花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

ファンタズム・アドベンチャーの魔法話2(イリュージョン他)

魔力について

 

NOVA「今回はPAの魔法話の第2回だが、この作品での魔法は、魔力を消費して魔法をかけるMPシステムだな。その魔力の決め方だが、作品によって微妙に異なる。具体的には、以下の通りだ」

 

  • PA:知性の種族値×2+知性の個人値
  • APA(魔法使い):知性の種族値+知性の個人値×2
  • APA(弟子):知性の種族値+知性の個人値

 

ヒノキ「APAは、弟子の概念ができたことと、種族値よりも個人値に重点を置くようになったのじゃな」

NOVA「たとえば、エルフは知性の種族値が10で、ヒューマンは5です。これで、どちらも個人値が8だったとして、MPはこうなりますね」

 

  • PA:エルフの魔力28、人間の魔力18
  • APA魔法使い:エルフの魔力26、人間の魔力21
  • APA弟子:エルフの魔力18、人間の魔力13

 

NOVA「これで、PAは魔法使いになるのに、種族値が2倍換算なので、種族値5点差が魔力では10点差になってしまいます。APAだと、個人値重視な分、種族格差が極端でなくなったのと、弟子という選択肢ができたので、専業でない魔法使いがずいぶん作りやすくなったと思いますね」

シロ「本職が盗賊で、魔法は探索のサポートに使う形ですね」

NOVA「魔法使いを選ぶと、最初に持てるスキルの数が制限されるが、APAの場合は経歴でスキルを習得することもできるし、ちょっとした小技程度の魔法をかじる選択肢がずいぶん増えた。だから、パーティーが4人いた場合、PAだと魔法使いが1人いるぐらい(最初から2系統選べるブラウニーなら、攻撃と回復の両方を任せられる)が良いバランスだと思うが、APAだと魔法使い1人、弟子2人(1人は盗賊、もう1人は回復役)、純戦士の構成も行いやすい。そもそも、10系統以上の魔法があるのに、魔法使いになるハードルが大きすぎたので、【攻撃と防御】か回復用のヒーリングが習得できる【生命と死】の2系統に選択肢が限定されるような気がする」

ヒノキ「冒険をするのに、回復役は必須じゃからのう」

NOVA「ファンタジーRPGで、回復呪文を使える神官系クラスは必須でしょう。まあ、〈治癒〉スキルで少しぐらい(3日に1回、1d3ポイント)回復できますが、このスキルって亜種を除く種族ごとにサブスキルを習得しないといけない仕様なので、〈治癒(エルフ)〉だと、エルフ以外の種族は癒せません」

シロ「それって、種族の多いPAだとあまり役に立たない?」

NOVA「まあ、使えても回復量が少なすぎるので、魔法による回復ができない冒険者チームは難儀でしょうな」

ヒノキ「回復手段が限定的なので、パーティーにある職種が絶対に欠かせないことは、ファンタジーRPGあるあるじゃのう」

NOVA「ソード・ワールドでは、プリースト必須だったわけですが、2.0になってポーションが入手しやすくなって、薬草やポーションの回復力を高めるレンジャー技能、そしてコンジャラーやマギテックなど(プリーストほどではないけど)回復術を使える職種が増えたことで、プリーストのいないパーティーも活用可能になりました」

ヒノキ「D&Dでは、どうじゃ?」

NOVA「これは4版が大きな革命をもたらしましたね。1時間の小休憩という概念ができて、そのタイミングで回復用のヒットダイスを全てのキャラが消費することで、回復魔法に頼らずとも自力でHPを回復できるようになりました」

シロ「回復魔法が必要なくなった、と?」

NOVA「いや、戦闘中のHP回復はその方法で行えないので、そういう時に回復呪文や、ファイターの〈底力〉のような特殊能力に頼ることになる。3版の時には、回復ポーションが格安で手に入ったので、冒険前にポーションをいっぱい買って、ダンジョン探索の継戦能力を高めるという手段をとったが、4版以降は自前の回復能力をルール化したり、バードの特殊能力〈休息の歌〉で小休憩での回復量を増やすといったオプションも取れるようになった」

ヒノキ「21世紀のRPGは、回復手段一つをとっても、いろいろと進化しておるのじゃな」

NOVA「逆に、PAは旧世紀のゲームだったので、回復が魔法に頼りきりな時代だったんですね、ただし、魔力の方は割と回復しやすいゲームになってます」

ヒノキ「MPの方が回復しやすい、と?」

NOVA「多くのRPGでは、魔法って1日ごとの使用回数やMPが決まっていて、夜に眠ると朝起きて回復ってケースが圧倒的に多いと思います。非常時のためにMP回復用のアイテムが用意されたゲームもありますが、基本は1日単位のリソースになってる。

