花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

ファンタズム・アドベンチャーの話1(種族ネタあれこれ)

久しぶりのTRPG研鑽

 

NOVA「しばらくぶりです」

ヒノキ「ずいぶんと時間が空いたのう」

NOVA「その間に、ソーサリー2巻『罠の都カーレ』と、FF31巻『最後の戦士』の攻略記事なんて書いていました」

ヒノキ「で、ゲームブックに夢中になっていたから、こちらは一月半も放置しておった、と」

NOVA「まあ、それはさておき。今回は前から書きたいと思っていた、ファンタズム・アドベンチャー(略してPA)の話です」

ケイP『このゲームは1988年の夏に出版された、昭和末期のTRPGだッピ。A4版150ページのムックスタイルで出版されて、値段は2800円。当時は文庫RPGのT&Tが1000円弱で出て、ボックスRPGのD&Dやクトゥルフなどが5000円ほど。その中間に当たる価格帯のゲームとして、非常に盛りだくさんな設定で、密度の濃い作品として登場したッピね』

NOVA「とにかく、このゲームは、基本ルールに掲載されている種族の数が、今なお最多数のRPGとして知られている。何せ、約80種類だ。もちろん、サプリメントを入れたら、D&Dや、T&Tのモンスターモンスター、それにソード・ワールドや、GURPS関連、あと女神転生の悪魔PCなど、それを越えるゲームは見つけられるかもしれない。でも、80種類もプレイ種族があったとしても、それを全部使いこなすことは不可能だと思うので、無駄なデータの多いゲームということにもなりますが……」

ヒノキ「まあ、それを言うなら、TRPGのサプリメントの多くは、無駄なデータでできているのではなかろうか。今のソード・ワールドでも、例えば蛮族PCのデータは、蛮族プレイをしないユーザーには無駄と言えよう」

NOVA「それでも、追加データが出版されると、実プレイで使う使わないに関わらず、購入したくなるのがTRPG者のサガなのですよ。で、たまに面白いデータを見つけて、読むだけでニヤニヤしたり、その中でもツボにハマったものは、こういう記事ネタで紹介したり」

ヒノキ「で、ファンタズム・アドベンチャーといえば、膨大な数の種族じゃな。特筆するネタは何かあるか?」

NOVA「そうですな。大体、このゲームの種族を語るなら、宇宙人の末裔のタフィボーゼ(3本腕、3本脚、頭が胴の下にあるという異形種族)がまずネタに上がります」

NOVA「友野さんの異種族談義記事でも紹介されているので、良い記事として挙げておきましょう」

NOVA「PAは、種族ごとに設定されている種族値と、個人値の2つで能力値を表すシステムなんですが、種族データの代表として、とりあえず人間(ヒューマン)を挙げておくと比較対照的に分かりやすいですな。

「ヒューマンは、腕力5、耐久力5、勇敢さ6、機敏さ5、知性5、自我5で、ほぼ平均です。わずかながら、勇敢さが高くて、〈狂暴化〉〈行動〉*1〈スパイ〉〈突撃〉〈勇気〉といったスキルを高くしやすいです。それに比べると、タフィボーゼは人間よりも臆病で、ドワーフ並みに鈍重で、自我に欠けるという種族になりますね」

シロ「能力値の自我は何に使うんですか?」

NOVA「〈印象〉〈嘘〉〈嘘の発見〉〈詐欺〉〈取引〉といった感じの交渉系能力だな。他のゲームでいえば、カリスマとか魅力度に相当する感じ。つまり、タフィボーゼは臆病で、交渉ごとが苦手だから、引っ込み思案な種族と言えよう」

ヒノキ「こんな化け物然とした姿なのに、性格はシャイなのじゃな」

NOVA「知性は普通にあるので、自分がこの世界(モノカン)では異形の余所者だと分かっているから、あまり目立った行動はしないように心がけているのかもしれないです。なお、視覚・嗅覚・聴覚はヒューマンが4という基準になっていて、タフィボーゼは普通に目は見えているんだけど、臭いが分からず、煙でむせることがない。さらに音も難聴ということで、非常にコミュニケーションが取りづらい。ロールプレイするのが難儀な種族です」

ヒノキ「どちらかと言えば、NPCというか敵キャラ種族として扱う方が良さそうじゃのう」

NOVA「他に、PAで種族ネタを掘り下げると、それだけで話題が尽きることはないと思うのですが、このゲームの異形種族を3つ挙げるなら、タフィボーゼ、知性あるスライムのスリッジ、昆虫人間のスラス(カマキリ顔、4本腕、〈両手利き〉スキルを標準装備して、2本の武器を巧みに使いこなす)になるかな。

