お盆休みのあいさつ
NOVA「ヒノキ姐さん、ご無沙汰してます」
ヒノキ「遅いぞ、新兄さん。新兄さんがどうしてもラスボスのヤーハッカゼッシュをプレイしたいと言うから、『魔人ハンター最終章のFINAL』をプレイせずに待機しておったのに。本当に、今夏に終わらせる気はあるのか!?」
NOVA「いや、俺も同じことを言おうとしていたんですよ。ホビージャパンから春にスターターセットが出た『一つの指輪TRPG』なんですが、今夏にルールブックが出る予定となっているのに、この期に及んでちっとも発売日が出ない。だったら秋に遅延かな、と思っている次第」
ヒノキ「じゃあ、何か? ホビージャパンのゲームが遅れるから、それを言い訳に『魔神ハンター』が遅れても構わぬと申すか?」
NOVA「今の俺はゲームブック脳であると共に、このお盆休みの間に部屋の片付けをいろいろ頑張っている最中なんです」
ヒノキ「部屋の片付けじゃと?」
NOVA「いやあ、去年から書庫に入れていたFFゲームブックをあれこれ発掘している間に、いろいろとお宝を掘り出したり、整理しないといけないなあ、という思いに駆られて、一念発起、バタバタしている最中です」
ヒノキ「むむっ、お前さんの書庫や部屋は、トラップだらけの魔境と噂されているからのう。その様たるや、伝説の『死の罠の地下迷宮』や『罠の都カーレ』あるいは『モリアの地下鉱窟』はたまた『ロンダルキアのダンジョン』にも引けを取らぬとか?」
NOVA「どれだけ広いのですか、俺の部屋は!?」
ヒノキ「しかし、それだけの物語を記した書物やゲーム、映像ソフトが封じられておるのじゃろう?」
NOVA「え、ええ、まあ、部屋にいながらにして、いくつもの異世界の冒険ファンタジーを楽しめるようにはなってますが。書物が異世界の扉だというのは、『ネバーエンディングストーリー』でも語られていましたからね」
ヒノキ「書物だけではなかろう。ゲームも、映画も、異世界への扉は至るところに開かれておる。そこに入るには、想像力が必要じゃがのう」
NOVA「あと、時間も必要です。時間泥棒は空想の敵みたいなものですからね。まあ、それはともかく、ヒノキ姐さんにお土産です」
ヒノキ「おお、これは今のお宝本じゃな」
NOVA「ええ。前回の記事では、まだゲットしていなかったのですが、その後、ゲットして、今回はそれを記事ネタにする形です」
ヒノキ「前回のソード・ワールド200記事記念の補足でもある、と」
ソード・ワールドの種族の数
NOVA「ヒノキ姐さんは、ソード・ワールドの種族の数がいくつあるか、ご存知ですか?」
ヒノキ「そんなの簡単じゃ。人間、エルフ、ハーフエルフ、ドワーフ、グラスランナーの5種類じゃろう?」
NOVA「いや、それはアレクラスト大陸を舞台とした旧版でして」
ヒノキ「ラクシアのことなら、ソード・ワールド2.0または2.5と言うべきじゃろうな。2.0の種族なら、以下のページにまとまっておる」
NOVA「さすがです。一般的にプレイできる人族ですと17種類。蛮族サイドだと15種類。他に、古代魔法文明時代専用のノーブルエルフとマナフレア、シナリオ『カルゾラルの魔動天使』用の特殊種族・魔動天使、そして『ラクシア・ゴッドブック』で追加された神像人センティアンが3種で、合計38種類もの種族があった、と」
ヒノキ「さすがに、それを全部、暗記している者は稀じゃろう」
NOVA「ええ、俺も無理ですね。公式リプレイもいろいろ読みましたが、ダークドワーフとリザードマンだけは使われているのを見たことがない。まあ、ウィークリングではマーマンしか見てないし、センティアンもルミエル陣営のガメル神だけです」
ヒノキ「じっさいのところ、38種類も種族が用意されても、全てを使いこなすのは無理じゃろう。職業なら兼職もできるシステムじゃが、種族は単発シナリオを数多くこなすならともかく、キャンペーンだとそう簡単に切り替えることも難しいからのう」
