今回は魔法編の最終回になる予定
NOVA「今回は、残り4つの系統、象徴、秘薬、精神、秘儀を語って終わる予定だ」
ヒノキ「他に、虚術とカントリップスがあるが、そちらはどうする?」
NOVA「系統だけ、紹介しておくか。これまでの物もまとめて」
- 蠱惑:エンチャント(魔法付与)する便利系魔法。
- 増幅:エンチャントの別派閥。味方への直接的なバフが中心。
- 攻撃と防御:戦闘系の呪文が充実した初心者向き系統。
- 幻覚:幻術、および精神に働きかける術系統。
- 交感:神々を含む異界の存在と交信して情報を得たり、時空を越えたりする高位の秘術。
- 風の精霊:攻撃、移動、天候操作など派手な精霊魔法。
- 水の精霊:水上、水中の行動や、水棲生物の召喚、飲料水の確保など。戦闘呪文は高位の氷系範囲呪文が備わっているが、初心者が扱いやすい術が不足しているので、やや上級者向きの系統。
- 火の精霊:精霊魔法の中では、戦闘呪文が充実しているので、戦う魔法使いを目指すならお勧めの系統。
- 地の精霊:扱いやすい最低限の戦闘呪文(主に護身用)の他は、岩を加工したり、地中の宝を掘り起こしたり、職人向きの魔法が多い系統。
- 生命と死:基本は治癒魔法の多い系統だが、アンデッドにまつわる呪文も内包している。
- 悪魔の呼び出し:邪悪な魔法系統で、プレイヤー向きとは言い難い、癖の強い呪文が揃っている。
- 召喚:悪魔や精霊を除く、自然界の生き物や、魔力のエネルギーなど多彩なものを呼び出すことができるトリッキーな系統。
- 象徴:力ある紋章を描くことで攻撃、防御や特殊な効果を発動する系統。また、封印された扉を開放できるのも、この系統の特権。比較的、初心者にも扱いやすい。
- 秘薬:薬品を生成する錬金術の系統。事前準備が必要な術が多くて、即興には向かないが、回復用の薬品や、魔法の薬による味方のバフ、敵への毒使用などが仕事となる。
- 精神:いわゆるエスパー、サイキック系の超能力。攻撃手段も精神系のものが中心なので、心を持たないアンデッドやゴーレムなどには通用しないが、知性で抵抗する他の魔法と違って、自我で抵抗するとか、他の魔法系統よりも扱いが特殊な面がある。
- 秘儀:APAで初採用された系統。いわゆるドルイド系の自然にまつわる術体系。英語名がナチュラル・アルカナ(自然の秘儀)なので、ナチュラル(自然)の部分を抜きにした略称だと分かりにくい。「自然魔術」とか「野生奥義」という感じで訳した方が本質を伝えると思う。
NOVA「虚術の系統は、以下の5つだな」
- 陰影(シャドウ・スフィア):術者はシャドウマスター。影を操る系統。
- 光輝(ライト・スフィア):術者はライトマスター。光を操る系統。
- 聖唱(スピリチュアル・ボイス):術者はクレリック。いわゆる信仰呪文。信仰度6以上か、正統魔法で神々の領域を選択している者が習得できる。
- 木霊(サウンド・スフィア):術者はサウンドマスター。音を操る系統。
- 戦祈(コンバット・エンチャントメント):術者名は不明。というのも、ルールブックではミスティック・マイナー(地の精霊の術者)と誤記されているため。術の内容は、戦場で味方集団にバフを与えたり、武器に魔力を込めるものが充実。軍師(ウォーリーダー)か戦場の支配者(コンバットマスター)とでも名乗るか。
NOVA「あとは奇術と訳されるカントリップスだが、PAでは戦士や盗賊なんかが魔法的な力を扱う技で、経験度2点で1つの術を習得できる。イメージとしては、ソード・ワールドのエンハンサー(練体士)の扱う練技に近い。スキル使用時に補助的に用いて、判定の成功値を1〜3上昇させる(術の種類による)効果がある。これだけで50種類以上あるので、魔法使いでなくても、魔法っぽいアクションが行える(気合を込めると、武器の威力が少しだけ上がるとか)。
「ただし、正式の魔法使いはカントリップスを魔術の域に達していない恥ずべき芸と見なしているので、自らの誇りにかけて使わないし、後天的に魔法使いになる際も、もしもカントリップスを習得していたら、全て忘れなければいけない。弟子の段階なら、カントリップスを覚えてもかまわないので、その点では弟子の方が師匠よりも多芸だったりもする」
ヒノキ「弟子と、正式の魔法使いの違いは何じゃ?」
NOVA「初期段階の魔力の量や習得呪文の数が弟子は少なく、また複数の系統を習得できないこと」
シロ「つまり、弟子は1つの系統とカントリップスだけで生きていくってことですね」
NOVA「逆に言えば、複数の魔法系統を習得する気がないなら、正式な魔法使いになる必要はないってことですね。まあ、最初から2系統を覚えているブラウニーの場合は、弟子のままでいると損なので、正式な魔法使い一択でしょうが」
第13系統:象徴(ワード)
NOVA「Wardという単語は、『守り手』『監視員』という語源から、ファンタジーゲーム用語で『守護結界』『魔法のシンボル』的な意味を帯びるようになったらしい。word(言葉)という意味ではないので、気を付けたし」
シロ「で、象徴の系統は、魔法の紋章を描くそうですが、領域の紋章を選ばないといけないのですか?」