「なお、能力の最高値は10、最低値は1なので、それを並べるだけでも、種族のイメージが見えてくるかもしれませんな」

 

  • 腕力10:(腕力10の種族はいない。最大腕力9がジャイアント、次いで8のドワーフ)*2
  • 腕力1:スリッジ、トレント、ピクシー、ブラウニー
  • 耐久力10:ジャイアント
  • 耐久力1:エルフ、ピクシー
  • 勇敢さ10:ゴブリン
  • 勇敢さ1:エルフ、ガーゴイル、ラビットマン
  • 機敏さ10:エルフ
  • 機敏さ1:(機敏さ1の種族はいない。最小機敏さ2がジャイアント、次いで3のスリッジ)*3
  • 知性10:エルフ、ブラウニー
  • 知性1:オーク
  • 自我10:フェルゼンティ(ネコ人間)
  • 自我1:(自我1の種族はいない。最小自我2がタフィボーゼ、ゴブリン、ハーフリング、次いで3が犬人間のアヌビン、カエル人間のクローカー、ブラウニー)*4

 

NOVA「ざっと、こんな感じですな。この世界では、オークとゴブリンのイメージが少し違っていて、オークは類人猿みたいな種族で、意外と臆病。ゴブリンの方が外見はがっしりしていて、勇敢だけど姑息な嘘はつかない戦士系に設定されています」

シロ「今は、どちらかと言えば、ゴブリンが小鬼で、オークがタフな戦士って印象ですよね」

NOVA「PAでのオークは人間に近い原始人のような設定。ゴブリンは小鬼ではなくて、オーガーのような大鬼種族に設定されていますな。あまり、この辺の細かいデータを比較することはなかったけど、ゴブリンがミノタウロスよりも大柄に設定されているとは。

「基本身長が、人間の40に比べて、オークが45、ゴブリンが72。大柄な種族だと、トレントの120、ジャイアントの105、スラスの91、セントールの90に次ぐのがゴブリン。どちらかと言えば、ゴブスレにおけるロード種がPA世界では標準的なゴブリンになっている模様」

 

*1:判定に成功すれば、アドレナリンの作用によって、行動スピードを高められるスキル。

*2:サプリメントだと、オーガー、ストーンジャイアント、ユニコーンが腕力10の種族として追加されている。

*3:サプリメントだと、チェンジリング、モッカーが機敏さ1の種族として追加されている。

*4:サプリメントには、チェンジリングが自我1の種族として追加されている。

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TRPGの信仰観の話2、および世界観の話

前回は悪魔の話ができなかったので

 

NOVA「今回は、悪魔方面にも踏み込むつもり」

ヒノキ「なるほど。前回は何の話をしたか、まずは整理してくれ」

NOVA「ケイP、任せた」

ケイP『了解だッピ。まず、オリジナルD&DとアドバンストD&Dの神話および神さまについて記された世界設定サプリの確認をしたッピね』

NOVA「実は、1980年に出た『ディティーズ&デミゴッズ』だが、日本のゲーム界においても重要な意義があったんだ」

NOVA「で、この英語の初版なんだが、このサイトで無料閲覧できる。何だか凄いお宝ページだ」

NOVA「で、この神話資料にバビロニア神話のネタがあって、これを見よ」

NOVA「あの『ドルアーガの塔』に出てくるラスボス悪魔のドルアーガと、主人公ギルガメス(ギルガメッシュ)の元ネタだ」

NOVA「元ネタがAD&Dのサプリメントだって話は知っていたんだが、この度その原書がネットで見つかったので、喜んで紹介してみる。なお、女神イシターもあったりして」

NOVA「さらに、問題のエルリックや邪神アリオッチ、黒の魔剣ストームブリンガーのデータも閲覧可能なんだが、そちらを貼り付けるのは版権的にマズそうだと感じたので、うちのブログには貼らない。TSR社はもはや存在しないので版権を気にする必要はないと思うが、エルリック作者のムアコック氏は健在なので、過去にトラブった経緯のある代物をこの場で蒸し返す勇気は、俺にはない。

「ともあれ、大事なのは、D&Dというゲームが日本国内でTRPGファン以外に広くブレイクしたことはないけど、そのルールやサプリメントの内容およびイラストなんかが、別のゲームのアイデア源となって、間接的にD&Dのエッセンスが広く影響を与えまくっているってことだな。