NOVA「職業はサプリメントで新しいものが追加されても、試しに1レベルぐらいかじることはできますが、種族は新キャラを作成しないといけませんからね。リザードマンに転職なんてことはできません」
ヒノキ「後は、蛮族プレイとか、古代魔法文明プレイなどは、かなり特殊なセッティングじゃからのう。その辺をプレイしたことがあると言うだけで、マニア確定と見られよう」
NOVA「で、2.5はこれまで2.0の後追い復刻をしながら、新しい種族も披露してきたわけですが、蛮族関係がウィークリング4種以外、未採用なので、総数はまだまだ及ばないままだった。しかし、今回のサプリメント『アーケイン・レリック』でいろいろ追加されたおかげで、結構な数になったわけです。その概要は以下のページに新たにまとめられました」
ヒノキ「いくつになった?」
NOVA「人族は20種、蛮族4種。それに加えて、新たに希少種が20種類加えられて、合計44種類。この時点で2.0を数で越えた形になります」
ヒノキ「まだまだ、伝説の多種族RPG『ファンタズム・アドベンチャー』には及ばんのう」
NOVA「75種族も選べるゲームにはなかなか勝てんでしょう(笑)。とりあえず、最初から数がいっぱいあっても、初心者はついて来れない。数がいっぱいあって喜ぶのは、ある程度、年季を重ねて、基本の種族は飽きたと言っちゃうマニアぐらい。門戸は広く、探究する先は奥深くです」
ヒノキ「それで、空が飛べる種族は加わったのか?」
NOVA「プレイヤー種族では、鳥人間がないんですよねえ。1分だけ飛べるのは竜人リルドラケン。今回は採用されなかったけど、2.0時代の小妖精フィーは浮遊という低空飛行能力を持ちます。あと、蛮族側のガルーダは飛べますが、プレイヤーがなれるウィークリング種では翼が退化しているので、特殊能力[未熟な翼]で落下ダメージを20点減らせますが、飛行はできません。これも今回は採用されなかったけど、2.0時代のヴァルキリーが特殊能力[戦乙女の光羽]で落下ダメージを無効化できますが、飛行自体はできません。リルドラケン以外で飛行できるのは、蛮族PCのドレイク(ナイト種)だけですな」
ヒノキ「同じ蛮族のバルカンも飛行できるはずじゃが?」
NOVA「プレイヤー用バルカンは、翼を切り落とした咎人(とがびと)と規定されているので無理です。とにかく、ソード・ワールドではプレイヤー・キャラクターに極力、空を飛ばせないように徹底していますな。もちろん、高レベルの魔法使いとか練体士(エンハンサー)になれば飛べるのは、ヒノキ姐さんならご存知のはず」
初心者用の種族
NOVA「ともあれ、種族の数が多くなって、選択の自由が広がったのはいいですが、初心者が何を選べばいいかが問題ですね」
ヒノキ「悩むなら、とりあえず人間と言っておくのが無難じゃろう」
NOVA「まあ、そうなんですけどね。基本は人間で、加えてエルフ、ドワーフ、ハーフリング(ホビット、グラスランナーなどなどの小人族)というのが、クラシックD&Dが80年代に提示したファンタジーRPGの基本中の基本でした。
「そこから、『アドバンストD&D』のノームとかハーフエルフ、ハーフオークに発展するのを憧れたり、『T&T』では最初からフェアリーやレプラコーンなんかになれたり、『ルーンクエスト』ではトロールにこだわりが見られたり、『ストームブリンガー』では翼付きのマイルーン人が優秀だったり、『指輪物語RPG(MERP)』では原作に合わせてエルフの種類が3つもあって(ノルドール、シンダール、シルヴァン)、半エルフもあって、ホビットもファロハイド、ハーフット、ストゥアの3種族に分かれて、人間の種族もいろいろあって、とにかく亜種が細かかったなあ、と」