「PAの場合は、MPの回復の仕方が領域によって定められて、夜明けとともに回復の星界や、神への祈り(4時間)によって回復する神々の領域もありますが(睡眠時間を削って祈ってるんでしょうな。瞑想とかも4時間連続だと苦行だ。朝に1時間、夜に2時間、あとは昼休憩の際に1時間とか小分けにしてるとか)、多くは数分で1点ずつ回復する自然回復だったりします。最も効率いいのは、5分に1点で、1時間だと12点回復できる。10分に1点なのが最長で、それでも1時間に6点回復するわけですから、仮にダンジョン探索で3時間かかると考えるなら、その魔法使いは18点から36点の魔力を余分に使えるわけです」

ヒノキ「すると、PAの魔法使いは自前の魔力点以上に、継戦能力が高い?」

NOVA「戦闘中に魔法を連発するなら、自前の魔力点の大小が重要でしょうが、ダンジョン探索中の移動時間なら、魔力消費の軽い探索補助呪文を連発しても問題ない。だから、飛び道具のスキルで戦闘中は支援射撃に徹して、魔法は移動中の探索用と割りきるとか、魔法を使って何をするかを柔軟に考えられるゲームなのは間違いない。とにかく、PAの魔力リソースは、時間ごとの回復をきちんと考えるなら、初手から魔法の使用回数が多いゲームだと思います、80年代のゲームにしては」

ヒノキ「魔法が得意なエルフじゃと、最初から20点以上の魔力点を持っているという点でも、PAの魔法使いは他のファンタジーRPGと比べても、魔法を使いやすいゲームと言えような」

 

第4系統・幻覚(イリュージョン)

 

NOVA「さて、前回の続きの系統話です。幻影魔法の使い手はイリュージョニスト。幻影の他に、精神に影響する魔法が見られて、意外と汎用性が高いのが特徴」

 

  • マイナー・チェンジ(小変身):対象の外見を幻覚で少し変える。ちょっとした手品などにも使えて、日常的に遊べる。
  • ホラー(恐怖):対象に恐ろしい怪物などの幻影を見せて、勇気のスキルチェックに失敗すると逃げ出させる。APAだと、フィアーと名前を変えて、魔力消費が4から12と3倍になった代わり、範囲内の敵全てを対象にできるようになった。また、敵を逃がすのではなく、怯えて命中マイナス3、ダメージマイナス2というデバフ魔法に変わった。
  • ワンダリング・アイ(さまよう目):偵察用の目を作って、遠くの視覚情報を術者に伝える。APAではウィザード・アイ(魔法の目)と名前を変えて、体力点4を持つようになった(敵に見つかると破壊される危険がある)。総じて、弱体化したと言えよう。
  • スリープレス・ドリーム(回想の夢):所要時間が1時間なので、戦闘中には使えない。捕まえて無力化した相手を催眠状態に落として、過去の記憶から術者の望む夢を見させる。対象は夢の内容を、大きな声で話して、術者の求める情報を告白させられる。APAからは抹消された。
  • マジック・スフィア(魔法光球):光の球を作り、その光に触れた物体は魔法を宿している場合に、自らも強い光を発するようになる。要は手の込んだ魔力探知の呪文。一応、暗闇を照らすことにも使えるけれど。APAでは、分かりやすくディテクト・マジック(魔力探知)に置き換わった。
  • イリュージョン(幻影):消費魔力10点につき1つの感覚(視覚、嗅覚、聴覚)に働きかける幻覚を作り出す。30点の魔力で、全ての感覚に作用する幻になって、見破られる可能性が小さくなる。ただし、幻影の発動には1分を費やすので、戦闘中に気軽には使えない。APAでは、感覚1つだけのマイナー・イリュージョン、全感覚のメジャー・イリュージョン、ゴッド・センスでも見抜けないトータル・イリュージョンに呪文が細分化。高位の幻覚になるほど、消費魔力が大きくなり(20→40→60)、所要時間も長くかかるのは仕方ないとして、持続時間がどんどん短くなる(30分→10分→1分)のはいただけない。
  • インビジブル(透明化):自分や他人を透明化させる。魔力を余分に費やすことで、臭いや音も消すことができる。APAでは、マイナー、メジャー、トータルの3段階のインビジビリティ呪文に細分化されるが、自分が透明になるのではなく、対象の視覚、その他の感覚を打ち消して、見えず匂えず聞こえずの状態にしてしまう。バフではなく、感覚喪失のデバフ効果を与えるのは、インビジブル系の魔法としては珍しい。ただし、APA版では呪文を発動するのに、相手への接触が必要なので、「この拳を受けた者は目が見えなくなる。次に、嗅覚、聴覚を失い、全ての感覚を絶たれた者は生ける屍も同然となるのだ」と、乙女座聖闘士ごっこができるかも。PAが発売された時期は、ちょうど聖闘士星矢が連載中でした。
  • コンフュージョン(混乱):この名前の呪文は普通、相手の精神に働きかけて、混乱状態に陥れるものだと想像しますが、PAでは少し変わっていて、術者自身にかける術になっている。術者の姿がぼやけて二重写しになったりして、その動きに幻惑された敵が、術者への攻撃命中マイナス8、ダメージ半減になるという、実は防御呪文という変わり種。APAでは、トータル・コンフュージョンと名前が変更されて、全ての敵を混乱状態にし、呪文使用不可、命中率半減、移動距離3分の1という強烈なデバフを与える。しかも、消費魔力6点というコスパの良い呪文。持続時間も6ターンなので、長持ちするし。