「それこそ、『ダンジョン(地下牢)』という単語を、冒険者が探索する舞台の『地下迷宮や洞窟その他の屋内建造物』の意味として、当たり前に使うようになったのもD&Dの影響だ。その影響を避けるには、ラビリンスとかメイズ(迷図)とかフォートレスとか月匣など、別の用語を使うなり作るなりしないといけない。

「ただし、野外の方は、D&Dはウィルダネスという言葉を使っているが、世間で広く使われているのは、オープンフィールド、あるいはフィールドだな。フィールドBGMとかダンジョンのテーマとかでシーン音楽を表現しているわけで」

 

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TRPGの信仰観の話

今回は神さまと悪魔の話

 

NOVA「さて、前回は魔法の研鑽と称しつつ、ルナル・サーガの思い出や、D&Dから続くドラクエおよびファイファンの職業話、とりわけ信仰職が世界観的にどう受容されたか。また現代オカルトファンタジーRPGとしての老舗に当たる『女神転生』に触れつつ、魔法戦士および神官戦士の武器強化魔法の魅力を宇宙刑事に絡めて話し、最後に80年代からブレイクした週刊ジャンプの3大コミック『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』『キン肉マン』が神という素材をどう扱ったかの話まで、幅広く語りました」

ヒノキ「雑談形式とは言え、話が飛び過ぎじゃ。もう少し整理して話せんか?」

NOVA「歴史論文を書いているわけじゃなくて、一種のブレインストーミング四方山話だから、無理です。でも、前置きで年代別に整理してみますと、こうなりますか」

 

 

NOVA「とりわけ、こだわって話題にしたのは、ゲームで神々をどう扱うか、の話ですね。TRPG史で改めて掘り下げると、こういう経緯があります」

 

  • 1974:オリジナルD&Dが回復呪文を扱う魔法戦士職としてクレリックを採用。中世ヨーロッパを背景モチーフにしたファンタジーゲームで、キリスト教の聖職者を回復魔法の専門家に指定したのは妥当な選択。なお、聖職者をプッシュしたのは、ガイギャックスよりも相方のデイブ・アーネソンらしい。理由は、ダンジョンに巣食うモンスターとして吸血鬼などのアンデッドを配置したから、信仰キャラの聖なる光が亡者を撃退する要素を投入*1
  • 1975:T&T登場。こちらは宗教へのこだわりを特に示さず、今もそのスタンスは変わっていない。オフィシャルワールドには創造神もいないが、多彩な種族の崇める神は別々にいて、多神教世界の雰囲気を匂わせてはいる。また、『よその世界から神さまがひょっこり訪れることはあり』としていて、特にクトゥルフ神話のモンスターや神が登場したり、何でもありの奇妙さを現代まで継承している。
  • 1976:D&D第3のサプリメント『エルドリッチ・ウィザードリィにおいて、ドルイドとともにデーモンについて紹介する。当初のD&Dは善良なローフル、中立のニュートラル、邪悪なケイオティックの3分類で、最初のサプリメントにも善竜バハムートと邪竜ティアマットに関する言及があったものの、クレリックの信仰する神について掘り下げては来なかった。しかし、デーモンを登場させることで邪神や悪魔のいる世界における勧善懲悪、二神教みたいな対立構造を明言することになる一方で、中立を象徴する自然崇拝のドルイドを設定することで、キリスト教モチーフのクレリックとは異なる信仰体系を導入した形。
  • 1976:『エルドリッチ・ウィザードリィ』と同年、オリジナルD&D第4のサプリメント『ゴッズ、デミゴッズ&ヒーローズ』も出版される。こちらは、D&Dの世界に既存のリアル神話(エジプト、インド、ギリシャケルト、北欧、マヤ、アステカ、中国)の神話伝承を導入するための資料集だが、同時に『蛮人コナン』の小説からハイボリア神話、『エルリック・サーガ』からメルニボネの神々を無許可で扱ったことで版権問題が生じる。D&Dが多神教世界を模索しつつも、オリジナル世界ではなくて、既存の神話や小説を元ネタにしている点で、世界設定を各DMが自分の知識や興味に合わせて、自由に扱っていいという初期の方針を示しているとも言える。ギリシャ神話の世界に北欧の神(の使徒)が登場したり、エジプトの神と戦うような話も、作ろうと思えば作れる資料と言える。
  • 1977:展開中のオリジナルD&Dの諸問題を解消するための仕切り直しという裏事情もあって、D&Dのルールおよびサプリメントを整理するアドバンストD&Dプロジェクト始動。翌年にかけて発表された新ルールでは、ローフルとケイオティックの属性の他に、グッドとイーヴィルの属性を加えて、中立も交えた3×3の9属性を導入。単純な善悪二元対立を越えた複雑な陣営構築を可能にした。
  • 1978:ルーンクエスト誕生。RPGにおいて、明確なオリジナル多神教ワールドを構築した最初の作品として名高い。D&Dの善悪二元対決に対して、背景世界のグローランサは多彩な神々が複雑な利害関係で動いている。*2
  • 1980:アドバンストD&D用のサプリメントとして、『ディティーズ&デミゴッズ』出版。内容は、『ゴッズ、デミゴッズ&ヒーローズ』の発展版とも言うべきもので、神話の神々や英雄をモンスターデータの形式で表記。神話の種類も少し増えて12種類になった他、既存小説から『アーサー王伝説』『ファファード&グレイマウザー』『クトゥルフ神話』を加える。だけど、例によって版権問題が発生して、とりわけ『クトゥルフ神話』は翌年、別のゲーム会社ケイオシアム社から『クトゥルフの呼び声RPGを出すことが決定していたため、本サプリメントの記述の削除を求められたとか。さらに、キリスト教原理主義者の団体からいろいろ叩かれる直接の起因となったいわく付きのサプリメントだったり。