NOVA「ルール上は必須でないとは思うんだが、イメージとしては紋章と、後は肉体か物品、もしくは成分といったところか。この系統の最大の特徴はオープニング・ワードといって、鍵開けのできる術が唯一習得できること。また、逆に封印を施すこともできる」
シロ「便利魔法の多い系統っぽいですね」
NOVA「戦闘でも使える術もあるが、まずはサポート系の便利呪文から見ていくか。魔法による伝言を残すメッセージング・ワードは、1分間のメッセージを録画・録音して1年間保存する術だ。自分が使うよりも、他の魔法使いが残した記録に接することの方が多いな」
ヒノキ「大魔法使いの遺言とか、敵魔法使いの挑発まがいのメッセージとか、後に残された挑戦状みたいな感じでよく見るのう。たまにGMの演出で、質問に対して返事をしてくれたりもするが、基本は一方通行の伝言じゃ」
NOVA「プレイヤーキャラが自分で使う機会はあまりないかもしれないが、最近は自撮りの動画配信も定着しているからな。備忘録とかで日常生活に活用している魔法使いがいるかもしれない。あと、音楽を記録することもできるので、1分ほどの音楽鑑賞装置にもなるか」
シロ「その紋章は場所固定じゃなくて、持ち運び可能にできるなら商品にできるかもしれませんね」
NOVA「時間も1分限定じゃなくて、1時間ぐらいあって、オンオフ切り替え可能なら便利な音楽プレイヤーになるだろうが、そういうのは、ソード・ワールドの魔動機術がいろいろ採用しているのが今だ。
「次に、回復魔法のヒーリング・ワード。これは発動まで、PAだと2分、APAだと1分かかるので、戦闘中には使えない。PAだと魔力消費が14点で、自分の耐久力の種族値と同じ点数の回復効果がある。耐久力ベースの魔法だから、知性と耐久力を両立した種族じゃないと使いにくいな。人間かマンティコア、それとタフィボーゼとかになるか。APAだと、魔力30点消費で、紋章に触れた者の体力が合計20点だけ回復する。複数回復も可能なので、戦闘後の回復には使えるが、消費魔力が大きいのも難点」
ヒノキ「生命と死系統のヒーリングが魔力3で1点回復じゃから、回復効率はヒーリング・ワードの方が上じゃろう。ただ、魔力の低いキャラだと、一度に30点を捻出するのは困難なので、使い勝手が悪いのは否めんが」
NOVA「使い勝手が悪いのは、呪いの罠を作るカース・ワード。蠱惑系統のカースと同じ効果(命中マイナス5、ダメージ修正マイナス10)なのは強力だが、所要時間が10分なので戦闘中にとっさに使うことはできない。あらかじめ仕掛けておいて、敵がその紋章に触って弱体化するのを待ってから、攻撃を仕掛けることになるだろうな。APAでは、カーシッド・ワードと名前が変わって、効果が『聴覚と嗅覚をゼロにして、全てのスキルレベルが2D4だけ引き下がる』といった凶悪なものに」
シロ「自分が仕掛けるよりも、ダンジョン内のトラップとかにありそうですね」
NOVA「デバフ効果がキツすぎる呪いは、罠としても扱いに難儀するな。一応、1D6日で効果が消えるので、解呪ができなくても何とかなるだろうが、時間のロスが問題になるシナリオだと、呪いを解く手段もあらかじめ用意しておくべきだろうな。
「もう2つ、罠を仕掛ける術があって、文字どおりワード・オブ・トラップとワード・オブ・サスペンション。どちらも罠にハマった者は身動きがとれなくなってしまう。ただ、前者は時間を止めてしまい、他の誰かに触れられて初めて解除されるもの。後者は対象の意識は目覚めたまま、という違いがあって、意識はあるのに身動きとれないという意味では心がすり切れて狂気に陥る危険があるだろう。APAでは、ワード・オブ・サスペンションに統合されて、仕掛けるのに10時間を要するようになった。時間の流れが極端に遅い空間(100年が1秒ほどに感じられる)に閉じ込められる。いわゆるウラシマ効果は発生するわけだな」
シロ「プレイヤー側が活用しにくい術ですよね」
NOVA「どちらかと言えば、シナリオギミックだよな。時間静止空間に閉じ込められた1000年前の勇者や王女を助けたところから、新たに復活した魔王を退治するための切り札となるわけだけど、魔王を倒した後、彼もしくは彼女が元の時代に戻る方法を見つけるか、それとも1000年後の今の時代で生きることを選ぶか」
ヒノキ「あるいは、魔王が1000年前に時間静止空間に閉じ込められて、現在に蘇って来るかじゃな」
NOVA「ダイ大の凍れる時の秘法ってのも、こんな感じなんでしょうな。プレイヤーが使って楽しい呪文かは分かりませんが、GMが物語のネタを考えるためのギミック魔法っぽい。では、次に戦闘でも活用できる術を見ていきましょう」
- ワード・オブ・ペイン:苦痛をもたらすシンボル。敵にダメージを与えるとともに、ショックの判定をさせる。失敗すると、1分間、行動不能になる。APAでは発動に1分かかって、戦闘では使いにくくなった(罠として仕掛けるタイプ)。ダメージは与えないが、苦痛への耐性判定(マイナス4のペナルティ)に失敗すると、1時間の麻痺効果を与える。
- ワード・オブ・ディフレクション:飛び道具への防護機能をもったシンボル。PAでは4ターン、APAでは1分(15ターン)有効。PAでは術者限定の防御効果だが、APAでは味方に接触してかけることも可能。飛び道具など効かん、と調子に乗るプレイが可能。