ヒノキ「職業の戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、そして種族の人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリングは、クラシックD&D以来の基本じゃろう」
NOVA「ええ、ファンタジーRPG初心者はそこから入り、種族と職業を組み合わせるなら、ドワーフの戦士、エルフの魔法使い、人間の僧侶、ハーフリングの盗賊が基本的なパーティーとなる。ただし、『ウィザードリィ』は人間が信仰心の低さゆえに僧侶向きではないから、そこにノームが入って来る。人間は戦士から転職して侍というのが一つの主人公像とも言える」
ヒノキ「作品ごとに多少の違いはあれど、最初の種族は4つか5つがいわゆるスターターセットの定番じゃろうな」
NOVA「スターターセットは最初からキャラクターが完成していて、すぐに遊ぶのに向いている、と。で、我々みたいなマニアは初心者へのフックとして、スターターセットを実プレイではありがたいと思いつつ、ゲーム研究のために、自由にキャラ作りのできるルールブックを買って、あれこれ想像しながら読んだり、とりあえずはダイスを振って、ノートやコピーしたキャラクターシートに書き込んでキャラ作りを楽しんでいた、と」
ヒノキ「最近は、映画の効果か、D&Dのキャラ作りを楽しむ初心者が増えているみたいじゃのう」
NOVA「アドバンストが進化した現D&Dでも、人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリングが基本と言えますが、エルフはアウトドア派のウッド(森)エルフと、魔法重視の光のハイエルフ、そして闇のドラウ(ダークエルフ)の3種。ドワーフは理性派の丘ドワーフと、脳筋風の山ドワーフの2種。ハーフリングは頑丈なスタウトと、軽妙快活なライトフットの2種など、亜種に分かれて、能力値修正や特殊能力に差が出て来るわけですね」
ヒノキ「今のD&Dは、種族が何種類おるのじゃ? 大量のサプリメントは置いておいて、コアルールブックのみで言うと?」
NOVA「以下の通りです」
NOVA「ティーフリングは、映画のヒロインの1人(ドルイド娘のドリック)のおかげで、一気にメジャー化した感じだな。ドラゴンボーンは割と定番で格好いいし、特殊能力のブレス攻撃が最初から複数相手に攻撃をばら撒ける強力かつ便利な技として人気がある」
ヒノキ「ノーム、ハーフエルフ、ハーフオークはかつてのAD&D時代からの伝統種族じゃのう」
NOVA「現ソード・ワールドの定番にして、初心者向き種族は、こんな感じですね」
NOVA「以上の8つが2.0時代から続くラクシアの定番種族で、2.5になって、新たに3つの種族が基本ルールブックに加わりました」
- リカント(獣人)
- メリア(植物から進化した樹人、または花人)
- ティエンス(対魔神用の強化人間)
ヒノキ「レプラカーンは基本とは言えないのか?」
NOVA「基本ルールブックIIIに、ティエンスと共に載っていますが、2.0時代はサプリメントの追加種族ですからね。俺的には、基本種族とは感じない。立ち位置としてはシャドウに通じるものがある復刻種族に分類されます」
ソード・ワールドの復刻種族と新種族
NOVA「2.0時代から復刻した種族は以下のとおりです」
1.レプラカーン(ルミエルレガシィ→基本ルールブックIII)
特殊能力の透明化と、アイテム使いの才能をもった種族。元々は基本とは言えない追加種族だったのが、2.5で符術使いのアルケミストと紐付けされる形で、基本ルールブックIIIに抜擢された。
なお、職業のアルケミストの方は、カードを使うという点で、新作ライダーのガッチャードと相性が良さそう。今後はソード・ワールドで、アルケミストと騎手のライダーを組み合わせるキャラ作りが旬になるかも?
