花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

対決!翔花VS殺人鬼

先に打ち明け話


花粉症以外の適切なカテゴリーがなかったので、新たに[バトル創作]カテゴリーを設けました。
一応、花粉症ガールの翔花は「日常系ゆるふわ雑談キャラ」を想定していましたが、「花粉症バスター」とか「スペシャル・トリプルツッコミ・ローリングサンダー」とか技を(NOVAに対して)放つのを見ると、敵と戦わせてみたい、という気持ちにもなったりして。

で、どんな敵がいいかな、と考えてみると、結構いるじゃん。昔、NOVAが考えて、日の目を見ることが全くなかったというか、作者の自分ですら、忘却の彼方に封じていた「祟り神になってもおかしくない連中」が山ほど、と。
中学時代の夏休みの自由創作課題に提出した原稿用紙50枚ほどの怪獣小説『ニュークリアス』(元ネタはゴジラ)なんかは、まだ倒されて物語が完結したので、マシなんですが、
途中まで考えて、未完結のまま捨て去られた作品がそれなりにあって、そんな連中のことを再生利用してやったら、ネタになるかな、と。そして、ただ懐古話として語ってもつまらないので、現在進行形の創作キャラと時空を越えたバトルを繰り広げるってのはどうか。

まあ、さすがに全部が全部、覚えているわけでもないし、そもそも未完成のままゴミ箱にポイって話ですからね。ろくに記録すら残ってない。
何となく、こんなの書いたよなあ、という曖昧な記憶が、ふとしたきっかけで蘇って来た時に、翔花と戦わせて、浄化、ご供養がてらに、自分の過去の不手際の総括を試みるのも一興。

で、そうやって戦わせているうちに、翔花という現在進行形のヒロインが成長してくれたらいいなあ。
その果てに、ラスボスとして「プレ・ラーリオス=カート・オリバー」の未完物語にも、何らかの決着を付けられるといいかなあ。
まあ、カートは記憶が鮮明ですし、今でも公開中なので、こちらのサイトで普通に読めるんですけどね。まあ、10年前から書いて、いろいろ楽しんだわけですが、共同企画なので多少のトラブルもあったりして、そこで学んだ貴重な体験も数知れず。

あと、当ブログでも企画原案者の通称・流転さんの作品であるラーリオス本編のパロディとして試し書きした『ぷちラーリオス』を掲載しています。(2008年6月3日
一応、ラーリオス話の主舞台は、ブログではなくて掲示板上での交流だと考えていたので、わざわざここでのカテゴリーにはあげませんでしたが、この機に[バトル創作]タグを付与した次第。
まあ、流転さんのキャラである上座雄輝とヒロインの梓を拝借し、設定ができる前のナイトメアの固有名詞だけを流用したパイロット版みたいな位置付けですが、軽く読めるネタ編なので、この機に読みたい方はどうぞ。

で、ただの創作ではなくて[バトル創作]にしたのは、当ブログの趣旨が基本的に「創作エッセイ」であり、最近遊ぶようになった翔花との雑談も「日常系創作」に該当するから、ここでの記事のほぼ全てが創作関係だと見なすことができる。
稀に、「東日本大震災」のような現実に対する記事などは、創作ではないのですが、まあ、そういう現実性の強いテーマは、裏話的な[ブログ運営]というカテゴリーに含めています。
とりあえず、今日は予定が雨で流れて時間があるので、懐古モードついでに昔の記事の確認なども進めてみたわけですが、そろそろ昨夜の話の続き、翔花の初バトルの完結編に入りたいと思います。

前回のあらすじ


ブログ主、White NOVAはアマチュア創作家である。

彼の応援、想像、妄想したキャラクターは、物心ついた1975年以降、膨大な数に膨れ上がり、その多くはヒーローとして時代を超えて語り継がれたり、悪役としてヒーローに倒されるか、あるいは改心して頼れる(時として頼りない)味方になったり、数々の運命を経て、物語内で何らかの決着が付けられて来た。
そして、数々の物語が人々の記憶の中に残り、時にリメイク、時に同朋や後輩ヒーローを応援に駆けつけ、時にオマージュを捧げられ、場合によっては遠い異国の地で思わぬ称賛を受けて、復活の機運すら持ち上がることとなる。