 

ヒノキ「初期のD&Dが他のRPG作品と比べても、ずいぶんと訴訟沙汰が多いのは、リアル神話や他者が権利を持ってるフィクションを勝手に侵害したことによるものらしいのう」

NOVA「その辺の権利関係について、作者のゲイリーさんは無頓着だった印象がありますな。それで最初の10年で、あまりに叩かれ過ぎた影響があって、その後、会社が著作権に過敏になり過ぎて、80年代の後半以降、今度はD&D絡みの版権について自分たちが2次創作に異常に厳しい対応をとって、熱心なファンから煙たがられた流れがある」

ヒノキ「まあ、版権問題に厳しいTSRは、D&Dの作者ゲイリーさんの作った元の会社とは異なる経営方針だとも聞くし、それでも趣味の延長で著作権の侵害を繰り返していては、いろいろ叱られても仕方ないかな、と」

NOVA「逆に言えば、出版差し止めになったサプリの初版が、お宝アイテムとして売却価格が高騰している、という話も聞きます」

 

*1:D&Dの購入アイテムに当初から聖水や鏡、聖印があるのはそのため。また、狼男対策にトリカブトみたいな品もかつてはあった。

*2:冒険者向きとされる嵐の神オーランスは蛮族の神であり、ルナー帝国と対立する存在。一方、太陽神イェルムはかつてオーランスに殺されたことがあり、その結果、世界が闇に包まれたこともあった。オーランスは反省して、冥府からイェルムを復活させる冒険行を行ったが、ルナー帝国(月を祭る)は太陽神と敵対しているわけではなく、しかし混沌と裏でつるんでいて、オーランスは混沌を憎む、という対立関係。一方で暗黒神に仕えるトロールは、混沌嫌いなので、ルナー帝国とも太陽神とも敵対関係。すると、オーランストロールと同盟して、ルナー帝国の村を襲撃して、太陽神の子イェルマリオの傭兵と対立するシナリオも作れるわけだが、村で混沌の儀式が行われていることを知ったイェルマリオが悩みつつも、オーランスと一時共闘する敵味方が混在するややこしい話も作れるわけである。

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魔法使いと神官のさらなる話2

前回を前置きにして

 

NOVA「前回は、トラベラーとルーンクエストのキャラ成長の話から、TRPG版のファイナルファンタジーに流れて、HPやMPの起源なんかの考察をしつつ、魔法使いと神官の話に入ったと思ったら、俺のクラシックD&D初キャンペーンの思い出話になって、主題が見えにくい話だったと思う」

ヒノキ「勢いだけで、つれづれなるままに心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく、あやしく、ものぐるほしく書きつづった記事と言えような」

NOVA「いや、別につれづれなる(手持ち無沙汰で退屈してる、の意)わけではないのですが、書きたいことは見えているのです。D&Dから始まる魔法研究の話を、全力込めて書いて行こうとしたら、まあ、空回りしているわけですが、とにかく70年代の話と、80年代の話と、90年代の話と、この10年ばかりの話が錯綜している記事でしたな。整理してみましょう」

 

 