2.シャドウ(カルディアグレイス、改訂版ルールブックI→アウトロープロファイルブック、アーケインレリック)
2.0初の種族追加本カルディアグレイスに登場し、その後、ルールブック改訂版Iにも抜擢されたため、一応の基本種族と見なされたりもする追加種族。最初のテラスティア大陸とは別大陸のレーゼルドーン大陸(蛮族に支配された大陸)出身の人族で、人族でありながらクールな契約重視の傭兵として蛮族社会でも何とか生き延びてきた。
ナイトメア同様、被差別的な過去を持つクールな種族を求める人向き。ナイトメアが魔法戦士向きであるのに対し、こちらは密偵や暗殺者のイメージが濃厚。2.5ではアウトロー本で初実装された後、今回のアーケインレリックでも再収録された。
月神シーンの祝福を受けて、高い精神力耐性を持つのも特長。シャドウで月だと、特撮ファンはあのキャラを連想する。信彦〜。
3.ソレイユ(ルミエルレガシィ→アウトロープロファイルブック、アーケインレリック)
太陽神ティダンの加護を受けし陽性マッチョな脳筋種族。同じレーゼルドーン出身の人族でありながら、シャドウと対照的な生き様から、アウトロー本で同時採用された。シャドウムーン的なシャドウに対して、「俺は太陽の子」とか「キングストーンフラッシュ」的な特殊能力の使える南光太郎的なロールプレイが楽しめそうな種族でもある。
まあ、それよりもおバカプレイの方が一般的で、脳筋浮世英寿っぽさが今の旬か。まあ、グラスランナーと並んで、楽観的おふざけプレイがキャラ付けとして許される(卓次第だけど)稀有な種族。そして、昼は最強マッチョで、夜はしおしお〜と弱体化するというロールプレイ的には面白い二面性もウケる。ルールに忠実にロールプレイするだけで、場の笑いをとれるのは本当に美味しい種族だな。
4.ハイマン(イグニスブレイズ、改訂版ルールブックII→アーケインレリック)
魔法使い向きに調整された強化人間。寿命が短く儚いという設定ながら、転生して前世の記憶を一部引き継ぐ素質を持っている。今だと、これも浮世英寿プレイが可能だな。虚弱体質な知力英寿を狙えるか。薄幸の美男美女(だけど闇属性じゃない)を演出するには向いている。
2.0時代には、ルールブック改訂版IIに採用されたおかげで基本種族とも言えたが、今回ようやくの復活。これで後はヴァルキリーの復刻がかなえば、2.0時代のルールブック掲載種族が完全網羅されることに。ハイマンよりも、ヴァルキリーを望んでいたNOVAとしては、次こそは、という気持ちでいる。
5.フロウライト(カルディアグレイス→アーケインレリック)
キラメイジャーの放送期にイメージされた鉱石人間も今回、晴れて復刻。
毒も薬も無効の宝石ボディと、生きた魔晶石の異名どおり無尽蔵と言われるほどの豊富なMPが特徴。HPの多さで打たれ強い魔法使いという点では、2.5の樹木メリアと対比できる種族でもある。どちらも普通の動物ではない(植物とか鉱物とか)個性の持ち主で、ソード・ワールドの異種族エキセントリックな面を象徴していると思う。
NOVA的には、今回の女性フロウライトのマンガチックな笑顔がお気に入りで、「鉱石とは思えないほど豊かな表情」というイメージがようやく、しっくり来た感。キラメイのマブシーナ以外に、999のガラスのクレア的な無機的な美貌のイメージが濃厚だったので、あっ、こういうコミカルな笑顔もできたんだ、とイメージが膨らんだ。
6.ダークドワーフ(イグニスブレイズ→アーケインレリック)
ミストグレイヴで注目されていたダークドワーフが、今回、ドワーフの希少種族という形で再定義されて復刻。