しかし、中には忘れ去られたまま顧みられず、あるいは、そもそも語り伝えられることすらなく消え去った物語もあることを、我々は知らなければならない。
ボツ、ペンディング、打ち切り、企画倒れ、さまざまな不幸の呼び方はあれど、忘れられたキャラクター、生まれることすらなかったキャラクター、それでも企画書のわずか1ページ内に記録されたり、企画会議で言の葉に上ったり、未熟な創り手の頭の中にのみ浮かび上がったり、そうした思念、想念、妄念が時として、悪霊、祟り神として発生することもある。

悪霊は、感受性の強い誰かの心に入り、しばしば世に災いを起こすことがあるかもしれない。
しかし、我々は恐れてはいけない。
この世に悪霊がある限り、それを打ち払う正義の精霊少女もまたいることを。

そう、この物語のヒロイン、粉杉翔花もその一人である。花粉症に苦しむNOVAの思念から生まれた彼女は、悪霊ではなく、正義の心を持った精霊として、今、立ち上がった。
一人の男の精神と、その築いたブログと、平和な日常を守るために。

対するは、NOVAに捨てられた憎悪の殺人鬼。その名もケイソン。

今、時空を超えたバトルが始まる。


翔花BS「ちょっと、NOVAちゃん、のんびりナレーションしている場合じゃないわよ。起きているなら、私の戦いを手伝ってよ。元々は、あんたが生み出した悪霊でしょうが」


NOVAは、ブルーアイズの力を翔花に託して、深い眠りに就いているようだ。


翔花BS「だったら、この記事、書いている、あんたは誰なのよ」


さあ。
そんなことよりも、目の前のケイソンが迫ってくるぞ。
戦うんだ、花粉SHOWガール、ショーカ・ブルー・スタンド。みんなが君を応援している。


翔花BS「そこまで言われたら、頑張るしかないわね。さあ来い、ケイソン、この翔花ちゃんが相手になってやるわ」


空想(妄想)ファイト、レディーGO!

戦場はスギ林


ケイソン「死ネ、小娘ェェェ。我ガ怨念ノ贄トナレ」


殺人鬼の鉈(なた)が、花粉SHOWガールに襲いかかる。


翔花BS「キャーーーッ」


おっと、翔花。素早くしゃがみ込んで、鉈攻撃をかわした。
大振りの刃が、少女の頭上をかすめ、勢いのままに後ろの本棚に突き刺さるッ。
ああ、貴重な蔵書が無惨に切り裂かれた。持ち主が見たら、嘆き悲しむぞ。シクシク。

……いや、失礼。ええと、持ち主は眠っているのでございますな。

わたくしはただの実況のナレーション係。ええと、今のは舞い散る花粉が影響して、涙がこぼれただけで。
さあ、どうする、翔花。


翔花BS「こんな積んでる本やDVDだらけの部屋じゃ、まともに戦えるわけないじゃない。大体、のんびり寝ているNOVAちゃんを守りながらじゃ、相手を倒すことに集中なんてできない」


それもそうですな。
だったら、バトルフィールドの構築ぐらいはお膳立てしてあげないと、戦いがつまらないものになりましょう。
ほれ、そこの寝ているブログ主、そろそろ動き出さないと、貴重な書物が失われてしまいますぞ。


NOVA「!」

翔花BS「なに? NOVAちゃんの体がまた光って……」

謎の声(翔太郎、聞こえるかい。ぼくだよ、フィリップだよ)

翔花BS「……そう見せかけたNOVAちゃんの声ね。誰が翔太郎よ。私は翔花。人の名前を間違えているんじゃないわよ」

NOVA思念体(チッ、バレたら仕方ない。今の俺は思念体。そう簡単には、死ねんたい)