NOVA「とりあえず、以上の話を、思いつくままに書きつづった記事でした。しかし、まさか『レンフィールド戦記』の話をするとは、想定外でしたよ」

ヒノキ「それはネットで検索しても意味がないな」

NOVA「ええ。リプレイの『ロードス島戦記』や小説の『ドラゴンランス戦記』に感化されて、俺が初めて書いたファンタジーリプレイ小説のタイトルですからね。どこにも発表していない、思い出だけのタイトルです(小説も処分したので残っていない)。レンフィールドは、クライオン・レンフィリッツって名前の国王が治める王国の名前ですが、後から『吸血鬼ドラキュラ』に出てくるキャラクターとして有名だと知って、ビックリしました。ドラキュラの物語の大筋は知っていたつもりでしたが、原作をきちんと読んだのは大学に入ってからでしたし、ルーシー、ミナ、ジョナサン・ハーカーやヘルシング教授の名前は知っていたけど、レンフィールドの名前は87年当時、認識していなかったです」

シロ「新星さまのファンタジー小説処女作になるわけですか」

NOVA「俺の高校時代の創作の原典になるかな。ジョエル・トレントの登場する『光の杖』も同じ世界の話だし、第1回富士見ファンタジア小説大賞に応募した『水底の都』も同じ世界の話。他にも、いろいろと設定を考えた『七つの月のある世界』を舞台にしてました」

ヒノキ「七つの月……ってこれか?」

NOVA「友野さんが1991年に『コンプRPG』誌上で、その世界観を発表されたときは、やられたと思いましたよ。これで、自分のファンタジー世界を発表する構想は全部ボツになったような気分ですからね。『七つの月の世界』というアイデアはもう使えません。うちの元ネタは、まあ、『ドラゴンランス戦記』の三つの月(白い月ソリナリ、赤い月ルニタリ、黒い月ヌイタリ)ですが、今となっては懐かしい過去の思い出ですね」*1

ヒノキ「アイデアはボツになったが、ルナルとは多少とも縁ができたようじゃな」

NOVA「まあ、友野さんには、わずかな期間ながらいろいろとお世話になったわけで、特撮ファンとしてもかなり感化されてますからね。いい勉強をさせてもらいましたよ。今も雑誌編集長として、陰ながら応援させてもらってるってことで」

 

*1:ここだけの話ですが、1996年に出たルナル・サーガのムック本『パーフェクトコレクション』(略称ルナパー)で、NOVAは原稿を書かせてもらっています。3年ほどの見習い時代にあって、思い出に残る仕事の一つ。時効と判断して、この期に発表しておく次第。監修の友野さんには、一部設定の誤認ミスを修正いただき、その節はお世話かけましたm0m

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魔法使いと神官のさらなる話

前回の話を受けて(改めてトラベラーの成長ルールの確認)

 

NOVA「前回は魔法研鑽と称して、D&Dが後世に与えた影響について、改めて考え始めました」

ケイP『まずは、レベルアップと経験点、続いてHPだッピね』

NOVA「ここでは、ゲームマスターという役割や、能力値という要素は割愛する。ゲームマスターが冒険物語を仕切るとか、キャラクターを能力値で表現するということは、D&Dに限らず、あらゆるTRPGの共通要素だからな。それを生み出したD&Dは偉大だが、ここではむしろ、他のシステムとの比較論も考えて、それでもD&Dがスタンダードになってる理由について検証したい、と考えている」

ヒノキ「レベルアップと経験点については、80年代当時のライバル格のトラベラーやルーンクエストが採用していないという点で、TRPGというジャンルのいろいろな可能性が模索されていたということじゃな」

NOVA「トラベラーとルーンクエストは、スキルという形でキャラクターを表現した。トラベラーは成長システムがないのがRPGとしての欠点に挙げられるが、実はキャラ作成時の経歴作成で成長要素を組み込んでいるわけだな」

ヒノキ「つまり、1レベルの未熟なキャラクターからコツコツ育成していかなければいけないD&Dに対して、トラベラーは最初から成長しているベテランと、経験不足な若者を一つのチームとして扱えるようにもなっておる」

シロ「それって、プレイヤー間の不平等につながりませんか?」

NOVA「その辺のキャラ育成をどこまで行うかが、キャラ作りの魅力なんだ。若者は技能が少なくて、一方、ベテランは技能が多い分、年をとりすぎると能力値が下がる危険がある。大体、30ぐらいまで職歴を重ねた後で、職務を引退して宇宙の旅人になるのが一般的だが、ダイス運が悪いと、いきなり仕事を解雇されたりとか、職務中に殉職したり、キャラ作りの段階で事故ったりする。その上、得られる技能もランダムだから、長年勤めているのに欲しい技能が入手できず、別のキャラを作り直して目当ての技能を獲得するまでダイスを振ることになる」