炎に対して防護効果を持っている通常のドワーフに対して、炎を(身を削る)武器として活用する攻撃的な種族がダークドワーフと言える。人族を裏切って蛮族側に付いたけど、魔動機術を初めとする人族側の技術革新に興味を持って、人族の街にふらふらと足を踏み入れてしまう技術オタクっぽさがダークドワーフの魅力、と思ってる。
D&Dでは、屈強で硬派な鉱夫、鍛冶屋、意外と手先器用な宝石職人のイメージのある(ソード・ワールドでもそれは間違っていない)ドワーフだけど、(本来の大地の精霊、また幻影使い以外に)発明狂種族として描かれやすいノームがソード・ワールドには採用されていないので、その要素もドワーフに投影されている節が感じられる。
中世風文明にメカ(魔動機術)を導入したのがラクシアの特徴だが、では、そのメカに興味津々な種族といえば、ドワーフが抜擢されている形(蛮族側ではアンドロスコーピオンも挙げられる)。D&Dのドワーフが保守的な面が強いのに対し、ラクシアのドワーフは魔動テクノロジーにもしばしば関心を抱き(ルーンクエスト的でもある)、伝統だけでなく、先駆的な技術者の側面も合わせ持つ。
そして、本家のドワーフは彼らなりの社会生活があって、そこに縛られる傾向が強いのに対し、技術を追いかけて社会から飛び出したプレイヤー用のダークドワーフは、より前のめりな(自滅的な)発明オタクの傾向がより濃厚だと思う。人族の目から見ても、より狂信的で自暴自棄な面もある危なっかしさ、発明的好奇心のためには何もかも捨てて技術を追求する純粋さを感じる。
まあ、公式にダークドワーフのプレイヤーキャラを見たことがないので、あくまで自己イメージなんだけど。
7.ウィークリング(カルディアグレイス→アウトロープロファイルブック、アーケインレリック)
プレイヤーが使える弱体化した蛮族種族。
2.0時代は、ガルーダ、バジリスク、マーマン、ミノタウロスの4種だったけど、2.5ではマーマンが甲殻類の腕を持つ美形種族のタンノズに置き換わってる。置き換わった理由は、やはりマーマン・ウィークリングの特殊能力が水中特化で汎用性に欠けるからかなあ。
タンノズは、[水中適正]を持ちつつ、[甲殻の腕]による格闘能力が強化されているのが特徴。美形の拳法使い(身内からは迫害された過去持ち)というキャラ性に向いている。このタンノズという種族は、本来、カニ人間という(人間視点では)美形と言い難い外見なんだけど、弱体化(蛮族の穢れに基づく異形化が減退)したせいで、カニから人間に近づいて美形になる(そのために同族からは軟弱者と迫害される)という面白いキャラ性を持ってる。
空が飛べないガルーダ・ウィークリングや、強力なトカゲへの変身能力を持たないバジリスク・ウィークリングや、パワー不足と見なされているミノタウロス・ウィークリングが迫害されるのは力重視の蛮族社会で分からなくもないが、中途半端な甲殻で美形だから迫害されるってのは、美意識において歪みを感じて面白いなあ。
蛮族社会では穢れが多いほど、人族から異形化が進行するほど、強者として尊敬されるという伝統があり、だけど度が過ぎると(穢れポイントが5点に達すると)理性を失ったアンデッドと化して、討滅対象になるという。強さを求めたチキンレース的な価値観なんですな。過ぎたるは及ばざるが如し、とか。
NOVA「で、次のデータ拡張サプリメントでは、蛮族本が来るのかなあ、とか思うわけですが、2.0の人族で未復刻なのは、残すところ、フィー、ヴァルキリー、そして猫人のミアキスぐらいで、それも復刻願いたいなあ、と」
ヒノキ「ミアキスは、2.5では獣人のリカントに統合されたのでは?」