翔花BS「人の心の中で、つまらない親父ギャグを聞かせるなら、今すぐ出て行って。私は今、戦っている最中で、忙しいんだから。それぐらい分かるでしょう?」

NOVA思念体(大丈夫だ。この心の中の会話中は、ウェイトモードで時間が止まっている。だから、たっぷり雑談することだってできるぞ)

翔花BS「冗談がいちいち寒いのよ。『まるでゴミさ』って言って欲しいわけ? このキカイダーマニア」

NOVA思念体(事実だから否定しない。それより、俺が出て行ったら、戦闘用のBSモードが解除されちゃうぞ。今は不味いんじゃないか?)

翔花BS「だったら、つまらないジョークは抜きにして、さっさと用件だけ語りなさい。アドバイスするために起きたんでしょ?」

NOVA思念体(まあ、そうなんだが。しかし、二人で一人のバディ物だと、軽妙な会話のやりとりを読者の皆も求めていると思うんだけどな)

翔花BS「そんなのは時と場合によるわ。初戦闘でいきなり戦闘をそっちのけにして、頭の中の雑談に夢中になっているヒーロー、ヒロインなんている? アドバイザーがいきなり集中をかき乱すようなマネをして、どうするのよ? そんなことも分からないなんて、あんたバカ?」

NOVA思念体(スペシャル・トリプルツッコミ・ローリングサンダーは、俺じゃなくて、ケイソンに向けろよ。相手を間違えるな)

翔花BS「この技は、ボケる相手に対するカウンターなの。ケイソンって、あまり無駄口を叩かないから、ツッコミどころがないのよ。ケイソンがボケてくれない限り、この技の出番はないわ」

NOVA思念体(やっぱり、ケイソンは俺の天敵だな。大体、俺の武器は言葉だよ。言葉の通じない問答無用な輩が相手では、精神的に追い詰めて反省させることも、論理的に相手の矛盾を指摘して改心させることもできないじゃないか。俺よりも達人の術師だったら『そもそも君の存在は、この世界の通常法則からして、有り得ない。君の存在そのものが世界法則と矛盾しているのだ。そのような存在を、ぼくは認めない。さあ、大人しくおのれの非理を認めて、君を受け入れてくれる世界へ旅立つのだ。君の居場所はそこにある。今すぐここより消えろ』と言って、相手を睨みつけるだけで、消し去ることができるんだがな)

翔花BS「そこまで詳しく解説ができるなら、どうしてNOVAちゃんに、それができないのよ」

NOVA思念体(それは、俺自身がそこまで論理的に生きていないからだよ。俺だったら、『君の存在は確かに世界と矛盾しているかもしれないが、有り得ない、とまでは思わないな。有り得る、と考える方が、世界を楽しめる。君が人を楽しませるように生きていけるのなら、ぼくは君を認めてやってもいい。その代わり、人に迷惑かけるなよ』と考えちゃう。こんな考えでは、相手の存在そのものを抹消するような禁断の魔術は使えるはずがない。相手の矛盾を指摘する前に、自分自身が矛盾してるんだから、反動で相手ごと自分を消しちまう。魔術を使うにも、相応の生き方が背景に求められるわけで、論理的な人間は理論魔術の達人になれるが、俺のように中途半端な人間は、理論魔術も混沌魔術も達人クラスには及ばない。時空魔術は、歴史学部の経歴ゆえ大得意だけどな)

翔花BS「だったら、その得意な時空魔術とやらで、この状況をどうにかしなさいよ」

NOVA思念体(戦場を移せばいいんだな。任せておけ。お安い御用だ。そもそも俺の部屋は時空が安定していないから、ゲートを開くにはもってこいだからな。まずは、奴ごと飛ぶぞ)

翔花BS「飛ぶってどこへ?」

NOVA思念体(〈事象の分岐点〉だ。抽象的な表現だが、まずはそこに動くのが、その後の戦場を決めるのにも都合がいい。そこからだと、どんな場所にも簡単に飛ぶことができる)