- プロテクション・ワード:外敵を寄せ付けない防護機能をもったシンボル。PAでは結界の中から外への干渉はできなかったが、APAだと中から飛び道具や呪文を放つことが可能になった。
NOVA「次に、APAの追加ワードです」
- ワード・オブ・ファイア/フロスト:炎や氷の壁を生み出して、範囲内を1分間継続的に攻撃するシンボル。サイズ3なら1体、サイズ2なら2体、サイズ1なら3体が巻き込まれる。ペインがダメージ呪文じゃなくなったので、その代替呪文であるが、相手のサイズによって範囲攻撃ができる分、強化された形。
- ワード・オブ・エレクトリック:電撃のシンボルで敵一体を攻撃。威力や効果範囲はファイア/フロストに劣るが、相手が一定量の金属を身に帯びていた場合、感電して防御以外の能動的な行動が行えなくなる。大剣や金属鎧の使用者を封じることができる。ダガーや普通のロングソードならペナルティを受けない。
- ワード・オブ・デストラクション:他のワードを破壊して、効果を打ち消すシンボル。ワードの持つ厄介な継続効果を無効にするので、呪いや苦痛による麻痺、防御効果を取り除けるのはありがたい局面も。
NOVA「このワードは、他の術系統と比べて、テクニカルなイメージがありますな。封印と解呪、そして障壁と攻撃など、一部の大掛かりなトラップ系を除いて幅広く活用できそうで、役回りとしてはトレジャーハンター的な仕事が適任かな、と考えます」
ヒノキ「まあ、オープニング・ワードがあるので、罠発見の呪文を持つ蠱惑系統と組み合わせるなら、盗賊系の職人仕事は完璧になるじゃろうな」
NOVA「D&Dでも、鍵開けは魔術師呪文で、罠発見は僧侶系呪文で、役割分担されていました。問題は、罠を発見しても解除できるのは盗賊だけなので、結局、呪文だけでは完璧ではないってことですね」
シロ「結局、呪文は盗賊系のスキルを補佐するぐらいの使い方ってことですか」
NOVA「ただ、魔法の鍵は、魔法で開けるしかないわけで、そういう仕掛けが出てきた時にどう対処するかがシナリオのネタになるかもしれないかな、と。魔法の鍵を開けるために、ワード使いをNPCとして紹介してもらうとか、ダンジョンの未探索エリアの情報を氏族に伝えたら、氏族のNPCが鍵開けだけはしてくれて、それ以降の探索を後から要請されるとか、いろいろと話を膨らませるのもいいかもしれない」
シロ「コンピューターゲームでも、その場では開かない扉を後から鍵を入手したり、イベントが進展してから、改めて続きのエリアを探索する話もありますからね」
NOVA「1セッションで攻略できる程度のミニダンジョンが80年代の日本の主流だったと思うけど、海外のD&Dシナリオだと長大な迷宮を何日も時間をかけて1階層をクリアし、さらに深みに潜るウィザードリィ形式が一つの定番だったのか、と」
第14系統:秘薬(アルケミー)
NOVA「この系統も、成分の領域との相性が良いというか、成分の欠点は所要時間が2倍という即効性に欠ける点なのですが、この系統は元々、即効性を求める呪文ではなくて、事前に薬を作成しておくタイプだらけなので、薬瓶を何本まで準備して持って行けるかをGMと話し合う必要があります」
シロ「ルールブックには記述がないのですか?」
NOVA「アイテムの重さはバルクという単位で決められて、水でいっぱいの水袋は2バルクになるから、それを基準にしたらいいとは思う。そして、キャラクターの所持バルクの限界は、腕力の種族値×個人値で決まるから、平均的な人間は5×5で25バルクなんだが、平均的なエルフやハーフリングは2×5で10バルクしか持てない。つまり、エルフの錬金術師は装備品も含めて、薬をほとんど持てない、ということになるんだな」
ヒノキ「重量制限のルールを厳密に扱うと、細かい数字が面倒ということになるのう」
NOVA「PAの場合、種族値の筋力の差で、所持品の重量制限が極端に出て来る。ところが、裏技として、錬金術師は大量に薬品を作って、そのうちの多くを力持ちの仲間に預けておくという手法がある。自分の荷物を仲間に運んでもらうやり方だな」
ヒノキ「まあ、それでも良いのではないか? 力持ちのキャラクターは、大体、前衛で戦うのが仕事で、その分、傷つきやすい。だから、彼らに回復用のポーションを預けておくのは有効じゃろう」
NOVA「ところがです。PAの秘薬系回復呪文のヘルスは、製作に1日を要する割に、回復効果が2点だけ。しかも、魔力20点と銀貨10枚を費やして。実は、銀貨10枚あれば、町で普通に傷薬が買えるんだが、そちらの回復効果は1D6なので、期待値3.5。つまり、錬金術で薬を作るよりも、町で売ってる薬の方が効率がいいんだよ」
ヒノキ「つまり、ヘルスの呪文は役に立たないということか?」
NOVA「もしかしたら、この呪文に経験度を注ぎ込むことで回復量を増やすことができるかもしれないですが。ダメージ呪文のダメージボーナスを増やすことはできますので、回復呪文の回復量を増やすという強化が図れるなら、ヘルスが無意味ってことはなくなるか、と。一方、APAだと、ヘルスも強化されて、魔力消費が15点に減少、10分で製作できて、回復量が1D8+1、さらに材料費を払う必要がなくなった、と良いことずくめ。魔法ギルドだと、このヘルス・ポーションが銀貨15枚で売っているそうで、町の薬屋で売ってる傷薬よりも効果があるとされています」
