動装置と組み合わせた鍛治施設は邪道だと言って、認めようとしない。武器は一本一本、鍛治師が心血注ぎ込んで作るもので、大量生産の廉価品など屑も同然と言い放つ御仁だ。さすがに、そこまで極端な考え方をしてたんじゃ、このミストグレイヴではやって行けないと思うんだがな。やっぱり、伝統ある鍛治の技と魔動機術は組み合わせて発展させるものだろう』

G太郎「ルーンフォークとしても、魔動機術を捨て去るわけには行かないので同感でござるよ」

ロベルク『もっとも、ゲリ・ブレキみたいに魔動機術さえあれば何もいらないって言ってる奴も極端だと思うんだがな』

G太郎「つまり、ロベルク殿はビーリンみたいに中庸派でござるな」

ロベルク『ビーリンを知っているのか?』

G太郎「先日、烈火団に参入したでござる」

ロベルク『そいつは良かった。ゲリ・ブレキに付いて行ったと聞いたときには、気でも狂ったのかと心配したんだが、どうやら正気は保っていたようだ』

デル「そんなに酷いのかぁ、ゲリ・ブレキってぇ」

ロベルク『魔動機の実験で爆発事故を起こして、誰かが死ぬようなことがあっても、「ヒャヒャヒャ。研究のための尊き犠牲よっほwww」って笑ってるような奴だからな』

ホリー「そいつは酷い」

ロベルク『ツルクフ師匠も「仕事のために命を掛けるのは当然だろう」という御仁だが、それは自分の命をかける一生懸命さを教えたかったのであって、他人の命を軽視する考えじゃなかったと思う。だけど、ゲリ・ブレキは「自分の研究のために他人が命を掛けるのが当然」というような奴で、師匠の教えを自分に都合よく、曲げて受け止めたんだな。ビーリンがゲリ・ブレキに使い潰されずに済んで何よりだ』

 

G太郎「それにしても、急に饒舌になったでござるな、ロベルク殿は」

ロベルク『おっと、喋りすぎたようだな。ところで、ここに立ち寄った理由は世間話ってわけじゃないんだろう?』

G太郎「2つあるでござる。一つは魔窟コンビニへの協力要請」

ロベルク『それはワジマさんから聞いている。この工房の出張拠点というか出店を計画しているってことだろう? 商売のことはよく分からんが、ワジマさんが協力している烈火団だったら、信頼できるってもんだ。店の準備ができたら、喜んで武具を提供させてもらう』

G太郎「そう気分よく応じてもらえると、何よりでござる。もう一つは、ゴブリン王ムルカグンドリの黄金鎧の件でござるが」

ロベルク『そこは、はっきりしておきたい。あんたらは本気でゴブリン王と手を組むつもりか?』

G太郎「利害が一致している間はな。ドワーフとしては、ゴブリンが不倶戴天の敵ということでござるか?」

ロベルク『いや、まあ、信用できる客なら、個人的な感情でどうこうってわけじゃないんだが、どこまで信用していいのかと思ってな』

G太郎「誇り高き武人としては嘘偽りなき真っ直ぐな漢と見受けた。信用できぬ点があるとすれば、ケンカっ早くて野心的と言ったところか」

ロベルク『誇り高いのは確かだな。自分に合った黄金の鎧を造ってくれ、と遣いの者を寄越してきたので、体の寸法とか大体聞いて、注文どおりの品を作ってはみたんだ。しかし、完成させるには、ゴブリン王自らがここに出向いてきて、正確な採寸と、武具に魂を込める儀式をしないといけない。しかし、ゴブリン王は「奴の城塞に出向いて来い」と言い張るばかりでな。奴に武人の誇りがあるのなら、こっちにも職人の誇りがあるわな。鎧を完成させるには、奴の方からここに出向くぐらいの誠意を見せてもらわないとな』