ヒノキ「それが面白くもあり、冒険前にキャラの設定がある程度、見えてくる。この経歴作成システムは、現代のTRPGでもサンプルキャラに追加の経歴を付与するシステムに踏襲されておる。まあ、さすがに一度作ったキャラが成長できないのは、キャラ強化を目的とするプレイスタイルとは相容れないものがあろうが、トラベラーの成長はキャラの能力よりも、お金を稼いで装備品を整えることにある、と見なすことも可能」

シロ「ああ、強い武器を買えることが成長なんですね」

NOVA「そもそも、トラベラーはD&Dと違って、モンスターとのバトルをどんどん積み重ねるゲームじゃないからな。強いキャラを育てて、強い敵に勝てるようにして、さらなるダンジョンの深みに潜ることをD&Dの原初の楽しみとするならば(それを目指したのがウィザードリィ)、トラベラーは宇宙を旅して、冒険するのが目的。その世界観はスタートレックに近くて、かのSF作品はキャラクターの成長を描いたりはしていないだろう?」

シロ「そうですか?」

NOVA「スターウォーズは、主人公ルーク・スカイウォーカー他の成長譚として楽しむことも可能だが、スタートレックの最初の主人公ジェームズ・カークは最初から32歳のベテラン艦長(1966年〜69年のTV版)。劇場版の第1作(1979年公開)は、大佐から提督に昇進した39歳。年少の若者が冒険の最中に成長する物語ではなく、すでに経歴を重ねて成長したプロフェッショナルのチームが宇宙艦隊の深宇宙探索部隊に所属して、様々な惑星の調査活動やトラブル解決を頑張る話。大切なのは、キャラの成長ではなく、遭遇する冒険そのものの面白さだ」

ケイP『日本で言えば、ウルトラマンの科特隊にも近いッピね。ベムラーの事件を解決したから、ムラマツキャップのレベルが1上がったって話ではないッピ』

NOVA「アラシ隊員のスパイダーショットの射撃能力が上がったから、今度の怪獣には大ダメージだ、という話でもないな」

シロ「確かに、ウルトラマンが経験点を稼いで強くなった、という描写もありませんね」

NOVA「特訓で強くなったのは、『帰ってきたウルトラマン』からだな。まあ、それはともかく、ダンジョン探索とお宝探しをテーマにした初期D&Dに比べて、トラベラーは別に成長システムがなくても問題ない、と判断されたわけだ」

シロ「だけど、もしも冒険に必要な技能をチームの誰も持っていなかったら?」

NOVA「それを持ってるNPCをレフリー(トラベラーのGMの呼称)が用意するなり、コンピューターで代用したり、シナリオ限定の技能として、チームの誰かに一時習得させたり、いろいろと手はあるだろう。むしろ、成長システムが搭載されている方が、ルールに則った裁定をしないといけなくて、技能が急に生えたりするようなルールの逸脱が難しいかも」

 

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D&Dを代表する呪文って何?(魔法とドラゴンの気まぐれ考察)

久々の魔法話

 

NOVA「今年最初の顔見せだ」

ヒノキ「おお、新兄さん。今さらながら、あけおめことよろ」

NOVA「ことよろ。ところで、今回はケイPマーク1を連れてきた」

ケイP『ケピッ』

ヒノキ「どうして、ケイPを?」

NOVA「去年のクリスマス会の折に、言っていたじゃないですか。どうも、3人ともジャンルに詳しいマニアばかりじゃと、何かを解説する記事にならん。素人の視点が必要じゃ』と」

ヒノキ「うむ。それでケイPが素人じゃと?」

NOVA「少なくとも、魔法に関しては素人です。一応、ソード・ワールドで魔動機術を習得したことはありますが、あれはどちらかというとテクノロジーの部類で、いわゆる魔法というイメージとは少し異なりますよね」

ヒノキ「マナを動力とする機械や道具を作ったり、扱う技術とされておるのう。広義の意味では魔法じゃが、ファンタジー世界における科学的なメカニックを再現したもので、古典的な魔法とは異なるとは言える」