ヒノキ「PAのヘルスはゴミなので修正が入ったということじゃな」
NOVA「さて、薬作りが本職の秘薬系統ですが、2つだけ戦闘ターン内で使える呪文があります。1つはポイズン。毒を相手に噴射するか(魔力4点で1ダメージ)、武器に塗ってダメージを高めることができます。武器に塗った場合は、2回まで追加ダメージが加算されるので、消費魔力に対する効率が向上しますね。APAだと、クリエイト・ポイズンと名前を変えて、市販の毒物を4分かけて製作するものになっています。同じく、APAだとクリエイト・ドラッグの呪文が生命と死の系統からこちらにも引き継がれたので、薬の専門家としての面目躍如と言ったところですね」
ヒノキ「薬も毒も自在に作れるようになった、と」
NOVA「戦闘で使えるもう1つは、スリープ。眠りの粉やガスをまいて、複数を眠らせることができます。PAだと1分、APAだと1時間の眠りに就きますね(誰かに起こされない限り)」
シロ「確か、幻術にもスリープがありましたね」
NOVA「そっちの方が性能は良さそうだが、秘薬版スリープはその場で催眠パウダーやガスを作り出すこともできるが、あらかじめ作っておいて発動を早めることもできるみたいだ。後者の場合、催眠薬の効果は1ヶ月持続するうえ、罠のようにあらかじめ仕込むこともできそうだ」
NOVA「さて、戦闘ターンで使える呪文は以上で、この先は発動に時間がかかるものを確認。まず、食べ物を作れるフード。PA版では5分でサイズ2の生物4人分の料理を作ることができる。好みの料理が振る舞われるのでありがたい呪文だ。一方、APA版では1時間かけて、3D6個の豆ができる。この豆は1個で、サイズ1の生物1回の食事に相当する。栄養価は抜群で、空腹も満たされるだろうが、豆だけだと味気なく飽きてしまう気もする」
シロ「食事に関する呪文は、作品ごとの解釈が面白いですね」
NOVA「次に、視覚、嗅覚、聴覚のいずれかを6点増やすセンス・ドラッグ。1分で作れて、持続時間は2時間。これがAPAだとハイテンド・センスと名前を変えて、全ての感覚を3点増やす効果になった。また、所要時間が1時間に対して、持続時間が1日なので、あらかじめ仲間の分を作っておいて、ダンジョンの入り口で全員飲むようにするという手もあるし、偵察係だけでも飲んでおくというのもいいだろう」
ヒノキ「ドーピング作戦じゃな」
NOVA「第3に、病気や毒、鈍化した感覚を回復させるキュア。ヘルスに比べて、こっちはずいぶん優秀な薬だ。ただ、APA版だと病気は癒せるが、毒消しの効果は書かれていない。病気(毒その他の状態異常を含む)と解釈するのが無難だと思うが。実のところ、APAでは毒に関する記述は多いのに、毒を無効化する万能毒消しは市販されていないんだな。だから、生命と死系統のネゲイト・ポイズンか、キュアで対応できるのが(秘薬系統には、他に有効な手段もなさそうだし)ユーザー・フレンドリーかな、と」
ヒノキ「TRPGはデータの多いゲームじゃから、たまに解釈に悩む箇所があったりするのも一興だったりする。人気システムじゃと、Q&Aだけで商品が作れたりもするからのう」
NOVA「さすがに今の時代、Q&Aだけで本一冊は作れないでしょう。2.0なら、SNEの公式サイトにQ&Aがある。でも、2.5にはないんだな。さておき、PAで面白い呪文は、次のインスティル。術者は自分の好きな効能を持たせた薬品を金貨1枚と、魔力25点、1週間の研究開発で作成することができます」
シロ「それって、ゲームバランス的に大丈夫なんですか? 例えば、『魔力を帯びた銀の武器以外では傷一つ負わない』という効能をプレイヤーが出して来たら?」
NOVA「その辺のゲームバランスを考えるのは、GMとプレイヤーの話し合いによるべし、というのが、サプリメント『ノーザンエリア』所収のQ&Aに示された見解だ。俺がGMなら、『ただし、満月の夜限定』という条件を付けたりするな。自分の裁定では手に負えないから、と却下してもいいだろうし、プレイヤーの発想を受け入れたうえでバランスをとるための制約を提案して、独創的かつ機能する特殊能力でセッションを盛り上げるのもTRPGの醍醐味だと思う。もちろん、傷一つ負わないのは無茶だと考えたら、『月明かりの下では、全身の防御力が3点上昇』程度で折り合いをつけるとか、後からとんでもない副作用が付いて来たりするのも一興」
ヒノキ「変な薬をマッドサイエンティストが発明して、思いがけないトラブルが発生するのも、フィクションではたまにあるしのう」
NOVA「一方、APA版では、インスティルの効果が変わって、単に魔力を増幅させる顆粒を作るだけになった。これについては、PAの荒唐無稽さが削られて残念と個人的に思うが、自由すぎて解釈に悩むよりはゲーム的に処理しやすくしたのだろう。
「さらに、PAだけの呪文として、夢の中で予見を賜る薬を作るドリーム・プロフェシーがあったが、そういうのは交感の系統だろう、ということで、削られた」
シロ「予見というのも、シナリオ内で扱うのは、なかなか難しいですからね」