NOVA「かもしれませんな。人族のミアキスと、蛮族のライカンスロープが統合されたのがリカントで、蛮族の半吸血鬼ラルヴァがよりおとなしい感じの人族になったのがアルヴと思います」
ヒノキ「では、サプリメントによって追加された新種族を見ていくかの」
1.アルヴ(アウトロープロファイルブック初出)
吸血鬼……ではなく、吸精人。生き血(HP)ではなく、精気(MP)を吸う。
星神ハルーラの加護を受けて生まれた種族であるものの、一説によると蛮族の吸血鬼がハルーラによって浄化されて人族に転生した種族との話もあり、リカント同様、似た蛮族と混同されて嫌悪されがちな面がある。
太陽神の戦士ソレイユ、月神の密偵シャドウと対比され、星の魔法使いとしての素質を持つ。
NOVA「ここまでは、以前のサプリメントに掲載されたものの再録ですが、この後がアーケインレリックで新登場の種族ですね」
2.スプリガン
古代魔法文明時代に、「遺跡の番人」として生み出された種族と言われている。元は、蛮族の巨人族だったのが穢れを魔法で抜いて生まれたという伝承もある。
普段は機敏な子供のような姿で、戦いに際しては身長3mの巨人に変身する特徴を持つ(初期状態で、1日に2回、10分ずつ)。巨人形態だと、敏捷力が6点減少する反面、筋力と生命力が12点増加し、また装備品も巨人用に準備したものが出現する。
つまり、素早い軽戦士的な活躍と、パワフルな重戦士としての活躍の双方を1キャラでこなせる、テクニカルな種族である。
ヒノキ「おお、普段は幼子のように見えるが、いざという時には巨大変身できるとは、わらわに通じるものがあるのう」
NOVA「子どもが戦闘時に大人に変身だと、該当するヒーローもいくつか連想できます。最近だと、DCのシャザムとか、キュウレンジャーのコグマスカイブルーとかですな」
ヒノキ「サンプルキャラを見ると、初期レベルで筋力30になるのか。1日2回とは言え、最強の破壊力を備えた種族と言えような」
3.アビスボーン
奈落の魔域(アルフレイムで発生する異界ダンジョン)で生まれた呪われし種族。魔神の肉体が胎児と融合を果たしたものと見なされ、胴か腕か瞳が魔神風に変質している。
同じ忌み子のナイトメア同様に、能力値は優秀で、魔法戦士の特性に恵まれている。
最大の特徴は、アビスカース(2.5のルールで、武具をアビス強化した際に付与される呪い)を身に宿してしまうこと。これによって、魔性のキャラを作成できるはず。
ヒノキ「アビスカースか。我々は、ソード・ワールド2.5をプレイしているはずなのに、アビスカース表を振ったことが一度もないのう」
NOVA「シナリオが2.0時代の『フェアリーガーデン』とか『ミストグレイヴ』だったりしますからねえ。アビス強化には、アビスシャードが必要。しかし、アビスシャードを入手するには、奈落の魔域(シャロウアビス)に侵入して、奈落の核(アビスコア)を破壊しなければなりません。そして、奈落の魔域は2.5の舞台であるアルフレイムでしか発生しません(公式ルールでは)」
ヒノキ「うむ。魔神を倒したらアビスシャードをゲットできる、というハウスルールを作れば良いと思うのじゃが、どうか?」
NOVA「一つの提案として、考えてみましょう。ところで、せっかくこの機ですから、我々2人でアビスカース表を試しに振ってみませんか?」
ヒノキ「振るだけだと、つまらん」
NOVA「そうですね。では、うちの魔女ネアンと、そちらのヤーハッカゼッシュが『実はアビスカースに呪われていた』ということにして、俺がヤーハッカゼッシュの分を、ヒノキ姐さんがネアンの分を振って、結果をそれぞれのプレイに反映させるというのは?」