NOVA「銃器やバイクを魔法と言われても、普通は科学技術の産物と考えます。ケイPも宇宙生物であり、メカ要素も込みですが、魔法生物ではない。俺や翔花と契約していてますが、アシスタントモンスターは別に使い魔というわけでもないし、魔法に関しては素人です。ケイP一族の中で魔法に親和性があるのは、元々夢の中から生まれたリバTと、俺のメモリを装備した009ぐらいで、とにかくケイP相手に、魔法の何たるかを教えてやって欲しいのですよ」

ヒノキ「それぐらい自分でやらんか」

NOVA「うちにはマーク2がいて、俺が教える機会も多いわけですが、マーク1にはまた違う環境で攻撃的な魔術を研鑽させたいんですね。俺が搦め手を得意とする術師で、ストレートな破壊の魔術は圧倒的にヒノキ姐さんの方が上だ。マーク1は本来、翔花のアシモンで、こいつを育成することは翔花を強化することにもつながる。翔花のためと思って、協力してくれませんかね?」

ヒノキ「むむっ、粉っちゃんのためとあらば、頼まれてやらんこともないのう」

シロ「アリナ様、さすがです。あと、ボクもこの機に本格的に魔術を学んで、忍びの技、忍術に応用できれば、と思います。少なくとも、父さんがかつては魔術師だったという話を聞かされたとあっては……」

ヒノキ「分かった。今年は新兄さんも、魔術の研鑽に力を入れたいと思っているようじゃし、協力するとしよう」

NOVA「では、改めて魔術の研鑽に励みますか」

 

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D&Dの信仰関連の研鑽話

今回は信仰系

 

ヒノキ「前回は、D&Dのウィザードとソーサラーを中心に話をした」

晶華「どちらも似たような魔術師で、打たれ弱くて(HPが低い)、鎧も身に付けられず、肉体的には貧弱なんだけど、呪文を使って補う職種ね。ファイアーボールや強力なダメージ呪文も扱えるという意味で、パーティーの貴重な火力となれる派手なキャラ」

翔花「だけど、ウィザードさんは攻撃以外にも情報収集とか多彩な呪文を扱える。知識系の専門家で、得意な呪文の分野による差異はあっても、総じて読書家。呪文書やその他の難解な書物も読み込みながら、パーティーの頭脳としての役割を期待される」

晶華「一方のソーサラーさんは、知識ではなく感性で魔法を扱う職種で、内から溢れる魔力で異才を発揮する。呪文を学問や知識の延長ではなくて、血筋や霊感で扱いこなす資質を持っていて、その力は時に理屈を凌駕することもある。そんな感じの理解でいい?」

ヒノキ「ふむ。ウィザードは旧来のD&D伝統の魔法使いで、ソーサラーは21世紀の新時代の感覚に満ちた魔法使いと言えようか。そこに力ある存在との契約で魔力を得たウォーロックを加えて、現在の秘術系魔法使いの理解は十分と言えよう」

翔花「ウォーロックさんは、他の2つのクラスよりもHPが高くて、軽装鎧も身につけられる分、魔法戦士の資質を持っているのね」

ヒノキ「まあ、魔法戦士という点では、ファイターのサブクラスであるエルドリッチ・ナイト(秘術騎士)の方が優秀だと思うが、ウォーロックは契約相手との関係性やダークヒーロー的な雰囲気が魅力と言えよう。オカルト好きとか、エルリック・サーガの雰囲気が好みなら、お勧めの職業じゃ。剣と魔法の両方使えて、華やかな英雄を望むなら、エルドリッチ・ナイトや聖戦士パラディンを勧める」

翔花「パラディンさんは、信仰魔法を使う勇者って感じね。D&Dの信仰魔法の専門家は、クレリックさんとドルイドさんって聞くけど、ドルイドさんは自然に根差した呪文を使って、獣に変身したりもできる異教の神官。クレリックさんは一般的な僧侶って感じね」

ヒノキ「僧侶と訳すと、日本の仏教を連想するが、ドラクエIIIの時期からファンタジーの聖職者(クレリックやプリースト)は、僧侶と訳される傾向があるのう。ドルイドドルイド僧と呼ばれることもあるが、厳密には神官もしくは祭司という言葉の方が通りがいいのう」

翔花「やっぱり、ドラクエの影響が大きいのかしら」

ヒノキ「クラシックD&Dでは聖職者と訳されているが、AD&D2版ではクレリック(僧侶)とドルイドがプリーストのカテゴリーに統合されておる。プリーストの呪文が16個のスフィアー(領域)に分類されて、どのスフィアーの呪文を使えるかでプリーストの神格を決定づけるルールとなっている」