NOVA「GMのアドリブ力が問われるところだな。まあ、そういう呪文を覚えたプレイヤー・キャラに対しては、導入を工夫することもできるし(夢のお告げがきっかけになって、事件に誘われるとか)、設定を紡ぎ合わせる面白さになれば幸い。そして、PA最後の秘薬呪文がポーション/エリクシールだが、他の系統の呪文と同じ効果を持つ薬を作り出す。ただし、準備にお金がかかる(「30+対象呪文消費魔力」枚の銀貨)のと、プレイヤーの呪文知識が求められる」
ヒノキ「コストは割高になるが、どんな呪文でも扱えるようになるんじゃな」
NOVA「APA版だと、1日の間、未習得呪文を1つ扱える力、あるいは全てのスキルが+4ランクされるのと二者択一の効果が得られます。
「あとはAPAで新規に追加された呪文が2つ。1つは薬品の外見を偽装するアルケミカル・マスク。これによって、毒を薬に見せかけたり、別の薬効があるように誤解させることができる、と。もう1つは1回のスキル判定に+12のボーナスをくれるタスクの薬。1行動をほぼ確実に成功させられるサポート魔法ですね」
ヒノキ「+12というボーナスは凄いが、面白みがあるとは思えんのう。とにかく、秘薬使いはルールブックの薬品リストや毒物リスト、呪文リストを見ながら、いろいろ試してみる研究者精神が必要な系統だと分かった」
第15系統:精神(メンタート)
NOVA「次は超能力の精神系統だが、APAだと知性よりも自我に基づく呪文が多いのが特徴だな。PAとAPAで必要能力値が変わっている系統は、悪魔の呼び出しもそうだが、版上げコンバートに注意が必要だった、と今さら思う次第」
ヒノキ「APAのデータをそこまで深くチェックしては来なかったんじゃな」
NOVA「まあ、PAはじっくりルールを読んだけど、APAは流し読みでしたからね。で、精神系統の基本術はインテンション。相手の意思や表層感情を読み取れて、しかも抵抗不可です」
シロ「敵意を持っているとか、嘘がバレないかドキドキしているとかが分かるんですね」
NOVA「捜査活動で便利だな。次に、魔法が使われた痕跡を探るチェックスペルだけど、PAだと過去3ターン(12秒)で使われた魔法だから、要するに戦闘中に敵の使った魔法の内容を知るためのもの。GMが敵の魔法の効果を秘密にしているような卓なら意味があるかもしれませんが、ほぼ無意味な効果だと思うので、APAだとマジック・スペル・ロアと名前を変えて、過去1時間のうちに、その場で使われた魔法を探る性能に向上しました」
シロ「やはり、情報捜査に便利ですね」
NOVA「その次はマインドシールド。サイオニクス系の呪文から身を守り(読心や精神攻撃を遮断)、さらに幻覚も通じない。PAだと2ターンでかけられて、1時間有効なうえ、自分以外の他者にも使える高性能な術でしたが、APAだと自分限定、効果時間が1分なうえ、完全に遮断するのではなく、魔力2点消費するごとに相手の呪文の成功値を1点下げられる程度の防御効果。正直言って、弱体化もはなはだしい」
ヒノキ「自分限定の防御呪文というのは、扱いにくいのじゃな」
NOVA「相手が超能力者か幻覚使いと分かったうえで、自分の方が物理戦闘力が高いという状況で、相手の術に惑わされないよう魔力を大量消費して、強い精神防護を施したうえで、攻撃は武器を使った一騎討ちに持ち込むと強いわけですね」
ヒノキ「相手の得意技を封じることができれば、有利に立ち回れる、と」
NOVA「そして、攻撃技はシオニック(サイオニック)・ブラスト。精神衝撃波という感じで、定番の攻撃呪文ですが、PAのときは魔力消費が8点と少し重めで、ダメージ修正+10。単体攻撃では割と強めでしたが、APAだと魔力5点でダメージ修正+4と弱体化。まあ、特筆することはあまりないかな。
「恐ろしいのは、次のサブミッション。1分かけて相手の精神を支配して、1時間の間、服従状態にします。消費魔力は10点で扱いやすかったのですが、APAだと魔力50点を費やす大仰な術になって、効果は永続化。精神的な治療が施されるか、術者が死ぬか、ディスペルの魔法で解除されるかしない限り、永遠の奴隷となってしまいます」
ヒノキ「手軽に使えて、1時間限定の奴隷がいいか、それともたっぷり魔力を注いで無期限の奴隷にするかか」
NOVA「ゲームとして扱いやすいのは前者ですが、敵に操られてスパイをしている味方NPCというシチュエーションを成立させるためには、わずか1時間じゃ少ないということですね。いずれにせよ、施術には1分間が必要で、しかも接触呪文なので、相手が無抵抗な状態でないと使えないでしょう。何せ、呪文を唱えている最中に敵から攻撃を受けて命中すると、精神集中が乱れて呪文は失敗してしまいますから」
シロ「すると、魔法使い対策として有効なのは、飛び道具を当てて呪文の発動を妨害することですね」
NOVA「だから、魔法使いは遮蔽を気にするんだよ。魔法使いを護衛している仲間キャラが盾代わりになって、魔法使いを敵の飛び道具から守ります宣言ってのも結構重要。25%遮蔽で命中マイナス4、50%遮蔽で命中マイナス8。人間の体で完全遮蔽は難しくても、半分ぐらいは隠せると思う。とりわけ、サイズ2のキャラならサイズ1の小人魔法使いを隠すことは可能だろう。この辺の処理は、プレイヤー側が積極的に宣言しないと、GMが気にしないのが普通」