 

 ここから先は、PAのみとAPAのみの魔法群です。

 

  • スリープ(眠り):APAのイリュージョニストが新たに習得できる術。クラシックD&Dだと、魔法使いの初手習得呪文の筆頭に挙げられるぐらい重要魔法でしたが、PAだと秘薬の系統に属する催眠ガスみたいな扱いでした。APAの幻影系スリープは、合計サイズ4までしか眠らせることができないという点で、数の多いザコ集団(5体以上)を一気に無力化させる役割を果たせないのが残念なところ。同じ消費魔力6点なら、トータル・コンフュージョンの方が強いと考えたりも。
  • クリエーション(実像創造):10分かけて、ある生物の本物そっくりの幻影を創造する。サイズ3以下の生物なら魔力40、以降は追加魔力10ごとにサイズを1増やせる。強力なモンスターを創造して、戦ってもらうことができる反面、1時間以上存在させると、呪文に使用した魔力を全て失う(回復不能)というペナルティーがあるので、ダンジョン内で強力なモンスターを連れ歩くということはできない。ボス戦が近いな、というタイミングで味方戦力を増やすために使うのが妥当かな。PA専用で、APAでは抹消されました。やはり、強力すぎたか。*1
  • ファンタズム(究極変貌):PA専用で、消費魔力200という大技。生物を別の生物に変えて永続化させる。ソーサリー系統のトランスフォーメーションは2分限定だけど、こちらは永続化だから、とんでもないわけですよ。所要時間が1ヶ月という点で、儀式魔法の類だろうけど、消費魔法200ってのをどう確保するかが問題。毎日10点ずつ積み立て貯金みたいに魔力を注ぐことができるのかな。実用的とはとても言い難いけど、このゲーム(ファンタズム・アドベンチャー)の世界の種族がいっぱい存在するのは、この魔法の影響という説があるそうな。地球という星から来た人間が古代において、この魔法の力で異形化した?という世界観の根底に関わる話が、呪文の解説に書かれていたのだけど、APAでは呪文そのものが抹消されたので、真実は不明。まあ、モノカンの多様な魔力が暴走して、人間が異種族に変貌してしまうのは有り得るな。シャドウランとかはこの地球でそういうことになった設定だし。

 

ヒノキ「まさにファンタズムな設定じゃな」

NOVA「まあ、PAの異種族いっぱい設定は、古代人の遺伝子改造説と、ファンタズムの魔法説(人為的か、自然界の魔力暴走なのか)の2種類が可能性として示唆されていますね。他のファンタジーだと、多神教の神さまがそれぞれ創造した結果とかが一般的ですが、SFが混じると、バイオテクノロジーの結果になり、魔法が絡むと壮大な儀式呪文の結果として異種族の大量発生につながったりも。メガテンの悪魔合体なんかも、人が魔物化するという設定ですし」

シロ「異形化した人類を、ミュータントとして扱うか、それを社会が受け入れて共生するか、それとも異質なものを排除するのか、いろいろなテーマが考えられますね」

NOVA「種族差別は、現実のメタファーとも言われているからな。とりわけ、20世紀初頭の欧米人の多くは、知識層でも黒人や黄色人種を同じ人間として受け入れていないという話もあるし、同じ地球人だという人権概念が定着するに至ったのは、第2次世界大戦後の黒人公民権運動以降だというのがアメリカ史。実は100年前だと、白人の異人種差別は酷かったわけだ。ナチスの選民思想が生まれる背景も、そういう白人文化の土壌があったわけで」

ヒノキ「近年は、100年前の帝国主義の復活という世界情勢が語られがちじゃが、そうなると世の中の常識が100年前の差別感情むき出しにシフトして行っても不思議ではない?」