ヒノキ「面白い。ラスボスがそれぞれ奈落に呪われていることにするのじゃな」
NOVA「ルールは、アビスボーンのキャラ作成時と同様、3回振って、どれか1つを選ぶというもの。では、俺からヤーハッカゼッシュの呪いを振ります。(コロコロ)5ー5は『まばゆい』。光などを弾いて強く輝く、です」
ヒノキ「ヤーハッカゼッシュは、輝いておるのか? 何だか格好良く思えるが」
NOVA「しかし、自分の光のせいで、視界が悪くなって命中判定など視力を使う行動にマイナス1のペナルティーです」
ヒノキ「だから、眼帯を付けておるのじゃな(笑)」
NOVA「何だか、それでいいような気がして来ましたが、念のため、あと2回振ります。(コロコロ)4ー1は『鈍重な』。移動力が半分。これはないな。(コロコロ)2ー6で『陽気な』。精神抵抗に失敗するたび、笑いが止まらなくなる」
ヒノキ「お笑い芸人のマッスルG太郎とは、相性が良いかもしれぬ」
NOVA「しかし、『まばゆいヤーハッカゼッシュ』『鈍重なヤーハッカゼッシュ』『陽気なヤーハッカゼッシュ』のどれかを選ぶなら、やはり最初のに限るでしょう。鈍重とか、陽気とかは、これまで築き上げて来た彼のパブリック・イメージが狂ってしまう。……ということで、俺の演じるヤーハッカゼッシュは、シャイニーに輝いていることにします。『フッ、この光、余には眩しすぎる。余自身の光が呪いになるとはな』とナルシストにつぶやく痛いキャラをプレイしましょう」
こうして、シャイニー・ヤーハッカゼッシュという新しい設定が、この期に及んで生えてきたわけで。
ヒノキ「では、そっちの妖精郷のラスボスの呪いを決めよう。(コロコロ)6ー1は『正直者の』。嘘がつけなくなった。真偽判定をされた場合、マイナス4のペナルティーじゃと?」
NOVA「実は、いい人だったのか、ネアンさん?」
ヒノキ「他には(コロコロ)5ー2。『唸る』。何だか常に羽虫が飛び交うような声を上げる。隠密判定や危険感知判定にマイナス4じゃと? ダメじゃ、もう1回。(コロコロ)6ー5。『つきまとう』。気がつくと、この武具がいつでも身の回りにある。他の武具を使ったときにマイナス4のペナルティー……って、これはキャラクターの場合、どう解釈するのじゃ?」
NOVA「好きな相手につきまとうストーカーみたいなものですかね? 愛するキャラが近くにいないと、寂しくて行動にマイナス4のペナルティーだから、常に一緒にいようとするとか?」
ヒノキ「ラスボスがストーカーなのは嫌すぎる。それだと、まだ正直者の方がマシじゃ」
NOVA「いや、それはシナリオ上、マズいような気がするなあ。一応、ラスボスはプレイヤーキャラに偽りを吹き込むキャラだし、むしろ親友のアラマユにベタ惚れで、というキャラの方が、いいのかも」
ヒノキ「マイナス4のペナルティーはどうするのじゃ?」
NOVA「大丈夫です。うちのフェアリーガーデン・プレイでは、Wショーカの演ずるキャラ2人がアラマユの転生体って設定になっていますから、ラスボス戦で彼女たちが参戦している限り、マイナス4のペナルティーは反映されません」
ヒノキ「ならばアラマユにヤンデレで、『つきまとうネアン』で、そっちのラスボスは良いのじゃな?」
NOVA「『正直者のネアン』や『唸るネアン』よりは、シナリオも破綻しないし、キャライメージも狂わないと思います」
ヒノキ「では、『まばゆいヤーハッカゼッシュ』と『つきまとうネアン』で、我々のソード・ワールドのキャンペーンの新たなラスボス・イメージは確定なのじゃ」
NOVA「では、今回の記事はこれにて。あと、希少種が20種類残っているので、それらの紹介と感想は、次の記事に続きます」
(当記事 完)