ヒノキ「まあ、GMがプレイヤー魔法使いの呪文発動を妨害する戦術を積極的に使うなら、プレイヤーも学習するかもしれんのう」
NOVA「この辺、ソード・ワールドのように呪文の使用宣言と発動タイミングが同時のシステムなら、あまり気にする必要はないのですが、PAは呪文を唱え始めてから発動まで時差がありますからね。最低でも1ターンは費やす仕様なので、1ターンめに呪文を唱えて、2ターンめの自分の手番に呪文発動。だから、戦闘中の呪文使用が毎ターン連発というようにはならず、早くても2ターンめ、4ターンめ……といった偶数ターンになるわけです」
シロ「戦闘前の準備というのは、どうなります?」
NOVA「ダンジョン探索では、待ち伏せした敵からいきなり奇襲されない限りは、敵の出現がある程度、予想できるだろう? だから戦闘ターンに入る前に敵の存在を察知できていれば、1ラウンドの所要時間は戦闘前に確保できて、1ターンめの自分のターンに呪文を発動できると裁定してもいいだろうな。この辺の裁定の仕方も、リプレイなんかがあれば例示にもなるんだが、PAの場合、ルールブックを読み解きながら、後はGMとプレイヤーの解釈を折り合わせる作業を経て、卓のルールが決まるのだと思う」
シロ「すると、サブミッションの所要時間の1分間も、プレイヤーが積極的に狙っていけば、開幕一番、『相手を洗脳します』と宣言することもできるわけですか」
NOVA「味方にかける呪文は事前準備できるが、敵にかける呪文は、相手を術者がはっきり認識してから呪文を準備し始めるので、戦闘開始前に1分の猶予はないと判断する。15ターン中の10ターンまで準備できたので、残り5ターン分の詠唱が必要だ、と言ったところか」
ヒノキ「きちんと敵の存在を偵察して、こちらが奇襲するような局面であれば、開幕一番、サブミッションというやり方もあり、ということじゃな」
NOVA「この辺は、ややこしいことを考えず、所要時間がターン方式の呪文は戦闘中でも使える。ラウンド方式の呪文は、戦闘中では使えない。ただし、戦闘準備の猶予があるような局面では、味方にかけるバフ呪文や召喚呪文は使えるけど、敵にかける呪文は不可能と決めておくかな。実は、戦闘での時間管理のルールって、どこまで厳密にするかGMによる裁定解釈がいろいろあって、面倒な要素は省くのもありか、と」
ヒノキ「別にPAを実プレイするわけでもないのに、突き詰めて考えすぎたようじゃな」
NOVA「次に行きます。テレキネシスの呪文は、遠くから物体を操作する念動力ですね。どれだけの重さの物や生き物をどれぐらい動かせるかは、細かくなるので割愛して、この呪文、PAではラウンド進行、APAではターン進行で処理します。だから、PAでは戦闘中に扱いにくいわけですが、事前に重い物を上空に持ち上げておいて、戦闘開始時に落下させるとか、ダメージを与えることも可能。また、APAでは敵の誰かを空中に持ち上げて、落下ダメージを与える使い方もありですね。結構、応用範囲の広い術だと思います。ただし、APAでは持続時間も1ターンだけと短いので、重い物を落とさずに持ち上げ続けるような使い方は無理。パッと動かして、それで効果切れです」
シロ「落下する落とし格子や吊り天井を支えて、その間に抜け出すことはPAだと可能。でも、APAでは無理だと」
NOVA「APAは戦闘中での使用に最適化されたようですね。次にテレパシーですが、PAとAPAでは仕様が大きく異なります。PA版では10マイル(16km)以内の遠隔通信で、術者と特定人物が思念でやり取りするもの。普通、テレパシーといえば、こちらを差すと思いますが、持続時間が4時間で、消費魔力は10点、声だけでなく映像も相手に伝えることができます。現在のスマホみたいなことができますが、不特定多数への交信は無理で、必ず1対1のやり取りになります。
「APA版だと念話で、言葉を使わずに情報を伝えて、消費魔力は1分で1点。秘密の伝言や、感情の共有、脳裏に浮かんだ映像や音楽、匂いや味などの感覚をそのまま伝えることも可能ですが、遠距離交信ではない、と」
ヒノキ「念話で洗脳はできんのか?」
NOVA「相手に行動を強要はできませんね。たとえば、俺がTRPG好きだとか、特撮ヒーロー好きなのは、相手に伝わりますが、それを受けた相手が『面白そうだし、君が好きなのは分かったけど、自分には合わないな』と感じる可能性だってある。もちろん、『それは面白そうやね。もっと詳しく教えてくれ』と応じるケースもあるし、『おう、お前もTRPGファンか。何のシステムが好き? PA? 今どき、何てマニアックな。普通はクトゥルフかD&Dやろう』とか、反応は人それぞれ」
シロ「まあ、誤解なく本音を伝え合うことは可能っぽいですね。言葉だけだと、語弊があったり、言いたいことが上手く言語化できないケースもありますから」
NOVA「口には出せない想いというのは、しばしばフィクションのテーマになるからな。で、次はクレアボヤンス。これもPAとAPAで仕様が異なる。PAでは、5分後の予測できる未来を相手に見せる予見めいた術。自分の未来は見えないけど、他人に少し先の未来を見せることができる。APAだと透視呪文だ。普通、クレアボヤンスだと後者と解釈できるが、ゲームブックの選択肢でどっちを選んだらどうなるかを見れるのが前者だな」