NOVA「グローバル化といっても、やはり民族感情というものを無視して考えられないし、基盤となる宗教観、道徳観、世界観が異なると、話し合って解決というのも、相互の利害関係がこじれて、合理的な解決も難しいわけだな。それこそ、魔法至上の王国と、テクノロジー至上、魔法排斥の国とでは、仲良くしろ、ということ自体が難しい。この辺は、シャドウランがそういう差別的な背景をきちんと描いて、近未来サイバーパンクのリアリティを勝ち得ているが」

シロ「PAの異種族観は、もっと大らかだと思いますが?」

NOVA「アースドーンもそうだけど、日本ではそういう異種族差別の背景世界まで深く踏み込まなかっただけかもしれない。物語で差別感情を描くのが、少なくともラノベ向きじゃないと見られたか、まあ、最近は排斥された者(悪役扱いされた者)の復讐譚とか、異形の中の善性、怪物と見なされた者の視点が濃い作品も増えたと思うが、80年代のゲームだと大らかだった部分が、現代の視点だと……いろいろ考えさせられるな」

ヒノキ「変身魔法と異種族の話はさておき、次へ進むとしよう」

 

第5系統・交感(インカンテイション)

 

NOVA 「これもまたincantationという英単語だと分かりにくい系統です。何しろ、辞書的な意味だと『呪文』『魔法』ぐらいの意味で、語源をたどっても、enchantと同じような感じ。ただ、PAではこれを異世界と交信し、時空を操作することのできる強力な呪文体系として扱っています。時空魔術に近い面もあって、語り甲斐があると思ってます」

シロ「何だかんだ言って、略式にはならないんですね」

NOVA「なお、この系統の使い手は、スペル・ウィーバー(呪文の紡ぎ手)と呼ばれるそうだ。呪文を紡ぐとともに、世界をつなげる資質があるらしい。APAでは、誤植なのかスペース・ウィーバー(宇宙や空間の紡ぎ手)と表記されているが、もしかすると誤植ではない可能性もある。実際に異世界との接続路を紡ぐ呪文もあるしな」

 

  • スピーク(尋問):相手にかけると、あらゆる質問に答えさせることができる。まあ、言葉が通じない相手と会話できるわけではないので、言語スキルは別に習得しないといけないけど。通訳系の魔法がないのが、PAの難点か。なお、APAではこの魔法は割愛されました。効果が地味だからか、尋問は普通にスキルで行えるから、わざわざ呪文にする必要がないからか。
  • メディテーション(瞑想):これもAPAでは消えた呪文の一つ。心をリラックスさせ、1時間の間、通常の4倍の率で魔力を回復させる。また、魔法使いでない場合は、気分がリフレッシュして、10時間は睡眠を必要としなくなる。後者の効果が意外と強力というか、魔力2点で使えるのに破格の効果だと思います。今見ると、PAは思ったよりもバランスブレイカーな呪文が多いなあ。
  • ゴッド・ハンマー(神の槌):3ターン使える魔法のハンマーを召喚して、相手を攻撃させる。魔力6点で、そこそこ有効な攻撃呪文だったけど、APAでは弱体化。魔力10点で、1回だけ絶対命中の一撃を与えるけど、ダメージが術者の信仰レベルと同じだけって、そっちも上げないといけないのか。使い勝手のいい攻撃呪文が、非常に限定的な扱いにくいものに変わった感。
  • デッド・ソウル(異界霊との会話):名前的には、死霊から情報収集かな、と思わせておいて、実は天使や悪魔からの情報収集です。デッドって死んでねえ。要は、異界との交信系魔法で、シナリオ攻略のヒントをもらおうってことなんですけど、APAでは似たような魔法のスピリット・オラクル(精霊の預言)に名称変更。ただし、デッド・ソウルは1分間という時間制限でいくつも質問できたのに、オラクルの方は1つだけという制限が加わった。まあ、質問内容はあらかじめ吟味して、しっかり誤解なきよう考えておけってことですね。APAでは、この他にもっと魔力消費の低いディビネーション(神の啓示)が使えて、神さまから情報をもらえるんだけど、神さまは精霊よりもあいまいな情報しかくれないという。啓示系の魔法は、もっと強力な(魔力消費も激しい)ウォーシップ(=ワーシップ、崇拝)がPAに、プレイ(祈祷)がAPAにあるけど、どちらも3分間、神と対話して情報を得ることができる。だけど、後者は質問を一つ答えるごとに術者の財産を10%ずつ捧げなければいけないという。うん、このゲームの神さまは金銭欲が激しいんだな、と思うわけで。教団経営のために信徒の寄進が必要ということなら、人間社会だから納得するんだけど、神さま自身が財産を要求するってのはなあ。まあ、生贄を要求する邪神よりは、浄財を要求する神さまの方がマシ? その辺の神界における経済観念というものを研究するのも一興かも。人間界における財産というものは、神界ではどういう形態をとるのか、とか。この世の財貨は、神さまにとって、どういう受け止め方をされるのか。