翔花BS「よく分からないけど、専門家に任せるわ。すぐにやってちょうだい」

NOVA思念体(じゃあ、そこにあるゴミ箱に入れ)

翔花BS「ケイソンが出て来たところ? どうしてよ」

NOVA思念体(今は、そこが一番、時空が乱れているからな。利用しない手はない)

翔花BS「だって、ゴミ箱よ。うわ、NOVAちゃんが鼻をかんだティッシュがいっぱい。いくら私が花粉症の精霊でも、他人の鼻水のついたティッシュの山に埋もれるのはイヤよ。そんなことになったら、お嫁に行けなくなっちゃう。責任とってくれるわけ?」

NOVA思念体(よく考えたら、俺もイヤだ。仕方ない、次善の策だ。そこのテレビのモニターをゲート代わりに使おう。iPadでもいいが、ちょっとサイズが小さすぎるし、戦いの記録に支障が出そうだからな。翔花よ、ケイソンを縛りつけられるか?)

翔花BS「どうやって?」

NOVA思念体(お前、植物の精霊だろう? ツタか何かを操って、相手を縛ることぐらいできんのか?)

翔花BS「やったことないけど、試してみる。大体、こんな感じかな。髪の毛一本、引き抜いて、アイタタタ、もう、この痛みを呪いに変えて、呪縛のツタよ。形を為せ」

NOVA思念体(うまくムチを作ったようだな。さしずめ、ショーカビュートってところかな)

翔花BS「技名や武器名に、何でも自分の名前を付けるのってダサいと思うの。NOVAちゃん、スギは英語で何ていうの?」

NOVA思念体(ん? ちょっと待て。時空検索魔法始動! よし、これだ。Cedar、一般的な和名はシダー、またはシダーウッド。ただ正式な英語の発音はシーダーという)

翔花BS「だったら、シーダーウィップね。ムチをビュートというのは、アカレンジャーさんの許可がいるみたいだし。次、どうするの?」

NOVA思念体(先にゲートを開く。そして、お前が飛び込むときに、そのムチでケイソンを縛りつけて、一緒に引きずり込め。いいか、お前がムチで奴に攻撃を当てた瞬間、ウェイトモードが解けて、奴が動き出すからな。タイミングを見誤るな)

翔花BS「そんな面倒くさいことをしないで、魔空空間みたいに普通に引きずり込めないの? それとも、前に翔花にやったみたいに、バシルーラで飛ばすとか」

NOVA思念体(魔空空間は一種のブラックホールだ。周囲の何もかも引きずり込んじゃう。そんなことをしたら、俺の部屋が大惨事だ。バシルーラの方は、ケイソンには無効だ。何しろ、奴の故郷があるとしたら、それは創作者の俺のすぐ近くということだからな。あるいは、俺の中学時代に住んでいた家か。今は誰が住んでいるか知らんが、空き家じゃなければ、その家の住人に大迷惑だろうな)

翔花BS「いろいろ面倒なのね。さっさと戦いの決着を付けたいから、NOVAちゃんの言うとおりにするわ」

NOVA思念体(そうしてくれると、俺もいちいち説明しなくて済むから、手っ取り早く事が片付く。だけど、その前に一つだけ、選んでくれ。翔花、君はどこに落ちたい?)

翔花BS「落ちたいって何よ? 上空から、落下するとでも言うの?」

NOVA思念体(言葉の綾だ。サイボーグ009のパロディだよ。それより、次の選択肢から選んでくれ。「1.どこかの採石場」「2.どこかの海岸」「3.クリスタルレイク風の湖畔にある、それっぽい森林地帯」)