ヒノキ「ああ。2つか3つの選択肢のうち、どれを選んだらいいかを判断させる占いみたいなものか」
NOVA「自分のことは占えない占い師みたいな術ですが、ダンジョンの通路のどれが正解かを探るのに、仲間の誰か(偵察役の盗賊とか)にかけると有効かも。ただ、1ヶ月に1度以上の頻度でこの術を使われると、自己中の醜い生き物に変わるという副作用があって、何だろう、そのネタは? と思うばかり」
ヒノキ「要は、便利だからと言って、連発すると、とんでもない副作用があるので控えめに、ということじゃろう」
NOVA「でも、これって占い師に扮して、特定人物に未来視を短期間で何度も見せて、相手を周りから嫌われる生き物に変貌させるという悪事を実行できるんですね。これで自分がペナルティーを受けないのでは、術者は悪魔か何かかよ、と思える」
シロ「PA版は、使い勝手の難しい呪文ってことですね」
NOVA「テレポーテーションは、説明不要だな。PA最後の超能力は、アンチ・マジックブラスト。ある対象が持っている全てのマジックアイテムを、1時間、効果を発揮しなくなる。また、その人物の魔力も半分に減ってしまう。APA版だと、アンチ・マジック・ウェーブと名前を変え、人間の魔力半減効果は削除された」
ヒノキ「とにかく、超能力で一時的に魔法を封じ込めようということじゃな」
NOVA「逆に超能力を封じる魔法がないのは、ファンタジー物の特徴ですね。あと2つ、APAのみの超能力を紹介すると、まずはコントロール・エモーション。PAでは、生命と死の系統にあった呪文がこっちに移ってきた形だ。もう一つは、レルム・ノウリッジ。相手の魔術師の領域や系統を把握できるとともに、マジックアイテムの効力なんかも知ることができる」
ヒノキ「全体を通して、情報系の呪文が多い印象じゃな」
第16系統:秘儀(ナチュラル・アルカナ)
NOVA「今のタイミングで、アルカナだと、これを思わずにはいられようか」
ヒノキ「しかし、彼女はナチュラルの要素がない。むしろ、シャドウだからして、虚術のシャドウ・スフィア(陰影)の系統に属しているのではないか?」
NOVA「むっ。すると、今回はアルカナで終わらせた後、次回はシャドウについての研鑽を続けよ、とおっしゃられるか?」
ヒノキ「誰も、そんなことは言っておらんが、しかし、アルカナシャドウが旬である以上は、アルカナの次はシャドウにつなげるのが時流に乗ってると言えるかもしれんのう」
NOVA「まあ、ファンタズム・アドベンチャーが時流とは全くもって思っていませんが、過去にやり残したことを今さら、さらっているような形です。そもそも、名探偵の話は1999年にタイムスリップした設定ですから、今の時代は1999年こそが旬と言えますまいか?」
ヒノキ「1999年と言えば、どんなTRPGが出た?」
NOVA「冬の時代ですからねえ。ええと、『ブレイド・オブ・アルカナ』?」
ケイP『今、出てる最新版は5版だッピ』
NOVA「俺の持ってるのは2版までだな。ちっとも追っかけてないや」
シロ「タイミングよく、アルカナつながりですね」
NOVA「なるほど。どこまで話が寄り道するかと思ったが、アルカナつながりで戻って来たか。とにかく、今はナチュラル・アルカナの話だな。これはAPAで初めて実装された術系統で、いわゆるドルイ道だ。だから、たぶん話が錯綜せずに、きれいにまとまるはず」
ヒノキ「では、順に語ってみよ」
NOVA「箇条書きで、呪文の名前を挙げてみるだけでいいんじゃないかな?」
- ロケイト・ハーブ(薬草探し):消費魔力3。10分間、薬草の発見率が2倍に。
- ヴァイン・アタック(ツタ攻撃):消費魔力6。戦闘中に命じると、1分間、森の植物が動いて敵を攻撃してくれる。ツタだけでなく、木の枝や根っこも攻撃して、合計サイズ4までの敵に毎ターン1D6ダメージを与える(自動命中、ダメージ軽減不可)。
- サモン・アニマルズ(動物召喚):消費魔力6。小型の動物を呼び出して、1時間の間、奉仕してくれる。戦闘行為は嫌うので、術者の命令で戦いに参加する確率は20%。
- グロウス(拡大):消費魔力7。生物を魔法で一時的に(10分間)大きくする。バルク(重量)と移動力が3割上昇。基本能力は変わらない。
- シュリンク(縮小):消費魔力7。物体(生物に限らない)を魔法で一時的に(10分間)小さくする。生物の場合、バルク(重量)と移動力が3割減少。基本能力は変わらない。物体の場合、サイズが縮んでもバルクは変わらない。
- スピーク・ウィズ・アニマル(動物会話):消費魔力11。5分間、温血動物(鳥や哺乳類)と意志を通じさせる。野生動物は知性ゼロが基本なので、あまり複雑なことは考えられないのが基本。
- ウォーク・アンシーン(忍び歩き):消費魔力12。10分間、対象の身を陽炎に包んで、気づかれにくく移動することができる。知性ゼロの獣は、対象が攻撃的な行動を取らない限り気付かない。知性が1以上あれば、視覚判定で失敗すれば気づかない。成功しても、対象の身を包む陽炎のせいで、その正体が分からない(薄ぼんやりしたシルエットとして映る)。