G太郎「なるほどな。ロベルク殿の言い分もごもっとも。誇りある職人の仕事ゆえ、完成させるには驕王自ら現場に立ち会う必要がある、と伝えればよろしいのでござるな」

ロベルク『ああ。あんたらを伝言係に使って悪いな。ゴブリンの使いっ走りじゃ、職人の心意気ってものが伝わってない感じで、話がこじれる一方だったからよ』

ホリー「どちらかが意地を張らずに、妥協すれば良いのにな」

G太郎「その場合、妥協すべきは鎧が欲しいゴブリン王の方でござろう。職人がものづくりに掛けた想いというものを理解せずして、力ずくと脅迫で手に入ると考えるのはあまりにも蛮族的発想に過ぎる。烈火団は職人と商人の味方でござるよ」

ロベルク『そう言ってもらえると、心強い。仕事が済めば、あんたらとは良い酒を飲み交わしたいものだな』

G太郎「望むところでござる」

デル「オラは酒が飲めないので、砂糖抜きのホットミルクを注文するぞぉ」

ホリー「それは『こころはタマゴ』ネタだな」

 

商人と酒場と(30日め昼〜夕刻)

 

 鍛治師ロベルクと友誼を結んだ烈火団は、次に西の【コボルド窟】に向かった。

 

オードル・プル『おや、烈火団のみなさん。お久しぶりですな』

G太郎「本部設立以来でござったか。実時間では1年近く前。ゲーム内時間ではほぼ2週間ぶりになる」

GM「一応、お主たちの冒険には直接関わらなかったとは言え、メル嬢の采配で【烈火団本部】と【コボルド窟】、それに【物乞い市場】は大経済圏交流の要として日常交流を重ねて来たのじゃ。よって、魔窟コンビニ計画の噂も届いておる」

G太郎「だったら話は早い。同盟相手として協力してもらえまいか?」

オードル・プル『他ならないG太郎様の頼みですが、本当に上手くいくのでしょうか。前に煌びやか卿が試みて、失敗したそうではありませんか』

G太郎「煌びやか卿の失敗の要因は、全てを自分一人で取り仕切ろうとしたことでござる。魔窟コンビニを実現するには、一人の大きな力ではなく、一つ一つの小さな力を結集させて、みんなの資本や才能を注力していく。古の商売人はこれを合本と名づけたと聞く。煌びやか卿1人の利益にしかならぬ商店では多くの者の怒りや羨望も招こうが、関係者多数の利益を呼ぶ店であれば、みんなに愛されるコンビニとして必要不可欠なスポットとなるであろう。コンビニを通じて、皆の想いをつなぐ。これこそが大経済圏交流の道でござるよ」

オードル・プル『ならば、私どもの心をつなぐ示しとして、2つのミッションを依頼したい。「上層階への簡単な商品配達」と「深層階への困難な商品配達」、この2つの仕事を果たしていただければ、烈火団の心意気を信頼して、魔窟コンビニ計画に協力するとしましょう』

G太郎「何と、ミッション2つ分とは。魔窟コンビニを設立するのに、ずいぶんと手間暇を掛けねばならぬのでござるなあ」

GM「ただの経験点稼ぎのランダムミッションも、魔窟コンビニのためとならば、張り合いも出てくるじゃろう。もちろん、今すぐ引き受けよとは言わん。魔窟コンビニ自体、ストーリーの本筋とは関わりない寄り道エピソードじゃからのう」

 

 オードル・プルから将来のミッションの約束を受け取った烈火団は、続いて北の【蛇の酒蔵】へ向かう。ここの梯子から地下水路へ入ることができるのだが、その前に……

 

G太郎「〈ストーンメルト〉を購入するでござる」

ラミアのシメーヌ『おや、いつかの烈火団の人たちかい。あの時は葡萄酒配達で世話になったねえ。〈ストーンメルト〉は250G分のアイテムと交換だ。こいつを飲めば、石化への抵抗ボーナスが+1されるという副効果付き。肩こりにも効くって薬酒だね』

G太郎「あと、地下水路への梯子を使わせてもらいたいのと、もう一点。魔窟コンビニ計画のことを話すでござる。冒険者の店という形なら、酒は必須であるゆえな」

シメーヌ『要は、隣の区画に酒を配達すればいいってことだろう? お安いご用さ。商売が上手く行くことを願ってるよ』

 

 こうして魔窟コンビニ計画の布石を着々と打った上で、いよいよ烈火団は、地下水路探索に本格的に乗り出すのであった。

(当記事 完)