翔花BS「そんな選択肢じゃ、普通は3を選ぶんじゃない? どうして、1と2はそんな適当なのよ?」

NOVA思念体(いや、どちらも特撮ヒーローファンにはおなじみな場所だから、正確な地名を知らなくても、何となくイメージができるんだよ。1はヒーローが並び立てるような崖ふうの高台もあったり、爆発させても誰も文句を言わなかったので、昔は撮影場所に多用されたんだが、最近はCG合成を使うから、別に爆発が可能な場所にこだわる必要もなくなって、街中の戦いも多くなった。まあ、単純に広いから、ヒーロー集結映画を撮影するには便利だけど、そこまで行くのに距離と時間が掛かるので、今は大掛かりな撮影用のスペシャルな戦場という位置付けかな。だけど、俺の今日のおすすめは2番だ)

翔花BS「どうしてよ?」

NOVA思念体(海辺の砂浜ってのが、最近の仮面ライダーでは劇的なシーンを撮影するのに、よく使われるんだよ。特に、今朝、げんとくんが去年の貴利矢さんみたいに、主人公に秘密をささやく場面があって、華麗に美味しく倒れて行ったんだよ。まあ、まだ死んでないけどな。もしかすると、今からそこに行けば、倒れたげんとくんに会えて、俺たちが救出者になれるかもしれない。花粉症ガールが仮面ライダービルドで重要な役を果たすチャンスかもしれないぞ)

翔花BS「却下。どうして私が、げんとくんを助けないといけないのよ。大体、げんとくんのいる場所に、ケイソンなんて連れて行ったら、げんとくんがゾンビにされてしまうかもしれないわ」

NOVA思念体(う、それはまずい。俺たちのせいで、げんとくんにこれ以上、過酷な運命を背負わせてはならない。俺たちの問題は、仮面ライダーに迷惑をかけずに解決しないと、な)

翔花BS「だったら、迷わず3ね」

NOVA思念体(そうだな。元々、ケイソンの元ネタはジェイソンだから、俺のイメージも『13日の金曜日』の主な舞台であるクリスタルレイク湖畔に基づくわけで。もっとも、中学時代はその地名を覚えていなかったんだがな。森林なら、お前にとって戦いやすい戦場かもしれんし、一応、植生は映画をよくよく観察すれば分かるのかもしれないが、ここはお前に合わせてスギ林に設定すれば、こっちが有利だろうな」

翔花BS「そんな勝手が許されるわけ?」

NOVA思念体(俺は作者だし、昔の俺はどんな木が生えているかなんて、いちいち考えて書いていないし、だったら、そういう細部の設定は後からこっちが勝手に決めても問題ないし。俺に自由にならないのは、登場人物の基本設定と、すでに出来上がった人格とか、行動動機だ。舞台設定は多少いじれても、ケイソンが急にいい奴になって、仲間になるような劇的な変化を伴うようなストーリー破壊までは、さすがに手に余る。俺にできるのは、ケイソンを倒すために主人公がいかに知恵を絞って、勇気を振るい起こし、安易な奇跡に頼らない活躍を描けるか。これに尽きる)

翔花BS「なるほどね。だけど、NOVAちゃん、一つ言っていい?」

NOVA思念体(何だ?)

翔花BS「私たち、結局、戦闘をそっちのけにして、雑談に夢中になっちゃっているよ」

NOVA思念体(……さっさと、戦場を移すぞ)

ようやくバトル


(中略)
こうして、ショーカ(以下略)は知恵と魔力を振り絞って、ケイソンを引きずって、〈事象の分岐点〉を経て、「クリスタルレイク風の湖畔にある、それっぽいスギ林」に到着した。
やれやれ、たかが戦場を部屋から移すだけのために、どれだけ時間をかけてお喋りしてるんだよ、俺らこいつら。
ウェイトモードにしていなければ、とっくに殺人鬼に殺されてるぞ。