- スピーク・ウィズ・プラント(植物会話):消費魔力15。5分間、植物と意志を通じさせる。植物の擬似的な知性は、多くの動物とは異なっていて、話は抽象的なものになりがちである。
- サモン・ヘルパー(小動物召喚):消費魔力15。自然界の小さな生き物(蝶や蛾、蛙、小魚)などを召喚し、20時間の奉仕をしてくれる。主に偵察行動をしてくれ、周囲の地形や天候の異変、敵の接近などを術者に伝えてくれる。
- アニメイト・ツリー(樹木活性化):消費魔力20。一本の樹木を、10時間の間、知性1のトレント族のように動かす。樹木は移動し、枝を動かしたり、会話をしたりできるが、敵を攻撃することはしない。
- サモン・ライトニング(稲妻召喚):消費魔力25。屋外で1分かけて、雷雲を召喚して稲妻を落とさせる。落雷の範囲にいる敵全員は、現在の体力の〈1D20×5〉%のダメージを受けるが、魔法への耐性の判定に成功すれば、ダメージを半減できる。失敗すると、その場に倒れてショック判定を行う。成功すると2D6時間の昏睡状態に。失敗すると、ショック死の危険あり。1D20で現在の体力点以下を出さなければ即死してしまう。
- チャーム・アニマル(動物魅了):消費魔力30。〈術者の自我の個人値÷2〉サイズ分までの動物を1日の間、魅了して、どんな命令にも従わせることができる。
- チャーム・モンスター(怪物魅了):消費魔力は不定。〈術者の自我の種族値÷2〉+1サイズ分までのモンスター(知性1以下に限る)を1時間だけ魅了して、どんな命令にも従わせることができる。消費魔力は〈モンスターの耐久力の種族値×操る頭数〉だけ。アンデッドやゴーレムのような命を持たない怪物には効果がない。
- リインカーネーション(転生):消費魔力100。死者の魂と記憶を、他の動物に移し替えて復活させる。ただし、知性の種族値は1のままで、他の基本能力も転生先の動物そのままである。また、転生できるのは死後3日までで、呪文の所要時間が2日なので、呪文を準備する猶予は1日しかない。転生先の動物はランダムに決めるか、GMの選択による。
NOVA「以上が、APAの自然秘儀系統、ドルイド呪文だが、何か質問は?」
ヒノキ「スピーク・ウィズ・アニマルで話せるのが温血動物のみじゃが、蛇やカエルとは喋れないのか?」
NOVA「爬虫類のリザードマンなら特例で同じ爬虫類と喋れるとか、種族ごとの例外を認めてもいいだろうな。しかし、俺が蛇なら、わざわざ人間と話したいことなどないと思う。餌をくれるご主人さまなら情が湧くかもしれんが、人に慣れていない生き物は基本的に人と会話する思考回路を持ってないだろう」
ヒノキ「つまり、自分の種族に近い生き物なら、スピーク・ウィズ・アニマルの対象も拡大解釈できるということじゃな」
NOVA「問題は、スライム状のスリッジなんかがドルイドになったとして、彼らはどうやって動物と会話するのだろう? 他の知的種族との会話でもマイナス4のペナルティーがあるというのに……」
ヒノキ「まあ、奇抜な設定を考えたプレイヤーは、自己責任でプレイを滞りなく進められるように、アイデアを練ることを求められよう」
シロ「ところで、チャーム・モンスターの消費魔力って、大体どれぐらいになりますかね?」
NOVA「そうだな。魔法使い代表として、エルフの種族自我値が5で、半分して四捨五入して+1するとサイズ4までのモンスターを操ることができる。サイズ4のモンスターだと、大型のダチョウ(ジャイアント・グラウンドバード)かワイバーンが分かりやすいが、彼らの耐久値は8とか9だ。実は、チャーム・アニマルよりも消費魔力が少なくて済むが、それは持続時間が1日か1時間の差だし、モンスターの場合は、魅了状態が解ける前に呪文をかけ直すか、それとも解放して遠くに追いやるのが無難だろうな。さすがに、ずっと飼いっぱなしにはできないだろう」
ヒノキ「リインカーネーションで転生して、動物種族でプレイを続けることは可能じゃろうか?」
NOVA「そりゃあ、種族値だけ書き換えて、個人値や習得スキルは元のキャラのまま、ただし動物は知性が低いので、魔法使いが動物に転生したら、魔力とか呪文の成功率とかだいぶ減りそう。だから、改めて新しい獣の肉体に合わせて、スキルを覚え直すことになるでしょう。その際、氏族のルールをどう扱うかが問題だけど、形式上はドルイドの従僕ということで、世話になりっぱなしの第2の人生を送ることになるかな」
ヒノキ「まあ、プレイヤーキャラにユニコーンやジャイアント・イーグルやスライムがいるゲームじゃから、動物をキャラにしても何とかなるかもしれんが」
NOVA「GMとプレイヤーが話し合って、動物のままプレイを続けるか、転生した獣はNPC扱いにして、それとは別にキャラクターを作り直すかですな。あと、キャンペーンに途中参加するなら、これまで稼いだ経験度をおおよそ換算して、新キャラの強さを調整する必要もあるだろうし」
シロ「何だか、最後の最後で、転生話をして、いかにも秘儀って感じで終わりましたね」
NOVA「さて、アルカナの話を終えたところで、PAの正統魔法の話は一通り終了。あとは、今後、虚術の話をする機会はあるかな?」
ヒノキ「最後にダジャレオチかよ」
(当記事 完)