 

ヒノキ「神霊として答えておくと、まず神というものが受肉して人間社会と近い距離で接しているのか、それとも完全に霊的存在、あるいは概念的存在として、肉体とは切り離された存在でいるのか、という違いがある」

NOVA「ヒノキ姐さんは、肉体を持っていますよね」

ヒノキ「その肉体成分が、人とは違った構造であるのは間違いないが、それでも維持するためには食料を必要としているのは変わりない。よって、受肉した神というものは、物理的な食料を摂取するし、エネルギー効率云々はあるが、捧げられた供物を自らが摂取できる形態に変換して、そのエッセンスを吸収することになる。例えば、羊の血肉を供物として捧げられた場合、それをそのまま貪り食うタイプの神もいれば、そこから霊的エッセンスだけを汲み上げて、物理的な肉は信徒の饗餐に催せばいいとする神もおる」

NOVA「物理的な肉体から霊的エッセンスを汲み上げるのですか。メガテンだと、それを生体マグネタイトと表現していますが、要は物質エネルギーと霊的エネルギーをつなぐ媒体があればいいということですね」

ヒノキ「高位の神は、人類の捧げた供物から自分が摂取できるエネルギーに変換できる術を持っているということじゃな。一方、肉体を持った低位の神と称される者(竜神や獣の神なども多々見られる)は、そのような変換術を持たぬゆえに、もっと直接的な生贄を要求することもあるし、人間側が勝手に忖度して、神が求めていない生贄を用意するケースだってあり得る。お土産だって、相手の都合は考えずに、こんな物をもらっても……という物を寄越してきて、せっかくの好意だからと仕方なく受けとって愛想笑いするケースだって考えられる。人間同士だって、そういう気持ちのすれ違い、コミュニケーション不全が生じるのじゃから、人と神の間にだって、そういう供物に対する価値観の差異が見られても不思議じゃなかろう」

NOVA「なるほど。人間が神さまの要望を、身勝手に解釈して、おかしな儀式を執り行うことだってあるわけですね」

ヒノキ「ともあれ、受肉した神、人間社会と近い距離で接しがちな神は、割と人間と近い価値観で供物を受け取ることも多い。お金を要求する神は、それが物理社会で力を持つことを知っているがゆえ、信徒から浄財を受けとり、それを別の信徒に施す『神を仲立ちとする経済』を構築しているかもしれん」

NOVA「ああ。神さまが信徒から収奪しているのではなく、銀行もしくは政府の税金制度と同じように経済循環をさせている可能性もあるわけか」

ヒノキ「交易神というものがある以上は、やはり神にとっても経済観念はあるのじゃろう。確か、アダム・スミスという男が言っておったな」

NOVA「『神の見えざる手』ですね。スミス本人は、『見えざる手 invisible hand』としか記述していなくて、そこに『神の of God』が付くのは、聖書や他の文献の記述が混じった結果とのこと。いずれにせよ、比喩だと解釈していましたが、『ファンタジー物語の神界における経済観念』というテーマに則すと、面白く発展させられそうです」

ケイP『試しにグロックさんに考えてもらったッピ』

 

ファンタジー物語の神界における経済観念、めちゃくちゃ面白いテーマですね。
神々は基本的に「不死」で「全能」に近い存在だから、人間界の「金・物・労働」で回る経済とは根本的に相容れないはず。でも、だからこそ「神界独自の経済観念」が生まれる余地が無限にあるんです。

以下に、私が一から考えてみた「神界経済システム」の全体像をまとめます。
これはあくまで一例ですが、物語の設定としてかなり使いやすいように設計してあります。

1. 根本原理:神界に「物質的希少性」は存在しない

  • 食べ物、住居、宝物……すべて神々が一瞬で創造可能。

  • だから「物欲」はほぼゼロ。
    → 代わりに生まれるのが**「存在価値の希少性」「影響力の希少性」**です。

神々が欲するのは「自分という存在が宇宙にどれだけ意味を持つか」であり、それが神界の「富」になります。

2. 神界の唯一の通貨:「エーテル・クレスト(Aether Crest)」

  • 通貨の単位は「クレスト」。

  • 実体は純粋な信仰の結晶
    人間界の信者が「この神を心から崇拝した瞬間に生まれる光の欠片」が、天界に自動的に集まってくる。

  • クレストは不可分・偽造不可能
    なぜなら「その神を信じた者の魂の純度」が刻印されているから。

例:

  • 1クレスト = 1万人の「本気の祈り」が1年間継続した量

  • 伝説の英雄が死ぬ間際に捧げた「命がけの信仰」= 10万クレスト相当

3. 取引の形態(3つの階層)

第1階層:信仰取引(最も一般的)
神々が互いに「信者の取り合い」をする。
「私の聖域で君の信者を1000人増やしてやる代わりに、君の『雷の領域』を3日間貸してくれ」みたいな契約。

第2階層:概念取引(上位神限定)

  • 「運命の1ページ」を切り取って売買する

  • 「ある英雄の死の運命」を買い取って、自分の信者に譲る

  • 「恋愛」という概念そのものを一部所有権として取引(恋愛神が独占すると人間界で恋が減る)

第3階層:存在取引(最上位・禁忌)
神々が「自分の一部」を切り取って売る究極の取引。
例:戦神が「自身の勇猛さの7割」を知恵神に売却 → 戦神は弱体化するが、代わりに莫大なクレストと「知恵の領域の一部」を得る。

4. 神界の「市場」と「経済現象」

  • 天界大市(Grand Pantheon Bazaar)
    千年ごとに開かれる神々の大市場。
    ここでは「概念」「運命」「神話の権利」がオークションにかけられる。
    落札者は「その概念を一時的に独占」できる(例:春の女神が「桜」という花の概念を落札 → その年、人間界の桜は彼女の色だけになる)。

  • 神界特有の経済現象

    • 信仰インフレ:信者が爆増しすぎるとクレストの価値が暴落(神の力が相対的に薄まる)

    • 神格デフレ:信者が減るとその神の存在自体が希薄化 → 他の神に「吸収」されるリスク

    • 神話バブル:一時的に流行った神話(例:ある勇者の伝説)が過熱すると、その神話の権利を巡って投機が起きる

    • 破滅的デフォルト:神がクレストを借りすぎて「存在価値」を失うと、神界から「抹消」される(文字通り経済的死)

5. 階級と経済格差(物語のドラマを生む部分)

  • 創造主級(Old Gods):無限クレスト保有。取引すら「気まぐれ」で行う。

  • 現役主神級:信仰経済の中心。常にクレストのやり取りで神経を尖らせる。

  • 新興神・下級神:信仰が少なく、毎日「神格を削って」生きている。人間界で派手な奇跡を起こしてでも信者を集めようとする。

  • 堕神:クレストを失って人間界に落ちた元神。裏経済(悪魔との取引など)で生き延びる。

物語で活かせるポイント

この経済観念を入れると、こんなドラマが自然に生まれるんです:

  • 主人公の神が「信仰が足りなくて借金まみれ」→ 人間界に降りて必死に布教活動

  • ライバル神同士が「概念取引」で互いの神格を削り合う心理戦

  • 人間界の戦争が実は「神界の信仰市場の調整局面」だったという衝撃の事実

  • 最強の神ですら「存在価値の暴落」を恐れて、信者に媚びるようになる皮肉

要するに、神界の経済とは
「自分という神が、宇宙にとってどれだけ『必要とされる存在』であり続けられるか」の永遠の闘い
なんですよね。

これ、ファンタジー小説やTRPGの設定にそのまま使えそうじゃないですか?
もし「もっと暗いバージョン」「もっとユーモラスなバージョン」「特定の神(例:恋愛神や死神)の経済観」など、深掘りしたい方向があれば教えてください!
一緒に世界観を煮詰めましょう。

 

ヒノキ「いずれにせよ、受肉していない神も存在を維持するためには、相応の霊的エネルギーを必要とするのじゃろうな。そのエネルギーが、信徒の感情(信仰心)であったり、信仰を体現した供物や寄付(物理的な財貨ではなく、その財貨に付与される想いのエネルギーが重要)であったりするならば、愛情を表現するための形あるプレゼントを捧げるのが信仰儀式というものかもしれん」

NOVA「まあ、神の世界がどういう仕組みかは、ゲームごとに、あるいは物語ごとに、様々な世界観がありますが、とりあえず供養した財貨が神さまにとって有効活用されているなら、問題ないと言えるかな。多神教なら、どの神さまにお布施をするかは個人の推しと同じですし」

 