ケイソン「ケイソーーーーンッ! ヨヨヨヨヨクモ、人ノ時間ヲ止メテ、イツマデモ放置シテクレタナ。35年間ノ忘却封印ニ飽キタラズ、コノ仕打チ。絶対ニ許サヌゾー」

翔花BS「あのう、その怒りを私にぶつけるのは、逆恨みだと思うの。ぶつけるなら、NOVAちゃんにぶつけるべきよ」

ケイソン「NOVAナド知ラヌワ。我ガ恨ムハ唯一人。ソノ名ハ」

NOVA思念体(うわあー、翔花。そいつを今すぐ黙らせろ。そいつは、このブログ上で俺の本名をさらそうとしてやがる。個人情報をしっかり守らないと)

翔花BS「それは大変。ねえ、ケイソンさん、あなたがNOVAちゃんに恨みを持つのは自由だけど、他人のプライバシーをネット上でペラペラ喋るのは反則だと思うの。誰にだって、個人情報というのがあって、それを破るのは個人情報保護法に引っ掛かるのよ。お願いだから、NOVAちゃんの個人情報だけは大事にしてあげて」

ケイソン「個人情報? 何ダ、ソレハ? ソンナモノハ知ラン。我ガ恨ムハ唯一人。ソノ名ハ」

NOVA思念体(うわあー、翔花。何やってるんだ。80年代の殺人鬼に、個人情報なんて概念が通じるわけないだろうが。アメリカは知らんが、日本で個人情報保護法が制定されたのは、2003年以降の話だ。現在の常識で話しても、意味がない)

翔花BS「だったら、話し合いは決裂ね。くらえ、花粉症バスター!」

ケイソン「何ダ、ソレハ? ソンナ攻撃、痛クモ痒クモナイワ」

翔花BS「うわ、どうしよう、NOVAちゃん。花粉症バスターが通じないよ」

NOVA思念体(よく見ろ、翔花。奴はマスクをかぶっている。マスクに遮られて、お前の花粉は奴に届かない。クシャミも鼻水も、奴には無効化される)

翔花BS「そんな! だったらお手上げだよ。相手が花粉症にならないんだったら、花粉症の精霊には何もできるわけないわよ」

NOVA思念体(簡単に諦めるな。何のために、俺が持てる魔力をお前に託したと思っている。今のお前には、空の力、風の力、ブルーアイズの力が宿っている。それと、お前の持ち前の植物の力を合わせれば、奴を倒す技が何か見つかるはずだ)

翔花BS「そんな急に言われても、簡単に新しい技なんて見つからないよ」

NOVA思念体(シーダーウィップがあるだろう。それで時間を稼いでいる間に、何か考えるんだ。俺も知恵を貸すから、二人でこのピンチを乗り切ろう)

翔花BS「うん、分かった。そうだね、NOVAちゃんも一緒に戦ってくれているんだよね。だったら、私、負けない」

ケイソン「ム、我ヲ生ミシ小僧、娘ノ中ニイタカ? 娘、モロトモ葬ッテクレルワ」

翔花BS「そうはさせない。シーダーウィップ乱れ打ち!」

ケイソン「ソンナ柔ナ鞭ナド効カヌワ。ムンッ!」

翔花BS「キャッ、鉈の一振りだけで、私の鞭がズタズタに。どうなってるの?」

NOVA思念体(風圧だ。鉈を振るときに生じる衝撃波が、かまいたちみたいになって鞭を引き裂いた。いかん、逃げるぞ。翔花、花粉症バスターだ)

翔花BS「花粉症バスターは効かないのよ」

NOVA思念体(煙幕代わりに使えるだろうが。技は応用の仕方を考えるんだよ)

翔花BS「そ、そうね。さすがはNOVAちゃん。ケイソン、くらいなさい。花粉スモーク弾!」

ケイソン「ム、目クラマシカ。小賢シイ。ドコニ逃ゲヨウト、必ズ見ツケ出シテ、小僧ゴト我ガ下僕ヘト作リ変エテ見セルワ。セイゼイ、木々ノ中ニ隠レテ怯エテイルガイイ」



(今回の記事はここまで。完成させるつもりが、ピンチのままで続いちゃったよ。どうやって、倒したらいいんだ、ケイソン。これから考えます。つづく)