翔花「16もあるのかあ。覚えるのが大変ね」

ヒノキ「一応、リストアップしてみるか」

 

  • オール(共通):どのプリーストにも使える。ブレス(祝福)、ピュリファイ(浄化)など。邪神の使徒は、それらを逆呪文として使い、カース(呪い)やピュトリファイ(腐敗)に変えたりする。
  • アニマル(動物):ドルイド用。動物系呪文が充実している。他にも自然や農業に関する神が扱う。
  • アストラル(異世界):クレリック用。5レベル以上の高位呪文で、次元移動を可能にする。他次元を司る神が授けてくれる。DMがそういうシナリオを用意しないといけないので、使用を制限されることも。
  • チャーム(魅了):クレリック用。秘術呪文における心術系だけど、直接魅了する呪文は少なく、神の名において命令したり、恐怖を癒したり(逆呪文で恐れさせたり)、探求を強制させたり(クエスト)、敵を混乱させたりなど。愛の神、美の神、芸術神、詐欺の神が扱う。
  • コンバット(戦争):クレリック用。武器を作ったり、戦意を高めたり、高レベルの攻撃呪文(フレイム・ストライク)が分類される。死の神、戦争の神が扱う。
  • クリエイション(創造):クレリック用。食料を作ったり、物体に擬似的な生命を与えて動かしたり、茨の壁を作ったりなど。6レベル呪文が充実している。創造神や、トリックスターの神など幅広い神格が扱う。
  • ディビネーション(予言):クレリック用。3レベル呪文までならドルイドも扱える。秘術呪文における占術系で、探知や会話、情報収集系の呪文が充実している。知識神が扱うが、信徒に積極的に関与する神はしばしば与えることがある。
  • エレメンタル(精霊):ドルイド用。3レベル呪文までならクレリックも扱える。地水火風の自然にまつわる呪文が多く、高レベルでは攻撃呪文も充実している。自然の神、精霊神、船乗りの神、鍛治師などの職人の神などが扱う。
  • ガーディアン(守護者):クレリック用。防御用の呪文だけど、後述のプロテクションと違って、個人ではなく場所に結界を張ったり、封印を施したりする傾向がある。そして侵入者に対してはダメージを与えるなど攻撃的。守護、治癒、詐欺の神が扱う。
  • ヒーリング(治癒):クレリックドルイドも使用可能。いわゆる回復呪文。たいていの神が与えてくれるが、邪神は逆呪文に変えて、癒しよりも致傷効果にすることが多い。
  • クロマティック(生命):クレリック用。復活もしくはアンデッド創造など、生死を扱う。生命の神や治癒神、死の神がそれぞれの用途に合わせて、授ける。
  • プラント(植物):ドルイド用。植物系呪文が充実している。他にも自然や農業に関する神が扱う。
  • プロテクション(防御):クレリック用。定番の防御呪文。治癒呪文と並んで、聖職者の存在意義だけど、ドルイドは使えない。戦争や守護の神の他、慈悲の神なども扱う。
  • サモニング(召喚):クレリック用。動物召喚などはアニマルのスフィアーと共通だが、こちらは異次元の魔物を呼んだり、送り返したりもできる。なお、AD&Dでは神そのものを召喚する呪文はPHBに収録されていない。魔物を召喚するのは、戦争や死の神の領域らしい。
  • サン(太陽):クレリック用。各種の光を放つ。低レベルではただの明かりだけど、高レベルだと破壊光線である。自然、農業、生命の神が扱うが、ドルイドは使えない。
  • ウェザー(天候):ドルイド用。ドルイドが灯す明かり(フェアリー・ファイヤー)はこの領域に属する。ルールブックには記されていないが、嵐の神や、各神話の主神なんかが扱うのだろうな。

 

ヒノキ「他には、パラディンが扱えるのは、コンバット、ディビネーション、ヒーリング、プロテクションの4種。レンジャーが扱えるのは、アニマルとプラントの2種だけじゃな」

翔花「レンジャーさんといえば、薬草治癒ってイメージだけど、AD&Dのレンジャーさんは治癒能力を持たないのね」

ヒノキ「レンジャーの癒し手イメージは、『指輪物語』のアラゴルンが生み出したもので、彼のクラスはD&D的にはレンジャーとクレリックのマルチクラスではないかという説もある。ただ、ソード・ワールドでも、レンジャーと薬草治癒の能力を結びつけたので、D&Dとは異なるレンジャー像を日本でも構築したと思われ」

 

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