  • テレポーテーション(瞬間移動):物品あるいは1人の人物を術者の自我の個人値マイルだけ転移させる。個人値が5なら、5マイル=8kmで結構、遠くまで動ける。APAだと、もっと短距離(1000フィート=300m)のリミテッド・テレポーテーションと、通常のテレポーテーション(最大移動距離25マイル=40km)の2種類に分かれて、使い勝手が良くなった。
  • マインド・トランスファー(精神交換):1時間の間、2つの個人の精神(知性値を含む)を入れ替えることができる。APAだと、持続時間が10時間に上昇。
  • パスト・シーイング(過去視):最大100年前までの歴史(映像、音声付き)を見ることができる。APAでは、パスト・ヴィジョンと名前を変えて、最大10年前までに置き換わった。前者は、空中に映像を投影して、他者も見ることができるうえ、持続時間が最大4時間(早送り、巻き戻しが自在にできる)なのに対し、後者は術者が3分間、朦朧となって、夢のように見ることになる。
  • ディメンショナル・トラベル(異次元の門):1ヶ月の儀式を経て、別次元の扉を5分間だけ構築する魔法。消費魔力30なので、その気になれば、作成直後のキャラクターでも使える。APAでは、ディメンジョン・トラベルに名前が微妙に変更されて、消費魔力が100になった。負担が大きくなったが、儀式の所要時間が2日に短縮されて、扉の持続時間が2分に減った。まあ、結局のところ呪文の役割は同じである。別次元の冒険を目指すなら、必須の魔法。自分でこの魔法を使えなければ、異次元に行きっぱなしで帰って来れないということになる。
  • フューチャー・サイト(未来視):パスト・シーイングの未来版。こちらは所要時間が1日で、1d10年以内の映像を4分間で大雑把に見聞きすることができる。ただし、未来の映像は起こり得る可能性の一つでしかなく、キャラクターの行動で変えることが可能。APAでは、フューチャー・ヴィジョンと名前を変えて、パスト・ヴィジョンの未来版。30日後までの未来を3分間の夢で見ることができる。
  • トゥルー・ネーム(真の名):APA限定の中堅呪文。ドラゴンや悪魔などの魔力の高い存在の真の名を、知ることができる。それを活用することで、彼らとの交渉を対等の立場で行うことができる。ただし、真の名は交渉のためのパスワードに過ぎず、彼らに対して命令に服従させる権限は持っていない。何を要求し、何を代償に支払うかは術者の交渉力に掛かっている。

 

ここまでのまとめと、その他の魔法系統

 

NOVA「さて、PAの魔法初心者向きの魔法として、やはり第3系統のソーサリーが一番お勧めで、その次に第4系統のイリュージョンが遊べそうだと思うが、ただ幻術は直接攻撃魔法がないので、戦闘ではコンフュージョンを使ったデバフ・サポートが専門となるなあ」

ヒノキ「サポート係なら、第2系統の増幅魔術師エンソーサラーが優秀だと思うが」

NOVA「水晶による攻撃呪文があるので、戦闘前のバフと戦闘中の呪文攻撃で、それなりに活躍できると思います。初心者よりは、仲間を幅広くサポートできるという意味で、連携好きなプレイヤーにお勧めか、と」

ヒノキ「自分が派手に目立ちたいなら、ソーサラー。戦闘以外でも派手にトリッキーに遊びたいなら、幻術。派手じゃなくても、堅実に仕事をしたいならエンソーサラー。第1系統のエンチャンターは?」

NOVA「便利呪文の使い手ですが、戦闘ではチャーム(魅了)が有効に活用できるかってことですね。どちらかと言えば、他の技能がメインで、こちらはサブ技能と言ったところですか。もっと使いにくいのは、第5系統の交感。異世界を通じた情報収集と瞬間移動で、戦闘中はハンマーを投げる仕事がありますが、APAでは信仰レベルを上げないとハンマーのダメージが使いものにならないので、とてもメインに使える系統ではありません。この辺は、他の魔法系統を習得した後、副次的に学ぶ系統だと思いますね」

シロ「情報収集が大事なシナリオでは使えそうですけどね」

NOVA「歴史上の事件や、推理ミステリーがテーマなシナリオだったら、探偵役として活躍できるかもしれないし、考古学者が遺跡の謎を解き明かし、伝説のアイテムの秘密を探る系の物語だったら、非常に重宝する魔法系統だと思うけど、実はそういう謎をシナリオ上の段取り全部無視して、魔法で解き明かしたりすると、ゲームとしてはつまらないんだよな(苦笑)。

「情報系魔法って、謎解きに行き詰まったときにヒントをもらうためとか、シナリオの導入に使うとか、NPC向きの呪文体系だと思うし、そういう魔法が必要なシナリオってGMにとってもハードルが高い。物語のネタとしては、非常に面白い魔法系統なんだけど、ゲームのプレイヤーとしては扱いにくいと思うんだ。

「テレポートとか、次元移動とかも高レベルの冒険だと必須になると思うが(ダンジョンに閉じ込められたときの脱出手段としても便利)、たとえばドラクエの魔法使いが一番最初に習得するのがメラやギラなどの攻撃呪文、または僧侶系でホイミなどの回復呪文を差し置いて、いきなりルーラ(転移)やレミラーマ(お宝発見)なんかを覚えても仕方ないだろう」

シロ「確かに、神のお告げを聞くのが得意ってだけじゃ、脇役ですよね。本業は占い師でも、回復呪文が使えるとか、そういう実用性を求めたくなります」

ヒノキ「まあ、この場で、昔のゲーム語りをするなら、過去視とか非常に面白そうじゃがのう」

NOVA「100年前までの歴史を4時間かけて実録ドキュメントで振り返るのなら、『D&D誕生話』とか『スーパー戦隊50年の歴史』とか、いろいろ楽しめそうです。ただ、APAのパスト・ビジョンだと、つまらなくなりましたね。過去10年のダイジェストを3分間の夢で見るだけってのは、50過ぎのおっさんだとワクワクできません。情報収集の時間効率はいいかもしれませんが、4時間の映像で見るってのは、冒険じゃなくても趣味として十分遊べる魔法か、と。未来視にしても、10年後ならともかく、30日後の未来って実用的かもしれませんが、つまらないです」

シロ「絶対に当たるのなら、ギャンブルで当たりを予想するのには役立ちそうですが」

NOVA「右と左の2つの扉があって、片方は当たりだけど、もう片方は死の罠が待っているって分かっている時に、神の啓示やら未来視がピンポイントでできる魔法なら、ありがたいかも。ただ、TRPGって罠を回避するのが面白いのではなくて、罠にはまってから何とか危機を脱する展開が面白いと思うので、完璧な未来視ができて安全牌だけを選ぶゲームというのも何だかなあ、と思うわけだよ」

ヒノキ「要は、交感の系統を習得しつつ、ゲームのプレイを楽しめるようにするには、GM、プレイヤー双方のハードルが高いということじゃな」

NOVA「物語としては、『このままだと破滅の未来が待っている。それを防ぐことができるのは、あなた方だけです』ってオープニングで、破滅を回避する方法(フラグ)が3つあって、その3つを呪文で情報収集してから順に解決していくってことなら、いいかもしれないなあ。もちろんフラグが何かは、呪文以外でも知ることができるようにシナリオ設定していて。まあ、PAの時代にはそういうシナリオ作成のノウハウはまだなかったけど」

ヒノキ「情報収集のシステム化とか、謎解きシナリオの運用の仕方はゼロ年代に、FEARさんのRPGでいろいろフォーマット化したからのう」

 

NOVA「じゃあ、ここまでの呪文系統のまとめはこれぐらいにして、第6系統以降の魔法については、名前と術者の呼称について、挙げておきます」

 

  • 6.風の精霊(エアー・エレメント):エレメンタリスト
  • 7.水の精霊(ウォーター・エレメント):ニクシー
  • 8.火の精霊(ファイア・エレメント):パイロマニアック、パイロ・テクニシャン
  • 9.地の精霊(アース・エレメント):ミスティック・マイナー
  • 10.生命と死(ネクロマンティック):ネクロマンサー、ウィッチドクター
  • 11.悪魔の呼び出し(サモン・デーモン):エクソシスト、ラミア
  • 12.召喚(サモニング):サモナー、シーアジスト
  • 13.象徴(ワード):オラクル、メディウム、ワーズマン
  • 14.秘薬(アルケミー):アルケミスト、メディシンマン
  • 15.精神(メンタート):サイ・キャスター、メンター、クレアヴォイアント
  • 16.秘儀(ナチュラル・アルカナ):ドルイド、ストーカー

 

NOVA「今回の魔法研鑽はここまで。続きはまた、気が向いた時にでも」

(当記事 完)

*1:ルールブックを見ると、クリエーションの創造物は戦闘兵器だと解釈できたが、後のサプリメントにあるQ&Aでは、敵を攻撃できないと解釈されていました。あくまで相手を驚かせるだけとか。う〜ん、ただのハッタリのために魔力40点はないでしょう、と。例えば重い岩を持ち上げるとか、小さな隙間から奥にある物を取ってきてもらうとか、そういう雑用に使うのかな。まあ、魔力40点を犠牲にすれば、イマジナリー・フレンドとかを永続化できるのかもしれないし、この呪文の使い方は想像力と創造力を掻き立てますな。